秋も深くなり、すっかり日も短くなってきた。下校時間を過ぎたこの美術室から見る窓の外
では、すでに街灯の光が点っている。
「ふう……」
 ひと息つくと、麻田幹彦(あさだみきひこ)は水彩画用の筆を下ろした。
 今年入学した高校で美術部に入部した彼だが、今度ある市の絵画コンクールに出品するこ
とになっている。それが、今描いている作品だ。どうにも筆がのらない状態であったが、一年
生の彼は絶対提出を命じられており、目の前の花瓶を写生しているところであった。
「ひと休みしたら、さっさと描きあげちゃおう」
 気を取り直して絵筆を持ち上げた幹彦だったが、ガチャリと扉が開く音に後ろを振り返る。そ
こには、制服姿の女生徒がドア口に立っていた。
「あれ? 麻田君、まだいたんだ」
「あ……里見先輩」
 里見春菜(さとみはるな)、美術部の部長を務める女生徒だ。幹彦の一つ先輩で、面倒見の
よい性格もあって、なにかと彼に良くしてくれる。
「私は、忘れ物を取りに来たんだけど……どうしたの、ミキちゃん? こんなに遅くまで」
「その呼び方、止めて下さい」
 ちょっとムッとして、幹彦はそう伝えた。
"ミキちゃん"とは、もちろん幹彦のことだ。小柄で、線も細い少年のことを、女子部員たちは
からかってそう呼んだりする。だが、女の子のように可愛らしい、と評される外観にコンプレッ
クスを持つ幹彦は、この呼ばれ方が好きではなかった。
「ああ、ごめん、ごめん」
 たいして悪びれもせずに、綺麗な顔に笑顔を浮かべながらも口では謝りつつ、春菜は部屋
の中に入ってきた。
「そっか、今度のコンクール用の絵ね。確かに、そろそろ急がないと間に合わないものね」
 どれどれ――と、春菜は少年の後ろから、肩越しに彼の絵を覗く。その拍子に、ふわりと何
かいい香りが彼女の方から漂ってきて、幹彦は密かにドキドキとしてしまう。

 春菜は、美人だ。もしかしたら美少女というべきなのかもしれないが、大人びた雰囲気を漂
わせている彼女は、幹彦から見て年上の女性といった印象を強く与える。男子たちの間でもっ
とも人気のある女生徒のひとりで、幹彦も密かに彼女に憧れていた。
「うーん……」
 その春菜は、少年の絵をしばらく見ていたが、やがて短く言った。
「楽しい絵じゃないね」
「え?」
 突然、自分の作品をけなされ、幹彦は驚いて振り返る。そこに、思っていたよりも近い距離
にある春菜の綺麗な顔を認め、彼は再びドキリと胸を高鳴らせて、あわてて前を向き直してし
まった。
「麻田君。この絵、描いてて楽しくないでしょう?」
 そんな彼の内心を知ってか知らずか、春菜は後ろからほとんど寄り添うような距離で、幹彦
に話しかけてくる。
「昼間もずっとつまらなそうな顔で描いていたし……もっと、なにかキミが好きな物を描いてみ
たら?」
「好きなもの……」
「そう。その方がきっと楽しく描けるし、いい絵になると思うよ?」
 少女の呼気が、僅かに幹彦の頬に触れる。自分の顔が赤くなってはいないかと心配する少
年だったが、ひとつの思いが彼の心に浮かび上がってきた。
「あ、あの……じゃあ、」
 口に出そうかどうか迷ったが、つばを一つ飲み込むと、幹彦は覚悟を決めて春菜に向かい
合った。
「その、もしよければなんですけど……里見先輩、モデルになってもらえませんか?」
 やった、言えたっ。心臓をバクバクさせながら懸命に絞り出した言葉に、雪菜はどう応えてく
るのか? 緊張に身体を強ばらせながら返事を待つ幹彦に、年上の少女は、しかし彼とは対
照的に柔らかい笑顔を浮かべて返事をした。
「……そうね、いいわよ」

「本当ですかっ!?」
 承諾の言葉に喜ぶ後輩の少年に、春菜は悪戯っぽい光が浮かんだ瞳を向ける。
「でも、それってやっぱり、告白だったりするの?」
「え……あ、あの、それは……」
 改めて確認されると恥ずかしさがつのり、どもってしまう幹彦。そんな彼の様子に、春菜は
小さくクスクスと含み笑いを洩らした。
「まあ、幹彦君が私のことを好きなことは、知ってたしね。……それに私も、キミに興味があっ
たし」
「先輩、それって……」
 椅子から立ち上がって確認してくる後輩に、少女は頷いてみせる。
「うん。だから、おっけーだよ」
「やった……っ」
 信じられないような思いを抱きながら、無邪気に喜ぶ幹彦。そんな彼を微笑ましそうに見つ
めていた春菜だったが、先ほどから瞳に浮かんでいる悪戯っぽい表情は相変わらずに、少
年に尋ねてきた。
「それで、どんな絵が描きたいのかしら。やっぱり……ヌードだったりする?」
「い、いえっ。そんな……ことは」
 顔を赤らめ、首を左右に振る幹彦。からかわれているのだろうと判断し、自分の狼狽を押さ
え込もうと大きく深呼吸をする。
「あ、あの……普通に座っていてくれれば、それでいいですから」
 体制を整えながらそう応える。だが、せっかく落ち着かせようとした心臓も、次の春菜の一言
で、あっけなく混乱してしまった。
「あら、残念」
「……え?」
(それって……) 残念とは、どういう意味なのか。動揺してうまく次の言葉が出てこない幹彦
に軽く背を向けると、春菜は入り口のドアに向かって歩き出す。
 何事かとその背中を見つめる少年の耳に、『カチャリ』と小さな音が聞こえた。

