『四月のお馬鹿さん』

 嘘なんてつくもんじゃない。でも……だけど……。
 言い訳をするならば、ただ“不安”だった。彼は大人で、私は社会の事とか何も知らないただのツマラナイ高校生だった。
 十も年の離れたカップルで、相手が高校生ともなれば彼だって世間的に色々と気を遣って負担に感じてるんじゃないかとか思ってたし、そもそもそんな私達が付き合いだしたのだって『君では無理なんじゃないかな?』と微笑みながら拒絶する彼に、私から何度も告白してやっと彼が根負けしてって感じだった。
 オトナのそういう関係になったのだって私の誕生日に頼みこんで“抱いてもらって”だった。

 だから彼の心を試したかった。それはイケナイコトだって分かってたけど、この日ならどんな嘘も軽く赦されるだろうとそう信じてたから……。
 いつものように彼の部屋で愛し合うその前に、私は口を開いた。

「――和彦さんあのね。その……デキちゃった……みたいなの……赤ちゃん……」

 私が想像していた彼の反応は2つ、喜ぶ か 困る か。
 そして彼は ――顔を強張らせた。
 望まれてない……やっぱり……。
 そう思った私はうつむいて溢れそうになる涙をこらえた。そんな私の身体を彼がぎゅっと抱きしめる。『今更なによ』と思う気持ちと『きっと今の私の立場を色々考えてくれたんだよ』と思う気持ちがぐちゃぐちゃになって、耐えられなくなった私は、本当の事を言って謝ろうとした。

「――ご…めんなさい……」
「なぜ謝るの?」

 彼は、私がそうされると弱いのを知っていてわざと耳元で囁く。『ずるい』そう思った私は彼の腕から逃れようと身を捩った。けれど次に言われた彼の言葉で身動きもできないくらい驚いた。

「海晴(みはる)。誰の子なの?」

「――っ!? ヒドイ!! わ、私は和彦さんしか知らないのにっ!!」

 自分の嘘を棚に上げて私は彼を責めた。そして私は彼の腕の中で暴れて、彼に背を向ける形になり、彼の手を振りほどこうとしてその手を両手で握った。すると彼の手は思ったよりも簡単に離れて……でも、次の瞬間、私の両手首は彼の片手でひとまとめにされていた。

「や、何?」
「ねぇ…海晴、誰の子?」
「もうっ! どうしてそうなるの!? エイプリルフール! 嘘なの!!」
「エイプリルフール? ……あぁ、そうか……今日は……」
「分かったら、手ぇ放してっ!!」

 エイプリルフールがどんな日か思い出した彼に私は強く言い放った。けれど、私の手はそのまま彼の外したネクタイで縛られてベッドの柵に結び付けられてしまった。私はベッドに上半身だけを預け、お尻を突きだす形になった惨めさ、恥ずかしさに尖った声を上げた。

「やだ、何で?」
「おしおき」

 もがけばもがくほど手がキリキリと痛んだ。もう彼に解いてもらうしかない。そう思ったところで彼の手が私のお尻を滑ってパンティの中に潜り込んできた。

「や、嫌。こんなのは嫌なの!! お、おしおきって…和彦さんの方がヒドイ事言ったじゃない!!」
「ん? だって、きちんとゴム着けてたし、本当に危ない日は挿入すらしなかっただろ?……なのに妊娠したって言うなら僕の子じゃないって思って当然だと思うけど?」

 そう言いながら彼はスルスルと私のパンティを下ろした。途中、太股を締めて抵抗してみたけど無駄だった。結局膝の部分も持ち上げられて難なく脱がされてしまう。

「和彦さん……ごめんなさいぃ。嘘ついたのは謝るから……だから、ほどいて……お願い……」
「ダメだよ、海晴。ついていい嘘と悪い嘘がある。この嘘は僕につくには悪すぎるよ」

