海岸で拾ったボトルから出現したのは、いわゆる”神様”という奴だった。

「ふんぎゃ〜〜〜〜〜!!!!あち、あちっ!あぢぢぢぢぃぃいぃいいですぅぅぅう!!!!」

………訂正。ボトルから出現したのは、いわゆる”アホ神”だった。


[HR神<トコト>の災難]


ある日、天気の良さに誘われて海岸を散歩している途中に不思議なボトル(らしきもの)を拾った。
二十歳過ぎた若人が休日にそんなことしてんじゃねぇよ、と突っ込まれそうだが、それはそれ。これはこれ。
じゃないとストーリーが進まない。

とにかく、自分はそれを拾い、回収し、調査しようとした。
自慢じゃないが、第六感は他人より優れている。
この中身がいわくつきであることは分かっていた。
同時に、封印らしきものがかけられていることも分かった。

そこ、「安易なご都合主義展開は止めろ」とか言うな。
作者も自覚しているんだから。

さて、中身がどうあれ、正規に開ける方法なんて知るはずが無い。
自慢じゃないが、霊感はあっても霊力の使い方なんぞ全く知らん。
陰陽道もオカルトも、まして気功術も知らない自分がどうしろというのか?
誰かを頼るとしても、信頼できる奴なんて知らないし。

そのボトルには円とルーン文字(?)らしき模様が隙間無く刻まれてたが、自分には分からなかった。
ま、しょうがない。

なら諦めるか?
それこそ愚問。
開けてはならないものこそ、開けたくなるのが人の性。
きっと今の自分を鏡で見たら、好奇心で眼が光っているに違いない。
それに多分大丈夫だ。どうせ開けたって、そんなに大変なことにはならないと”(作者の)勘”が告げている。

だが、その頑丈さは並みじゃーなかった。
まるで防爆用ケースに包まれているかのよう。
マイナスドライバーの先端は悉く欠け、ペンチで封を摘んで引っぱってもビクともせず、ハンマーで口の部分を叩いても手が痛くなるだけという始末。
やってくれるじゃないか。たかがボトルの分際で。
(ボトルは何もしてないだろという突っ込みは不許可だ)

これはまさしく天地を分かつ超対決。
オカルトVS現代科学の大決戦!!
ああ猛る、ああ吼える、ああ燃えるぜ、大決戦。
是が非でも開けてやろうじゃないかコンチクショー。
オペレーションネーム『パンドラの(?)ボトルかも?』状況開始!!



1.ボトルVS現代工学最強ドリル
まず最初にドリルありき。
ドリルが唸る。ドリルが回る。ドリルが貫く。
ああ爽快快感絶頂感。
ワタシをぶっといドリルで貫いて(ハート)。なんて声が聞こえてきそうだベイベー。
「お嬢さん、俺のドリルで一生の想い出、刻もうぜ」
ウィン!ウィン!とドリルを鳴らしてちょっぴり妄想に入る自分。

しかし、結果はドリルの刃が負けてしまいそうになる始末。
一応このドリルの刃、教授が大枚はたいて買った最先端工学のDLC(ダイアモンドライクカーボン)コーティング済み超硬質を誇るドリルなんすけど………
やってくれるじゃないか!ボトルのくせに!!(ボトルは何もしてないだろとい(ry。)


2.オカルトボトルVSニュートンの万有引力
「は〜い、ただいま午前2時丁度をお知らせします。
現場はここ、地上建て7階のビル屋上でございます。
あたりに人は全くなし。オカルトだけに世紀の対決は人知れず闇夜の中で行われるもんなんですね。

それで、今回のオペレーションといいますと、実に簡単な方法です。
”落として割る”それだけです。
だが、計算してみてください。わずか1キロのボトルとはいえ、ビルの屋上から落ちる物体のエネルギーが如何程のものであるか?
たとえ空気抵抗を受けるとしても、硬球を投げるエネルギに換算すれば、軽く時速200kmは超えます。この威力、あなどれません。
素朴でありますが、確実な方法でありましょう。
では、早速、周囲をもう一度確認してから、実行してみましょう。
………3
………2
………1!
………ポイッとな
……

『ガン!!!!!』
おおっと、すごい。凄い!!これはすごいとしか言いようがありません!!
なんということでしょう!!コンクリのほうが割れております。
地面の方に罅が入ってしまう現実!!!!オカルトの勝利です。ニュートンは敗北です。
以上、現場からお伝えしました」

実況もそこそこに、早々に回収作業に入る自分。
まさかコンクリの地面が割れて、あたりに破片を飛び散らすようなことになるとは。
………余談だが、次の日に”夜中にすごい音がした”という噂が広まり、爆発テロの可能性すら出てきて偉い事になっていた。
くわばらくわばら。




