「青葉くん…少し練習に付き合っていただけるかしら?」
退屈な授業が終わり、今日は家に帰ってのんびりとゲーム三昧と考えていたら…まただ。何で僕なんだ?
「え?いや、その…実は母さんに買い物を頼まれてて…」
「あらぁ?おばさまに確認した時はそのような話なかったですわよ?」
うっ…そうだった。この人母さんと仲よかったんだ。
「うっ…いや、ホントは友達と遊びに行こうかなって…」
「あらあらぁ?それは残念ですわねぇ…そのお友達とはまたの機会にお遊びなさいね?」
うう…ダメだ、嘘だってバレてるよ。
「あ、あの…いや…その…ええと…」
断る言い訳を考えてる僕の手を、ニッコリほほ笑みながら握ってきた。
「相変わらず青葉くんは嘘がヘタですわねぇ…さ、行きましょうか?」
有無を言わさず僕の手を引っぱっていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ美里さん!だから今日は嫌なんだって!」
「今日は嫌ですか?…残念ですわね。でもあたしは今日したいのですよ?…ですから諦めなさいな」
ああ…ダメだ。やっぱりこの人は人の都合なんて関係ないんだ…やりたい放題なんだ。
昔からそうだったんだよな…この西園寺美里さんは。
西園寺美里(さいおんじ みさと)…僕の幼馴染で一つ年上の17歳。同じ学校に通う高校2年生だ。
成績優秀、頭脳明晰、容姿端麗…おまけに家は古い家柄でお金持ちときたもんだ。
僕が幼稚園の時に、公園で一人で泣いている美里さんがいた。
何を聞いても泣いてばかりだったから僕の家に連れて帰ったんだ。その時からの関係だ。
それ以来よく遊びに来るようになり、今では僕の両親とも仲良くなっている。
クリスマスのプレゼントが僕にはガンプラで(アッガイ)、美里さんにはブランド物の髪飾りだった。
父さん…母さん…息子にも少しは愛を注いでよ!
「美里さん…練習ってアレですか?」
僕の手を取りながら廊下を歩く美里さん。周りからの羨望の眼差しが僕を刺す。
「んふふふふ…そうですわよ。しばらくぶりですから…楽しみですわね?」
やっぱりそうか…なんで僕なんだ?金持ちなんだからもっといい男の人でも雇えばいいじゃないか!
っていうか、普通そんな練習しないだろ!それとも金持ちの家では当たり前なのか?
手を引かれながら校門を出ると、美里さんの迎えのリムジンが来ていた。
普段は電車で通学するんだけど(もちろん僕がかばん持ちだ)練習がある日は迎えが来る。
美里さんは僕をリムジンに押し込んで自分も乗ってきた。
外からは見えなくなっているから美里さんには都合がいいみたい。
「ん…んん…んちゅ…ちゅる…ふふふ、やーくんも舌絡めてきなさいよ。練習にならないじゃない」
僕の唇に吸い付いている美里さん。ただ吸い付いてるだけじゃなく情熱的な舌の動きを見せている。
まさか外の生徒達はリムジンの中で僕が襲われてるとは夢にも思わないだろうな…これが美里さんの言う練習だ。

そう、練習とはエッチな事…つまり『性行為』のことだ。

僕…青葉 裕彦(あおば やすひこ)と美里さんがこうなったのは今から約半年前だ。
僕は…ハッキリ言って美里さんが好きだった。…そう、好きだったんだよ。
何故過去形かというと…美里さんには婚約者がいるらしいんだ。
それを知ったのもこの練習をしようと誘われた時だった。
この練習を誘われた時の言葉がこうだった。
『やーくん。あたし、19歳で結婚しますわ。でも性的知識が不足してると思いますの。
…今のままでは旦那様を満足させれませんわ。そこでね、やーくん…性行為の練習相手になってもらえます?』
この瞬間、僕の淡い初恋が砕け散ったんだ。
一般人の僕が…おそらく大金持ちであろう婚約者に敵うわけがない!
それに美里さんは結婚になんの不満も感じてないみたいだし…所詮かなわぬ恋だったんだ。
初恋の人からのエッチな誘い…もちろん僕は美里さんの誘いを断った。何度も断った!
僕だってエッチには興味はある!相手が美里さんならなおさらだ。でも…それが婚約者の為なら話は別だ。
恋敵(僕の惨敗だけどね)の為なんて…絶対に嫌だ!
でも美里さんは一度こうと決めたものは絶対に譲らないんだ。
それに初恋の人にエッチな事をしようと執拗に誘われたら(特に美里さんは美人でスタイルバツグン!)
健全な男子としては我慢出来ないわけで…つい誘いに乗ってしまったんだ。
けど…僕は後悔した。所詮僕は練習相手でしかなかったんだ。
「やーくん、どうしたのですか?表情が少し優れないみたいですが…んふふふ、でもこちらは元気ですわね」
ううう…人の気持ちも知らずに…なんでこんなに元気になっちゃうんだよ!
車の中で美里さんに優しく触られて勃起してしまった僕。し、仕方ないだろ!若いんだから!

美里さんの家に着き、リムジンから降りて美里さんの部屋に直行する。
部屋に入ったとたんにズボンを脱がされ…咥えられた。いわゆる仁王立ちフェラだ。
「ちゅ…未来の旦那様には…はむ…ぜひとも気持ちよくなって…んっん…いただきたいですからね。
…ちゅる…んん…ここはひもひいいでふは?…じゅる…レロ…」
そう言いながら僕のペニスに舌を這わす。上目使いで僕の反応を見ながら舐め続けている。
時折僕の感じた所をメモに取っている。…婚約者って奴にしてあげるつもりなんだろうな。
裏筋に舌を這わせながら袋を優しく揉んでくれている。時折睾丸を咥えて舌で転がす。
……ハッキリ言ってかなり気持ちいい。でもこれは婚約者の為に練習としてしている事で…
尿道に舌を軽く入れて、チロチロと舐めてくる。そしてカリ首を咥えて首を回すように動かしてくる。
もちろん唇で締め付けて口の中では舌を激しく使ってきている。
あまりの気持ちよさに一気に射精してしまいそうになる。
「ちょっと待って…ううう…」
僕のうなり声を聞いた美里さんは一気にスパートをかけて来た。
吸い込むように口を窄めて顔を動かす。いわゆるバキュームフェラだ。
唇の締め付けと、口の中の温かさ、舌の柔らかさに性感が一気に高まってきた。
「美…里さ…ん…出ます、もうダメで…うう!」
ビュクッ!ビュクビュク!…ドクン!
美里さんの口内に射精する。憧れていた…初恋の人にまた出してしまった。


「んん〜!んくんくんく…んっく。ぷは!…ふぅ、やーくん凄い量出しましたね、次は上着脱いでくださいね?」
僕が大量に出した精液を全部飲んでくれた美里さん。
でもこの行為の全てが婚約者の為…所詮僕は練習台なんだ。
その証拠に服を脱ぐのは僕だけで、美里さんはいつも服を着たままだ。
それに僕が美里さんの体に手を触れる事は許されない。キスをする時だけは抱きしめるのを許してくれるぐらいだ。
無理やり手を出そうものなら…恐ろしい事になる。
美里さんの傍らにはいつも秋山さんがいる。執事兼運転手兼ボディーガードの人だ。
前に一度、我慢できずに美里さんを押し倒したことがあった。
普通我慢出来ないだろ?目の前にナイスなボディがあるのに触れないなんて。
けど美里さんを押し倒した僕は、隣の部屋から飛び込んできた秋山さんに一瞬で取り押さえられた。
……そのときは左手の小指だった。

『もう、やーくんったら…ダメですよ?あたしは結婚するまで綺麗な体で、と誓っているのです。
綺麗なままバージンロードを歩くんですの。初めての練習の時に言いましたよね?…秋山、小指やっちゃって』
『かしこまりましたお嬢様…ポキッ!』
『うぎゃぁぁぁぁぁ〜〜!!』

お、恐ろしい…秋山さんって普段は寡黙ないい人なんだけど、美里さんの命令は絶対なんだよな…
あの時も躊躇することなく僕の小指を折ったんだった。少しは躊躇してよ!…長い付き合いなんだからさ。
今も隣の部屋にいて何かあったら飛び込んでくるはずだ。
…しかし隣の部屋に人がいるってのにエッチな事をするのは恥ずかしくないのか?
う〜ん…お金持ちってきっとどこかズレているんだろうね。
っていうかなんの迷いもなく小指を折れって命令する美里さんって…やっぱりズレてるよね?
「やーくん早く脱いでくださいな、試したい事があるのです」
そんな事を考えていた僕を急かす美里さん。
どうせ逆らっても無駄なので渋々服を脱ぐ。
「ん〜…やーくん、もう少し鍛え直したほうがいいですわねぇ」
白くて細い指で僕のお腹や胸をさすりながら不満を漏らす。その微妙なタッチが気持ちいい。
「あら?やーくんこれが気持ちいいんですの?…メモメモっと」
さっそくメモする美里さん。…手が離れてちょっと残念に思っている自分に気づいた。
(なんだよ…最初はあんなに嫌がってたのにな。はぁ、やっぱり僕も男だよなぁ…
この関係がいつまで続くか分からないけど…それでも側にいれるだけでもいいのかな?)
諦めたはずの美里さんへの気持ち…未練タラタラじゃないか、情けないなぁ…

結局その日は体中に舌を這わされて(お尻の穴や足の指まで全部舐められちゃった)二回も出してしまった。
僕の気持ちよさそうな表情に、美里さんは嬉しそうにメモを取り満足したみたいだった。
で、家に帰れたのは夜8時過ぎ。親には美里さんが連絡済で心配すらされていない。
練習の日は美里さんの家で遊んでいるという事になっている。
遊んでいるというか…遊ばれてるんじゃないのか?


「青葉くん、今度の日曜ヒマ?…だったらさ、遊びに行かない?」
クラスメートの池田さんに誘われた。愛想が良くてクラスでの人気もあり、しっかり者の委員長だ。
「え?何で僕なの?…日曜日?別にいいけど…どこ行くの?」
これって…デートの誘い?……ま、まさかね。
「OKなの?よかったぁ〜、これでメンツが揃ったわ。5人もなかなか集まらなくてね。
確か青葉くんって前に新しく出来たテーマパークに行った事あるって言ってたよね?」
5人?…ははは、そりゃそうだよね。人気者の委員長が僕をデートになんて…ありえないよなぁ。
「あそこのテーマパークなら行った事あるよ。日曜そこに行くの?」
以前美里さんに無理やり連れて行かれたテーマパーク。
アメリカ映画のテーマパークで結構楽しかったんだ。
「うん、前から行きたかったの。あそこって今度の日曜日まで凄い花火を打ち上げてるんだって!
私どうしても見てみたいの!でも私の家ってハッキリ言って貧乏の部類に入るじゃない?
で、お兄ちゃんにお小遣い頂戴って言ったら『ふざけんなクソガキ!』って言われたの。
腹たっちゃったから『お義姉さんにあのこと言うわよ』って言ってみたらチケット5枚も貰えちゃった!」
ニコニコとチケットを見せる池田さん。…池田さんって結構ずる賢いんだな。
「青葉くんも一度お父さんに言ってみたらいいよ。後ろめたいことがあるならきっとお小遣いくれるよ?
そうだ!お小遣いも貰っちゃおう!んっふっふっふ…たっのしみだなぁ〜」
池田さんってたくましいなぁ〜。確か父親は小さい時に交通事故で亡くしてるんだよね。
で、今は母親と二人で暮らしてて…その母親って言うのが結構ずぼらで苦労してるって話なんだ。
家事がまったくダメで池田さんが炊事洗濯全部を担当してるんだって。
金も取られるであろうお兄さんってのがかなり年が離れてて(確か40代?)はたから見ればまるで親子なんだ。
なんでこんなに年が離れてるかっていうと池田さんのお父さんは再婚らしいんだ。
50代後半のおじさんとよく結婚する気になったよなぁ。で、お兄さんよりお母さんのほうが年下らしい。
しかも池田さんのお母さんはお兄さんの奥さんと同じ高校の出身で後輩なんだって!
う〜ん、複雑だ。何て複雑な人間関係なんだ。
「で、メンバーは僕と委員長、あと他の3人は誰なの?」
よく考えれば僕以外のメンバーが全員女子だとかなりキツイ。僕だけが浮いてしまいそうだ。
「えっとねぇ…かなちゃんにかなちゃんの彼氏の正平くん。あと正平くんの友達の……橘くん」
かなちゃんってのは同じクラスの綾崎かなえのことだよな?あとの二人って誰だ?
んん?正平に橘?静馬正平に橘修太のことか?それって中学時代のラグビー部での後輩じゃないか!
「あいつ等来るの?…ええ!綾崎って正平と付き合ってるの?アイツ…黙ってやがったな!」
後輩のくせに…僕より先に彼女を作るなんて…今度しごきに行ってやる!
可愛がっていた後輩の裏切りにショックを受けていた僕はあることに気づいた。
(んん?なんで委員長、顔が赤くなってるんだ?)
よく見てみると目がトロンとしていて何かを想像しているみたいだ。…まるで恋する乙女みたいだな。
恋する乙女?えええ?このメンバーに委員長の恋の相手がいるの?
誰だ?一体誰…そうか、そうだったのか。僕は本当に人数あわせだったんだな。
多分…いや、きっと委員長の恋の相手は橘だ。
正平は綾崎と付き合っているって話しだし、僕にはこんな顔したことがない。
てことは消去法で残るは橘だけだ。ためしに何か言ってみるか。
「……橘って好きな人いるのかなぁ」
「!!!!!」
僕の言葉にビクッっとする委員長。なんて分かりやすいんだ。
「ははは、委員長に協力するよ。日曜日は橘とうまくいくといいね」
真っ赤になる委員長。ホントに分かりやすいな。


「ねぇ青葉くん、このアトラクション行ってみませんか?前に来た時は行けませんでしたからね」
日曜日、行きの電車でテーマパーク特集の雑誌を開き、嬉しそうに話す美里さん。もちろん秋山さんも一緒だ。
(ねぇ青葉くん、なんで西園寺先輩が来てるのよ?)
(僕も知らないってば!今朝いきなり家に来て『さぁ行きましょうか』なんだから!)
(知らないじゃ困るってば!あんなのが来てたら橘くんの目がそっちに行っちゃうじゃないの!
それになに?あの怖そうな人…もしかして殺し屋?)
(委員長、それシャレになってないよ)
「あらあらぁ?なにを仲良く話されてるんですの?あたしも仲間に入れてくださいな?
…仲間はずれは嫌ですわ、ねぇ青葉くん?」
な、なんか知らないけど怒ってる。…怒ってるよぉ〜。
「なんでもないです先輩!…そうだ、かなちゃ〜ん、ちょっと話があるんだけど〜」
うわ!委員長逃げてったよ!最初から僕達と席を離れて座っていた綾崎さんと正平の所へと逃げていった。
橘が僕に助けを求める視線を放つ。僕は無言で頷く。それを見た橘は委員長を追って席を移動した。
委員長は橘が自分を追ってきたのかと嬉しそうな顔だ。
僕はそんな委員長に向かい親指を立てる。何故か綾崎さんが親指を立て返してきた。
「あらあらあらぁ?楽しそうですわねぇ〜。…秋山、親指いっちゃって」
「ちょっと美里さん!なんでなんですか!って秋山さん、親指持たないでぇ〜!」
美里さんは何故か朝から不機嫌で、場の空気を悪くしている。そもそもなんでここにいるんだ?
「そんなに慌てて…冗談ですわよ。秋山、まだしなくていいわよ」
……まだ?確かに今、まだしなくていいって言ったよね?まだって事は…いつかはあるって事?
「青葉くん、青い顔されていったいどうされたんですの?せっかく遊びに来ているんですから楽しみましょうね?」
「…どうして今日遊びに行くって知ったんです?なんでついて来たんです?」
僕の問い掛けにニコリとほほ笑み答えてくれた。
「どうして遊びに行く事を知ったかというと、おばさまに聞きましたの。
で、何故ついて来たかというと青葉くんのためですわ。
今日のデートははっきり言って青葉くんがお邪魔虫ですの。
綾崎さんに静馬くん。池田さんに橘くん。このカップリングに青葉くんはお邪魔ですわね?
で・す・か・ら!あたしが青葉くんのお相手をしてあげようと思い、来てあげましたの。納得されました?」
う…確かに僕はお邪魔虫だよな。その証拠に他のメンバーはもう僕のことなんか忘れたかのように話し込んでいる。
…委員長って案外冷たいんだ。あんなに嬉しそうな顔しちゃって…いいなぁ。
……チクショウ!なんでこんな空しい気持ちになるんだよ!…後輩二人には体育会系特有の理不尽な説教確定だ!
「青葉くん、そんなに池田さん達を羨ましそうに見ていたら…みっともないですわよ?」
まるで僕の心の中を覗いたかのような美里さんの言葉にかなりアセってしまった。
「う、羨ましくなんかないやい!…なに笑ってるんですか!ああ!秋山さんまで!ひ、ひどい…ひどいわ!」
こんな事を話しながらの電車は意外と楽しかった。美里さんも機嫌が直ったみたいでよかったよ。
そういえばなんで機嫌悪かったんだ?ま、いいや。それよりせっかく遊びに来たんだから楽しまないと!
それに…よく考えたら美里さんと二人きり。これっていわゆる…トリプルデート?になるのかな?


「ではここで三組に別れましょうか?綾崎さんは静馬くんと。あたしは青葉くんと秋山の3人で回りますわ。
ですから池田さんは橘くんと行動してくださいね?」
入場したとたんに美里さんが仕切りだした。委員長はいきなり橘と二人になれと言われて軽くパニくってる。
まぁ今回の目的は委員長と橘をくっつけるって話だから(綾崎さんとは打ち合わせ済み)
この組み合わせにはなんら問題はない。
それに美里さんの仕切りだからみんな文句も言えない。美里さんの我が侭っぷりは学校中に響いてるからだ。
我が侭というか…自分の意見を決して曲げない気の強さというか…
まぁだいたいは美里さんの言う事が正しいんだけどね。
「じゃ、じゃあ橘くん一緒に行きましょうか?し、仕方ないよね?
かなちゃんの邪魔しちゃ悪いし、先輩の意見だもん。…仕方ないよね?」
委員長は仕方ないと言いながら橘と二人で歩いていった。委員長ってすぐに顔に出るなぁ…真っ赤だぞ。
「う〜ん、あれじゃうまくいかないかもね?じゃ、あたし達も行くから。青葉くんも楽しみなさいね」
そう言いながら正平の手を握り歩いていく綾崎さん。
さっき気がついたんだけど…正平からは僕と似た匂いがする。
現に正平は僕に助けを求めるような眼差しを向けている…気がする。なんか哀れだ。
そういや綾崎さんって正平の幼馴染だって言ってた。僕と美里さんみたいなものなのか?
だから同じような匂いがするのか?…一度腹を割って話そうかな?
「さぁ青葉くん、あたし達も行きましょうね?夜になると花火が凄いんですって!楽しみですわねぇ〜」
そう言いながら強引に僕の手を握り歩いていく美里さん。…正平とは親友になれる気がしてきた。

「秋山、練習が出来そうな場所どこかにないかしら?」
色々なアトラクションを楽しんで少し休憩をしていた時、美里さんがとんでもない事を言い出した。
「な、何言ってるの!こんな所で練習って…美里さん!」
「お嬢様…こういう場所ではやはり人が多くて練習は無理かと…
帰りにリムジンを手配いたしますので、リムジンの中でするのがベターと思われますが…」
秋山さん…少しは止めようとしてよ!
「う〜ん…あたしは今すぐしたいのですが、秋山がそう言うなら仕方ないですわね」
美里さん、秋山さんの言う事なら聞くんだよな。
「やーくん、残念ですわね〜?けど車の中でというのも趣があっていいですわ。楽しみですわね〜」
ニコニコと嬉しそうな微笑を浮かべてる美里さん。
周りの人はまさかこんな美人が僕のを咥えるのを我慢してるなんて思いもしないだろうな。
ニコニコ顔の美里さんは僕の腕に手を回し、胸を押し当てるように腕を組んできた。
おおお〜!腕を組んでくれるなんて初めてだ!っていうか胸の感触が…柔らかいなぁ。
綾崎さんには負けるけど美里さんのだってかなりの胸をしている。
綾崎さんは走っているのを見たら思わず『バインバイン!』と言ってしまう様な巨乳だから仕方がない。
僕は全神経を左腕に集中して胸の感触を楽しんだ。
「もう、やーくんったら…みっともない顔しないでくれます?…今日は特別サービスですわ」
そう言ってさらに腕をギュッと抱きしめてきた。こ、これは…まずい!
眠れる巨人が目覚めてしまう!(巨人って言うのは言いすぎだけどね)
と、取りあえず落ち着かないと…こんな所で目覚めたらヘンタイ扱いされてしまう!精神集中だ!
落ち着け…落ち着け…ギュッ…お、落ち着けぇ…ふにっ…お、落ち着こうね?…むにゅ…落ち着いて感触を…

巨人の目覚めを不屈の精神で乗り切った僕は、英雄として称えられてもいいんじゃないかな?
それよりなんで美里さんはこんなにご機嫌なんだろ?


