深夜のファミレス、日付が変わったところ。
「はぁあぁ・・・」
俺は突っ伏して、意識は寝る方向だった。
ずるずるずるずる、ストローで飲み物をすする音がする。
席の向かい側に居るのは俺の姉だ。
俺がこんなところでうだうだする原因を作った人物だ。
2つ年上、天然バカ、俺を振り回す、以上説明終わり。
そう、いつも俺を無意味に引っ張りまわす。
・・・やっぱり腹が立ってきた。布団で寝たい。
「修ちゃんって自分がシスコンって思う?」
そんな俺の気分を知らずか、姉貴はストローを止めて唐突聞いてきた。
「なんだそりゃ。」
姉貴はこう、たまに意味不明だ。皮肉か?
「だって一緒に来たじゃん」
「いや、そりゃ姉貴が無理矢理引っ張ってきたようなもんだろ」
ほぼウソになる。家から逃げ出したい、という点で姉貴と意見が一致したからだ。
親父とお袋がまた喧嘩してうるさくて寝れなくて、姉貴がもぉ出るよっ!と手を引くので付いて来た、これが本日の流れ。
本人はその責任をどう思ってるでもなく、ストローをぐるぐる回しはじめた。
そうして俺はまた、しばらく何もせずぼんやりする。
意味ありげな言葉の後の沈黙は居心地が悪い。どうせ思いつきなんだろうが。
「それからさ、"ちゃん"づけをやめれって。イトコとかじゃないんだからさ」
こう添えてやったが、姉貴は全然聞かずにジュースの氷と格闘している。
姉貴が就職して家を出て、ほぼ1年。
思えばこんな風に2人で時間を潰していくのは久しぶりだった。
「・・・・あーシスコンかもしんないな、一種の強制的なやつな。」
次に俺がそう言うと姉貴が少し反応した。が、やはり無言のままだ。
こうしてまた無駄な時間が過ぎていく。

長い沈黙を破ったのは姉貴の方だった。
「修ちゃん出よ出よ」
「ああ?」
答えた時には姉貴はもう席を立っていた。
「ポテト、まだ来てないよ」
姉貴はレジで財布を開ける。
「もう食べました!」
そうだっけ?俺はこのまま夜を明かすつもりだった。
いまは、半分眠っている感じだ。姉貴の声が遠い。
「どーでもいいから行くの!」
なんだよ、さっきおなかすいたって姉貴言ったじゃんか。
手を引かれるまま外へ出る。
こんな時間なのに、大通りをでかいトラックが何台も走っている。
そのせいで姉貴の言葉が良く聞こえない。
「修ちゃ・・・・じかも・・・」
「ええ?」
聞き返す間もなく車に押し込まれる。
「なんて言った?」
「一回しか言いません!」
姉貴は突然、突っぱねた。やや乱暴に車が出る。
めんどくせぇ。早く寝たい・・

天井の模様が見慣れない。
そうか、田舎に帰ったんだっけ、いやそうじゃないだろ。
事態が飲み込めない。・・・なにがあった?
そっと上体を起こして辺りを見回す。
ちょっと小ぶりなワンルーム。
淡い色のカーテンから、朝日が差し込んでいる。
「だだーん!マイ・ルームでーす!」
突然、背後から声がした。
振り向くとバスローブ姿の姉貴が背後に立っていた。
なんとなく色っぽい白の、いやそんなことどうでもいい
「あねきんち?」
はぁ?


行き当たりばったりにもほどがある。
姉貴はあの後実家に戻らず自分のアパートに直行したらしい。
どうしてか、俺は車から二階まで歩いてきた記憶が無い。
姉貴いわく夢遊チックな挙動だったらしいが、そういう夢の記憶もない。
パンを食べながら、何とか頭の中を整理しようとした。
くそ、夜どうだったのか・・・シラフなのに・・・
そこで突然ひとつの疑惑が思い浮かんでしまった。
「ぶっ!」
いやいやいや!?
姉貴は「?」としている。
ムセるな、落ち着け。
朝、ベッドには枕の隣にクッションがあってそっちに頭を乗せてて・・・・
「・・・寝顔はかわいいのよね。」
姉貴が言う。こういうときだけ勘が鋭い。
「ちょっ、ばっ・・・まっ!」
姉貴は俺の頬をつつこうとしたが、その指を反射的に弾いた。
それを受けてムッとする姉貴。
俺はどっかに隠れたい気分だ。
「・・・・・。」
避けられたのが頭に来たのか、姉貴は机をバンと叩いた。
「まっ、とにかくおねーちゃんは出勤時間ですからね!」
姉貴は吐き捨てるようにしてそういうと、鞄を引っつかんで玄関に向かった。
「いやいや、俺は?」
われながらわけの分からない事を口走る。
「しらなーいっ!」
姉貴は戸口でいいーだ、の顔をしてドアを閉めてしまった。
コッチの都合を何も考えていないんだろうな。
くそ、そんなことより添い寝された・・・・

「・・・・。」
無言の圧力で目が覚める。
俺はテーブルに突っ伏した頭を上げた。
「修ちゃんずっと居たの?」
「いや、鍵持ってないのに出られるわけないだろ」
半分ウソ。帰るのがだるかっただけだ。
何をするでもなく寝たり起きたり、テレビを見たり、寝たり起きたり。
時計を見る。今は7時前。外は薄暗い。
「姉貴を心配した、てな風に解釈しない方がいいからな」
慎重に言葉を付け加える。
姉貴は困惑表情。どんだけポジティブなブラコンなんだ。
コッチの行動をやたらと好意的に取る傾向はいつになったら直るのか。
「ああそう。」
姉貴はとりあえずふん、と鼻を鳴らす。
そして、わざと思い出したようにスーパーの弁当を俺の前においた。
「安かったからストック用に買ったんだけど、食べていいよ」
「姉貴?」
声を掛けたが、姉貴は答えずキッチンに立った。
・・・この弁当については本当にそうなのか照れ隠しなのか分かりかねる。
「あねきー?」
俺は一日中みかんしか食べていない。選択肢なし。
「じゃあ、いただきます。」
弁当を手に取る。確かに表示価格の50%オフ。しかし具は鳥南蛮。
やっぱり俺のためだ。好きな食い物は純粋に嬉しい。
ふと姉貴を見ると、冷凍ご飯をレンジで解凍させていた。


