「あ、ああっ、好き…好きぃっ!智弘ぉ…!」
後ろから犯されながら、遥は甘えたような声を出す。
普段から想像も出来ないその姿と台詞に、俺はひどく興奮した。
だがその一方で、初めてなのに激しくしすぎじゃないかという疑問が腰の動きを鈍らせる。
「やぁぁ……」
それに敏感に反応した遥が、拗ねた声で避難してくる。
「いいの…もっと激しくしていいから…!智弘の好きなように犯してぇっ…!」
「でも……」
「何も気にしなくていいの…出して…私で、いっぱい、気持ちよくなって…!」
と、いうのがつい先日のお話。
回想を終え、俺はふぅ、と軽く息をついた。危うく緩みそうになる顔を必死に自制する。
「…なによ、さっきからジロジロと見て」
「いや、なんでもない」
俺はキリッとした顔で返事を返すと、内心のドキワクをおくびにも出さず前に向き直った。
変なの、と俺の隣を歩く遥は訝しんでいたが、深く追求してくる様子もない。
2月の風の中、乾いた都会を静かに歩く。丸裸の街路樹が寒さに震えるように風に凪いでいた。
一方で、濃灰色の雲は風に動く様子もなく空を埋め尽くしている。
「…ねえ、智弘」
「うん?」
しばらく歩くと、遥が口を開いた。
「今日、家に来ない?」
「あ、ああ…」
急な話で、少し返事があやふやになってしまった。んっ、と喉を鳴らして俺は堂々と言い直す。
「ああ、喜んで」
「………似合わないわよ」
「…そうだな」
カッコつけすぎだ。もう少しこう、ナチュラルにいこう。自然体自然体。
恋人同士になってからというもの、どうにも意識すると力みすぎてしまう。
そう、恋人同士だ。俺、山下智弘と彼女、川上遥はつい先日恋人同士になった。
遥に手を引かれて家に向かいながら、俺は感慨深く今までを思う。
初めて遥に出会った時、俺はまだこの都会ではない田舎で暮らしていた。
当時、俺は地元では勉強でもスポーツでも並ぶもの無しと称され、県西の麒麟児と呼ばれていた。
……だいぶ誇張表現もあるが、まあ子供の世界とは狭いものだということで勘弁して欲しい。
まあ端的に言うと、栄光と言う栄光、賞と言う賞は大体俺のものだったのだ。その地域では。
そこに奴が現れた。川上遥。凛とした強い瞳に長い黒髪。その癖なんだかその笑顔は不敵だった。
その美少女転校生が現れてから…
まあ端的に言えば、栄光と言う栄光、賞と言う賞は全てそいつのものになった。
歴史的大敗北だった。
「わたしはうえ、あんたはした。とうぜんよね」
苗字を元を彼女が放った一言は俺の自信を見事に砕いた。
当然俺は猛省した。いくらなんでも油断しすぎ、自惚れ過ぎだった。世界は広いが日本も広いのだ。
しかし反省を知った俺に敵などいないはずだった。
テスト、スポーツ、偶然にも同じだった道場の大会。競う場所はいくらでもある。
当然俺は奴を(一方的に)ライバルと定め再戦を望んだ。
競う場所はいくらでもあった。…しかしその全てで俺は敗北した。
悲劇的大敗北だった。
「またあなた?」
呪われたように勝てない。
原因は苗字にあるのではないだろうかと考えた俺が、父親に改名を訴え殴られるという微笑ましい一幕もあった。
…まあ結局のところ奴は川上、俺は山下のまま。一位は川上。二位は山下。それが定位置のまま小学生時代は幕を閉じた。
「諦めが肝心じゃない?」
揃って地元中学に進学しても全く状況は変わらなかった。
俺は俺に出来る限りの努力をしたはずだったが、奴は必ずその一歩上を行く。悟空とベジータかっつーの。
一位は川上。二位は山下。それが定位置のまま中学生時代も幕を閉じた。
そして俺も川上も揃って県下一の進学校に入学した。
この頃になると、同じ中学出身と言うのも相まって俺と川上にはそこそこの交流も生まれていた。
「ま、川上は太陽、山下は月ってことよ」
ローマ教皇のような台詞を吐きながらしゃくしゃくとポテトをつまむ川上。そんな姿すら隙のない絵面なのが悔しい。
この歳になって、川上遥の美少女っぷりはさらに際立つようになっていた。
多くの勇者が彼女に挑み、星になり、川上遥は撃墜王の名を欲しいままにしていた。
まあ別にそんな事はどうでもいい話だ。
………いや、別に川上に比べて俺は異性からモテないからってひがんでるわけじゃなくてな。
俺は2月14日にチョコレートの数を競い合うような非生産的な人種ではないという話だ。それだけだ。
「いいか川上。太陽の沈まない国なんて称されてもな、いつかは必ず没落するんだからな?」
バーガーにかぶりつきながら、川上のそんな姿も全く想像出来ないまま俺は憎まれ口を叩いた。
