(まただわ、嫌ね・・・)
気がつくと、こちらを見ている。柏木明日香は、授業中に自分へ熱い眼差
しを送ってくる生徒がいる事に嫌悪感を表した。

(あの目・・・まるで、蛇のよう。怖いわ・・・)
その生徒の名は古田源三。ここ私立ちみどろ高校では、その名を知らぬ
者がいないほどの悪童である。実際、学内では真面目な生徒ほど古田を
忌避し、教師までもが腫れ物に触るような扱いをしている。そうしないと、彼
の者は自分を取り巻く不良仲間を引き連れ、他の生徒から金銭を巻き上
げたり、授業の妨害を図るからだ。言うなれば、愚連隊のリーダー格なの
である。

そんな古田だが、不思議な事に明日香の授業だけは、真面目に受けてい
た。しかも、時間に遅れる訳でもなく、授業の妨害もしない。ただ、机にかじ
りつき、時々、明日香を凝視するだけである。
(まあ、邪魔をされるよりはいいんだけど・・・)
若いとは言え、力のない女教師。もし古田を怒らせて、暴力にでも訴えられ
たら自分は大怪我をしてしまうだろう。それが分かっているから、古田が大
人しく授業を受けてくれる事はありがたい。しかし──

(また見てる・・・)
蛇が小動物を見据えるようなおぞましい視線だけは、いつまで経っても慣れ
る事が出来なかった。

ある日の放課後、帰宅すべく車に乗り込む明日香へ、何者かが声をか
けた。
「よう、先生」
「あら・・・」
声の主は、あの古田である。高校生のくせに無精ひげを生やし、大きな
体を揺らしながら、明日香へと近づいてくる。

「これから帰るのかい?」
「そうよ」
「いい車だね」
古田は明日香の愛車に触れ、ニヤニヤと笑った。その薄気味悪さといっ
たらどうだろう。あばたまみれの顔とずんぐりとした体型は、何世代も前
の猿人のような風体だった。

「あの、何か用なのかしら?」
明日香は急いでる風を装い、問い掛ける。別段、自分は彼の担任でも何
でもないのだ。わざわざ時間を割いてやる必要はない。それを察した訳
でも無かろうが、古田は明日香に向き直って口を開いた。

「先生ってさ、人妻なんだよな」
「結婚してるって事?それがどうかしたの?」
確かに古田の言う通り、明日香は同い年の夫と二人暮し。だが、それが
どうだというのだ。明日香は首を傾げ、相手の言っている事に理解が及ば
ないという様な顔をした。すると、何という事か、古田は次にとんでもない
言葉を放ったのである。

「じゃあ、毎晩、バコバコやってんだ。へへ、先生も可愛い顔して、やる
事はやってるんだろうな」
そう言うと古田は懐からタバコを取り出した。明日香は一瞬、目を丸くし
たがすぐに気を取り直し、つとめて冷静に振舞う。

「言ってる意味が分からないんだけど」
「カマトトぶんなよ。ダンナと、オマンコしてるんだろって話さ」
「オ、オマ・・・」
かっと頭に血が上る明日香。何故、お前のような若造に、そんな事を言
われなければならないのだ。性の営みは恋人や夫婦の物である。やっ
ていようがいまいが、他人には関係の無い話だ。明日香は拳を握り締
め、ワナワナと全身を震わせている。

「ちょっと、あなた」
「なんだい、先生」
ついに明日香も辛抱がきかなくなってきた。名の通った悪童だか何だか
知らないが、教師である自分がこうまで虚仮にされてはかなわない。
言いたい事を言わせて貰わなければ、気がすまなくなっていた。

「ワルぶってるつもりなんでしょうけど、はっきり言って、格好悪いわよ」
「ほう。どこが?」
「女の私をからかいたいんでしょうけど、小便くさいあなたに女の何が分
かるのかしら?分かってても、本で得た程度の知識でしょう?どう見て
も、あなたはもてるタイプじゃないしね」
「フフフ。生っちょろい女の先公だと思ってたが、案外、骨があるな、あん
た」
古田はタバコの煙を噴出し、にやついた。明日香の言葉など、だから何
だと言わんばかりである。

「喫煙なんかして、バカな頭がますます悪くなるわよ。すぐにおやめなさ
い。あと、そのみっともないひげも剃ったら?そうすれば、薄汚い顔が少
しはましに見えるかもよ」
古田の態度に明日香は熱くなり、つい教師としての立場を忘れて侮辱
ともつかぬ文句をたれた。と、その時──

「良く言った。先生、気に入ったぜ」
古田が一歩、前に出て、握り拳を明日香の腹へお見舞いしたのである。
「ぐッ!」
明日香は前のめり、体を二つに折った。すると、この様を見ていたかの
ように、古田の取り巻きが数名、校舎の影から出てきたのだ。
「おい、先公を運ぶぞ。誰か車を運転しろ」
幸い辺りには誰もおらず、古田は明日香を担いで車に乗り込んだ。そ
して、取り巻きと共に学校を後にしたのである・・・・・

