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私の名前はマオ。猫の血を引く亜人です。
相棒のリーとコンビを組んで冒険者のようなことをしてます。
元々私は「院」にいる学生だったけれど、卒業試験代わりの論文作成として、リーの故郷・・・龍人という幻の種族と言われた人々・・・の研究に当たることに。
龍人とは古来から幻と呼ばれた種族であり、その生態は謎に包まれていました。
しかしひょんなことから、龍人のリーと知り合い、私はこれ幸いというように彼らを研究の対象とすることにしたのでした。
龍人のリーは、意外にもまるで普通のヒトのようであり、最近の若者そのままでした。
明るく元気で、見聞を広げるために旅をしている、と酒場で意気投合したのが知り合うキッカケです。
旅をする際に危惧していた、貞操の危機もなく、彼はとても紳士的でした。

険しい山道をリーの故郷へ向かうために黙々と歩く。
「この山を越えれば、リーの故郷はもうすぐなのね」
「そうだよーん・・・つうかさー、俺らのこと調べても面白くもなんともねえよ」
「どうして?幻と言われている龍人を調べることができるなんて、研究冥利に尽きる」
「いや・・・多分あまりにも普通で幻滅するかと・・・ああ、でも今は儀式の時期か。」
ならおもしろいものが見れるな、とリーは言葉を続けた。
「儀式?」
「俺の村に古くから伝わる豊穣祭のことさ。豊穣の女神に祈りを奉げるっつー感じの」
マオの地方にも、そういうのあるだろ?と前方を歩いていたリーはこちらを振り返って笑った。
「あるけど・・・どんな感じなのかしら。楽しみだわ」
嬉しそうにマオは笑った。
後ろの尻尾も嬉しそうにゆらゆらと揺れている。
それを見て、リーはやれやれと言う様に首を振り、小声でつぶやいた。
「俺の旅の理由は、見聞を広げるためもあるし、なにより儀式の相手を選ぶために旅に出たってのもあるんだけどね」
「なに?リー、なんか言った?」
「いやぁーマオちゃんは汗をかいても可愛いって言ったn「ヘンタイ!!!!!」

こんな様子だけれど、リーは龍人で普通のヒトよりも強い。
そんなことで彼に私の荷物を殆ど持ってもらっている。
初めは自分で持つといったのだけれど、女の子に持たせちゃあ、男が廃るーというわけの分からない理論により、今では殆どの荷物を彼が背負っているのだ。
普通のヒトである私にとってはありがたい申し出である。

彼の故郷に着いた時、彼の言うとおりにまるで普通の村であり、私の想像していた龍人の村とは遙かに違うイメージに拍子抜けしてしまった。
海のそばにある彼の村は、極彩色豊かな村であり、人々も普通のヒトのようであった。
「あれ!リーにいちゃんじゃん!おかえりー」
村に一歩入ると、わらわらと小さな子どもたちが彼の周りに集まってくる。
「おう、ただいま」
「にいちゃんーこっちの別嬪さんはだーれー?」
「おどろけー、この人が今年の儀式の踊り手のねーちゃんだ」
そういうとキャアーと子どもたちは笑い、喜んでいたが私は面食らってしまぅた。
「お、おどりて????」
そもそも私は祭りを観察するつもりでリーの村にいったのであり、参加するつもりなどまったくなかった、と彼にあわてて言うと、
「村のこと知りたいんだろ?参加すんのが一番だろー」
そう言うと彼はにんまりと私に笑いかけた。

あれよあれよという間に彼の家に向かい、家族の人々に挨拶をし、なんだかんだ恋人みたいにひとつ屋根の下で過ごし、儀式当日を迎えてしまった。
「っていうかね、リーさん、私、まったく儀式のことなんてわかんないんだけ、ど・・・」
「だーいじょーぶ、そのまんまでいいから!」
あははははとリーは明るく笑い、困惑する私の手をとった。
今の私は白いドレスのようなものを纏い、まるで花嫁衣裳のよう・・・とそこまで考えてしまって赤くなってしまった。
対するリーは黒を基とする格好で、いつものラフな格好からはまったく違い、正直格好いい。
「あーそうそう、儀式結構長いから、のど渇くよ」
はい、とトロピカルなジュースを渡してくれた。
「あ、ありがと・・・・・・うわぁ甘い!おいしい〜!」
「気に入ってくれたようで嬉しいー!ではお外に行きましょう、オヒメサマ」
そういうと彼は私を横抱き(いわゆるお姫様抱っこ、といわれるやつだ)をすると、外に向かった。
「え、ちょ、やだ、重いから!」
「かるーいかるーい」

しかしそんな和やかな雰囲気も儀式をするという神殿に入ると一転した。
「え・・?な、にこれ」
私は心底驚いた。
だってそこらじゅうで男女が交わり合っている。
その中にはいくつか見覚えのある、村でお世話になった人たちもいる。
はじめに私に明るく挨拶していた小さな子たちもまるで娼婦顔負けの様子で交わっている。
みんな恍惚とした様子で、私たちの姿など眼に入ってないかのようだ。
そんな私の様子を知ってか知らずか、彼は私を横抱きにしながら人々の間を縫うように歩き、私を抱きしめたまま神殿の祭壇に腰掛けた。
祭壇は石造りで、しかし上には獣の毛皮が敷いてあり、冷たくはなかった。
「いやー、じつはねー俺の村の女神は豊穣をつかさどるんだけど、母なる大地の女神・・・ようは子作りの女神でもあるわけ。だから、こうして豊穣祭ではみーんなで今年もありがとーっ、ってのと、子どもを授けてくださいーってことでセックスするのが決まりなんだよ」
「エエエエエえええええええ!!!???っていうかごめ、おろして!!!私いいから!結構だから!!!!」
もう頭のなかはパニック状態です。
「いやーこれがねー、俺今年儀式の担い手なんだわ。担い手ってのはソトから来たヒトの生娘を抱いて、ああ、抱くってのはようするにセックスってことね。それが女神に奉げる供物となるわけよ」
そこまで言うと彼は私の顔を覗き込んだ。
「龍人がね、幻といわれているのは、妊娠する確率が他の種族より低いんだ。だから絶対個数が他の種族よりも少ない。けれどこの祭りの時は別なんだよ。だから月ものが来た女、女を孕ませることができるようになった男は全員祭りに参加するんだ」

「で、そろそろこない?」
なにが、と言いたかったけれど分かっていた。
体が熱いのだ。
私の体の奥が疼いているのだ。
耳の先から足先、尻尾の先まで体中が欲しいと言っている。
「あのジュースの元になる果実ってね、興奮する成分があるんだ。祭りの前にはみんなあのジュースを飲む」
そういうと、彼は私を祭壇の上に降ろすと、そのままゆっくりと押し倒した。
「もちろん、俺も」