「さあ、これで私達以外、誰も入ってこれないわよ?」
 ドアのカギを掛けた春菜が、少年の方を振り向いて言った。
「せん……ぱい?」
 ほんのりと、少女の頬が染まっているのがわかる。彼女はそのまま、どうしていいかわから
ずに立ちつくす幹彦に歩み寄ると、そっと顔を近づけてきた。
「ん……」
 幹彦の唇に、柔らかな感触が重なる。
(これ……里見先輩と、キスを……?)
 軽く、合わせるだけのキス。
 それでも彼にとって、これは初めての体験だった。唇が、他者の唇と触れ合う――それだけ
のことが、こんなにも胸を高鳴らせる。
「……はぁ」
 唇が離され、幹彦の口元から吐息が漏れた。春菜はそんな彼を、目元を赤らめ見つめなが
ら、言った。
「さっきのモデルの話だけど、本当にヌードじゃなくていいの?」
「え……で、でも」
 春菜の口から出てくる言葉に、幹彦はまったく着いていけない。なんと答えればいいのかわ
からずに、ただおろおろとするだけだ。
 そんな彼の首に、雪菜の両手がかけられる。抱き寄せるように顔を近づけると、この年上の
少女は、少年の耳元でささやいた。
「私は、キミのこと……脱がしてみたいけどなぁ」

「……って? ……んっ、んん……っ!?」
 再び、幹彦の唇が、少女の唇で塞がれる。しかし、こんどのキスは、先ほどのものとはまっ
たく違った。より深く……強く。頭をクラクラとさせながらその感触に翻弄される少年の唇を、
なにか熱く柔らかなものがくすぐった。
(これって、先輩の……?)
 舌、だ。春菜の舌が、唇の間から彼の口の中に侵入しようとしている。幹彦はわけもわから
ず、それでも今まで雑誌などで仕入れた知識を総動員しながら、彼女の舌を受け入れた。
「うんっ……ん、んんん……」
 ぴちゃぴちゃと、重ね合わされた口元の隙間から、水音が立ちのぼる。口内に入り込んでき
た春菜の舌に、たどたどしく舌を絡ませ返す幹彦。そんな彼の舌や、歯茎や、唇や――あち
こちを翻弄した後に、少女はやっと少年の唇を解放した。
「はあっ、はあっ……」
 荒い息をつく幹彦に、春菜は興味深げな視線を送ってくる。
「キスは、初めて?」
「あ……はい」
 ほんの少しだけためらってから、結局は正直に答えた。妙な格好を付けてみせたところで、
キスの不器用さは伝わってしまっているはずだし。
 少年の返答に、春菜は目元を細めてみせた。
「ふーん、そっか。嬉しいなあ」
 からかわれるかと身構えていた幹彦に、その一言は不意打ちだった。鼓動が、際限なく高
鳴てしまう。
「でも、他の女の子たちには、恨まれちゃうかもね」
 高校生の少年としては可愛らしい外観で、部の女子たちからはマスコット扱いされている彼
である。春菜の懸念も、当然だろう。
 だが、

「……そういう事は、関係ないです」
「うん?」
 幹彦の声の雰囲気が変わったのを察して、春菜は問いかけるような眼差しを向ける。その
彼女の視線を受け止めながら、幹彦ははっきりと口に出して応えた。
「その、僕が好きなのは、里見先輩です……から。だから、他の女の子の事なんて、関係あ
りません」
「……あ」
 一瞬、目を見開き――そして春菜は、本当に嬉しそうに口元をほころばせた。
「ん……」
 そのまま、少年の頭を抱きかかえるようにして、唇を押しつけてくる。
「いいね、幹彦君。今のは、ちょっと……かなりよかったよ?」
 唇に、頬に、耳元に。何度も、何度も、唇を寄せてくる。
「う……わっ、先輩?」
 そんな少女の愛情表現に、慌てながらも照れを隠せない幹彦。しかし、子供にするように彼
の頭を撫でながらキスしてくる彼女の唇が耳たぶを軽く含みまれた瞬間、背筋をビクリとさせ
た。
「さ……、里見先輩?」
「うん……ちゅ、……なあに?」
 鼓膜をくすぐる春菜の声が、なぜか濡れて聞こえる。と、少女の唇に含まれた耳朶に、硬い
刺激が走った。
(あ……)
 間違いない。今、自分は、先輩の少女に耳を甘噛みされたのだ。背中に、ぞくりと震えが伝
わる。
「ん……幹彦君、こういうことも初めてだよね?」
「あ? ちょ、ちょっと、先輩!?」

「いいから、いいから。私に任せて」
 言いながら、春菜の唇の動きはより露骨なものとなる。口に含んだ耳たぶに舌を這わせ、あ
るいは耳孔に熱い息を吹きかける。
「さっき言ったでしょう? キミのこと、脱がしてみたい――って」
「え……って、……ええっ!?」
 春菜の身体が、幹彦を後ろに押しやる。バランスを崩した幹彦の腰と背中を、"パスッ……"
と柔らかな感触が受け止めた。
 美術室においてある、大きめのソファー。部員たちには昼寝にちょうど良いと好評なその上
に、少年は春菜に押し倒されるように座り込んでしまったのだ。
「ん、ぁ……幹彦君……」
 少女の唇が滑り落ちるように、幹彦の首筋に移動する。少年としてはほっそりとした首の脇
や、ほとんど目立たない喉仏の辺りを、舌でくすぐり、唇で軽く吸う。
「んんっ、……気持ち、いい?」
「は……、はい」
 これは、本当だった。肌の上を這う舌の感触。鼻腔をくすぐるのは彼女の髪の香りと、そし
て多分、彼女の汗の匂いだろうか? ぴちゃぴちゃという音が耳をくすぐり――そしてそれら
全部が混ざり合い、彼の思考を痺れさせていた。
「そう……よかった。……じゃあ、自分で気持ちがいい場所は、ちゃんと覚えておいてね? 女
の子も、同じ場所にキスされたり触られたりすると、気持ちいいんだから」
(それって……) 幹彦は、ぼんやりとした頭で考える。
 覚えておけということは、つまり彼も春菜に対して、同じ事ができるということだろうか?