夕食は思いのほか楽しいものになった。
最近の事情を話すだけなのにいつの間にか笑い話になっている。
こうして姉貴とバカ話で盛り上がるのは久々だった。
思えば姉貴が居なくなってから、俺の家から笑いがほとんど途絶えていた。
なんでだろう、こうも楽しいのは。


俺はかれこれ5分はシャワーを浴び続けている。
このあとどうすりゃいい?
そりゃ、普通に考えれば家に帰るんだが、それはいやだ。
ここに泊まるかって言うと、姉貴に何されるか分からない。
そうだ、漫喫か何かで夜を明かそう。
さっさと出ないとまずい。
これで次の行動がまとまった。俺は蛇口をひねった。
水がピタッ、と止まった瞬間だった。


なんか違う。
自分にウソついてる。
俺は家に帰りたくないから仕方なくここに来たんじゃない。

・・・・・・・・姉貴と一緒に居たいんだ。

今日一日中、もやもやしていた気分がすっきりした。
俺は姉貴が好きだ。コレまでのおかしな行動全てはそういう理由だった。
最も単純なことなのに、自分を捻じ曲げて考えないようにしていただけ。

自分に素直になった。

風呂から出ると、姉貴はテーブルに寄りかかりテレビを見ている。
チャンネルはニュース。でも、ほとんど頭に入っていないようだった。
姉貴が口を開いた。
「姉ちゃんね、自分でもわかんなかったことが分かったの」
ぼそっ、と視線をそのままに話し出す。
「なんで修ちゃんをここまで連れてきたのか、ってこと。」
考えてることは同じだった、ってことだろうか。
ぽちっ、ぽちっという音が部屋に響く。
床の新聞紙に、染みがいくつか出来ていた。
「結構寂しかったみたいね、修ちゃん居ないと。気が付かなかった。」
姉貴が振り向いた。バラバラと涙をこぼしている。
俺は姉貴に詰め寄った。
「修ちゃん・・・」
一瞬の躊躇の後、どちらからでもなく抱き合った。
姉貴がうでをぎゅっ、とまわしてくる。
・・・姉貴の温かみと鼓動を感じる。
「姉ちゃん好きだ」
とっさに、何の抵抗もなくこんな言葉が出た。
今なら言える、と思ったのだろうか。ずっと言えなかった言葉だ。
文字通り心の奥にしまって忘れていた。俺は昔から姉貴が好きだった。
それも恋愛感情として。


姉貴の方ももそれを感じ取り、始めのうちは好意的に受けていた。
買い物に行ったり、テーマパークに行ったり・・・2人だけの時間は、ハタから見ればただのカップルだったろう。
しかし、”姉弟”という縛りは拭えない。
好きだと面と向かって言うことも出来なかった。
血を分けた同士の恋愛は社会的に認められるものではないからだ。
その窮屈さに押され、姉貴は大学を卒業するとすぐに家を去った。
がらんとなった部屋の虚脱感。いつでも会えるという言葉の嘘。
無意識に耐えていた。俺も、姉貴も。


「私も・・・修ちゃんのこと好きよ」
少し身体を離し、間近に見つめ合う。
「姉貴・・・・?」
言い終わらないうちに、すっと唇で塞がれた。
甘いような、高揚感の塊が口から身体へ流れていく感覚。
自然に力が抜けていく。姉貴は背中からベッドに倒れこんだ。
俺もそれに釣られてベッドにひざを付く。
姉貴の髪が放射状に広がった。
姉貴は下から、俺は上から覗き込むように。
しばらくそのまま見詰め合った。
一分、二分、涙目の姉貴と目を合わせる・・・・
と、姉貴は涙をぐいぐい、とぬぐった。
「えへっ、えへへっ、うん、私ちょっとおかしいよね」
無理してにっ、と笑う姉貴。
唐突に湿っぽい雰囲気が飛んだ。自然に笑いがこみ上げてくる。
「姉ちゃん、可笑しいよ」
「あはははっ」姉貴も笑う。

俺と姉貴はベッドの上でじゃれあいながら、気楽なエロトークを繰り広げた。
初エッチの話、失敗談、一人寂しい時にする行為。
バカ丸出しの会話だ。だがそれがいい。
しかし俺のオカズ話あたりで、場の空気が少しずつ変わっていった。
「そりゃまぁ、AVとかエロ本とか・・」
「修ちゃんのフケツ!」
「不潔な事ねーって!それ以外に何があるよ!」
「あたしを考えたことは?」
時間がギシッ、と止まったようだった。
ちょうどその時俺は仰向けで、姉貴が覆いかぶさる形になっていた。
「うんまぁ・・・あるよ」
「じ、じゃあ今・・・・は?」
姉貴の息が俺の頬にふっ、と当たる。
周りの温度が一気に上がったようだった。
「どうなの?」
今気が付いたが、姉貴は俺の股間に太股を押し付けていた。
そして、胸が目前に迫る。
「修ちゃん、ちょっと見せてほしいな・・・」
耳元付近でそう語りかけた姉貴は、そのままズボンのベルトに手をかけた。
「おいっ、姉貴待てって・・・」
抵抗らしい抵抗が出来ない。
姉貴は上体をずらし、俺の股間を凝視する。
「修ちゃんがちっちゃい頃はいつも見てたんだから」
あっという間にベルトを解かれ、下着ごとズボンを下ろされた。
「・・・・いつの間にかこんなになってたんだ」
空気に晒された陰茎は、半ば勃起しているようだ。さっきの口付けの余韻だろうか。
「姉貴俺ハズいから・・・」
「べつに恥ずかしくないったら姉弟だし」
姉弟でこんな上体なのがおかしい。
俺は逸らしていた視線をそっと戻した。
姉貴は俺のモノに手を伸ばしているところだった。
指が触れる。少し冷たい。そのひやりとした感覚に思わずぴくっと反応してしまう。
「ねーちゃん?」
すぐに根元付近を握られ、振り回すようにもてあそばれる。
「ふっふ〜ん、まだまだかなぁ?」
・・・だんだん、硬度を増してきたようだ。
とにかく姉貴の視線が陰茎に集中している。恥ずかしいような、くすぐったいような感覚。
「どうしよっかな〜・・・・・よしっ」
姉貴は髪を掻き揚げると、俺のそこに顔を近づけていった。
「ちょっ、ねーちゃ・・・?!」
ふっ、と息をかけられる。陰茎が跳ねるように反応した。
「元気いいかんじ・・・」
姉貴は俺の様子を面白がりながら、湿った空気を当て続ける。
ふっ、ふっと風感じるたびに、陰茎の角度が上がっていった。
「じゃあ、こうしちゃおう!」
さらに顔を近づけ、姉貴は舌先で先端をすっ、と舐めた。
一瞬姉貴の粘膜の温もりを感じたとたん、電撃のようなしびれが背中を走った。