3.改造電子レンジVSオカルトボトル

電子レンジ。
それは現代科学の最たるものと言えよう。
モテナイ独身男性、三十路過ぎオバサン、家庭崩壊中DV家族、誰彼構わず等しく恩恵を授けることのできる究極の作品。
レンジはいい。レンジはいい!!
イマ〜ジ〜ン〜〜♪
ただいまを言っても誰もいない。そんな部屋で一人寂しく震えるあなた。チン♪という音と共に差し出される温かな料理。
これに勝る恩恵はあるだろうか?
いや、ないだろう。
あるとかほざく果報者はとりあえず抹殺リストにあげとくとして。

レンジの仕組みは工学系学生なら簡単に理解できるものだ。
回路図は無くとも高電圧部(高圧トランスかコックロフトウォルトン回路なんか)が分かれば後は楽に理解できる。
マイクロ波として高圧トランス部分に流れる電流は100mA程であり、それを制限しているのはたった一個の抵抗である。
そこをハンダでちょこっと細工してしまえば、フッフッフ、改造レンジの出来上がりである。(いい大人は真似しちゃアカン)
もはやこのオカルトボトルをどうにかできるならどうでもよくなっていた。

使えるけど捨てられていたレンジを回収し、上記のように改造。
爆破の可能性も考えて、レンジの周りをゴミ捨て場から回収した難燃性素材でバリケードに。
消火用の不活性ガス(人畜無害)も用意して、耳栓、手袋、サバゲー用ゴーグル装備。
では、いざ実験開始。
―――ポチッとな。

ジ〜〜〜〜〜〜〜(5分経過)
「隊長、効果ありません」「うろたえるな!」
ジ〜〜〜〜〜〜〜(ガタガタ)
「隊長。何やら中で異変が」「フフフ。これでいい。これでいい。あとすぐであのパンドラの中身が解き放たれるのだ」
ジ〜〜〜〜〜〜〜(ガダガダガダ!)
「た、隊長!ボトルがガタガタ動いています!!」「うろたえるな。MADな学生はうろたえない!!」
ジ〜〜〜〜〜〜〜(ドドドドドドドド!!!!)
「た、タイチョーー!!」「MADな科学は世界イチィィィ!!!」

ドーーーーーン!!!!!
大爆発!
マッドサイエンティストごっこもここまでか。
「ふんぎゃ〜〜〜〜〜!!!!あち、あちっ!あぢぢぢぢぃぃいぃいいですぅぅぅう!!!!」
………?ですぅ?
この瞬間。自分は確信した。
………ボトルを”爆破”して出てきたのは、いわゆる”アホ神”であると。



そこからの展開は少し端折る。


要するに、コイツは本人曰く”神”だという。
しかし、見た目、言葉遣い、雰囲気からして神々しさなんてナッシング。

まず見た目。
なんというか、かんというか、良くも悪くもガキ。
蒙古斑も取れてないんじゃね?と思わせるような風貌で、確かに顔のつくりは良いけれど、外人のガキの美醜なんてよくわからんし。
更に、訊いたら負けのような気がするので訊かないが、非常に中性的な恰好をしている。
そこが分からず、対応を間違ってしまうわけにはいかない。
女装している男に言い寄ってしまうときのような間違いを起こすわけにはいかないのだ。

ついでに本当に残念であるが、何もせず宙に浮いていたり、話しかけてくる言葉が頭の中に自動で意訳されて伝わってくるあたり、神に近しい奴であることを否定しきれない。
しかし、考えていることは非常に低レベル。
神の如き深慮遠謀なんて全然見えない。
本人の母国語を変換しても、「〜ですぅ」などという語尾はつかないだろう(当たり前すぎる)が、こいつの言動を見るに、”そういうキャラっぽい=そういう言葉遣いだろう”なんて刷り込みが起こって、そんな風に聞こえて(自動翻訳されて)しまうのだ。
(多分、そういう刷り込みがされなかった奴には普通の日本語に聞こえるのだろう)

で、本人が言うには封印の壺のなかに閉じ込められていたということ。
「まさか、神の封印を突き破って地獄の炎が襲ってくるとは思わなかったのですぅ」
「きっと、ワタシを焼いて食べちゃうつもりだったのですぅ」
「追い詰められたワタシは死に物狂いで封印を破ることに成功したのですぅ」
………自分は何も知らない。
無論、電子レンジのことなんて全然知らないったら知らないのだ。





