ある地方には特殊な風習がある。
古来から祀られている小さな祠があるのだが、
神への捧げ物として、健康な男を新月と満月のたびに遣わさねばならないのだ。
…と言っても命を失うわけではない。
一晩、祠の中にいて眠るだけ。ただそれだけだった。
ただし、その男は暫く禁欲をしていなければならない。
これを破ると数年の間、この地に子が産まれなくなるよう呪われるのだという。
月の満ち欠けに合わせ、順番に男がその祠に赴く。
いつしか、それがこの村の不文律になっていた。
それは年号が平成になった今でも、続いているのだ。
そして次の満月は、先日14になったばかりの少年、テツの番だった。
祠へ遣わされるのは大人の男の証。
少し興奮しながら、彼は家族に見送られて、祠に入っていった。
人が二人くらいしか入れなさそうな、小さい部屋。
木造だが中は傷んでおらず、埃一つ無い。
耳鳴りがしそうなくらいに静かで、少し寒気がする。
備え付けてある布団を敷いて、テツは大人たちに言われた通り、眠りに就いた。
誰かの気配がして、テツは目を覚ました。
月明かりの中、長い髪の女性がじっと自分を見つめている。
古めかしい着物を着ているようだ。
目を覚ましたのに気付いたのか、女性は手を伸ばしてくる。
人の肌と思えぬほどに白く、細い。
頬を撫でられて、テツは背筋にぞくりとした刺激が走った。
だが、体はピクリとも動かなかった。金縛りにでも掛かってしまったかのように。
女性は掛け布団をゆっくりと剥ぎ、テツの衣服を脱がせていく。
体がテツの意思とは無関係に、服を脱がせやすいように動いてしまうのだ。
テツはままならぬこの状況に怯えた。自分はどうなってしまうのか。
何かいけないことをしたから、神様に罰せられてしまうのだろうか。
そんな心の内を読み取ったかのように、女性が囁いた。
━━怖がらなくとも大丈夫、貴方の精を頂くだけ。
せい? ってなに?
テツがそう疑問に思うと、女性は柔らかく微笑んで、テツの陰茎をゆっくりと撫でた。
━━ここから、貴方の精を…もしかしてあなた…?
テツは夢精も含め、まだ射精経験が無かった。
田舎の村は都会と違い、異性の刺激は極めて少なく、
テツには保健の授業程度の知識しかない。
精ってもしかして精子のことだろうか、くらいしかわからなかった。
得心した女性は、テツに覆いかぶさり囁いた。
━━わかりました。今宵は貴方に、殿方と女人との交わりを、教えて差し上げます。
女性はテツに跨ると、乳房を見せ付けるように、上半身だけ器用に着物を脱いでいく。
着物の中から現れる白い肌に、テツは興奮していた。
首筋から流れるように滑らかな弧を描いて乳房へ。
芸術のような裸体だった。
髪を後ろにかき上げるとその動きに連動して乳房が大きく揺れる。
テツは美しくも淫らな乳房の動きにただ見蕩れていた。
━━これが、殿方が欲して止まぬ女人の乳房。貴方はどうですか?
柔らかそう、触ってみたい。
テツが素直にそう思うと、途端に両手が自由になった。
━━さあ、触れてごらんなさい。
言われるがまま、乳房に手を伸ばす。
こんなにも、柔らかくてあったかい。
テツは初めて触れた乳房に感動していた。
乳房をぎゅっと揉むと、女性が声を上げた。
━━そう、そうやって、優しく触れたり、撫でたりするの。
テツは興奮して何度も乳房を揉んでいた。何度揉んでも飽きない。
それどころか、ますます揉んでいたくなる。
乳首や乳輪がさっきよりも大きくなっている。
きれいな桃色のそこをさすってみた。
女性がのけぞって、喘いだ。
━━そう、そうやって、優しく、こねて。とても気持ちがいいの。
こんな小さな乳首に触れるだけで、女性が反応して変な声をあげている。
その声を聞くと、テツはおかしな気持ちになってくるのだ。
全身が火照って熱くなる。もっと、この女性の声を聞きたくなる。
下腹部が特に熱い。陰茎がおかしいくらいに硬くなっていた。
女性はその硬い陰茎に指を当てた。
ぞくっという、不思議な刺激がする。
━━貴方も、淫らな気持ちが昂ぶっているのですね。
淫ら…エッチなことだろうか。
━━そう。殿方は女人に触れ、淫らな気持ちが昂ぶると、こうして陰茎が硬くそそり立ちます。
女性はそう言いながら、ゆっくりと包皮を剥いていく。
仮性包茎なので痛みこそ無かったが、今まで体験したことのないような刺激が襲う。
亀頭の部分を、触れるか触れないか、くすぐるように指で愛撫すると。
テツは悶絶した。
亀頭から陰茎を通って、腰の辺りが痺れたようになってしまうのだ。
━━こうして殿方の鼠蹊部を刺激し続けると、やがて精を迸らせます。…ですが。
指の動きが止まる。
刺激が中断され、刺激を求めて腰が動いてしまう。
━━何故殿方のここがこのようにそそり立つのか。それは、
女性は腰周りに未だ着ている着物を脱ぎ去った。
美しい臀部、白く長い足、そして、薄く黒い茂みが、テツの目を釘付けにする。
テツの顔に跨るようにして、女性は秘所を見せ付けた。
つ、と静かな音をたてて、そこから露が顔に滴り落ちた。
━━どうですか? 濡れていますか?