そうして、姉貴と俺は徐々に裸になりながら、交互に愛撫を返した。
お互いの性器を指で、口で刺激しあいながら興奮を高める。
やがて全ての衣を脱ぎ捨て、唯ひとつの行為へと向かっていった。
「修ちゃん・・・」
姉貴が目で訴えてくる。俺はそれに無言で頷いた。
血の繋がった中では決して許されないはずの、生命の営み。
でも俺はいまさらブレーキが利くとは思えなかった。
俺は床に落ちていたズボンから財布を取り出す。
「こういうことはちゃんとしなきゃな・・」
そう言って財布からコンドームを取り出す。入れておいてよかった。
「そか、それに今あたし生理前か・・・・ごめんね、ありがと」
姉貴は上体を起こして俺に言った。
「・・・あやまることねーって」
「じゃ、かして。やったげる。」
姉貴は俺のそこを掴むと封を切ったコンドームを亀頭にのせ、くるくるとかぶせていく。
その慣れたような手つきに少しだけ嫉妬心が沸いた。
さっきは聞きそびれたことだが、姉貴の経験も多少は気になる。
ゴムを付け終ると、上体を起こそうとした俺を姉貴は制止した。
「ううん、修ちゃんは横になって」
言われたとおり仰向けにねそべる。
・・・姉貴は自ら俺にまたがってきた。
「お姉ちゃんが・・・入れてあげるから」
膝立ちなって腰を浮かし、姉貴は陰茎を掴んで自らの入り口に導く。
先端が姉貴の膣口を捕らえた。
そろそろと腰を落としてくる。
硬く膨張した陰茎が、膣にゆっくり埋まっていく。
「ああっ・・・入って、きたっ」
陰茎がねっとりとした温もりに包まれた。
「うっっ」
姉貴は前かがみに崩れ、俺のわきの下に手をつく。
「ふぅっ、しゅ、修ちゃんどぉ?」
「どうって・・」
言葉で表現できない。姉貴の中はとにかく、熱い。
そろそろと姉貴の腰が前後しだす。
「姉貴・・・ヤバイそれ・・・」
ゴム越しとはいえ、ぬるりとした膣壁が陰茎を締めあげてくるのが分かる。
「あっ・・・ん、んっ」
姉貴は目を閉じ、何かを探っているような表情をしている。
「んあっ・・・これ・・・あっいっ」
上下のグラインドが大きくなった。押し付けるような動きから、陰茎をしごく律動に変化していく。
「ふっ、んんっ、んあぁっ、やっ、あああっ」
一定のリズムで姉貴は跳ねるたびに声を大きくする。
「あっ、ああっ、はんっ、んんん」
上下のペースがだんだんと上がり、たまに回転するような動きも加わる。
「うっ、んんっ、あっいいっ、イイのっ」
姉貴が腰を回すと、陰茎の根元がぐりぐりと圧迫される。
俺は姉貴の腰に手を添えて支える。長い髪が俺の顔に垂れた。
「あっ、これっ、あぃっ、んっ」
俺も腰で持ち上げるような動きを加えた。
「いい、もうちょっ・・・ああっ、くぅっ!?」
姉貴はひときわ大きな声を上げると、ふらりと俺に倒れこんだ。
身体がぴったりと重なる。2人とも息が荒い。
姉貴は軽くイッたようだ。
「なんでこんな、すごく、イイの・・・」
「俺もだよ・・・姉ちゃん」
一旦陰茎を引き抜き、ぐったりした姉貴を隣に寝かせた。
身体が熱い。息を整えながら、俺は今自分が支配された未曾有の興奮に戸惑っていた。
姉貴は俺にキスを求め、俺はそれに答えた。
胸に触れたり、抱きしめたり、しばらくはそうしてゆるい接触を楽しんだ。