「”神”って本当なのか?」
「本当ですぅ。ワタシに掛かれば何だってできるですぅ」
「ほ〜。………それじゃ、願いでもかなえてもらえるのか?」
「まかせろですぅ。封印の壺、出所祝いですぅ。何でも言ってみやがれですぅ」
「………じゃあ、量子力学とニュートン力学と電磁気学と素粒子論と時空理論の完全統合理論、教えてくれ」
「〜〜〜〜♪(そっぽむきながら口笛)」
「………」
「〜〜〜〜♪」
「じゃ、他の事でもいいか?」
「どんとこいですぅ」
「向こう50年の世界市場の株価チャートと高精度な経済変動予測理論、教えてくれ」
「〜〜〜〜♪(そっぽむきながら口笛)」
「………」
「〜〜〜〜♪」
「じゃー、他ので」
「何でもこいですぅ」
「億万長者の、美人で器量・性格良し、処女、25歳以下の大和撫子と結婚できるようにプリーズ」
「〜〜〜〜♪(そっぽむきながら口笛)」
「………(怒)」
「〜〜〜〜♪」
「ふ・ざ・け・て・ん・の・か?」
「ほ、他の願いは―――」
「名誉、金、女、どれも叶えられないだと?そんな奴に何を頼めと?は、笑わせるなよ」
「ガーン!!!」
「使えない。三流以下。無能神。神とか語る偽者め!!」
「ガガーン!!」


………
……



「あー………ところで、おまえは何者なんだ?」
思えば最初にソレを訊けば良かったと激しく後悔しながら語りかけてみる。
「良くぞ訊いたですぅ。我こそが正統派愛の神<トコト>なのですぅ。驚きやがれですぅ」
「あー、はいはい。むしろ、その立ち直りの早さに驚きだ。驚き驚き」
「エヘンなのですぅ」
「って、あれ?愛の神っていったらエロスとかアフロディアで、北欧神話じゃヴィーナスかフレイヤだろ。嘘つくな」
「本当ですぅ。でも、実はあのクソヴァヴァアのヘラのせいで歴史が歪曲されているのですぅ」
「は?なんで、そこでギリシャ神話の主神の妻がでる?」
「訊きたいですか?訊きたいですね?訊きたいのですか。ならば語ってやるのですぅ」


そして饒舌に語り出すアホ神様。





オリンポスの主神ゼウスは、それは大層な女好き。地上最強のエロ親父。
神殿内に後宮ハーレムを作ろうとして、何度ヘラに凹られたかは数え切れない。
無論、中だし生だし遠慮なし。
なので、孕む女が何人も。
しかし、それでできた子供のうち、最たるものがヘラクレスってんだから笑えない。
”浮気してできた子供は英雄でした”なのだから。
俺が浮気された妻の夫なら死ぬほど懊悩するだろう。
とにかく、ゼウスの浮気癖は有名すぎるほどである。

だが、出産といえば母体に数多くの危険がつきまわる。
当時は現代に比べて医学も食生活も公衆衛生も未発達。
周産期死亡率なんて倍以上。
加えて、古代では14歳程度で嫁に行き、そのまま身篭ることもあったりして、低年齢出産の傾向が強い。
ま、ここらへんは古代の平均寿命から言えば妥当な線かもしれない。
(なにせ、歴史的にはそのコミュニティ内で平均寿命の四分の一あたりが社会的な結婚適齢期であることが多いのだ。現代の平均寿命が四捨五入で80である=二十歳前後で結婚可能という一致)
母体としての発育も不十分なまま妊娠すれば、出産できたとしても後遺症が残ったり死産する可能性も高い。
そこで、新たな神としてこいつ<トコト>が誕生した。
役目は”妊娠”をつかさどること。

なるほど。
当時の概念で言えば、愛≒SEX≒妊娠≒出産みたいなものだ。
プラトニックなんて言葉は無い。
それに古代の生活習慣上、男女平等といった観念も無い。現代とはまるで違った愛し方が普通だったのだろう。
愛は愛でも、プラトニックな愛、美しさの愛、友愛、親愛、家族愛、自己犠牲的な愛、など、色々な”愛”を司る神が何人かいてもおかしくは無いのかもしれない。
概念のカテゴリ・グループ・ベクトル分別がしにくいからだ。
しかし、ゼウスがこいつに正当な愛の役目(妊娠・出産のだが)を与えようとして、それを妨害したものがいた。
いわずともがなゼウスの妻、ヘラである。
ゼウスとセットで、ヘラの嫉妬も有名すぎるほどである。