「やーくん少し待っててくださいな。化粧直しに行ってきますわ」
「え?美里さん化粧なんてしてないでしょ?…あぁ、トイレですか?」
「……秋山、小指やっちゃって」
「ば、ばばば場所取りしてきます!」
花火の打ち上げ時間が迫ってきた夕方、美里さんがトイレに…化粧直しに行っている間に場所を確保する。
他のメンバーはどうしてるんだろ?そんな事を考えていたら秋山さんが話しかけてきた。
「裕彦…お前このままでいいのか?」
「あれ?秋山さん、美里さんの側にいなくていいんですか?…このままでいいのかってなんなんです?」
ドキリとした。秋山さんの質問の意味は分かっている。
多分僕の美里さんへの気持ちについてだろう。
「……覚えているか?昔、こうやって花火を見に来たことがあったな」
僕の問い掛けには答えず話し出した秋山さん。
「あれは地元の夏祭りだったな。美里さまが小2、お前が小1の時だ」
「ああ、そんなこともありましたね…」
なんとなくだけど覚えている。僕の両親にお小遣いを貰って二人だけで行ったんだった。
ま、影で秋山さんが見守ってくれてたんだけどね。
「フッ…あの時はハラハラしたぞ。何も分からないのにお前の手を引いてどんどん歩いていく美里さま。
お前はお前でいろんな屋台に興味心身で、キョロキョロしてて危なっかしかった」
「そりゃそうでしょ。せっかくの年に一度の夏祭りだったんですからね。
きっと少ないお小遣いを何に使うかで頭がいっぱいだったんですよ」
「フッ…覚えているか?その少ない小遣いをなんに使ったのか…」
何に使ったのかって…覚えてるわけないじゃん。もう10年も前の話だよ?
「…その顔じゃ覚えてないな。まぁいい、話が逸れたな…お前はどう思っているんだ?今のままでいいのか?」
今のままでいいのか…秋山さんの言う事は分かる。…凄く分かる。でも…
「お前もこんな関係がいつまでも続くと思ってはいないだろう。…諦めるのか?お前は美里さまを諦めれるのか?」
秋山さんの言葉が胸を刺す。
「…じゃないですか。……諦めれる訳ないじゃないか!でも仕方ないだろ?
僕みたいな一般人が金持ちのフィアンセなんかに勝てるわけない!諦めるしかないんだよ!」
誰にも言えず、一人で胸のうちにしまっていた想いを吐き出してしまった。
そんな僕を見てほほ笑む秋山さん。
「…ひとついいことを教えてやる。お前が昔、夏祭りで買った物はおもちゃの指輪だ。
それは今も美里さまがずっと大事に持っている。そしてその夏祭りの夜に美里さまが初めて口付けをされた。
私が神父役をしてな。神社の境内で神父をするとは思わなかったぞ。フッ…かわいい新郎新婦だったな」
ええ?ま、まさか、その相手は…僕なのか?
「裕彦、何故戦おうとしない?幼い頃、遊びとはいえ式を挙げたんだぞ?
指輪を渡し、誓いのキスもしたんだぞ?お前の言うフィアンセに取られてもいいのか?
自分の女を…取られてもいいのか?どうせ後悔するならまず行動してから後悔しろ!
何も行動せずにうじうじするな!」
あ…秋山さん…あの秋山さんが応援してくれてる。
せっかく押さえていた美里さんへの気持ちが…爆発しそうだ!
「…っそぅ…っクッッソ〜!…やるかよ!誰が美里さんを渡すかよ!…秋山さん、ありがとうございます!
当たって…砕けてきます!」
「フッ…そうだ、その意気だ。…これをやろう。このネックレスは私が昔からお守りとしているものだ。
着けていけ、少しは御利益があるだろう。……美里さまを頼むぞ」
そう言って僕の首にネックレスを着けてくれた秋山さん。
「頑張れよ!…オレの目から見たところ…脈はありそうだからな。絶対に引くな!命がけで口説いて来い!」
バシンッ!秋山さんの大きな手で背中を叩かれて送り出された。
…砕けてやる!ああ、当たって砕けてやるさ!絶対に美里さんは渡さない!


「あら?やーくん待っててくださったの?ゴメンナサイね、お化粧を直すのに少し時間が…
ちょ、ちょっとなんですの?そんなに急いでどこへ行こうと…」
トイレから出てきた美里さんを無理やり引っ張って、花火が良く見える場所へと連れて行く。
これから告白するんだ、少しでも雰囲気をよく…そうだ、告白するんだ!…き、緊張してきた。
さっきまで秋山さんと話していた見晴らしのいい場所へと引っ張ってきた。
秋山さんはいない。きっと気を利かせてくれたんだ。
「あらぁ?ここならゆっくりと花火を見れそうですわね?…どうしたんですの?さっきから怖い顔してますわよ?」
首をかしげながら僕の顔を覗き込むようにしてきた美里さん。その仕草が…反則なぐらいにカワイイ!
「きゃっ?ちょ…コラッ!やーくん離しなさい!」
思わず抱きしめてしまった…も、もう行くしかない!
「美里さ…いや、みーちゃん!…好きです!ずっと…ずっとずっとずっと好きでした!愛してます!」
突然の告白に固まる美里さん。
「ずっとみーちゃんの側にいたい!だから…結婚なんて止めてくれ!僕と…ずっと一緒にいてください!」
…どれくらいの時間が経ったんだろう。実際は1分も経っていないんだろうけど…僕には1時間にも感じられた。
僕の腕の中でなんの反応も示さない美里さん。…いや、震えているのか?
「…グスッ。一体どれだけ待たせるんですの?…ヒック、遅すぎますわ」
涙声の美里さん。どれだけ待たせるのって…ええ?もしかして!
「またみーちゃんって呼んで下さいましたね。…これから二人の時はずっとみーちゃんって呼んで下さいね?」
美里さ…みーちゃんの肩に手を置いて激しく頷く僕。これって…これって!
「…好きです。私もやーくんが大好きです。…愛してます!」
あ、頭がクラクラしてきた。…夢じゃないよな?
僕の事を愛してるって言ってくれたみーちゃんは…僕を恥ずかしそうにじっと見つめている。
「やーくん…その…キス…していただけます?昔、神社でしてくれたみたいに…やーくんからキスを…」
大きな目に涙を浮かべてキスをしてとせがむみーちゃん。…反則だ。この可愛さは反則だよ。
吸い寄せられるようにみーちゃんの唇へと…きれいな唇へと近づいていく。
「…ん…んん…んぅ…あぁ…好き。好きです…やーくん好き…」
…柔らかい。みーちゃんとは練習のときに何度も激しいキスも何度もしてるけど…こんなに柔らかかったんだ。
唇を合わせるだけのキス。キスってこんなに柔らかくて…気持ちよかったんだ。クセになりそうだ。
「やーくんどうされましたの?ボーっとされて…大丈夫?」
「いや…みーちゃんとこんなキスができるなんて…好きって言ってもらえたなんて夢見たいだから…」
あぁ…夢なら覚めないで!僕が…みーちゃんに好きだって言ってもらえるなんて!
愛してるって言ってもらえたなんて!ああ!覚めないでくれ!
「ふふふ…自分で口説きながら夢だなんて…秋山、目覚めの小指、やっちゃって」
「かしこまりました、お嬢様」
僕の小指を持つ秋山さん。…ええ?いつの間に来たんですか!っていうか小指を持たないでぇ〜!


「なんで秋山さんがいるんですか!…なんなんです?その手に持った物は?」
僕の目がおかしくなっていなければ…カメラ、だよね?
「あらあらぁ?やーくんビデオカメラも知りませんの?」
『何を言っているのかしら?』そんな顔して首を傾げるみーちゃん。
「いやいや、それぐらいは知ってるよ!なんでビデオカメラを持ってるかって聞いてるんです!」
「裕彦、ただのビデオカメラじゃないぞ。ハイビジョンと同じ画質のデジタルビデオカメラだ」
どうでもいい知識を付け加えてくれた秋山さん。そんなのどうでもいいっての!
「だ・か・ら!なんでそんな物持ってるんですか!」
「…秋山、マイク返しますわ。やーくんもマイク、取りましょうね?」
そう言って胸元から小さい物を取り出したみーちゃん。マイク?なんなんだ?
「みーちゃん、マイクってなに?」
「マイクとは音を拾う物ですわ。やーくん知りませんでしたの?」
『何を言っているのかしら?』そんな顔してまた首を傾げるみーちゃん。二人して僕をからかってるだろ!
「何なんだよ!二人していったい…秋山さん?なにしてるんです?」
僕の首に手を回してきた秋山さん。ぼ、僕何か首を絞められるようなことした?
「ん?マイクの回収だ。フッ…なかなかの告白だったぞ。告白というか…あれはプロポーズだな」
僕の首からネックレスを取り外し、ニヤリと笑う秋山さん。…それ、マイクだったんですね。
ここにきてようやく分かってきた。
何故秋山さんがカメラを持っていたか。
何故秋山さんがマイク付きネックレスを僕にくれたか。
何故秋山さんが僕が告白をするようにけしかけたか!
「……みーちゃん、なんでこんなことしたの?」
「秋山、音声はキチンと拾えたのかしら?映像は大丈夫なの?」
……聞いてないし。みーちゃん、我が道を行きすぎだよ…
「大丈夫ですお嬢様。音声はバッチリ、もちろん映像も5台のカメラを使用して、
全てを撮影する事に成功しました。音声と映像は既に業者に回すよう手配しています。
明日の朝には出来上がります」
秋山さんからの報告を受けて満足げに頷くみーちゃん。
二人の会話を聞いていてなんとなく分かってきた。
多分だけど…みーちゃんが全て考えたんだ。
自分がトイレに行っている間に秋山さんに僕をけしかけさせて集音マイクを取り着けさせる。
で、僕達の周りに何人か映像の撮影スタッフを手配して待機させる。
秋山さんの言葉でやる気になった僕はそんな事とは知らずに告白する。
で、僕に取り着けたマイクと自分に着けていたマイクで僕達の会話を拾う。
そして映像スタッフが撮影した物と合わせて一本の映像にする。…なんでこんな事したの?
「そうですか。秋山、よくやってくれましたね、ご苦労様でした。
やーくん、これで結婚式で流す映像はバッチリですわ」
ニコニコとほほ笑むみーちゃん。…なんですと?


「やーくん2年後が楽しみですわねぇ?あたし、素敵な花嫁になれるよう努力しますわ」
ニコニコ顔のみーちゃん。腕に抱きついてきて胸を押し付けてきてる。でも僕の頭の中はそれどころじゃない。
2年後?え〜と…話の流れから察するに結婚式の事かな?
ま、まさか…みーちゃんを見てみる。満面の笑みってやつだ。やはりそうなのか?
「ねぇみーちゃん。前から2年後に結婚するって言ってたけど、それって誰とするつもりだったの?」
「もちろんやーくんですわ。他に誰がいますの?」
『何を言っているのかしら?』そんな顔して首を傾げるみーちゃん。
「だって婚約者がいるって…」
「一度も言ってませんわ。そんな大嘘誰が言っていたのかしら?」
『何を言っているのかしら?』そんな顔してまた首を傾げるみーちゃん。
「練習の時に旦那様の為って言ってたじゃないか!」
そうだよ、未来の旦那様に気持ち良くなってもらいたいから練習に付き合って欲しいって…
「ええ、未来の旦那様の為にとは言いましたわ。気持ちよかったでしょ?未来のだ・ん・な・さ・ま」
なんですとぉ?じゃあ今までの練習は全部僕のため?最初から僕と結婚するつもりだったの?
「みーちゃん…結婚って早すぎない?それになんで2年後なの?」
「何を言ってますの?結婚するには男子が満18歳以上、女子が満16歳以上にならないと法律で無理なんですわ。
あたしはもういつでも結婚できますけど、やーくんが無理ですから待っているという訳ですわ」
あぁ〜そっかそっか、みーちゃんでもさすがに法律には勝てなかったんだね。納得だね…納得できるかぁ!
結婚ってなんだよ!そんな人生で一番大事なことを僕が知らないところで勝手に決められてたまるか!
みーちゃんに文句を言ってやろうとしたけど…その笑顔は反則だよ。そんな顔されちゃ文句言えないよ。
「やーくんどうしたのですか?さっきから表情が忙しく変わってますわよ?それより見てくださいな。
こうして二人で花火を見るのって…一度目のプロポーズ以来ですわね」
空を見上げたらちょうど花火が打ち上げられた所だった。
そうだった…昔二人で行った夏祭りの時もこうして見上げていたっけ。
そうだ、思い出した。その時にみーちゃん、お小遣いを落としてしまったんだった。
泣きじゃくるみーちゃんを慰めるために指輪を買ってあげたんだった。
で、みーちゃんがお礼に大きくなったら結婚してあげるわって言ってきて…喜んでOKしたんだった。…あれ?
これってどう考えてもみーちゃんが僕にプロポーズしたんじゃ…
花火を見上げるみーちゃんの横顔を見る。…綺麗だ。その横顔に思わずキスをする。
「ん、もうやーくんったらぁ…ちゅっ、これでしばらくは大人しくしていてくださいな。
帰りには車の中で練習に付き合ってもらいますからね?それまでは我慢くださいね?」
軽く唇に感じた甘い感触…いいなぁ。僕達ってまるで恋人同士だよなぁ…
「うわぁぁぁぁぁ!!!キ、キスしたぁ!チュってキスしてたぁぁぁぁ〜〜〜!!!」
突然後ろから大声でわめく女の子の声が。この声は…どうしよう?
そ〜っと後ろを見てみる。委員長他全員が目をまん丸にして僕達を見ている。
「あらあらぁ?フィアンセだからキスくらいは当たり前ですわ」

満面の笑みで火に油を注ぐみーちゃん。僕、明日から学校でどうなるんだろ?

結局帰りは僕達はリムジン、委員長達は電車で帰る事になった。
いちおう秋山さんは3台手配していたんだけど…委員長が断った。
橘と二人きりにはなりたくないんだって。
委員長、どうやらフラれたらしい。よく見ると涙の後が付いていた。
綾崎さんが付き添って家に帰るんだって。僕も慰めてあげたかったけど…息してるのもムカつくって言われた。
幸せな奴は死ね!って言ってた。委員長が壊れちゃったよ…綾崎さんも苦笑いで付き添って帰っていった。
委員長のようないい子をふるなんて…橘には体育会系伝統の嫉妬心全開の説教だ!
そんな不幸な委員長をよそに今僕は、リムジンの中でみーちゃんの肩を抱き、激しいキスをしている。
「んん…んあ…んん!こらっ、胸触っちゃダメです…あん、もうやーくんのえっち!」
激しいキスは興奮が高まるわけで…すぐそこに柔らかい胸があるわけで…恋人同士になったからOKだよね?
キスをしながらみーちゃんの胸を揉む…柔らかい。胸を触るたび、みーちゃんはビクンッと少し反応してくれる。
リムジンの中では僕達が舌を絡めあう音しかしない。僕の巨人は完全に目覚めて全開になっている。
なぜなら…胸のお返しとばかりにみーちゃんの細い指がズボンの上から優しくなでている。
…ゴメンナサイ、興奮のあまりにもう爆発しそうです。
「み、みーちゃんゴメン、手を止めてくれない?もう出そうになっちゃったよ」
トロンとした目のみーちゃんは手を止めて僕の膝元に屈み込んだ。
「もう…勝手に胸を触ってくるようなえっちなやーくんには…お仕置きですわ」
ジ・ジ・ジ・ジ…ジッパーを下げてくれるみーちゃん。
みーちゃんはズボンを下ろすと出てきた見事なテントを張っているトランクスに一瞬息を呑んだ。
「やーくんって…こんなに大きかったかしら?」
トランクスも下ろすみーちゃん。反り返る巨人を見てまた息を呑んだ。
「こんなに熱くなって…うふふふ、お仕置きのタイムスタートですわ」
そう宣言したかと思うといきなり咥え込んだ。口の中で先を綺麗な舌で刺激しつつ袋を優しく揉んでくれる。
先を口から離したかと思うと裏筋に舌を這わせながら睾丸を口に含んでこれも舌で転がす。
睾丸から口を離したかと思うとチロチロと舌を這わせながらお尻へと攻め上がる。
「うっひゃう!みーちゃんそこは…おお!」
みーちゃんの舌がお尻を…穴を舐める。優しくゆっくりと丁寧に舐め続ける。
舐めている間も手は休むことなく先っぽを撫でるように愛撫してくれる。
「あ……もう……ダメだ…出…る…うう!」
どぴゅどぴゅ!どぴゅん!どくんどくん…
う、うわ…凄かった。お尻舐められながら先っぽをマッサージなんて…最高だ!
あまりの気持ちよさのため大爆発した僕の巨人。爆発する事で怒りも静まったみたいだ。
はぁぁ〜、気もちよかったぁ〜。ふとみーちゃんを見てみる。…頭から顔からもう全身にかかっちゃってる。
「わ、ゴ、ゴメン!今拭くから!」
慌ててティッシュで精液を拭く。…あれ?みーちゃんトロンとした目で服に付いた精液を見ているな。
……まさかこういうのが好きなの?今度お願いしてみるかな?なんせ恋人同士になったんだからね!


そうこうしている内にリムジンはみーちゃんの家に着いた。
リムジンを降りるまでにどうにか処理を終えた僕達は、腕を組みながらみーちゃんの部屋に向かう。
部屋ではみーちゃんが入れてくれた紅茶を頂く。う〜ん、いい香りだ。
「やーくん…今日は泊まってくださる?おばさまには連絡済ですわ」
ゴクリッ…喉が鳴る。これは…あれか?いわゆる一つの練習じゃなくて…ついに本番ですか!
「う、うん!泊まる!泊まっていくよ!絶対に泊まるからね!」
ついにみーちゃんと…そりゃエッチな事は色々やってきたけど…
いや、色々されてきたんだけど…SEXとなると話は別だ!
「まぁうれしいですわ!…じゃ、秋山、小指やっちゃって」
「かしこまりましたお嬢様」
ゴムとかどうしたらいいんだ?子供が出来たらさすがにマズイよな?今から買いに行って…
『小指やっちゃって』って…なに?
なんの躊躇もなく僕の右手小指を持つ秋山さん。
「ちょ、ちょちょちょっと!なんで?なんでなの?」
大慌て叫ぶ僕。なんで指折られないといけないんだよ!
「もう…やーくんのエッチ!車で胸触ってきたでしょ?結婚式を挙げるまでそういうのは無しなの!
以前にも一度言いましたわよ?だから…ね?」
かわいい微笑を浮かべてるみーちゃん。しかしその口からは冷静な口調で指示を出した。
「秋山、小指やっちゃって」
「ちょ〜っと待っ…うぎゃぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!」

……ポキッ!


