――登場人物――

―中学からの仲間―

『古屋修』…主人公、ヘタレ柔道部員二年・初段
『杉山剛』…親友、変態・柔道二段

『河井綾』…元カノ、めちゃくちゃ強い、県外の高校に通う・柔道二段

『西野葵』…先輩、姉属性、ひんぬー・柔道二段
『藤堂結花』…先輩、セクハラ大魔王、きょぬー・柔道二段

―柔道部員―

『橘大悟』…主将、大将、、いい人・柔道三段
『香坂祐樹』…副将、ウザイ・柔道三段
『荒木博志』…中堅、コンニャク・柔道二段
『高町直也』…次鋒、キチガイ、外周マニア・柔道二段
『唐沢裕行』…先鋒、ロクデナシ、口悪すぎ・柔道二段

『岡野沙恵』…一年生、非処女、まあまあ強い・柔道初段

―その他―
『浜口絵里奈』…委員長、ツン、ヲタク嫌悪・学年成績総合一位

『私立藍栄学園』…修達の通う高校。県で一番柔道が強い。スカートの生地が日本一薄い
『私立黎山高校』…綾の通う高校。藍栄の隣の県にある。柔道は全国制覇するほど強い


俺の名前は『古屋修』柔道部に所属する高校二年生だ。

成績は理系は学年トップ10、文系は学年ワースト10。
特に英語は一年の時、全てのテストで最下位になるという、何とも情けない結果に終わってしまった

まあ、そんな下らない自己紹介はここまでにしといて、明日も部活あるしさっさと寝よう

―翌日・明朝―
「ふぁ〜、ねみぃ…」
朝六時、普通の生徒は寝てる
今は夏だから寒くはないが、冬なんかわざわざあんな寒い中でやるなんて頭イカれてる

「よっ、修」

俺がとぼとぼ歩いてると、隣から小学校からの付き合いで同じ柔道部の友人『杉山剛』が声をかけてきた

「あー、剛。おはよう」
「毎日毎日だるそうな顔してんな」
「まーな、実際だるいし」
「ったく…おまえって奴はなぁ…」

俺は中学の時、こいつに誘われて柔道部に入った。
最初は剣道部に入るつもりだったけど、俺が入学した年に潰れた。顧問がいなくなったからだ。

で、柔道を始めたわけだが、俺は速攻で骨折。しばらく休みをとった
俺が休んでる間に剛は茶帯を獲得。そのまま差は広がり続ける

結局、三年の時には剛はチームのポイントゲッター。俺は数合わせ、引き分けりゃあいいよって感じ

三年の夏の大会
個人…全員県大会出場。俺だけ県大会初戦敗退。他の奴らはベスト16とか、剛はベスト8。
団体…市大会2位、県大会4位。どちらも俺が負けたから負けたようなもん。剛は全ての試合に勝ってる。

弱小校にしては良い成績だったので、後に俺達の世代は黄金世代と呼ばれ、柔道場には俺達の写真が飾られている。
男子5人、女子5人。
みんな黒帯、俺だけ茶帯。
みっともねぇ…


「でさ、お前さ河井とはどうなんだよ」
「聞くな…」
「『あやぽ〜ん』『しゅうちゃぁ〜ん』って呼びあってたじゃないか」
「ぶち殺すぞ」
「あやぽんあやぽんあやぽん」
「うるせーよ! 別れたんだよ!!」

『河井綾』俺の元カノ、今は県外の高校に通っている。
中学時代は女子柔道部の主将で学校最強の女子だった。
性格は明るくてユーモアに富んだ子。頭のねじが二三本抜けてたような気もする
誰からも好かれ、俺も大好きだった
そして、俺は三年の最後の綾の誕生日に告白した
返事はオッケー
付き合うことにはなったが、綾は柔道推薦で県外の高校に進学。高校に上がったら、お互い柔道の毎日でまったく会えなかった

その結果。綾の才能は開花し、去年の全国大会個人戦2位。オリンピックに出場できるかも!?って話まで出るほどになった

で、この前

「ごめんね、修ちゃん…部活が忙しすぎるから別れなくちゃ駄目なんだ…。修ちゃんならもっといい子見つかるはずだから……」と電話がかかってきた

綾との二年間が終わった…。エッチどころか一度もキスしてない。


「結局、河井とはヤったのか?」
剛は俺の頭の中を読んでるかのように、今考えてたことを聞く
「お前さ、一度死ねばいいと思うよ」
「はいはい、童貞君の負け犬の遠吠えっと」
「てめーも、童貞だろ」
「俺は好きで童貞を貫いてるんだ」
「あーそー」
「おっと、そろそろ時間だ。早く行かないと先輩に殴られる」
「話を逸らすなよっ!」

