「隆一、ちょっと来て」
「はあい。ママ」
梅雨も明け、ようやく夏らしい日差しが降り注ぎ始めた七月の某日、都内の
市立中学に通う八代隆一は、母親の呼ぶ声に気だるい返事を返した。
(また、何か用を言いつける気だな)
隆一は中学二年生。まだ幼さが残る愛らしい顔立ちに、華奢な体が彼の人となり
を表している。年齢の割に小賢しい所が無く、誰にでも優しく接する事が出来る
性格を持っていた隆一は、母親の言い付けにも従順であった。
「なあに、ママ」
自室から出た隆一は、忙しげに夕食の支度をする母親、貴和子に問い掛けてみる。
どうせ、お使いか家の用事だろう、などと思いながら・・・。
「隆一、悪いんだけど、店子さんたちからお家賃を頂いて来て頂戴な」
貴和子がそう言うと、やっぱり、と隆一は自分の読みが的中した事に複雑な表情
をした。実は八代家、代々の資産家で市内のあちこちに不動産を持っている。
そのほとんどは業者に運用して貰っており、基本的にはノータッチであったが、
ただひとつだけ、自ら管理する物件がある。それは、広大な八代家の敷地内に
ある「かすみ荘」だった。この「かすみ荘」は、築三十年になるいささか古びた
建物であったが、女性専用を謳っており、家賃も破格といえる程の安さである。
これは、八代家の先代、隆一にとっては祖父にあたる八代泰造が、
「これからの女性は、社会にどんどん進出すべきである。そのためには、仕事
をしやすい環境を構築する必要がある」
と、当節流行ったウーマンリブに感化され、建てられたものらしい。

「行ってきます・・・」
隆一は、母親の言いつけに逆らうことも無く、すごすごと玄関から出て、庭の
向こうに見える「かすみ荘」へ向かった。手には母から貰った店子のリストを
持ち、一応は大家としての格好はついている。
「家賃は、銀行振込にすればいいのに・・・」
ぶつぶつと独り言を言いながら、隆一は「かすみ荘」の入り口を抜け、一階の
一号室に住む安城沙織の部屋を訪れた。
「沙織さん」
隆一はドアをノックするでもなく、不躾な呼びつけをする。ここに住む安城沙織
は、二十一歳のフリーター。母親から言付けられた、可愛い大家代行の呼びかけ
に、この店子は驚くほど澄んだ声で返事を送った。
「隆一か?開いてるよ、入んな」
女性専用で、八代家の敷地内にあるという安心感からか、沙織は外出時を除いて
部屋に鍵をかけるという習慣が無い。その事も熟知している隆一は、促されるまま
に、ドアの向こうへ滑り込んで行った。
「沙織さん、お家賃・・・うわっ!」
部屋の中に入った隆一は、時節の挨拶も無くいきなり本題を切り出そうとしたが、
それは店子の異形な姿で抑止されてしまう。何故ならば、沙織はショーツ一枚の
裸同然と言える格好で、隆一を出迎えたからであった。
「なにが、うわっ!だ。失礼な奴だな」
沙織はそう言って、手にしているビールをひとくち。隆一といえば、顔を真っ赤に
して、あわてふためくばかりだ。
「沙織さん!服、服は?」
母親から託された大家代行の威厳は完全に粉砕され、ただの純情な中学生となる
隆一。対して沙織といえば、そんな少年のリアクションを意地悪く見ているだけ。
「服?ああ、全部洗っちまったよ。かろうじて、パンツが一枚だけ残ってたから、
見ての通りの格好なんだ。まあ、こっち来て座んなよ、隆一」
ここで、再びビールをあおる沙織。そして隆一は、
「タオル!タオルかなにかで・・・せめて、胸だけでも隠して!」
と、恥知らずな二十一歳の女性に懇願するのであった・・・・・。