こうして僕は我が道を行っている婚約者が出来た。

このことが幸せなのか不幸せなのかはまだ分からない。

その答えは包帯に包まれた小指が知っている…かもしれない。




(あれが今ウワサの西園寺先輩のフィアンセよ)

(あんなのがいいのか?西園寺先輩も趣味が悪いんだな)

(西園寺の相手しなきゃいけないなんて、アイツ勇気あるなぁ)

(青葉が先輩と婚約したぁ?…ご愁傷様だな)

(見て見て、あの子がミサちゃんの相手よ。やっぱミサちゃんって趣味悪いよね)


………くっそ〜、いつまでこんな状態が続くんだよ、僕は見世物じゃないぞ!
朝、登校してたら教室の外には人だかりが。全員が僕を物珍しそうに見ている。
かれこれ3日はこんな状況が続いている。もう勘弁してよ!
こんな状況になったのも、僕が美里さんの策略に乗ってしまったからだ。
その策略というのは…
「あっおばく〜ん、おっはよ〜!変な顔してどしたの?せっかくのイマイチな顔が台無しだよ?」
バシン!と背中をたたく元気な声。いてて、これは委員長だな。朝からホント元気だなぁ。
いつも元気な委員長。正式名称を池田果歩っていうんだ。…イマイチな顔ってなんだよ!
「…委員長、なんか最近毒吐くようになったね」
「ウルサイよ、このヒモ男!…なぁ〜んて冗談冗談。あっははは!ビックリした?
ゴメンね?モテナイ女の僻みだよ。このぉ、モテモテの色男!」
「ちょ、ちょっと委員長!そんな突かないでよ!痛いって!」
肘でわき腹をツンツンとつつく委員長。
最初はツンツンだったけど、次第にドスドスと…い、痛いって!ホントに痛いよ!
「こらこら、いい加減にしないと西園寺先輩に怒られるよ?」
血走った目でドスドスと脇に肘をいれてくる委員長を止める人が。た、助かった!
「あ、かなちゃんおはよ〜!あははは、青葉くんゴメンね?ちょっと強く突きすぎたかな?
あははは、やっぱモテナイ女のひがみは醜いよね?………いい気になるなよ」
ボソッと呟き自分の席へと戻る委員長。こ、こえぇ〜!
「綾崎さんおはよう。…池田さん、まだ引きずってるんだ?」
かなちゃんと言われた人物、綾崎かなえさん。池田さんの親友だ。
その池田さんはついこの間、フラれちゃったんだよね。僕の後輩の橘修太に。
僕が美里さんに告白した日にフラれたんだよ。橘のヤツ…生意気だぞ!
「そうなのよね、それでちょっと困った事になってるんだよね」
そう言って顎に手を添えて頷く綾崎さん。
けど僕の視線は制服の上からでも分かる巨乳に釘付けだ。
「橘君の好きな子って実は彩なのよね。はぁぁ…困っちゃったわ、どうしたらいいのかな?」
う〜ん…これは絶対にD、いや、Eカップはあるぞ?
「彩にはね、小さい頃から好きな男の子がいるのよ。橘君も知ってるはずなのに…って聞いてるの?」
「…へ?あ、ゴ、ゴメン、ちょっと考え事してて。で、なんの話だっけ?」
マズイマズイ、まさか綾崎さんの胸に釘付けだったなんて言えないよ。
「…はぁぁ〜、もういいわ。青葉くん、婚約してから少し気が抜けてるんじゃないの?
幸せなのはいいけど、少しはクラスメートのこと心配してあげてよね」
そうなんだよ、美里さん…西園寺美里さんの策略とはこのことなんだ!
僕は美里さんの策略に乗ってしまい…婚約してしまったんだ!


そりゃあ僕だって美里さんのことが好きだったから嬉しいよ?
けどいきなり婚約はないと思うな。告白した次の日に、美里さん、僕の両親に挨拶までするんだもん。
それを大喜びする親もどうかと思うよ?自分の親ながら……お前等バカだろ!
学校の校長にまで話が伝わっていたし、毎朝これ見よがしに腕を組んで登校しているんだ。
むにむにとした感触は嬉しいんだけど、見せ付けるように腕を組むのは止めてほしいな。
一度美里さんに聞いたんだ。なんでそんなに引っ付いてくるの?って。
そしたら『悪い虫が付かないようにしているんですの。…やーくんカッコいいから』だって。
…やっぱり美里さんって趣味が悪いんだなって思ったよ。
僕をカッコいいなんて思うんだからね。視力悪いんじゃないの?
で、僕が告白したのがつい四日前の話で、今は学校中に広まっている。
はぁぁ〜、毎日野次馬がいて心が落ち着かないよ。
「…人の話を無視するのもいい加減にしろ〜!」
ボスッ!四日前に脱臼した僕の小指にパンチする綾崎さん。いがああああ!!
「いってぇぇぇ〜!な、なにするんだよ!メチャクチャ痛いよ!」
ううう、ズキズキするよぉぉ〜。
「何するってやられて分かんないの?パンチよパンチ!人の話を無視するからよ。
もういいわ、青葉くんに相談しようとしたのが失敗だったわ!」
ユサユサと胸を揺らして自分の席へと向かう綾崎さん。う〜ん、顔を埋めたいなぁ。
「かなちゃんどしたの?そんなプリプリ怒ってちゃ、胸、垂れるよ?」
「うるさいのよ!誰のせいでイライラしてると思ってんの!
あんたのようなジャンプしても揺れない胸に言われたくないわ!」
「ああああ〜!ひっど〜い!少しは揺れるよ!目を細めて見れば、辛うじて揺れるような気がしてる夢を見たよ!」
「…ぷっ、ぷははは!果歩ゴメンね。ちょっとイラついてちゃったね。ホントにゴメン」
「ううん。いいよ、かなちゃん。私の為にいろいろ考えてくれてるんだもん、こっちこそゴメンね?」
両手を握り合い、仲直り。麗しき女の友情か…それどころじゃないくらいに指が痛いよぉ。
うぅぅ、秋山さん、折れと命令されたらホントにするんだもんなぁ。ヒドイよ秋山さん。
「お前等いつまで話してるんだ〜。いい加減に教室に戻りなさい」
廊下から野次馬を追い払う担任の相川先生の声が。ヤバイヤバイ、僕も席に着かないと。
「みんなおはよ〜っす。全員来てるか〜?おし、全員出席だな」
教室をぐるりと見回し、出席の確認を取る相川先生。
「しかし毎朝よくも飽きずに見物に来るな。ははは、見物料でも取って一儲けするか?」
先生の言葉にクラス中がクスクスと笑い出す。こっちは笑い事じゃないんだぞ!
「先生!笑い事じゃないですよ!こっちはいい迷惑してるんですから。どうにかしてくださいよ」
「青葉よ、人間諦めが肝心だぞ?まぁそのうち飽きてくるさ。
青葉、婚約したのは許すがな、子供はダメだぞ?おれより先に子供を作ったら絶対に許さんからな!」
「しつも〜ん!相手もいないのにどうやって子供を作るんですか〜?教えてくださ〜い」
委員長の突っ込みに今度は全員が大爆笑だ。
「池田、先生を見くびるなよ?先生にはな、ちゃんとした相手はいるんだよ」
「二次元の女の子は妊娠しませんよ?」
今度は綾崎さんが皆を笑わせる。先生もこの二人にかかれば形無しだな。
「お、お前等、先生を苛めて楽しいか?くっそ〜、この恨みは授業で返す!
という訳で青葉、教科書の74ページの問題、前に出て解いてみろ」
「な、なんで僕なんですか!僕何も言ってませんよ!」
「幸せなヤツはいるだけでムカつくからな。さっさと解きなさい」
今度は僕が皆に笑われた。くっそ〜!こんなの理不尽だ!


「…ってことがあったんだよ。みーちゃんはからかわれたりしないの?」
放課後、みーちゃんとの帰り道、今日あったことを話す。
僕の腕を抱きしめて、嬉しそうに話を聞く美里さん。腕に感じるぷにぷにが堪らない。
「何故からかわれなければならないんですの?やーくんはクラスの皆にきっと僻まれてるんでしょうね」
「僕もそうだと思うよ。だってこんなに綺麗なみーちゃんが恋人なんだからね」
「まぁやーくんったら。恋人ではなく婚・約・者!間違えてはイヤですよ?」
ニコニコと嬉しそうに微笑む美里さん。
「けどそんなに婚約が珍しいのかしら?ラインフォード先輩も婚約していると言っているのに…
よっぽど暇なんでしょうね」
むにゅむにゅと胸を押し付けながら話す美里さん。
綾崎さんよりは小さいけど(他の人に比べれば巨乳だけどね)、これは気持ちいいなぁ。
「もう、やーくんったら!鼻の下を伸ばして…そんなにあたしの胸が気になるの?
うふふふ、今日は練習に付き合ってもらいますね?」
れ、練習?…ゴクリッ。
「う、うん!練習付き合うよ!みーちゃんがしたいようにすればいいよ」
「あらあら…こんなところではしたないですわ。秋山を呼びましょうね?」
僕の下半身に視線を向けた美里さんは、携帯で秋山さんを呼び出している。
僕も下半身を見てみる。立派な山が出来ているな、まるで富士山だ!…天保山じゃないよ?
し、仕方ないよね?告白した日以来してもらってないんだから。
そりゃあ一人では何回かしたよ?けど、自分でするのと美里さんにしてもらうのとでは全然違うんだよ!
例えるのなら、回転寿司と高級握り寿司ぐらいの違いだ!…例えが悪いかな?
「やーくん、もう少しで秋山が来ますわ。練習は車の中でゆっくりと…ね?」
少し赤い顔で微笑む美里さん。
「うん!…でもみーちゃん、いっつもみーちゃんばかり練習してるけど、たまには僕にも練習させてほしいよ」
今日こそは、そのたわわな胸を…せめて顔を埋めさせて!
「…もう、やーくんったら。そんなこと言って、エッチなことしたいだけなんでしょ?
エッチなことは結婚するまでダメだって、ついこの間も言いましたよね?秋山、薬指やっちゃって」
へ?秋山さん?ま、まさか、もう来たの?後ろを振り返ろうとした瞬間、背筋がぞっとした。
「かしこまりましたお嬢様。では…ポキン!」
「ふぎゃぁぁぁぁあああ〜〜!!……はぁはぁはぁ!あ、秋山さん!驚かせないで下さいよ!」
僕の薬指を持ち、ポキンと口で言って驚かせてきた秋山さん。ホントに折られたかと思ったよ!
「まぁまぁ、秋山は優しいのね?ま、今回は秋山に免じて許しますわ。
やーくん、もう二度とエッチなことをしようとしないで下さいね?
結婚すればあたしはどんなことをされてもいいですわ。ですからそれまでは練習だけで辛抱して下さいな?」
ぶんぶんと頷く僕。これ以上指を折られたくないよ!
指を折られるってめちゃくちゃ痛いんだよ?みーちゃん容赦ないよ。
でも、少しは僕にも触らせてほしいなぁ。


「さ、車も来たことですし、さっそく練習に付き合ってくださいな」
僕の手を引きリムジンへと乗り込む美里さん。僕はまだ恐怖で震えている。
「もう、やーくんったら、いつまで震えてるの?ホントに可愛いんだから。
ここもこんなに可愛くなっちゃって…あぁ、やーくんの匂いがしますわ」
僕を座席に座らせるなり、股間に顔を寄せてクンクンと匂いを嗅ぎだした美里さん。
「み、みーちゃん、そんなに嗅がないでよ。恥ずかし…うお?う、うぅ」
僕の抗議を無視してズボンを降ろす美里さん。
降ろしたと思ったらいきなりパクリと咥えられた。
暖かく、柔らかい美里さんの舌が、僕のを舐め回す。
口をすぼめ、ちゅうちゅうと吸いながら、口の中ではチロチロと舌で亀頭とサオの付け根を刺激する。
空いている手では優しく睾丸を揉み解しながら反応を見るために上目遣いで僕を見ている。
その表情がいやらしくて、唇が、舌が、手の動きが気持ちよすぎてムクムクと目覚めた僕の巨人。
ううう、美里さん、回を重ねるごとに上手くなってない?気持ちよすぎるよ。
「んんっ、ずずず、おほきふなってひた、おほきふなってひた。
ぷはあ!やっと元気になりましたわね。口の中で大きくなってくるというのもなかなかいいですわ。
やーくんは気持ちいいんですの?」
口を離し、僕を見上げながら問いかけてきた美里さん。
その間も右手で唾液まみれのサオを優しく擦ってくれて、左手では睾丸を揉んでくれている。
「う、くぅぅ、気持ちい、です…う、ううう!」
「なるほど、小さいまま咥えられても、気持ちいいのですね?メモメモっと」
メモ帳を取り出し嬉しそうにメモを取る美里さん。あぁ、手を離されちゃったよ。
あと少しだったのに、今メモを取ることないんじゃないの?
「さて、次はっと。やーくん、四つんばいになってくださる?」
へ?四つんばいに?いわゆるワンワンスタイルってやつ?
そりゃあこのリムジンならそれぐらいのことを余裕で出来るスペースがあるよ。
けどなんでそんなことしなきゃいけないの?
そう思いつつも言われるがままに四つんばいになる僕。
いったいどんな事をされるん…うっひゃう?
「み、みみみーちゃん、そ、そんなとこ急に舐めないで!き、汚いよ!」
「レロ、ですから綺麗にしているんですの。綺麗に舐めてあげますから大人しくしててくださいな」
四つんばいの僕のお尻に顔を寄せ、ペロペロとお尻を舐めだした美里さん。
う、うぅぅ、こんな格好でこんな事されるなんて、恥ずかしいよぉ。
「あらあら、よっぽど気持ちいいんですわね?こんなにも硬くなって…いっぱい出していいですわよ?」
お尻をペロペロと舐めながら、手でサオを擦る。
正直、物凄く気持ちいい!気持ちよすぎるくらいに気持ちいいわけで…もうダメだ!
「み、みーちゃん!もう…う、うあぁぁぁ!」
ビュクン!ビュクンビュクン!ドピュドピュ!ドクン!ドクドク…ピュピュ…
背筋を走り抜ける快楽。腰の中全部が飛び出したような気持ちよさ。
うぅぅ、ス、スゴイ。これはスゴイぞ!


「うふふふ、やーくんいっぱい出しま…あら?おかしいですわね。
3日振りなのに、精液が少し少ないような気がしますわ。…やーくん、まさか浮気してないでしょうね?」
飛び散った精液を見て量が少ないと怒り出し…イテテテテ!み、美里さん?折れる!折れるって!
「イテテテ!みーちゃん痛い!折れる!そんな強く握ったら折れるって!」
四つんばいのまま射精感に浸っていた僕に走る激痛!美里さん、折れます!折れちゃいます!
「浮気するようなペニスは折って当たり前ですわ!あたしという者がありながら…何故浮気したのですか!」
興奮してますます手に力が入る美里さん。ホ、ホントに折れちゃうよ!
「痛いって!浮気なんてしてないって!みーちゃんの誤解だって!」
叫ぶ僕を無視して指で精液をすくい、ペロリと一舐めする。なんかエロいなぁ…イテテテ!
「だったら何故こんなに少ない量なんですの!それに少し水っぽいですわ!粘り気が足りませんわ!
どこかで出してないとこんな事になるはずはありませんわ!」
折れる!もう折れちゃう!
「浮気なんてするわけないよ!一人でしたの!一人でオナニーしたんだよ!」
「…おなにー?あぁ、自慰行為のことですわね。そのような空しい行為を何故したんですの?」
「男は女の子と違って時々しなきゃいけないの!じゃないと夢精しちゃうんだよ」
僕の説明に納得したのか手を離してくれた美里さん。はぁぁ〜、助かったぁ。
安堵して座席に座る。ホント折られるかと思ったよ。
「納得がいきませんけど分かりましたわ。やーくん、これからは、おなにーなんてしなくてもいいですわよ。
未来の旦那様に、そのような空しい行為をさせるわけにはいきませんわ」
美里さんはそう言って僕の股間に顔を寄せた。
「これからは毎日車で帰りましょうね。毎日車の中で練習してあげますわ」
う、うう、美里さんの吐息がアソコにかかって…き、気持ちいい。
「まだまだ試したい事がたくさんありますしね。
指をいきなり入れたら痛いと聞きますし、時間はあったほうがいいですわ」
な、何の話だ?美里さんは僕に何をするつもりなんだ?
「まぁ差し当たってはもう一度イッテもらいますわ。お口での行為の復習ですわ。復習は大事ですからね」
チュッ…僕のに優しくキスをする美里さん。
「うぅ、みーちゃん、気持ちいいよ。みーちゃんの口、すっごいよ」
じゅっぽじゅっぽじゅっぽ…僕の股間で上下する美里さんの頭。うぅぅ、気持ちいい。
「ぷはっ、ねぇやーくん。今回は浮気じゃありませんでしたけど、
もし!万が一にでも!浮気をするようことがあれば…」
「…浮気をするようなことがあれば?」
ニッコリと微笑む美里さん。あぁ、綺麗な笑顔だなぁ。この笑顔が僕に向けられてるなんて信じられないよ。
「取っちゃいましょうね?」
そう言って白くて綺麗な歯を僕に見せ付けるように、カチン!と音がするように閉じる美里さん。
なんだ?まるで何かを噛み切るような?………ひぃぃぃ!
「し、しないよ!浮気なんてぜっったいにしない!僕が好きなのはみーちゃんだけだよ!」
僕の言葉に嬉しそうに微笑む美里さん。
その笑顔が怖いよぉ。もし、万が一にでも浮気したら噛み切られちゃうの?
「うふふふ、あたしもやーくんだけが好きです。愛していますわ!」
あぁ、ダメだ。好きな子にこんな事言われちゃメロメロになっちゃうよ。
僕は美里さんの言葉に我慢できず抱きしめてしまった。
「ちょ、ちょっとやーくん!ダメ!まだ練習の続きが…んん!」
貪るようなキス。仕方ないよね?普通我慢出来ないよね?けど、僕は我慢しなくちゃいけなかったんだ。
だって美里さん、結婚するまではエッチなことは無しって言ってたからね。
ちょっとキスして軽く胸を揉んだだけだよ?それだけだったのに…
「もう、やーくんのエッチ!何回言えば分かるんですの?結婚するまではそういうのは無しなの!
えっちなやーくんはキライですわ。秋山、薬指やっちゃって」
「ゴ、ゴメンナサイ!つい我慢できなくなっちゃって!だ、だから許し…うぎゃぁぁぁぁ〜!」

…ポキン!

はぁぁ〜。いつになったら美里さんとエッチ出来るんだろ?
いつまで練習相手をすればいいんだろ?
エッチできるまでに何回指を折られるんだろ?とりあえずは3回目やられちゃったよ。。

僕は包帯でぐるぐる巻きになった左手を見ながらため息を吐く。
美里さん…愛してるなら少しは見逃してよ!





「あっおばくん、おっはよ〜!あれ?なんか元気ないね、どしたの?」
秋山さんに指を折られた次の日の朝、僕の背中をバシンと背中を叩く元気な声が。
イタタタ、池田さん、相変わらず朝から元気だな。
そんな元気な委員長に、何も言わずに左手を見せる。
「あれ?怪我してたのって小指だけじゃなかったっけ?なんで薬指まで怪我してるの?」
なんで?といった顔で僕の左手を見つめている。
まさか美里さんの命令で、ポッキリと折られたなんて言えないよ。はぁぁ〜。
「う〜ん、ま、いっか。そんな指の事より、青葉くんにお願いがあるんだけどいいかな?」
そんな指ってなんだよ!こっちは痛さであまり寝むれなかったんだぞ?
「…お願いって何?見ての通りの手だから、力仕事はできないよ」
「えへへへ、ちょっと会ってほしい人がいるんだけど、いいかな?」
「僕と会いたい?変な人じゃないだろうね?いったい誰なの?」
僕と会いたいって、どうせ美里さんとのことを聞きたいだけなんじゃないの?
誰だよ、そんな物好きなヤツは?
「んっふふふふ…我が校が誇る、2大美女の一人!一人は言わずと知れた西園寺先輩!
そう、青葉くんのフィアンセだよ。で、今回青葉くんに会いたいって言っているのは、もう一人のほう」
2大美女?確かに美里さんはそんなことを言われてるんだよね。
けどもう一人って…えええ?それって3年の?
「ええええ?な、なんでラインフォード先輩が僕に会いたがってるの?
それよりなんで委員長がそんな有名人と知り合いなの?どこで知りあったの?」
ラインフォード先輩。正式な名前を、レイリア・L・ラインフォードと言うんだ。
日本とどこかの国のハーフで、超がつくほどの大金持ち!
生徒会長をしていて、学校では1,2を争うほどの人気があるんだ。
髪はとっても綺麗な金髪で、まるでモデルのような綺麗な人。
先輩には婚約者がいて、卒業したら結婚するとのもっぱらのウワサだ。
あの先輩のフィアンセだから、きっととんでもなくカッコいい大金持ちなんだろうな。
「えへへへ、いいでしょ?私とラインフォード先輩は安売りスーパーでよく会うの。
先輩ってすっごく変わってるのよ?安売りスーパーにリムジンで買い物に来てるんだから。
お付の人に籠を持たせて、安くていい品を真剣に選んでるの。訳わかんないでしょ?」
そんなことを考えていたら、委員長が先輩との関係を話してくれた。
「ええ?ラインフォード先輩が、安売りスーパーに?委員長、なんでそんな変な嘘をつくの?」
確か委員長御用達のスーパーって、時々1円セールとかしてる激安店だよね?
「嘘じゃないってば!ホントに先輩はスーパーで買い物してるんだって!
私も不思議に思ったから聞いてみたの。そしたらさ…」
「なになに?どんな理由があったの?」
大金持ちなのに、そんなところに行ってるなんて信じられないよ。なにか特別な理由でもあるのかな?
「なんでも結婚した時の練習なんだって!先輩の婚約者って、大金持ちって訳じゃないみたいだよ?」
「へぇ〜、そうなんだ、それは意外だなぁ。先輩のような人の婚約者だから、すっごいお金持ちだと思っていたよ」
ラインフォード先輩の婚約者って、お金持ちじゃないんだ。
っていうか安売りスーパーを使わなきゃいけないほど、収入が少ないの?それってホントなのかな?
「でしょ?私も驚いたモン。多分すっごくカッコいい人なんだと思うよ?
一度見て見たいよね〜、青葉くんなんかと比べ物にならないくらいの、カッコいい大人の男性なんだろうね」
僕を引き合いに出してからかう池田さん。なんで僕の名前を出すんだよ!
「なんで僕を引き合いに出すのさ!そりゃ僕はカッコよくもなく、まだまだガキだよ?
でも恋愛にそんなの関係ないだろ?」
「そんなことないですわ。やーくんは十分にカッコいいですわ。
池田さん、あなたやーくんを馬鹿にしてるんですの?」
池田さんと僕との会話に突然割り込む女性の声。僕がバカにされたせいか、声が少し震えている。
…なんで美里さんが教室にいるの?もう授業が始まっちゃうよ?

