「京介、京介はどこにいる?」
八月も終わりを迎え、虫の音も涼やかに響く晩夏のある午後、鈴谷巌は
息子の京介を血眼になって探していた。この鈴谷という家は、古より
栄えた地方豪族の流れをくむ商家で、当代に至っても尚、名家としての
威厳を保っている。現当主である巌は、三十六歳。彼もまた、鈴谷家の
後継ぎとして、若き頃より商法に長け家を繁栄させてきた。しかし・・・
「呼んだか?父ちゃん」
巌の呼びかけで、年若い少年がひょっこりと現れる。彼こそが、時期
鈴谷家当主、京介である。巌は、まだまだ幼い少年が目前へ直ると、
「京介!お前、また、伊万里の皿でシロのエサをやったな!今日と
いう今日は許さん!」
シロとは、鈴谷家で飼っている犬の名前。どうやら、京介は一枚何十万円
もする骨董皿で、犬にエサを与えたらしい。巌の怒りは当然と言えた。
「うひゃあ!父ちゃん、マジギレだあ!いい年して!」
ところが、京介といえば何の反省もないどころか、父親に向かって悪態
をつく始末。これには、巌も怒り心頭で、
「おのれ!」
と、乾坤一擲!とばかりに、息子へ掴み掛かる。しかし、京介は、
「親父、推参!」
どこで聞いたのか、時代劇よろしくの決め台詞を放ち、ひらりと身を
かわす。
「おっとっと!」
巌はバランスを崩し、前のめりになった。そこへ、京介の回し蹴りが
一閃する。

「年寄りの冷や水!」
そう言いながら、バシ!と、京介の放った蹴りは巌の尻を思いきり捉えた。
「ぬおっ!」
体躯に恵まれた巌ではあったが、京介の身軽さに翻弄され、とうとう膝を
畳につけてしまう。古びた商家の大広間で行われた親子の葛藤は、息子が
勝利を得た。
「へへーん。父ちゃん、老いたな」
「おのれ!この餓鬼!」
京介がからかうと、巌は大広間に飾ってある刀へ手をかける。鞘を払うと、
ぎらり!銀の刀身が抜きん出た。
「マ、マジか?父ちゃん?」
さすがの京介も、これには驚いた。彼自身、それが真剣である事は承知して
いる。からかいも度が過ぎたか、と思うものの、今となっては、後の祭だ。
「マジも大マジだ!覚悟しろ、京介!」
ゆらり、と巌が刀身を斜に構える。そんな父の姿に圧された京介は、じり
じりと後ずさりながら、いかにしてこの場を逃げるか、と思案していた。
と、その時、
「おやめください!旦那様!」
大広間の襖を蹴って、一人の見目麗しい女性が飛び込んできた。
「弥生!」
京介は、その女性を弥生と呼び、ほっと安堵の表情を見せる。しかし、巌は
「どけ、弥生!もう、簡便ならん!」
と、刀身を収める気配を見せなかった。

「お斬りになるのなら、まずは、この弥生を!」
気丈に言い放つ彼女の名は、磯部弥生。今年、二十四歳になる妙齢の美女で
ある。弥生の生家は、代々鈴谷家に仕えており、言わば補佐役的な事を任さ
れる家柄であった。弥生も十八歳になった時から、鈴谷家に奉公人として
上がっており、時期当主である京介の養育を任されている。そんな立場で
あるがために、巌の信も厚い弥生。彼女は、射抜くような視線で巌を睨み
つけ、どうか刀身を収めて下さいと、美麗な眦で訴えた。
「ううむ・・・今日の所は、弥生に免じて許してやるが・・・京介!二度と
この皿でシロのエサをやったりするなよ!わかったか!」
「はいはい」
弥生の懇願で、ようやく刀を鞘へ収める巌。それと見るや、京介はほっと
一息つきがてら、曖昧な返事をする。しかも、弥生の後ろへちゃっかりと
隠れ、したり顔でしなだれかかっていた。
「弥生、わしは外出する。その餓鬼の面倒を頼むぞ」
「はい」
巌が肩を怒らせ、大広間から出ていった後、京介は弥生の体にへばりつき、
「ありがとう、弥生。助かったよ」
と、礼を述べた。見れば、あつかましくも彼女の乳房をやんわりと揉んで
おり、幼少の身でありながら、手つきがどこかいやらしい。
「おいたが、過ぎますわよ。京介様」
弥生はそう言って、自分の乳房を揉む小さな手を、きゅっと抓り上げた。