「面倒くさいな・・・」
隆一に促され、しぶしぶタオルを胸に巻く沙織。それでも、半裸に近い。そんな
彼女を横目で遠慮がちに見ながら、隆一はようやく本題に入った。
「沙織さん、お家賃を納めて下さい」
「無い」
しーん、と部屋が静まり返る。隆一の問いかけを、いともあっさりと蹴った沙織
の返答は、とても店子の態度とは思えないほど、堂々としていた。目をパチクリ
とさせ、呆然と沙織を見遣りながらも、隆一は気を奮わせて、
「無い、じゃ無いでしょ!沙織さん、家賃払って下さいよ!」
と、食ってかかっていった。しかし、沙織は少しも慌てず、
「来週、バイト代が入るから、それまで待ってくれよ」
それだけ言って、二本目のビールに手を出そうとする。ここで、隆一は彼女が
取ろうとしたビールをさっと奪い、大家の威厳ここにあり!と、ばかりに沙織
を睨みつけた。
「沙織さん!あ、あなたは、それでも女ですか!パ、パンツ一枚で、ビール
ばっかり飲んで!おまけに家賃も払わずに!これは、没収します!」
そう言って、ビールを懐にしまい込もうとする隆一。家賃が払えないのなら、
物品を差し押さえようとしたのだ。が、しかし、
「何するんだ!返せよ!」
沙織は、二十一歳の女性とは思えないほど、大人気無い行動に出た。彼女は、
隆一に掴みかかり、懐にしまい込まれたビールを取り返そうとしたのである。

「返せ!」
「没収!」
沙織と隆一は、そんな言葉の遣り取りをしながら、組み合い、掴み合った。そう
して、押し合い圧し合いしてる内に、沙織の胸に巻かれたタオルがはらりと落ちて
しまう。
「あっ!」
声を上げたのは隆一だ。純情な中学生の目前にたぷん、と乳房が波打ちながら迫る。
「沙織さん!ちょっと、タイム!タオルが落ちた!」
女性の乳房など目の当たりにした事の無い隆一にとって、今の状況は不利だった。
なんとか休戦に持ち込みたいが、沙織にとってはまたとない好機である。
「タオルがどうしたって?ははん、隆一ってば、おっぱい見たことないの?じゃあ、
この際に良く見ておきなさい!」
隆一が怯んだと見るや否や、沙織は少年を畳の上に敷きっぱなしにしてある布団に
押し倒した。ついで、たっぷりとした女性の象徴である乳房を、ぐい、と隆一の顔
に押し付けて行く。
「うむむっ!」
やめて!と言ったつもりが、くぐもった声にしかならない。この間にも、沙織は
体を密着させ、隆一を己の体で囲い込もうとする。
「あらあら、隆一ったら、お顔が真っ赤よ」
沙織はそう言いながら、隆一の唇と自分の唇が接触しそうな所まで顔を近づけた。
その間に、二人の体はぴったりと密着している。ちょうど、万歳をした隆一の上に
沙織が覆い被さるような形になったのだ。

「やめろ!ママに言いつけるぞ!」
とうとう隆一は大家の威厳を放棄して、素の中学生に戻ってしまった。手足をバタ
つかせ、精一杯の抵抗を試みるが沙織の戒めには通用しない。
「ママに言いつける?そりゃ、けっこう。でも、どう言いつける気?ママ、ボク、
沙織さんにおっぱい押し付けられました、って言う気?」
「・・・」
まさに、ぐうの音も出ない隆一。確かに、母へそんな事を言える訳が無い。少年は
観念したように体から力を抜き、
「わかったから、どいて、沙織さん。家賃の話、ママには何とか言い繕っておく
から・・・」
と、返す。それを聞いた沙織は、少しだけ目を細めたかと思うと、
「そう。じゃ、これはお家賃の利子ってことで・・・」
そう囁きながら、目下の少年へ唇を重ねていった。
「!?」
唐突に唇を奪われた隆一は、戸惑い、震え、指一本さえも動かせずにいる。ただ、
歯をカチカチと鳴らしながら、唇を吸いつけられていくだけであった。その内に
沙織の開かれた唇から舌が差し込まれ、くちゅっと唾液を絡め取られる。
(ああ、沙織さんの舌が入って来た・・・)
沙織の舌は隆一の舌に絡みつき、何とも悩ましい動きを見せた。互いの唾液を
求め合う淫らな口唇愛撫は、二十一歳の女性が完全にリードを取った形となり、
少年を優しく導いていく。

