(俺は、きっといい主夫になれるな)
夕餉を終えた家族の食器を洗いながら、結城雅治はそんな事を考えていた。彼は、
都内にある大学に通う、二十歳になったばかりのごく普通の青年である。同年代の
若者に比べれば、いささか老成した感があるが、それにはいささか込み入った理由が
あった。雅治には、優しい両親と八つ年の離れた双子の妹たちがいる。共働きで帰宅
が遅い両親に代わって、雅治はいつも妹たちの面倒を見ているのだ。
「よし、洗い物終わり。さあて、洗濯物でもたたむか」
家事を任され、妹たちの面倒を見ている彼ではあったが、それを疎ましく思った事は
無い。元より人付き合いがあまり好きでは無いし、何より幼い妹たちが心配である為、
雅治はすすんで家事全般をこなしていた。今、二人の妹は夕食を終え、風呂に入って
いる。彼女たちが湯浴みを済ませるまでに、着替えを用意しなければ、と雅治が考え
つつ、取り込んだ洗濯物に手を伸ばした時、
「お兄ちゃん!パンツ!あたしの、パンツ!」
双子の姉、さやかが一糸纏わぬ姿で、幼い体から湯気を立たせながら雅治に向かって、
走って来る。さやかは、脱衣所に自分の下着が見当たらなかった為に、剥き玉子の様
な白い肌に水滴をしたたらせながら、兄の元へやってきたらしい。
「こら!さやか」
足をぴたぴたと鳴らし、無邪気な顔をしながら自分の元へ駆け寄って来る妹の姿に、
面食らう雅治。いくら兄妹とは言え、近頃とみに女らしくなったさやかの全裸は、
いかにもまばゆい。しかし、そんな兄の心を知ってか知らずか、さやかは無防備に
「パンツ、ゲットォ!」
などと叫びながら、足をM字に広げしゃがみ込むと、たたんである子供用ショーツ
を手に取った。

ぱくっと少女の陰裂が丸見えになる。そこは、成人女性の複雑な造形とは異なり、
淡い乳白色の幼い肉に閉ざされた、神秘のベール。未だ汚れを知らない処女泉で
あった。そんな妹の媚肉からつい、と視線をそらし、頬を赤らめる雅治。
「さやか、お前って子は!お兄ちゃん、いつも言ってるだろう?女の子らしくしな
さいって!おい、聞いてるのか?」
「はいはい。聞いてますよ、お兄ちゃん。でもね、脱衣かごにあたしのパンツが無
かったから、仕方が無いでしょ?それよりお兄ちゃん、あやかも来るわよ」
あやか、とは双子の妹の方である。さやかがそう言うと、もう一人の妹も風呂場の
方からしずしずと歩を進めて来て、雅治の前へ現れた。
「お兄ちゃん・・・あたしのパンツも無いよぅ・・・」
あやかはさやかに比べて、少しおとなしい。彼女は、両手でようやく膨らみ始めた
小さな胸を隠しながら、雅治を見遣った。
「さやか、あやか。二人のパンツはここにあるよ。ホラ、早く着替えないと湯冷め
しちゃうぞ。まったく、もう・・・」
雅治は幼い割れ目を隠そうともしないさやかと、膨らみかけの胸を隠すあやかに、丸
まったパンツをそれぞれ手渡す。すると、活発な姉、さやかが丸まったパンツを広げ、
「これ、あやかのパンツだよ。だって、ウンチの筋が付いてるもん!」
と、又布の部分を凝視して、洗っても落ちなかった排泄物の残滓を、まじまじと見詰
めた。すると、その恥ずかしい汚れを指摘された妹、あやかが顔を紅潮させて反論した。
「違う!あやか、ちゃんとお尻拭いてるもん!ウンチなんか付かないよ!」
そして、あやかがさやかに詰め寄ると、どこの家庭でも見られるような、くだらない姉妹
喧嘩が始まっていく。