「修ちゃんさっきの、すごい良かった・・・」
姉貴は感心したように言う。妙に冷静になってしまった。
「俺も・・・姉弟だと相性とかがいいのかな・・」
「違う違う、心のそこから愛し合ってるからよ」
ロマンチストな姉貴。でも今は異論はない。
そのうち姉貴と両手両足を絡みあわせ、身体を擦り付け始める。
再び興奮が高まって来た。
俺は半身を起こすと上下逆さまに寝そべる。
「姉ちゃんのここ・・すごいことになってる」
「やっ、バカっ・・・」
姉貴のそこは、行為前に指で愛撫した時とは比べ物にならないほど潤っていた。
陰唇は大きく開き、膣口から粘液が溢れ出ている。
俺はそこに顔を近づけ、舐め始めた。
「やっいっ!あっっ・・・」
ぴくっ、と姉貴が反応する。
舌に粘液を絡ませ、クリトリスを突付く。
「あっあっ・・・もぉっ・・」
そう言って姉貴は俺をまたいでで四つんばいになると、俺の陰茎を掴んだ。
姉貴はコンドームを外し、素になった俺の亀頭を口に咥える。
俺は舌を膣に侵入させて、中の粘膜をこすり付けるように舐める。
姉貴も舌で陰茎の鈴口にねじ入れるような刺激を繰り返す。
そうこうしているうちにだんだんと刺激が激しくなり、
いつの間にかお互いの本能に再び火がついていった。
「んんっ・・うんっ、んぅぅう」
姉貴の喘ぎが陰茎に響く。
「んむぅ・・んんっ、はぁっあっ」
とうとう姉貴は音を上げた。陰茎を口から離し、快感に身を任せる。
「あっ、はぅんっ、いっ・・くっ」
姉貴の身体が跳ね、俺の上に倒れこんだ。
「はぁあっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、」
姉貴は身体を回して俺に抱きつき、唇を押し付けた。
舌が絡み合うディープキス。姉貴の荒い息と共に興奮が俺に伝わってくるようだった。
絡まったまま姉貴が横に倒れこんだ。俺が上になり、姉貴を覗き込む形になる。
「ねえちゃん・・・」
一瞬、時間が止まったようになった。呼吸だけが響く。
これから起きることが、なんとなく察知できた。

「修ちゃん・・・」
姉貴は片手を俺の頬にあてた。
「修ちゃん私のこと好き・・・?」
「うん、大好きだよ姉ちゃん・・・」
身をかがめてもう一度キスをする。
唇を離すと、唾液が糸を引いていった。
「修ちゃん、・・・またひとつになろ?」
「でもゴムが・・・・」
コンドームはさっき外されてしまった。予備は持ってない。
でも俺はコレで終わりたくなかった。
姉貴は手探りで俺の陰茎を掴んでくる。
「いいの、いいからこのままで来て・・・・・・。」
正直、俺も姉貴との交わりを薄いゴム一枚に隔てられていたくなかった。
腕を引かれるまま身体を寄せていく。
「ねえちゃんこのまま挿れるからね・・・?」
膣口の粘膜と、亀頭が直接触れた。さっきとは明らかに違う熱気を先端に感じる。
「きて、はやくっ・・・・」
そのままゆっくりと挿していった。膣が押し広げられて、粘液が包み込む。
「ひっ」
腰を進めていく途中で、姉貴が声を上げた。
俺も同じタイミングでピリッとした刺激に襲われた。
根元まで埋まる。恥骨が重なり合った。
「ああっ・・修ちゃん・・・・来ちゃったね・・・」
「うん、姉ちゃんとひとつになったよ・・・」
膣壁の襞と陰茎の溝が隙間なく密着し、奥まで嵌っているようだ。
ゴムに隔てられていた時とはまるで違う。襞がうごめくのを直に感じる。
「ねぇ・・・・・」
「・・・わかった」
ゆっくり、腰を引く。引き戻されるような力が働き、ずるるっと肉の襞にしごかれる。
「んんんっ、うっああっ」
膣から染み出した粘液が絡みつき、いやがおうにも律動のテンポが上がる。
「はっ、んいっ、あっぅ、あっあぁぁっんああっ」
怒張した陰茎の鈴口はぱっくりと開き、少量の透明な液体を噴出させていた。
「あっはぁっ、はぁはぁ、はぁぁっ、あっ、はっぁ」
姉貴の膣はきゅっ、きゅっと抜き差しに連動して陰茎を締め上げ、俺に快感を送る。
「はぁっあ、はぁ、はぁあっあっっうんん、はぁっあぁぁ」
そのうち、先端が奥のへこみらしきものを探り当てた。
「あっあっ、そっ、そこっ、いいかもっ・・・」
姉貴が激しく反応する場所・・・子宮だろうか?
俺は腰の位置を変え、入念にその部分を突いた。
「あひっ!?あっすごい、いっあっ、んんんっっうぅぅっひっ」
突くたびに、姉貴はびくっびくっと上体を逸らす。
「ひぃあっ、あんっつぁぁあ、はっはっ、あああっ」
姉貴はこの刺激に陶酔しているようだが、やる方の快感も半端ではない。
性交の終着点に向かって、すでに陰嚢は徐々に縮まり始めていた。
姉貴は両手両足で俺の背中にしがみついていた。

「俺、も、もう出るかも・・・」
俺は限界を感じ取って言った。もう何分も持たない。
「ふぅっ、あたしも、も少しで、いっ、イけそう・・・」
「ねえちゃん・・・」
腰の動きを緩める。お互いの息は荒いままだ。
俺は姉貴がいとおしくてたまらなかった。
終わりたくない。このままずっとこうしていたい。
身体をかがめて口づけをする。
「んっ・・・」
俺はこの状態のままでは自分にブレーキが利かなくなりそうで怖かった。
「姉ちゃん、最後は口で・・してくれるか?」
姉ちゃんに迷惑をかけることは出来ない・・・そう思った。
俺は陰茎を抜こうと状態を上げた。が、姉貴は俺の腕を掴んで止めた。
「修ちゃんいいから・・・」
「えっ・・・」
意外だった。生理前を気にしていたから、当然外出しを求められると思ったからだ。
「繋がったままで一緒にいこう?」
姉の胎内に精を放つ事がどういった意味を持つか。興奮の中でもそれは理解できた。
「そっ、そんな事したら出来ちゃうって・・・」
視線を結合部に移す。陰茎は根元まで入り込んでいる。
亀頭の感覚は今、先端が子宮口を捉えていることを告げていた。
このまま射精したら、かなりの確立で姉貴は・・・・
「でっ、でも・・・」
躊躇する俺を見て、姉貴は陰茎の収まっているお腹に手を当てた。
「お願い、修ちゃんとずっと一緒にっ、なりたいから・・・」
そして、子宮があるあたりをさすりながら、こう言った。
「修の赤ちゃん、私欲しいから・・・」
俺はそこで、やっと理解した。
姉貴は俺を気遣って射精を許してるわけじゃなかった。
姉貴は俺への愛情に、子供を妊娠するという本能を突き動かされていた。
「ずっと一緒に居よう、一緒に暮らそう?」
姉貴はまた涙ぐんでいた。
「愛してるよ、ねえちゃん」
俺はその言葉しか出なかった。
背中に絡んだ姉貴の足が俺の腰を押しもどす。
「お願い・・・・」
覚悟が出来た。再び抽送を始める。
さらに深く侵入するように押し込む。
「ああっ、修ちゃ、んあぅっ、ああっ、」
膣はより内側へ引き込むようにうねっている。
俺は押し付けるようにしてさらに強く子宮を刺激してやる。
「あああっ、んうぅぅぅっ、ああっ、はぁあぁあっ、はぁんあっ、」
ぐぼっ、と先端をめり込ますようにして子宮口を押す。
「んひぃぃっ!?ああっ、ああぁぁぁぁあっ、あっ、くぅうっうん」
始めはただのへこみだった子宮口が、幾たびもの突きで広がっているように感じる。
「いいっ、いいよぉ、はっあっぐぅぅっ!?、あぁっあぅぅうっ」
俺たちの行為はもはやセックスから”生殖”へと変わっていた。
「ああっ、ああああっ、修ちゃん、修ちゃん来てっ」
・・・・限界が見えた。