 その間にも、春菜の愛撫は止まらない。顔や首筋へのキスに飽きたのか、ほっそりした指
で少年のシャツのボタンを順番に外すと、肌着にしているTシャツをめくり上げるようにして、そ
の下の肌に手の平をもぐり込ませてきた。
「はあっ……、里見、せん……ぱい」
 肉付きの薄い胸を撫でる冷たい掌の感触に、呼吸を荒くする幹彦。やはり興奮しているので
あろう、こちらも息を熱くしている春菜が身体をずらし、外気にさらされた少年の胸に顔を埋め
た。
「幹彦君、すごく白くて綺麗な肌してるね……男の子なのに、ずるいくらい」
 ちゅっちゅっ、と小さく音を立てながら、何度も唇をあてる。
「……ん、んん……どう?」
「あ、はい……なんか、くすぐったいです」
 その返事に、可笑しそうにクスッと声をもらすと、春菜は少年の胸を舌で舐め始めた。ヌル
ヌルといた感触が這い回る。やがてほとんど凹凸のない小さな乳首に到達すると、その部分
を唇でついばむように刺激した。
「ふ……あはっ、わかる? 幹彦君の乳首、立ってきたよ?」
 もちろん、気づいていた。胸のところがギュっとしこった、なにかヘンな感じになっている。そ
の場所を、春菜が舌がちろちろと玩んでいる。
「ふふふ……ミキちゃん、可愛い」
 上目遣いに少年の表情をうかがいながら、春菜は楽しそうに行為を続ける。
「言ったでしょう? 男の子も、女の子と一緒。気持ちいい場所を触られれば、同じように気持
ちよくなるの」
 つつ――っと、幹彦の肌の上を、少女の舌が滑っていく。唇が少年の乳首から離れ、こんど
は脇腹の方へと移動する。
「ん……脇腹とかも、気持ちいいでしょう」
 肋骨の形が僅かに浮かぶ脇の部分を、その凹凸を確かめるように舌がなぞり上げる。その
部分から、ゾゾッと弱い電流のようなものが幹彦の背骨の方まで走った。

「……んっ、……ちゅ」
 雪菜の唇での愛撫は、さらに続く。脇腹から、もう一度胸の方へ。そして平らな腹部に降り
てくる。ズボンのウエスト部分のすぐ上にまで達すると、その細く白い指でベルトの留め金を
カチャカチャといじり始めた。
「せん……ぱい」
 床に膝を付きながらズボンの前をまさぐる年上の女性の姿に、不安と興奮と、そして期待に
声を震わせる幹彦。
「ねえ、腰……上げて?」
 髪をかき上げながら、春菜がそう囁く。抗いようもなく言われたとおりに腰を浮かせる少年の
ズボンと下着とを、少女の手が下ろした。そのまま、靴を脱がせ、脚から服を抜き取ると、幹
彦の両脚の間に身体をもぐり込ませてきた。
「ふふっ。もう気持ちよくて、大きくなってるね」
 悪戯っぽくそう話す少女の声は、しかし同時に興奮に濡れた響きを伴っていた。
 彼女の言うとおり、幹彦のその部分はもう限界近くまで張りつめ、いきり立っていた。少女の
顔のすぐ前で、彼女を求めながらそそり立つ自分の肉棒。それを潤んだ瞳で見つめる春菜。
 だが、少女は幹彦の渇望をはぐらかすように、その部分には触れてはこなかった。
「でも、もうちょっと……んっ、んん……」
 代わりに、少年の太股を手で撫でながら、脚の内側を舐め上げた。
「う……っ」
 もどかしい、しかしやはり敏感な部分を責められる刺激に、幹彦は奥歯を噛む。内股をねぶ
られることで生まれた痺れは、そのすぐ上の股間に流れ込み、少年の起立したモノをピクピク
と震えさせた。
「ね? ここも、感じるでしょう?」
 まるで少年の敏感な部分をすべて掘り起こそうとしているような、そんな仕草で、春菜は淫
らな愛撫を続ける。

 憧れの上級生が見せるあまりに淫らで、そしてあまりに甘美な快感に、幹彦は脳が真っ白
になりそうな悦楽に焦げてしまいそうだった。
「さ……里見先輩、……っ」
 忍耐を遙かに越える淫楽がもたらすもどかしさに、少年は少女の名を求めるように口にする。
「はぁ……あんまり待たせるのも、可愛そうかなあ」
 仕方が無いなあ――そんな口調で言う春菜だったが、その瞳には隠しようのない興奮と熱
が籠もっていた。鼻先でヒクヒクと蠢いている若い肉槍に、少女らしい細い指が触れる。
「……っっ!」
 瞬間、幹彦は全身を突っ張らせるように硬くした。生まれて初めてその場所に加えられた他
人による刺激に、もうすこしで弾けてしまいそうになるのを、唇を噛んで押さえ込む。
「本当は、もっといろんなトコロを舐めてあげたいんだけど……そろそろ、ここも可愛がってあ
げるね?」
 眉を歪め、ほとんど苦しそうな表情を浮かべる歳下の少年の顔を、春菜は嬉しそうに鑑賞し
ながらそう囁いた。
「ミキちゃんのも、濡れてきてるね。ほら、先っぽのほうに、滲み出てる」
 冷たく、柔らかな感触の指が熱くヒクついた起立に絡みつく。
「ね、言ったでしょう? 男の子も女の子も、感じるといっしょ……ん、」
「う……あっ、先輩!?」
 少年の先端に、今まで想像も付かなかったほどの快感が走った。柔らかな、濡れた質感が
そこに触り、尿道から滲み出ていた透明な粘液をついばんだのだ。
(里見先輩の、唇……僕のを、口でっ!?)

