『なーんかさ、転職したい気分なんだって。』
チョコボでユタンガの森をドライブしながら急に思い出したかのようにユニがそう言った。
『なによ。急に。』
『いや・・・俺、前衛ばっかだろ?たまにはこう魔法とか撃ってみたいのよ。』
そんなもんかしら?
ユニの後を追うように小さなチョコボを走らせながらマリエは考えた。
エルヴァーンでずっと戦士だったユニが魔法を唱えているところなんて想像できない。
ていうかそもそも魔法撃ちたいから後衛になってみたいだなんて単純すぎ。
ユニの記憶力で魔法なんて覚えられるのかな?
確かに後衛で頑張ってる人もいるけど、努力したって私たちの種族みたいには・・・
『魔法はタルタルにまかしとけ。か?』
ユニはチョコボを止め、マリエの顔を覗き込んでにやりとした。

『こないださ。一緒に組んだコでタルタルのナイトがいたんだけど。』
また話が変わった。いつもそうだ。
こんな集中力のない人が魔法なんて絶対向いてない。
『・・・んで、すげーかっこよかったの。聞いてんのか?』
『ん?う、うん。でもなんでナイトなのよ。』
『聞いてないじゃん。かわいいコなのにすげーかっこよかったって話。』
にやにやしながら他の女の話をするユニは嫌い。ましてやタルタルだなんて。
むっとしてマリエはユニをにらみつけた。
『へーっ。そんなにかわいかったんだ?』
『そりゃもう。いつも守ってもらってばっかのお前とは違ったよ。』
あまりの腹立たしさにマリエはチョコボから飛び降りてユニに詰め寄った。
『なにそれ?!いっつも私が回復してあげなきゃなんにもできないくせにっ!』
『俺が盾になってやらないとそのへんのゴブリンにも殺れるくせに、なーに言ってんだか。くやしかったらナイトになってみろよ。』
一瞬の沈黙の後、マリエからきらきらと魔法の破片が浮き出してきた。
『・・・いーわよ。そんなの簡単だもん。ナイトでもなんでもやってやるからっ!』
黒い渦がマリエの体を包みその一言を残してマリエごとその場から消えた。

勢いでナイトになると言ったものの、サンドリアの変なおじいさんに出された課題をこなしながらマリエは後悔し始めていた。
めんどくさい・・・
そして最後の課題を聞いた時にうんざりした。
<ダボイの井戸から騎士の証を持ってこい>
騎士の証なんかどうでもいいのに。
それにダボイなんて一人で行ったことない。けど、いまさらユニに手伝ってなんて言えないし・・・
ユニのことを考えると同時にむかむかも思い出してきた。
『んっ。地図もあるし、ヒントももらったし。なんとかなるよね。』
自分に言い聞かせるようにマリエはそうつぶやいて、チョコボを走らせた。

ダボイに着いたマリエはすぐにオークから身を守るために姿を消す魔法をかけた。
そして地図を片手にうろうろとそれらしい井戸を探して歩き回ったが、行き止まり・切り離された吊り橋・明らかに違うエリアへ向かう洞窟。
いくら魔法で姿を隠してるとはいえ、うじゃうじゃいるオークの間を行ったり来たりするのにも緊張し続けている。
魔法のスキルは自慢できるが、物理的な攻撃をマリエはあまりしたことがなかった。どんなに弱いオークでも勝てるかどうかもわからない。
それでも3周ほどそれを繰り返し見落としたわき道がないか探し回った。
そしてまた入り口に戻ってきた時。
『もーーーやだっ!こんなのわかんないっ』
疲れと思い通りにいかないもどかしさでいらいらして地面にぺたんと座り込んだ。
『でもこのままじゃ帰れないよぉ・・・あっそうだ!』
ごそごそと荷物から冒険者用の携帯電話を取り出し、ダボイにいる他の冒険者を探しだした。
高レベルで手伝ってくれそうな人・・・
『いた!』
暗黒騎士 レベル70 ヒューム 
ユニに頼らずナイトになるだけで、別に誰にも頼っちゃだめって訳じゃないし。
そう言い訳しながらその暗黒騎士に電話をかけてみた。

後衛不足なのか、いつもは必要以上にかかってきてわずらわしく思う電話もこの時ばかりは有難いと思った。
そういえば知らない人にかけるのは初めてだ。
『こ、こんにちはっ。』
『はい?なんでしょうか?』
『突然ごめんなさい。騎士の証を取りに来たんですけど道がわからなくて・・・』
『あー。井戸のやつ?』
『そう!それですっ。』
『案内しますよ^^ そこで待っていてください。』
『ありがとうございますっっ。』
マリエは電話を切って、ふーっと大きく安堵の息をはいた。

