「さあ、今日は日曜の朝な訳だが」
と、各務加奈は起き抜けの顔を洗うと、元気良く寝巻きを脱ぎ始めた。時計を見るとちょ
うど八時。お腹もいい感じに減っている。

「まずは朝ご飯だな」
着替えを済ませキッチンへ行くと、結婚して十二年目の夫婦、加奈にとっては父母にあた
る人たちが、娘の目も憚らず抱き合っていた。加奈は朝からお盛んで、と心の中で呟く。
「おはよう、パパとママ」
「おはよう」×2
加奈の父母はいまだに新婚気分が抜けないそうで、毎朝毎夜、娘の前だろうが後だろう
が平気でいちゃつくのである。夫婦仲が良いのは大いに結構なのだが、加奈が小学四年
生という微妙なお年頃である事を考えれば、少しくらいは控えるべきかもしれない。

「あれ?朝ご飯は?」
テーブルについた加奈は、朝食の用意が無い事に気がついた。すると母が、
「ごめんねえ、今朝ご飯を炊くのを忘れてたの」
とか言いながら夫と、加奈にとっては父にあたる男にキスなんぞをするのである。それを
見た加奈は何も食してないのに、
「ごちそうさま」
と言い残し、キッチンを出て行った。もちろん、いちゃつく夫婦愛にあてられ、お腹一杯で
ございますという嫌味のつもりであった。

「それで、俺のところに来たのか」
午前八時十分過ぎ。柴垣良介は自宅アパートに突然、訪ねて来た少女に向かってそう
言った。ちなみに、少女というのは加奈である。

「日曜の朝にわざわざ、モテない青年の所に可愛い教え子が来てやったんじゃないか。
飯くらい食わせてくれ」
加奈は良介に向かって、そんな事を言う。実は良介は、加奈が通う小学校の担任であ
る。家が近い事と、年齢イコール彼女いない歴二十三年というキャリアを持つ良介を哀
れみ、加奈は時々、ここへやって来る。来てやっているという自負があるので、もちろん
手ぶらで来る。今日だって、まったく手土産などは無し。そのくせ、物言いがふてぶてし
い事この上ない。

「まあ、入れよ。朝飯っていっても、パンしかないけど」
「それでいいよ。あと、ミルクティーな」
「・・・買ってくるよ」
押しに弱い良介は、小銭入れを持って出て行った。その間に加奈はアパートへ侵入し、
朝八時から放送中の花弁ライダーちょびらを見る。その後は、二人はカリギュラという
アニメを見て、教育番組のささみストリート、再びアニメのお願いマイエロディと、徹底的
にテレビに齧りつくつもりだった。そしてここで昼飯も食い、それから帰宅する予定を組ん
でいる。午後からは未定だ。

「各務、メープルジャム塗るか?」
「塗ってくれ。この世の終わりが来るくらいに」
良介が焼いてくれたトーストにたっぷりジャムを塗り、かぶりつく加奈。ミルクティーは
既製品だが、この際、文句は言わない。

「ウインナがあったからレンジでチンした。美味いか?」
「うん、美味しいよ。ちょっと中身が破裂してるけど」
加奈は調理途中で無念のパンクをしたウインナにマスタードベースのディップをつけ、
ぱくりと頬張った。彼女無しの独身男にしては洒落たモン食ってんな、とか思いつつ。
「なあ、各務」
「加奈、でいいよ。各務だと何だか他人くさい」
実際、他人なのだが、加奈は各務と呼ばれる事に難色を示した。いや、本当はどうで
もいいのだが、ただ何となくそうしたかったのである。

「じゃあ、加奈。この前の事なんだけど」
「この前の事、と言うと、ある小学校教師が学校で、可愛い教え子の処女を奪った話
かな?それとも、学校のトイレでおしゃぶりしてくれとねだった事?」
パンを齧りながら、加奈は良介を見た。やや、遠まわしに言ってはいるが、実はこれ、
良介と加奈の間に起こった出来事である。加奈が曖昧な表現をしたのは、怒ってい
るように見せかけて良介に罪悪感を背負わせ、自分が優位に立つためだ。

「学校でやったのは、悪かったと思ってる。でもさ、俺、お前の事・・・」
「ストップ!」
加奈が良介の言葉を遮った。そして、おもむろに立ち上がると、
「テレビが見づらい」
そう言って、良介に体を寄せるのであった。

