「おなかすいたーーー」
ジュノ下層競売所前。
商工会議所の石段に座り込んだリンは財布の中身をのぞきこんで情けない声をあげた。
所持金125ギル。
「これじゃー山串も買えないよぅ…飢え死にしちゃうよぉ…」
ミスラのリンは、『元祖不人気ジョブ』と揶揄される『シーフ』を生業にしている。
何が元祖なのか、冒険者になってそれほど長くないリンにはイマイチわからない。
はっきりしているのは、現時点でも不人気じゃん!という事だけである。
不人気=狩りに参加するチャンスが少ない、ということであり、
狩りに出かけなければ、戦利品もクリスタルも獣人の落とすギルも手に入らない。
冒険者業界は街の外で稼いでナンボの、厳しい世界なのである。
「うにゅ〜、仕方ない…」
買い物客でごったがえす競売所をぼんやり眺めていたリンの瞳に、決意の色が宿った。
「冒険者相手のぬすみは本意じゃないんだけどなぁ…」
そう言いつつも、かばんから宝物の兎の護符を取り出す。
耳がギザギザしたウサギからぶんどったモノで、これをつけているとちょっとだけ
ぬすむのが上手くなったような、そんな気がするのだ。
首に護符をかけて、グローブを嵌めなおして、『獲物』を品定めする。
「よっし!あいつにするにゃ!」
盗賊稼業においても、獲物のチョイスは極めて重要である。
まず、あまり強そうな相手を選ばないのは狩りのときと同様だ。自分と同レベル程度以下の相手が好ましい。
手の内を知っている同業者は論外。魔道士は貧乏なことが多い。忍者と狩人からは盗まないのが思いやりだ。
種族でいうならミスラはすばしこくて盗みにくい。かといってタルタルは小さすぎだ。
ヒュームの連中はアタリハズレが大きいので地雷を踏むと最悪である。
以上の点を考慮すると、あまり頭に血が回っていない脳筋系で、お世辞にも俊敏とは言えない
(と、リンは思っている)エルヴァーンやガルカがよい獲物と言えた。
その定義にのっとって、リンがターゲット固定したのは、安物の鎧にあまり切れなさそうな両手剣
を背負ったエルヴァーンの男だった。銀色のぼさぼさした頭はくすんでいて、全体に埃っぽい
感じがする。
…きっと狩りから帰って来て、イイモノをいっぱい持っているにちがいにゃい!
リンはほくそえんで、その男の背後にそーっと忍び寄った。
人ごみに紛れて近づく小柄なミスラになど、男は全く気がつく様子もなく、連れのヒュームの男と
楽しそうに話している。
「よし よし よし♪」
ぴったり背中に貼りつき、ベルトにくっついた小ぶりの鞄のフタに指をかける。
外から見ただけでもギッチリ中身が詰まっていて、いいカンジの鞄だ。
スナップボタンはあっけなく外れ、リンがにんまりしながら中に手を突っ込んだ瞬間。
「そこまで!」
抑えているが鋭い声が飛んできて、鞄を物色しようとしていたリンの手首がぎりっと捻りあげられた。
「…い゛だいっ!…」
驚きつつも上を見る。
声の主は『獲物』の連れらしきヒュームの男。
薄笑いしながら、品定めでもするようにじろじろと見下ろしている。
「手癖悪いねぇ猫ちゃん。でも相手が悪かったかなぁ?」
『相手が悪い』という割には、リンの着ている安物とさしてかわらない質の、魔道士用の装備を身につけた
冒険者だ。
同業者ならともかく、この程度の装備を着る魔道士に勘付かれるなんて、リン的にはあり得ない。
「な、なんで気がついたにゃ!?」
その『あり得ない』相手にバレてしまった動揺を隠せず、リンの声が裏返った。
「ああ、俺昔シーフだったんよ?オズでさんざん乱獲ウゼーっていわれて最近やってないだけで」
リンが驚く様子を見ながら、男は面白そうに答えを返す。
「な、なにこの猫?」
本来の『獲物』であるはずのエルヴァーンがようやく異変に気づいたのか、男に声をかけた。
「おまえ鈍すぎw 稼ぎ全部スられるとこだったぜ?」
ヒュームの男はイマイチ状況を把握していない表情でこちらを見ている『獲物』のエルヴァーンに
視線をいったん移し、再びリンを覗き込む。
「さてっと…GM呼ばれたくなかったら、ちょっとつきあってよ」
リンが連れて行かれたのは、ジュノ下層の競売所と海神楼の間の細い路地だった。
奥には長いが、ガルカなら入るのに一苦労しそうな程の幅しかなく、木箱や梱包材やらが乱雑に
置き棄てられ、山積みになっている。
その隙間から人が行きかう大通りがわずかに覗けたが、往来からこの空間を見つけるのは難しいだろう。
海神楼側の壁に付けられた換気扇から、油っぽい炒め物の匂いが撒き散らされている。
時刻は午後6時過ぎ。
混沌とした、だけど確実に屋外で路上で有り体にいえば公衆の面前で。
「リンちゃんさぁ、最初っからこーやって男とっつかまえりゃよかったじゃん?