十数分後、明日香の車は倒産した運送会社の倉庫前に停まっていた。
すでに業務は停止していたが、電気や水などのライフラインは整って
おり、数ヶ月前から古田達のアジトになっている場所だった。
「あ、あなたたち、こんな事をしてただで済むと思ってるの?」
倉庫奥にある事務所兼、仮眠所のような場所に、明日香は縄で体を戒
められ、天井の梁から吊るされていた。身には糸くず一本、着けてはお
らず、両足は無残にも左右に広げられている。

「いい格好だぜ、先生」
古田以下、数人の不良が素っ裸の女教師を囲んでいた。薄暗い裸電球
ひとつしかない部屋だが、明日香の白い肌は薄闇の中でも、十分に輝い
ている。
「今ならまだ間に合うわ。すぐに私を放すのよ」
「バカ言ってら」
憤る明日香の前にしゃがみ込み、古田はその美しい女体を眺めてみる。

明日香はYの字を逆さにしたような格好だった。縛られた両手首が真上
へ伸びているので、乳房はおろか陰部までも丸見えの状態である。
「毛が濃いな、先生よう。でも、毛並みが悪い。どうせ、ダンナにバコバコ
やられてるせいだろうがな」
古田の戯言に、明日香はきゅっと唇を噛み締めて耐える。怒りで頭が沸
くのではないかと思うほどの屈辱だが、反論する気力は無かった。

「という事は、先生は毎晩、中出しされてるって事か」
「夫婦なんだから当たり前だろう。ハハハ」
取り巻き達もこぞって明日香を言葉で辱めた。獣の如き彼らには、家族
計画などという考えは無く、女と見ればセックスの事しか頭に浮かばない
のであろう。

「陰毛、柔らかいな」
「つッ!」
古田の指が、明日香の若草を摘んだ。それを何度か繰り返し、Vライン
に添って生えている若草全体を愛でる。たまらないのは、明日香の方だ。
「ね、ねえ、古田君」
「なんだよ、先生。今、いいところなんだが」
「お願い・・・もう、十分、辱めたじゃない・・・先生を解放して」

先ほどとは打って変わり、泣き言をたれる明日香。学校から拉致され、服
をむしられた上にこの有り様だ。教師としての尊厳も打ち砕かれ、明日香
は生娘のように泣きじゃくりながら、許しを乞うしかなかった。しかし──
「お楽しみはこれからじゃねえかよ、先生。泣き言は早いぜ」
古田は立ち上がりざまにズボンを下ろし、屹立した男根を放り出したので
ある。

「い、いやッ!」
恐ろしく醜い上に、やたらと大ぶりな男根を目の当たりにして、思わず
顔を背ける明日香。古田のそれは節くれだったようにデコボコで、おま
けに派手な右曲がり。言うなれば、ある種の奇形と言って良い代物だ
った。

「どうだい、先生。ダンナのと比べて。おい、お前らも脱げよ。みんなで、
先生に見せつけてやるんだ」
「おう」
古田の号令の下、取り巻きたちも一斉にズボンを脱ぎだした。それぞれ
大きさにはバラツキがあるものの、どの男根も天を突かんが如く反り返
り、獲物を狙う蛇のように鎌首をもたげている。

「馬揃えならぬ亀揃え。先生、よーく見るんだぜ」
「い、いやあ・・・見せないで・・・」
古田を筆頭に都合、五本の男根が明日香の前に連なった。どれも女を
泣かせる肉の武器としては、上等と言えよう。
「今からこれで、先生のオマンコをかき回してやるからな」
「いや・・・お願い、やめてえ・・・」
すすり泣く明日香。五人の異性と交わるという経験など、これまでの人
生でただの一度すらない。まして、相手は疲れ知らずの青い狼どもで
ある。何時までも何処までも嬲られる事が、目に見えていた。

「助けて、古田君。私、あなたに何も悪い事してないわ。どうして、こん
な目に遭わなければいけないの?」
そう泣き叫ぶ明日香に、古田はただ一言。
「やりたいだけ」
そうして、五人の悪童どもは一斉に明日香の体へむしゃぶりついた。そ
して、薄暗い室内には、夫に操を立てるべき人妻教師の悲鳴が響き渡
ったのである・・・・・

それから二月ほどが過ぎ、明日香はいつも通りに教壇に立っていた。
今、ちょうど授業が終わる所で、礼を済ませたばかりである。

「じゃあ、またね」
そう言うと、明日香はすぐに旧校舎の男子トイレへ向かった。ここは来
年、建て替えが検討されている場所で、今は古田達、悪童が喫煙所と
して使っている。
(急がないと)
教師である以上、廊下は走れない。明日香は大股で歩きつつ、逸る気
をおさえて旧校舎へと向かった。