「わ、わわわ!さ、西園寺先輩?そ、その、バカになんてしてないです!ちょっとした冗談ですよ!」
「そ、そうそう!いつもの冗談だから!それより美里さん、教室に戻らないと授業が始まっちゃうよ?」
突然現れた美里さんに驚き、慌てる僕と池田さん。
美里さんはそんな僕達を無視するように話し出した。
「池田さんから聞いてるようですけど、ラインフォード先輩が一度やーくんに会ってみたいらしいんですの。
今日の放課後にあたしと一緒に生徒会室に来てくださいって言ってましたわ。
やーくん、先輩に一度挨拶しておきましょうね?」
「へ?西園寺先輩も呼ばれたの?実は私も青葉くんと来てほしいって言われてるんです。
私たちを呼び出して、ラインフォード先輩何するつもりなんでしょうね?」
美里さんの言葉に驚き、声をあげる池田さん。僕達三人を集めて何するつもりなんだろ?
「さぁ?先輩の考える事は分かりませんわ。でもきっと行けば分かりますわ。
じゃ、やーくんあとで迎えに来ますわ。池田さんも放課後にまた会いましょうね?」
そう言ってにこやかな笑顔を残して教室から出て行く美里さん。
放課後に生徒会室って、何をされるんだろ?
「委員長、僕達なんで呼び出されたのかな?なんか心当たりある?」
「青葉くんが西園寺先輩と婚約したからじゃないのかな?きっとラインフォード先輩も話を聞きたいんだよ。
あ、でもそれじゃなんで私まで呼び出されたんだろ?」
「委員長って先輩と仲いいんでしょ?だからじゃないかな?」
「ないないない!それはないよ!先輩とはスーパーで話すくらいで、学校では滅多に話さないよ!」
「ふ〜ん、じゃ、先輩になにか恨まれるような事でもしたんだ?
いつものように先輩にも失礼な事言っちゃったとか?」
「そ、そんな命知らずな事はしてないよ!…ないと思うよ?…きっとないはずだよね?…ないと言ってよぉ〜」
ガタガタと肩を震わせ始めた池田さん。
そうなんだよね。ラインフォード先輩って、怒るととても怖いって噂なんだよ。
自分が気に入らない人を潰すって噂が流れてるんだよね。
先輩に「俺の女になれ」と絡んできた不良が、お付の人に連れて行かれてそれ以来見かけなくなったとか、
先輩の人気に嫉妬した女の先輩が意地悪をしたら、その人の両親がリストラに遭い、一家離散したとか。
先輩が命令してやらせたって普通なら信じられない噂なんだけど、一度や二度じゃないんだよね。
何度も似たような話が出てきてるんだ。今では学校の七不思議の一つになってるんじゃないのかな?
ま、所詮は噂だけどね。どうせ先輩の人気を妬んでる人が流した悪い噂なんだろうね。
池田さんはそんな噂を信じているのかまだ震えてる。
そんな池田さんを無視するかのように教室の扉が開き、相川先生が入ってきた。もうそんな時間なんだ。
「お前等全員そろってるかぁ〜?誰も休んでないよな?…うし、今日も全員出席っと。
今日はいい天気だし、さっそく授業を始めるぞ」
その一言で池田さんも復活し、席に着く。さすがは委員長、立ち直りが早いな。
僕は授業を適当に聞き流し、ラインフォード先輩になにを聞かれてもいいように対策を考える事にした。

「あらあら、どうしたんです?そんなに緊張した顔をして…やーくん、大丈夫?」
ついに放課後になってしまった。結局はいい対策は浮かばなかった。大丈夫かな?
変な受け答えをして、先輩に睨まれないかな?…どうしよう?
そんな不安いっぱいの僕を心配そうに見つめてくれる美里さん。
美里さんは今朝言っていたように教室まで迎えに来てくれて、今、僕達は生徒会室の前にいる。
この扉の向こうに、あのラインフォード先輩が…うぅぅ、緊張するなぁ。
あの噂が本当だったらどうしよう?僕なんて一瞬で消されちゃうんじゃないの?噂は噂だよね?
「なんだお前等?こんなとこで何やってるんだ?」
そんな不安いっぱいな僕達に、救いの声が!こ、この声は相川先生?
「どうした?生徒会になにか用事でもあるのか?」
「違いますわ。ラインフォード先輩にここに来なさいと言われて来ましたの」
「あぁあの件か。それならさっさと入りなさい、アイツは待たされるのが大嫌いだからな」
その言葉を聞いた瞬間、勢いよく扉を開ける池田さん。
ああ!抜け駆けだ!ずるいぞ委員長!
「失礼します!先輩、私たちになにか用事でもあるんでしょうか?」
扉を開けた瞬間に、挨拶をする池田さん。そこまで怖がらなくてもいいんじゃないのかな?
池田さんに習い、僕も頭を下げる。僕達が頭を下げた先には、生徒会長席に座っている先輩が。
こんな間近では初めて見るけど、やっぱりすごいよ!
まるで光を放ち、自ら光り輝くような金色の髪。
僕達を見ている瞳は、まるで宝石のように綺麗で澄んでいる。
優雅にカリカリ君を持つその指は、ギリシャ時代の彫刻みたいに白くて繊細だ。
あぁ、ホントにこんな人が僕と同じ人間だなんて信じられないよ!
…なんでカリカリ君なんて安いアイスを食べてるの?
「よく来てくださいましたね、西園寺さんに池田さん。…この人が今噂の、西園寺さんのフィアンセですの?
う〜ん、見た目はこれといって特徴のない、平凡な感じですわね」
僕を足元から頭まで舐めるように見る先輩。
な、なんか先輩に見られてると思っただけでドキドキしてきた。
ドキドキしていたら、隣から物凄い殺気を孕んだ視線を感じる。
「…やーくん、浮気はいけませんわ。あとで秋山に3本、やっちゃってもらいましょうね?」
…3本?3本ってまさか?左手の残ってる指、全部折られちゃうの?
「西園寺さん、私はこんなのを相手になんかしませんわ。見くびらないでくださいます?」
ペロペロとカリカリ君を舐めながら話す先輩。
コ、コワイよぉ〜、美里さんが殺気を振りまいてるよぉ。
「おいおい、お前等いい加減にしろ。西園寺もそんなにカッカすんな。
ラインフォードも人の大事な人をバカにするな。お前だって恋人をバカにされたら腹が立つだろ?」
先輩と美里さんの間の険悪な空気を見かねた相川先生が、仲裁に入る。た、助かったぁ。
「相川先生、恋人ではありませんわ。婚・約・者!ですわ。間違わないでほしいですわ」
「あらあら、先輩の婚約者と言う御方は、かなりの人格者なんでしょうね。
先輩のようなお人を妻として迎えるのですから…あたし達のような凡人にはとても理解できませんわ」
み、美里さん!なんでこんな時に負けず嫌いを発動させるんだよ!
ほら、先輩の額がピクピクしだしたよ。もう帰りたいよ…
「お前等ホントにいい加減にしろよ?青葉と池田が怯えてるだろうが、本気で怒るぞ?」
相川先生が怒るなんて珍しいな、初めて見たよ。
先生に怒られてシュンとするラインフォード先輩。美里さんは気にする様子もない。
「実はお前らをここに呼んだ理由はだな、生徒会へのスカウトなんだ」
へ?せ、生徒会?先生、なに言ってるの?

僕達を生徒会にスカウトってなんで?訳が分からないよ。
「先生の言うとおり、あなた達を生徒会に推薦したいんですの。
池田さんはお金に対してシビアな目を持っていますから、会計にピッタリですわ」
突然の提案に驚く僕を尻目に池田さんが返事をする。
「私、家の手伝いとかいろいろしなくちゃいけないので、生徒会とかそういうの無理なんです。ゴメンなさい」
頭を下げる池田さん。
そうなんだよね、池田さんの家ってお母さんが働いてて、炊事洗濯その他全てを池田さんがこなしてるんだよ。
だから部活とかそういうのもしたことないって言ってたもん。池田さん、大変だよね。
「あたしも結構です。そんな暇があるのならやーくんと一緒に練習しますわ」
美里さん!こんなとこで練習とか言わないでよ!バレたらどうするんだよ。
「…そ、ならいいですわ。来年度の会長に西園寺さんを推薦しようと考えてましたけど、嫌なら別にいいですわ」
「僕は…」
「あなたはいりませんわ。あなたは西園寺さんを釣るためのエサにと考えていただけですからね。
無能な人を推薦するほど、私はバカじゃありませんわ」
断ろうとする僕の言葉を無視して話し出す先輩。…そんな言い方ないだろ?いくら先輩でもちょっと酷いよ。
「あらあら、推薦しようとする人全員に断られるような人望の人が、よくもそこまで言えるものですわねぇ?」
み、美里さん!だからなんでそんなケンカ腰で話すんだよ!
バカにされた先輩は、眉間をピクピクさせながらアイスの棒をへし折った。
それを見てガタガタと震える僕と池田さん。怖いよぉ、怖すぎるよぉ。
「西園寺さんってとても楽しい人だったんですわね?さすがは車の中で青葉くんを弄ぶだけはありますわ。
私には愛する人の指を折るなんてマネはとても出来ないですわ」
んな?なんで先輩がそんなこと知ってるんだよ!
「あらあら、どうしてそんな事知っているのかしら?噂どおり先輩の趣味は盗聴なんですわね。
愛するあたし達のラブラブっぷりを聞いていてどうでしたか?空しくありませんでした?」
と、盗聴?なんだよ、その変な趣味は!
「空しいどころか、おなかを抱えて笑せていただきましたわ。あなたってまだ処女なんですわね?
愛される喜びを知らないような人に、空しいなどと言われたくはありませ…ひぎゃ!」
ゴツン!…勝ち誇った顔で話す先輩の頭に落とされた拳骨!拳骨をされた頭を抱えて呻く先輩。
突然の事に驚きキョトンとする僕達。いったいなにが起きたんだ?
「い、痛いですわ!なにをなさいますの、健一様!」
「何をじゃないだろうが!ラインフォード、盗聴ってなんだ?人様のプライベートを何だと思ってるんだ!
お前、いい加減しろよ?じゃないと先生、本気で怒るからな!」
お、おおおお!相川先生がカッコよく見える!こんなの初めてだ!
先生に怒られたのが効いたのか、シュンとする先輩。怒られたぐらいで落ち込むなんて意外だなぁ。
先輩のことだから怒鳴り返すんじゃないかと思ったけど、本気で落ち込んでるみたいだ。
「ス、スミマセンでした。今後は二度としないように検討いたしますわ」
「あらあら、やけに素直なんですわね?こんな素直な先輩を見れたなんて、今日はとってもいい日ですわ」
ニコニコと微笑みながら、嬉しそうに先輩を苛める美里さん。いい加減にしないと美里さんも怒られるよ?
「西園寺、お前もいい加減にしなさい。他の二人が怯えきってるじゃないか。
まったく、お前らは後輩をビビらせてどうするんだ?」
先生はため息を吐きながら、僕達に今日はもう帰りなさいと言ってくれた。
よかった…やっとここから逃げれるんだ!
僕達は先生達に頭を下げて生徒会室を出て行く。
そんな僕達を睨む先輩。僕まで恨まれちゃったのかな?イヤだよぉ〜、怖いよぉ〜。

「美里さん、なんであんなにケンカ腰で話したの?先輩メチャクチャ怒ってたじゃないか」
「だってやーくんのことをバカにしたから…ちょっと大人気なかったですわね」
「ちょっとどころじゃないと思うけど…あれ?委員長、立ち止まったりしてどうしたの?」
命からがら生徒会室から脱出しての廊下での会話。委員長が足を止め何かを考えている。
「どうしたんですの?池田さんも先輩に文句をいいたいんですの?」
「ち、違いますよ!ちょっと気になることがあって」
う〜んと考え込む池田さん。なにが気になるんだろ?
「…ねぇ青葉くん。ラインフォード先輩って、もしかしたら相川先生となにかあるんじゃないの?」
「へ?なにかあるって…いったい何なの?」
「あらあら、池田さんもそう思いましたの?あたしもなにかおかしいと考えていたところですわ」
ええ?美里さんもなにかに気づいたの?もしかして僕だけ仲間はずれ?
「ですよね?だって先輩、先生のこと『健一様』とか言ってましたよ?
もしかしたら、二人はただならぬ関係なんじゃないの?」
そ、そうだ、そういえば確かに拳骨を落とされたときそう言っていた!
「それにあの先輩が先生の言う事には素直になっていたし…ちょっと二人の様子見に行かない?」
「そうですわね。あたし達のことを盗聴していたお返しですわ。やーくん、ちょっと様子を見に行きましょうね?」
冒険心溢れる池田さんの提案に頷いて、僕の手を引っ張り生徒会室へと戻っていく美里さん。
あぁ、僕って強制参加なんだ。こんなことが先輩にバレたら、とんでもないことになるんじゃないの?
忍び足で生徒会室まで戻る。…お?ちょうどいいことに窓が少し開いているぞ。
3人して息を潜め、生徒会室の会話に聞き耳を立てる。
『レイリア、お前いったい何を考えてんだ?あいつらの前で健一様はないだろう?』
『だって健一様が私の頭を叩いたから、驚いてつい…とっても痛かったですわ』
『すまんなぁ、けどあれはお前が悪いぞ。おれはお前の彼氏である前に教師なんだからな』
ええええ!せ、先生が!あの相川先生が!ラインフォード先輩の彼氏?ウソだろ?
(青葉くん、私の考えたとおりだったね!うわぁ〜!すっごいこと聞いちゃったね、スゴイスゴイ!)
(う、うん、ビックリだね。あの先生が…信じられないよ)
(やーくん、池田さん、二人とも少し黙っててくださいな)
興奮してる僕達を叱る美里さん。メモを取りながら聞き耳を立てている。
そのメモ何に使うつもりなんだろ?
『それよりなんで急にあの3人を、生徒会に入れようと考えたんだ?
お前が前までいた他のメンバーをクビにしたじゃないか、なんで今更メンバーを補充しようと考えた?
お前、なんか企んでるだろ?今度は何を企んでるんだ?』
『んな?し、失礼ですわね!私は何も企んでませんわ。変な言いがかりは止して下さいませ』
『お前、おれを舐めてないか?おれが何年間お前の彼氏をしてると思っている?』
『…分かりましたわ。健一様に隠し事は出来ませんわ。
あの3人を生徒会に入れようと考えた理由は、三人共に別の理由がありますの。
まず池田さんは昨日の朝、健一様をバカにしたから潰そうと考えたんですわ』
先輩の言葉にガタガタと震えだした池田さん。
やっぱり気に入らない人を潰すというあの噂は本当だったんだ!

『おいおい、あれは池田の冗談だろうが。ちょっとしたコミュニケーションだよ。
それにおれがヘンな趣味をしてるって、ウソの情報を流したのはお前だろ?おれは分かってるんだぞ?』
池田さんを潰すという先輩をたしなめる相川先生。それを聞いてホッとする池田さん。
ラインフォード先輩が噂どおりの人なら、ホントに潰されちゃいそうだもんね。
にしてもなんで先生の悪い噂を先輩が流すんだ?訳が分からないぞ?
美里さんは先輩が何故そんな事をしたのか理解した様子で、なるほどと頷きメモに書き込んでいる。
ちょっと覗いてみると…『悪い虫を排除するには有効な手段』と書かれていた。何のことだろ?
『…それはさておき、西園寺さんに私の後任をお願いしようと考えていたのは本当ですわ。
青葉くんはおまけですわ。けどホントに西園寺さんはお馬鹿さんですわね。
会長になればこの部屋を好きに使えるというのに…ね、健一さまぁ。レイリアは疼いてきましたわぁ』
美里さんのメモの意味を考えていたら、話が一気に進んでしまった!
こ、この流れはまさか?ここでしちゃうつもりなの?興奮して思わず唾を飲み込む。
隣で池田さんも真っ赤な顔をして聞き耳を立てている。
い、いいのかな?このまま聞くのって犯罪のような気がするけど?
美里さんも赤い顔して目も潤んでいる…なんで僕を見つめてるの?
(やーくん、後で練習しましょうね?…疼いてきましたわ)
こ、これは…棚から牡丹餅なのかな?
『ねぇ健一さまぁ、レイリアは我慢できそうにありませんわ。
抱いてくださいませ。レイリアを滅茶苦茶に抱いて抱いてくださいませ!』
シュルシュルとなにかを脱ぐ様な音が聞こえる。
こ、これはエロい!見えないから逆に興奮する!
(…西園寺先輩、青葉くん、もう帰ろうよ。これ以上聞くのってダメだと思うよ)
確かに池田さんの言うとおり、これ以上は聞いちゃいけないような気がする。
美里さんに視線を向ける。…まだ聞いていたいといった顔だ。どうしよう?
『…あやしいな。お前、何かを誤魔化そうとしているな?だいたいなんで勝負下着なんか着てるんだ?
いまさらそんなのを着て誰に見せようとしてる…誰かに見せる?』
『んな?な、なななにを仰いますの!レイリアは健一様にしか見せませんわ!』
『ならなんで学校にそんなの着て来ているんだ?まるで最初からおれとしようと考えて…なるほどね』
なんだ?話の展開がよく分からないけどなんか面白い話になってきたぞ?
池田さんも僕と同じことを思ったのか、さっきまでとは違い、話を聞く気満々だ。
『なんかおかしいと思ったんだよ。お前が急に生徒会に人を増やしたいなんて言い出すんだからな。
お前、青葉達を利用しておれ達の仲を学校に広めるつもりだったろ?』
えええ?先輩、そんなこと考えてたの?
ビックリしてる僕の横で美里さんがペンをへし折った。
(このあたしを利用するですって?…さすがはラインフォード先輩、いい度胸していますわ)
肩を怒りでフルフル振るわせる美里さん。なんか美里さんと先輩って性格が似てるような気がする。
『だいたいお前が池田に怒りを覚えるわけないんだよ。だっておれの悪い噂、お前が全部流してるんだからな。
そんなことしなくたっておれはモテないっての。
それに青葉と西園寺を呼び出したのはあれだな?西園寺と口げんかをしておれに怒られるためにだな?
で、拳骨を食らってワザとおれの事を健一様と呼んだんだな』
先生の推理が当っているのか、何も言い返せないラインフォード先輩。
まるで相川先生はメガネをかけた私立探偵みたいだ!推理が冴えてるよ!
『問題はなぜ急に制服を脱ぎだしたか、だな。…そうか、そのための勝負下着か。
お前、おれとのSEXを青葉たちに覗かせるつもりだったろ?』
な、なななんだって?先輩、なんて素敵なことを考えてたんだ!
(愛する人との営みを、他人に覗かせようなどと…最低ですわ)
先輩を軽蔑する美里さん。僕達も秋山さんに全部知られてるんですよ?この人、分かってるのかな?
『おいレイリア、なんか言ってみろ。おれの言うとおりだろ?
んん?ってことは今も青葉たちに覗かれてるのか?お〜い、お前等、覗いてないで入ってこいよ』
外に僕達がいることに気がついた先生。どうする?逃げるか?

