「あー、君だったんだ。だから言ったでしょ、無茶しちゃ駄目だって!」
初対面の筈の看護婦にいきなりしかりつけられて佐藤 淳は面くらった。

高校の入学式を来週に控えた淳は、スノボー中の事故で旅行先の病院に足止めをくらっている。一緒に来た友達は、とっくに帰ってしまって、
近くのホテルから看病に来てくれる母親を除けば、このあたりに淳の知り合いはいない筈だった。

今日の看護婦は、昨日までのおばさんではなく、若い女の人だ。状況がのみこめないまま、淳は思わずまじまじと彼女の顔を覗きこんでしまう。
すい込まれそうな黒い瞳が印象的な女性だ。
口調と裏腹に、目は微笑んでいた。

「あっ」
この笑顔には覚えがあった。
淳は、この人には前にもあった事がある。スキー場で一緒に転んでしまった時、二言三言交しただけだが、美人と話せてラッキーと思ったのを覚えていた。むこうもどうやら淳の事を覚えていたらしい。


「それじゃあ淳君、私の事は美咲って呼んでね。」
彼女はそういいながら、ベッド周りのカーテンを引いていく。
淳の入院している部屋は相部屋なので、体をふいてもらったりする時はカーテンを引く。つまり、これから淳はこの美人のお姉さんに、ふたりっきりで体をふいてもらうという事だ。淳の中でちょっと楽しげな期待がふくらんでいった。

「さ、上半身起して。はいはい、さっさと脱ぐ。」
淳の期待を他所に、美咲はテキパキと作業を進めていく。

「それにしても肌すべすべね。顔もカワイイし。私、淳君みたいな弟が欲かったわ」
軽口を叩きながらも、美咲は手早く準備を整えたようだ。カワイイと言われてやや複雑な気分の淳だが、美咲に世話をしてもらえて上機嫌だった。

「あ、ごめん、くすぐったかった?」
美咲の細い指先が触れるたび、むずむずとした感触に襲われ淳は思わず身をよじってしまう。それを気付かれないように、精一杯の努力を続けるが、美咲はその様子をからかってくる。
「その感じてる姿がそそるわぁ。ねえ淳君、本当に私の弟にならない?」
この人は弟相手に何をするつもりなんだろうか?



しかし、その一方で淳の体の一部はもっと気付かれてはならない事になっていた。

(まずい、まずいよ…)

スキー場では気付かなかったが、美咲は意外にグラマーだ。薄いピンク色のナース服をしっかりと押し上げている胸のふくらみにどうしても目がいってしまう。さっき、体をささえてもらった時にちょっとだけ触ったような…美咲に体をふかれながら、ついつい淳はそんな事を考えてしまう。

(このままでは…)

淳は、次第に自分の体の一部が急速に固くなっている事に気付いていた。
どうにかして美咲に下半身を隠そうと、淳は虚しく身をよじった。

「…それで、私もすっかり慌てちゃって…」
スキー場での事を話ながらも、テキパキと淳の体を拭いていた美咲の手がふっと止まる。

(終った…)

その視線がどこに向けられているかに気付いた時、淳の目の前が真っ暗になった。
「ぁ、あの…」
絞り出す様な声で言い分けをしようとする淳を、冷い声がさえぎった



「佐藤君」
その声が淳の心臓をしめつける
「佐藤君が、私の事そんないやらしい目で見てたなんてショックだわ」
うなだれる淳は目をあける事ができない。

「そうやって黙ってればいいと思ってるの?」
「……」
淳は返す言葉もない。
「こっちを見なさい」

しかたなく、淳が涙まじりの視線を向けると、いたずらっぽい笑顔の美咲と目があった。
「いいって、いいって。こんなの私は別に気にしないし。ほら、そんな顔しないの」
安堵のあまり、大きな溜息をつく淳。
しかし、美咲は返す刀で切りつける。
「でも、私が淳君の立場だったらかなり恥しいと思うわ」
「うっ」

「女性の前でこんな姿をさらして。あまつさえ半べそかいちゃうなんて、一生のトラウマになっちゃうかも」
他人事のようにつぶやきながら、敏感な部分を指先でつんつんする美咲。

(ひどい言われようだよ…)

そう思っても淳は何も言いかえせない。それどころか、きれいな爪の指先で刺激され、痺れるような甘い感触に、目をあけていられない。
「ねぇ、トラウマにならないおまじない、してあげよっか?」


ささやくように言葉を紡ぐ美咲。
淳は思わず美咲の顔をまじまじと凝視めてしまう。ごくりと喉がなる。
それを見た美咲は、ただ黙って目を細めてみせた。

美咲は少し腰を浮かせるよう淳を促し、パジャマのズボンと下着をずらしていく。そのまま屈みこんで、露になった淳のペニスを息がかかりそうなほど近くから凝視めた。

(見てる…美咲さんが僕のを見てるよ…)

淳は恥かしさに声を出す事もできず、美咲の顔と自分自身を交互に見るしかなかった。そんな淳に軽く頷いてみせると、美咲はいきり立つそれをそっと右手で包みこんだ。

美咲のやわらかい掌が淳の幹を上下にゆっくりこすりはじめる。
カリ首の下の皮が指で伸ばされ縮められる
敏感な先端部が指先で撫でられる感触

淳は、今まで味わった事のないふわふわした感覚に浸りながら、うっとりと目の前のナースキャップをながめていた。美咲が淳の方を向き、二人の目があった。美咲は黙って微笑み、安心させるようにゆっくり頷いた。


