エル♂F2黒髪白魔×ヒュム♀F2金髪ナイト
ひょいと部屋の中を覗くと、ヤハイがナイト専用の白い鎧に身を包み、
片手剣と盾を装備していた。
「どこか行くのか?」
今日は確かリンクシェルの仲間との約束もなかったはずだと思ったルウはヤハイに訊ねる。
ヤハイはごく短い言葉で、簡潔に答えた。
「小金稼ぎにデルフクまで行って来る」
「それなら俺も・・・」
「一人で行く」
「・・・・・」
あっさりきっぱりとルウの申し出を断ったヤハイは纏めあげている金髪を靡かせて部屋から出て行った。
一人ぽつんと残されたルウはがっくりと肩を落とす。
ヤハイと(一応)恋人同士になって一ヶ月ほど。
出会ってからは数ヶ月。
前に比べれば心を許してくれていると思うのだが、未だ彼女はほどんと一人で行動している。
ルウに出会う前はずっと一人で旅をしていたのだから一人の方が心地良いのかもしれない。
氷の様に凍ってしまった心がすぐに溶けるとも思っていない。
けれど。
(もう少し、頼ってくれよな・・・。そりゃあ俺は白魔だからナイトのヤハイから見ればひ弱に見えるかもしれないが・・・)
壁に顔をつきつけていじいじと「の」の字を書いてしまうルウ。
他のエルヴァーンが見たら、それが誇り高きエルヴァーンのすることか! とヒステリックに叫ぶこと間違いなしの姿だ。
(・・・・・)
「の」の字を書いていた指を止め、ルウは顔をあげる。
こんなことではダメだ。
彼女が心を開いてくれるのを待っているだけではダメだ。
自分から、彼女の心に触れなくては。
彼女をことを、本当に愛しているから。
よしっ、と気合をいれて、ルウはデルクフへと向かった。
ヤハイはいつも、ヒトの来ないデルクフの塔で小金稼ぎをしてる。
ヤハイほどのナイトならばもっと稼げる処があるのだが、ヒトがあまりこないから、
という理由でちまちまこつこつとドールやら巨人やらポットやら時々現れるエレメンタルやらを相手にしてた。
からまれる心配はないのでルウはおおっぴらに走りまわりながらヤハイの姿を捜す。
8階、9階と昇って行き、10階で巨人を相手にしているヤハイを見つけた。
「ヤーハーイー」
思わず満面の笑みでぶんぶんと手を振ってしまうルウである。
小さなタルタルがすればかわいいのだが、ルウは長身のエルヴァーン。しかも男。
ジュノの下層あたりでやってしまえば数多の女性を幻滅させてしまうことだろう。
「・・・ルウ・・・!?」
巨人に最後の一太刀を浴びせたヤハイがルウの声と姿を認めて眉を顰める。
「なんでここに・・・」
「いや、やはり俺も手伝おうと思って・・・」
ルウのその言葉にヤハイが思い切り不機嫌な表情を作った。
「一人でいいって、言ったでしょう」
「そうだが・・・その、たまには二人でってのも良くないデスカ?」
予想以上のヤハイの拒絶にルウはしどろもどろになる。
ヤハイは腰に手を当ててふー、と息を吐く。
「多分心配して来てくれたんだろうけど・・・私は一人でも大丈夫だから」
「心配・・・まあそれもあるが、たまには二人っきりで金策とかしたいな、と・・・」
「・・・なんで?」
「なんでって・・・」
―恋人と一緒にいたいと思うのは当然のことだろう。
そう告げて、ルウに来るのではなかった、言うのではなかったという後悔が押し寄せてきた。
ヤハイがますます不機嫌になったのが手に取るようにわかったからだ。
「確かに私とルウは恋人同士だけど」
ああ、一応は意識してくれていたのか。
ぼんやりとルウは思う。
少しだけ幸せになったが、それもヤハイの次の言葉で掻き消された。
「白魔なんて、一緒にいても足手まといなだけよ」
そう言って、ヤハイが背を向けて奥へと消えていく。
ルウはその姿をぼんやりと見送ることしかできなかった。
ああ、やっぱり自分はひ弱と思われてたのか。
そうだよなぁ。ナイトなら自己ケアルもできるし・・・。
少し金策するくらいなら白魔なんて必要ないよなぁ・・・アハハ・・・。
ショックであっちの世界に逝きそうになった瞬間。
はっとルウはあることに気が付く。
ヤハイが向かった方角。
その先は・・・。
「まずい・・・ヤハイ!」
扉を抜けると、案の定ヤハイが巨人相手に苦戦していた。
デルクフの塔の11階からは熟練の冒険者でも苦戦する場所なのだ。
考えるより先に魔法が口をついて出た。
「ケアルW!!」
白い光がヤハイの身を包みその傷を癒す。
ヤハイが再びルウの存在を認め、何かを叫ぼうと口を開くが巨人からの重い一撃を受け止める為にその唇をぎりりと噛み締めた。
すると巨人がその標的をヤハイからルウへと転じた。
「挑は・・・」
反射的に、ヤハイが標的を自分に向けようとアビリティを発動させようとするが何故か口を噤み苦汁を噛み締めるような表情になった。
金策の為にサポートジョブを戦士ではなくシーフにしていたんだろうな、とストンスキンを唱えながらルウは思う。
標的が前衛ではなく後衛である自分に向けられた時、周りの慌てようとは裏腹に本人はいたって冷静だったりするのだ。