「…んなこと言って、何年経ったのよ…」
「ゆうに7年だな」
間髪入れずに返す俺に、呆れた、と息をつきながら川上はストローに口をつけた。
俺たちは二人とも進学にあたって地元を離れ、一人暮らしを初めている。
小奇麗なマンションの一室が今の遥の家だった。
到着すると玄関から直通の、女の子らしさ、というよりは機能的な顔の強い部屋に案内される。
その辺に座って、と言われて俺はクッションに行儀よく腰を下ろす。ぴっ、と背筋を伸ばして。
「そんなに緊張しなくてもいいわよ」
「…いや、緊張しているわけじゃないんだ。ただ初めてのことに戸惑っているだけなんだ」
「…その言い換えに、何か意味があるの?」
「………ないな」
こういう関係になっても、対抗心はそうすんなりと消えるものではないらしい。つい意味もなく反論してしまう。
それにしても、付き合う前から何度もお呼ばれしている川上の部屋だというのに、俺はやったら緊張している。
恋人同士になったというだけで。恋愛って不思議ね。
出された紅茶をゆっくり飲みながら、俺は向かいに座った遥に目を向ける。
凛とした瞳に、柔そうな頬。少女時代の面影を残しながらも、その顔は大人びていた。
…ずっと、好きだったのだろう。自分の心の中に、憧憬や思慕があるのはある程度わかっていた。
でもそれは、取り出してみると自分で思っていたよりもはるかに大きく、我ながら驚いた。
追いかけ続けながら、結局俺はこうなりたかっただけなのだろうか。
向こうから告白されて、実際にこんな関係になってからこんな事を自覚する。俺は鈍感なのだろう。
事実、俺は遥から想われていることにもまるで気付かなかった。告白されて、なんで?と思ってしまったぐらいだ。
でも、改めてこうなると納得と言うか、この関係がとても自然なものに思えもする。現金な話だった。
「…なによ、ニタニタして」
声に顔を上げると、遥がマグカップを片手に少し厳しい顔でこちらを見ている。
「いや、遥とこうなれてよかったな、と思ってた」
「バ、バカじゃないの…」
「バカじゃない」
真面目な話だった。しかし俺は普段から少し誤魔化しが多いので信じてもらえないのかもしれない。
ちょって反省するべきだろうか。そんな事を思いながら、俺は目線を窓の外に移す。
灰色の空の下で、街の明かりが暖かだった。この部屋の明かりも、遠くから見ればその中の一つになるのだろう。
なんだかそれは、とても素敵な想像に思えた。
「んもう……」
ぼんやり外を眺める俺の様子に、なんだかシャクにさわる!という顔で遥は紅茶を一気に飲み干した。
「………智弘、ちょっといい?」
一息に飲み干したカップを置くと、遥は俺を手招きする。
「どうした?」
俺もカップを置き、立ち上がって遥の近くに移動する。
何故か遥も立ち上がって俺を迎えた。
「………」
二人立って向かい合いながら、俺はとりあえず、何も言わずに遥の言葉を待つ。
この距離に照れているのだろうか。愛い奴愛い奴。
「……ごめんね」
「がッ!?」
調子にのっていた(脳内で)俺は、何が?と思う間もなく腹部に受けた強烈な打撃とともに意識を失った。
「ん…んん……?」
気がつくと、暗闇だった。目を覚ました…はずなのに視界は真っ暗なのだ。
「なんだ…」
寝かされている体を起こそうとすると、ガシャッという音と共に手首に引っかかりを感じる。
肘を曲げる程度のゆとりはあるものの、バンザイの姿勢から両腕が動かせない。
手首と背中の感触から、どうやら手錠でベッドに括りつけられているようだ、と当たりを付ける。
おまけに足にも似たような処置が施されて足を閉じることが出来ない。
足首の感触から、どうやら一本の棒が両足に渡って縛りつけられているようだった。
おまけにやたらスースーする。どうやら全裸だ。
暖房がよく聞いているおかげで寒くはないのが救いか。
「あ、起きた?」
聞き慣れた声が眼前(今は見えてないけど)から聞こえる。
「……何のつもりなんだ、遥」
ガシャガシャ、と両腕の手錠を鳴らして抗議の意を示す。
「……この前、さ。好き放題やられちゃったなあ…って」
「な、なに…?」
「私、初めてだったのに…パンパンパンパン、後ろから激しく突いてくれちゃって…」
どこか拗ねた声での、静かな抗議だった。なんだか新鮮で少し可愛い。
…いや今はそんな状況ではない。
「い、いや初めてはその方が痛くないって聞いてたからさ…大体、お前も理解してくれてたじゃないか」
今冷静に考えると出所不明にもほどがある情報だが、俺は俺なりに必死だったのだとどうか理解して欲しい。
「あ、あれが普通だと思ってたのよ!