「先生、失礼します。あらあら、これが先輩の勝負下着ですの?そんな格好で、はしたないですわね?」
戸惑う僕達を尻目に、堂々と生徒会室に入って行った美里さん。もう少し考えようよ!
(ええええ?入っちゃったよ!青葉くん、どうしよう?)
(どうしようもなにも、こうなったら僕達も入らなきゃ、逆に何を言われるか分からないよ)
(…うん、そうだね、腹くくらなきゃね!)
フン!と気合を入れて部屋に入っていく池田さん。僕もそれに続く。
「失礼しま……す」
部屋の中にはさっきまで先生に説教をされてたためか、目を真っ赤にしているラインフォード先輩が。
スカートを脱いでいるため白い足が眩しい。
柔らかそうで、それでいてスベスベしてそうな白い太もも。
黒く、きわどい角度のレースのパンツ。こ、これが勝負下着というものなのか?
そのパンツに隠されたお尻は引き締まっていて、それでいてとても柔らかそうだ。
僕の視線は初めて間近で見る女性の下着姿に釘付けだ。
「青葉、レイリアが綺麗で見惚れるのは分かるが、ガン見は止めろ。
先生な、お前を殺したくなってきたぞ。レイリアもさっさとスカートをはきなさい!」
「やーくん、あたしの目の前で浮気をしようとは…10本ですわね」
先輩の足って綺麗だなぁ。スベスベしてそうで触ってみたいなぁ。
美里さん、僕には触らせてくれないんだもんなぁ。
「ひ、酷いですわ!あたしという物がありながら、こんな変な外人なんかに…う、裏切られましたわぁ〜!
ヒック、やーくんのばかぁ!」
バチン!先輩に見惚れていたら顔を誰かに叩かれた。イテテ、何するんだよ!
…えええ?なんで美里さん泣いてるんだ?
「み、みーちゃん、なんで泣いてるの?いったいどうしたの?」
「やーくんのバカぁ!だいっきらいですわ!」
バチン!…また叩かれた。なんで叩くんだ?…み、みーちゃん?
泣きながら走って出て行った美里さん。なんで?
「青葉くん!西園寺先輩追いかけたほうがいいよ!」
「う、うん、よく分からないけど追いかける!じゃ、先生、先輩、失礼します!」
泣きながら出て行った美里さんを追いかける。待ってよ美里さん!

「みーちゃん待ってよ!なんで泣いてるんだよ!」
追いかける僕を無視して走る美里さん。
階段の踊り場でやっと追いついた。美里さんって意外と足が速いんだよね。
それでも逃げようと暴れる美里さんをギュッと抱きしめる。そんなに暴れないでよ!
「みーちゃんいったいどうしたんだよ!なんで泣いてるの?なんで逃げ出したの?」
僕の腕の中で暴れる美里さん。僕がなにか変なことをしたのかな?
「ひっく、裏切り者!やーくんはあたしを裏切ったんですわ!」
へ?…えええ?裏切った?そんな事してないよ!なに言ってるの?
「裏切ったってなにさ!僕がなにをしたんだよ!」
大きな瞳に涙を溜めながら、キッと僕を睨みつける。
「あの外人に目を奪われてましたわ!あたしがいるのにあんな女なんかに…バカバカバカ!」
あ、そうだったんだ。僕が先輩の下着姿に見惚れたから怒ってるんだ。
そんなことで怒るなんて…か、かわいいなぁ。
僕の胸をボスボスと叩く美里さん。
あまりにも可愛い態度なので、思わずギュッと抱きしめる。
「みーちゃん、ゴメンね?確かに先輩に見惚れちゃったけど、あれは初めて女の子の下着姿を見たからで、
別に先輩が好きとかそんなんじゃないから。僕が好きなのはみーちゃんだけだよ」
僕の言葉に一瞬動きが止まる美里さん。
「…何故見惚れたのです!そんなに下着姿が見たいのならいくらでも見せますわ!この裏切り者!」
まだ納得いかないのか再度ポスポスと叩き出した。心なしか威力は弱くなってるけどね。
それより今、とっても大事な事を言ったよね?
「…今、確かに言ったね?」
「なんですの?急にカッコいい顔になっても許しませんわ!」
真剣な眼差しで見つめる僕を、真っ赤な顔で見つめ返してくれる美里さん。
ここが勝負どころだ!一気に攻めるんだ!
「みーちゃんの下着姿…見て見たいなぁ」
「んな?や、やーくんのエッチ!そんなやーくんはキライですわ!」
「だってみーちゃんが見せてくれるって言ったじゃないか」
「う、そ、それは、あれですわ。言葉のアヤですわ」
ニッコリと微笑む美里さん。笑顔が引きつってるよ?
「みーちゃんウソつくんだ?はぁぁ、残念だなぁ。それじゃ家でえっちなビデオでも見ようかな?」
「な?ダ、ダメですわ!そんなの許しませんわ!」
「じゃあみーちゃん、見せてくれる?」
僕の怒涛の攻めに仕方なく頷く美里さん。真っ赤な顔が可愛くって仕方がない。
よし、作戦成功!これでエッチまで一歩前進だ!

帰りのリムジンの中、美里さんは赤い顔のままだった。
時々「下着を見たいなんて、変態すぎますわ」とぼやいてる。
そんなに僕に下着を見せるのが、恥ずかしいのかな?
いつも美里さんがしてる事の方が、恥ずかしいと思うんだけど?
「やーくん、その…どうしても見たいんですの?」
美里さんの部屋に入るなり、もじもじと恥ずかしそうに聞いてきた。
真っ赤な顔が反則な程に可愛すぎる!
「うん!美里さんの下着姿、すっごく見て見たい!」
「そ、そんな嬉しそうに…やーくんは変態さんですわ」
俯きながら、制服のスカートに手をかける。
おお!いよいよ見れるんだ!美里さんの下着姿を見れるんだ!目に焼き付けてやる!
「…えい!はい、これでお終いですわ。こんなの変態すぎますわ」
チラッとスカートをめくる美里さん。ストッキング越しに、かすかに白い物が見えた。へ?これだけ?
「へ?ちょ、ちょっと待ってよ!そんな一瞬じゃ分かんないよ!」
チラッと一瞬スカートをめくっただけで、お終いはないでしょ?
「婚約者を辱めて喜ぶなんて、やーくんは筋金入りの変態さんですわ」
ちょっと見せただけなのに、耳まで真っ赤な美里さん。そんなに恥ずかしいことなの?
「さ、次は練習ですわ。あんな外人に目を奪われるなんて…お仕置きですわ」
ドン!っと両手で突き飛ばされて、尻餅をつく僕。イテテテ、何をするつもりなの?
「うふふふ、よくも辱めてくれましたね?お返しに、いっぱい踏みつけてあげますわ」
ふ、踏みつける?妖しい笑みを浮かべながら、倒れている僕のズボンを脱がす美里さん。
「あらあら、元気ですわね、もうこんなになっているんですの?やーくんはそのまま寝ててくださいな」
下半身裸にされて、床に寝たままでいなさいとの御命令。
いきり立った僕のにチュッとキスをして、そのまま寝ている僕の足元に立つ美里さん。
な、何をする気なの?まさか痛いことなのかな?
…おおお!美里さんは気づいてないみたいだけど、ここからなら少しパンツが見えるぞ!
そんな僕に気がついたのか、右足を少し上げて僕の下半身に…ふ、踏み潰すの?
「うわ!みーちゃんゴメン!もうヘンな事言わないから、踏み潰すのはヤメ…お、おぉぉ」
「あらあら、変な声を出して、そんなに気持ちいいんですの?」
グニグニを僕のを優しく踏みつける。いや、踏むと言うより擦りあげている感じだ。
起用に足の指で亀頭の先をマッサージしながら、足の裏でサオ全体を擦り上げている。
ストッキングの感触が、ゆらゆら揺れてるスカートから、時折見える白い下着が…ううう、これは気持ちいい!
「うふふふ…お仕置きなのに、気持ち良さそうな顔ですわ。
やーくんは、足で苛められるのも大好きなんですわね。メモメモっと」
片足で攻めてるため、フラフラしてる美里さん。
揺れるたびにスカートの奥がチラリと見えて…興奮する!これぞまさしくチラリズムだぁぁ!
「あらあら、そんなに気持ちいいんですの?っと、危ないですわね。
この攻め方は、片足立ちでフラフラしますわね。強く踏んでしまいそうですわ」
メモを取りながらだと、そりゃフラフラすると思うよ?強く踏む?それは困る!
「みーちゃんも座ってみたら?」
何気なく言った一言。…ナイスだ、僕!
それはいいアイディアですわね、と僕の前に座り込み、腕を後ろに突っ張って上体をささえる。
そして両足で僕のを挟み、起用に攻めてきた。みーちゃん、下着が丸見えだよ。
親指で亀頭の根元を刺激しながら、足の裏をすり合わせるように挟んでくる。
その間にも見える、白い下着がエロくてもう…たまんない!
「う、ううぅ、みーちゃんすっごく気持ちいいよ」
喘ぐ僕を嬉しそうに見つめながら、溢れ出てきたカウパー液を足の裏で撫でるように亀頭全体に塗りたくる。
ストッキングの感触と、カウパー液でヌルヌルになった亀頭を攻める美里さんの足の感触が…もう最高だ。
「あ、あぁぁ、もう出そ…み、みーちゃん!」
美里さんの容赦ない攻めで、一気に高まり爆発する。
ビュク!ビュクビュクン!ドピュ!ドクドクドク…
美里さんの白い下着を見ながらの射精。興奮したぁ、スッゴイ量が出ちゃったよ。
全てを出し終えた時には、美里さんの足には大量に精液がかかっていた。

「やーくんは、足で苛められるのも好きなんですわね?」
『やっぱり変態さんですわ』と呟きながら、精液まみれになったストッキングを脱いでいる。
「だってみーちゃんの足、すっごく気持ちいいんだもん」
ちょっと甘えた声で言ってみる。ホント気持ちよかったぁ。
僕の甘えたその声に、嬉しそうに微笑む美里さん。
「あらあら。甘えん坊なやーくんは、大好きですわ」
「すっごく気持ちよかったからその、もう一回いい?」
僕のリクエストに再度足元に座る美里さん。
おおおお!今度はストッキングがないから白い下着が丸見えだ!
「うふふふ、そんなに鼻息荒くしなくてもいいですわよ?
未来のだんな様のためでしたら、こんなこといくらでもしてあげますわ」
出したばかりで少し萎びた僕を、両足で器用に攻めてくる。
さっきのストッキングの感触も気持ちよかったけど、生足のほうが気持ちいい!
あっという間に全開になる僕。
「あぁぁ…また大きくなりましたわ。あたしの足で感じてますのね?スゴイですわぁ」
美里さんも興奮してきたのか、息荒く、一段と激しい攻めをしてきた。
僕もスカートの中に見える下着に足を伸ばしたいところだけど、指を折られるのはもう勘弁だ。
下着を見れるだけでも満足しないと…あれ?美里さんの下着、シミができてる。
さっきまでこんなシミ、あったっけ?
攻めに耐えながらよく観察していると…シミはどんどん大きくなってきてる。も、もしかしてこれって?
「僕を攻めて、みーちゃんも興奮してるんだ?」
「は?いったい何を言ってるんですの?あたしはそんなはしたない女じゃありませんわ」
「だってみーちゃんの下着、濡れてるよ?それって僕を攻めて、興奮して濡れたんだよね?」
美里さんの下着を指差す。
ふっふっふ…まさか美里さんが濡れてるなんて思ってなかったよ。
これをきっかけにどんどん攻めて、エッチまで持っていってやる!
「え?何が濡れて………い、いやあああぁぁぁ〜!」
攻めてやるなんて考えた、僕が馬鹿だったんだ。
今の状況を、よく把握してなきゃいけなかったんだ。
今僕は、美里さんに足で攻めてもらってるわけで…

…ゴリン!

慌てた美里さんが、僕を突き飛ばした!…もちろん足でね。
で、その足はどこにあったかというと、僕の股間にあったんだよね。
ということは、この『ゴリン!』って音は股間で鳴った音なんだ。
何の音なのかと言うと…とある二つの丸い物体が、無残にも『ゴリン!』ってことになったんだ。
「エッチエッチエッチ!やーくんの変態変態変態!信じられませんわ!」
股間が『ゴリン!』っとなって、言葉も出せない僕。
「秋山!秋山!今すぐ中指やっちゃいなさい!ヘンタイやーくんはダイッキライですわ!」
『ゴリン!』ってなった僕は、そのすぐ後に『ポキン!』ってことになったんだ。


「おっはよ〜、あっおばく〜ん!あれ?なんかいつもにもまして、辛そうな顔してるね。どしたの?」
次の日の朝、教室に入ると元気な池田さんが。
あんな目にあっても学校に来る僕って、偉いよなぁ。
元気な池田さんに、なにも言わずに左手を見せる。
「あれ?三本に増えた?青葉くんの指って、ポキポキだね。カルシウムしっかり取ったほうがいいよ?」
「…多分カルシウムだけじゃ、無理だと思うよ」
ため息交じりの返答をする。
秋山さん、あなたも男ならあの苦しみは分かるでしょ?
なんでそんな状態の人間の指を、平気で折れるの?アンタ変だよ!
「よく折れる指は置いておいて、ラインフォード先輩が『昨日の事絶対に話すな』だって。
もし誰かに話したりしたら『素敵な海底探索プランを体験させてあげますわ』だって」
「…なんでさ。だって先輩、僕達を使って噂を広めようとしてたんだろ?」
周りをキョロキョロと見て、誰にも聞かれないような小声で話してきた。
(それがね、あの後先生が怒ったの。
『もしおれとお前が付き合ってると噂が広まったら、お前と別れる』って。
そしたらね、先輩号泣よ?あのラインフォード先輩がわんわん泣いたんだよ?ビックリしたよ〜)
(…で、僕達が誰かに話したら、海底に沈められるんだ?)
青い顔してコクンと頷く池田さん。ふ〜ん、あの後結構な修羅場があったんだ。
海に沈めるなんて大変迷惑な話だけど、今はもうどうでもいいや。
「二人してなにヒソヒソ話してるの?もしかして果歩って青葉くんがタイプだったの?」
「へ?ちょ、ちょっとかなちゃん、なに変なこと言ってるの!私にだって選ぶ権利はあるんだよ?
こんな何の特徴もない平凡さんなんか、ヤだよ!」
「…委員長、素敵なお言葉ありがとう。おかげさまで泣きたくなってきた」
「へ?ゴ、ゴメン!つい本音が出ちゃった。そんな事思ってないからね?冗談だからね?ねね?」
「あははは、果歩、本音が出たって言ってるよ。青葉くんよかったね。探してもなかなかいないよ?
本音を話してくれる人って。さすがは委員長だね!傷ついてるクラスメートを介錯するなんて偉いよ!」
「あははは、そ、そうかな?青葉くん、介錯されたかったらいつでも言ってね?
で、かなちゃん、介錯ってなにかな?」
無邪気に笑う委員長。委員長につられてクラス中が笑い出した。
…もういやだ。何で僕ばっかりこんな目に会うんだよ!

包帯でぐるぐる巻きの左手を見て嘆く僕。誰か優しくしてよ〜!





「ねぇかなちゃん。一緒についてきてよぉ〜。私一人じゃ不安だよぉ」
「でも先輩は果歩だけを呼んだんでしょ?勝手についていったら怒られちゃうんじゃないのかなぁ?」
「確かにそうだけどぉ…一人じゃ不安だよ」
「大丈夫だって!いくらラインフォード先輩でもそんな無茶な事はしないでしょ?」
「…かなちゃんは知らないだけなんだよ。はぁぁ、憂鬱だよぉ」

 三本目の指を折られて2日目、まだズキズキと痛い。
今日は美里さんに告白して6日目の朝。単純計算で2日に一本折られてことになる。
…おかしいよね?これって絶対におかしいよね?
なんで恋人の指を平気で折らせるんだ?もしかして美里さんって…超ドS?
けど練習の時とかはすっごく優しいんだよね。…指を折れと命令する時は冷たい笑顔だけどね。
Sなのかなぁ?…僕はMなんかじゃないぞ!痛いのはイヤだよぉ。

 そんなことを考えながら教室へ入ると、池田さんが綾崎さんと話しながらため息を吐いていた。
いつも元気な池田さんにしては珍しいな、どうしたんだろ?

「はぁぁ、行きたくないよぉ…あ!青葉くん、いいとこに来たね!お願いがあるんだけどいいかな?」

 僕の顔を見るなり元気になる池田さん。
なんだ?落ち込んでたんじゃないの?ホントどうしたんだろ?…お願いってなんだろ?

「委員長、いったいどうしたの?さっきまでため息はいてたのに…お願いって何?」
「それがね…先輩が今日一緒にお昼食べましょうって誘ってきたの。
私いつも友達と食べてますからって断ったんだけど…」
「断わりきれなかったんだ?」
「うん、そうなんだ。先輩、『じゃあその友達という人がいなくなればいいんですわね?簡単ですわ』
ってニコリと微笑むんだもん。行かなきゃかなちゃん、殺されちゃうよぉ」

 流石ラインフォード先輩!…すっごくメチャクチャだ。
何も知らないのに巻き添えを食らいそうな綾崎さんが可哀想だよ。
綾崎さんを見ると真っ青な顔で驚いている。
そりゃそうだよね、知らないうちにとんでもないことに巻き込まれてるんだもん。

「ええええ!そ、そんな話になってたの?果歩!絶対に先輩のとこに行きなさいよ!絶対だからね!」
「ええ〜?どうしよっかなぁ?かなちゃん私と一緒に来てくれないしぃ」
「なっ?…そう来るわけね、分かったわ。そもそもあたし達って友達じゃないし。
…ていうかアンタ誰?青葉くん、このクラスにこんな人いたっけ?」
「さぁ?転校生じゃない?」
「あああ〜!ひっどぉ〜い、二人して私を苛める!学級崩壊だ!これは学級崩壊だよ!」

 僕と綾崎さんの冗談に慌てる池田さん。
ははは、いつもの池田さんに戻った。これでこそ、このクラスの委員長だよね!

「…うるさい転校生ねぇ」

 ボソッと呟く綾崎さん。…そんなに先輩との関係に巻き込まれたくないんだ。


 僕は池田さんの「先輩と一緒にご飯を食べよ?」というお願いを断り、
美里さんとお昼を食べるために屋上へ来ている。
きっと僕も先輩と先生の秘密を知っているから誘ったんだろうけど、
残念ながら僕には美里さんの先約があるんだよね。
池田さんは肩をガックリと落とし、生徒会室へと歩いていった。
トボトボと歩く池田さんの背中が哀れでならない。…巻き込まれなくてよかったぁ。

「…ということがあったんだよ。委員長、今頃何されてるんだろうね?」
「あらあら、そうなんですの?可哀想な池田さん、あの変な外人に捕まってしまったんですのね」

 屋上のベンチに腰をかけ、箸でから揚げを摘み、あ〜んと食べさせてくれる美里さん。
今、屋上には僕達しかいない。なぜなら入り口のドアの前で、秋山さんが仁王立ちしているからだ。
…ここって学校だよね?なんで部外者の秋山さんが堂々といるんだ?
そういえばラインフォード先輩のお付の人も何食わぬ顔でいるし…こんなのでいいのかな?

 そんなことに頭を捻りながら、美里さんの手作り弁当を食べさせてもらう。…美味い!これは美味だ!
さすがに食べさせてもらうのは恥ずかしいけど、美里さんがどうしてもしたいってきかないんだ。
『折れた指では食べづらいでしょ?食べさせてあげますから、あ〜んしてくださいな』
って嬉しそうに箸を持つんだよ。あなたが折れと命令したんですよね?
…まさかこの為に僕の指を折らせたのかな?そ、それは無いよね?そんな事はないはずだぁ〜!

「暗い顔していったいどうしたんですの?せっかく二人きりでのお食事なのに…
やーくん、食後に練習しましょうね?元気にしてあげますわ」
「へ?れ、練習って?みーちゃん、学校で練習はダメだよ。もし誰かに見られたら、ただじゃすまないよ」
「あらあら、いくらかかるんでしょうね?500万ほどなら即金でいけますわ」
「…お金のことじゃないんだけどね」

 僕の言葉に「そうなんですの?」と首をかしげ、おにぎりを食べさせてくれる。
…やっぱりみーちゃん、少しズレてるよ。はぁぁ、と少しため息を吐き、おにぎりをパクつく。

「きゃ!やーくん、指まで食べちゃダメですわ」
「んぐ?…みーちゃんゴメンね?別に悪気があったわけじゃないからね?」
「もう、落ち着いて食べてくださいな。たくさん作ってあるから落ち着いて食べてくださ…
なるほど、こういうパターンもあるんですわね。ねぇやーくん、今度はやーくんが食べさせてくださいな?」

 頷きながらそう言って、嬉しそうに小さく口を開けた美里さん。
食べさせるのは別にいいけど、急にどうしたんだろ?



どうしたんだろ?急に頷いたかと思えば、僕に食べさせて欲しいって言い出すし。
…こういうパターンってなんなんだろ?美里さんはなにを思いついたんだろ?
まぁいいや。おにぎりを食べさせるだけだし、酷い目には会わないだろうしね。

 美里さん特製の、手作り鮭おにぎりを一つ摘み、あ〜んと口を開け待っている美里さんの口元へと運ぶ。
こ、これは可愛いぞ?美里さん、すっごく可愛い!いいな、これ!