「加奈、膝の上に乗っていいぞ」
「じゃ、お言葉に甘えまして」
加奈は良介をまたぎ、膝の上に座った。これだとテーブルに邪魔されず、背の低い加奈
でも対面のテレビが見やすくなる。
「加奈の髪、いい匂いがするな」
良介が後れ毛を指で掬うと、加奈はちょっとだけ恥じらいを見せた。普段、憎まれ口ばか
りを叩く彼女にしてみれば、こういうリアクションは珍しい。

「今日一日、ここで過ごせるのか?」
「・・・多分」
「そうか。お前ん家、ずいぶん放任主義だな」
加奈の手を握りながら、どうでも良い会話を紡ぐ良介。彼女いない歴二十三年の恋愛素
人ではあるが、彼は男女の関係というものは、そういう何気ないやりとりが大切なのでは
ないかと思っている。

「私、可愛げが無いから、親からもあんまり期待されてないしね」
「そんな事はないさ。それに、お前は可愛いよ」
良介の腕が優しく加奈を包んだ。羽毛を抱きとめるように優しく。しかし、少女の体は青
年の手から抜け、まるで舞うように離れていった。

「先生のエロ男」
加奈は振り向きながら、頬を染めて微笑んだ。どうやら可愛いと言われた事が、照れく
さいらしい。
「どうせ、女の子と見れば、誰にだって同じ事、言うんでしょう?」
「まさか。それが出来てたら、彼女いない歴二十三年にはならないよ」
良介は両手を上げて首を振った。何だか、説得力のあるようなないような言葉である。

「ホントかなあ」
「本当、本当だって」
「ウソくさい・・・」
加奈は唇の下に指を当て、怪しむ目つきで良介を見た。彼女は何か思案する時、いつ
もこのポーズを取る。良介はこれを見ると、加奈もただの可愛い小学四年生の女の子
だと思うのだ。

「じゃあ、テスト」
「テスト?」
「そう、先生がエロいかエロくないかを調べるテスト」
加奈が突然、そんな事を言うので、良介は面食らった。まさか、教師と生徒の立場が
逆転してしまうとは、つゆほどにも思っていなかったからだ。

「第一問。今日の私は、何色のパンツを穿いているでしょう?」
「もう始まってるのか。しかも、問答無用に」
そうは言いながらも、良介はうむむと考え始めている。だが彼は、小学生の下着に白
以外の色は考えられなかった。
「白・・・かなあ」
「残念、違います。答えはこれです」
加奈は得意げな顔でスカートを捲った。すると、目にも鮮やかなピンクのハイレッグシ
ョーツがお目見えしたではないか。そうなれば勿論、第一問目の答えはピンクという
事になる。良介は生憎、正解には至らなかった。が、それ所の話ではない。

「うわっ、なんだそのエロいパンツ」
「これのどこがエロいって言うんだ?今時は、これぐらいが普通だよ」
加奈がスカートを捲ったまま、後ろを向いたり横を向いたりして、可愛いお尻を包む下
着を見せつけるので、良介は瞬きも忘れて凝視していた。しかし彼は、今日びの小学
生はなんてはしたない下着を着けているのだろうと、教師としての職分も忘れ、股間を
熱くしてしまう。

「先生、何故に前かがみ?」
「それは・・・言えないな」
男根が勃起している事はバレバレだが、良介にも大人の意地という物がある。だから、
間違っても女子小学生の下着を見て興奮しましたとは言えない。ここは踏ん張り所だ
った。

「じゃあ、第二問」
「まだやるのか。それにこのテスト、受けてる俺がエロいんじゃなくて、出題者のお前の
方がエロいんじゃ・・・」
と、良介が言ってる最中に、加奈の足が勃起した男根を踏みつけた。その瞬間、加奈の
足の裏は硬い物(棒)と柔らかい物(袋)を同時に感じ取った。
「イテテ!踏んじゃいかん!」
「そこのエロい人、これは何なの?この硬くなったやつ。これの名称を答えなさい」
先日、加奈はこれで純潔を散らされていたので、そのお返しとばかりに足に力を込める。
実は良介、教職にあるのをいい事に、加奈をひとり居残りさせ、処女を頂いているので
あった。まだ一、二回の関係しか持ってはいないが、もしそれが表沙汰になれば、彼は
身の破滅であろう。加奈はそこいら辺も熟知していて、良介と接しているのだ。