しばらくぼんやりしていると大きく手を振りながら一人のヒュームがマリエに近づいてきた。
全身を覆う漆黒の鎧が暑そう・・・
そう思いながらマリエはぴょこんと立ち上がって暗黒騎士に丁寧にお辞儀をした。
『わざわざありがとです。』
『いえいえ、ひまつぶしにうろついてただけだから。じゃあついてきて。』
『はいっ。』
いつものように誰かの後を追いかける安心感を得ながら、マリエは走りはじめた。
『こっちこっち。』
『え・・・でもここって・・・』
暗黒騎士が指指したのは、マリエも何度か来た切れた吊り橋だった。
『ちょっと濡れちゃうけどここから行くんだよ。』
そう言って崖をするっと降りた。
恐る恐るマリエもそれに習って降りようとしたが足が届かず勢いよく川の中へ転げ落ちた。

水が冷たい。
慌てて顔を出して立ち上がったが、ヒュームだと膝までの水位もマリエの胸辺りまで水に浸かってしまう。
その様子を見てくすくす笑う暗黒騎士をまりえはむっとしてにらんだ。
『あ、ごめんごめん。大丈夫?』
まだ口元に笑いを残しながら差し出した手に首を振った。
『平気、歩けます。』
幸い水位は変わらなかったが、川の流れに逆らって歩くのには予想以上に疲れ、歩くたびに跳ねる水がチュニックの頭部にまで浸透し
マリエは頭を振って重たくなった布を振り落とした。
自慢の耳の中まで水が入ってきそうになった頃、やっと岸が見えてきた。
『あとちょっとだよ。』
鎧の音をがしゃがしゃとさせながら暗黒騎士はマリエを振り返って見た。
『ん・・・少し休む?』
全身ずぶ濡れになって肩で息をしながらもマリエは首を振った。
『も・・・う少しなんですよね・・・だいじょぶです。』
『うん、ほらアレだよ。』
指を指す細い道の向こうに井戸らしきものが見える。
井戸と黒く蠢くもの。
『スライム?!』

その見た目も動きも攻撃の仕方もマリエが最も苦手なイキモノのひとつだ。
出来ればかかわりたくない・・・
『アレは俺が引き受けるから、その間に井戸の中から証とちゃってくれる?』
思わず後ずさりしたマリエを一瞥してスライムに向かって鎌を振り下ろす暗黒騎士。
見透かされたみたいでくやしく思いながらも『お願いします・・・』とつぶやいてマリエは井戸に近づいた。
水は枯れてるのかな?
覗き込んでもまっくらで何も見えない。
証って言われたけどどんなものなのかわかんないし、この中に入るの?
井戸に身を乗り出して懸命にそれらしいものを探して手をのばすと、指先に何かが触れた瞬間、後ろからいきなりべとつく液体が飛んできた。
ぱしゅん
『痛いっ!』
鎌で生命を絶たれたスライムの体液だった。
『いやーーーっ気持ち悪い!』
濡れて重くなっただけでも不快な服に、べたべたするスライムの体液が付着してマリエは泣き出した。
『なに泣いてんの?証は?』
『もう・・・やだっ 手は届かないし、スライムでべとべとだし、びしょぬれで気持ち悪いしっ』
戦利品のスライムオイルを片手に武器を背負い直しながら近づく暗黒騎士に向かってマリエは泣き顔のまま一気にまくしたてた。

その理不尽な八つ当たりに明らかにうんざりした顔をして、マリエをひょいと抱えて川に向かって歩き出した。
『なっなにすんのよーーーっまだ取ってないーー!』
足をばたつかせて逃れようとしても両脇を抱き上げるその腕の力は少しもゆるまない。
『離して!降ろして!』
そう叫んだとたん、ぱっと体を支えていた力が消えマリエの体は川の中へ落ちていった。
『・・・っげふげふ・・・なんてことすんのよっ』
『うるさい!』
怒鳴り声にびっくりして見上げると暗黒騎士の目が冷たくマリエを見下ろしていた。
どうしよう・・・殺されちゃうかも・・・・・・逃げなきゃっ
慌てて目をつぶって移動用の魔法を唱え始めようとするマリエの体に何かが飛んできた。
『きゃぁっ』
衝撃を受け魔法は発動せずマリエは再び水中にしりもちをついた。