テツは頭が興奮でおかしくなりそうになりながら、頷いていた。
女性のはしたない場所を。いつもは下着で厳重に隠しているそこを、
いやらしく見せ付けてくるのだ。
微かにひくついている。綺麗な桃色が露に濡れ、たまらなく卑猥なのだ。
ただ眺めているだけで、陰茎がびくん、びくんと律動してしまう。
女性はさらに、指でそこを広げて中を見せ付けてくる。
━━ここで殿方の昂ぶりを受け入れます。その為に、殿方は硬くなり、女人は濡れるのです。
鼻血を吹きそうなくらいに、頭に血が上る。
いやらしく見せ付けられて。
露が溢れ、白い足をつたっていく。
秘所の中が、それ自体生きているようにひくついて蠢いている。
甘く芳しい匂いがする。何度も嗅いでいたくなるような、不思議な匂いなのだ。
テツは、フェロモン、という単語が頭に浮かんだ。
この匂いはフェロモンだ。男を惹きつけて止まない、淫らな女の匂い。
自然と、テツは女性のそこに吸い付いた。
━━あっ、いけません、あぁっ
女性が悩ましい声を上げる。しかしその声も、テツにとっては欲望の後押しにしかならない。
やはり露がフェロモンの元だった。微かに甘く、これで男を虜にするのだ。
音を立てて啜ると、女性は頭を振って激しく喘いだ。
声では制止しているが、女性は秘所をテツに押し付けるようにしている。
━━ああ、気持ちいい…
気持ちいい。そうか。さっきの、自分の陰茎への刺激も、この女性のこの感触も。
「気持ちいい」っていう感触なんだ。妙にしっくりきた。
女性の秘所の上の辺りに、豆のような突起があった。
テツは本能的に、ここは乳首同様敏感なのでは、と勘を働かせ、
舌で陰核を舐め上げた。
ザラザラとした感触が女性の急所を強烈に刺激して、女性は昂ぶりの頂点に
一気に押し上げられてしまう。
体を波打たせ、女性はテツに跨ったまま、気を遣りそうになってしまう。
女性は力を入れてテツを秘所から引き剥がすと、顔からテツの腰の辺りまでずり下がった。
そして息を荒げながら、女性が秘所に、陰茎をあてがった。
━━もう十分に昂ぶらせて頂きました。ですから…
そして、ゆっくりと、怒張するそれを飲み込んでいった。
━━これが、男女の交わり、です…
ぐちゃ、ぐちゅと粘液の絡み合う音。
テツは女人の秘所の感触に悶絶した。
そして、テツの勃起を絞り上げるような襞の動きに、腰の奥がおかしいくらいに熱くなる。
陰嚢がせりあがり、テツの初めての射精に備えるように動く。
そして、女性の秘所にすべて呑みこまれ、絞り上げられて。テツは精通を迎えたのだった。
精を放つたび、陰茎から全身に快楽が巡る。
二度、三度、四度と、堰をきったように精が女性の奥深くに注がれていく。
テツは、精を注ぐ悦びと、女性の満たされたような淫らな微笑みと、
そして精通の圧倒的なまでの気持ちよさに。
体全体が性の快楽に打ち震えていた。
━━いかがでしたか?これが、男女の交わりです。
満足したように、テツは、最高に気持ちよかった、と答える。
だが、女性は。
━━ですが、もっと深い快楽があるのですよ。
まだ夜は長いです、一緒に愉しみましょう?
淫らにそう囁き、テツはこれ以上の快楽という響きに、ただ頷いていた…