ワンちゃんみたいで、なんだか凄くすっごく恥ずかしかったけど、智弘がそう言うんならって…
でも、調べたらアレは「バック」っていうのであって、決して普通じゃないって聞いて…!」
「い、いや別に普通じゃない言うほど特殊でもないだろ!」
「そうかもしれないけど、智弘に取り仕切られて、大人しくヤラれちゃったっていうのがなんだか今思うと悔しいのよ!」
ヤラれちゃったとか、止めてほしいその表現…
自分でも理由はよく分からないが、なんだかとても嫌だった。
「だからって、これはおかしいだろ…」
もう一回、ガシャガシャ、と両腕の手錠を鳴らして抗議の意を示す。
これはいくらなんでもやり過ぎだろう。いきなりこんな極北に突っ走らんでも。
「私はとことんやるタイプなのよ」
「よく知ってる…」
だが自分の身になってみてそれを許容できるかというとまた話は違う。
「…だ、だいたい検事さん!その人最後は自分から腰ふってましたよ!出して、出してぇ!と…か…言って……?」
すっ、と遥の目が細められる。それが見えなくてもよく分かってしまった。
そして纏う空気が冷たくなっている事も。
「ほ、本当のことじゃないか……」
けれども真実を訴える声はひどくか細かった。
「………ご奉仕大好き♪エロカワエンジェル」
ぼそっ、と遥はトンデモナイ事を口にした。
「ちょ、ちょっと待て…なんでお前がそれを…」
「巨乳家庭教師〜ミルク祭り〜、童貞喪失補助委員会、ぜ〜んぶ舐めたげるっ☆淫乱ナース献身介護」
次々と、俺の部屋に置いてあるブツのタイトルが読み上げられてゆく。
「う……うう……!」
いつの間に調べたのか。もうここまで来るとわかりきっていた。
あの日の行為の後、二人して眠ってしまったが、次の日の朝、遥は俺より先に起きていた。さらに部屋も綺麗になっていた。
この時点でこの可能性を考慮しなくてはならなかったはずだが、すっかり浮かれた俺はまるで気づけなかったと言うところか。
「立科ここなのいっぱい犯してあげる♪、聖王女学院除膜式、エロエロおねーさんのラブラブ騎上位…」
…他人事のように分析しているのも、一種の現実逃避だろうか?あまりにも恥ずかしい。
それにしても何故あの手の本やDVDたちはああ露骨なネーミングのものばかりなのだろう。
こういう状況に備えてもう少し毒のないタイトルにしてくれてもいいんじゃないだろうか。
「…ヘンタイ」
トドメもきっちりと刺すのが彼女の流儀だ。
「ぐっ……い、いや男の子なら普通だろう!」
「適当なこと言わないで!こんなヘンタイ、智弘だけよ!あんなのばっかり読んでるから、私にも勝てないし、
初体験に不安がってる女の子を、ワンちゃんみたいに後ろから激しく犯したい、なんて不純なこと考えるのよ!」
「あ、あのなあ…」
いくらなんでも言いたい放題過ぎる。なんとか反論しようと口を開きかけたが、それもぴしゃりと遥の宣言に止められてしまう。
「とにかく!ヘンタイの智弘には任せておけないわ。今回は私が取り仕切ります!」
なんだかよく分からない宣言とともに、俺たちの二回目の行為が幕を上げた。
「といっても、一体どうするつもりなんだよ…」
「いいから、黙って私に全部任せなさい」
優しい大人のお姉さんに言われるのならともかく、つい先日まで処女だったビギナーにそんな事を言われても不安にしかならない。
だが状況的にどうしようもないので、俺は黙って嵐が過ぎ去るのを待つことにした。
「ん……」
「んぷっ!?」
なんて思っていたら、いきなり唇を奪われた。目が塞がれて(おそらくアイマスク)いるせいで不意打ちに驚いてしまう。
「む……ちゅ、ん…ぱぁ、んじゅ……えろ…」
俺の頭を両手で抱えながら、遥は積極的に舌を絡めてくる。遥の舌が、俺の口内に侵入して歯茎を蹂躙していく。
「ちゅ…じゅるるっ!んんっ…ぷぅ…れろ…」
俺も遥の舌に自分の舌を絡めて応戦するが、ちゅうちゅうと激しく口を吸われて上手く抵抗出来ない。
「じゅう…じゅずるるるっ!れろえろ…ん…んんっ…♪」
そのまましばらくの間俺の口を好き放題に味わうと、やっと満足したのか、ぷぁ、と遥は口を離した。
「んふふ……」
「と、唐突だな…」
どうにも押されっぱなしと言うか、反撃の台詞も我ながら精彩がない。
「最初はキスからって、決まってるのよ…」
遥はそう言うと、俺の首に吸い付いた。遥の長い髪が少し鼻にかかる。
洗いたての洗濯物のような、とてもいい匂いがした。
ちゅ、ちゅ、と首に吸いつくと、遥はそのまま舌を伸ばして下へと向かう。
首筋から胸、そして片方の乳首に到達すると、遥は軽くなめまわしてから口に含んだ。
「れろ……じゅる…ちゅううぅっ…!」
「う……」
なんだかこそばゆい。あまり認めたくないが不思議な気持ちよさだった。
遥は丁寧に両方の乳首をきっちりと吸ってから、下腹部に向かう。途中でへそを舌でほじくるのも忘れない。
舌で舐め回される感覚に、時折俺は変な声を上げてしまう。
それがまたお気に召すのか、その度に満足気な息が遥の口から溢れるのが分かった。
「さて………」
そしてとうとう問題の場所に到達した。