……って俺らは金払わないけどなwwww」
冒険者登録証と所持金全て(といっても125ギルだが)を取り上げられたリンは、
『獲物』になるはずだったエルヴァーンに背中から抱えられ、両方の胸を鷲掴みにされていた。
「んーっ……ふぁぅ…っ」
トカゲの皮で出来た薄い装備は既に剥ぎ取られ、小ぶりだが形の良い褐色の乳房が剥きだしである。
「しっかし貧乳だねぇ、こーやって見ると」
元シーフのヒュームは足元に座り込み、敏感な部分を弄られて湿った息を漏らすリンを見上げて楽しんでいた。
じろじろと嘗め回すように視られ、からかわれて、リンの頬が恥ずかしさからか真っ赤に染まる。
「よっ、余計なお世話だにゃ!せめて微乳というにゃ!!」
その『微乳』には色素の薄いエルヴァーンの指が絡みつき、いびつにひしゃげていた。
「おし!ちっと揉んで大きくしてやっか、ん?」
エルヴァーンが鼻で笑う。
自分の手の中で妙に卑猥な雰囲気を醸し出す乳房の感触を楽しむように、ゆっくりとだが無遠慮に、
指を蠢かした。
下から掬って揺すりたて、掌全体で握りつぶさんばかりの勢いで揉みしだく。
「んっ……んくっ……」
同時に頂点の突起を指の腹で擦り、搾るように力を込め、ぴんぴんと弾いた。
手荒に弄ばれる度に痛みと一緒にじんわりと痺れるような快感が広がる。
「あぁぁっ……んっ…!」
リンは堪り兼ねて小さく呻いた。
こんな扱いをされながら感じてしまう自分が恨めしかったが、快感はどんどん強くなってくる。
せめて声を出さないように、気取られないように……。そう思って下を向いて、唇を噛んだ。
「何、リンちゃん、ガマンしなくていーんだよ?こっちはこんなにビンビンなんだしさぁ」
エルヴァーンが見透かしたように大きな耳元で囁く。
親指の爪先で、擦りたてられてぷっくり膨らんだピンク色の乳首を引っ掻いた。
快感が小さな花火のように爆ぜて、噛んでいた唇があっさり綻びる。
「んにゃぁっ…!」
たたみかけるように両の胸の先端を同時に突付きまわされ、つまみ上げられ、くにくにとこね回された。
芯を潰されるような痛みと、我慢できない甘さが断続的に襲ってくる。
「…んーっ…あんっ!……にゃ…んにゃぁっ…!」
一旦糸が切れると、あとは脆い。
「エロい鳴き声だなぁ、発情してんじゃねーの?」
「ミスラは淫乱が多いって聞いたけど、こりゃホントだなぁ、ん?」
絶え間ない快感と、自分を貶めるコトバ。
リンは身体を痙攣させながらも必死でかぶりを振った。
「…ちっ……ちが……あっ」
だけど既に、刺激に耐えるだけのことは出来ず、口の端から男を悦ばせる鳴き声が溢れてしまう。
「……はぁっ…んっ…にゃぁぁっ…んっ…!」