「ん……くうっ!」
 腫れ上がった亀頭の部分を半分ほど口に含んだところで、春菜は少年のモノが苦しそうに
震えているのに気づき、いったん唇を離した。
「う、ん……っ……もう、出ちゃいそう?」
 僅かに心配するような声で、幹彦に訊ねる。
「できれば、もうちょっとだけ頑張ってね。ん……いっぱい我慢した方が、きっと気持ちいいか
ら」
 そう告げると、春菜は再び彼の肉棒に口を寄せた。片手で根本のほうを固定しながら、ぴちゃ、
ぴちゃ――と水音を立てて舌で表面をなぞり、少年のいきり立ったモノを唾液で濡らしていく。
「ん……はぁ、大きいね。こんなに……んちゅ……硬くて。……これじゃあ、もう、ミキちゃんな
んて呼ぶのは、ヘンだよね……んんっ」
 ぬめり、僅かにざらつく舌の感触が、幹彦のペニスの胴体を這い回る。自分の手しか体験し
たことのない彼にとって、それは未知の快楽だった。少女の口が与えるひとつひとつの刺激
に、彼は比喩ではなく腰がグズグズと溶けてしまうのではないかと感じた。
(うわ……あっ!)
 そして、肉の快感だけではない。年上で、美人で……手の届かないものと考えていた少女
が、彼の足元にひざまづき、男の醜い性欲の象徴である起立に、あろうことか口での奉仕を
行っているのである。
「んぁ……んん……、ちゅ……」
 綺麗な顔で、幹彦の血管の浮き出た肉筒に、淫猥な奉仕を続ける春菜。その光景は、彼の
ペニスだけではなく、精神そのものをも焼き尽くすかと思えた。
「先輩……里見せんぱ、い……っ」
 こめかみがキリキリと痛くなるほどに歯を噛みしめて、堪える。が、それも長く持つとは考え
られなかった。腰に溜まりこんだ熱は、グラグラと沸騰し、ほんの少しでも気を緩めれば溢れ
てしまう寸前だったのだ。

「はぁ……いいよ? いつでも……んっ、ぅん……出したいときに、出していいからね?」
 恐らくは彼の切迫した表情と、そして唇に伝わる気配から察したのだろう。春菜が愛撫の合
間に、濡れた声でささやく。
「顔は、出されると……髪に付いたら、取るのに大変だから……んんっ、……ちゅ……口の中
に、出していいから……」
「そん、な……くぅっ」
 春菜の言葉になにか答えようとした幹彦だったが、その口は簡単に封じられてしまった。股
間に新たに加えられた感触が、彼にそんな余裕を与えなかったのだ。
(せんぱい……口の中に!?)
 少年の股間に深く顔を埋めるようにして、春菜はグロテスクに膨れ上がったペニスを、口腔
に含んでいた。
「ふく……ん、くぅ……」
 口がふさがれたせいでやや苦しそうな鼻息が、幹彦の陰毛を揺らしている。その体勢で、春
菜の頭が小さく動く。"じゅる……"と、唇と肉茎の隙間から、唾液がにじんで音を立てた。
「く……ぁっ!」
 凄い刺激だった。さっきの舌で舐められるのも気持ちが良かったが、今はそれ以上だ。ペニ
ス全体が、濡れた口の中の感触、春菜の体温でつつまれている。
「んん……ん……っ」
 小さな口のどこにそそり立った肉棒が入っているのかと疑問に思うほど、春菜の唇はほと
んど根本近くまで、少年を咥え込んでいた。
 そこから、少女がゆっくりと頭を引く。
「……じゅ、んん……」
 すぼめられたピンク色の唇の間から、ズルズルと唾液に濡れた肉の幹が姿を現す。同時に
、舌や、口蓋や、口元や……そしてそれ以外の口内の器官が、幹彦の張りつめた性器のあ
ちこちをゾロリと擦りあげた。

「ん……くぅっ!」
 我慢の限度を超えた快感は、もはやむしろ苦しみとさえ感じられる。それでも顔をゆがめな
がら耐える幹彦を眺めながら、春菜はさらに頭をもたげていく。
 唇の締め付けがペニスの腹の部分を過ぎ、カリの部分に少しだけ引っかかる感触を残して
乗り越え、最後に腫れ上がった亀頭が口内からつるりと滑り出る。
「ぷ……はっ、……はあっ、はあ……」
 それなりに苦しかったのか、解放された口で大きく息継ぎする春菜。しかし浅ましく勃起した
肉茎から顔を離そうとはせず、少年の欲望に頬ずりするように寄り添いながら、誘惑する。
「がんばるね……でも、ん……イって、いいのに……んぁ」
 もう一度、繰り返し男性器に唇を寄せ、ついばむようなキスの雨を降らしながら、柔らかな
手でさすり上げる。
「……ちゅ、大丈夫……全部、飲んであげるから……んっ、ふぅ……」
 まるで彼の精液をねだっているかのような、春菜のその猥雑な仕草と表情に、幹彦の頭の
中で押し止めていたものが決壊した。
「せ……先輩、もう……っ!」
「うん、来て……ふっ、……んぅ、んんんっ」
 少年の声に応え、春菜がは彼のモノを唇の間に迎え入れると、銜えた先端部に口内で舌を
絡ませながら、ちゅうっと強めに吸った。
 その刺激が最後の引き金となって、最後まで堪えられていたものが、幹彦の下半身で決壊
する。
「う、くぅ……っ!」
 どっと、ぎりぎりまで圧力が高まっていた欲望が、少女の温かい口内に溢れ出した。
「ん、ん、んんんっっ!?」