美咲はベッドに浅く腰掛けて淳に体を密着させていく。ボリュームあるバストが腕で押し潰される感触に、淳のペニスは否応なく反応してしまう。

しかし、もっとそこを触ってほしいと思う淳の期待とは裏腹に、美咲の右手は淳の陰嚢をやわやわと転がしはじめる。左手は淳の体をまわって左の乳首を押し潰すように刺激してくる。声が出そうになるのを堪える淳の耳元に美咲の息がかかる。

ペニスの先がほころび、透明な雫が漏れてくると、美咲の指がそれをすくって亀頭全体になでつけた。ひとつひとつの責が快感をよぶが、その刺激だけでは行く事ができない。そんな淳の気持ちを酌みとったかのように美咲が囁いた

「おちんちんしゅっしゅっッってして欲しんでしょ?」

顔を真っ赤にして頷く淳
「こう?}

ゆっくりとしたストーク
皮がひきのばされ、めくれ、押し潰されるその感触が淳に電流の様な快楽を送り込んでくる。
しかし、まだイクには刺激がたりなかった。
かろうじて首を横にふる淳
「もっと速く?」
そう言いながら美咲はペースをあげていく
(あと、少し…)
そう思った矢先


「はい、じゃ、おまじないはこれで終了。」

美咲の手が離される。
淳には何が起きたのかわらなかった。全身をつつみこんでいたぬくもりが消えさった喪失感にただ呆然とするしかない。
ベッドから身をおろしかけていた、美咲はそんな淳に声をかける。
「どうしたの、まだしてほしい事があるの?」
淳はただ目でうったえるしかない。
(あと少しで…)
「ちゃんと言ってごらんなさい」
そう言って再びからだをよせてくる美咲
「その…してください」
最後の方はほとんど声にならない。
「そんな顔しても駄目よ。これはお仕置きなんだから」
非情な声が告げる。
「だって、さっき、気にしないって…」
弱々しい声で反論を試みる淳だが、遮られてしまう。
「そんな事を言ってるんじゃないわ。」
「じゃ、僕が何したって言うんですか!」
切羽つまった淳は、かろうじて抑えた声で訴えた。


次の瞬間、淳はなにかやわらかくて良い匂のするものに包まれていた。
美咲が自分の事を抱き締めていたのだと気付いたのは、ようやく抱擁
から解放されてからだった。
美咲は淳の顔を正面から見据えて語りかけた。

「あたなの無茶のおかげでご両親がどれだけ心配したと思ってるの」
美咲の真剣な眼差しは、本気でしかっている事を語っていた。
淳は、瞳にすいこまれそうになりながら、ぼーっとした頭で、本当に美咲さんがお姉さんだったらよかったのに…と思っていた。

「もう。せっかくちょっと良い話っぽい感じになったのに…」
深刻な雰囲気を茶化すように、美咲が唇を尖らせる。
その視線の先には、先程よりますます固くなった淳のペニスがあった。
美咲の胸に顔うずめたていた感触が甦ってきて、しっかり反応してしまっていたのだ。
「…ごめんなさい」
今度は淳もあやまるしかない。


「さ、ちゃんと言えるわね」
すっかり素直になった淳の耳元で美咲が囁いた。
「…を、その、し、してください。」
淳はとぎれとぎれに返すのがやっとだ。
「してくださいじゃ分からないわ。」
言いながらも、美咲は淳のカリ首をワインの栓抜きのように持って、指の又でくりくりと遊んでいる。
「淳君の、何を、どうして欲しいの?ちゃんと言ってごらんなさい」
あやすように言われて、ついに淳は我慢できなくなった。
「僕のおちんちんを、最後まで気持ちよくしてください」
「はい、よくできました。」

美咲は淳をベッドに腰掛けさせ、自分もその隣に座るそして、淳をだきしめるように寄り添って一番大事な部分への奉仕を再開した。
「いっちゃってもいいよ。」
美咲は徐々に上下の動きを早めていく。
うっとりと身をまかせる淳に、追い討ちをかける
「全部出しちゃいなさい。」
しかし、この体勢でぶちまけたら、カーテンにかかってしまう。
ひょっとしたら同室の女の子に匂いでバレてしまうかもしれない。
そんな事になったら、それこそトラウマだ。
淳は美咲にしがみつくようにして必死で耐えた。


「私に全部まかせて」
美咲は、規則的なストロークをくりかえしながら、耳元で囁く。
全てを忘れて欲望を解放するのはあまりにも魅力的だった。
このまま美咲に全てをまかせて、上りつめてしまいたい。
リズミカルに動く美咲の手に刺激され、淳の体の中心に熱いものが込み上げる。もう限界だった。

美咲が淳の顎を持ち上げ、唇を奪った。
始めてのキスに戸惑う淳の中を、美咲の舌がやさしくかきまわす。
淳の頭の中が美咲の存在で一杯になる。
その瞬間、全てが真っ白になり、
淳の中で何かが爆発した。

それは淳がこれまで体験した事のない、長く激しい絶頂だった。

淳がようやく落ち着いて辺りを見回すと、そこにはすました顔で
佇む美咲がいた。
淳の吐きだしたものは、いつの間にか被せられていたタオルで、
すべて受けとめられていたらしい。

「はい、お疲れさん。良い子にしてたらまたしてあげるからね。」

美咲はそう言って淳の頭を撫でると、足取りも軽く立ちさっていったのだった。