「姉ちゃん出すよっ」
射精の瞬間、一気に奥へ突いた。
「っ!」
陰嚢が一気に収縮し、精液が噴き出した。
「ひぁッ!」
子宮口へ密着した状態を保ったまま、俺の陰茎はどくどくと脈打ち、子宮へ次々と精液を流し込んでいく。
「熱いっ、来てる・・・」
その間も膣は陰茎を絞り上げるようにして締め付け続ける。
「はぁっ、姉ちゃん、はっ」
陰茎の中をゲル状のかたまりがズルッ、ズルッと押し出される感覚。
糸のように固まった濃い精子の塊が、次々に姉の胎内へ注ぎ込まれる。
「いっ、はっ、はぁっ、」
最後の一滴まで出し終わると、倦怠に似た快感に襲われる。
「はぁっ、はっ、ふぅっ、」
俺は姉貴に覆いかぶさった。
「ほんとの意味で、ひとつになれたね・・」
姉貴はそっと俺の頭を撫でた。


長い脈動がやっとのこと収まりつつある。
俺は姉貴と絡めあっていた手足を解き、上体をあげた。
「ふうっ、はぁぁ・・・・」
姉貴が潤んだ目で俺を見てくる。
全身を艶やかな汗で覆われた姉貴は美しかった。
自分のしたことに後悔はない。ただただ、姉貴が愛しい。
ふと下腹部に目をやると、そこはしっかりと繋がりを保ったままだ。
俺の一部が姉貴の中に埋まっている。不思議な感覚だった。
名残惜しかったが、俺はゆっくりと腰を引いた。
「うんっ・・・。」
ぬるっ、と陰茎が抜ける。鈴口と膣口の間に白い粘液の筋がひく。
膣から流れ出ている透明な粘液の中にも、白濁が見て取れた。
間違いなく俺の精液だ。
「修ちゃん・・・」
姉貴がまたこっちを見る。俺はその横に寝そべった。
「姉ちゃん俺、愛してるから・・・」
「うん・・・・」
微笑んで答える姉貴に、俺はキスをした。


3,40分経っただろうか。
俺は姉貴と身体を絡めたまま眠りにつこうとしていた。
愛情とも安堵ともいえない幸福感で意識がゆっくり遠のいていた。
ふいに、姉貴は上体を起こした。
「・・・・?」
俺は睡魔から少しだけ戻される。
薄目を開けると、姉貴はぐっと伸びをしていた。
「よっ!・・・ふぅーっ」
「・・・寝ないの?」
俺は半分寝ぼけたままだ。
「ちょっと汗かいちゃったからさ、シャワー浴びよっかなって。」
そう言って姉貴は俺を見おろした。
ルームライトに陰影付けられた姉貴の上半身がこちらを向く。
形のよい乳房が曲線美を作りだしていた。
「お、おう」
俺はなんとなく寝返りをしようとしたが、そくざに腕を掴まれた。
「だから、修ちゃんも一緒に入ろ!」
「え?うわっ」
俺は引っ張られるようにしてむりやりに起こされた。
「ほら、しゃんとしなさいって」
「いいじゃんか別に・・・」
バタバタと浴室まで引きずられる。
2人ともすっ裸だったが、俺はまだ眠いせいか羞恥心は感じなかった。
姉貴は風呂場のドアを閉め、シャワーの蛇口をひねった。
浴室のお湯電源は入っていない。当然水が出た。
「うわっ!」
「きゃっ!」
冷水を引っかぶり、俺はやっと目が覚めた。
「つめたぃぃぃぃいい!」
姉貴はそう言いながらも即座にお湯へ切り替える。
「ひゃぁぁ、冷たかったぁ」
湯気が立ち込める。しかし、温まっているのは姉貴だけだ。
「寒いから早くシャワー貸してくれ!」
俺は冷水をかぶったまま。
「ちょっと狭いんだからぁ!暴れない!」
姉貴は笑っている。もしかしてワザとなのか?