"ドクンッ、ドクン――ッ" と、尿道を駆け抜け、熱い粘液が先端から吐き出される。
「あ……ああっ」
 腰をガクガクと震わせながら幹彦が放出するソレを、春菜は約束通りに口の中で受け止め
た。唇を絞めなががら、根本の辺りをゆびでさすりつつ、やがて少年の射精が終わるまで口
に含み続ける。
「はぁっ、はぁっ、はぁ……」
 荒く息をつきながら、幹彦は脱力した躰をソファーに預ける。これほど長い射精は初めてだっ
たのではないか。そんなことを考えながら、この快感を与えてくれた春菜に目をやると、少女
はだまって口を閉じながら、彼のことを見ていた。
 床に座り込む春菜と、ソファーに腰掛けた幹彦の目が合う。そして、少年の視線の先で、少
女の口元が動いた。
「……ん、……こくっ……んっく……」
(あ……っ)
 少女の喉が上下し、幹彦は彼女が自分の欲望の排泄物を嚥下していることを、はっきりと
知る。
「里見先輩……」
 半ば呆然と、憧れの上級生が演じるその淫靡な光景に目を奪われている少年に見せつけ
るように、春菜は何度かにわけて、口の中の青臭い粘液を飲み下した。
「……っ、はあ……いっぱい、出したね……?」
 口元にこびり付いた白濁の残滓を指先で拭いながら、少女は幹彦の顔を見上げ、悪戯っぽ
く微笑んで見せた。

 春菜が浮かべた艶のある笑みに、修二はつばを飲み込む。
 だが同時に、放出によって正常な思考が戻ってきた頭に、自分たちが今どこで何をやって
いるのかが改めて認識される。美術室の外、ドアの向こうに誰かがやってきていないか。ある
いはすでに誰かに気づかれてはいないかと、不安が強く浮かび上がる。
「まだ……んっ、少し残ってる……うん……っ」
 そんな彼の心配をよそに、春菜は再び幹彦のものに口づけた。やや力を失ったソレの先端
を優しく咥え、ちゅっと啜りあげてみせる。尿道に僅かに残った精液を吸い出される感覚に、
少年の腰がぶるっと震えた。
「うぅっ、……先輩?」
 くすぐったい快感に声を洩らしながら、幹彦は廊下に人の気配は無いかと耳をすましつつ、
少女に声を掛けた。
「?」
 少年の性器から口を離そうともせず、上目遣いに彼を見た瞳のみで問い返す春菜に、幹彦
は訊ねる。
「里見先輩、なんで急に、こんな……」
「なんでって――だって私たち、つき合うことになったんでしょう?」
 不思議そうに、そして少年に甘えるように、年上の美少女は彼に応える。いったんはペニス
を唇から出しながらも、その間も顔を寄せ、唾液と精液とで濡れた表面を指で玩びつつ話す
春菜。
 彼女の表情と仕草に吸い込まれてしまいそうになりながらも、幹彦は上手く動かない舌を繰
りながら、なんとかこの異様な状態を理解しようとあがく。
「でも、いくらなんでもこんな……急だったし。それに、こんな……学校で……」

「その、ゴメンね。私、本当は、こういうエッチなのが好きなコなの。……もし、幹彦君が嫌なら、
それでやめるけど」
「えっと……」
 年上の美少女の顔に浮かぶ、淫蕩な表情。口元を幹彦の出した精液で汚しながら彼を見
上げる彼女の瞳に吸い込まれるように、少年は逆らいようもなく応えていた。
「すみません。……いやじゃあ、ないです」
「うん、ありがと」
 クスリと笑いながら、春菜は少年の股間に顔を伏せ直す。
「ほら、動かないで。今、綺麗に……するね?」
 クチュクチュと、くすぐったい感触がペニスの上を這い回る。
「ちゅ……はい、おしまい」
「あの、先輩」
 口を離した春菜に、幹彦は声を掛ける。
「うん?」
 少年のペニスに手を添えながら、男の股間にもぐり込むように床にひざまずきながら。無邪
気そうな、それでいて明らかな媚態の入った笑みを浮かべながら、少女は小首を傾げてみせ
た。
 そんな彼女を見下ろしながら、幹彦は言う。
「今度は、僕が里見先輩のこと、気持ちよくなって欲しいです」
「ふふ……そうかあ」
 少年の言葉に嬉しそうな表情を浮かべると、春菜は制服のポケットからハンカチを取り出し
、口元を拭って立ち上がった。誘うように、両腕を彼に向かって広げてみせる。
「ありがとう。じゃあ、お願いね」

