「おはようございます。」
「おはようございます、お客様。」
 端正だが朗らかな声がして、目が覚めたが、
ここがどこだかすぐにはわからずに、「ああ」と生返事をした。

 声の主はベッドのそばまでしずしずと歩み寄ってくる音がして、
「失礼いたします。」と透明感のある声の主が、
ブワサッという音でスカートの裾を翻させて、俺の視野は暗くなった。
 唇にぬめったものが押し付けられて、ついで、やや持ち上げられて隙間ができた。
軽く柔らかな椎茸の傘の縁みたいなものが、俺の唇と鼻の頭を撫でるように塞ぐように
濡らしている。

 風呂あがりのような清潔なにおいにかすかにすっぱい匂いが混じる。
 鼻の頭には、より薄い襞が一方で集まっているようなところが、
押し付けられては、隙間があけられ、わざとそういう動きで動いていることがわかる。
離れてもしまわないし、窒息してしまうこともない。
つい、プハーと息をかけてしまうこともある。

 鼻と唇の上を、頭の方にずれ顎の方にずれ、手前から向こうへの単調な往復運動と、
上下に細やかに近づいたり離れたりする動きが組み合わされ、
時折、俺の両頬を、すべすべしたきめ細かい肌が撫でる。

 段々目がなれてくると、薄い陰毛を伴うほの白くうつるぷっくりした下腹部と、
形の整ったかわいらしく縦長にくぼんだ臍が見える。
 黒っぽいスカートの中にすっぽり頭をかぶせられていると思った。
膝立ちで、両股で頬を挟んで、下着を着けていない股間を、俺の口にこすりつけている形だ。

 頭の上から、このタイミングで自己紹介の声が降ってくる。
「まりあと申します。宜しくお願いします。」

 一方「失礼します。」とやや高い張りのある声が遠くから聞こえた。

 足元の毛布が取り払われて、俺の太ももが、肌寒い空気にさらされた。
この状況では、まりあって人のスカートの中以外は、見えない。
太ももに挟まれた耳は、衣擦れを聞き取ったり、
どういう動作をしているか判断するための細やかな音は、聞き取ることはできない。
足元で、もう一人の声の主が、俺の足元がわで何をどうしようとしているかはわからない。
ただ、朝立ちしている陰茎の根元が人の指でつままれたことは解った。
「恒例の朝の御奉仕をさせていただきます。」

 一旦空気にさらされた陰茎と両脚の付け根、そして俺の太ももが、
薄そうな布に覆われる感じになる。
布が起こす風のような動きを感じたその次には、
亀頭に、発熱した人間の肌のような熱いものが当たる感じがする。

 高い目の張りのある声の主が緊張した声調で「お願いいたします。」と言う。
最初は先端だけが、熱く、亀頭のふち、雁のところにはかぶさる感じ、
それと同時に温かみが伝わってくる。
しっかりと二本の指で、陰茎の付け根の腹側と肛門側がつままれて、
角度が合わされているらしいことを感じる。
指の細かい調節で、陰茎の向きを手前に向けたり
足の方に向けられていることがわかる。
かなり足元向きにされたところで、
亀頭に重みがかかってくる感じがして、
にゅるっと雁がくるまれる。

 くるんだものごと陰茎が、手前向けにされ、
そのまま陰茎の表皮がぬるぬると湿ったものに包まれた感触になる。
付け根側にざらざらを感じたりしないので、
やはり、肉鞘をかぶせてくれているようだ。

 腹側に傾いた角度の陰茎を肉鞘がくるんでいる。
くるんでいる肉鞘、その周り、そして肉鞘の上から
重しがかかるように、体重が感じられる。
 肉鞘と一塊になった温かみが、降りてくるにつれ、足側にずれながら、
しゅるるると付け根まで含んでくる。
 そして、毛のまばらに生えた温かい壁が、俺の陰茎の左右の付け根に密着し、
すべすべとした皮膚を鼡径に感じたかと思うと、
陰茎の手前の付け根の固い骨に、
くにゅっとしたやわらかいものの集団が押し付けられ、
さらにその奥の固い骨とが押し付けられてきた。
しばらくは、根元まで収まって密着した感覚を味わうようにじっとしていた。
遠くの方から、また、挨拶の声がかかる。「えみりと申します。宜しくお願いします。」