 おにぎりをパクリ、パクリと小さくかじる美里さん。
ホントに可愛いよ、まるで小動物に餌付けをしてるみたいだ。
こんな事考えているのがばれたら、怒られちゃうかな?
最後の一口を口に入れた美里さ…わ、わああ!指まで食べないで!

「み、みーちゃん!指まで食べない…ゴクリ」
「ん、ちゅば…んん、おいひいでふわ。やーくんの指…ちゅぱ、ちゅる…ちゅちゅっ」

 う、うおぉぉ…美里さんが僕の人差し指を咥え、チュパチュパとしゃぶっている。
まるで僕のあそこをしゃぶるように、丁寧に舌を這わせ…僕を見つめながらしゃぶっている。
潤んだ瞳で僕の手を持ち、人差し指だけじゃなく、全ての指を丁寧に一本ずつ口に含み…これはエロイ!

 小さくて、綺麗な舌が僕の指をペロペロと舐め、瞳を瞑り、口に含んで丁寧にしゃぶる。
そんな一生懸命な美里さんを見ていたら…ズボンに当たり、痛いぐらいに立ってきた。

「やーくん、そろそろこっちを舐めたいですわ。やーくんも我慢出来ないでしょ?
あぁ、学校でやーくんを口に含むなんて…うふふふ、えっちなやーくん。そんなやーくんは大好きですわ」
「ちょ、ちょっとみーちゃん、さすがにそれはマズイって!学校でそんなこと…あ、うぅぅ」

 サワサワと、優しくズボンの上から僕を撫でる美里さん。
痛いぐらいに立っている僕に、その優しい愛撫はもどかしい。
僕は無意識のうちに、美里さんの手に押し付けるように腰を浮かせてしまっていた。

「あらあら、やーくんは口ではイヤだイヤだと言っているのに…えっちなやーくんは大好きですわ」
「いや、これはその…み、みーちゃん?ちょ、ちょっとダメだって!みーちゃ…お、うおぉぉ」

 耳元で囁く美里さんの声が脳を痺れさせる。下半身を優しく撫でる、細い指が体を熱くする。
その指がチャックを下ろし、ズボンの中に入ってきた。
パンツの上から触られるだけで、もう爆発してしまいそうだ。

「み、みーちゃん、だらかダメだって…うぅ、学校でこんなことはいけな…うくぅ」
「うふふふ…強情なやーくんにはお仕置きですわ。ちゅ…あらあら、とても元気なやーくんは大好きですわ」

 ズボンから出され、直接触られる僕の元気な下半身。
学校の屋上で、耳を舐められながら擦られるなんて…気持ちよすぎるぞ?
耳たぶをパクリと咥え、口の中でレロレロと細かく舌を使い愛撫される。その間も下半身は擦り続ける。    
みーちゃん、練習熱心だからすっごく上手くなってるよ。こんな事されちゃもう我慢が出来そうにないよ。

「んん…やーくん、今日は大サービスですわ。横になってくださいます?」
「ふぇ?サービスってなに?横になるって…うわあ!」

 ドン!っとベンチに突き倒され、仰向けにされる。
美里さんは怪しい笑みを浮かべ、僕の頭を跨ぐようにして…えええええ〜!

 目の前には美里さんの下半身が。スカートの中も丸見えだ。
黒い厚手の下着を穿いているのも全部丸見えになっている。
きゅ、急にこんな事してくれるなんて、いったいどうしたんだ?
柔らかそうな滑らかな太ももに思わず手が伸びる。
黒い下着に顔を近づける。おおお、これっていわゆる…シックスナイン?


「こら!触るのはダメですわ。やーくんは見るだけ。お触りしちゃいけません」

 ペシ!っと太ももを障る僕の手を叩く美里さん。
目の前にこんな美味しそうな太ももがあるのに…触らないなんて出来るかぁ!
滑らかでいて、しっとりと吸い付くような美肌を堪能する。太ももを触りながら舌を這わし、お尻も触る。
厚めの下着の上からとはいえ、ついに美里さんのお尻を…やったぞ!僕はついにやったんだ〜〜!!

「こ、こらぁ!ですから触っちゃダメですの!えっちなやーくんはダイッきらいですわ!」

 カリッ!…ゴメンなさい。調子に乗りすぎました。謝ります、謝りますから…

「イ、イタタタタ!ゴメンみーちゃん!もうしないから噛まないでぇ!」
「もうひまへんっへ誓いまふか?」
「しない!しない!絶対にしないから!」
「…分かりましたわ。お触りしてくるえっちなやーくんは、大きらいですわ」
「うぅぅ…歯型がついてるんじゃないの?みーちゃん強く噛みすぎだよぉ」
「当然の報いですわ。お尻を触るなんて、なんていやらしい…えっちすぎますわ」

 …僕はお尻の穴まで舐められてるんだけどね。

「だってみーちゃんが目の前で下着を見せるんだもん。好きな子の下着を見たら我慢できないよ」
「うふふふ…やっぱり騙されましたわね?これは下着ではありませんわ」

 バサッ!っとスカートを捲り、下着を見せる美里さん。
おおお!今日はいつになく大胆だ!いったいどうしたんだろ?

「これは昔の体操着、『ブルマー』ですわ。えっちなやーくんの為に穿いてきたんですの」
「へ〜、これがブルマーなんだ。…ヘタな下着よりもいやらしいね」

 ブルマーから伸びる綺麗なスラッとした生足、キュッと締まったお尻が見事に強調されていてる。
こ、こんなえっちな物が昔は体操着だったのか…凄いよ、凄すぎるよ!

 スカートを捲り上げ、僕にブルマーを見せている美里さん。
目の前でそんな光景を見せられたら、正常な思春期の男子ならどうするか…分かるよね?
さっき大事な所を噛まれたばかりなのに、それを忘れるくらいに興奮しちゃったんだ。
興奮したら、目の前にある美味しそうな獲物に食らいつきたくなるのが野生の本能。
で、本能には逆らえない。という訳で、気がついたら美里さんを押し倒してた。

「キャッ?ちょ、ちょっとやーくん!えっちなことはもうしないと約束したばかり…やん!」
「じゅる、ぺろ、れろれろ…はぁはぁはぁ、みーちゃんの匂い…いやらしい匂いがするよ」
「こ、こらぁ!そんなとこ嗅がないで…んあ!」
「はぁぁ、みーちゃん…みーちゃん!みーちゃん!」
「あ、んん!や、ダメぇ…こんなところで、そんなイヤらしい…秋山、やっちゃいなさい」

 はぁぁ…美里さんの股間を舐めているんだ。
僕は今、美里さんを押し倒し、股間に顔を埋めている。夢にまで見たことが現実になっているんだ。
アソコに顔を埋めて、お尻を撫で回している。あぁ…夢なら覚めないでほしいなぁ。
ブルマー越しとはいえ、ついにみーちゃんにえっちなことを…秋山さん?

 冷静になって周りを見てみる。ドアの外にいるはずの秋山さんが、すぐそこに立っていた。
で、僕に手を伸ばし、人差し指を掴んだ。ははあ…さてはポッキリと折るつもりだな?
…なんで秋山さんがいるの?ドアの向こうで待っていたはずじゃないの?
そうか、これは夢だ。きっと悪い夢なんだ!夢なら早く覚めてくれぇぇぇぇ〜〜!

 ポキンッ!


 うっぎゃぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!


「青葉君おはよ。昨日どうしたの?お昼に早退するなんて…あれ?指折れてるのって4本だっけ?」
「綾崎さんおはよう。…昨日4本になったんだよ。訳は聞かないで」
「はぁ?訳は聞かないでってなんなの?…ま、いいけどね。
あ、そうそう、聞かないでで思い出したんだけど、果歩の様子が変なのよね。
何を聞いても答えてくれないの。暗い顔して様子も変だし…どうしたんだろ?
やっぱり昨日、ラインフォード先輩に変なことされたのかなぁ?大丈夫かな?」

 池田さんの様子が変?池田さんの席を見てみると…机に突っ伏してブツブツ言っている。
昨日先輩に何をされたか知らないけど、僕は他人のことを心配できるような状況じゃないんだよね。

 はぁぁ…なんで一週間で4本も指を折られなきゃいけないんだ?これって絶対におかしいよ。
美里さんは僕に好きなことを好きなだけしてさ、なんで僕には触らせようとしないんだ?
これって僕が弄ばれてるだけじゃないのか?…僕は美里さんのオモチャなんかじゃないぞ!
なんかだんだん腹が立ってきた。
そりゃ気持ちいいことしてもらえるからって、されるがままにしてた僕も悪い。
けど好き勝手しながら、自分が触られるのを嫌がる美里さんも悪いだろ?
今度1回ガツンと文句を言ってやろう。僕は美里さんのオモチャなんかじゃないって。
…けど、美里さんって怒ると怖いんだよなぁ。
で、でもここは一度ガツンと言わなきゃいつまで経っても…あれ?池田さん、どうしたの?

 考え事をしていたら、いつの間にか僕の席の前に立っていた池田さん。
虚ろな表情で、手には歴史の教科書を持っている。
なんで教科書持ってるの?一時限目って歴史じゃないよ?

「…ど、どうしたの委員長、顔色悪いよ?あれ?なんで僕の足を隣の席の椅子にかけるの?
ねぇなんで僕のズボンの裾を捲るの?な、なんで歴史の分厚い教科書を振り上げるの?」

 無言で僕の足を持ち上げて、隣の席の椅子に橋を架けさせる。
さらにズボンの裾を捲り、すねを丸見えにした。すねを出されるのって少し恥ずかしいんだね。
で、委員長はその手に持った分厚い教科書を縦に持ち直し、
閉じてある方を僕の足に向かって勢いよく振り下ろした!ってなんでぇぇぇ〜?

 ゴスンッ!

「うっぎゃぁぁ〜!」
「ちょ、ちょっと果歩!あんたいったい何やってるのよ!」
「はぁはぁはぁ…コイツのせいで私は…わたしはぁぁぁ〜!」

 ゴスン!ゴスン!ゴスンッ!

 あぁ…訳も分からずこんなとこで死んじゃうのかな?一度でいいからSEXしてみたかったなぁ…
一心不乱に僕のすねに教科書を振り下ろす池田さん。痛さのあまりに意識が遠くなってきた。
すねを殴られての撲殺。嫌な死に方だなぁ…ってなんで叩くんだよぉ〜!


「はぁぁ〜すっきりしたぁ。かなちゃん、心配かけてゴメンね?」
「まぁ、あたしはいいけど…青葉君が死にそうな顔で睨んでるよ?いったい何があったの?」
「…委員長、いきなり何をするんだよ!僕がいったい何をしたってんだよ!」
「ああん?何をしたかだと?てめぇがところ構わずいちゃつくから…先輩が我慢できなくなったの!
どうしてくれんのよ!私、お昼休みの間中ずっと写真集見せられてたんだよ?
先輩、今日も見せてあげるって言ってたから…どうしてくれんのよ!」

 大声で叫ぶ池田さん。…は?先輩が我慢できなくなったって…なにを?
綾崎さんも疑問に感じたのか池田さんに質問をする。

「ねぇ果歩、先輩なにを我慢できなくなったの?写真集ってなに?」
「はぁはぁはぁ…先輩、青葉くんが西園寺先輩といちゃついてるのが羨ましいのよ。
先輩も人前で好きな人といちゃいちゃしたいの、でも学校では出来ないの。
だから誰かに自慢だけでもしたがってるの。で、その相手に私が選ばれちゃったんだよ〜。
もうイヤだよ〜、写真集なんて昨日だけで3冊だよ?
先輩の好きな人の写真集を見せられて、思い出を話されるのって苦痛以外の何物でもないっての!」

 池田さんの説明に、綾崎さんは訳が分からずキョトンとしてる。けど、僕には分かった。
そうだったのか…先輩、僕達が学校で婚約者だと騒がれたから、悔しくなっちゃったんだろうな。
先輩の好きな人って相川先生だもんね。そりゃ学校ではいちゃつけないよね。
だから僕達を使って、相川先生と先輩が恋人だって話を広めようと考えたんだ。
けどその企みも先生にばれて怒られた。企みは失敗に終わったんでよね。
で、せめて誰かに惚気話をしたくて、先生との関係を知っている池田さんに白羽の矢が立ったのか。
僕じゃなくてよかったよ。池田さん、頑張って先輩の相手をしてあげてね?

 そんな落ち込んでる池田さんを慰める綾崎さん。
結局、綾崎さんが池田さんと一緒に先輩のところに行き、惚気を聞くことになった。
親友っていざというときに頼りになるよね!よかったね、池田さん!…地獄への道連れができて。

 で、お昼休みに二人は緊張した面持ちで、生徒会室へと向かっていった。生きて帰って来いよ。
僕はというと、朝、池田さんに殴られた足を引きずり、屋上へと向かった。
今日も美里さんが『屋上でご飯を食べましょうね』って言ってきてるんだ。
けど、今日の僕はいつもとは少し違う。今日はガツンと言ってやるつもりだ。
僕は美里さんのオモチャじゃない、いつまでも僕をオモチャみたいに扱わないで。
こんな変な形じゃなく、ちゃんとした恋人同士になろうよ。って言うつもりだ。
こんなこと言って、美里さん怒ったりしないかな?…不安だ。

 屋上の扉の前での待ち合わせ。美里さんはまだ来ていない。
一緒に来ればいいと思うんだけど、美里さん、待ち合わせするのが好きなんだって。
好きな人が待っていてくれてるって考えるだけで、幸せになるって言ってた。
美里さんも女の子なんだね、カワイイよなぁ。
そんなことを考えながら待つこと5分、秋山さんを引き連れて美里さんがやってきた。
よ、よし、ガツンと言ってやる!ここで言わなきゃいつまで経っても僕はオモチャのままだ!


「お待たせしてごめんなさいね?今日のお昼は、やーくんの好きなカレイの煮付を作りましたの」
「…みーちゃん、話があるんだ」

 嬉しそうな顔で、お弁当が入っているであろう鞄を見せる美里さん。
僕はそんな美里さんを制し、話し出す。

「なんですの?急にカッコいい顔になって…凛々しいやーくん、カッコいいですわ」
「みーちゃん、真剣な話なんだ、茶化さないで。…僕達って今のままの関係じゃ、いけないと思うんだ」
「…は?いきなり何を言い出すんですの?」
「みーちゃんはおかしいと思わないの?みーちゃん、僕をまるでオモチャのように見てるよね?
僕はみーちゃんが大好きだ。愛してるんだよ!
けどね、その愛する人からオモチャのように扱われるなんて…これ以上耐えれそうにないよ」

 僕の真剣な話に驚き、声も出ない美里さん。僕はそんな美里さんを無視して話し出す。

「みーちゃん…僕達ホントの恋人同士になろうよ。いつまでも練習とかヘンな事してないでさ」
「…ヘンな事?ヘンなのはやーくんですわ。いったいどうしたんです?
急にこんなことを言い出すなんて…あらあら、そうでしたのね?
やーくん、いくらえっちがしたいからって、ヘンな理屈を語るのはよしてくださいね?」
「…みーちゃん、僕は本気で話してるんだよ?おかしいと思わないの?
いくら恋人でも体中を舐め回すなんておかしいよね?
そのくせ自分は触らせようともしない。触ったりしたら指を折らせる。絶対にヘンだよ!」
「はぁぁ…そこまでしておさわりしたいんですの?やっぱりやーくんはヘンタイさんですわ。
そんなヘンタイさんにはお仕置きが必要ですわね…今日こそは屋上での練習、しましょうね?」
「…僕の話を聞いてくれないんだね?もういいよ!しばらくみーちゃんとは話さない!」

 アッタマきた!やっぱり美里さんは僕をオモチャだと思ってるんだ!
僕だって男だ!…情けないけどね。けど少しは男の意地ってものもあるんだ!
いつまでもオモチャにされてる訳にはいかないよ!

 怒りに震え、そんなことを考えながら階段を下りる。くそ、足が痛んで降りずらいな。
池田さん、容赦なく殴ったな。歴史の教科書って凶器になるんだ、知らなかったよ。

「や、やーくん?ちょ、ちょっと待って…」

 階段を下りる僕に焦ったのか、美里さんが僕の背中に手を伸ばした。…どん!
 
「ええ?ちょっとみーちゃ…」

 背中を押され、体が前のめりになる。まずい!このままじゃ階段を転がげ落ちてしまう!
慌てて踏ん張ろうとするも、足に痛みが走り、その一歩が出なかった。
手すりを掴もうにも運悪く、手すりは左側のにしか手が届かなかったんだ。
で、僕の左手はこの一週間で4本の指が折られていたわけで…掴めなかった。

「う、うわああああ〜!」
「きゃぁぁぁ〜!やーくん…やーくん!いやぁぁぁ〜〜」

 階段から転がり落ち、頭に衝撃が走る。

 みーちゃん……突き落とすなんて…酷すぎ…るよ… 

 
 最愛の人に階段から突き落とされた現実が僕の心を打ちのめし、
 
 コンクリートの床に頭を強く打った衝撃が、僕の意識を断ち切った。



(うぅ…体が重い。ていうかズキズキする。何でだ?……あ、そうか。僕、美里さんに階段から…)
 
 まどろむ頭で今の状況を考える。あぁ…額に当てられた冷たい手が気持ちいいなぁ。
その冷たい手の感触が、徐々に僕の意識をはっきりとさせた。
そうだった。僕、美里さんに突き落とされたんだ。…痛いよ。体中が痛い。
でも、一番痛いのは…心だ。なんで美里さんは、僕を突き落としたんだろ?
僕が生意気な事を言ったからかな?それにしても、階段から突き落とすなんて…酷すぎるよ。
人間にする事じゃないよ。…やっぱり美里さんにとって僕は、オモチャでしかなかったんだ。
きっと僕が生意気な事を言ったから、懲らしめるために突き落としたんだ。
ふっふふふふ…あっはははは!ふざけるな!僕は本気で貴方の事が好きだったんだぞ?
いつまでもいつまでも、僕をオモチャ扱いして……もういい。もういいや。
やっぱり僕と美里さ…西園寺先輩とじゃ、生きている世界が違うんだ。
金持ちお嬢様の考えてる事なんて、所詮は庶民の僕に分かりっこなかったんだ。
…別れよう。そうだ、別れよう。これ以上一緒にいたら、そのうち殺されちゃうよ。
どうせ僕と結婚するつもりだったなんて、ウソなんだ。きっと暇つぶしだったんだ。
だから僕には触らせようとしなかったんだ。…ホントにえっちの練習台だったんだね。
もう振り回されるのは疲れたよ。……さよなら、みーちゃん。



「…やーくん?やーくん、目が覚めたのですね?体は大丈夫?」

 目を開けると、そこは知らない部屋だった。大きなベッドに白いカーテン。
ベッドの隣には僕の額に手を当てて、目を真っ赤にした西園寺先輩が。ここは…いったいどこだ?

「西園寺先輩、ここってどこですか?」

 額に当てられた手を払い除け質問する。僕の態度に驚き、目を丸くしながらも質問に答える先輩。

「ここは病院ですわ。学校でやーくんが階段から落ちてしまって…さ、西園寺先輩?
やーくん、今更何故他人行儀な言葉遣いをするんですの?いつものようにみーちゃんって…」

 僕に払われた手を押さえ、驚きの表情を見せる先輩。
けどそれは手を払われた事にではなく、僕が西園寺先輩と言った事に対して驚いているみたいだ。

「ああ、ここって病院ですか。僕が先輩から突き落とされて、どのくらい経ってるんですかね?
…授業、サボっちゃったな。また委員長にノート借りなきゃいけないな」
 
 壁に掛けられている時計を見ると、午後4時になろうとしていた。
お昼に突き落とされたから…4時間ぐらい寝ていたのか。

「や、やーくん?ですから何故他人行儀な言葉遣いを…」
「西園寺先輩、僕はもう大丈夫ですから帰ってもらえますか?先輩がいると心が休まらないんで」
「で、ですからぁ!なんであたしのことを先輩なんて言うのです!やーくんイジワルが過ぎますわ!」

 真っ赤な顔で文句を言う先輩。今にも涙をこぼしそうな顔をしている。
見てるだけだと可愛くて、綺麗なんだけどな。…もう関わりたくないよ。
そんな綺麗な顔を見ていると、突き落とされた事に対する怒りが込み上げてきた。

「…僕の事はもうほっといてくれよ!僕はもうアンタのオモチャなんかじゃないんだ!
オモチャにされるのはもうたくさんなんだよ!出てってくれ!…もう二度と、アンタの顔を見たくない」

 つい大声で叫んでしまった。しまったなぁ、ここって病院だよね?怒られちゃうんじゃないの?