見えなくても自分の体のことなので状況はよくわかる。どう考えても全力勃起だった。こんな状況なのに。
もう何を言ってもカッコがつかないので、俺はだんまりを決め込むことにした。
「………」
「もう………」
遥はそんな俺に少し呆れたような声を出すと、俺のモノを握る。
「ちょこっとだけ、被ってるのよね…」
そんな事を言いながら、遥は俺のモノにそっと手を当てると下に引っ張った。
少し余っていた皮がめくれて中身が露になる。
「うわ………」
どうともとれる言葉を口から漏らしながら、遥はすんすん、と鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。
視覚を奪われているからか、空気の動きが明確に感じられてこそばゆかった。
「…ん……すごいニオイ……」
「た、体育があったからな、うん…」
おまけにマラソンだ。汗だくになってからシャツぐらいは着替えられても下半身はどうしようもない。
どうしようもない申し訳なさを感じながら、俺は一応の弁解を行った。
「わ、わかってるわよ…」
私はたじろいでなんかいないんだから、といった調子で遥は俺のモノを掴んだ手に力を込める。
どうやら顔は間近に置いたままのようだった。遥の吐息がとてもくすぐったい。
「この白いのは…カス…?」
「………」
どうやら今度はまじまじと観察しているらしく、そんな事を言われた。
「もう……汚いんだから…」
俺が返す言葉もなく黙り込んでいると、先端に柔らかいものが触れた。
ちゅ、と軽く触れて、離れる。やさしいキスだった。
「よ、よく覚えときなさいよ…こんな汚ったなくて臭いモノ、舐めてあげられるのなんて私だけなんだから…!」
…何の宣言だ。普段ならそうツッコむところでも、体の自由を奪われて舐められている今に、そんな余裕は欠片もなかった。
「ん…ちゅ…ちゅぱ……えろ、んんっ、ぱぁ…えろえろ……」
まず先端の亀頭がくわえ込まれ、遥の口内でゆっくりと舐め回される。
ちゅうちゅう、と優しく吸引される感触に、俺は腰を震わせた。
「カス…こんなに……ん、ちゅ…れろれろ…ちゅうううっ!ぱぁ、んっ…んん……」
そして遥は口を離すと、勃起しているモノの、色々な場所にくちづけて強く吸い、舌先で舐擦る。
おそらくそれらの場所がカスのついている場所なのだろう。
一箇所一箇所、遥は時間をかけて舌でカスを擦り落とし、唇で吸う。
つぶつぶした舌先が、モノを優しく舐め清めていってくれる。
「じゅぷ…じゅずるるるっ!んん…れおれろれお…ちゅ…ぢゅぷぷぷっ…!」
特に、皮を剥かれた付近は特に強く、時間をかけて吸い付かれた。そんなに汚れていたのだろうか…
自分では意識していなかっただけに少しへこむ。
「れおれお……んんっ、ちゅぷ、じゅっ…ずぢゅるるるっ!ん……ぱぁ」
これで全部、と遥が口を離す頃には、俺の息は見苦しいぐらいに荒くなっていた。
「ふふ、きれいきれい♪」
遥は独り言ちながら、あむ、と玉をくわえ込む。口に含んで、もごもごと舌で転がされる感覚に、俺は体をよじった。
「ん……んむ…あむあむ…ぬふ……ぷふぁ、ここは、ひんやりしてるんだ…」
どうやら玉をくわえている最中、鼻先や額にあたる棒の熱さと比べているようだった。
「もう…ぺちぺちぺちぺち顔に当てて…そんなに楽しいの?」
「そ、そんな事言ったって、どうしようもないだろ…」
「まったく……あれ…?」
何を見つけたのか、遥の動きが止まった。
「すっごい、ひくひくしてる…」
「え……?」
快感に意識が眩みかけた状況でも遥がどこを見ているのか、分かった。分かってしまった。
何故なら舐め掃除の最中、いつの間にか俺の腰が抱えられていたからだ。
「…ここって、男の子にとっての、おまんこみたいな部分なんでしょ…?」
「ま、まあそうとも言えるかもしれないが…」
どういう行為のことを想像しているのだろうこの御方は。
でも違うものは違うだろう、と言おうとした瞬間、ちゅ、と柔らかな感触がその場所に触れた。
「ちゅ…ん……ふふっ、キス…しちゃった。智弘の…一番秘密の場所…」
「な、何をしているんだよお前は…!」
想像外にもほどがある。
「なによ、この前智弘も私のアソコ、散々弄ったじゃない…」
だからお返しよ、と遥はまた尻穴に口付けた。今度は唇だけでなく、暖かくぬめる舌先も感じる。
「ふふ…智弘のここ、ヒク、ヒクって…気持ちいいの?」
「よ、よく分からない…」
別に強がりでも何でもなく、正直な感想だった。未知の感覚過ぎてまるで分からない。
だがそんな俺の様子に、遥はひどく満足気なようだった。
「今日は私が、いっぱい智弘を味わうんだから…」
ワケの分からないことを言いながら、遥は舌先で尻穴を舐め回す。
どうやらシワに沿って丁寧に動かしているらしく、生温かい舌が何度も何度も尻穴の上を往復した。
それもことさらにゆっくりと。
「ちょっ…と、おい…!」
「いいから、動かないで…」
遥は俺の腰を持ち上げた状態でガッチリとホールドすると、尻肉の間に顔を埋めた。
舐めやすくなった、とばかりに遥は勢いをまして尻穴を舐め回す。