投げつけられたものは暗黒騎士のヘルムで、素顔をさらしたまま座り込んでいるマリエのチュニックの襟元を掴んで引っぱり起こした。
『ここまで人を使っといて何もせずに逃げるのか?』
そのつもりだったが、マリエは声も出せずに首を横にぶんぶん振った。
『まぁ・・・礼はしっかり頂こう。』
そう言って暗黒騎士はしっかり握っていたチュニックの襟元にもう一方の手をかけて勢いよく引きちぎった。
薄手の白いキャミソールは、水に濡れて肌にべったりと張り付き小さな胸のふくらみの先は寒さで固くとがりその存在を主張していた。
『いやっ!』
お礼の意味がわかって逃れようとマリエはもがいたが、小さな体はがっちりと押さえつけられ身動きがとれない。
『じたばたしても、誰かに助けてもらえないとなんにも出来ないんだろ?』
耳元でそう囁いてから歯を立てて噛み付かれ、同時にとがっていた乳首を強く引っぱり上げられた。
『っーーはぅっ』
痛みとともにぞわぞわした何かが背中に這い登ってくる。
マリエのその様子ににやりとして暗黒騎士は両方の胸に手を伸ばした。
・・・今だっ!
抱きすくめられた力が緩んだ隙にマリエはその腕から逃れることが出来た・・・が、すぐに後頭部を掴まれた。
『まだ逃げられると思ってたの?』
そしてそのまま水の中に沈められた。何度も何度も・・・
やっぱりこのまま死んじゃうんだ・・・こんなとこ来るんじゃなかったぁ
もがく暇もなくマリエの意識は遠くなっていった。

・・・ん・・・・・・あん・・・?
背中がざらざらする・・・
『はぁ・・・っ』
アソコがうにうにと熱い。
とろとろとした感じとくちゅくちゅと変な音がする。
私なにしてたんだっけ?なんか気持ちいい・・・
『やっと起きたか。』
その声にぼんやりしてた頭がクリアになった。
『あっあぁっ!』
身に付けていた物は剥ぎ取られ、足をM字に開かれ上からさっきの暗黒騎士がのしかかっていた。
『やだっやめてぇ!』
『なんだ。気絶してる間は腰振って喜んでたくせに。』
マリエの中をゆっくりと弄んでいた指を引き抜き、快楽にふくらんだ花芯をつまみ上げた。
『ひゃっっ うくぅ・・・』
びくびくと体が震える。

『さて・・・と。』
暗黒騎士はマリエの腰に手をやり持ち上げたまま体の向きを変え、仰向けとなった。
マリエの真下にそそり立ったモノがあてがわれ一気に押し入れられた。
『ああぁぁぁっっ』
濡れているとはいえ、タルタルの体には大き過ぎるソレを受け入れる苦痛などかまわずに激しく突き上げてくる。
『はぅぅ・・・あっんん・・・』
感じてくるのが痛みだけでなくなってきて、切ない声ががちゃがちゃという鎧の音と混ざり合う。
自然に体が快楽を求め動き出す。
『んあっ・・・はっはぁん・・・』
自ら動き出したマリエを好きにさせたまま暗黒騎士はもうひとつの窪みに指を這わせた。

『いゃ・・・ふぁ・・・ああぁっ』
その指には先程手に入れたスライムオイルがたっぷりと塗りつけられていてすんなりと入り込んでいく。
『簡単に入ったな・・・指じゃたりないか?』
再び激しく突き上げられだしたモノと指に息が止まりそうになっているマリエは喘ぐことしか出来ない。
『・・・はっうぅ・・・・・・』
『コレならどうだ?』
指が引き抜かれ、代わりにあてがわれたのは両手鎌の柄だった。
ゆっくりとゆっくりとマリエの体の中に両手鎌が差し込まれてくる。
『あっああぁ・・・いやっあぁぁぁっっ』
同時に二つのモノで犯されたままマリエの意識はまた遠くなっていった。

『で?そのあと放置?』
バストゥークの競売でひさびさに会った友人と、モグハウスに向かいがてらこの間の話をしてやった。
『いや、装備は全部切り刻んで川に流してやったから帰るに帰れなくなってたんでな。』
『帰るに帰れないようにしたんだろw』
『まぁそうとも言うな。可哀想に思った俺は親切にもある提案を出してやったんだ。』
『またとんでもないことなんだろう?』
モグハウスの前に着いた。
『いや・・・たいしたことじゃない。モーグリになれって言ったんだ。』
『はぁ?』
俺は自分の部屋を指差した。
『ココにいるんだ。寄ってくか?モーグリよりは役に立つぞ?』