「や・・・やめてくださぁい!」
ホルトト遺跡の中になんとも間抜けな悲鳴が響き渡る。
トッテトッテトッテトッテ・・・
それは・・・逃げているのか?と疑いたくなるような足音は、向かうべき(逃げ切れる)入口の方角とは違う方へと響いた。

怖い怖い敵に追いかけられて、もはや方向感覚はおかしくなっている。
足音はいくつかある遺跡の小部屋のうちの一つで余儀なく止められた。
行き止まり・・・。

救援要請も、逃げるためのシャウトもしたのに、ここには今、人がいないようだ・・・それがこの冒険者にとって悲運だった。
そして人間を見つけると追いかけ攻撃するモンスター・・・。
そう、彼女は今ゴブリンに絡まれているのであった。

両目をこするように泣きじゃくりながら、冒険者は最後の哀願をする。
「お・・・お願いしまふ・・・こ・・・殺すなら痛くしないでくらはいぃ・・・」

普段ここに来る冒険者達は、自分たちを殺して小遣いを稼ぐ、ある程度熟練した冒険者か・・・あるいは「パーティ」といって徒党を組んで気の大きくなった小物の冒険者ども(一人だったらゴブリン楽勝)しか見たことがない。

たった一人で(迷い込んだのかもしれないが)ここにやってくるこんなか弱い冒険者を見るのはこのゴブリンにとっては初めての経験だったのだ。
単純に興味を示したゴブリン。

ゴブリンは彼女の前にヒタヒタと近寄ると、風切り帽子をはぎ取ってみた。
金髪を頭の上の方で二つに縛っているタルタル。
「お・・・おんなだ」
ゴブリンの顔に先程とは違う興味が浮かび上がる。

獣人だって冒険者と同じで生き残るために戦いに明け暮れている。
そういえば最後に交わったのはいつだったっけ?
獣人にも性欲はある。ただ・・・人間と違ってその欲望に対しての理性が欠けていると言うだけで。

「おんな」
「は・・・はひぃぃ・・・」
いつ殺されるかわからないとハラハラしっぱなしの冒険者は、もう緊張のあまり乾ききった口でそう返事するのが精一杯だ。

「おんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「きゃ・・・きゃぁぁぁぁ」
冒険者が着ていたローブはあっけなく引き裂かれた。まだ冒険者になって日が浅く、年若い彼女は『性行為』ということがわからない。

えぐえぐと泣きじゃくる彼女の小さな上半身に赤い実のような先端が二つ。
そこに膨らみはほとんどないが、ゴブリンの欲望をかき立てるには充分であった。ゴブリンは冒険者に馬乗りになると、その赤い実を舌で味わう。

チュル・・・チュク・・・ペロッ
闇の中、その音だけが響き渡る。ーきっと食べられちゃうんだ。
冒険者は自分の最後を覚悟してじっとしていた。痛くされないように。

おとなしくされていることに気をよくしたゴブリンは、彼女が履いているズボンもはぎとった。
同種以外の人間から見たら、子供のようにしか見えない裸体・・・しかし自分の欲望を納める穴が開いている。
それだけでゴブリンは喜んだ。その小さな脚を開かせて、中心に舌を這わせる。

「あ・・・あぅぅ」
さすがに裸にされて恥ずかしいのだろう。ここで初めて冒険者は声をあげた。
その感覚はくすぐったいというものから快感変わりつつあった。
もちろん、本人にそれがわかるわけはないのだが。
「や・・・やめてくらはいぃ」
彼女の息遣いが荒くなってくる。そして、そこから密のような暖かい液体が溢れてきて、ゴブリンの味蕾を刺激した。

「おまえ、かんじてる。ごぶりん、うれしい」
「な・・・何言ってるんでふか?」
わかってない冒険者の顔を見ながら、ゴブリンは自分のズボンをずり下げるとパンパンに張ったモノを取り出した。

「こんどは、ごぶりん、きもちよくなる」
そう言うとおもむろにその自分の唾液と溢れ始めた愛液で濡れているタルタルの中に侵入した。

「い・・・いやぁぁぁ!痛い・・・いたいれふ・・・」
タルタルはあまりの痛みに気を失いそうになった。

最近いつも性欲を吐き出す時には、自分が殺した人間の死体が相手だっただけに、
その中の暖かさと生身で生きていることを表すその悲鳴に、ゴブリンは大興奮した。
もはやこうなると獣である。小刻みに腰を振るゴブリン。

チュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュク・・・交わりの音と、
ゴブリンのハァハァという息遣いが遺跡の中に響き渡る。

タルタルは、今自分にこみ上げてきている感覚に、どうしていいのかわからなくなっていた。
貫かれているその股間は痛いはずなのに、ジンジンと熱くなっている。

ーあぁ・・・これが死ぬ時の感覚なのれふね・・・タルタルはそう思った。
一層腰の動きを早めたゴブリンがこう言った。
「はぁはぁ・・・おまえ、いくときはいくっていえ。」
もちろん本当の意味はタルタルにはわからない。でも、確かに自分の意識はどこかに「いって」しまいそうだった。

「あ・・・はぅ・・・あ、あぁん・・・」
「はぁはぁはぁはぁ」
自分の股間がギュギュッと閉じてしまうような感覚に見舞われた瞬間、
「あぁぁぁぁぁ!いって・・・いってしまいまふ・・・ぅ!」
意味もわからないのに、そう声をあげてタルタルは絶頂を迎えた。
その声を確かめるようにゴブリンはその中にぶちまけた。

ふとタルタルは自分の目が開いたのがわかると、あわてて周りを見渡した。
「こ・・・ここは天国でふか?」
しかし、そこは先程の遺跡の中。
そして自分の身体を見ると、先程とは違う真新しい服を身に纏い、傍らには小さな麻袋に入ったギルと、タルタル族の好物であるロランベリーが武器と共に置かれていた。

「やさしいゴブリンさんだ・・・ありがとうでふ」
誰もいないのにペコリと頭を下げると、タルタルはその遺跡を後にした。

その何年か後・・・彼女が「その意味」を知った時にかなーりビックリしたことはナイショの話(笑)