そしてついに遥の舌が、中に侵入してきた。
「んんぅ…はふ、えろえろえろ…ん…ちゅぷ…じゅ…えお……!」
少し息苦しいのか、鼻息を荒くしながら遥は尻穴に舌を潜り込ませると、大きく動かした。
「うわっ、ちょ、ちょっと待て…それは……!」
俺が何を言っても、抗議は受け付けません、とばかりに遥は舌の動きを強くすることでそれに応える。
「れろ…れろれろれお…っ!んんっ、ん〜、ぱぁ、えお…ちゅ、ちゅぷ…!」
上下、左右、ぐるっと入り口を一周してから中でまた一周。ゆっくりと舌を押し付けながら上下。
狭い穴の中で、遥の舌は器用に動き回る。
「じゅぷ、じゅずるるるるっ!んふ、ふぅ…じゅぷ、じゅるるっ…!」
唇も、唾液を流し込み、その一方で何か吸い出すかのように容赦なく強く吸い付いてくる。
意識してではないのだろうが、玉のあたりにふうふうと、鼻息が吹きかけられるのもくすぐったくて仕方がない。
「…も、もう勘弁してはいただけないでしょうか…」
もどかしい快感であぶられ続けるというのは中々に辛いものだった。
というかこの行為が気持ちいいというのがまた悔しいというか…
「ん、ちゅ…ぷぁ、んんっ…!えお…れおれお…ちゅ、ちゅぱ…ちゅるるるっ…!」
だが遥はプライドをかなぐり捨てた卑屈な懇願もサラッと無視して、
むしろその言葉を受けてさらに激しく俺の尻穴を舌でほじくり返す。
「う……うう……」
「ふふん………」
そしてしばらくして。ベッドの上には、何もかもを蹂躙され呻く俺と、どうだまいったか、とばかりにご満悦な遥がいた。
いつも通りの構図。敗北感だけが残るのだった。
というか、いい加減出させて欲しい。身も蓋もないが。
そう遥に声をかけようとすると、ふと俺は、自分の体の上で遥の体が小刻みに震えているのに気づいた。
暖房が効いているから寒くはないはずなのに。
慌てて遥の体に手を回そうとして、ガシャッという音の抵抗に会う。すっかり忘れていた。
「お、おい、大丈夫か?」
「………うん」
か細い返事は、まったく大丈夫に聞こえない。身動きがとれない、目も見えない自分が酷くもどかしかった。
「…鍵は、何処にあるんだ?」
動けそうにもないくらい、気分が悪いのか?という意味も込めて、聞く。
だが遥は何も答えない。焦る俺と対照的に、亀のような動きで体を起こし、スカートのポケットを探る気配がした。
鍵はそのまま、手錠の鍵穴に差し込まれたのだろう。
さっきまでの煩わしさが嘘のようにあっさりと、手錠が外れる。
「おお…」
ようやく両腕が自由になり、俺は慌ててまだ震え続けている遥の体を抱いた。
もう片方の手で、アイマスクも外す。
「おい、だいじょ…」
遥は泣いていた。静かに。俺が気絶している間に着替えたらしき私服に、涙の粒が染みを広げていた。
「………」
目に飛び込んできた映像に、俺は何も言えず、遥を抱く腕に力を込めた。暖めるように、腕を背中にこすりつける。
そして、目元に口付けた。涙を、唇でぬぐうように。しょっぱい味が口内に広がる。
しばらくの間、二人でくっついたままで。ただ空調の音を聞き続けた。
「私、何してるんだろう、って…」
不意に、遥が口を開いた。目線は、ベッドの支柱に繋がったままの手錠に向けられている。
俺の手が繋がっていたのと反対側の輪にはロープが通され、そのロープがベッドの支柱に結びつけられている。
そのおかげで、拘束されながらも腕には多少の余裕があったのだろう。俺は、遥の背中を優しく撫でながら言葉を待った。
「智弘は、優しいのに、なんで私はこうなのかな…」
「…別に、お前もそこまで酷いことはしていないだろ。そりゃあ、まあ、ちょっと驚いたけど」
実際、あのロープなんかは気遣いの証だろう。まあ正直に言うのなら拘束自体を勘弁して欲しかったが…
だが俺の言葉を聞くと、遥の泣き声が強くなった。
「怖いの…」
そう言うと、遥は俺の体に手を回す。汗ばんだ背中に、指が強く食い込んだ。
「いつか、智弘が私のこと嫌になっちゃうんじゃないかって……ずっと、縛りたかった。智之が、どっか行っちゃわないように。
頭、おかしいわよね。嫌われたくない、なんて言いながらこんな事して。でも、こんな私でも受け入れてくれるなら…
こんな事をする私ですら好きでいてくれるなら、もう何も怖くなくなるんじゃないかって、そう思ったの…」
俺は何も言わず、抱く手に軽く力を込めた。
「でも、ダメだった…無理なのよ」
「なぜ?」
「弱いから」
「…誰が?」
「私が!!」
強く言い放つと、遥は俺の胸に頭を押し付ける。
「智弘は、こんなに優しいのに…こんな私でも、受け入れてくれてるのに…でも、そんな智弘のことを私が信じきれてないのよ!!」
「遥………」
「……私の家、両親が喧嘩ばかりしてるって話、したでしょ」
「…ああ」
前に聞いていた。遥の両親が結婚した時、既に母親は身ごもっていたのだが、それは結婚相手との子供ではなかった。
そしてその子供が、遥だったと。
「私が三歳ぐらいになったときにそれが分かって、もう大騒ぎだったわ…
全部、私のせいなの。だって、私がいなければ、何もかもうまく行くのよ?
