「全員止まれ。荷物を下ろせ。本日はここで野営する。
 設営について順次指示をする。どんな姿勢でもいいが話だけは聞け」

隊列を率いるミスラの声に、一同の内からどっと安堵の溜息が湧いた。
サルタバルタの平原の彼方に沈む夕陽に照らされながら、
俗に初期装備と呼ばれる種族ごと揃いの支給品に身を包んだ冒険者見習達は、
荷を背から音を立てて草の上に下ろし、例外無くへたり込んだ。

「たまらんぜ……ただ歩くだけでも足が棒になる距離を、
 荷物を背負って獣人に警戒しながら……
 見付かったら生きるか死ぬかの戦いだしよ……」

一人の青年が、筋肉の代わりに疲労が詰まってしまったかに思える自分の足を
拳で叩きながら、ぼやいていた。

「何言ってんだ。
 こんなのは共和軍団での訓練に比べれば、遠足気分だぞ」

その隣の青年は、幾らか余裕の有る表情で水筒から水を飲んでいる。

「ビリー、お前はいちいちうるさいんだよ。
 愚痴にマジに返すなっての……う?」

大きめの声を上げてビリーという名の相棒を睨み付けようとした青年だったが、
その目の前に急にレザートラウザと褐色の太股が現れたので驚いて呻き声を発した。

「うるさいのはお前だ、リック」

彼等を一日中引き回したミスラが、すぐ脇に立って不機嫌そうな目で見下ろしていた。
ミスラらしく大胆に露出された太股に自分の息がかかるくらいの至近距離。
汗の匂い……単なる汗臭さではない雌の匂いが、リックの鼓動を早めた。

「話は聞け、と言った。
 他人が指示を聞く邪魔になるような声でわめくな」

「す……すみません……教官」

ミスラはひとつ頷くと、踵を返して離れて行った。
歩調に合わせて揺れる尻尾の向こうに見える
トラウザに包まれた形の良い尻に、しばしリックは目を奪われた。

「軍隊だったらビンタだぜ」

ビリーがニヤニヤ笑いながら囁いてきた。
彼の声は教官と呼ばれるミスラには届かなかったらしい。
リックは、要領の良い相棒を、今度は無言で睨み付けた。

彼等は、ウィンダス連邦に冒険者として新規登録した若者達である。
そしてこの一行は、新米冒険者に最低限の知識と技術と常識を与えるための研修、
2名のミスラの教官と、6名の新米冒険者によって構成されている。
新米といっても、この国に登録する前の経歴は様々で、
リックのような全くの初心者もいれば、
ビリーのような軍務経験者もいるし、
また明らかに冒険者としての活動経験があったと思えるメンバーもいた。

テントは2つ建てられ、
それぞれに教官1名、男性2名、女性1名が一組になって休む。
女性の訓練生達は男女別のテントになると思っていたらしく不満の声を上げたが、

「男と並んで寝るのが嫌ならば冒険者になど辞めてしまえ」

と一蹴された。
そう言う教官自身が女であり、
また同じテントにその女性教官も寝るのだからと、女達も納得したようだった。

リックのテントは、エルヴァーンの男性と、
ヒュームの女性、そして夕方に叱られた方の教官という面々になった。

全体で夕食を終えると、リック達のテントの教官は、
全員に川で手拭いを絞らせ、
一つのテントの中で体を拭くよう指示した。

男女2人づつが座る狭いテントの中で鎧を解き始めた教官に、
女性訓練生は慌てて尋ねた。

「あの、男女交代とかではなくて、一度に、この中で、ですか?」

白魔道士を志望しているという女性訓練生は、
リックが好みとするタイプの顔立ちだった。
その顔が困惑と羞恥の表情を浮かべている。

「サッサと異性の前で肌を晒す事に慣れろ、
 死にたくないならな。
 パーティで女がお前一人でも、着替える時、体を拭く時、
 用を足す時に、仲間の目が届かない所へ行くのか?
 『恥ずかしい』などという理由で最も危険な状況を作り出すような奴は、
 仲間を巻き添えにする前に冒険者を辞めるか、
 一人の時に死んでくれ」

そう言いながら、何の躊躇いも無く、汗にまみれた革鎧を外していく。
鎧の中に篭もっていた匂いがテントの中に放たれたような気がした。
ミスラは、狭いテントの中で身をくねらせて脱いでいく。
といっても全く無頓着なわけではなく、男達には背を向けて。

ヒュームの女性も、仕方無くテントの隅で服を脱ぎ始めた。
隠そうとする方がいやらしく見えるもので、
彼女がショートパンツを脱いで、汗の染みた下着に包まれた尻が現れた時には、
リックは充分に勃起していた。