「はい……それじゃあ……」
 さっきまでの、春菜が与える快感を受け止めていたときとはまた違う緊張を感じながら、幹
彦は先輩である女生徒に手を伸ばす。どの程度の力を込めて良いのかわからずにそうっと
彼女の身体を抱きしめると、先ほど春菜が彼にやったように、首筋を舌を添わせた。
「ん……っ、そう、そこ……気持ちいいよ」
 少女の言葉に励まされるように、唇を這わせる。鎖骨の辺りから顎の舌の辺りに何度も口
づけしたり、耳たぶを軽く吸ってみたりする。
「ふふ……あんっ、くすぐったい」
「え、あ……す、すみませんっ」
 腕の中で少女がビクッとしたのに驚いて、幹彦は思わず身体を離し、謝ってしまった。
「あ、ごめんね。別に悪かったわけじゃあないの。その、続けてくれる?」
 春菜にそう言われて、『しまった』と思ったが、もう遅い。いちいちビクビクすることではなかっ
たのだ。こうした行為に不慣れたところをさらけ出してしまい、そのことに自己嫌悪を感じてし
まい、幹彦は身体が動かなくなってしまう。
 そんな年下の少年を『仕方が無いなあ』というように笑って見つめながら、春菜は彼を励ま
すような、あるいはからかうような仕草で彼に提案してきた。
「ねえ、じゃあ、こうしましょう? ここからは、幹彦君が私のご主人様。私は、キミの思うがま
ま」
「えっ、そんな……」
 唐突な提案になんと応えていいか分からない幹彦。そんな彼の顔に綺麗な顔を寄せて、春
菜は誘惑するようにささやく。
「難しく考えなくてもいいわ。何でも、幹彦君の好きにしてくれていいの」
 少女の声と共に吐き出される息が、少年の耳朶を溶かす。

「さあ。何がしたいの? 私に、何をして欲しい? 幹彦君が言ってくれれば、何だってしてあ
げるし、何をしてもいいんだよ?」
 耳から入った言葉は、血液を伝わり、心臓の鼓動を強め、そしてその震えが全身に渡る気
さえする。
 幹彦はつばを一つゴクリと呑み込むと、欲望をおずおずと口にしてみた。
「あの……じゃあ、先輩の……裸が見たいです」
 なんと反応されるか。どきどきしながら出したその言葉に、春菜は芝居がかった仕草で一礼
してみせる。
「はい、わかりました。幹彦"さま"」
「えっ?」
 目を丸くする少年の顔を可笑しそうに見つめながら、少女は笑顔で応えた。
「だって、そうでしょう? 今のキミは、私のご主人様なんだから。私は、幹彦さまにお仕えす
るの」
 春菜の手が、制服にかかる。ブレザータイプの上着を脱ぎ、傍らの椅子の背に簡単に掛け
る。スカートを抜き取ると、スラリとした両の脚が露わになった。ブラウスの裾の間から、薄い
ブルーのショーツが見え隠れした。
「ん……」
 幹彦の目を十分に意識した思わせぶりな態度で、少女はさらに手を動かす。胸元を飾るネ
クタイを外すと、ブラウスのボタンを上から順番に外していく。その隙間から、彼女の白い肌と、
ショーツと同色の下着に包まれた柔らかそうな膨らみが姿を現した。
「先輩……きれいだ」
 思わず呟いてしまう幹彦に、春菜も少しだけ頬を染めながらはにかむ。
「ふふ……ありがとうございます」
 ブラウスを脱ぐと、手を背中に回し、下着のホックを外す。幹彦が何度も頭の中で想像して
いたふくよかな乳房が、とうとう現実に彼の目にさらされた。

「先輩……」
「ダメですよ、幹彦さま。やりたいことは、まず言っていただかないと」
 思わず、誘い込まれるように、少女の胸の膨らみに手を伸ばす。しかし春菜は、その幹彦の
手をそっと拒んで腕で胸を隠すと、例の悪戯っぽい眼差しを彼に向ける。
「里見先輩の、ムネ……を触りたいです」
 度胸を決めて自分の素直な欲望を口にする少年に、春菜は満足そうな顔をしてみせた。
「いいですよ、幹彦さま。でも、できれば名前で、『春菜』と呼んで下さいな?」
「うん。じゃあ、春菜……先輩のムネ、触りたい」
 上級生の娘のことを名前で呼ぶのは、内気な性格の彼にとっては、それだけでドキドキす
る体験だった。しかし呼ばれた方の少女は、嬉しそうに頬を緩める。
「どうぞ、幹彦さま。でも、優しくして下さいね」
 春菜は先ほどまで幹彦が座っていたソファーに座ると、少年の手を引いた。今度は幹彦が
彼女に覆い被さるような体勢となる。
「じゃあ、触って……」
 少女の手が幹彦の手を取り、胸の膨らみに導いた。ちょうど彼の手の平に収まり、ほんの
少しだけあまるほどの大きさの膨らみ。初めて体験する柔らかな手触りを感じながら、少年
は少しづつ手を動かしてみた。
「っん……気持ち、いい……」
 女性の乳房は、少年がいままで想像していたよりも、ずっと柔らかかった。手にそっと力を
入れると思い通りに形を変え、そして緩めると指に張り付くように元に戻ろうとする。
「うっ、ん……もう少し、強くしてくれても、いいよ……ああ、そう……っ」
 春菜の声に励まされるように、幹彦は手の動きを徐々に大胆にしていく。手の平全体で揉み
上げるように柔肉を愛撫すると、少女の口から熱い吐息がもれた。
「ふぁ……幹彦さま、上手です……んんんっ」
 年上の少女にそんな声を上げさせているのが自分であることに、少年は歓喜と興奮を覚え
る。夢中になって乳房を玩びながら、幹彦は指を先端に色づく突起へと伸ばした。
「ふあっ……あああっ」