お父さんとお母さんも仲良くて、親戚との関係も上手くいって…近所で陰口、言われることもなくて」
何もお前は悪くないだろう、と思ったが、とりあえず今は遥の話をすべて聞いてやるべきなのだろう。
俺は遥の背をぽん、ぽん、と優しく叩きながら、ただ耳を傾けた。
「…私は必要な子になりたかった!誰にも負けない、自慢の娘になりたかったの…
だから、勉強を頑張って、スポーツも頑張って、たくさん一等賞取って…
でも、結局そんなことしたってお母さんもお父さんも何も変わらなかった。
むしろお父さんは、やっぱり自分の子じゃないって、強く思ったみたい。
私が頑張れば頑張るほど、お父さんとお母さんは気まずくなった」
悔しさや憤り、そして何よりもそれらを通り越した諦観が込められた言葉たち。
腕の中で、震える体。俺はそれらに、ただ悲しくなった。
「でも、それでも、こうして頑張ってればいつかはみんな分かってくれるんじゃないかって…
なにもかもが上手くいくようになるんだって、心のどこかで信じてたの。
バカみたい…ううん、バカなのよ。自分でも分かってたわ。
でも、これじゃいけない、って思っても…それしか私にはなかったのよ!私にそれ以外、何が出来るのよ…」
頑張れば頑張るほど、一人になっていく。でも、頑張る以外に道が見つからない。
遥が抱えている悲しみは、そういうものだったのだ。
「学校でだって、ガリ勉なんだから凄いのは当たり前、とか言われたり、
褒めてくれる人にも、あの子は私たちとは違うのよ、って壁を作られて……でも、智弘だけは違ったわ」
「ん?」
急に名前が出てくると、少し驚いてしまう。
「みんな、あの子は私たちとは違う、あれは自分たちとは別物なんだから勝てないのは仕方がない、って壁を作るけど…
智弘だけは、何度負けても、何度倒されても、その度にもっと強くなって私の前に現れてくれた…」
「………」
そう言われるとなんだか俺がドMみたいだ…だが今は真面目な話の最中なのでその一言は我慢した。
「私を追いかけ続けてくれた…私の側にいてくれたのは、あなただけだった」
「そうか…」
宿敵(俺はそう思っていた)の俺が、遥に取って一番近い存在だったのか。
遥はその優秀さから敵も多かったが、それでも大多数の奴とは上手くやっていると俺は思っていた。
でもそれは、上手くやっている、だけだったのかもしれない。
「中学の時、私の事を良く思ってない子があなたに「あの子、生意気だよね」って学校で言ってたことがあったでしょ」
「………う〜ん」
あった…だろうか?正直思い出せなかったが、どうやらそれは遥の中では重要なファクターらしいので
そうはっきりと覚えていないとは言いにくい。
「すまん、覚えてない…」
だが結局は正直に言った。しかし遥はさして気にした様子もなく、でしょうね。と軽く笑った。
「智弘が覚えてなくても、私は一生忘れないわ。あの時、私は扉の裏にいたの。たまたま戻ってきたところで…」
そこで言葉を切ると、遥は何故か泣きそうな表情になって、言葉を続けた。
「生意気も何も、あいつは実際凄いじゃないかって。俺は尊敬してる、憧れてもいるんだって…
智弘がそう言うのを聞いて、私、泣いちゃった…トイレに行って、ずっと泣いてたわ。
嬉しくて、嬉しすぎて…どうにかなっちゃいそうだったの。あんなこと言われたの、初めてだった。
だから、それから智弘は私の中ではずっと特別だった。智弘だけが、大好きだったの……」
遥は、息を整えながら、自分の中にあるものを慎重に形にしているようだった。ゆっくりと、言葉が紡がれていく。
「私は、絶対的に愛されたくて、絶対的に愛していたかったの。
誰か一人でいい!誰か一人でいいから、私の全部を、愛して欲しかったの…そんなの絶対無理だって、わかってたけど…
わかってたけど、それでも私は、誰かに全部を愛して欲しかった!そして誰かの全部を愛したかったの!」
「でも、ダメだった…いくら智弘が私を愛してくれても、好きだって言ってくれても、私は智弘を愛し切れないの…!
心のどこかで、疑ってる!いつか、どこかに行っちゃうんじゃないかって。私は、結局一人になるんじゃないかって。
……そうやってビクビクして、身構えてる!私は最低なのよ!!」
「落ち着け」
胸元で叫ぶ遥の頭を、そっと撫でた。
愛されることに、慣れていない。愛されていると、信じられない。それはとても寂しい事なのだろう。
遥は、声を押し殺して泣き続けている。声を上げて泣いてくれない、というのが今の俺たちの限界だった。
俺の足はまだ棒に縛り付けられたままだった。まあ足を閉じられないぐらいしか実害はないので気にしない。
少なくともまだベッドから動く気はなかった。遥がこうして泣いている以上は。
むしろ、こんな事で遥が少しでも安心出来るのなら、それでいいのではないか。そう思える。
「ごめんね…」
不意に、遥はそう言うと俺の足首の縄を掴んだ。ガッチリと結ばれていたと思えたそれは、驚くほどあっけなく、解けた。
どうやらそういう結び方を最初からしていたらしい。
遥はただ俯いている。窓から差し込む街灯りが、頬の涙の跡を光らせていた。
「………ごめんね、智弘。私、こんなだから…捨てたかったら、捨てて、いいから…」
今の遥には、何を言ってもわからないだろう。
俺は軽く息をつくと、手元に落ちていた手錠を拾い上げた。
「…うん、いいよ。それ、つけて。智弘が好きなワンちゃんみたいな姿勢で、好きなだけ、犯して…」
それが贖罪だ、と言わんばかりに遥は過激なことを口にする。