むかつく野郎だが、俺はこいつが好きだ。
社会に出ても、こいつと付き合っていけるといいなと思っている
でも、綾の話題を出したときは本当にウザイと感じる


―柔道場―
「「ちょっーす!!」」
俺と剛は大きな声で挨拶をする
意味わからん掛け声だが、今は考えないようにしよう

「はい、二分三十二秒遅刻〜」
「さっさと着替えろ」
「ま、こいつらにしちゃあ早かったんじゃね?」
「罰として外周50周だ」
「まあまあ」

上から、中堅・副将・先鋒・次鋒・大将

コンニャク→中堅
ウザイ→副将
ロクデナシ→先鋒
キチガイ→次鋒
いい人→大将

これが俺達の最初の印象だった

「やべっ、早く着替えようぜ」
「そうだな」

―稽古―
「どっぅせぇぇぇいっ!」
世界が反転する

ああ、投げられたんだ

反射的に受け身を取る

ズパーンと大きな音が鳴る
「かはっ…」

だが、衝撃は大きい
俺は、つい呻いてしまう

「どうした、古屋っ! もう終わりか!?」
「まだまだっす…!」

さっきのウザイ副将。はっきり言ってこの人は化け物だ
身長183cm、体重97kgと体格からして完璧
しかし、地方大会では二年連続二位、無冠の帝王と呼ばれるとか呼ばれないとか

「でえぇぇぇりゃぁぁあ!!」

隣で乱取りしている剛が技をかける

「甘いな」

相手は剛の一本背負いを耐え、体を抱え上げて豪快に後ろに投げ飛ばす大技『裏投げ』と言う技をかける

ズドーンと、さっきより大きな音が鳴る
ちなみに、剛のほうが俺よりも体格がいい

「ってぇ…」
「入り方はいいんだが、まだ崩しがなってないな」
「はい、部長っ!!」

剛の相手、身長189cm体重112kgの巨漢、この柔道部の主将にして最強の部長

「かっかっか…乗ってるなー」
「何笑ってるんすか…」
「てめーと杉山が残ってから、あいつは変わったよ」
「そうっすか…」
「無論、俺もな」

副将の糞野郎はいきなり俺の奥襟を掴み技をかけてくる

「うわっ!?」
「さぁ、やろうぜっ!!」



「じゃあ、戸締まりよろしくね」と大将
「早くしねぇと遅刻扱いになるぜ」と副将
「遅刻した馬鹿は外周10周だからね〜」と中堅
「いや、50周だ」と次鋒
「クズ共、さっさとしやがれっ!!」と先鋒
三年生が柔道場を去っていく

「ふぁ〜疲れたぁー」
寝転ぶ俺
「早くしろよ、修」
てきぱきと動く剛

「いちね〜ん、掃除頼むぞー」
「うっす!」


一年は総勢16人。結構いる
しかし、それは七月まで

もうすぐ長い夏休みが来る
そう、八月は合宿があるのだ

「修、何人残ると思う?」
「多くて七人…ってとこかな」
「七人…? 残ったら奇跡だぞ」
「ま、三人残りゃあ団体に出れるからいいだろ」
「そうだな…」

事実、俺達二年も去年の七月には20人を超す部員の数だった
だが、八月の合宿で俺と剛の二人だけになってしまった
あの合宿は地獄だ…思いだしたくもない…

まあ、先に地区大会があるから、そっちからだ

「さぁて、着替えるとするか」
俺は帯を外し胴着を脱ぐ
胴着の下には何も穿かない
ムレてインキンタムシになるからだ。夏ならなおさら

「さっさとトランクスはけよな」
「あちぃ〜」
「お前の汚いケツなんて見たくない」
「じゃあ、見るなよ」
「お前ぐらいだぜ、そんなにアホみたいにケツ出す奴」
「悪かったな」
「悪いから言ってる、誰かが来たら……」


「やっぽー! みんな頑張ってるー?」
「先輩、朝っぱらから素っ頓狂な声を出さないでください」

「「あ………」」

二人の女の子は、嬉しそうに金玉をぶら下げてる俺の姿を見ましたよ、ええ

「おはようございます、先輩」
「やー、修くん。相変わらず変態だねー」

「き……」

「きゃぁぁぁあああーーー!!」

「やれやれ…」


「古屋先輩の馬鹿馬鹿馬鹿ぁっ!!」
さっき悲鳴を上げたコイツは一年生の『岡野沙恵』

「いいもの持ってるじゃないか、修くん」
こっちは三年生の『藤堂結花』先輩。ちなみに俺達の中学の先輩でもある。

「うるせぇぞ、岡野」
「先輩の汚らしいもの見ちゃったじゃないですか!!」
「き、きたねぇとは何だよ!!」
「真っ黒でしたね、一人でばっかしてるんじゃないですか!?」

図星だ

「「ぷっ…」」

右と左から何かを堪えるような音がした

「沙恵ってば、そんなこと言っちゃ駄目だよー」
「一年にまでそんなこと言われてやがる」

二人して笑う
この二人のコンビは大嫌いだ

「はいはい、この話題はこれで終わりだ」
「次からは気を付けてくださいねっ!」
「へっ…ガキのくせにませた事言うなよ」

「どっちがガキなんだろうねー」
先輩が口を挟む
「どういう意味っすか…」
「沙恵は大人の階段のぼりまくりんぐー」
「せっ、せんぱぁ〜い…」
「な、何ぃ…?」
「何だ、修。岡野は荒木先輩と付き合ってるんだぜ、知らなかったか?」
「あぅ…杉山先輩……」