「違わないよ!あやかの、ウンコたれ!」
「うわーん!さやかの、バカァ!」
双子の姉妹は全裸のまま掴み合い、ばたばたと暴れ始める。それを見た雅治は二人の
間に割って入り、このくだらない争いを諌めようとした。
「さやか、あやか、やめなさい!」
雅治が両者の肩を掴み、懸命になだめようとしても、さやかもあやかも憤りは止まら
ない。雅治は説得を諦め、力ずくで二人を引き離す。そして、
「二人とも、おしおきが必要だな!」
そう言いながら、さやか、あやか両妹のお尻をぱーん、と、ひとはたき。
「きゃあ!」
「いやーん!」
さやか、あやかとも、お尻をはたかれた事で、争う気が失せた。そこで雅治は更に
「二人とも、これ以上喧嘩を続けるんだったら、お尻ペンペンだぞ!ん?」
と、幼い姉妹を睨み付ける。すると、さやかとあやかは、それぞれ少しだけ目に涙を
浮かべて、
「お尻ペンペン、いや・・・」
「ごめんなさい・・・もう、喧嘩しないよ・・・」
と、ようやく矛先を収めた。幼い姉妹の争いを止めた雅治はうんうんと頷いて、
「それじゃあ、服を着なさい。さやか、あやか」
優しく言い含める。
「はあい」
姉妹の返事はユニゾンとなり、兄に向かってお愛想混じりにたむけられた。結城家の
兄姉妹は、万事この調子で日々を重ねていっている。しかし、そこには可愛い姉妹を
思う兄の姿と、優しくて頼り甲斐のある兄を慈しむ姉妹との、美しい愛があった。

その日の宵が深まった頃、雅治は自室で本を読んでいた。すると、不意にドアが開き、
幼い姉妹が、兄の部屋へなだれ込んで来る。
「どうした?二人とも・・・」
さやか、あやかとも可愛いパジャマに着替え、長い髪を腰まで垂らし、手には枕を持っ
ている。しかも、表情には何か含みを隠している、といった感じだ。すると、その幼い
姉妹はしずしずと歩み出て、
「ハッピーバースデイ、お兄ちゃん!」
そう言いながら、にこにこと満面の笑みを浮かべつつ、兄の元へ駆け寄った。
「へ?」
思わず怪訝な顔をする雅治。
「やだなあ、今日はお兄ちゃんの誕生日じゃないの。忘れちゃったの?」
さやかが呆れ顔で兄を見据える。ここで雅治は、そう言えばそうか、とすっかり忘れ
ていた自身の生誕の日を思い起こしていた。
「忘れてたよ。そうだ、今日は俺の誕生日だったな・・・」
日々、妹たちの世話に追われ、自分の誕生日など忘我の果てにあった雅治は、姉妹に
指摘されて、ようやくそれを思い出す。
「もう!お兄ちゃんってば!」
あやかがしょうがないな、といった表情で、兄にじゃれついた。次いで、さやかも兄
の腕に手を回し、あやかに負けじと雅治に抱きつく。この幼い姉妹は、家を空けがちな
両親に代わって、いつも自分たちの面倒を見てくれている、この優しい兄に甘えがちだ。
「ははは、まいったな。そうかあ、俺も二十一になったんだなあ・・・」
正直な所、雅治には別段、何の感慨も無い。しかし、可愛い妹ふたりが自分の誕生日を
覚えててくれた事が、嬉しかった。

「うふん、それでね、プレゼントなんだけどぉ・・・」
さやかが少し艶っぽい声を出しながら、あやかに目配せする。どうやらこの姉妹、
何か企んでいるらしい。しかし、雅治はニコニコと二人を見据えるだけで、特に
何かを期待している訳ではない。元より、小学生の姉妹にプレゼントを期待する
雅治ではなかった。可愛い姉妹の気持ちだけで十分、そう思っている。すると・・・
「いつもあたしたちのために、家事をやってくれるお兄ちゃん・・・。そのせいで
彼女を作る暇もないお兄ちゃんのために、あたしとあやかが彼女になってあげる事に
しました!」
がくっと、雅治の肩が落ちる。言うに事欠いて、この姉妹は自分の彼女になると言って
いるのだ。ふふっと思わず笑みのこぼれる雅治。
「そうか。さやかとあやかが、お兄ちゃんの彼女か。こりゃ、いいや」
いかにも子供じみた二人の考えに、雅治は楽しくなった。どこの世界に、自分の下着まで
洗わせる恋人がいるのか、などと雅治は笑いをこらえつつ、可愛い姉妹を見遣る。
(でも、この子たちなりに考えたんだろうな)
その愛らしい思いを、笑い飛ばしてはいけない。幼い姉妹を愛する優しい兄は、ふたりの
申し出を謹んで受ける事にした。
「だったら、さやかとあやかは、今日からお兄ちゃんの彼女な」
「本当?気に入ってくれた?このプレゼント。やったね、あやか」
「うん。お兄ちゃん、あたしとさやかが彼女なんだから、浮気はだめよ」
兄、姉妹、それぞれが思い思いに自分たちの心を贈る。そんな美しい光景もまた、
結城家では良く見られる。何と言っても、お互いを思いやる気持ちを、この兄、姉妹
はいつも育んでいたのであった。