「全て脱げ。体を拭き終わったら内側を向け。
 服はまだ着なくていい」

中央を向いた教官は、膝こそ合わせていたが、
大きくて形の良い胸は隠そうともしていなかった。

「男どもが発情しているのは分かっている。
 構わないから内側を向け。
 お前達のペニスの大きさや形がどんなだろうと
 何の期待もしていないから安心しろ」

さすがに抵抗を覚えながらリックも恐る恐る内側を向く。
エルヴァーンの男のものが、
彼が風聞から想像していた程には立派でないのを見て多少安心し、
覚悟を決めて勃起を教官の視線に晒した。

教官は彼等のペニスについて何ら反応を示さなかったが、
一番遅くまで背を向けて体を拭いていたヒュームの女性は、
体を極力隠しながら振り向いて、彼等の発情の証を見て小さく声を上げた。

「よし……男どもは、これを見ろ」

ミスラの教官は、驚くべきことに、
その場で堂々と股を開いた。
そればかりではなく、自分の手で股間の茂みをかき分け割れ目を開き、
粘膜と穴を訓練生達に見せ付けた。

リックは思わず生唾を飲み込んだ。
女性訓練生が悲鳴に近い声を上げる。

「教官! 一体何のつもりなんですか!?」

「これを見てお前達の、そのいきり立っているものを自分でしごけ」

「ええっ!?」

さすがに、リックも驚きと疑問の声を上げた。

「男女が四六時中行動を共にしなければならない冒険者達は、
 こういう落ち着ける時に性欲を解消してしまわなければ、うまくいかない。
 平時の行動中に気が散る。
 リック、お前も、夕刻に私が注意した時、
 脚と尻しか頭に入らなかっただろう」

「う……」

言葉に詰まった。
教官の秘穴を見てひと回り勃起を大きくしていては、
何を言い訳しても情けないだけだ。

「外には獣人、内には男を警戒していては女も神経がもたん。
 適度に、させてやる。
 その代わり孕まされるような事までは絶対にさせない。
 冒険者の男女間での一般的なバランスは、そこで吊り合っている。
 我慢し過ぎた男に襲われて孕まされてみろ、
 女の冒険者稼業はそこでお仕舞いだ」

リックが、視線は女性器に釘付けのままで、質問した。

「異種族……例えばヒュームとミスラだったら、
 何をしても妊娠しないんじゃないですか?」

「なんだ、ヒューム同士だったら子が作れるところまで、私とやりたいのか?」

「い、いえ……そういうわけでは、ないこともないんですが……ええと……」

「自慰を見せ合うところまでで我慢する癖を付けろということだ」

「見せ合う……って」

女性訓練生の顔が青ざめ、また次の瞬間には紅潮した。

「そうだ、私とお前も股を自分で慰めて、
 男を興奮させてやると同時に自分の性欲も鎮める」

「い、嫌です! そんなのできません!」

「嫌なら服を着ろ。
 今すぐ荷物をまとめて、ウィンダスでなくてもいいからどこへでも行くがいい。
 冒険者登録の削除の手続きはこちらでやっておく」

ヒュームの女性は言葉を失った。
どうあっても冒険者としてやっていかなくてはならない理由があるらしい。

「始めるぞ……私も恥ずかしくないわけではない、
 一人でさせておかないでくれ。
 お前達もサッサと始めろ」

それを最後に教官は口を閉ざし、
細くて形の良い指を恥ずかしい割れ目に当てて擦り始めた。

自ら生み出した刺激に、眉が寄る。

「ん……んん……」

粘膜を縦に何度か擦り、穴の入口をくすぐると、指先が濡れた。
その指先を、小さいながら存在感を増しつつある突起に当て、それを転がし始める。
雄が少なく交尾の機会が滅多に無いため自慰が上手いと噂される、ミスラのオナニーだった。

もうたまらなくなり、リックは自分のものをゆっくりとしごき始めた。

エルヴァーンの男が、意外に渋っていた。

「エルヴァーンともあろうものが、
 ヒュームやミスラの女の裸を見て劣情を催すなど、
 容易に認めるわけにはいかないじゃないか……」

「それだけハッキリと立てておいて、何を言っている」

「お前達も外見上はエルヴァーンの女性に少なからず共通点がある以上、
 体の反応はやむを得ない。
 だがエルヴァーンの精神まで、異種族の女などに屈するわけにはいかないのだ!」

教官は、休み無く性器を弄り回し、その快感に頬を染めながらも、溜息を吐いた。

「ならば私達を精液を排泄するための便所とでも思うのだな。
 それならば満足か」

「……なるほど、それならば、問題無いかもしれない。
 むしろエルヴァーンの女性とならばこのような浅ましい行為を交わすことに抵抗もあるが、
 お前達のような異種族の女とは、
 見るだけで肌を合わせぬこのような行為が適当というものだろう……」

何やら言いながらも、結局エルヴァーンもペニスをしごき始めた。

「お前、無茶苦茶言うな……」

さすがにリックが呆れた声を掛けたが、エルヴァーンは気にかけていないようだったので、
自分を精液便所と思えという教官の声に興奮を高められていたリックは、
それ以上突っ込まずに自慰に専念することにした。