かくして、ヘラの妨害で愛の神の継承の儀は邪魔され、目障りに思った彼女あるいはその手下に封印されることになった。

あのボトルに封印されたトコトは、最近(神にとっての最近なんてあてにならん。あの不老長寿連中じゃ百年を最近といいかねん)になって封印の力が弱まってきたのを知り、
なんとか海上に上がろうとしたり(どうやったのかはしらん)、沈んだり(力尽きたため)を繰り返したそうだ。
ヨーロッパからここまで、海流に乗ってくるだけで何年掛かるのやら。
ってか、日本に来るだけでどれだけ低い確率なのやら。


「で、結局あんたは何ができるんだ?」
「ワタシは昔の子宝・子沢山の神様ですから、当然子作りに関することならばっちりです」
「で、例えば?」
「よくぞ訊いたですぅ!」
奴は熱く語り始めた。


「どんな女も挿入<い>れて生出し一発妊娠♪ 狙った卵子<えもの>は外さない♪ 初潮前閉経後でも大丈夫♪ ダウン症劣性遺伝もご安心♪
 男女産み分けフタナリOK♪ 母体の健康管理もドンウォーリー♪ 覚醒遺伝もお好みで♪ 女の絶頂自由自在♪ 淡白男も一気に絶倫♪ 一晩百人デキるかな?
 子作り専門プロの神!
その名も〜、トォ・コォ・トォ〜、でぇ〜〜〜っす!!」


………何故にヒップホップでリズムを取る?何故にポーズを決める?何故に後光が見えるのだ?

笑いが3割(痛い人を見た笑いと嘲笑と非現実的すぎる笑いの混合)、呆れが3割、
関わり合いになりたくない気が2割、関わってしまった諦観が2割。
非常に歪な表情をしていると自覚できる。
マツケンサ○バの如く、耳に残りそうな台詞で困る。


「ほー。そりゃすごい」
とても色んな意味で。
何処から突っ込めばいいやら、オーディエンスが欲しいところだ。
「えっへんなのですぅ」
「けどな。無神論者で、科学の信奉者で、二千年以上年齢が離れてる俺が、なんでこんなヘタレ神に関わらなけりゃならないんだ?」
「ガーン!!」
「ついでに、ひじょ〜に個人的な意味でも、お前に価値など無い」
いわゆる orz の状態になってしまったトコト。
「ヘタレって言われた。ヘタレって言われたよぉ。ヨヨヨ」


色々と実験してトコトを解放したのはいいが、後片付けも残っている。
考えてみれば、トコトはどこぞの男根を模した子宝御神体と変わらない。
結局、いろいろあって、世の中には不思議な奴が一匹増えました―――ってことでファイナルアンサー。


なべて世はことも無し。
科学VSオカルトはどっちが勝ったのやらやら。
これにて終劇。
エンドロールは全部カットの方向d「まだ終わってないのよーーー!!!」



「何だよ、何かあるのか?ヘタレ神」
「さっきからヘタレヘタレって、酷いですぅ。どーしてそんなに意地悪するんですか?」
「別段意地悪してるわけじゃない。事実を述べているまでだ。悔しかったら名誉か金か女を与えてみろよ、パリスの審判みたいにさ」
更に凹むトコト。



しかし、ずっとorz状態でもウザので、こいつに後片付けを手伝わせることに。
膂力(?不思議パワーでも使ってるのか分からんが)だけはあったんで、結構簡単に片付けられた。
終わったあとはすっかり日が暮れ、夕飯の時間で。
「行くとこないですぅ」と、泣き付かれ、一晩だけ泊めてやることにした。
色々とまだまだだな、自分も。


夕食は鍋にすることにした。
日本の食事は口に合うかとか、今のイマまで封じられてたんだから今更食わなくても平気だろとか、日本の環境に対していつの間に馴染んだ?などとツッコミどころはあったものの、一応、人外の存在に恩を売っておいて損は無いと踏んだ。
鍋をつつきながら散々愚痴をこぼした後、語りモードになってしまったトコトは人の冷蔵庫から酒まで取り出して語り続ける。
こんな奴はさっさと出てって欲しい気持ちもある、が、一度泊めると言い出した以上、それを反故すればやばいことになりかねん。
(古代ギリシャ神話・日本神話などの中で、神との約束を反故して不幸になった連中は枚挙に暇がない)

後悔交じりの自棄酒で、二人とも愚痴話で盛り上がる。
職場環境、対人(神?)関係、上司の愚痴。
話した内容はあんまり覚えていない。


ただ、次の日起きたらトコトは消えて、自分の手元には何故か再封印されたトコトとボトル。
ま、多分、やっこさんがあんまりしつこくて再封印してやったのだと思う。
それと同時に、自分の中に不思議な力が宿っていることがわかった。
トコトの力を与えられたのかもしれない。
なんとなくそんな話の流れになった気がする。