はい? 荒木って?
ああ、中堅のあの人か

―はろ〜、荒木だよ〜―

「あんなのと付き合ってるのか…?」
「あんなのとは何ですか!!」
「だってさ、あの人…コンニャクみたいな人だぜ?」
「コンニャクでもいいじゃないですか!!」

「そーそー、コンニャクでもオッケーだよー」
「まったくだ」

「何がっすか…?」


「だってねー」
「そうですよねー」

「今度は何っすか…」

「荒木っちは、性格はコンニャクでも、おにんにんはカチカチでごんすー」
「カチカチごんすー」
「沙恵のおまんまんにズコバコでごんすー」
「ズコバコでごんすー」
「『童貞』の修くんよりかはよっぽどマシでごんすー」
「マシでごんすー」

殺す

「剛、貴様ぁー!!」
「修がキレたー」

「先輩も犯すっすよ!!」「わーいわーい、童貞がキレたー」

「はぁ…荒木せんぱぁい…」


「何してるの結花、遅刻するよっ!」

しばらく暴れていると、もう一人の先輩『西野葵』先輩が来た

「あー、葵ぃー」
「西野先輩おはようございます」

「おはよう杉山君…って、そんなことより早くしないと遅刻するわよ!」

「「へ……?」」

「「やっべぇーー!!」」

―教室―

前の廊下

「修…」
「剛…」

「「てめぇっ!」」

お互いの胸ぐらを掴み合う
そこに黄色い甲高い声が入る


「うるさいっ! 黙って立ってなさいよ!!」

はいはい、うるさいうるさい『浜口絵里奈』委員長

「だいたい貴方達は遅刻が多過ぎるのよ!」
「しかたねーだろ、朝練あるんだし」
「理由にならない、なら辞めなさい!」
「学校の取得する賞が減るぜ」
「貴方は無理ね」
「何だと!!」
「何よ!!」

「おい、後ろ…」

「「はい…?」」

「はい、三人で立ってなさい」
担任に見られてました

―昼放課―

「剛、食おうぜー」
「ああ、いいよ」
基本的に俺と剛はセットで行動。ホモ疑惑浮上中らしい

「まったく、岡野のヤロー」
「ああ、岡野が非処女ってことに腹を立てているんだな」
「ちぃっ…!」
「お前もエロ本ばっか読んでないで、新しい彼女でも作れば」
「お前には言われたくないな」
「何で?」
「お前の彼女はパソコンのモニターにいるんだろ」
「問題あるか?」
「はぁ…」

剛はギャルゲーマニアだ

「二次元じゃないと、幼女を凌辱できないだろう」
「アホか…」
「何故あきれる? 現実世界じゃ不可能じゃないか」
「はいはい、わかったわかった」
「あの未発達な身体! ロリロリボイス!!」
「うるせー」
「強姦! 輪姦! レイプ! 触手! 緊縛! 獣姦!!」
「張り切るな」
「二次元サイコー!!」

しかも、エロゲーヲタクでロリコンだ…
こーゆー奴が将来、犯罪起こすんだよなぁ…


「うっさいわね! 変態コンビ!!」

はい、また出しゃばる

「何だよ、委員長」
「食欲無くすような事言わないで、この犯罪者予備軍」
「立たされたくせに」
「アンタのせいでしょっ!」
「あれぇ〜? 委員長が人のせいにするんだ」
「うっさい! アンタの存在そのものが目障りなのよ」
「人権侵害〜」
「アンタに人権などないわ!」

「夫婦喧嘩は犬も食わない…か…」
「「誰と誰が夫婦だって!?」」
「息ぴったしだな…」

―放課後―

「はぁ…古屋と話すと何か突っ掛かっちゃうんだよな…」

―夫婦喧嘩は犬も食わない…か…―

「夫婦……!? いかんいかん、何考えてる私!」

あいつとなんて…何もないんだから…

「あっ…西野先輩だ……綺麗だな…」

西野先輩ぐらい美人だったら、私だってあいつと…

「いかんいかん! どうした私!!」

さっさと帰って勉強しよう
よし、今日は化学と物理をやろう
今度こそ、あいつに勝ってみせるんだから!