 私はハッとした。彼は独りぼっちで家族が無いって言ってた。詳しくは教えてくれなかったけど彼の背中の傷とかそんなのを見て、何かの酷い事故で家族を亡くしたみたいだと私だって感じていたのに――命とか、家族とかそんなことに凄く敏感だって知っていたのに――。

「ご、ごめんなさい!! 私……」
「いいよ。海晴にはちゃんと身体で分かってもらうから」

 意味が分からなかったけど、抵抗しない事が私の謝る術なのだと思った。
 彼は抵抗の無くなった私の服を脱がしていく。私は彼の指が肌の上を滑る度に気持ちいい事の予感に震えてしまう。

「和彦さん…ぁん……手ほどいて……全部脱がせてぇ……」
「どうしたの海晴? 縛られて興奮した? そんな甘えた声出して」
「違……和彦さんに触れたいの……」
「そ?」

 彼の体温が脱げかけたブラウス越しに背中に感じられて、少し顔を上げると唇を柔らかく食まれた。そしてゆっくりと侵入してくる彼の柔らかな舌。その動きにいつも頭の中が痺れたようになってしまう。

「ん……うぅん……はぁ……あぁん」

 彼の唇が私の身体を彷徨いだす。綺麗で長い指が私の小さな乳首をつまんで弾く。

「やぁん」

 思わずお尻が跳ねるとアソコがくちゅりと淫らな音をたてた。彼に聞こえちゃったらエッチな娘と思われちゃう。恥ずかしい。そう思ったのにしっかり聞かれてたみたいで彼の指がぬるりと私の中に入り込んでくる。

「あぁん……ダメ……」
「いつもより凄く濡れてる。やっぱり縛られてるのが感じるのかな?」
「やぁ、そんなことないよぅ……意地悪…言わないで……」

 そのまま舌と指で愛されて、あっけないくらい早くに目の前に星が散る。あぁイッちゃった。でもまだ足りない。

「はぁ、はぁ、和彦さん……キテ……」
「ちょっと待って」

 いつもと同じセリフ。この後、彼がゴムを着けて私の中に侵入してくるのを待つ。冷めてしまうこの時間がホントは嫌いだけど、必要な事だから仕方がないといつも自分を納得させてた。
 でも、それは思ったよりもずっと早く、私の息が整わないうちに来た。油断していたせいで恥ずかしいくらい大きな声が出てしまう。

「ぁぁあん!!」
「どうしたの? そんなに大きな声出して」
「あん、何?」

 ただ、予想より早く挿入されたって事だけじゃなくその感触がいつもと違う――太くて硬い――。

「違い……分かる?」
「あぁん、やぁん……ふ……太い……奥……来る……」
「うん、僕もなんか興奮しちゃってね。ごめん苦しいかな?」

 そう言って彼がゆるゆると抽挿を始めると別の違和感が……。

「……ゴ……ム?」
「あぁ、気付いた? うん、もう避妊しないことにしたんだ」
「はぁ、あぁん……やぁ、ダメ……妊娠……しちゃうよ」

 彼の真意が分からなかった。あんなに慎重だったのに急にどうして? だから私を懲らしめるために、数回だけ生でして直ぐにゴムを着けるのかと思った。
 けれど彼の答えは違った。

「海晴、妊娠させてあげるよ」
「だって……あん……私まだ…高校生なの……に」
「おっきいお腹で学校に通えばいいよ。海晴にはそのくらいのお仕置きが必要だよ」
「嘘、やぁ、やぁん……ごめんなさい、和彦さん……ごめんなさい」