「や…やーくん?い、いったいなにを言っているんですの?」

 先輩は僕が何を言ったのかを理解できていないようだ。…理解できないんだったら何度でも言ってやるさ!

「アンタの耳は飾りか?分からないんだったら何度でも言ってやるよ!
僕はアンタのオモチャじゃない。もうアンタとは婚約者でも恋人でもなんでもない。…赤の他人だ!」

午後5時。ベッドの上から夕日を眺め、ため息をつく。…なんか嫌な気分だ。
ちょっときつく言いすぎたかな?…いやいや、悪いのはあっちだ、絶対に向こうが悪い。
そんなことよりも、お腹空いたなぁ。よく考えたら階段から突き落とされたからお昼ご飯食べてないんだよね。
病院のご飯って美味しいのかな?お嬢様だけど美里…西園寺先輩の料理は美味しかったんだよね。
ってもう関係ない人のこと考えてても仕方ないや。早くご飯にならないかなぁ〜。
そんなことを考えていたら廊下から元気な話し声が聞こえてきた。

「青葉君生きてる〜?…あ、生きてたんだ、よかったぁ〜。死んだものとばかり思ったわ」
「あ、ホントだ、生きてるね。死んでなかったんだね、よかったよかった」

 病室へと入ってくるなり生きているんだと驚く綾崎さんと池田さん。
なんで二人とも僕が死んでると思ってたんだよ!

「生きてちゃ悪い?…二人ともそんなに僕が死んでてほしかったんだ」

 ガックリと肩を落として話す。お見舞いに来てくれたんだろうけど、死んでるはないだろ?
綾崎さんはぶんぶんと首を振り否定をして、池田さんはこくこくと頷いた。
…え?なんで池田さん頷いてるの?ホントに僕に死んでてほしかったの?

「さっきね、西園寺先輩が泣きながら病院から出て行ったのを見ちゃったの。
だから間抜けな青葉くんが、階段から転げ落ちて惨めに死んじゃったんだって、かなちゃんと話してたんだよ。
空しい一生だったねって話してたのに…なんだ、死んでなかったんだ。
てっきり惨めに死んだものだと思ってたよ。よかったね、生きてて。みすぼらしくても生きてる方がいいもんね」

 …なんなんだろう、この人は?お見舞いに来て怪我人をどん底へ叩き落とそうとするなんて。
池田さん、学校で何か嫌な事でもあったのかな?

(委員長、今日学校で何かあったの?なんかヘンに壊れてるんだけど?)
(ゴメンね、あたしとラインフォード先輩でちょっと、ね)

 可哀想に…池田さん、またラインフォード先輩になにか見せられたんだ。
あれ?綾崎さんも先輩と一緒になにかしたの?いったい何されたんだろ?

「あれあれぇ〜?かなちゃんが青葉くんとヒソヒソ話してるよ?
正平君に言ってやろ〜っと。かなちゃんは高校で冴えない男と浮気してますよって。
お昼にあんなにラブラブっぷりをアピールしてたのに、かなちゃんって浮気性なんだ。サイッテーだね」

 ニコニコと嬉しそうに微笑みながら、綾崎さんにケンカを売る池田さん。
おいおい、この二人の間にいったい何があったんだよ?

「もうっ!いつまで根に持ってるのよ!…いい加減に機嫌直してよ。
…言っとくけどあたし、そんなに気は長くないからね」
「…ゴクリ。あ、あははは、何を言ってるのかな?私はなにも気にしてないよ?
イヤだなぁ〜、かなちゃんったら。なにを勘違いしてるのかな?ねぇ青葉くんもそう思うよね?」
「いや、いきなり同意を求められても、何がなんだか訳が分からな…ごふっ!」

 的確に鳩尾を捉えた池田さんの正拳突き。そういえば池田さんって空手道場の娘だったんだよね。
さすがだね、すっごい威力だ…ぐふぅ!

「ゴメンね、お腹大丈夫?もろに鳩尾に入ったから痛かったよね?…プッ、いい気味」

 最後にボソッと毒を吐きながらも心配してくれる池田さん。
殴っといていい気味はないだろ?…なんで殴られたんだろ?

「青葉君、ホントにゴメンね。あたしからこの子にはきつく言っておくから」
「んな?な、なにをきつく言うのかな?それよりもかなちゃん!西園寺先輩なんで泣いてたんだろうね?」
「んん?そういえばそうね。青葉君は元気そうだし、なんで泣いてたんだろうね?
先輩が泣いて出てきたのを見たときは、『青葉君、死んだんだ』と思ったしね。ケンカでもしたの?」

 二人して不思議そうに首をかしげている。教えた方がいいのかな?

「そんなことより青葉く〜ん、ちょっと聞いてよ!かなちゃんってひっどいんだよ?
先輩と一緒に私を苛めるの。血も涙もない恐怖の惚気女なんだよ!」
「ちょっと果歩、それは言いすぎよ!…まぁ確かに、ちょっと自慢しすぎたとこはあったかな?」
「ちょっとぉ?出会いから今までの思い出を話すのがちょっとなの?
かなちゃん、先輩といい勝負してたよ?…二人に挟まれて、惚気話を聞かされる身にもなってよ」

 目の前でギャーギャーと騒がれたら嫌な気分が紛れてきた。ホント二人が来てくれてよかったよ。

「ははは、委員長、また先輩に惚気られたんだ。綾崎さんも聞いてたの?
ってことは…先輩の恋人が誰か知っちゃったんだ?」
「ええ、凄く驚いたわよ。まさか先輩の恋人が……あれだとはねぇ」
 
 そりゃ驚くよね。校内で1、2を争う美女で大金持ちの先輩の恋人があの相川先生なんだからね。
特にカッコいいという訳でもなし、お金持ちって訳でもなし。
しいて褒めるなら……メガネがブランド物だってことぐらいかな?

「ははは、で綾崎さんも惚気られたんだ?」

 可哀想に。委員長がちょっと壊れちゃうくらいの惚気らしいから、綾崎さんも堪えたんじゃないかな?
綾崎さんはポリポリと頬を掻き、何故かハハハと乾いた笑いをした。
その横では池田さんがブンブンと必死に首を振り、否定をしている。…なんで?

「青葉くん、それは違うよ。かなちゃんも先輩と一緒になって私を苛めたんだよ。
永遠に続く惚気のループ。1+1は2になるんじゃないんだよ。10にも20にもなっちゃうの!」
「……よく分からないけど、要するに綾崎さんも先輩と一緒になって惚気話をしちゃったの?
で、二人から聞くとダメージが10倍20倍になる。こういうこと?」
「さっすが青葉くん!頭打ってちょっとは回転がよくなったんだね。
想像してみてよ、二人しての惚気まくってさ、私に写真を見せてくるの。
ぬぁにが『あたしの彼って胸に顔を埋めるのが好きなんです。
あたしもギュッと抱きしめると幸せになるんです』だ!このおっぱいお化けめ!さっさと垂れてしまえ!」

 あ〜あ、今日も池田さん壊れちゃったよ。
最近の池田さんは散々な目に遭ってるんだね。
橘にはフラれるし、先輩と友人からは惚気を聞かされる。…池田さんもついてないんだね。

「だからさっきから謝ってるじゃないの。はぁぁ〜、さっきも言ったけど、あたし、気は長くないから。
これでもう2回も言ったわよ?ねぇ果歩、親しい友人がいなくなるなんて、悲しい思いはさせないでね?」
「…ゴクリ。そ、それよりさ!ラインフォード先輩って料理上手でしょ?
私もいろいろ教えたりしたんだよ。安い食材でいかに美味しく作るかって。私、偉いでしょ?」
「そうそう、お昼に先輩の手料理頂いたんだけど、とても美味しかったのよ。
先輩に美味しい料理を教えるなんて果歩は偉いねぇ。……3回目はないわよ」

 池田さんの頭をいい子いい子と撫でる綾崎さん。
池田さんは嬉しそうにしていたけど…耳元で囁いた最後の言葉で固まった。
僕は何も聞こえなかったし、関係ない。…池田さん、踏んだり蹴ったりだね。

「へぇ〜、先輩の料理ってそんなに美味しいんだ?意外だね、どんな料理が得意なんだろうね?」

 悪い空気を変えるため、固まっている池田さんに問いかける。
なんで怪我人の僕が気を使わなきゃいけないんだ?この人たち何しに来たんだろ? 

「そうそうそうそう!おっどろきでしょ?先輩の料理って庶民派なんだよ?意外でしょ?」

 固まっていた池田さんが嬉しそうに食いついてきた。いい助け舟を出せたみたいだ、よかったよかった。
それにしてもあの先輩が庶民派料理を作るなんて意外だ。もっと高級なものかと思ってたよ。

「へぇ〜、フランス料理とかそんなのかなって思ってたよ」
「あっははは!青葉くんってバカだね。救いようのない、生きてるのが恥ずかしい人類の恥だね。
フランス料理なんて作れるわけないじゃん。肉じゃがだよ。先生の大好物なんだって」

 気を利かせて話に乗ってあげただけなのに、なんで人類の恥にならなきゃいけないんだ?

「先輩って先生のためにいっぱい料理の勉強したんだって。
好きな人に手料理を食べてもらうのってすっごく幸せだって言ってたよ。
かなちゃんもそう言ってたし…私にはちょっと分からないなぁ。
料理なんて小さい頃からしてるから、もう生活の一部なんだよね」
「果歩も好きな人が出来たら分かるわよ。すっごく嬉しいんだから」
「ふ〜ん、そうなんだ。ねぇ青葉くん、西園寺先輩も嬉しそうにしてた?
最近お昼はずっと手料理食べさせてもらってるんでしょ?この幸せモン!」

 そう言って僕のわき腹をドスドスと突く池田さん。
そういえばあの人も嬉しそうにしていたな。…ま、もう関係ないことだけどね。

「そんなの嬉しいに決まってるじゃないの。
ラインフォード先輩もそうだけど、西園寺先輩クラスの人は、一生包丁を握らなくてもいいんだから。
女ってのはね、愛する人の為ならなんだって頑張れるのよ。
きっと何度も包丁で手を切りながら頑張ったんだと思うわ。あたしがそうだったからね」
「ははは、それはないと思うよ?あの人がそんな努力をするとは思えないよ。
だってあの人は僕の事、オモチャ代わりにしてただけだしね。そんな努力する訳ないよ」
「なに言ってるの?なんでもそうだけど、いきなり上手く出来るわけないわよ。
西園寺先輩、青葉くんに内緒で練習してたのよ。美味しいって言ってもらえる事を夢見てね。
だから初めて美味しいって言ってもらえた時、嬉しさのあまりに夜ベッドでゴロゴロと転がってたはずよ」

 そ、そうなのか?綾崎さんの言うとおりなのか?
そういえば初めて食べさせてもらったのは、卵焼きだったな。
ちょっと塩辛かったけど、美味しいよって言ったらすっごく喜んでた。
卵焼きを上手く作れたから嬉しがってたんだと思ってたんだけど、
もしかしたら僕に褒めてもらったのが嬉しかったのか?
そうだとしたら、美里さんはホントに僕のことを…好きだったのか?

「へぇぇ〜、かなちゃんもベッドで転がった事あるんだ?
そんな純なのってかなちゃんには全然似合わないよ、あははは!」
「もう!果歩ったら、からかわないでよ!……3回目ね」
「あはは…は……は?さ、3回目ってなにかな?」
「さ、ここじゃ出来ないから行くわよ」
「な、なにが出来ないのかな?なにをするつもりなのかな?なんで無言で手を引っ張るのかな?
た、助けて青葉くん!かなちゃんがキレちゃったよ!殺されるぅ〜!」

 怯える池田さんの手を無理やり引っ張り、外へと連行する綾崎さん。
さようなら、委員長。あなたのことは忘れないよ。…多分だけどね。

僕に助けを求めながら病室から連れ出される池田さん。僕はそんな池田さんを無視して考える。
やっぱり美里さんは僕の事が、本当に好きだったのかな?
でも、もしホントに僕の事が好きなら、なんで指を折ったり階段から突き落としたりしたんだ?
普通、そんな酷いことしないよね?酷いこと……僕も酷いこと言ったんだった。
美里さん、泣いていた。目を真っ赤にしてポロポロと泣いていた。
僕が大好きな綺麗な顔を、涙でぐちょぐちょにして泣いていた。
僕が泣かしたんだ。……そう考えたら胸が痛くなる。
長い間、想い続けていた想いを打ち明けて、やっと手に入れた最愛の人を……泣かしたんだ。
はぁぁ……やっぱり僕、まだ美里さんのこと吹っ切れてないんだなぁ。
美里さんの料理、美味しかったなぁ。ホントに僕のために練習してたのかな?

『ぐぅぅぅ〜』

 美里さんが作ってくれた料理のことを考えてたら、お腹が鳴った。
こんな落ち込んでる時でもお腹が空くなんて……人間ってすごいなぁ。
はぁぁ〜、お腹減ったぁ。晩御飯はなんなんだろ?
そんなことを考えていたら、病室の扉がコンコンとノックされた。
誰だろ?池田さん達かな?忘れ物でもしたのかな?

「開いてるよ〜。委員長、忘れ物でもしたの?」
「委員長?お前は誰と勘違いをしているんだ?……少し話がある」
 
 こ、この声は……あ、秋山さん?部屋に入ってくるなり扉の鍵を閉める。
なんで閉めるんですか?……まさか?思わず折られていない指を隠す。
僕が美里さんに酷いことを言ったから……こ、殺されるのか?

「裕彦、美里様のことだが……本当にあれでいいのか?」
「………」
「確かに美里様は、やりすぎなところもある。しかし、お前のことを想っているのは間違いない」

 秋山さんの言葉に怒りが湧いてきた。僕のとこを想っている?ならなんで酷い事をするんです!

「……ならなんで階段から突き落としたりしたんですか!なんで平気で指を折らせたりするんです?
おかしいじゃないですか!僕のことが本当に好きなら、なんで酷い事ばかりするんですか!
僕だって美里さんのことは大好きですよ!でも、もうイヤなんです!
オモチャにされるのは、もうゴメンなんですよ!」

 僕の事を想っている?ならなんで階段から突き落としたんだよ!
ふざけるな!なにがやりすぎな所があるだ!おかげで僕は死に掛けたんだぞ!
秋山さんの無責任な言い方に、怒りが爆発した。
だいたいアンタも人の指を平気で折ったりして、おかしいんだよ!
怒りに震える僕をしばらく見つめていた秋山さんが口を開いた。

「裕彦……お前が美里様と別れるというのなら、美里様は見ず知らずの者と結婚させられるだろう。
お前はそれでもいいのか?お前以外の男が、美里様の隣に立って一生を添い遂げる。
好きでもない男に抱かれ、子を作り……お前との思い出にすがりながら生きていく事になるだろう。
お前はそれでもいいのか?」
 
 ……え?な、何を言っているんだ?美里さんが知らない人と結婚する?そ、そんなバカな……
秋山さんの言葉に絶句する。美里さんが知らない男と……結婚する?う、ウソだ!
秋山さんは絶句している僕を見てニヤリと笑い、追い討ちをかけるように話しかけてきた。

「驚いたようだな。しかし安心しろ、そうはさせないさ。
せっかくのチャンスだ、俺がおいしく頂くよ。男に捨てられた女ってのは落としやすいんだ。
まさかこんなに早くチャンスが来るとはな。お前の指を折り、ビビらせていたかいがあるというものだ」

……な?何を言っているんです?秋山さん、チャンスってなんなんです?
落としやすいって、ビビらせていたって……あなたはいったいなにを企んでたんですか!

「おいおい、なにを睨んでいるんだ?お前が捨てた物を俺が拾ってやるだけだろうが。
フッフッフ、お前相手に性技を磨いていたからな、どれだけ出来るのか試すのが楽しみだ。
ありがとうよ、練習台君。お前の分までじっくりと、体の隅々まで頂いてやるさ。はぁ〜っはっは!」

 ま、まさか……まさか秋山さんが?僕達が小さい頃からずっと側にいてくれた、あの秋山さんが!
き、聞き間違いだよね?そうだよ、秋山さんに限ってそんな酷い事を考えるわけがないよ!

「さて…と。お前に一仕事、頼みたい事がある。これから美里様がここに来る。
お前の大好きなカレイの煮付を作ってな。仲直りしたいんだそうだ。
そこでだ。お前は美里様に冷たく接しろ。もう二度と顔も見たくない、声も聞きたくない、とな。
それでお前と美里様の関係も終わりだ。あとは俺が慰めるフリをしておいしく頂いてやる。
くっくっく…ふっはっはっは!これで俺も大金持ちだ!こんなおいしい話、もう二度とないぜ!」

 見たことのないような、欲望にまみれた顔で笑う秋山さん。
秋山さんがこんな人だったなんて…信じられないよ!

「んん?どうした?何か言いたいことでもあるのか?」
「秋山さん、本気で言ってるんですか?もし本気だったら……見損ないました!」
「どうした?お前も美里様と別れたいんだろ?お前が捨てた女を俺が拾うだけだ、文句はあるまい?
それともあれか?やはり西園寺家の金が惜しくなったのか?
安心しろ、俺の頼みを聞いてくれたら、ある程度の分け前はくれてやる」
「秋山さん!さっきから好き勝手に言ってますけど、秋山さんは美里さんのことをどう思っているんですか!」
「どう思ってる、だと?そうだな……いい金づるだ。おまけに今度は俺を億万長者にしてくれる。
あんな乳臭いガキを口説き落とすだけで大金持ちだ、笑いが止まらんぜ。ふぁっはっはっは!」

 下品に笑う秋山を見て、怒りで頭が真っ白になった。
お前、何を言ってるんだ!誰がお前みたいなクズに美里さんを渡すか!美里さんは……
 
「…ざけるな。お前、ふざけるなよ!誰がお前のようなクズに渡すか!
美里さんは僕の女だ!お前のようなヤツに指一本触れさせるか!あれは僕のだ!」
「……ふっふっふ、お前もやはり欲深い男だな、やはり金が欲しくなったのか?
それとも体目当てか?それなら俺が抱いた後に好きなだけ抱かせてや…」
「黙れ!お前が美里さんの名前を口に出すな!あなたがこんな腐ったやつだとは思いもしなかった。
もう二度と僕達の前に現れないでくれ!あなたがいなくても美里さんは…僕が守る!一生守り続ける!」

 こんな人の事を信用してたなんて…自分が情けないよ。
これから美里さんを守るのは…この僕だ!
秋山を睨みつけ、拳を握る。そんな僕を見て満足そうに頷く秋山。
何を頷いている?そう思ったとき、秋山が話しかけてきた。

「裕彦、これが何か覚えているか?
…そう、お前が美里様に告白したあの日、お守りだと偽って渡した盗聴マイクだ」

 ニヤニヤと笑う秋山の手には、確かにあの首飾り型盗聴マイクが握られていた。

「でだ。実は今日、俺一人でここに来たのではない。…美里様も一緒に来られている。
俺に裕彦がまだ怒っているか調べてほしいと言われてな。俺達の会話をこのマイクから聞かれているんだ。
ちなみに今はこの扉の向こうで待たれている。ふふふ、お前はもう少し疑い深くなった方がいい。
今のままでは美里様をお前一人でお守りするなど到底無理だ」

 えっと……どういうこと?秋山さんはいったい何を言ってるの?

「じゃ、俺はこれで帰る。大口を叩いたんだ、一晩ぐらい美里様をお守りしろ。頼んだぞ、裕彦」

 僕の肩をポンポンと叩き、部屋から出て行く秋山さん。
入れ替わりで部屋に入ってきた人がいた。その人は…美里さんだった。

僕の目の前で、涙を流しながら肩を震わせている美里さん。
けど僕は混乱していて、何がなんだかさっぱりだ。なんで美里さんがいるの?
とりあえず、落ち着いて今の状況を整理する事にした。
えっとぉ……まずは秋山さんが美里さんを口説くって言ってきたんだよね?
で、それはお金目当てだって言ってたんだ。
それに怒った僕が、美里さんは渡さない、一生僕が守るって啖呵を切ったんだ。
で、それを秋山さんが持っていた盗聴マイクで、美里さんが聞いているって言ってた。
今その美里さんが、嬉しそうな顔で涙を流しながら目の前に立っている、と。
なるほどなるほど、そうだったのか。………チクショ〜!騙された!また騙されたんだぁぁぁ〜!