「なーにが違うんだよ、腰までガクガクさせといてからに」
ヒュームが座ったまま、リンの両脚を肩に担ぎ上げる。向かいあわせで肩車をするような格好だ。
「…やっ……」
男の顔の前で大股開きをさせられ、リンは息を呑んだ。
腰と爪先が浮き上がって、身体に力が入らない。長い尻尾がだらりと垂れ下がる。
「おーおー、お約束どおりぐっちょぐちょにして」
ヒュームの指先が、トカゲの皮で作った薄いトラウザの股布をつーっとなぞった。
彼が指摘したように、そこは既にリン自身の分泌した液体でじっとりと濡れていて、下に隠された縦の筋が
くっきりと浮かび上がっている。
「……ふみゃ……ぅ」
布越しに何度も縦筋を往復され、胎内へ通じる入り口を指で突き上げられた。
「ほーら、太腿までマ○コのヨダレが垂れてきた」
生暖かい舌が、太腿の内側をぞろりと這って、溢れた愛液を舐め取った。
「ひゃうぅっっ……っ」
総毛立つ感覚にリンの腰が跳ねた。尻尾がぱたぱたとせわしなく喘ぐ。
ヒュームの指が、濡れた股布の隙間をこじ開けるようにして侵入を図ってくる。
硬い爪のついた指先が、柔らかくて熱い肉襞を遠慮なく弄りはじめた。
「…にゃぁっ……あんっ…んっ…んふぅっ…」
そのたびにぐちゅぐちゅといやらしい水の音が響く。
抵抗できず、ただ鳴き声をあげるだけのリンに、ヒュームは気をよくしたらしい。
「挿れてほしいんだろ…?」
リンの答えなど聞かず、中指を膣口に挿し入れた。
ぷちゅ ぷちゅ ぬちゅ ぐちゅ…
「いやぁ………っ……」
「すげ、モグモグしてる。……俺の指、美味しい?」
リズムをつけて指が突き動かされる。最初はゆっくり、徐々に早く深く。
同じタイミングで、エルヴァーンが乳首を、搾るように揉みしだく。
「あぁっ…!あっ はんっ にゃぁっ んっ んみゃぁぁっ…!」
ぐちゅっ ぶりゅっ ずちゅ ぬちゅちゅっ…!
リンの涙混じりの嬌声と膣口から溢れる卑猥な水音もが、その責めの拍子とぴったり同期する。
「うっはー、すげぇ、大洪水だ」
どこか滑稽な『合奏』でしとどに濡れそぼった股間にヒュームが顔を近づけてきた。
「ひぅぅぅっ……!」
股布を引っ張って脇に寄せる。愛液でぎとぎと濡れ光ったリンの性器が丸出しになった。
早速とりついた舌先が鞘を剥き、膨らんだ肉芽を突付きまわす。
「……やっ…みゃぁぁっ あっ ふにゃうぅぅぅんっっ…!!」
壊れんばかりに腰を振りたて、髪を乱して鳴き叫ぶリン。
「キモチいいか?牝猫ちゃん」
その痴態に調子に乗ったヒュームは、性器にかぶりつき、じゅくじゅく音を立てて吸い上げる。
リンにとってそれはあまりにも刺激が強すぎた。
「はぁぁんっ……あっ……にゃっ…んみゃぁぁぁぁっっ…!」
ぷしゅぅぅっ!