俺達が柔道場に入り、着替えると、畳の上にはコンニャク荒木と岡野がイチャイチャしていた
何話してたかは知らん、必要ないことだ

「修とタケは遅刻したって聞いたよ〜、外周10周のプレゼントだ〜」
「やーい、いい気味ですね」

「岡野は間に合ったのか?」
「はい、杉山先輩。一年の教室は近いですから」
「きったねぇなー」
「古屋先輩のアレよりかはよっぽど綺麗です」
「岡野…てめぇ…」

「沙恵に変なもの見せたらしいね、じゃあタケの分も修が走っちゃいなよ〜」

ちゃんとした日本語しゃべれ

「それは名案です先輩! 杉山先輩も柔軟始めましょう」
「そうだな。他の先輩が来るまで軽く身体を動かすか」
「よ〜し始めよう〜」
「はい!」

「修は外周頑張れよ〜」

はいはいわかりましたよ

―外周り―
実際、10周は無理
ウチの高校はマンモス校で、校舎が馬鹿でかい
運動部にも力を入れているので、野球場、サッカーコート、テニスコート、プールにトレーニングルームなどなど施設も完備
いろんなものがあるので、外周り一周4kmを軽く越す

フルマラソンやれと言ってるようなもんだ
三年生達も本気で言ってるわけじゃないし、いつも二周程度で切り上げる

それにしても、いくら金使ったんだろ…

「はっ、はっ、はっ…」

五分間の間、スタミナ切れにならないように体力を付けなくてはならない
きつい稽古でへばらないようにもしなくてはならない
稽古のための練習だな、これは


「古屋君」

二周目を走っていると、後ろから声をかけられる

「古屋君もペナルティ?」
「そうっす」

この人はさっき、ちょこっと出てきた西野葵先輩だ

「荒木君、時間にだけは厳しいからなぁ…」
「ただ、遊んでるだけにしか見えないっすよ」
「そっかなぁ…」

西野葵先輩。藤堂先輩と同じく、中学からの先輩。
成績優秀、性格良好、スポーツ万能、おまけに美人
モテないはずがない
けど、浮いた話を聞かない謎の人

「歩こっか、古屋君」
「いいっすよ」

俺はこの人は嫌いじゃない
面倒見が良い、普通のお姉さんだ
中学の時は女子から、葵おねーちゃんって慕われていた
男子の一部も葵姉さんとも呼んでいた

ちなみに、藤堂先輩はセクハラ大魔王ってあだ名が付いている

「試合も近いのに、練習がハードだね。故障したらどうするつもりなんだろ」
「気合い入りまくってるっすからね、三年生達」
「最後の大会だし、古屋君と杉山君も強くなったからかな?」
「なんで俺達が出てくるんすか?」
「去年の地方大会覚えてる?」

去年の地方大会
先輩達は、あと一歩のところで全国への切符を逃した
俺達の通う高校『私立藍栄学園』は県で一番強い高校である。
しかし、県大会では優勝するものの、地方大会では勝てない

そう、綾の通う隣の県の高校『私立黎山高校』があるからだ

藍栄と黎山は同じ地方同士
二校は地方大会の決勝で戦うことが多い。
全国への切符は地方大会の優勝者だけに与えられる

藍栄は団体でも個人でも黎山に一度も勝ったことがないのだ


「香坂君(副将・ウザイ)と橘君(大将・いい人)は判定で負けちゃったんだよね…」
「あれは惜しかったっすよね」
「荒木君(中堅・コンニャク)は準決勝で腕痛めちゃって、決勝は棄権」

この三人は去年は地方大会二位という、輝かしい成績を残している
コンニャク荒木も試合になるとめちゃくちゃ強い

「唐沢君(先鋒・ロクデナシ)と高町君(次鋒・キチガイ)もいいところまで行ったんだけど…」

この二人も強い
頭は狂っているが、本気で強い

「二人も黎山の選手に負けちゃった」

黎山高校は、全国各地から生徒が集まってくる超名門校
毎年、全国大会に全階級の選手が出場
重量級は全て黎山が制してる
軽量級も確実にベスト4に食い込んでくる
団体戦は、現在8連覇中だ……

ウザイ副将もいい人の大将も、全国制覇できる実力を持っているが、黎山の選手に勝つことが出来ない
地方大会決勝戦は、実質上全国大会決勝戦と同じだ

「黎山は最強だからね…」
西野先輩は悲しそうな表情をする
「先輩は確か…綾に負けたんすよね…」
「うん…」

地方大会女子-52kg級 準々決勝
黎山高校一年・河井綾対藍栄学園二年・西野葵

開始12秒、河井の背負い投げ 一本

あっと言う間に決着がついた

先輩は試合の後、ずっと泣いていたらしい
俺はそんな事に気付かず、ずっと綾を応援していた

「あーあ、嫌な事思い出しちゃったな」
「すんません」
「そう言えば、まだ綾ちゃんと付き合ってるの?」
「別れました」
「そっか…」

先輩は少し複雑な顔をする

ちょっと気まずくなったので話題を変える

「あの…さっき言ってたことなんすけど…」
「古屋君と杉山君のおかげって話?」
「はい」
「二人とも二年生になって強くなったから、今年は団体で使ってみようかなって、橘君が言ってたの」
「主将が…?」
「そうよ、唐沢君と高町君って団体あんまり得意じゃないみたいでしょ」