「ぐすん、やーくん……やーくん!ゴメンなさいゴメンなさい!」
「ちょ、ちょっとみーちゃん、危ないって…おわ!」

 感極まって、僕に飛び込んできた美里さん。
せっかく作って来たであろうお弁当は床に落ち、ぐしゃぐしゃだ。あぁ…勿体ないなぁ。

「やーくん……あぁ、やーくん!」

 何故か興奮している美里さんが僕の顔にキスの雨を降らしている。
……病院のベッドの上で押し倒されてキスされている。男なら我慢出来ないよね?
徐々に大きくなる僕のどら息子。僕の上に乗り、キスの雨を降らしてる美里さんに当ってしまった。

「あん、やーくんのえっち……こんなに元気にして。あたしももう我慢できそうにないですわ。
……やーくん、今日、屋上の階段でホントの恋人同士になろうと言ってましたわよね?」
「え?う、うん、そう言ったよ。みーちゃん、やっぱり僕達の関係っておかしいと思うんだ。
僕、みーちゃんに気持ちいい事いっぱいしてもらってるけど、痛いこともいっぱいされてるしね。
普通はそんな事しないよ?だからね、僕達も普通の恋人同士に……みーちゃん?どうしたの?」

 何かを思いつめたような顔でベッドを降り、扉に鍵をかけるみーちゃん。
鍵をかけて、振り向いた美里さんは何かを決心したような顔をしていた。

「やーくん……あたしとSEXしたい?」
「え?……ええええ?き、急にどうしたの!いきなり何を言い出すの?」
「やーくん……あたしはずっと前からしたかった。やーくんとSEXしたかった!
けど……嫌われたくない。やーくん、私のこと嫌いにならない?約束してくれますか?」

 そう言って服を脱ぎだす美里さん。……へ?えええええええ〜!
なんでだ?なんでいきなり脱ぎだすんだ?美里さん、いったいどうしたんだ?


 純白の下着を恥ずかしそうに両手で隠し、俯いている美里さん。
ゴクリ……思わず唾を飲み込む。まさか美里さんが自分から脱ぐなんて……これは夢なのかな?

「やーくん……絶対に嫌いにならないと、誓ってくれますか?」
「う、うん!僕がみーちゃんを嫌いになるなんて、絶対にないよ!」

 僕の言葉に何かを決心した顔で頷き、後ろを向いて下着を脱ぎだした。お……おおおおおおお!
こ、これはまさか!ついに!ついにみーちゃんと……SEXできるのかぁぁ!
ブラを外す美里さん。白い、シミ一つない背中がとても綺麗だ。
ショーツを脱いで見えた、引き締まっていて、それでいてとても柔らかそうな綺麗なお尻。
凄いよ……みーちゃん、ホントに綺麗だよ。
全てを脱ぎ去った美里さんは、恥ずかしそうに両手で胸と下半身を隠し、振り向いた。
あぁ……すっごく綺麗だ。まるで神話に出てくる女神様のようだ。
美里さんの美しさに見惚れてしまう。凄いや、すっごく綺麗だ。

「やーくん……絶対に嫌いにならないでくれますね?約束ですよ、絶対ですよ?」

 そう言って胸と下半身を隠していた両手をどける。
僕は思わず唾を飲み込んだ。僕の目は美里さんの隠されていた胸に釘付けになった。
白くて大きくて、毛細血管がうっすらと見えている、とても柔らかそうな胸。
その中心にはピンク色の乳首が可愛く……あれ?

「……やーくん、あたしの体、ヘンですよね?」
「ぜ、全然そんな事ないよ!とっても綺麗だよ!」
「グスン、ゴメンなさい。こんなヘンな胸、やーくんイヤよね?
陰毛も生えてないし…ひっく、何故あたしはこんな体に生まれてきたの?」

 そうだったのか。美里さんが今まで僕に体を触らせてくれなかったのは、これが原因だったんだ。
美里さんは、綺麗な…とても綺麗な体をしてるけど、ちょっとおかしいところが2箇所ある。
白くて大きな胸の中心にある、ピンク色の乳首が隠れているんだ。これが陥没乳首というのかな?
そして下半身にはヘアーが生えていない。いわゆるパイパンってヤツだ。
多分、僕にこの事を知られたくなくて、結婚するまでえっちはしないと言ってたんだ。
予想外の事に、少し固まってしまう。こんなこと想像してなかったよ。

「やーくん、気持ち悪い体でゴメンなさいね。……こんなヘンな体だけど、嫌いにならないで」

 固まる僕を見て、ぽろぽろと涙をこぼし、体を震わせる美里さん。
僕はいったい何をしているんだ!今は驚いてる場合じゃない!美里さんを安心させなきゃ!

「みーちゃん……すっごく綺麗だよ。全然ヘンじゃないよ、あまりにも綺麗だから見惚れちゃったよ」
「……嘘。ヘンな胸だからビックリしてたんですわ。生えていないから気味悪く思っていたんですわ!」
「嘘じゃないよ!その証拠に……」

 ベッドから降りて、泣いている美里さんの前に立つ。
震えてる美里さんの手を取り、僕のどら息子に持っていく。

「どう?僕のここ、美里さんが綺麗すぎて、もう痛いくらいになってるんだ」
「やーくん……やっぱりやーくんはとてもえっちですわ。そんなえっちなやーくんが……大好きです!」

 いきり立った僕の下半身を触り、僕が美里さんを変に思っていないことが分かったみたいだ。

「やーくん……その、だ、抱いてくださいます?あたしの初めて……奪ってくれますか?」
 
 目を潤ませての哀願に、僕は何も言わず脇の下と膝裏に手を回し、美里さんを抱き上げる。
そしてそのままベッドまで運び、そっと寝かせた。

「僕の方こそ奪ってほしいよ。僕の初めて、貰ってくれる?」

 涙をポロポロと流し、頷く美里さん。
僕はそんなカワイイ美里さんに我慢できず、圧し掛かり唇を奪った。

「ん、んん……あん!ダ、ダメ!やーくん、そんなに揉んじゃダメです…んん!」

 うるさい口をキスで塞ぐ。その間も胸を揉み解す。
あぁ……夢にまで見た、美里さんの胸を揉んでいるんだ。
唇から首筋、耳、鎖骨へと舌を移動させてから、胸の谷間に顔を埋める。
美里さんは僕の唇が触れるたび、舌が這うたびに体をくねらせ甘い声をあげる。

「はぁ、んあ!や、やーく……んん!そんなえっちな…んん!」

 胸の感触を顔で楽しみながら、両手親指で埋まっている乳首をグリグリと刺激しする。
埋まってる乳首ってどうすれば出てくるんだろ?……そうだ!

「みーちゃん、すっごく柔らかいよ。気持ちいいよ、ずっと顔を埋めていたいよ。
みーちゃんの白い胸、とっても美味しそうだね。……いただきます」

 ちゅ…ちゅるちゅちゅちゅ…ちゅちゅ!

 埋まっている胸の先端を口に含み、ちゅうちゅう吸い出す。もちろん胸を揉みながらだ。

「あ、ああ!やーくん!それ気持ちいい!気持ちいいですわ!」

 よほど気持ちいいのか、僕の顔をギュッと抱きしめ喘いでいる。
しばらくすると、口の中で何かがぴょこりと飛び出してきた。
よしよし、やっと出てきたね?この恥ずかしがり屋め!
出てきた乳首をちゅうちゅう吸いながら、軽く噛む。
その度にビクン!ビクン!と痙攣する美里さん。気持ちいいのかな?

「は、はあぁ〜、やーくん……やーくん!やーくん!」

 よし、こっちは完全に出てきたな。次は逆の胸だ!
出てきた乳首を親指と人差し指で弄りながら反対の胸を口に含む。
同じく吸い付き、胸をも揉みくだす。

「はぁはぁはぁ……やーくん、凄い、自分でするよりずっと気持ちい……んんん!」

 よしよし、こっちの乳首も出てきたぞ。こちらも同じく軽く噛み、反対の方は指で優しくマッサージする。

「みーちゃん、こんなに乳首立ってるよ。胸を吸われるのって気持ちいいんだ?」
「い、いい!やーくん、気持ちいいの!凄くいいの!」
「みーちゃんってすっごくえっちだね。僕にえっちとかいろいろ言ってたけど……ここもこんなにして。
ほら、聞こえる?ぐちゅぐちゅいってるよ?凄くえっちなみーちゃん、大好きだよ」 

 胸を吸われることに夢中な美里さんの隙をつき、何も生えていないアソコに手を這わす。
すでにそこはぬるぬると湿っており、指を動かすだけでぐちゅぐちゅと滑った音がしている。

「や、やぁぁ〜!……やーくん苛めないで。んん!そ、そこ少しキツイ…あ、んん!ダメ!強すぎる!」

 調子に乗って動かしていた手を払い除け、一度体を離す美里さん。強くしすぎたのかな?
美里さんは息荒く、胸とアソコに手を当ててキッと睨んできた。



「やーくんのバカ!えっち!ヘンタイ!……初めてなんですから優しくしてほしいですわ」
「ご、ゴメンね?嬉しくて、つい調子に乗っちゃった」
「ヘンタイなやーくんにはお仕置きですわ。やーくん、寝転がってもらえます?」

 ……どうしよう?美里さんをもっと苛めてみたいけど、調子に乗りすぎたらヒドイ目に遭いそうだ。
ここは美里さんの言う通りにしたほうが無難かな?
言われるがままにベッドに寝転ぶ事にした。僕が寝転ぶと、嬉しそうに服を脱がしてくれる美里さん。

「……えっちなやーくんはお仕置きですわ。やーくん、いっぱい濡れてますわ。あたしと一緒ですね」

 僕を全裸にして、亀頭から零れてる我慢汁を指ですくい、目の前で糸を引かせる美里さん。
そしてその指を咥え、綺麗に舐め取る。いやらしい……美里さん、すっごくえっちだよ!

「こっちも綺麗にしましょうね?……苛めてくれたお返しですわ」

 ペロリと僕の先っぽを舐めて微笑む美里さん。
おおお、すっごく気持ちいいんだけど……ちょっと待ったぁ!

「みーちゃん待って!みーちゃんばっかりするのはズルイ!僕もしたいよ。だからね、こうしようよ」

 僕の提案に真っ赤な顔になり、首を横に振る美里さん。
それから5分、必死の説得によりやっと首を縦に振った。
よぉし!これで夢に見た……シックスナインが出来るぞ!

「こ、これでいいんですの?どこでこんなヘンタイなことを知ったんですの?……ヘンタイさんですわ」

 僕の顔を跨ぎ、上に乗る美里さん。何も生えてないアソコが丸見えだ。
美里さんはかなり恥ずかしいのか、ヘンタイヘンタイと呟いている。
そんな呟きを無視してジックリと観察する。……ホントに綺麗だ、美しいよ。

「あぁ……みーちゃんのここ、すっごく綺麗だ。ヌルヌルしててとてもイヤらしいよ」
「…な?こらぁ!そんなヘンタイな事言っちゃダメで…ふぁぁ?
ちょ、ちょっとやーくん!急にそんな……んんん!」

 我慢できずに目の前にある、何も生えてない綺麗な割れ目に舌を這わす。
そこはもうヌルヌルと滑っており、愛液が溢れていた。
ペロ、ちゅちゅ、レロレロ……愛液を舌で掬い上げ、ゴクリと飲み込む。
ちょっと舌に残るような酸味。これが美里さんの味なんだ。
初めて味わう美里さんの味。嬉しくなってさらにペロペロと舐める。
僕の攻めに美里さんは僕のどら息子を咥える事が出来ないみたいだ。

「あ、はぁん!や……ダメ!やーくん、そこダメ、気持ちいい!そんなにされたらおかしく……ふあぁぁ!」

 うっぷ?ちょ、ちょっと苦しい!美里さん、顔を挟まないで!
太ももでギュギュギュっと顔を挟んできた美里さん。しばらくしたら力が抜けて、どうにか抜け出せた。

「みーちゃん急に顔を挟むなんて酷い……どうしたの?みーちゃん大丈夫?」

 美里さん、ぐったりとして、肩で息をしている。顔も赤いし、いったいどうしたんだ?

「大丈夫?みーちゃん、いったいどうしたの?体の調子悪いの?」
「…くも、よくも好き勝手にペロペロとしてくれましたわね?
はしたなくイカせてくれたお返し、たっぷりとしてあげますわ!」

 急に起きたかと思うと僕に馬乗りになり、肩を震わせている。……へ?イカせてくれた?
あああ!もしかして美里さん、イッちゃったんだ?僕が美里さんをイカせたんだ!


真っ赤な顔で拳を握り、肩を震わせながら馬乗りになっている美里さん。
けど体は少しふらふらとしており、怒っているはずのその表情は少し色っぽい。

「みーちゃんもしかして……イッちゃったんだ?そんなに気持ちよかったの?」
「な?何を言ってるんですの、このヘンタイ!そんなヘンタイやーくんは……大好きですわ。
ねぇやーくん。先ほど秋山に言った言葉、もう一度言ってくれませんか?」
「何度でも言うよ。美里さんは僕が守る。僕が一生守る!守り続けるよ!」

 ヘンタイヘンタイと怒っていたはずの美里さんは、僕の言葉に急に大人しくなった。
ぽろぽろと涙を零し、僕に微笑みかけてきた。

「やーくん、ありがとう。いっぱい痛い事してきたのに、守ってくれると言ってくれるなんて…愛してます。
やーくん、あたしの初めてを受け取って……奪ってください」

 少し腰を浮かし、そして僕のどら息子に手を添える美里さん。
いよいよなんだ。ついに美里さんと……一つになれるんだ!

「みーちゃん……僕の方こそお礼を言わなきゃいけないよ。
何のとりえもない、平凡な僕なんかを好きになってくれて、ありがとう。
僕の初めての……最初で最後の人になってもらえる……うぅぅ。みーちゃん!」

 ぬちゅ……僕の言葉を聞いた美里さんが腰を落とす。その瞬間、滑った音が聞こえた。
次の瞬間には、ズブズブズブズブ…と、肉の壁を突き破るような感触が下半身を刺激する。
美里さんは唇をかみ締め、ゆっくりと腰を下ろしている。
美里さんの中を突き進む下半身が、なにかゴムのような物にぶち当たった。
そこで一度動きを止め、目を瞑り、呼吸を整える美里さん。その次の瞬間……一気に腰を落としてきた! 

 『ブチン』
 
 なにかゴムのようなものを引き千切ったような感触。そして、下半身に伝ってきた生暖かい液体。
よく見てみると、美里さんとの結合部から、真っ赤な血が流れ出ている。
ついに…ついに美里さんと一つになれたんだ。美里さんとSEXしてるんだ!
僕の下半身が一番奥に当った時、美里さんは動くのを止め、抱きついてきた。


僕を一番奥まで受け入れてくれてた美里さん。
よっぽど痛いのか、涙を流しながら抱きついてきた。

「いったぁ……やーくん、あぁ、やーくん!好き、大好きですわ!」
「みーちゃん、ついに僕達一つになれたんだね。……ありがとう、愛してるよ」
「やーくん……やーくんやーくん!愛してます!愛してますわぁ!」

 初めてでよほど痛いのか、ぽろぽろと涙を零す美里さん。
そんな美里さんを下から抱きしめキスをする。
その瞬間、美里さんがまるで違う生き物のように締め付けてきた。
柔らかく、それでいて温かい肉の壁が一斉に僕を締め付ける。
ギュギュギュギュギュ!そんな音が聞こえてくるみたいな締め付け。
初めての僕がそんな攻撃に耐えられる事もなく……うううう!みーちゃん!

「ゴメンみーちゃん!僕もう出る!……くぅ!うううう!」

 『ドピュドピュドピュピュ!ドクン!ドクドク……ドク』

 一度も動く事すら出来ずに果ててしまった僕。はぁぁぁ〜すごかったぁ、これがSEXかぁ。
美里さんの中に全てを吐き出してしまった。そんな僕をまだ締め付けてくる美里さん。
凄いな、まるで僕を食いちぎるみたい…イテテテ、美里さん?僕、もうイッちゃいまし……いってぇぇ〜!

「み、みーちゃん痛い!痛いよみーちゃん!」
「やーくん、やーくん大好き!好きですわ、やーくん!」

 美里さんは僕に抱きつき、キスをするのに夢中だ。その間にも僕のどら息子は生命の危機に陥っている。
どら息子の根元を凄い力で締め付けてくる。
あまりの締め付けで動く事すら出来ない僕。ていうかメチャクチャ痛い!

「痛い!イタイイタイ!イタタタタ〜!みーちゃん痛いよぉぉ!」
「クス、やーくんも痛いんですね。あたしも痛いからおあいこですわね。
ねぇやーくん、もう少しこうして、一つになっていていいですか?やーくんを感じていたいんですの」
「痛い!千切れる!もげちゃうよ!お願いだからみーちゃん、抜いてぇ!」
「んな?ちょっとやーくん、それはないんじゃありませんの?
せっかく結ばれたというのに……酷いですわ!」

 プイッ!っと僕から顔を逸らす美里さん。
あぁ……今日でどら息子ともサヨナラなのかな?
最後に活躍できてよかったね。今までありがとう……さようなら。

 痛さのあまり薄れいく意識の中で別れを告げる。お前とこんな別れ方をするなんて思いもしなかったよ。


「あっおばく〜ん、生きてる〜?」
 
 入院2日目、差し入れのマンガを読んでいたら、元気な池田さんが病室に入ってきた。
池田さんは授業を写したノートを持ってきてくれる。さすがは委員長、こういうところは優しいんだよね。

「生きてるよ〜。委員長ありがとう、ホント助かるよ」
「そんなの気にしなくていいよ。それよりさ、なんで入院伸びちゃったのかな?
確か検査入院の1日だけでよかったんじゃなかったのかな?」
「……大人の事情ってのがあるんだよ。残念だけどね」
「ふ〜ん、ま、いいけどね。それよりさ、練習相手になってくれないかな?」

 ……ええええ?れ、練習相手だって?

「や、ヤダよ!僕には美里さんって心に決めた人がいるんだ!裏切ることなんて出来やしないよ!」
「……は?なに言ってるのかな?やっぱり頭を打っておかしくなったんだね。
もう少し入院してたほうがいいよ、お医者さんはさすがだねぇ」

 うんうんと頷く委員長。え?だって池田さんが練習相手になってほしいって言ってきたんだよね?

「え?でも委員長、練習相手になってほしいって言ってたじゃないか?」
「そうだよ。この間さ、かなちゃんにスピニングチョークってのやられたの。
でさ、悔しいからお返ししようかなって考えてるんだよ。誰かいい相手、知らないかな?」

 スピニングチョーク?それってなんなんだろ?ま、いいや。えっちなことじゃなさそうだ。

「それだったらさ、秋山さんなんてどうかな?あの人ああ見えて結構いい人だし、付き合ってくれると思うよ?」
「ふ〜ん、あのボディガードさんねぇ…ま、いっか。じゃ、今度あの人借りるね?
っていうか西園寺先輩のお付の人だよね?勝手に借りても大丈夫なのかな?」
「美里さんには僕から言っておくよ。……あの人の困った顔も見てみたいしね」
「んん?今何か企んでなかった?ま、いっか。じゃ、今度借りるから先輩によろしくね」

 言うことを言って慌しく帰っていく池田さん。
ふぅ〜、池田さんが来たということは…そろそろかな?時計を見ると午後5時になろうとしていた。
窓の外を見てみる。敷地内に大きなリムジンが入ってきた。よし!やっと来てくれた!
昨日はドタバタしてて、あの後ちゃんと話せなかったからね。

 あの時……みーちゃんと初めてのSEX、まさかのアクシデントが起こったんだ。
都市伝説だとばかり思っていたよ、まさか自分の身に降りかかるなんて……膣痙攣。
そう、あの時美里さんは感極まったせいか、膣痙攣を起こしたんだ。ここが病院で助かったよ。
どうにかお医者さんを呼んで、注射を打ってもらい収まったんだ。ま、かなりのお説教をされたけどね。
念のためもう一日入院する事になったし……すっごく恥ずかしかったよ。
おかげでどら息子はまだ痛いし、しばらくはえっち禁止って言われちゃった。
けど、そんなことはどうでもいいんだ。最愛の人と分かり合えたんだからね!
早く美里さん来ないかなぁ……待ち遠しいよ。早く話したいよ。抱きしめたいよ。

 
 練習相手になってほしい。美里さんからのそんなお願いから始まった僕達の関係。
けどその役目も、もう終わった。これからは練習ではなくて、全てが本番だ。
美里さん……西園寺美里との思い出作りはこれからが本番なんだ。
僕は愛する愛しい恋人が、病室のドアを開け、満面の笑みで入ってくることを想像し、頬を緩ませる。
その時ドアがノックされ、開かれる。もちろんそこにいたのは最愛の人だ。

 さぁ美里さん、僕達の恋人生活……いや、僕達二人の人生の物語、本番を始めましょうか!

 僕は満面の笑みで愛する人を抱きしめて、二人のこれからを想い、唇を奪った。


                              
                     練習相手  完