「ふぅーっ」
姉貴は頭からざぁーっとシャワーを浴びている。
俺はやっと沸いた湯船につかりながらその様子を見ていた。
お湯は体の曲線に沿って流れ、鈍い光を反射している。
こうして見るとやっぱり姉貴は綺麗だ。
「昔はさー、こうやってよく一緒に風呂入ったけどね」
俺は欠伸をしながらそう言う。
「そうね・・・いつから入らなくなったのかしら」
大体俺が小学6年生ぐらいの時だろうか。
見慣れていたはずの姉貴の姿が急に色っぽく感じて、なんとなく恥ずかしくなったのだった。
それから俺は、自分から一緒に入るのを拒むようになった。
「ふぅー、さっぱりした」
姉貴はキュッとシャワーの蛇口を止める。
「修ちゃんあたしも入っ・・・・」
ふと、姉貴の動きがぴたりと止まる。
視点は湯船の中の俺の股間に集中していた。
俺はまったく気が付いていなかったが、そりゃあ女の裸を見続けていればそういう反応も起きるというものだ。
「あらら・・・」
姉貴はニヤリとした。
当の俺は、この状況下で恥ずかしがっていいのかどうかわからない。
「まだ、し足りないのかなぁ・・?」
いや、やっぱり恥ずかしい。多分俺の顔は真っ赤だ。
姉貴は浴槽に寄りかかって、お湯に手を入れた。
湯の中で、姉貴の白い手が俺の陰茎に触れる。
「元気さんなんだから・・」
誘導されるままに俺は湯船から上がり、浴槽のふちに座らせられた。
姉貴は俺の股間の前でひざをつく。
再び、俺の大事な部分をまじまじと見つめられる。
「動かないでよ・・・」
姉貴は陰茎の先のほうをを掴んだ。
「うっ・・・」
姉貴は人差し指で先端をぐりぐり刺激する。
笠を引っ張られ、痛みとも快感ともつかない微妙な痺れを感じる。
「かわいい顔しちゃって」
そう言うと姉貴は空いた手で陰嚢を揉み始めた。
「ぐぅっ・・・」
なんともいえない感覚に、思わず俺は呻いてしまう。
「ここ、この中に精子って入ってるんだよね・・・」
そういって精嚢の片方をぐにぐにと弄ぶ姉貴。
「そっ、それやばっ・・・」
腰が震えるぐらいの快感。
「こっちはどうかなぁ・・?」
もう片方も手のひらで包むように揉まれる。
つられて陰茎がびくっ、びくっ、と跳ねてしまう。
「修ちゃんの精子、どっちもまだ沢山入ってるみたいねぇ・・・」
姉貴は陰茎のほうに顔を近づけ、舌先で愛撫しはじめた。
ちろっ、ちろっと鈴口を舐められる。
「ちょっ、ねえちゃん・・・うぅっ」
姉貴が鼻で息をすると、湿った空気が先端にかかる。
舌が笠の付け根に入り込み、皮の張った部分を刺激する。
「ぐっ、ぐぅ・・」
姉貴はそうやって舐めている間も、陰嚢を揉む手は止めない。
俺はこの快感にそう長く耐え切れそうになかった。

「ねえちゃん・・も・・待って」
「ん?」
俺は姉貴の口から陰茎を離した。
どうしても姉貴に任せたまま俺だけ達することは出来なかった。
「ここに手、ついて」
俺は姉貴の腕をとり、バスタブの縁を掴ませた。
「え?修ちゃん?」
俺は後ろに回る。お尻をこちらに向かせる形だ。
「やだっこれ、なんか恥ずかしい・・」
急に恥じらう姉貴をよそに、俺は姉貴の秘部をまじまじと見つめる。
湯や汗とは違う、粘り気のある液体が染み出している。
が、陰唇はいまだ閉じられたままだった。
「姉ちゃん、力抜いて・・・」
すっ、と指で溝をなぞるように動かす。
「ちょっと、修ちゃん待ってっ・・・んんっ・・・」
閉じた花弁がゆっくりと開きはじめる。
「あっ・・・」
姉貴が小さな声を発した。
とたん、膣から濃く白濁した粘液があふれ出す。
独特の匂いがあたりに広がった。
「姉ちゃんこれ・・・」
この粘液が姉貴から分泌されたものではないことは明らかだった。
「出ちゃった・・・」
膣口から糸を引いて床に垂れている液体は、まぎれもなく精液。
「修ちゃんの、こぼれちゃったら赤ちゃん出来ないでしょ・・・」
姉貴は俺の精子を胎内に溜めたままにしようとしていたのだった。
そうやって、受精率を高める努力をしていたのだ。
寝ているときも、さっき起こされたときも、フェラしていたときも・・・。
俺は何かにに突き動かされるように、怒張した陰茎を姉貴のそこにあてがった。


「ちょっと・・・ここで入れっ・・・」
急な出来事に驚く姉貴をよそに、やみくもに先端を挿しこむ。
亀頭を包み込むように陰唇が締め付ける。
「あぅっ・・・修ちゃん落ち着いてっ」
身をよじろうとする姉貴の背中を押さえつけ、ぐっと深くへ侵入していく。
「ねっ、修ちゃ・・・ダメだってぇ・・」
こんな所で性交することに違和感があるのか、姉貴は慌てた様子を見せている。
「動かないで・・・」
俺がそういうと姉貴は抵抗をやめた。
陰茎は閉じかけていた膣壁を拡げ、やがて根元まではまり込んだ。
「姉ちゃん、また全部・・・入ったよ」
今の姉貴の中は、湿り気が少ない分締め付けが強い。
「こんなとこ、で、っう・・・バックなんて・・・」
ゆっくりとグラインドを始める。
「まっ・・うっ、んんっ、はぁっ、」
突くときは慎重に、引くときはカリを引っ掛けるようにして抽送を繰り返す。
強めにこすれ、少し痛みにも近い快感が背中をゾクゾクと這い上がる。
「はぁ、あっ・・あぅっ・・あぁぁっ、んはあっ」
姉貴はあきらめたのか、だんだん艶っぽい声を発し始めた。
「姉ちゃん・・すごい・・・」
徐々に粘液が分泌されてきたのか、先端に絡みつくようなぬめりを感じはじめた。
「すこし・・早めるよ」
そう言って俺は背中を押さえていた手を離し、姉貴の腰の辺りをつかんだ。
「あっ、まって、うぅん、あっあっあっあっ!」
狭いバスタブの中で、ぱんぱんと恥骨のぶつかり合う音が響く。
「はっはっはっ、はぁっ、あっ、はっはっ」
動物が本能にしたがって交尾するように、がむしゃらに腰を振った。
ふと下のほうに目をやると、重力でゆれる乳房が視界に入る。
俺は腰を振り続けたまま身をかがめ、両方の乳首を摘んだ。
「あいっ・・!」
姉貴は突然の刺激に上体を逸らし、小刻みに痙攣した。
その痙攣が陰茎に伝わり、断続的な快感をもたらす。
同時に陰茎からは先端に吸い付くような感覚を伝えてくる。
「あっ・・当たって、る、んっ、あぅっ、あぁぅっ」
姉貴の子宮が再び下がってきていた。
俺に子種を求めるように、
「だめっ、あたしまたイッ・・・・!」
姉貴はバスタブに寄りかかるようにしてぶるるっと身震いした。
「はぁあっ、あぁぁぁあっ、ああっ、はっ」
きゅぅぅっと膣が締まり、俺はその刺激に耐えることができなかった。