まあ、キチガイとロクデナシだからな…

…じゃなくて、あの二人は団体になると急に実力を出せなくなる
プレッシャーに弱い人には見えないが

「だから、代わりに二人に入ってもらえれば黎山にも勝てるかもしれないってね」
「やれるだけはやってみますよ…」

去年の俺と剛は県大会敗退
そんな大役勤まるか

「大丈夫! あの合宿を乗り切ったんだから」
「まあ、そうっすけど…」
「春大会は杉山君は県大会で準優勝だったじゃない、古屋君だってやれるよ」

春大会、俺は体調不良で棄権。前日に食ったキノコにあたった

「剛と俺は違うっすよ」
「古屋君…」
「先輩も知ってるように、俺は剛のおまけっすから」「杉山君に勝てないから?」
「中学の時からっすね」

「もう…相変わらず馬鹿なんだから……」
「はい…?」
「古屋君が強くなるのと同じように杉山君も強くなってるの。同じ練習をしてるでしょ!」
「は、はぁ…」

西野先輩のお姉さん説教モード発動

「それに、階級が二つ違うんだから負けても恥ずかしくないわ」
「階級なんて関係ないっす」
「あー、もうっ! どうしてそんなに自分に卑屈なの!?」
「もともとっす」
「そっか…自信よ! 古屋君には自信が足りないのよ」
「地震っすか…P波にS波、初期微動継続時間…あとは何を暗記しとけば良かったんだっけ…?」
「何わけのわからないこと言ってるの」
「すんません」
「むぅ〜」

そう言えば、この人はからかうと面白かったな


先輩は少しの間、何かを考えるような仕草をする

「あっ、そうだ…。荒木君に体育準備室からマット持ってきてって言われてたな」
「あ、俺も手伝います」
「うん、ありがとっ!」

先輩の笑顔にちょっとドキッとしてしまった

―体育準備室―

「こっちって誰も使ってないんじゃないっすか?」

ウチの高校には、沢山の部活がある。それゆえ体育倉庫もいっぱいある
人なら誰でも楽な所を使いたいと思うので、不便な場所にある倉庫はただの物置になるのだ

「こ…なら…だ……こ…いよね……?」

先輩が何か呟く
小さすぎて聞き取れない

「せんぱぁーい、どれっすか?」
「あ、あのね…古屋君……」
「なんすか?」

「私…嘘付いた…」
「はい…?」
「本当はね…荒木君に頼まれたとか嘘なんだ…」

意味が分からん
嘘を付く理由がない

「で、何か用すか…?」
「あ、あのね…あの……単刀直入に言うと……」
「はい」
「私とエッチしよっか…?」

はい…? この人何言ってるの?

「あ、あ、あのね…違う…違うの!!」
「はぁ…」
「何かの本で読んだんだけど、格闘家って『童貞』を捨てると強くなるって…」

本当に何言ってるんだろこの人

「わ、私…決してエッチな女の子なんかじゃないんだからね…! ほら、古屋君に自信を付けてもらおうって…」

「いいっすよ、そこまでしてもらわなくても」
「え…?」
「そんな理由で先輩としたくないですし、俺は大丈夫っす」
「あ…」
「先輩の勇気貰いました、もう二度と弱音吐かないっす。剛にも先輩達にも負けません」


格好良い台詞を言ってみたはいいが

はい、俺も嘘付きました
先輩の発言で、股間がギンギンです
ぶっちゃけ、先輩としたいです

「待ってよ…」

俺は先輩の制止も耳に入れず、準備室から出ようとする

「柔道場に戻りましょう」

「待ってよ!!」

先輩が大声をあげる

「だから……っ!?」

俺が振り返ると、そこには大粒の涙を流し泣いている先輩がいた

「待ってよ……」
「先輩…」
「お願いだから…」
「どうしたんすか、今日の先輩おかしいっすよ」
「綾ちゃんだね、綾ちゃんのせいなんだね…」
「綾…?」

「別れた今でも、古屋君は綾ちゃんの事が好きなの…?」
「まあ、フラれましたけどね。俺は、まだ綾の事好きっすよ」
「やだよ…負けっぱなしは……」
「西野先輩…?」

「柔道でも負けて、古屋君の事でも負けるなんて嫌だよっ!!」

先輩はそう言うと、俺に抱きついてきた
俺は理性を保ち、冷静にこの状況を処理する

「先輩…やっぱ駄目っす……俺……」
「そんなに綾ちゃんがいいの…?」
「はい…綾は、俺のこと嫌いとは一言も言ってません…だから……」
「初めても綾ちゃんがいいの…」
「はい…綾って決めてますから…」