そのまま立ち上がり、服を脱ぎ始めた。
「いや別に好きじゃないからな?」
念を押しておく。全く何を勘違いしているのだろうか、色々な意味で。
「まったく…」
とはいえ手錠なんて持つのは初めてだ。
いまいち勝手が分からず、俺は衣擦れの音を背後に聞きながら手に持って構造を観察する。
「あ、それ…合わせるだけで簡単に嵌るから…」
そう言いながら、全裸になった遥はおずおずと握った両手を並べて差し出してくる。逮捕してくださいのポーズ。
目が眩むくらい可愛い。だが俺は別にそういうことがしたいわけではないのだ。
「あ………」
まずは、遥の右手に手錠の片方を嵌める。そして、もう片方は俺の左手に嵌めた。
カシャッ、と小気味いい音を立てて手錠が閉じる。鍵がかかったのだろう。
俺たちの手は、手錠で繋がれていた。
向かい合ったまま、何が起こっているのかよく分からない、といった様子の遥と、目が合う。
「これで、少しは安心か?」
俺がそう言うと、遥の目から涙が溢れ出した。大声を上げて泣きながら、遥は俺にしがみついてくる。
ごめんなさい、ごめんね、ありがとう、好きなの、好き、大好き。遥の口から溢れ出る様々な言葉。
この小さな体の中に、どれだけの涙が溜まっているのだろう。できるのなら今、それをすべて流し尽くして欲しい。
俺は遥を抱きしめながら、そんな事を考えていた。
「でも…これじゃ、後ろからはできないね…」
泣くだけ泣いて泣き疲れた後。目を腫らした遥からのリクエストで、続行となった。
遥は俺たちをつなぐ手錠を軽く鳴らすと、少し申し訳なさそうにする。
「いやだから、別に好きじゃないからな?」
遥はもう少しちゃんと人の話を聞くべきではないだろうか。
…だがこの疑り深い性分も、今までの事を考えれば仕方が無いのかもしれなかった。
ただ、愛し続けよう。遥が、何も煩わしいことなんて考える事なく、ただ安心と幸福だけを感じていられるようになるまで。
「あ……ん…ちゅ…ぷ、ふぁっ…!」
遥に、そっと口付ける。
「…キス…好き……もっとぉ…」
甘えた声を出しながら遥は俺の口を強く吸う。俺の舌に自らの舌を絡ませるようにして、口と口を繋ぐ。
「ちゅ…ちゅぷちゅ…ん…ずちゅるるっ…!ん…はふ、んんっ……!」
俺の口に自分の唾液を流し込み、俺の口からは吸い上げる。何時まで経っても、止める気配はない。
二人で鼻息を荒くしながら、口で繋がり続ける。
この強く求める行為は、そのまま遥の寂しさの表れ。
こういう行為の端々から、俺はもう少しこの子の気持ちを汲みとってあげなくてはいけなかったのだろう。
「れお…ん、ん…!ちゅぷ、ちゅ…ぺろ…あぁ、ん…ちゅ、ちゅ、ちゅぱ、じゅるるっ…!」
俺は自分からも舌を絡ませながら、遥の気が済むまでキスを続けた。
「ぱぁ……あ、ごめん…キス、ばっかり…」
「いや、別にいいだろ。俺もキス、好きだ」
遥は微笑ながら、俺の手をとる。
「胸…触って…いっぱい、いっぱい、弄って…」
俺は遥の手に導かれるままに、胸に触れる。程よい大きさの胸の感触が手に心地良い。
「あ…うん、いいよ…もっと……!」
俺は言われるままに、すべすべした柔肉を揉む。もちもちした、指に吸い付くような感触がたまらない。
もっともっと触って欲しいと、せがまれているようで気分が昂揚する。
こりこりした乳首も、触れるか触れないかのところで手のひらで擦りながら、指先で根元から軽く絞るように揉む。
「ん…んんっ……!」
遥は俺の首筋や、型、腕に口づけを繰り返している。時折、切なげな声を口から漏らしながら。
「ねえ…智弘……」
「どうした?」
遥が、胸を揉む俺の手を取ると、今度は下腹部に当てる。ささやかな茂みの下、濡れた感触が指先を迎える。
「おちんちん、入れて…私の中、智弘でいっぱいにして欲しいの…」
切なげな表情でねだる遥に、口づけで応える。
「ん…♪…ぷ、ちゅぱ…れる…ちゅ…」
口づけたまま、俺は遥の体を、そっと押し倒した。
もうキスのあたりからずっと立ちっぱなしな俺のモノを、片手でつかむと、狙いを定める。
だが、キスをしながらなので、中々上手くいかない。俺のモノは何度も何度も遥の秘部に先端を擦りつけながら、入口を探す。
「んんっ…!やぁ…ぁっ…!」
意地悪しないで、と言いたいのか遥は声を漏らしながらいやいやと腰を軽くゆする。
じらしているつもりは全くなかった、というか俺自身にも余裕は全くない。
焦りながら、俺は遥の口を吸い、先端の感触で入口を探す。
焦っているとき特有の、やたらと長く感じられる時間。
唐突に、ずるっ、と勢い良く俺のモノが遥の中に侵入した。この前の初体験の時とは、全く違う。
驚くほどに抵抗を感じなかった。
「あああっ…!はぁぁあっ…♪」
やっと入ってきた、と口を離した遥の顔が緩む。
遥の中は、とても暖かだった。小慣れたということなのか、膣の感触は柔らかく俺を歓迎してくれる。
ねっとりした蜜を含んだ無数のヒダヒダが、俺のモノを握っては離し握っては離しと小刻みに収縮する。
正直、たまらない。
「は、遥……」
「あ、ああっ…♪智弘、智弘で、いっぱい…♪」
俺の出す情けない声とは全く違い、遥の声は死ぬほど可愛らしかった。
「智弘…気持ちいい?私の、なか…っ…」
息も絶え絶えな様子で、遥が問いかけてくる。
「あ、ああ…滅茶苦茶、気持ちいい…」
我ながらもう少しなんとかならないのか、と言いたくなる表現だったが、伝わればいいのだ。
「うん…うん…っ、気持ちよくなって…私のおまんこで、いっぱい、いっぱい気持ちよくなってぇっ…!」