「それじゃあ、早速いきますか。あやか、用意はいい?」
「OK!」
話がまとまった所で、さやかとあやかはそんな会話を交わすと、姉妹は雅治に向き
直り、いそいそとパジャマを脱ぎにかかった。
「な、なんだ?」
目を白黒させて、姉妹のストリップまがいの行為を見詰める雅治。しかし、幼い姉妹
は何の躊躇も無く、パジャマを脱ぎ白く透き通るような肌を、惜しげも無く晒していく。
「お兄ちゃんも、脱いで、脱いで!」
パジャマを脱ぎ捨て、今やパンツ一枚となったさやかが、そう急かし付ける。そして
あやかも、
「お兄ちゃん。あたしたちはお兄ちゃんの彼女なんだから、恥ずかしがらなくてもいい
のよ。ほらぁ・・・」
と、雅治のズボンのベルトに手をかけた。
「ちょ、ちょっと、待ちなさい!さやか、あやか!」
狼狽する兄を横目に、幼い姉妹はテキパキと衣服を脱ぎ、パンツまでも脱ぎ捨ててしまう。
それも、わざと雅治を挑発するように腰をくねらせ、ウインクなんかもしてみせた。どう
やら、前もって打ち合わせがなされていたらしい。
「あやか!お兄ちゃんに見せてあげよう!あたしたちの裸を!」
「うん!」
ぱあっと、さやかとあやかはパンツを脱ぐと、そのふかふかと柔らかな下着を、兄の頭上へ
放り投げる。そして、幼い体を覆い隠すものが無くなると、二人は雅治のベッドの上に乗り、
立ちポーズを取った。

「うふ〜ん。どう、お兄ちゃん?」
二人は、まるで鏡に写ったかのごとく正対し、背を向けた状態で腰だけを捻り、片手を
腰に、もう片方の手で髪を掻き分け、どこで見たのかレースクイーンまがいのセクシー
ポーズを決めてみる。十二歳の少女の体は、決して色気に満ちた物では無いが、それなり
に出る所は出ている。胸は小ぶりに決まってはいたが、腰からヒップへのラインは見事
なまでに美しく、成人女性では決して出せない完成された造形美であった。
「ふ、服を着るんだ、二人とも!」
雅治は手で顔を覆い、脱ぎ散らかされた姉妹の衣服を拾い始める。そして、この突拍子も
無い姉妹の破廉恥な行為を、懸命に諌めようとした。しかし、さやか、あやかの両人は、
「お兄ちゃん!ちゃんと見てなきゃ駄目でしょ!」
「そうよ、これじゃ彼女の意味が無いよ」
と、不満顔。さらに、姉妹は慌てふためく兄に向かって叫ぶ。
「お兄ちゃんも、脱ぎなさいよ!」
これもユニゾンとなった。

「し・・・しかし」
実は雅治、女にあまり免疫が無い。二十一歳になった今でも女性経験が無く、キス
だってまともにした事が無かった。ルックスは決して悪くは無いが、日々、家事に
追われていたがために、恋愛をする暇も無かったのだ。当然、見慣れてるとは言え、
目前に晒された姉妹の裸体には、驚くことしきり。しかも、今の二人ははっきりと
自分たちを異性として見ろ、と言っているのだ。兄としては、そう迫られてもハイ、
とは言えない。
「お兄ちゃんのウソツキ!あたしたちを彼女にするって言ったくせに!ウソツキ!」
さやかが凄まじい剣幕でまくし立てる。すると、
「うわ〜ん、お兄ちゃんがウソついた〜。うわ〜ん!」
今度はあやかが泣き崩れた。まさに四面楚歌となった雅治は、二人をなだめるために、
とうとう姉妹の謀略に屈してしまう。
「わかった!わかったから!脱ぐよ・・・脱ぎますよ・・・」
相手が二人なので、なだめに入る雅治の労苦も二倍となる。かくして、幼い姉妹を愛す
る兄は、言われるがままに衣服を脱ぎ始めた。
(意味わかってるのかなあ・・・二人とも・・・)
どうせ、何かの受け売りで言っているに違いない、そう思った雅治は姉妹の戯れに付き
合うことにした。男女が互いに肌を見せ、睦み合う行為の意味などを、この姉妹が知る
訳が無い、と雅治は思い、すっかりと衣服を脱ぎ捨てて、裸体を晒す。