先輩は涙目で俺を見つめる

「そう言えば、古屋君って…ずっと綾ちゃんの事見つめてたね…」
「はい…」

綾は中二で転校してきた
席も隣で、すぐに仲良くなった
綾は柔道部に入部、ますます仲良くなった

最初は仲の良い友人だったが、少しづつ自分のなかの気持ちが変わっていって
中三の頃には、あいつのことを好きなっていた


「私、わかってた…ずっと、古屋君のこと見つめてたんだから…」
「先輩…?」
「骨折したやんちゃな一年生、健気で負けても負けても挫けない」

そう言えば、一年の時の俺は、まだまだ剛に勝つつもり満々だったな…

「私はそんな古屋君が好き…今でも……」
「そうっすか…」
「三年生の時に古屋君に告白しようって決めてたんだけど…その時にはもう……」
「先輩…」

「駄目だよね…私…」
「そんなことないっすよ…」

「でも、次こそは綾ちゃんに勝つ…! 柔道でも古屋君の事でも」

「先輩…だから……」

先輩は帯を外し、胴着を脱ぎ始める

「いや、だからっ…!」
「いいの、綾ちゃんには内緒にしといてあげる…だから、古屋君…しよ……」
「駄目っす駄目っすよ!!」
「私、寝技には自信あるの。知ってるよね」

先輩の寝技の腕前は中学の時からわかってる

「私、スイッチ入っちゃった…覚悟してね……」

先輩は柔道をしてるときは、人が変わったかのように冷酷になる
今まで何人もの選手を締め技や関節技で葬ってきた(大げさ)
そう言えば、綾も何度か落とされてたな

………待てよ

「先輩…」
「ご察しの通り、綾ちゃんは私怨で落としちゃったかも。ごめんね」
「先輩…離してください」
「だめ〜」

先輩はシャツとショーツだけ、しかも汗で乳首が透けて見えている

「古屋君ってば、おっぱいばっか見てる…触りたいのかな?」
「いや…違うっす…」
「はい、嘘付きぃ〜」

俺の股間に先輩の手が重なる


「うわ…ビンビンだね…」

情けない…

「ね…古屋君……。ううん…修くん……」
「せ、せんぱぁい…」
「もう逃がさないよ…」

そう言うと、先輩は俺の手を胸に当てる

「やめましょう…こんな事…」
「口ではそういってるけど、体は正直だね」
「先輩…」
「葵…って呼んでよ…」

どうする俺
先輩がめちゃくちゃ可愛い
理性が吹っ飛びそうなんだけど

「ねっ…呼んでよ……」
「あ、あおい…」

呼んでしまった

「うれしい…修くん……」

先輩は凄く嬉しそうに笑う
綾、ごめん。おれもう駄目だ

「葵…」
「修くん…大好きだよ……」

葵は俺に口付けする

「ん…… ファーストキスは修くんにあげれた…」
「俺も初めてっす…」
「綾ちゃんと…してなかったの…?」
「はい…」
「思春期でエッチしたい盛りの男の子をほっておくなんて、彼女失格よ」

葵はぷんぷんと擬音が聞こえるように怒る

「苦しいでしょ…脱がしてあげる…」

葵は俺の胴着をおろす
下着は穿かないので、いきり立った俺の肉棒が元気良く反り立つ

「わっ…おっきぃ…」
「恥ずかしいっす…」
「…っすは禁止!」
「は、はぁ…」
「…っすって言われると雰囲気出ないよ…」
「ふいんきっすか…」
「もぉ〜!」


くだらないやりとりをしていたら、葵は俺の肉棒に顔を近付けた

「えっと…初めてだからよくわからないけど……舐めれば良かったんだっけ?」

"チロ…"

「うぁ…」

俺は少し舐められただけで呻いてしまった

「修くん…可愛い……。うん、お姉さんに任せて」

"チロチロ…"と葵は俺の肉棒の先端を舐める
それだけで出そうなんだけど…

「あ…お汁が出てきた……えっと…次は………はむっ…」

葵は俺の肉棒をくわえる
突然の快感に俺は

「うおっ…!?」
「きゃっ…!」

射精ッッ!!

「びっくりしたぁ…」

俺の豪快な射精に葵はびっくりして後ろに退いてしまっていた
そのせいで、葵の身体に大量の精液をぶっかけてしまった

「ご、ごめん…」
「修くん、気持ち良かったんだね」
「は、はい…」
「良かった…」
「すんません、下着汚しちゃって…」
「あ…そうだね……凄い匂い…」
「すんません」
「じゃあ、お姉さん服脱ぐから、修くんも…ね…」

葵は精液まみれのシャツとショーツを脱ぐ
その間に俺も胴着の上を脱ぐ

「変かな…私の体……」
「綺麗ですよ」
「おっぱい、すり減ってちっちゃいよね…」
「あんま…関係ないとおもいます……藤堂先輩はでかいですし……」

「修くん、減点。お姉さんとこんなことしてるのに、他の女の子のことを話さない」
「すんません」
「わかればよろしい」

葵の胸は小さい、一年の岡野よりも小さい。推定A
ちなみに、藤堂先輩は巨乳。推定D


「修くん…次は、何したい……?」
「葵に入れたい…」
「何をかな?」
「俺のちんこ…」
「どこにかな?」
「葵のまんこに…」
「どうしようかな〜」

完全に主導権を葵に握られている

「よし、寝技しよ。修くんが勝てばもう入れていいよ…」
「俺が負ければ…?」
「ひみつ〜?」
「何だよそれ…」

「はい、はじめっ!」

"ぱんっ"と葵は手を叩く。寝技の開始の合図だ
俺だって寝技は得意なんだ、負けるもんか



あっと言う間に負けました

「押さえ込み〜」
「あ、あおい…この体勢って……」
「私のあそこ、よく見えるでしょ…」

今の状態、一般的に言えばシックスナインの体位
押さえ込みの一つで男同士でやると、相手の金玉が顔の近くにあるというある意味地獄な押さえ方
でも、今日の相手は女の子、しかも裸。天国のような眺め
写真や動画でしか見たことのない絶対領域がそこにある