 春菜の反応に少年は自分の行為に自信を持ち、乳首への愛撫を強めていった。顔を寄せ、
唇で軽く挟むと、舌で転がしてみる。
「はあっ、はあっ……幹彦、さま……?」
 少年の頭を胸に抱くように手で包みながら、春菜が声をかける。
「わかる……よね? 私が、……んっ、……感じてるの」
「うん。春菜先輩の乳首、硬くなってる……」
「ふあ……はい。……幹彦さまが感じていたときと……あぁ……一緒です」
 少女のそこは、小さくしこった指触りを感じさせていた。彼女を感じさせている明確な証拠を
目にして、幹彦は幼い興奮と感動に突き動かされる。さきほど春菜にされたことを思い出しな
がら、手で胸をいじりつつ、顔を彼女の脇腹の辺りに移動させた。
「んっ……そこも、感じ……て……」
 贅肉を感じさせない脇腹のあたりと舌でくすぐるように舐めると、細いからだがビクビクと震
えた。
「ん、ああ……っ、みきひ……こさま……ぁ」
 甘い声を上げる少女。
「はぁ……幹彦さま、言って……言って下さい。……んんっ、わたしに、何をしたいのか……
ああっ」
 快感に白い肌をくねらせる春菜に、幹彦の亢奮も高まっていた。先ほどまでのおどおどとし
た態度が薄れ、少年は欲望を素直に口に出した。
「春菜先輩のアソコが……見たいです」
「ん……っ、見たい……だけ?」
 顔を上げ、春菜の目を見返しながら、晴彦は答えた。
「見て、触って……春菜先輩に、気持ちよくなってもらいたいです」

「……はい。じゃあ、お願いします。脱がして下さい、幹彦さま」
 少年がショーツに手を掛けると、春菜も腰を上げてそれを手伝ってくれた。
「お手伝い、しますね……」
 女性の下着を脱がすなど初めての体験である幹彦だったが、少女の手助けもあって、なん
とかショーツを彼女の脚から抜き取った。
「……見るのは、初めてだよね?」
 女性のもっとも秘やかなその部分に顔を寄せて見ていた幹彦に、春菜が訊ねてきた。
「うん。写真とかでは見てるけど、本物を見るのは初めてです」
 返事をしながら、割れ目へと指を伸ばす。指先が触れた拍子に、クチュリという小さな音が、
そこからおきた。
「ん……っ」
 春菜がピクリと身体を震わすのを感じながら、少年はさらに指を進めていく。
「先輩のここ……濡れてる」
 女性のその部分が分泌液で濡れるということは、当然彼にも知識はあった。しかし現実のそ
れに触れ、幹彦は興奮した。
「あ……んんっ、……幹彦さまが……気持ちよくしてくれたから……はぁっ」
 秘裂を撫で上げていくうちに、さらに奥まで続いていく場所を探り当てる。そこに指を沈み込
ませながら、幹彦は舌で春菜のそこをなぞりあげた。
「ふあっ……あ、あ……」
 割れ目をかき分けながら、さらに奥を舐める。淫肉の上部に小さな膨らみを見つけ、ソレを
指の腹で軽く押しつぶすように撫でてみる。
「や……あっ、そこ……はあ……ぁっ」
 しこりを感じさせる小さな肉の芽を指先で軽く玩び、舌で舐め上げた、そのとき、
「う……あ、あ、あああ……っ!」
 春菜が妙に焦燥を感じさせる声を上げると、ビクビクと身体を震わせた。

「はあっ、はあっ、はあ……」
 くたっと、ソファーに裸の身体を預けながら、荒い息をつく少女。
「えっと、春菜先輩?」
「あ……、うん」
 春菜は両手で身体を支えながら、気怠そうに上半身を起こす。
「軽く、イっちゃった……幹彦君、初めてのくせに上手すぎるよ」
 そう口にする少女の顔は淫らに赤く染まり、目は快楽への欲求で充血していた。彼女のそ
んな様子を見て取り、幹彦の股間にはもう我慢できないほどの熱が流れ込んでいた。
「先輩、僕……」
「うん、わかってる。私も、一緒だから」
 おそらくは幹彦の顔に、彼が少女の顔に見たのと同じものを認めたのだろう。春菜は求める
ように、彼に抱きついてきた。
「私の中に、幹彦君のをちょうだい」
 いきり立ったモノに少女の下腹部が押しあてられる。それだけでも出してしまいそうになるの
を、必死で抑える。ここまできて、それはあまりにも勿体がない。
「その……幹彦君は初めてだし、私が上になっていいよね?」
 身体を入れ替え、春菜は彼の上にまたがるように姿勢を変える。彼の腰の両脇に膝を付くと
、幹彦の起立にそっと指を絡めて位置を確認した。
「んっ……う」
 ゆっくりと、少女は身体を下ろす。その淫猥な様子を下から見上げる幹彦は先端に、柔らか
な、熱く濡れた感覚がペトリと触れた。

「ふ……うっ……あ、ああ……」
 ため息としては熱が籠もりすぎた声を吐き出しながら、春菜は腰を下ろしていく。まるで苦痛
に耐えているかのように歪められた眉が、小さく震えていた。
「ん、くぅ……っ」
 幹彦の欲棒が、柔らかな、それでいて窮屈なヌメリの中に包まれていく。熱い体温にくるま
れ、彼は自分が本当に、ずっと憧れていた上級生の美少女と繋がったのだと実感した。
「はあっ……はあ、あ……」
 やがて幹彦の上に完全に腰を下ろすと、春菜は深く息をついた。
「ねえ……わかるよね? 私たち、つながってるの」
「……先輩の中、すごく気持ちがいいよ」
 彼の顔を見下ろしながら、少女は少し笑みを浮かべる。
「うん、じゃあ……動く、ね……?」
 少年の薄い胸に手をつき、春菜はゆっくりと腰を動かし始めた。
「ふあっ……はあ、はあ……っ」
 それはあまり大きな動きではなかったが、初めての女性の胎内を体験する幹彦にとっては
十分すぎるほどのものだった。
「う……せんぱ、い……っ」
 少女が動く度に、張りつめたモノの表面をびっしりと包む柔肉が、ずるりと快感を刺激する。
圧倒的な肉感に、彼の腰から全身に悦楽の波が走り巡った。先ほど一度出したことなど何の
関係もないほどに、春菜の膣道が彼に与える快感は、あっというまに彼を追いつめようとして
いた。