「いてて!弥生、容赦ないな・・・でも、冷や汗かいたよ。今度ばかりは、
本当に、斬られるかと思った。」
つねられた場所に、ふうふうと息を吹きかけながら、京介は言う。すると
弥生は、
「旦那様は尚武を尊ぶ方ですから、冗談も度が過ぎますと、本当にお斬り
になられますわよ。うふふ、悪戯はほどほどになさって下さいね」
そう囁いて、京介の体を抱きとめた。そして、二、三度鼻を鳴らし、
「汗臭いですね、京介様。夕餉の前に、湯浴みをなされたらいかが?」
と、じんわりと漂う少年の体臭に目を細める。その表情は、まさに母親の
それであり、彼女が京介に対して見せる愛情の片鱗であった。
「うん。そうする。弥生、一緒に入ってくれるんだろう?」
「ええ、勿論。お背中を流しますわ」
「じゃあ、湯屋へ行こう」
今、広大な鈴谷家の敷地内では、夕食の準備や夜具の用意で家人達が行き
交っている。その中を、時期当主である京介と奉公人頭とも言うべき弥生
は、手を繋いであるいて行った。

湯屋は家屋の端に位置し、母屋からは数間離れている。檜をふんだんに使った
大きな湯船はどうにも豪奢で、心得のある人物が見ればため息が出る程の物で
あった。そして、京介は脱衣所に入ると、
「弥生、服を脱がしてくれ」
そう言って、ふんぞり返る。まるで、時期当主の威厳を示すかのような少年の
行動に弥生は呆れた、とでも言いたげな表情を見せ、
「まあ、京介様。十一歳にもなって、一人でお着替えが出来ないんですか?」
と、返した。しかし、目は優しく微笑んでいる。
「じゃあ、弥生の服はボクが脱がしてやる。それで、おあいこだろう?」
呆れ顔の弥生を尻目に、京介は幼い手を彼女のスカートへと伸ばした。
「あん!京介様、弥生は自分で脱ぎます」
「いや、ボクが脱がしてやる!」
「うふふ。じゃあ、お願いしようかしら。実は弥生も、京介様の服を脱がす
のが楽しみだったりしますから・・・」
湯気が立ち込める脱衣所で、十一歳の少年と二十四歳の淑女はじゃれ合い、
互いの衣服を剥きあっていく。
「弥生、スカートが脱がせないぞ。お尻を振ってくれよ」
「きゃあ!京介様、どさくさ紛れに、変なところを触ってません?」
「触らなきゃ、脱がせないだろう!」
京介は夢中になって、弥生の衣服を剥ぎ取り、彼女をすっかり下着姿に
させてしまう。弥生の方はと言えば、これまた負けじと京介の衣服を
一枚一枚、しかし丁寧に脱がしていった。