「おせえじゃねえか、明日香」
男子トイレに入るや否や、古田の取り巻きが明日香を怒鳴りつけた。
しかも、教師を呼び捨てである。
「ごめんなさい。前の授業、教室が遠かったの」
明日香は深々と頭を下げた後、自らスカートを捲った。そしてパンティ
を脱ぎ、トイレの壁に手をついて尻だけを高く上げた。ちょうど、馬跳び
の馬のような格好である。

「ケッ、ユルマンのくせに・・・」
そう言いながら明日香の尻に挑むのは、ついこの間まで彼女を先生と
慕ってくれていた生徒だった。最近の明日香は、古田達の命令により
金次第で誰にでも股を開く女になっている。この生徒も金で明日香を
買った一人だった。
「お願い・・・コンドームをつけてちょうだい」
蚊の泣くような声で哀願する明日香。古田の仕切りで、商売をする時は
避妊具の装着は必要ない言いつけてある。それでも、夫ある身の明日
香は、願わずにいられない。愛してもない男の子供もなど、孕みたくも
ないし産みたくもないからだ。

「バカ言うな。高い金、払ってるんだ。生でやらせてもらうぜ」
「それならせめて、外に出して・・・お願いよ、ううッ・・・」
「うるせえよ。黙って、マンコ締めろってんだ」
涙ぐむ明日香に生徒は男根を挿入した。哀願する女教師に憐憫の情な
ど、欠片も見せなかった。

「おっ、やってるな」
獣のように犯される明日香の前に、あの古田が顔を出した。この頃は彼も
明日香の体に飽きて、滅多に抱く事も無いが、時々こうやって様子を見に
来るのである。
「ふ、古田君!」
明日香は古田を見るなり、白馬に乗った王子様を待ちかねていたような
笑顔を作った。彼の者に縋れば、今の状況もあるいは──そんな思いが
あった。

「お願い、古田君・・・何でも言う事聞くから、コンドームだけは着けて貰っ
て。お願いします」
生徒の男根を根元まで受け入れつつ、明日香は涙ながらに訴えた。この
ままでは、夫以外の子種で孕む事となる。人の妻として、それだけは何と
か避けたかった。逆に今まで、難を逃れて来られたのが不思議なくらいな
のだ。

「今日だって、もう三人目・・・実は今日、危険日なの・・・危ないのよ」
放課毎に娼婦の真似事をしているため、明日香の膣内はいつも若く新鮮
な精子が泳いでいる。それがいつ、実を結んでしまうかもしれないのだ。
いや、もう結んでいるかもしれない。そうすれば明日香は夫へ何と言えば
良いのだろう。まさか生徒に犯され、妊娠しましたとも言えまい。
「古田君・・・ううん、古田様・・・どうか、どうか・・・」
手を合わせ、必死の形相で頼み込む明日香。しかし、古田はにやつくだ
けで、何も言わない。

「おい、ユルマン。こっちに気を入れろよ」
「ああ、ごめんなさい・・・古田様、お願いです・・・お願いよう・・・」
生徒が尻を平手で叩くと、明日香は腰の動きを合わせつつ、古田を拝み
見た。もう他に頼るべきよすがは無いのだ。しかし──

「悪いが先生、俺はもうあんたに飽きてるんだ」
古田は踵を返し、トイレを後にしてしまった。そして、旧校舎全体に女教師
の悲鳴が響く。
「もう、いやあ!だったらせめて、古田君!あなた専用にして!私、もうこ
んな事は嫌なのよ!助けて!」
「黙れ、こいつ」
男根を挿入している生徒と、取り巻き達が明日香の頭を押さえ込む様子を
見て、古田は笑った。こちらも彼ら同様、女教師に対する憐憫の情は欠片
も無い。

「出来たっていいじゃねえか、先生。どうせ、ダンナともやってんだろう?」
「そんな!古田君、私、何でも出来るわ!あなたのために、精液も飲んで
あげられるし、お尻でもさせてあげるわ!だから、だから・・・」
明日香の語尾は、次第に小さくなっていく。今の状況がどうにもならぬ事を
悟ったのであろう、絶望すると同時に、その場へ倒れ込んでしまった。

「ちっ、このユルマン、壊れやがった」
生徒はトイレの床にくず落ちた明日香を案ずる事もなく、身勝手な射精を
行った。もちろん、子種はすべて膣内に放ってある。若く濃い精液だった。
「あはは・・・私、妊娠しちゃうわ・・・夫でもない男の・・・こ・・ども・・・」
明日香は何かぶつぶつと言っているが、すでに旧校舎を離れた古田の
耳には届かない。果たして夏を迎えるまで、この女教師は教壇に立ってい
られるのだろうか。その答えは、誰にも分からない。