「俺また出っ・・・!」
俺は最後の力を振り絞って最奥まで突いた。
その勢いで先端が子宮口をこじ開けた瞬間、射精が始まった。
「うあぁぁぁっ!!」
粘液というより半固体のような塊が精嚢から無理矢理押し出される。
白い糸屑状のそれこそが膨大な量の精子であり、粘液とともに狭い尿道を通っていく。
ずるるっと陰茎の奥から太い糸を引っぱり出されているような感覚。
「んあぁっ、すごい来てるっ・・」
吐き出された精子はまだ溜まっていた先の精子と混ざり合い、活発に働き始める。
「うっ・・すげっ・・気持ちいっ・・・」
どくっ、どくっと陰茎が波打つたび、快感が何度も背中を貫く。
自分の遺伝子が詰まった体液を、姉貴の胎内へと注ぎこんでいる。
この血を分けあうという行為そのものに、俺は強烈な快楽を感じていた。
「はっ、はっ、はぁっ、はぁっ、」
二人とも、その場に崩れ落ちるようにへたり込んだ。


風呂場にはぜいぜいと息を吸う音だけが響いていた。
熱気が立ち込める中、これだけ動いたわけだ。二人とも、相当体力を消費していた。
「はぁっ、こんな、凄いなんて・・・」
先に言葉が出たのは姉貴だった。
床にうつ伏せで重なった俺と姉貴は、真っ白の状態から意識を取り戻しつつあった。
「ね、姉ちゃんに、また・・・」
姉貴の中の陰茎がときたまびくっと跳ねる。
射精直後でありながら、興奮はまだまだ収まりそうになかった。
「ちょっと・・・起き上がるから・・・」
そう言って姉貴はひざをつき、四つんばいになって立ち上がろうとした。
「あっ・・ちょっ・・・」
俺はつられて腰を持ち上げた。
とたん、膣壁が強くこすれる。
「んっ!」
この刺激が、射精後の鈍い感覚を一瞬にして快感に変えた。
姉貴はへなへなと力なく崩れてしまう。
「んっ、ちょっと、もう抜いてって・・」
そういいながらも、言葉とは裏腹に姉貴の胎内は再び熱を上げつつある。
まだ、物足りない。
俺は姉貴の背中に顔をうずめて、後ろから腕を回した。
「姉ちゃん・・・まだ俺・・・離れたくない・・・」
少しでも離れることが嫌だった。
「もうっ、ベッドに戻るから・・・一度抜いて?」
でも姉貴はまた俺と繋がってくれる。
「わ、わかったよ」
俺は膝立ちになった後、少しずつ陰茎を引き抜いていった。
精液と膣液が交じり合った白っぽい粘液が、結合部からじわりとあふれ出す。
カリが膣口のふちを押し広げたとき、姉貴の体がビクッと痙攣した。
「んっく・・」
やがて、つぽっ、という艶やかな音と共に陰茎が外れる。
間髪を入れず膣口から濃い粘液があふれ出してきた。
「また・・こぼれちゃう・・・」
姉貴はそう言いつつもゆっくりと立ち上がる。
「姉ちゃん・・・」
座り込んでいる俺に向かって、姉貴は手を差し伸べた。
「修ちゃん、行こう」


俺は姉貴は競うようにベッドに倒れこんだ。
深く、キスをする。
通算三度目の興奮に俺は軽く眩暈がした。
「んんっ・・・」
繋がった唇のなかで、舌と舌をすり合わせる。
体を絡めあいながら、徐々に体制が変わる。
「ぷぁっ・・・」
口を離す頃には、俺は姉貴に覆いかぶさっていた。
「修ちゃん、もう一回・・・」
姉貴はそう言うと俺の肩に両手を掛けた。
じっ、と見つめられる。
「また・・挿れるからね?」
「うん・・」
勃起は全く失われていない。
それ見もしていないのに、ほんの少し腰を動かすだけで先端が膣口を探り当てた。
「あっ・・・」
姉貴も俺との接触を感じている。
そのまま前に進み、腰を割り入らせていく。
十分すぎるほど濡れた姉貴の膣は、ほとんど抵抗のないまま俺を迎え入れた。
「っ・・んっ・・・・」
陰茎はすんなりと奥まで、子宮口の手前に到達した。
というより、"元の位置に戻った"ような感じだ。


――――――――
そのとき、胎内では受精に向けた準備が着々と進められていた。
3時間前に射精された最初の精子群はすでに卵管へ進入、受精の場である卵管膨大部にまで進んでいた。
その先の卵巣の中には、成熟しきった卵子が排卵の時をじっと待っていた。
――――――――


「んあっ、やっ、修ちゃん、もうちょっと、優しくっ・・」
俺は無我夢中で抽送を繰り返す。
閉じかかっていた子宮口を何度も突き、再び入り口を広げていく。
「いっ、んんっ、はぁぁあっ、んんっ、」
緩んでいたと思われた膣はだんだんと収縮し、陰茎全体を締め付けはじめる。
「ちょと、はあっ、これすごっ、ああっ、ああああっ」
二人のペースはどんどん上がっていく。
「くうっ、姉ちゃん、俺止まらない、みたい」
精液なのか膣液なのか、泡立った粘液が結合部から噴き出す。
「だめっ、だめ、んっ、ああっ、んぃぃぃぃっ!」
姉貴の体がぴんと反り返り、小刻みな痙攣を起こす。