遥の言葉に応えるように、俺は快感に耐えながら、必死に腰を突き入れる。
この前に少し感じていた、遥の好きらしい奥の上側を狙い撃つように擦り上げながら。
「や、やぁ…!そ、それえ、そこ、ダメ…!ダメ、ダメに、なっちゃうからぁ!」
思いっきり突き込むと、先端がぐにぐにした柔らかなものにあたる。これが子宮なのだろうか。
ぐりぐり、と押し込むようにすると遥が腰を跳ね上げる。
「あ、あああっ、そんな、そんなの…ズルい…っ」
何がズルいのかよくわからなかったが、決して痛いわけではなさそうなので、そのまま何度も何度も突き込んでいく。
遥は腰を跳ね上げるようにして振って、俺の動きに合わせてくれる。
膣内の粘膜も、突き込まれる動きに合わせてぐりゅぐりゅと俺のものを熱烈に抱きしめた。
ぐっ、ぱっ、ぐっ、ぱっと、結んでは解ける中の感触がたまらない。
俺だってこの前までは童貞だったのだ。どうしても動きが単調になりがちと自覚しつつも、ひたすらに腰を打ち込み続けた。
ばちゅ、ばちゅっという、俺が腰を打ち付けるごとに遥の蜜が泡だち跳ねる音だけが室内に響き続ける。
粘着質な蜜液が、とろとろとだらしなく結合部から流れ続ける。
その蜜で満たされた内部は、くすぐるような、抱きしめるような動きで俺のモノを抱きしめる。
ぷりぷりした膣ヒダが、まるで意志でも持っているかのように
突き入れるときには柔らかく、抜くときには食いつくように絡み付いてくる。
「は、遥っ…!も、もうダメそうだ…!」
「う、うん、いいよ…いいからっ、出して!わたし…私っ、もっ!もう…イッちゃう、イッちゃうからぁ!」
「いや、このままじゃダメだろ…!」
この前とは違い、今は避妊具をつけていない。
「だいじょぶ…大丈夫、だからぁっ!出して、お願い…!私の、おまんこで…せーえき、出してぇっ…!」
何がどう大丈夫なのだろうか?さっぱりわからなかった。
だが、遥は決して安易な考えをする奴ではない。大丈夫だと言うなら、大丈夫なだけの理由もあるし、備えもあるのだろう。
それに何より、遥の誘惑は気がおかしくなるぐらい甘美だった。
「わかった、出すぞ…!」
「うん、うんっ!私も、おまんこ…イッちゃう、イッちゃうからぁっ!」
遥の紡ぐ卑猥な言葉に、俺は限界を感じた。
「ぐっ、ああっ!おちんちん、ビク、ビクって…!はぁ…ああっ…!びゅくびゅく…びゅくびゅく、されてるぅ……!」
遥の腰を強く抱いて、何度も何度も激しく突き込んでいく。
その度に、信じられないほどの快感と共に精液が遥の膣内に打ち込まれてゆく。
膣ヒダも、まるでもっともっととせがむように俺のモノをしごき上げ、精液を絞りとっていく。
手錠で繋がれた両手は、この行為の間ずっと、互いを離さぬように握り合っていた。
「ん……ちゅ…ちゅろ、…えお、ちゅぴちゅ……ぱぁ…」
最後の放出が終わった後、俺たちはまた口付け、しばらくの間お互いの口内を味わう。
気が遠くなるほど長い口付けが終わると、遥は自分の股間に目を向けた。
「う…わぁ…すっごい、ねちょねちょ…」
「す、すまん…」
俺がそう言うと、遥は微笑みながら頬に口付けてくる。耳元に、大好き。というつぶやきを残して、口が離れる。
「遥………」
「ん…大丈夫。後で、コーラで洗っとくから…」
「全然大丈夫じゃないからなそれ!?」
甘い空気は瞬時に霧散し、またベッドの上でぎゃーぎゃーとしょうもないいさかいが始まった。
「ん……ん…?」
目を覚ます。ベッドの上に、俺は一人だった。おまけに全裸。
「ああ、そうか…」
少し寝ぼけた頭で、状況を整理する。
ここは遥の部屋で、昨夜俺たちは散々に愛し合い、そしてグダグダになったあげく疲れから眠ってしまったのだ。
「まるでケダモノだったな…」
自分と遥の行為を思い出しながら、他人事のようにつぶやく。まあたまにはああいうのも必要なことだろう、うん。
俺は一人で結論を出すと、遥を探す。といってもそんな広い部屋でもないし、すぐに見渡せる…
と思っていたら遥の方から現れた。
「おはよ。というか、さっさと起きなさいよ。今日だって学校あるんだから、遅刻しちゃうわよ」
「………」
なんだかもう、遥はすっかりいつも通りの最強無敵で我が宿敵な彼女に戻っていた。
ぴしっ、とした制服姿で「私が川上遥ですが何か?」といった雰囲気を放っている。
昨夜のことは夢だったのだろうか?なんとなく動く気力もなく、俺はベッドに座り込んだままぼーっと遥を見つめ続けた。
俺に一言物申した後、遥は食卓の椅子に腰を下ろすと、
ひゅーひゅー、とご機嫌な口笛を吹きながら右の手首をしきりに撫でている。
ただそれだけで、全ての答えは明白だった。
「な、なによ。ジロジロ見て…」
遥は俺の視線に気づくと、すぐに手首を撫でる仕草を止めてキリッと俺に向き直る。
「……いや、別に」
「…この、なによ。朝っぱらから全裸でニヤニヤしちゃって…」
ヘンタイ、と言い残して遥はキッチンへと足早に向かっていく。
でも、しょうがないじゃないか。だって何もかもが死ぬほど可愛いのだから。
「……あははっ!」
俺は声を上げて笑う。なんだか、今まで生きてきた中で一番楽しい笑いな気がした。
窓から差し込む朝の光も、天使の福音なんじゃないだろうか。
「よし、遥。今日も元気に仲良く登校するか!」
俺は勢い良く立ち上がると、キッチンの遥に向かって陽気に声をかける。
「いいからさっさと服を着なさい!!」
「………そうだな」
俺が勝利を感じるには、まだまだ長い時間がかかりそうだった。