「それっ!京介様のズボン頂き!」
「あっ!」
弥生が京介の半ズボンに手をかけ、パンツごとするりと脱がしてしまう。
すると、ぷるんと半剥けの、まだ初々しい程に若い肉棒がお目見えとなった。
薄皮がかむった先端部分は、綺麗な桃色の本身を僅かに覗かせ、ぴくんぴくん
と波打っている。だが、十一歳にしてはサイズが大ぶりで、大人のそれと
あまり差がなかった。
「やったな!弥生!」
「うふふ。申し訳ありません」
笑いを噛み殺す下着姿の弥生に、今や全裸となった京介が挑みかかる。
「弥生も脱がしてやる!」
「ふふっ、お手柔らかに・・・」
京介は、弥生のブラジャーのホックを手早く外すと、妙に手馴れた按配で
メッシュ生地に裏打ちされた、乳房を優しく覆う下着を剥ぎ取った。更に
彼は、淑女の腰を包むショーツを手にかけ、
「これも脱がしてやる!」
と、一気に引き摺り下ろしていく。この時、弥生は僅かに腰を捻り、京介
の手助けをしている。まるで、待ってましたとでも言わんばかりに・・・
「やったね、弥生も素っ裸だ!」
「うふふ。お気が済みまして?じゃあ、お風呂に入りましょう、京介様」
「うん!」
気の合った恋人同士が睦み合うように、二人は互いの裸を見つめる。しかし、
京介の興味が弥生の悩ましいまでに熟した乳房と、若草の翳る下半身へと
移行したらしく、素肌を隠そうともしない淑女の全裸を、まざまざと魅入
っていた。

「・・・どうかなさいまして?京介様」
弥生は、自分の体を凝視する少年に問い掛ける。すると、京介は、
「なんでもない・・・ちょっと、ママの事を思い出したんだ。えへへ」
と、呟き目を伏せた。実は、京介の母親は彼が幼い頃に、鈴谷家を出て
行っている。古い慣習に嫌気が差したとかで、一方的に離縁を申し出て
しまったのだ。母親をママ、と呼び、父親を父ちゃん、と呼ぶ彼の心情
は、幼い心が混乱したためによるものであろうか・・・。
「京介様・・・」
弥生は、自分の体が少年に母親を思い起こさせた事に、複雑な気持ちと
なった。彼女とて、鈴谷家の事情は熟知している。しかし、弥生は只の
奉公人。家の事情に口を挟む権利など無い。
「ママ、どうしているんだろう・・・」
京介は優しい何かを求めるように呟いた。十一歳の少年が母親を慕う気持
ちは、ごく当たり前の事であり、それを理解できる弥生はたまらなかった。
「・・・奥様は、元気にしてらっしゃいますよ。さあ、お風呂を召しませ」
「うん・・・」
弥生に促され、京介は浴室に向かう。先ほどまでのはしゃぎ様が嘘のよう
な落ち込みだ。しかし、弥生にとっては、それが精一杯の言葉であった・・・。

もうもうと湯煙が立ち込める中、弥生は京介の背を流すべく、桶を手に
取る。湯加減を見て、ちょうど良い事を確かめると、京介を湯椅子に座
らせ、ゆっくりと汗を流し始めた。母親の事を思い出し、肩を落とす京介
の沈んだ気持ちも洗い流せれば、と願いながら・・・
「ねえ、弥生・・・」
「なんですか?」
弥生が自らの手で優しく背中を流していると、不意に京介が問い掛ける。
「弥生は、どこにも行かないよね?」
くるり、と振り向きざま、そう呟く京介。真摯に問い掛ける眼差しは潤み、
なにか縋りつくような表情だ。それを見た弥生の心は、痛烈に引き絞られる。
京介はまだ十一歳である。母親がいない寂しさが、目前の自分までもが消え
去るような事を連想させたのであろう、と弥生は考えた。そして、一呼吸置き、
しかし、少しも不安げな顔は見せず、
「ええ、弥生は、どこにも行きません。京介様が大人になられるまでは、
例え出て行けと言われても、居座りますわよ」
と、強く言い放った。その顔があまりにも力強かったためか、京介はほっと
一息ついて、
「良かった。約束だよ」
そう囁く。その様を見た弥生は、ようやく十一歳の子供らしい笑顔を見た、
と安堵する。それにつられて、彼女も微笑んだ。すると、
「弥生はボクの物だ・・・離さない・・・」
京介が戯言にも似た言葉をつきながら、弥生の胸元へしなだれかかった。