口付けは飽く事無く続くかと思われた。が、しかし、沙織は密着した少年の下半身
に、男の変化を感じ取る。ペニスが硬くなっていたのだ。
「隆一、勃起してるね。ふふ、興奮したの?」
「・・・うん」
「ズボン脱いで、四つんばいになりなよ。まさか、逃げないよな?」
大ぶりな乳房を揺らしながら、隆一を促す沙織。その表情には、淫らではあるが、
優しい母性のような物が窺えている。そして、隆一は男への階段を上る決心を
固めていった。
「これでいい?沙織さん・・・」
隆一は下半身を露わにし、言われるがまま四つんばいの姿勢を取る。それを見た
沙織は、さも満足げに
「ん、上等。それじゃあ、いくわよ・・・」
と、言いながら、ぷりんと白い少年の尻へ顔を埋めていった。
「うひゃあ!」
尻の割れ目に生肉のような感触を得て、隆一は情けない悲鳴を上げる。どうやら、
沙織の舌が這いずっているらしい。
「情けない声を出しなさんな!ん、もう、ムードぶちこわしよ!」
背中越しに沙織が叫ぶと隆一は、
「ご、ごめん、沙織さん」
と、謝り、再び迎えるであろう尻への愛撫に、心を備えさせた。

「じゃあ、やりなおし。今度は変な声出さないでよ・・・」
少しむくれてながらではあるが、沙織は再び少年のヒップへ顔を埋めていく。
そして、割れ目の真ん中にある小さなすぼみを見つけると、何の躊躇も無く
舌先をそこへ差し込んで行った。
「うぐっ!さ、沙織さん・・・」
沙織の舌先は優しい動きとともに、隆一のアヌスを貫き開く。皺の一本、一本
をなぞるように這う舌の感触に、少年のペニスは未だかつて無い程に張り詰めて
いた。そして、沙織の手は少年の太ももを越え、硬度を増したペニスをやんわり
と掴み込んでいく。
「ああ・・・沙織さん、ボク・・・」
ペニスの先端から糸を引かせている先走り液を、沙織の細い指先に絡み取られ、
隆一が切ないため息を漏らす。その様はまるで破瓜を迎える処女の様。
「うふふ、こんなにお汁を出しちゃって・・・そんなに気持ちいいの?」
アヌスを舌で嬲り、少年のペニスを背後から掴んだ沙織は、得意げに問う。
そして、さらに淫靡な微笑を浮かべながら、
「しゃぶってあげるから、立ちなよ」
と、囁いた。

「ああ・・・ああ・・」
立たされた隆一は、まるで呆けたようにうわ言を繰り返している。そんな少年の
下半身には、ショーツ一枚という艶姿の沙織が縋りついていた。
「ん〜・・・んッ、んッ・・・」
頭を上下左右に振り、唇をすぼめ、ペニスを吸い付ける沙織。時折、先端を甘く
噛んでは、隆一を官能の渦へと引きずり込んで行き、自身も女芯を蕩けさせて
行った。
「はあ、はあ・・・大きいね、隆一のおちんちん・・」
言いながら沙織は、指をショーツ越しの女陰へ這わせている。ちょうど、股布の
部分には大きなシミが出来ており、彼女自身も愉悦を得ているようだ。そして、
沙織はこの昂揚感にけりをつけるべく、言い放つ。
「隆一・・・そこ、本棚についてる引き出しに、コンドームがあるから取って」
「う、うん・・・」
隆一が引き出しの中にある避妊具を手に取る内に、沙織は腰を包んでいたショーツ
をぱあっと脱ぎ捨てた。
「沙織さん、これ・・・」
隆一が避妊具を沙織に手渡すと、
「つけてあげるから、おちんちんを突き出しなさい」
二十一歳の女はそう答えて、にこりと微笑む。大人の自分が余裕を持って・・・
そんな気持ちのこもった表情であった・・・