「すげぇ…初めて見た……」
「感想はどうかな…?」
「気持ち悪い…」
「悪かったわね…」
「でも、すげーエッチな匂いがする……ひくひくいってるし、びちゃびちゃに濡れてる……」
「修くんのおちんちん舐めてたら、お姉さん…ドキドキしちゃって……」

「俺も舐めていい…?」
「うん…いいよ……」


俺は葵の割れ目を舌でなぞる

「ひゃんっ…」

葵は軽く悲鳴をあげる

「気持ちいいの?」
「うん…もっとして……。お姉さんも頑張る」

「んむっ…あむぅ…」

葵も俺の肉棒をくわえる
一回出したから、さっきよりかは保つだろう

「葵のエッチな汁…甘くておいしい……」
「はぁ…むぐぅ……ほぉんと……」

お互いに一生懸命、相手に奉仕する
俺の顔も葵の汁でびしょびしょに濡れている

「うむっん…ちぅ…ちゅぷ…ちゅぷ…」
「あおい…あおい……」
「んっ…うむっ…むっ……んんっ…」

しばらくの間、俺達は相手の性器を舐め続けていた

「ぷはっ……修くん…もう入れていいよ…」
「えっ、いいの?」
「お姉さんも、もう我慢できないの…修くんと繋がりたい……」
「葵…」

葵は口から俺の肉棒を抜き、俺にまたがるような姿勢になる

「お姉さんが上ね、いいかな…?」
「はい…」
「初めてだから、優しくしてね…」
「頑張ります…」

葵は少しづつ腰を落とす
俺の肉棒がだんだんと、葵の中に沈み込む

「見える…? お姉さんの中に修くんが入ってるよ」
「見えます…すげーエロいですね……」
「だって…エッチしてるんだもん……」

葵は痛いのか、顔を歪める

「修くん…いくよ……。初めての証し…見て……」

葵は思い切り腰を落とす
"ブチブチっ"と何かが破ける音がした


「痛っ―――――――!!」
「あ、葵っ!?」
「こ、こんなに痛いなんてっ…! 聞いてないよっ!!」

葵は大声で叫ぶ、相当痛いらしい

「大丈夫だから、深呼吸して!!」
「う、うんっ!」

すーっ、はー すーっ、はー



「う…うん、ちょっと楽になった」
「良かった…」
「あ…血が漏れてる……」
「本当に俺で良かったんですか?」
「うん…初めては修くんが良かったから……」
「う…」