「あっ!京介様・・・」
ぷるん、と弾力に富んだ母性の象徴へ飛び込んできた小鳥の存在に、
弥生の女は響く。しかし、彼女にそれを拒む気は無い。
「弥生・・・ボク、おちんちんが固くなってきちゃった・・・いいだろ?」
京介はそう言って、下半身をわざと弥生に密着させ、強張りが示す
雄の気勢を、まざまざと見せ付ける。そして、弥生は、
「ええ、京介様。お立ちになって下さいな。弥生が、おちんちんを
おとなしくして差し上げますわ」
と答え、京介の前にしずしずと跪いた。常識的に考えれば、二十四歳
の女性が、十一歳の少年が示す性衝動に返す行動ではない。しかし・・・
「んっ・・・」
弥生はぐいと反り返った京介の肉棒を、いとも簡単に咥え込んで
しまった。
「うっ・・・ああ、弥生・・・」
目を閉じて、芳醇なワインでも味わうかのように、弥生は京介の若棒
をねぶり始める。一方、京介は淑女が魅せるその淫靡な様相に、低い
ため息を漏らした。
「んっ・・・んんっ・・・」
弥生は憑かれたように頭を振って、少年の肉棒へ口唇愛撫を続ける。
茎をねぶり、鈴口を吸い上げると、十一歳の宝玉袋はくいっと持ち
上がった。

「弥生、すごく気持ち良いよ」
京介が言うや否や、弥生は宝玉袋を優しく掴み、弄ぶ。当然、肉棒は
咥えたままで、離そうとする気配さえ、無い。どころか、宝玉袋を掴
む指を玉門まで滑らせ、小さな菊の蕾をくりくりといじり始めた。
「ああ・・・そこは・・・」
京介が腰砕けになり、跪く弥生に身を預ける。ここで、ようやく二十四
歳の淑女は口を開き、
「いきそうになったら、いつでも弥生の顔にかけてくださいね・・・」
そう言って、淫らに頬を歪ませた。しかも、今度は舌先を尖らせ、肉棒
の鈴口をしつこく責め始めている。更に、手はしっかりと茎を扱き、
空いた指先は菊肛を撫でさすっているのだ。大の大人でも、簡単に絶頂
を迎えてしまうに違いない。しかし、京介は懸命に耐えているようで、
「弥生・・・もう一度聞くけど、弥生はボクの物だよね?」
と、頬を上気させながら、自分の股間へ愛撫を繰り返す女性へ、問う。
「勿論です、京介様・・・その証拠に、純潔だって、捧げましたわ。
弥生は、あなたの物です。京介様・・・」
純潔を捧げた、と言う言葉が、弥生の心を掻き毟る。実は彼女、処女を
捧げた相手というのが、この京介であった。

弥生は、今年の春に京介が精通を迎えると、二十四年間守ってきた自分の
純潔を捧げてしまっていた。それは、鈴谷家へ奉公に上がる際、自分自身に
言い聞かせてきた事である。
(夜伽も立派な、ご奉公のひとつ!)
それ以降、夜伽と称して夜毎に幼い肉棒を女孔へいざない、あらぬ声を上げ
その身を焦がして来た。京介の方も、次第に弥生との同衾が自然となり、体
を合わせる事に、何の疑問も持っていない。今、こうして肉棒を愛撫されて
いるのも、至極当然と思っているのだ。
「弥生、出るよ。おっぱいを突き出して」
京介は、絶頂が近づくと決まって弥生の胸で果てたがった。彼女の乳房に、
別れた母親の影を重ねているかもしれない。
「はい、どうぞ・・・」
弥生は手で肉棒をいざない、乳房と突き合わせる。それと同時に、京介は
腰を振るわせ、股間を揺さぶった。
「弥生!ああ、弥生!」
びゅっびゅっ、と恐ろしいほどの勢いをつけ、飛び散る樹液が弥生の乳房を
犯していく。しかし、精を浴びた淑女は身じろぎもせず、
「うふふ。すごい量。夜伽が楽しみになって来ますわ、京介様」
と、世にも淫らな微笑を浮かべるのであった・・・・・。