「答える事が出来たら、ご褒美があるかも」
加奈が照れくさそうに言うと、良介は急に活気付き、
「はい!勃起したポコチンです」
と、叫んだ。これでも一応、彼は教育大学で高度な学問を修めた男である。しかし今、
この場を見る限り、それはまったく生かされていないように思われた。

「正解です!って言うか、バカじゃないのって感じ・・・」
「いや、加奈、お前・・・そこで醒めたら、俺の立場がないだろうが・・・」
加奈も自分が始めたこの遊びに、少し後悔し始めているようだった。何より、出題した
相手がこの有り様では、テストの意味合いを持たないのである。

「さすがに私も呆れた」
「俺も自分でそう思うのだが・・・」
エロい人と言われた良介が、必死になってそうではないと抗う所が、テストの重要なポ
イントなのだ。それが易々と男根を硬くし、浅ましく認めてしまっては面白みが無い。加
奈は捲っていたスカートを下ろし、下着を隠した。何だか自分が良介と同じ土俵にいる
ようで、気恥ずかしくなったからだ。

「先生はエロい人というより、バカな大人って事か」
加奈はもう一度、良介の膝の上に座った。尻の下に何だか硬い物があるが、あえて知
らんふりをする。
「否定はしないが・・・俺があまりにも可哀想だ」
小学四年生の女児に、良いように振り回された自分が惨めだと良介はうなだれた。まだ
男根は熱く滾っているが、加奈が遊びから降りてしまってはどうしようもない。先ほど、
彼女が言っていたご褒美とやらも、霞となって消えたも同然であろう。仕方が無いので
良介は男根を勃起させたまま、加奈とテレビを見る事にした。

「・・・・・」
加奈は黙ってテレビを見ていた。ちょうど、始まったばかりの二人はカリギュラという
アニメを彼女は毎週、楽しみにしているのだ。実を言うと、恥ずかしながら良介もこの
アニメを毎週、欠かさずに見ているので、ストーリーにはちゃんとついていけている。

「おお、加奈。カリギュラホワイトが危ういぞ。ブラックやラビアスは早く救援に行くべき
だな」
「少し黙って。それに、ブラックやラビアスは、オチンチンを硬くしてる人に、そんな事、
言われたくないと思う」
「・・・ごもっとも」
加奈は相変わらず硬化している男根の上で、お尻をもじもじさせていた。敏感な場所に
そそり立つそれが、どうにも気になって仕方が無いのであろう、何度も尻を動かし、スカ
ートの裾を直したりしている。

「先生」
不意に加奈が良介の前に立った。
「なんだ」
「十秒間、あっち向いてて」
加奈は窓の外を指差し、そう言うのである。
「何か、また新しい遊びですか」
良介は言われるがままに移動し、窓の外を見た。そしてまた、十秒ほど後に加奈の方
を見ると──

「脱いじゃった」
と、生まれたままの姿になった加奈が、ぼそりと呟いたのであった。それを見た良介は
突然、立ちくらみを覚えた。
「先生、どうした?」
「下半身に血が回りすぎて、貧血になったようだ」
どこまで情けない男だろう。加奈はあまりの哀れさに、良介へかける言葉も見つからな
い。

「寝てていいよ。私が上になるから」
「かたじけない」
加奈は良介を寝かせると、自分は男根の上をまたぐような体勢を取った。ちょっと痩せ
気味で肌の白い加奈は、良介と比べるとやはり幼い体つきをしている。しかし、これでも
男は知っているし、自慰だってたまには行うのだ。男女の作法くらいは、経験で分かっ
ていた。

「うわっ、チンチン凄く硬い!それに熱いよ」
「俺としては恥ずかしい限りなのだが、いかんせんそいつは持ち主の意思に背いて、勝
手気ままに大きくなるから・・・」
「おかしな言い訳はいいから」
加奈は小さな手で男根を握り、女穴へ導こうとした。まだ未発達なせいか女全体に潤い
が少ないが、良介のモノ自体が大して大きくないので、挿入はそれほど難しくない。

「うッ」
女穴が花咲くように広がっていく。加奈は男根を逆手に握り、少しずつ胎内へ埋めて
いった。

「ああ・・・か、加奈、ワヒョー!」
「先生、黙って。ムード、ぶち壊し」
奇声を上げる良介を制し、加奈は男根を半分ほど飲み込んだ。これで何度目かの交
わりだが、回を重ねるたびに挿入が楽になっている。そして、女穴を貫かれた瞬間に
起こる、ジーンという甘い疼きも回を重ねるたびに、はっきりと感じ取れるのであった。