………
……






―――(回想中)―――

「おおぅ。これが神のチカラというやつか」
「どうでぃすかぁ?すぎょいでひょ〜。ムフフフ」
「ああ。なかなかじゃん。」
「そうですそーでひゅ、我の力を崇めはひぇるのですぅ」
「けど、使う対象ねぇじゃん。アッハッハ」
「アッハッハッハ。それはおかひいのですぅ。アッヒャッヒャ」

[選択肢]
・むかつくので追い出す
・再封印
・コイツで実践

「なんだこりゃ?」
「フラグがたっちゃのれすぅ」
「おおぅ。立ったのか」
「そう、えらふのですぅ」
「んじゃ、遠慮なく」

[選択肢]
・むかつくので追い出す
・再封印
・コイツで実践
⇒放置プレイ

「ナニィィィ!!ここでそんな隠ひコマンドちょわ!!」
「別に良いだろ。個人の自由だ」
「上の選択ひはなんだんなのよ?なんじぇアタシが選ばれないニョホ」
「とりあえず、安直ネタ過ぎて作者もおまえにゃ萌えなかったんだ。諦めろ」
「そんなメタなぁ!!」



「認めまひぇん!もう一度選びなあい」

[選択肢]
・むかつくので追い出す
⇒再封印
・コイツで実践
・放置プレイ

「とりあえず、このボトルってどう使えば封印できるんだ?」
「それあワタシ専用なおれす。ボトルの底を押し付けながあもいちど栓をスレヴぁ」
「こんな感じにか?」
「って、なじぇにぃぃ!!」
シュッポーン。



………
……






思い出してちょっと鬱になる。
酒に酔って羽目を外しすぎたり、ほぼ初対面の相手にらしくない愚痴をこぼしてしまったり。
それに、あのフラグでもしも『コイツで実践』コマンドを選んでたりしたら―――
もし女性神だったら、危うく年齢がサウザンドオーヴァーのロリ婆に手を出すことになったかも知れない。
もし男性神だったら、”男でもいい!避妊するから!!”という事態になったのかも知れない。

(黒歴史が刻まれる羽目になってたら、本気で”人生オワタ”に陥ったかもしれんのか。………何にせよ、思うことは一つだけ)

「ぎりぎりセェェェエエエイフゥゥゥーーーーー!!!」

よくやった俺。よくやったな俺。頑張ったな俺。”あやまちすな、心して選べ”だった俺!
よくぞ死亡フラグを回避した。
鏡に映った自分を褒めたい、褒めたい、小一時間ほど褒めまくりたい。






しっかし、こんな力が何になるというのだろう?
自慢じゃないが、年齢=彼女いない暦の自分にこんな能力があったって価値が無い。
だからこそ、パリスの審判のような展開を望んだのだが、猫に小判の能力が手に入っただけ。
トコトに冷たく当たっていたのも、それが一因である。


「まぁ、いいか。貰えるならもらっとこ」


トコトから借り受けた力の使い方は、ほぼ自動的にマスターできた。
が、コレの使い道はあるのだろうか?

まず第一に、この能力は孕ませに特化していて、避妊の意味を無効化させるほどのパワーがある。
イケメンの如く、女に不自由しない奴なら逆タマ狙いでターゲットを妊娠させる使い道があるかも知れんが。(生憎と俺にはそんなサクセスストーリーには縁が無い)
ってか、想像してみたら近藤さんを突き破る精子ってシュールだな、ォィ。
若しくは、跡取り問題を抱えた御家の主人とか、不妊症に悩む人物くらいしか、この能力に価値は無いんじゃなかろうか?

後は性病完全防御とか、男だったら精力化に伴う体力増加、女だったら生理不順予防・生理痛無効化・妊娠出産におけるホルモンバランスの変調軽減とか。
そんな程度の能力くらいしかない。

決してモテモテになる能力でも、金持ちになる能力でも、幸運が上がる能力でもない。
神の加護を受けて、幸運でもアップするんなら、宝くじ買い放題なのに。

むしろ精力が増すだけに、一日の寝る前に数回はヌかないと連日夢精し掛ける始末。
毎晩ひとり寂しくオナならけりゃならない現実って悲Cね。orz
男が自分のパンツを手洗いしなけりゃならない現実ってのも相当欝だよね。OTZ
パワーを抑えることができるようになるまで、気が抜けて夢精して朝にパンツを洗う習慣ができそうになった。
これはあいつを封じ込めたシカエシですか、そうですか。んなわきゃないと分かっているけれど。




………
……