最後まで裸の体を隠していたヒュームの女も、
テントの中の異常な空気にあてられたか、
ついに閉じた太股の間に手を入れて、密かに動かし始めた。

「あん……ああっ! あ、イイ!」

指導の声とはトーンからして違う切ない声が、教官の口から漏れ始めた。

「ん……ああ……二人とも先走りが出て来たようじゃないか」

序々に早まっていく男達の手、それに包まれ震えているペニスを、
教官は熱い視線で見つめる。

「教官だって……もうそんなに愛液を出して、
 ヌルヌルじゃないですか」

リックも言葉で彼女を責める。

控えめに自慰を始めていたヒュームの女も、
いつしか股を開き、割れ目も隠そうとせず声も抑えずに、
性器を弄ることに没頭していた。

「ん! あん! わたしのも見て。
 オナニー見られるのなんて初めて。
 見て、オマ○コ見てぇ、ヌルヌル出してるHな穴も、
 おっきくなったクリトリスも、オシッコの穴も全部見て!」

「ふふ……だいぶ気持ち良さそうなオナニーをするじゃないか」

一心不乱にお互いを興奮の糧にする訓練生達を見て、
教官は満足そうに笑みを浮かべ、
自分の快感を高めることにも集中し始めた。

「んん……ううん……はぁっ……気持ちいい」

「きょ、教官……」

「なんだリック……んっ……あん……」

「あの……クリトリスの皮を剥いて見せて……くれませんか……」

「……いやらしい注文をする奴だな。
 クリトリスを見せるということは、
 どれだけ興奮してしまっているか見せるということだぞ。
 しかも皮を剥いて中身をはっきりと見せろとは……
 女にとってどれだけ恥ずかしいことか分かっているのか?」

「だから、見せて……ほしいんです。
 もうすぐ出そうなんで、
 教官のクリ見ながら射精させてください!」

「射精したいのか。
 それなら仕方ない、
 特別に恥ずかしい所を見せて興奮させてやるから、
 たくさん出すがいい。
 ……ん……こうか?」

教官は襞をかき分け指先で引っ張って、
興奮で膨れ上がったクリトリスを皮から剥き出しにした。

「手拭いに射精して、女の体にはかけるんじゃないぞ。
 自分の排泄部の始末は自分でしろ」

「はいっ……ああ、教官のクリトリス、
 いやらし過ぎます、もう出ます!」

「早く射精しろ……! 恥ずかしい……」

「うう、出る……!!!」

リックはペニスの先端に手拭いを当て、大量に射精した。

「く……私も、もう、たまらん……」

射精が終わるのを待たずして、教官は剥きだしたクリトリスを指でつまみ、
自分の絶頂に向けて階段を駆け上がり始めた。

「やだ……教官もリックさんも、いやらし過ぎ……
 そんなの見せられたらわたしもイッちゃう……
 イッちゃう、やだイクとこ見られちゃう……
 イク、イクぅ……!」

ヒュームの女は膣に2本の指を深々と突っ込み、
性器から潮を噴きながら思い切り体を痙攣させた。

それを見てエルヴァーンの男も手拭を汚す。

教官も腰を持ち上げて体を震わせた。
尻尾が意思を離れて暴れ回る。

全員が絶頂を迎えたテントの中には、
精液と愛液の匂いが充満していた。
教官もヒュームの女も、
イッたばかりで意思によらず痙攣を繰り返す性器を隠そうともせず、
いやらしい匂いの中で余韻に浸っていた。


翌朝、朝食の準備をしながら、隣のテントのメンバー達を見て、
リックは少々興奮がぶり返すのを感じていた。
隣のテントに寝た組には、しとやかな雰囲気のエルヴァーンの女性が居た。
あの女性も、男達の前で自慰をしたのだろうか。

「ようビリー、冒険者って悪くないな」

隣のテントで寝たはずの相棒のビリーに囁き、ニヤリとして見せたが、
なぜかビリーは怪訝な表情を浮かべただけだった。

と、もう一人のミスラの教官が、リックの肩を叩き、囁きかけてきた。

「だいぶ賑やかだったみたいだけど、またやったみたいね。
 こっちのテントの練習生達を周囲の警戒とか言って離れさせるの大変だったわよぉ」

教官の言葉にリックは何か違和感を感じた。

「え……同じ頃、そっちのテントでもアレをやってたんじゃないんですか?」

同じ教官でも、こちらはだいぶ優しげな印象を持つミスラは、困ったような笑いを顔に浮かべた。

「冒険者同士でああいうことを処理するとか、そう教わったんでしょ?
 あのね……そんなことが常識になってるはずないじゃない。
 彼女の悪い癖なのよ、教育だと言って訓練生を巻き込んでHな事するの」

「は……?」

リックは呆然と口を開けた。

我に返ってからとてもとても恥ずかしがっていた、同じテントの、ヒューム女性の訓練生。
彼女が黒魔法の勉強も始めるまでには、ウィンダス周辺から姿をくらまさなければなるまい……。