 加わる力で弾力のある動きをする陰茎を、みそすり運動のように、
頭側、俺の左側、足側、俺の右側、そして頭側と、
上下逆さの円錐の軌跡を描くように動かさせてきた。
 密着している皮膚を石臼のように円を描いてこすりつけるような動き。
 時折、抜けそうになると、その位置で停止して、
入り口をきゅっと締め付ける動作をしてきた。
 時計回り、反時計回り。そして、頭方向から足方向への往復運動。
ゆったりした動きにときおり細かく速い動きを混ぜて動く。
沢山の液体で湿ったり、動いているうちにだんだん乾いたりする。

 だけど、気に入られているとか好意をもたれている感じが、
陰茎の中ほどの表皮から感じ取れる。
動きでいとおしまれている妄想がわく。

 そして、そおっと密着している温かい肉塊が持ち上がり、
肉鞘もすべるように半ばまで抜けていく、
と思うと、決心したかのように、重力に任せて落ちてくる。
 陰茎をレールのようにして。また臼の回転をしたかと思うと、
持ち上がって抜けかけては、落ちてくる。
 最初は腹の方角に傾いている陰茎に沿って、
持ち上がり落ちてきていたが、
だんだんスピードとサイクルが速くなってくるにつれて、
ほとんど真上やや足の方角の角度に無理やり陰茎が沿わされて、
肉鞘の持つ角度に支配されてすべるように出入りするようになってくる。

 一、二、三、四、今や、一連の往復運動として、肉鞘と陰茎がすべる。
太ももや腰の前面に布の運動が巻き起こす風と、布そのもののずれる動きが感じられる。
陰茎本来の軸とは違う角度に翻弄されながら、リズムを刻んで往復摩擦運動が行われる。
黒いスカートと女陰に包まれて、目隠しされているのと同じ効果で、
感覚の窓口は、鼻面を塞ぐま●こ臭、唇に塗りつけられる愛液、
そして一物のつけ根に頭方向脚方向右左右左時計回り反時計回りと加わる力、
上下上下浅浅ぐいぐい深深つかえるつかえるぬけそうぬけそう
しめつけぬるぬるの陰茎に限られた状態だ。

 ここがどこで誰が何の理由で俺をま●こ浸けにしているのかが謎だが、
彼女たちは主観的には俺に奉仕しているらしい。
息づかいはよくわからないが、長いままたくし上げもしていないスカートが
顔をくるみ、腰をくるみ、別々のリズムでばさばさという。
息苦しい。ときどき鼻を塞ぐま●こが離陸してはタッチアンドゴーさながらに着陸。
前後に動きながら鼻と口をふさいではずれてねじくっては浮き上がる。
今や俺は人間社会との接点は、鼻口とま●こ、陰茎とま●こにしかない。
ああ、俺は人の考えをもちながら、ま●こに奉仕する存在でしかない。
ここは地獄なのか天国なのか極楽なのか・・・・
満ちる潮あれば引く潮あり、こちらの限界を熟知するかのように、
締めつけてはゆるみ、動いては休み、ウレタンか何かの自慰用器械になった気分だ。
ふぐりが玉ごとつり上がってくるのが分かる。
口を塞ぐま●こを吹き震わせてはブレス。酸欠と興奮と疲労でそろそろ限界が迫る。
動きで悟ったか、腰の上では尻タブが激しい動きで鼠径に衝突運動くりかえし、
合間に恥骨結合のなすりつけ、陰毛どうしのじゃらじゃらもつれあい、
そして締めつけ、上下運動と、俺の尻の内側の筋肉と括約筋が力入りっぱなし。
あ、これだともう、いいのか、いいのか、中出しだぞ。あ、あは、ああああ。
繰り返すけいれん、俺が腰だけの生き物になった感じ。どぷ、ぷ、どぷどぷ。

突然黒いスカートの中を白い脚がひらめき、視界が明るくなり、
腰に乗っていた重量も去ってしまう。ベッドサイドに、まりあと名乗った眼鏡の娘、
えみりと名乗ったあほ毛がひっつめの髪からはねている娘、二人とも黒のワンピース
にエプロンドレス、頭には白いフリルの縁どりの帽子、いわゆる絵に書いたような
メイドさんの姿で二人ならんでお辞儀した。
「おそまつさまでした」
二人してくるっと振り替えると、ささっと部屋を出て行ってしまった。
は、と気づいて誰もいないドアに向かって言ってしまった。
「ぱんつはいてないぞ、おまえら」