潮を吹くように勢いよく愛液が飛び散る。
同時にリンの身体が、くたりと弛緩した。
「オイオイ、イっちまうなよ?これからって時によー」
「オマエがくどくど責めるから悪いんだろがww」
「もぅ……ドロボウなんてしないにゃ……だから…ゆる……ゆるしてぇ……」
ぐしょぐしょに濡れたトラウザを膝までずり下げられたリンは泣きながら懇願した。
四つんばいに近い格好だが、尻だけをエルヴァーンに高々と抱え上げられ、開ききった襞の奥に
剛直をあてがわれている。
「許せないねぇ、しっかりお灸すえとかなきゃなー」
エルヴァーンはニタニタ笑いながら、先端で入り口を軽くかき回し、ごく浅くぷちゅぷちゅと挿し入れし、
感触とリンの反応を楽しんだ。
「おー、リンちゃん、締る締る」
「はぁぁぅっ んみゃぁっ んくうんっ…!」
さんざん弄り回されて過敏になっているリンは、尻を突き出した姿勢のまま、涙を流しながらも
快楽の声をあげる。
「そら、奥まで突くぞ…っと」
エルヴァーンがリンを抱えなおした。
黒っぽい牡の器官が、勢いをつけて肉襞の奥の秘穴に、打ち込まれる。
「んにゃぁぁあぁぁあぁぁっ……!」
路地裏に悲痛な絶叫が響く。
だが競売所前の雑踏は、そんな声をもたやすく飲み込み、誰ひとり気づくことはない。
「いたいぃぃぃぃ……はぁうぅ……いやにゃぁっ……!」
見開いた目から新しい涙がばたばたこぼれる。
むりやり捻じ込まれた器官がギチギチと前後に動かされ、擦れたところから血液混じりの愛液が溢れた。
「…んっ……ーーーっ……ん゛っっっ゛!」
涎と汗と涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらも、必死に口腔内の侵入者を舌で愛撫するリン。
恐怖と快楽で蕩かされた彼女は、ただ機械のように奉仕を続けていた。
「くぅ……出すぞ…全部飲めよ……!」
ヒュームが激しく腰を動かし、いやいやと必死でかぶりを振るリンの口腔の中に精を放つ。
「……んあぁぁっっ……っ……ぅ……!」
生臭い白い液体がリンの唇から大量に溢れ、褐色の頬から首筋を盛大に白く汚した。
「うぅぅ……にゃあぅ……」
精液まみれになり、むせ返るその姿は、後ろからリンを犯し続けているエルヴァーンの劣情をさらに煽った。
ぐったりとした上半身を抱き起こし、先刻さんざん弄った乳房と乳首を、再び手の中に収め、なぶる。
「ふみゃぅぅんっ…」
口腔を解放されたリンが喉をそらせて高い嬌声をあげた。
最初に挿入されたときの苦悶の色は微塵も感じられない、牝の声だ。
「何、リンちゃん、きもちいいの?犯されてんのに?」
「…あぁぁぅ……うみゃぁっ……にゃぁぁっ…」
「あいつのザーメンかけられてエロ猫になっちゃったか?ココもすんげー、コリコリ」
エルヴァーンが笑いながら勃ちあがった乳首を指先で擦りつぶし、自らの腰を揺さぶる。
「ふみゃ…みゃぁっ…あぁっ…んっ……いいにゃぅっ……だめぇ……イっちゃう…ぅ…」
リンは銀色の髪を乱し、焦点の定まらない眼でエルヴァーンを振り返った。
誘うように尻を振り、長い尻尾をぱたぱたとせわしなく動かす。
「あー、俺もヤバい…かも」
エルヴァーンが切羽つまった呻き声を漏らした。胸から手を離して、再び尻を両手で、がっちり掴む。
腕にはうっすら筋が浮いて、リンの尻を掴んでいる手に力がこめられているのが見てとれた。
「……出るぞぉっ……っ……」
尻と下腹部を早いテンポで、断続的に打ちつける。ぴたぴたと肉の弾ける音が繰り返された。
「んぁっ みゃぁっ んくっ にゃぅっ…!」
深く突き上げるたびに、リンの身体が雷に打たれたようにのけぞる。何度も、何度も。
そして何度目か何十回目か。
絶頂を迎えたリンが獣じみた声で高く長く鳴いた。
「はんっ ふぅぅっ…にゃぅっ…イっちゃ……イっちゃうぅぅぅっ!!」
エルヴァーンを呑み込んだか細い腰がひくひくと痙攣する。
尻尾が一瞬、地面と垂直にぴんっと伸び、すぐにだらりとなった。
「…くぅ〜……マジよかったわ…」
エルヴァーンが呆けた表情で肉襞から萎えた自身を引き抜く。
ぬちゅり…という音と一緒に、胎内にぶちまけられた精液の残滓がぼたぼたと石畳に落ちた。
その後。
「シーフ」としてのリンの姿を見たものはいない。
ただ、ジュノ下層の雑踏の中、熟練の冒険者を手招きして路地に誘い込む彼女は、何度か目撃されている。
大き目のマントをだぶっと羽織り、足元にサンダルをつっかけただけの危うい格好で。
「お兄さん、遊ばないかにゃ?あたしの舌はザラザラしてるから、とてとてキモチイイよ♪」
そういって覗かせるマントの中は、一糸纏わぬ姿だとか。
もし機会に恵まれたなら、誘いに乗ってみるのもまた一興ではないかと思われる。