 そんな私の懇願にも彼は聞く耳を持たずに、暴れる私を抑え込んで緩い抽挿を繰り返す。

「海晴には僕の家族が亡くなってるってこと……言ったよね?」
「うん……はぁ、あん」
「僕が小学三年生の時だった。夕方帰って来た父に母が言ったんだ『妊娠したの。あなたの子じゃないわ。だから離婚して』って」
「――っ!」
「その後の事はよく憶えていないんだけどね。気づいたら病院のベッドの上で……凄く背中が痛かったことを憶えてる。後から親戚の人に父が母を殺して僕も刺して死んだんだって聞いた……」
「ご、ごめんなさい……私……」
「だから僕は海晴も母と同じでそうなのかと思ったんだ。僕が必死で妊娠しないように気遣ってるのに余所ではそんなってね。 ……だけどね。僕はある事に気づいたんだ。ずっとずーっと海晴を妊娠させておけばいいって。ずっとずーっとひっきりなしに僕の子を孕ませ続ければ他の奴の子どもを妊娠するなんて事はできないもんね」

 彼の言葉の終りと同時に、それまで嬲るようにゆっくりだった抽挿が急に激しさを増す。

「あぁん……激し……」

 妊娠したらどうしようと頭の片隅では思うのに妊娠の予感にぞくぞくしてしまう。

「生だからかな……いつもより海晴を感じる。海晴も気持ちいい? 床にまで愛液が滴ってるよ」

 恥ずかしい事を言われて、私はもっと身体が熱くなるのを感じた。

「あん……和彦さんだって……あぁ、はぁ、いつもと違……あぁん」
「いいの? 海晴このままだったら本当に妊娠しちゃうよ。今日は海晴――危険日だよ」

 安心して彼に全部任せていたから危険日だなんて知らなかった。でも――。

「ん……んん……いい……」
「本当にいいの? 中に出しちゃうよ?」
「ん…あぁん……出して……中に……妊娠…させてぇ……」


 まるで貧血の時みたいに肌がピリピリした。自分の言ってる事に頭のどこかで駄目だと思っても――身体の中心が熱くて抗えなかった。

「出してあげるよ。いっぱいね」
「はん、あぁん、あん、あん、あっ……嬉し……来て、和彦…さ……来てぇぇぇぇっ!!」

 一層太くなった彼のモノが私の奥で爆ぜて次々と精液が注ぎ込まれてくるのが分かった。何度も子宮を叩く熱くて震えるくらい気持ちいい液体――。

 それから私は毎日彼の家に通って、学校が始まっても帰りに彼のマンションに寄った。そうして毎日、毎日、仕事から帰ってくる彼を待った。

「本当にいいの? ずっとずーっと可愛い服なんか着られなくなるよ」
「服なんかどうでもいいの。 ……でも……そんな私でも……嫌いにならないでね」
「海晴はお馬鹿さんだな。僕がそうさせてるのに嫌いになんかなるはずないじゃないか?」
「……良かった」

 くすくすと笑い合いながら唇を重ねる。重ねた隙間から「早く妊娠させて」と言うと彼の息が荒くなるのが分かった。ううん、彼だけじゃない。その言葉に私のアソコもチリチリと熱くなってしまう。そんな身体の変化も彼にはすぐに気付かれてしまう。
 彼の指が私の膣の中をくちゃくちゃと音を立てながら掻き回す。

「これ、昨日の僕のってわけじゃないでしょ? すごいドロドロ。まったくエッチな身体になっちゃって」
「んん……だって……そうなっちゃうのは……はぁ……和彦さんのせいだよ」

 彼のモノがぬるりと私の中に挿入ってくる。今日も太い――一瞬息が詰まる。緩やかな抽挿から早い動きに変わって子宮を突きあげながら私を啼かせ続ける。

「あん、あん、あぁん、はぁぁ、いい……いいの……気持ちいいよ……あん、あぁ、和彦さん……大好き」
「あぁ、海晴……僕も…愛してる……」
「あぁ、あぁ、和彦さん、和彦さんっ……あぁ、い……イク……イッちゃう……イクゥゥゥゥゥゥッ!!」

 私のアソコがぎゅうっとなって余計に和彦さんを感じてしまう。あぁ繋がってるんだと感じると同時に和彦さんの精液が私の子宮を叩くのが分かる。一番気持ちいい瞬間。
 そうして毎日愛し合って、当然の事のように次の生理は来なかった。五月の連休前に妊娠検査薬で調べて、陽性の反応を見た彼の物凄い喜びように、返って私は無事に産めるのかなとプレッシャーみたいなものを感じてしまった。
 そんな私の不安を感じて彼の顔も曇る。