「えへへ…一歩リードだね……」
「綾にですか?」

「修くん…さっきさ、綾ちゃんと別れたって言ったよね」
「はい、言いました」
「じゃあさ、綾ちゃんと修くんの関係が元に戻るまで、私の恋人になってよ」
「でも…」

実は俺自身、綾とはもう二度と付き合えないような気がしていた
あいつは、高校を出たら大学に進学。下手したら全日本強化選手に選ばれるかもしれない

いつも一緒にいてくれる葵と、雲の上の存在になりそうな綾
綾と葵…二人とも俺を想ってくれている……

俺にできることは…

「わかりました…俺は葵の彼氏になります……」
「修くん…」

葵の初めて貰っちゃったし、葵のこと特に嫌いでもないし……と、自分に言い聞かせる

「とりあえず、葵が卒業するまでですよ」

今は…これでいいんだ……、後で決めればいい

「うんっ…!!」

葵は嬉しそうに頷くと、腰を動かし始める


「ちょっと痛いけど…修くんに気持ち良くなってもらうんだ…」
「葵、大丈夫?」
「平気だよ…平気だから……」

俺は軽く葵の胸を触る

「あ…それ、いい……もっとして…」

優しく包み込むように撫でる

「修くん…いいよ……私……気持ち良くなってきた」

葵の声に艶が交じってきた
よかった、葵も少しは気持ちいいんだ

「い、痛気持ちいいってやつかな…これ…」
「無理だったら、言ってくださいよ」
「うっ、うん……修くんも動いていいよ……」

俺は手で葵の胸を触りながら、腰を動かす
結合部から汁が飛び散り、ぐちゅぐちゅと音がなる

「修くん…良くなってっ…きた……んっ…」
「俺もそろそろ…」
「えっ、あっ…? うんっ……お姉さん、頑張るっ…!」

葵は少し顔を歪めてはいるが、気持ち良さそうにしている

「あんっ…あっ、はぁっ……やだ…気持ちぃいよぉ……」

じゅぷじゅぷといやらしい音を奏でる

そろそろ限界…

「葵っ!」

俺は葵の名前を叫び、ラストスパートをかける

「えっ、やぁっ…!? あっ…あぁんっ!」

優しく激しく、難しいな

「うんっ、いいよっ…! 修くん…あたしも、あたしもっ!!」
「葵…葵っ!」
「一緒にいこっ…ねぇ、一緒にいこっ…」

「葵ぃぃぃっ!!」

最後の一突き、思いっきり葵に腰を打ち付ける

「あっ…!? あぁぁぁぁあああああっ―――――――!!」

"どぶっ…"と葵の中に精液を注ぎ込む


「はぁっ…はぁっ……」

「あおい…」
「修くん…大好き……」
「…………」
「修くん……」
「俺もだ…」

葵に口付けをする

もう、引き返せない…引き返さない……



「ん…寝てたのか……?」
すー すー

隣には熟睡してる葵

「今…何時だ……?」

げぇっ!? 二時間も寝てただと!!

「葵起きろ、早くっ!」
「ぅん…修くん……?」
「時間やばい」

「えへへ…おはよー」
「おはよー……じゃなくて、部活始まってる!」
「あ…そうだね……」
「あのなぁ……」
「いいじゃん、今日はさぼろうよ」
「そういう訳にはいかないって…」

「二人でゆっくりしようよ…ねっ!」
「は、はぁ…」
「もう一回寝技しよっか?」
「無理だろ、自分の体ぐらい自分で気付け」
「う…」

「痛いんだよな」
「うん…」
「えと…体操着ぐらいあるだろ……」

準備室を勝手にあさり、体操着を見つけだす
さすがに精液まみれのシャツは着せれない

「ほい、これを着ろ」
「うん…」
「じゃあ、葵はランニング中にこけて軽い怪我をした。これで決まりな」
「えっーー!?」
「反論は許さない」
「む〜!」


―柔道場―

あぁ…この人たち、馬鹿でよかったぁ……



時は過ぎて…って言っても一週間後

夏季地区大会が始まった

初日個人戦、下馬評通り藍栄学園は男子は全階級制覇
女子は、岡野・葵・藤堂先輩の三人が優勝。他の階級はベスト8とか

二日目団体戦
先鋒…俺
次鋒…コンニャク荒木
中堅…剛
副将…ウザ香坂
大将…橘先輩

まさか全戦全勝オール一本勝ちとは誰も思わなかっただろう
俺達ですら思いもしなかった

女子は岡野は負けることはあったが、葵と藤堂先輩はオール一本勝ち
優勝を勝ち取った

「修、おまえ凄いじゃないか!」
「剛だって!」

「二人とも、よく頑張ってくれたね」
「まあ、良くやった。だが、まだまだだな」
「とにかく、県大会も頑張ろ〜」
「負けるんじゃねーぞ、俺達は個人戦に専念するからよ」
「外周20周にまけといてやろう」

今日だけは、三年生も褒めてくれた

でも、一番嬉しかったのは

「修くん、やったね!!」
「あお…じゃなかった、西野先輩も!」

期限付き彼女とはいえ、優勝する姿を見せれると嬉しい
また、彼女が優勝した姿を見るのも嬉しい

「頑張って次も勝とうね!」
「うっす!」

童貞捨てると強くなれましたよ、ええ
ありがとう葵、ありがとう青春、ごめんよ綾


「ふふーん、修くん…童貞捨てたねー」
「わかるんですか、先輩」
「匂う、葵から修くんの匂いが僅かにする」
「そんなものですか…?」
「沙恵からも匂うよー、荒木っちの男臭がねー」
「あ、あぅ…」

関係ないが、藤堂先輩の愛読書はグラップラーKiBAと言う格闘漫画らしい

―藍栄学園・柔道場―

ミーティングも終わり、後は主将・橘先輩からの一言で今日は帰れる

「皆、お疲れさま。今日はしっかり休んでね」
「「はいっ!」」
「あー、あと…明日から期末考査だからね、頑張れ」

はぁ?

「なあ、剛…」
「明日は数学Bと物理」
「良かった、無勉でもいい…」
「明後日はライティングと地歴」
「ぬぅ…」

「赤とったら、殺すからな」
「外周100周だ」
「まあ、馬鹿古屋は無理だろ」
「僕も修くんはちょっとね〜」
「古屋、頑張れ」

「修くんは馬鹿馬鹿馬鹿ー」
「修くん、ファイト!」

コンニャク荒木と葵以外は、特別進学コース
みんな頭いいんだよな

「ひ、ひゃ〜先輩先輩せんぱぁ〜い…!」

もう一人の馬鹿・岡野沙恵15歳 学年最下位

「沙恵はお馬鹿だからねー」
「修くんも沙恵ちゃんも頑張ってね…」

葵や綾や県大会よりも、目先の期末考査……、全然勉強してねぇ……

トホホ…これからどうなることやら……

おしまい…