「う……ん、……イきそう?」
 こめかみに力を込めながら快感に耐える少年の顔を、春菜は上からのぞき込みながら訊
ねる。
「いいよ……中でイっても、大丈夫だから……はあっ、あ……」
 蜜のような誘惑の言葉をささやかれ、幹彦の興奮はさらに昂まる。もう先ほどまで感じてい
た、ここが学校で、誰かが来でもしたら等という不安は、頭から消え去っていた。今はただ、こ
の快楽をギリギリまで汲み上げるのが彼にとっての全てだった。
「はぁっ……っ、でも、できたらもう少しだけ我慢……して。……そうしたら私も、そんなに……
しないで、……んっ、イけそうだから……ああっっ」
「春菜……先輩っ」
 彼女の言葉に、幹彦はなんとか限界に達するのを先延ばしにしようと耐える。しかし彼の肉
棒を包み込む甘美な触感は、それを許してくれるとは思えなかった。
「……くぅっ」
 奥歯を噛みしめながら身体の上にまたがる少女を見上げた彼の目に、身体を動かす度に
小さく揺れる春菜の白い乳房が入ってきた。さほどの考えも無しに、その柔らかな双丘に両
手を伸ばす。
「ふあっ……ああっ、幹彦、くん……っ!?」
 突然の刺激に、春菜の息遣いのトーンが変わった。それを確認して、幹彦は少女の胸への
愛撫をさらに強いものにしていく。
「ん……っ、あ、や……感じすぎて……んんんっっっ」
 甲高い喘ぎ声がもれると同時に、少年のペニスをくるむ膣壁がきゅっとその締め付けを強く
する。それでも、少女の絶頂を少しでも早くしようと、幹彦は春菜の柔らかな乳房を手の平で
揉みしだき、硬くなった乳首を指で摘んで刺激した。

「ふ……あ、ああ……いっちゃ……んぁああっ」
 追いつめられたような声をたてながら、春菜が喘ぐ。しかし幹彦の方でもそれは一緒で、も
うほんの僅かのうちに達してしまいそうだった。
「先輩……もうっ」
「うん……、いいよ……わたしも、だから……はあっ」
 腰の動きを大きくしながら悶える少女に応えるように、幹彦も下から彼女の身体を突き上げ
る。
「ふ、あ……はあ、い……ああ、あ……っ」
 二人の息遣いや、繋がった場所から起こるイヤらしい音、ソファーのキシキシと軋む音や
自分の鼓動の音が、ごちゃ混ぜになって少年を包み込む。そんな淫らな空気の中で、押さえ
つけられていた幹彦の欲棒の堰が、決壊した。
「うう……、せんぱ、い……っ!」
 最後に全身の力を込めて突き上げると、少年は春菜の一番奥で達した。さっき、少女の口
の中に出したとき以上の快感が、彼の腰を揺さぶる。
"ドクッ、ドクッ……"
 下腹部の最奥に少年の精を打ち込まれ、その感触に春菜もまた絶頂を迎えた。
「はあ、あ、イ……イっちゃ……ぁあああっっ!」
 形のいい眉をきゅうっと顰め、目蓋をぎゅっと閉じながら、ひときわ高い声を上げて快感の
頂点に辿り着く。
 二人の動きが止まり、ただビクッビクッと全身を震わせる。
「………はあ、ぁ」
 やがて、どちらの口からもれたものか、深い吐息と共に、幹彦と春菜の躰は重なり合ってソ
ファーの上に崩れ落ちたのだった。




「あの、それでモデルの件なんですけど……」
 身支度を整え、行為の跡を簡単に片づけると、二人は美術室の戸締まりをして一緒に校門
を出た。火照った肌に夜の涼しい風を心地よく感じながら、幹彦は春菜にそう声をかけた。
「うん? だから、いいよ。幹彦君なら普通の格好でも、ヌードでも、どっちでも描いてもらって
いいもの」
 楽しそうに、からかいの笑みを浮かべながら答える少女。その綺麗な顔が隣にいる特権に
喜びを覚えながら、幹彦は言う。
「あ……いえ、でも一般のコンクールに出すのに、高校生の僕が春菜先輩の裸の絵をっての
は、マズイですよ」
「うーん、それもそうねえ」
 唇に人差し指を軽く触れながら、首を傾げて考える仕草をする春菜。だが何かを思いついた
ようにポンと手を打つと、幹彦の顔をのぞき込むように、顔を近づけてきた。
「じゃあ、さ。明日、私の家に行こうよ」
「先輩の家に?」
 提案に、少年はドキリとする。彼は、まだ誰か女の子の部屋に入ったことがなかった。それ
が春菜の部屋となれば、よけいに鼓動が早まってしまう。
「そう。そうすれば、幹彦君の気に入る服を選んでもらえばいいんだし。それに……」
 耳元に寄せられた唇が、ささやく。
「幹彦さまのためでしたら、春菜はいくらでも着せ替え人形になりますよ? ちょうど明日は、
父さんも母さんも出かける予定で、家にはだれもいませんし」
 春菜のその言葉に、幹彦の背筋が興奮にゾクリと震える。
(絵なんて、本当に締め切りに間に合うのかなあ?)
 期待と不安に絡め取られながら、幹彦はこの綺麗な上級生に完全に魅了されてしまった自
分を、心地よく感じていた。