「これでいいか?」
雅治が裸になると、さやか、あやかの両人は、兄の股間に興味を向けた。
「あやか、お兄ちゃんのおちんちん、大きくなってないよ」
「変だなあ・・・」
さやかとあやかは、どこかで仕入れた男の生理に関する知識を、兄の股間と照らし合わ
せているらしい。正直、雅治のペニスは緊張と焦燥のために、縮こまっていた。
「気が済んだかな?」
理性を保っている、と自分を落ち着けた雅治が、姉妹に向かって語り掛ける。さやか、
あやかはどこか不満げな面持ちで、
「お兄ちゃんがひとりエッチしてる時は、大きくなってるんだけどなあ・・・」
「きっと、調子が悪いのよ。お兄ちゃん、ひとりエッチの時は、あんなに大きくして
ゴシゴシこすってたのよ。あたし、見たもん!」
と、囁きあった。その言葉に愕然とする雅治。
(み、見られていた!お、俺のオナニーを!)
どこからどうやって見たのかは不明ではあるが、さやか、あやかの口ぶりでは、どちら
かが、もしくは二人ともかもしれないが、兄は幼い姉妹に自慰を見られていた事になる。
「触ってみようか」
「そうね、ちょっとこすってみようよ」
さやかとあやかはベッドから飛び降り、恥ずかしい自慰を見られたという事実に、身を
竦める兄に近寄った。そして、えいやっとばかりに、兄のペニスを握り込む。
「うおおッ!」
ぐい、と引っ張られる雅治のペニス。幼い姉妹は、兄の股間へへばりつき、それぞれが
思い思いに肉傘を掴み、宝玉袋を引っ張ったりしてみた。そして、情けない声を出す兄。

「い、いたた!ひ、引っ張っちゃあ、いかん!さやか!あやか!」
幼い姉妹にペニスを弄ばれる雅治は、何とも遣る瀬無い。しかし、少女たちのひんやり
とした手の感触で感じ入った雅治のペニスは、むくむくと鎌首をもたげ始めてしまう。
「ああ!大きくなってきた!」
「さやか、こすって!早く!」
ペニスを握りこむさやかが慄いていると、あやかは矢継ぎ早に命じる。よりによってこの
姉妹は、兄の欲望を自分たちの手で果たしてやろうと言うのだ。
「や、やめなさい!ふたりとも!」
兄が最後の威厳を振り絞って、二人を嗜める。しかし、姉妹の好奇心は止まらない。
「お兄ちゃんは黙ってて!」
あやかが脅しつけると、雅治の体は硬直した。そして、さやかは兄のペニスを強引に
こすり始める。
「わあ、ぴくぴくしてる・・・。お兄ちゃんのおちんちん・・・」
ペニスの茎を握り、ぐいぐいと肉傘を絞り込むさやかが、そんな感嘆を漏らす。すると
あやかは兄の股間の前へ跪き、
「舐めてあげるね、お兄ちゃん」
と、小さな唇をペニスの先へ這わせていった。