「やっぱり欲しくなかった?」
「ううん、そうじゃないの! ちゃんと元気に産んであげられるかなぁって心配になっちゃって」

 だって、両親になんて言えばいいかとか、学校はどうしようとかそういう不安もあるわけじゃない?それなのに彼は「『大事な話があるから』とご両親に言って」と私に指示を出し、次に産婦人科を予約した。
 なんか色々心配する暇も無く、産婦人科で診察を受けると結果を伝える先生の表情が硬い。

「妊娠してますね。予定日は12月23日だけど……君、高校生でしょ? どうするの?」
「勿論産みますよ」

 自分が産むわけでもないのにすかさず彼が言う。そしてそのままにこにこと余裕の微笑で先生を圧倒してしまう。

 そんな調子で、彼は私の両親も説得し、連休最後の日に家族だけでお式を挙げて――気が付けば私は人妻に――彼と同居していた。

 連休が明けて数日後に彼と私の両親も一緒に学校へ挨拶に行った。校長先生や教頭先生、学年主任に、生徒指導、担任の先生、それから保健室の先生も揃って困惑していた。

「今までも生徒が妊娠した事が無かったというわけではありませんが……その場合は学校を自主的におやめになるか、そのう……」

 教頭先生が言いづらそうに言葉を濁す。

「中絶は絶対にしませんよ。それに彼女が学びたいと言う気持ちに学校は応えられないんですか?」

 そんなふうに彼がグイグイ押していって結局退学にもならなかった。
 でも、何もかもが普通どおりに行くはずもなく、夏休みが終わり、あわただしく9月も終わる頃にはお腹も相当大きくなって制服を着る事が難しくなった。

「高校生妊婦か……なんかエッチだね」
「もう! 和彦さんの……せい…なのにっ!!」

 私をベッドのふちに座らせて私のアソコを舐めている“夫”に文句を言う。私が息を吸うたびにいっぱいいっぱいに伸ばした制服のアジャスタがキシキシ鳴っているのが分かる。

「でも……あぁ、もう……この制服も……んん…着られないから」
「どうして?」
「お腹大きいのに……あぁ…変だからって……先生が…やっぱりエッチいの……かな? やぁん」

 私の高い声と同時にプチッと音を立ててアジャスタ部分が弾け跳び、結局夏の制服は、通常の着用期間を数日残して二度と着れなくなってしまった。

「あー。この制服を着た海晴はエロくて可愛かったのにな」
「もうっ! あぁん……可愛い…服…着れない…私…でも……いいって…言った…くせに…はぁぁん」
「それとはちょっと違うんだよ」

 くすくす笑いながら彼は私の中に入ってくる。妊娠してからのエッチはお腹の赤ちゃんを気遣って控え目になってるけど、膣の浅い所にも気持ちいいところがあるから夢中になるとついつい大きなお腹を振って悦がってしまう。そうすると彼に叱られちゃうんだけど……。

「こらこら、妊婦さんはそんなに腰振ったらダメだよ。赤ちゃんが目を回しちゃうだろ」
「あぁん、だって……もう少しで……イキそうなんだもん……あぁ、あ、あん」
「よしよし、じゃあ僕がイかせてあげるから」

 またくすくすと笑われて、いちばん敏感な所をつままれてシゴかれる。

「ひゃぁん! ダメェ……そこ……あぁん…やん、やん、やぁん」
「いいくせに」

 とどめとばかりに、妊娠で大きくなったおっぱいの恥ずかしいくらい黒ずんだ乳首をカリリと噛まれて私はイッてしまう。

「綺麗だ……海晴……」

 そう言われながら射精されるのが好き。だから私のひくつくアソコで彼をきゅうきゅう絞ってしまう。この日は『さよなら夏の制服』と銘打って制服を二人の体液でどろどろになるまで汚しまくった。