「じゃあ、いくよ。隆一」
「うん」
再び隆一を布団の上へ寝転がらせた沙織は、手早く避妊具をつけると少年のペニス
を逆手に持ち、自らそこへ跨っていく。傍目に見れば、ちょうど馬乗りになった
様な感じだ。何の愛撫も無いのに、沙織の女花はすでに開き、十分に潤っている。
女肉はやんわりと蕩け、ちょっと花弁を開いただけでも、女穴があからさまに
なってしまう。それほどに興奮していた。
「うんんッ!ああ、入っちゃうッ!」
自ら導いたというのに沙織はそんな声を上げ、ペニスに跨っていく。途端、ぐい、
と女肉を掻き分け、貫かれる!という感触が、彼女を覆った。
「ああ、沙織さん!」
対して隆一といえば、初めて知る女肉の柔らかさに男を震わせている。それは、
目前で揺れる女体の動きも相まって、最高の快楽を享受出来たのであった。
「ううッ!い、いいッ・・・隆一、あなたはどう?」
沙織は両手を頭の後ろへ持って行き、腰を前後左右に振りながら隆一に問う。
その姿はまるで踊っているかの如く。
「ボクも・・・すごく気持ちいい!ああ、沙織さん・・・」
隆一は、沙織の下で精を漏らさないように気張っているのが精一杯。しかし、
彼は彼なりに腰を突き上げたりして、少しでも沙織の女を喜ばそうと、努力
をしていた。しかし、少年の絶頂はもうすぐそこまで来ている。

「沙織さん、ボク、もういきそう・・・」
眉間に皺を寄せ、隆一が呟いた。額には汗が玉になって光っている。
「しょ、しょうがない子ね・・・いいわ、いっても・・・」
沙織も一心不乱に腰を振りつつ、言葉を繋いだ。そして、
「出るッ!」
二、三度、ペニスが脈動したかと思うと、隆一が精を放出し始める。男液を
抽送する動きがびくびくと波打ち、それは避妊具を通していても沙織の女穴
がはっきりと感じ取れるほどの勢いであった。
「うくッ!いッ、いってるのね?隆一!ああ、いいわ!」
自らの膣穴で少年を果てさせた事に、恐ろしいほどの快楽を得る沙織。思わず
膣口をキュッ、キュッとすぼめ、精の放出を手助けしてしまう。そうして、ペニス
が果て終わった時、沙織の体ががくりと折れ、隆一の体へ倒れこんだ。彼女も、
達したのである。

数刻の後、裸のまま布団に投げ出されていた沙織が、同じく裸のまま布団の上
に寝転がる隆一に向かって、少し小さな声で呟く。
「隆一・・・もうそろそろ帰らないと、大家さんが心配するよ」
「うん・・・」
少年は別れが名残惜しいのか、先ほどから沙織と唇を重ね合い、見詰め合っては
ため息をついた。その気持ちを察した沙織は、三たび優しく微笑みながら、
「いつでも来ていいから・・・」
そう言って、隆一を抱き寄せる。

「うん、ありがとう、沙織さん」
踏ん切りがついたのか、隆一はようやく重い腰を上げる。そして、手早く着替えを
済ますと、別れの口付けを沙織にせがんだ。
「じゃあね・・・」
沙織がそう言いつつ、軽めのキスを隆一へ捧げる。それは、、まるで母親が赤子へ
たむける優しい口付けの様。
「また来る!」
そう言って、背中を向けた隆一へ沙織は、
「今月のお家賃は、まけてよね!」
と、おどけてみる。そして、隆一は苦笑いを浮かべながら、「かすみ荘」を
後にしたのであった・・・・・。