ぺろり、とあやかの愛らしい舌が雅治のペニスの先を責め、刺激する。
「やめるんだ、さやか・・・あやか・・・ああ・・・」
実の妹ふたりにペニスを嬲られる雅治は、その背徳感に身を震わせた。ぺろぺろと
まるでアイスでも舐めるような、拙いあやかの口唇愛撫が雅治のペニスを反り返ら
せ、茎を絞るさやかの指が官能を十分に高めていく。
「お兄ちゃん、気持ちいい?」
さやかが悪戯な視線で問う。体を密着させ、腰を押し付ける幼い妹の肌触りは艶か
しく、また柔らかだった。さやかは、ようやく膨らみかけた乳房も惜しむ事無く、
兄の肌へと寄せていく。
「お兄ちゃんのおちんちん、しょっぱいね・・・」
舌でぺろぺろと兄のペニスを舐めるあやかが、そう言って鼻を鳴らした。まるで、
臭いとでも言いたげなその表情は、雅治の兄としての威厳を完全に粉砕する。
「ああ・・・さやか、あやか・・・」
もはや、やめてくれ、とは言えなかった。二人の少女から受けるペニスへの愛撫が、
何より心地良かったために、理性が傾きかけている。
「あっ!あっ!これ、なに?お兄ちゃんのおちんちん、びくびくしてる!怖い!」
茎を握るさやかが、兄のペニスの変節に身じろぎした。それが射精の予兆だとは知ら
ない姉妹は、怯えながらも興味津々である。
「で、出るッ!」
びくん、とペニスが反り返ったかと思うと、雅治は腰をいななかせ、どくどくと樹液
を放出する。それは勢いづき、口唇愛撫をしていた妹、あやかの顔を薄汚い欲望で穢
していった。
「キャー!なに、これ?」
びゅっびゅっ、と放たれる精液におののくあやか。咄嗟にペニスから顔を背けたもの
の、あやかの全身には兄の精の飛沫が次々に注がれていく。

「これ、精液だ!ほら、保健体育の時間に習ったやつ!」
ペニスを引き絞るさやかが、あやかに向かって興奮しながら叫ぶ。それと聞いたあやかは、
「じゃあ、これ、赤ちゃんの元?うわあ!お兄ちゃんの赤ちゃんの元かあ・・・」
と、まだ波打つペニスから飛び散る樹液を、手のひらで受け止めた。
「ああ・・・俺は、なんて事を・・・」
雅治が射精の余韻もままならない内に、妹たちへ向かって放った欲望の残滓に呆然とする。
許されない禁忌の行為に、兄の心ははちきれそうになった。しかし、あやかはしげしげと
兄の子種を見詰めると、ぺろりと舌先で舐め掬う。そして、顔を歪め
「苦ーい!お兄ちゃんの精液、苦いよ!」
そう叫んだ。さらに、積極的なあやかの行動に遅れまいと、さやかも雅治の子種を指で掬い
取ると、ぺろっとひと舐め。
「うん?に、苦い!精液って、苦いんだね、お兄ちゃん」
にこにこと無邪気に微笑むさやか。邪気が無いだけに、その笑顔を見るのが辛い雅治は、
とうとうまなじりから涙を流した。
「俺は、何という事を・・・」
ぽろぽろと涙を流す雅治を見て、さやかとあやかはきょとん、と顔を向かい合わせる。
罪悪感に苛まれる兄とは違って、その佇まいは穏やかな二人。
「何で泣いてるの?お兄ちゃん」
「気持ち良くなかった?」
姉妹は兄が涙するのを見て、不安になったようだ。自分たちが良かれと思って行った
事が、間違いだったと気づく、さやかとあやか。
「ごめんなさい、お兄ちゃん・・・」
「ごめんなさい・・・」
さやかとあやかはうな垂れた。

しかし、雅治は思う。これも、二人が自分の誕生日プレゼントとして、懸命に考え
てくれた結果なのだ。少々、問題はあったが、ここで二人を責めることはならない。
間違いは正せば良いのだ。何より、可愛いさやかとあやかを愛しているのだから・・・。
「もう、いいんだ。さやか、あやか」
雅治は二人の肩を抱き、そっと引き寄せる。すると、さやかとあやかは優しい兄に
寄り添い、ほっ、と安堵のため息を漏らした。そして、さやかが言う。
「赤ちゃんの元、お外に出しちゃ駄目だったんだよね。今度からはさやかかあやかの
中に出してね、お兄ちゃん」
さらにあやかが、
「うん。一日交代でお兄ちゃんの赤ちゃんの元、あたしたちが吸い取ってあげよう。
それで赤ちゃん作ろうよ」
などと、世にも恐ろしい事を、しれっと言いのけた。すると雅治は顔を真っ赤にして、
「違う!」
と、怒鳴りつける。こうして、雅治の二十一歳の誕生日は、生涯忘れる事が出来ない、
強烈な思い出と相成ったのである・・・・・。