 通学の服が制服から私服になって、登校するのも教室じゃなく保健室になった。10月、11月、12月……私のお腹はどんどん大きく重くなって行く。おへそも広がって窪みなんて全然なくなって恥ずかしいのに彼はそんなお腹を見たがる。綺麗な丸い形ならまだいいけど、赤ちゃんは何かの拍子に動いて私のお腹をボコリと変な形にしてしまう。私はそれを見られるのがすごく嫌なのに、彼はそんな変な形のお腹にも口づけて頬ずりする。本当に愛おしそうに。こんな時、なんか幸せだなぁと私は感じた。

 それが始まったのは12月24日。世間で言うところのクリスマスイヴだった。朝から腰が重くてだるいなぁとは思っていたけど、お昼を過ぎて食べた食器を片づけようとしたら突然の破水。両親と彼に連絡して、病院に向かった。
 それからウンウン唸り通しの12時間を経て畏れ多くもクリスマスの日に長女の誕生を見た。痛くて苦しくて、つらかったけど……お世辞にも可愛いとは言えない生まれた赤ちゃんを見ながら嬉し泣きしている彼を見たら、なんだかすごく幸せな気持ちになった。

 けれど、それとこれとは別。ということで赤ちゃんに授乳しながら私は鼻息も荒く彼に宣言した。

「ずっとずっと休みなく赤ちゃん産むって約束したけど、こんなに痛いんじゃ無理だからっ!」

 どんな反対や懐柔作戦があるかと思ったけど意外にも彼は「そ、海晴に任せるよ」と言っただけだった。母は強し!
 そう思っていたのに……1か月検診の終わった日、私はおっぱいを吸われていた――彼に。

「おっぱい吸われて感じてるの? 娘におっぱいやってる時もそうなの?」
「そ……んな……こと……んぁ……」

 抗議を唇で塞がれて母乳の香りをさせた舌が私の口の中で蠢く、私はそれに夢中で舌を絡める。

「ん……ふぅ……」

 お互いの唾液を混ぜ合って飲み下すと「海晴」彼が熱っぽく私の名を囁いた。それに私が頷くと、彼は私のパンティを脱がしてそこに顔をうずめる。

「あ、あぁ、いい……あん……」

 久しぶりの感覚にだんだん私の意識は蕩けて訳が分からなくなって行く。私のアソコを這いまわっていた彼の指が彼の逞しいモノに変わって、そして私の中に挿入ってくる。

「んぁぁ……やぁん…いい……すごくいいの……こんな…凄い……あぁ……」

 信じられないくらい気持ちよかった。だって挿入れただけでイキそうになるなんて……。私は開きっぱなしの口から涎が零れるのも構わずによがり狂った。

「あん、あん、あぁ…あ、あ……奥…奥に来て……」
「奥? 奥に…どうしてほしいの?」
「あぁ、はぁ、ああん……奥、子宮に……いっぱい、いっぱい……精液掛けて……あん……。赤ちゃ……妊娠させてぇっ!!」
「分かったよ。海晴……さぁっ!」

 片方のおっぱいを吸われながら、もう片方のおっぱいを絞られて母乳がはじけ飛ぶ。それだけでも気持ちいいのに奥を突かれる快感と精液の放たれる快感が私の中に未経験の白い爆発を呼ぶ。

「ひゃぁぁぁぁん!!」

 そうしてまんまと彼の望みのままになってしまった私。

 2月の自由登校を終えて3月の卒業式には大きかったお腹も元に戻って、普通に制服が着られるようになってたけど、もうその時には二人目がお腹の中に宿ってた。
 このまま彼のペースにはまっていたら20人以上の子宝母さんになってしまうと、妊娠のせいでますます子守唄に聞こえる卒業式の来賓祝辞を聞きながら溜息が出た。
 でも幸せだからいいのよねとお腹の子に同意を求めるように私はまだ目立たないお腹をさすった。

                    《終》