――――――――
このとき限界まで引き伸ばされた卵巣の表面がついに破れ、卵子が外へと放たれた。
この先が精子で満たされていることを知ってか知らずか、すぐさま卵管内へと取り込まれていく。
――――――――


「ううっ・・・ああっ、あっ、はぁんぁ」
跳ねる体を抑えるように、俺は姉貴の腰を両手で押さえた。
恥骨同士がぐっ、ぐっと鈍くぶつかり合う。
少しだけ挿入が深くなり、弛緩しきった子宮口に亀頭がめり込む形になる。
「あっ!やはっ、あああっ、ひゃあぁぁっ!」
腰を押し付けるたびに、ぐぽっ、ぐぽっと何度も吸着を繰り返す。
この新しい刺激に、姉貴はすぐ反応しはじめた。
「ふぅっ、んっんっ、うぅんぁはっ、はぁっ、あああああっ!」
射精の予兆が、ぞくぞくっと背中を駆け上った。


――――――――
卵子はやわらかな繊毛に運ばれて、目的地点である卵管膨大部に到達した。
そこには既に100匹ほどの精子が居たが、すぐ近くの何十匹かが卵子の匂いを嗅ぎ付け、一斉に卵子を包囲する。
そして、殻を破るべく頭を突きたて始めた。
――――――――

「俺っ、また出そうっ・・・・ぐっ」
「はぁっ、はっ、うん、あっ、だっ、出して、いぁあぁぁっ」
俺は姉貴に覆いかぶさった。
左耳のすぐそばから、姉貴の荒い息が聞こえてくる。
「姉ちゃん、俺っ、愛してるからっ」
姉貴の頭を抱きかかえ、俺は言った。
「ふあっ、あぁっ、わたしも、っん、あっ、うううっ」
答える代わりに足を再び俺の腰に絡みつかせてくる。
「いっ、いきそっ、んんっ、あああっ、ひゃぁあぁっ」
実姉と性交している、などといった罪悪感はとうに吹き飛んでいた。
今はただ、愛する人と子を成す行為に没頭しているだけだ。
「しっ、修ち、んんんっ、あぁぁっ、修ちゃんも、一緒にっ、ああっ!」
ぎゅっ、と姉貴に抱かれると同時に俺は達した。
「うぁあっ!」


――――――――
子宮の入り口付近で射精が始まったそのとき。
卵子を取り囲んでいた精子の一匹が外殻を溶かし、頭部を突っ込んだ。
すぐさまDNAを注入させられた卵子は、瞬時に外殻を変質させる。
この瞬間、卵子は受精卵となった。
――――――――


「いっ、あぁああぁあっっ!、ああっ・・」
姉貴も一歩遅れて達する。
その間にも、子宮内へびゅくっ、びゅくっと精液が噴出していく。
先ほどより僅かに粘性が低いが、その分勢いは強烈だった。
「ああっ、出てる、修ちゃん・・・」
姉貴と俺は体が溶け合ったかのように密着していた。
汗と、お互いの粘液に繋がれたひとつのかたまり。
「ふっ、ふぅっ、はぁあっ、はぁっ、」
息を整えつつ、徐々に精液の勢いも収まってくる。
しかし突然、硬直したままなのに強烈な快感が襲われた。
「ぐっあっ!?」
そのまま続いて新たな射精が始まってしまう。
「ひゃっ!ああっ!」
びゅばっ!と大きな波が再び胎内へ放たれた。
やはり繋がったままの子宮口がそれを無条件に迎え入れる。
甘い快感に体が支配されている。
それでも、精嚢が空になるような気配はまったくない。
・・・俺はこの感覚に身を任せることにした。


――――――――
繊毛に運ばれながら、受精卵の内部ではそれぞれのDNAが溶け合っていた。
生命の本能はそのあまりにも近い遺伝子コードに微塵の疑いも持たず、新たなDNAを組み上げていく。
そして、次のステップである着床に向けて子宮内をゆっくりと移動していった。
――――――――


幾度となく射精を繰り返し、快感が遠のいた後は猛烈な倦怠感に襲われた。
「姉ちゃん・・・俺、ずっと離れないから」
「うん・・・ありがとう」
それだけを言い残して、俺は姉貴一体となったまま深い眠りに落ちていった。





「次はー、多の摩原ー、お降りの方はお手元のボタンをお押しくださいー」
俺と姉貴は今、バスの最後尾に乗っている。

「ね、「お押しください」ってなんかヘンじゃない?」
「美化語なんだろうけど・・・違和感あるなぁ」
「ふふっ、職業柄、"お"を付けないと気がすまないのね」

他愛もない会話。このところ、ずっとこの調子だ。
あれから俺と姉貴は両親から逃走。
首都圏近郊、いわゆるベッドタウンみたいなところで生活している。
我ながら中途半端な逃げ方だ。が、これが逆に功を奏している。
友人の話では、ニセ情報に踊らされた親父とおふくろは現在上海で血眼になっているそうだ。
・・・いつか、真実を話すことができるだろうか。
思考がナーバスになる前に、姉貴の声が飛んだ。

「ほらっ、今のバス停の次に降りるんだからボタン押す準備しときなさいよ」
「分かってるよ」
「あたしは動きづらいんだから、押すの忘れちゃ駄目よ」
「あーもう、そういうお姉さんみたいな目線やめろって言っただろ」

そう、周りからは"姉弟のような"幸せな夫婦にしか見えないだろう。
本当はどっちでもあるのだけれども。
見た目のこともあって姉貴を下の名前で呼び捨てにしているのだが、かなり苦労している。
ずっと"姉貴"を続けてきた俺も言いづらいし、姉貴も受け入れがたいものだからだ。

「次なんだからもう押しておけば良いだろ、なぁ・・・・

緊張した小さな声で姉貴の名前を呼んだが、車内アナウンスにかき消されてしまった。

「次はー、多の摩原産婦人科前ー、お降りの方は・・・・