「はあッ!」
加奈は体を前傾させ、良介の頭の横に両の手をそれぞれついた。男根は三分の二
ほども入ったか、前述した甘い疼きが腰骨まで届くような錯覚を起こさせている。
「加奈、お前、乳首が勃ってるぞ」
「いやん」
良介に指摘されると、加奈は慌てて胸を隠した。確かに先ほどから小さなふくらみの
先端が硬く尖っていたのだ。
「やっぱり、先生はエロい」
加奈は良介の頭を手で掴み、髪をめちゃくちゃに梳いてやった。男根を三分の二も
飲み込んでいるので、せいぜいこれくらいの事しか出来ないのである。

「加奈、おっぱい触っていい?」
「揉むと痛いから・・・先っちょだけ」
加奈は頭の上で手を組むと、心持ち胸を前に突き出した。そこへ、良介の手が伸びる。

「ああ、グミを摘んでるみたいだ。ちょっと、食べてみたいかも」
「御免蒙る・・・あッ」
キュウッと乳首を摘まれて、加奈の体から力が抜けていく。まだ彼女自身も知覚しては
いないが、ここが加奈の急所なのである。特に右の乳首が敏感で、そこをクリクリとやら
れると、もうたまらない気持ちになる。気がつけば加奈は自ら腰を振って、自分に宿った
官能の灯火を燃え上がらせようとするのだった。

「乳首をいじると、俺のポコチンが食いちぎられそうになるくらい、加奈のアソコが締まる
よ。随分、ここが過敏なんだな」
「・・・今のセリフ、録音して校長先生ならびに、父兄の皆さんに聞かせてやりたい」
弱みを握られたようで、加奈は何だか腹立たしくなった。それが、物言いにもしっかり現
れている。
「ああ、そんな事言われたら、なんだか辛抱たまらなくなってきた」
「どんな性格だよ」
「いくよ、加奈」
加奈は良介と違い、まだ純粋に達する事が出来なかった。しかし、男が果てる瞬間に
出す、あの粘液の感触を胎内で確かめる事は楽しみだった。

「先生」
「なんだ?」
「何でもない。呼んでみただけ」
「おかしなやつだな」
事が済んでも加奈と良介は素っ裸のまま、部屋の中で抱き合っていた。実を言うと、加
奈はこの時間が一番好きである。交わった後にくる倦怠感と、何か満たされたような気持
ちが、自分を幸せにしてくれるような感じがするからだ。

「先生は私の事、好きか?」
「まあな。嫌いだったらこんな事しないよ」
「そっか」
加奈は良介の体にしがみつき、にこにこと微笑んでいる。まだ拙いが、加奈にも愛情という
ものが、次第に芽生え始めていた。と、その時である。

「こんにちは。警察のものですが、ちょっとここを開けてもらえませんかね」
と、玄関のドアを誰かが叩く音がした。しかも、訪ねて来たのは法の番人のようだ。
「な、何事だ?」
良介は身を起こし、加奈に服を着せようとした。しかし、部屋の整理が良くないせいか、加奈
の衣服はショーツぐらいしか見当たらない。
「ご近所の方からの通報で、ここにチビッコが良く遊びに来ていると聞きまして・・・柴垣良介
さん、開けてくださいよ」
「こ、ここは警察じゃないよう」
動揺した良介は、某YMOのアルバムからネタを拝借し、弁明に努めた。しかし、懐かしすぎ
て訳が分からない。

「ドアをぶち破るか。おい、ハンマーを持って来い」
「了解」
玄関からそんな物騒な声が聞こえてくると、いよいよ良介は顔面蒼白になった。このまま
では、自分は三面記事の主役となってしまう。勿論、実名報道だ。

「ああ、ドアをぶん殴ってる!ど、どうしよう、加奈」
「どうしようって言われても、ねえ」
加奈はショーツだけ穿いて、部屋の隅に蹲る。こうなってはもう、誤解は避けられそうにな
いからだ。後は野となれ、という気分だった。
「ドアに穴が開いた!もう、駄目だ!」
良介が叫んだ瞬間、警官隊が部屋の中へ突入してきた。

「あッ!部屋の中に裸の幼女が!被疑者を確保せよ!」
「わああ!助けてくれ、加奈!」
「ごめん、先生。面会には行くから」
加奈は警官隊に捕まる良介を見て、手を振った。そして、また会う日までをうろ覚えで歌う
のであったとさ。

おちまい