巨人の一撃にストンスキンの詠唱が止められてしまう。
身体を襲う鈍い痛みにルウの意識が飛びかける。
「ケアルW! フラッシュ!」
ヤハイが魔法を叫ぶ。
だがケアルのみがルウにかけられただけでフラッシュは発動しなかった。
それだけで巨人が標的をヤハイに向けるはずもなく、ルウは巨人に殴られ続けた。
「インビンシブルで時間を稼ぐからデジョンしなさい! サポ黒でしょう!?」
巨人の後ろから剣を振るいながらヤハイが叫ぶ。
「だが、それではヤハイが・・・」
「私のことはいいから! っインビンシブル!!」
ヤハイの声がルウの耳に響く。
くるりと巨人がルウからヤハイに方向転換した。
それが視界に入った時。
ルウの意識は飛んだ。
意識が飛ぶ瞬間、自分の名を叫ぶヤハイの声が聞こえたような気がした。
うっすらと目を開けると、いつもの無表情なヤハイの顔が飛び込んできた。
「ヤハイ・・・」
呟いて身体を起こそうとするがヤハイに押し止められる。
「まだ衰弱中なんだから起きないで」
額を冷たいものがすべる。
それがヤハイの手で、自分は今ヤハイの膝に頭を預けているのだとルウは悟った。
(ひ、膝枕・・・)
初めてのことに立場も忘れて悦に入る。
だが自分が倒れた時の状況を思い出して我に返った。
「巨人は・・・」
少しかすれた声で訊ねる。
「大丈夫。なんとか倒した」
簡潔に、答えが返って来た。
そうか、と呟くと、ヤハイがため息をついた。
「だから、言ったでしょう。ついてくるなって。
私一人ならなんとか勝てたのよ。
それなのに勝手についてきて・・・」
「そうだな。すまない。本当に足手まといになった」
「まったくよ。倒れたってレイズ1しかないのに」
「ははは。ま、自業自得だ」
「本当に・・・」
急に、ヤハイの声が小さく萎んだ。
それに気が付きルウは不思議に思う。
その時、ルウの頬に水滴が落ちてきた。
(・・・え)
のろのろと指でそれを拭うが、それは後から後から止めどなく落ちてくる。
ゆっくりと顔をあげると、そこには両手で顔を覆うヤハイの姿。
その指の間からルウの頬を濡らすものがこぼれていた。
ルウの頬を濡らすもの。
それは間違いなく、ヤハイの涙だった。
「ヤハイ・・・!?」
驚いて、ルウは起き上がりヤハイの顔を覗き込む。
「な、なぜ泣く!?」
訊ねたルウに答えたのか、それともただの独り言なのか、ヤハイの唇から途切れ途切れに言葉が漏れた。
「ご、めん・・・ごめん、なさい・・・」
「なぜ謝る? ヤハイはなにも・・・」
「違うの。私・・・私本当は、ルウが来てくれて嬉しかったの。
なのに、それなのに嬉しいって言えなくて・・・素直になれなくて・・・
足手まといだなんて言って、ルウを傷つけたのに・・・
それなのにルウは私を追ってきて私を守って倒れて・・・」
ひっく、とヤハイの声がしゃくり上がる。
「本当は、ナイトの私がルウを守って倒れるべきだったのに・・・
ううん、ナイトとかじゃなくて、足手まといだなんて言った私が倒れるはずだったのに・・・」
だから、ごめんなさい。
そう言って、泣き続けるヤハイを、ルウはそっと抱きしめた。
びくりとヤハイの身体が跳ねる。
「気にしてない、足手まといだと言われたことなど。
俺はヤハイのそういう素直になれない性格よく解っている。
解っていなかったら、恋人なんかにならない。
解っていて、そういうところもひっくるめて、ヤハイのことが好きなんだ。
だから、ヤハイを護れて嬉しかった」
ふっとヤハイが顔をあげる。
涙でぐしゃぐしゃの顔にルウは手を添えた。
「なんで、白魔がナイトを守るのよ・・・」
「ナイトとか、白魔とかではなくて、俺はヤハイという女性(ヒト)を護りたいと思っているんだ」
言って自分の唇をヤハイの唇に重ねる。
本当は、足手まといと言われたことをこれっぽっちも気にしていなかった訳じゃない。
けれども、それ以上に素直になれなかったことを後悔して自分を責めるヤハイのことが、ルウは愛しくてたまらなかった。
浅い口付けのあと、ルウはヤハイの額にも口付け、そして耳元で囁いた。
「良い・・・?」
「ここ、で・・・?」
「ああ。止まりそうにもない」
「衰弱は」
「もう治った」
「・・・・・」
すう、とヤハイが息を吸って。小さく、けれども確かに頷いた。
形の良い乳房がルウの手の平で押しつぶされた。
鎖骨まで捲り上げたアーティファクトの衣を握り締めて、ヤハイがその刺激に耐える。
やわやわと緩急をつけてもみ上げ、手の平に起ち上がったものの感触を認めると手を離してそれを指でつまむ。
「あっ・・・ん・・・」
ヤハイの鼻にかかった声に口元を緩ませ、どんどん硬くなっていくそれを親指と人差し指の腹で転がす。
そうしている間にも空いた手で太腿を撫ぜることは忘れない。
ナイトのアーティファクトはベルトを通して衣が胸から太腿まで垂れている。
そして今、その衣はヤハイの鎖骨まで捲り上げられている。
固いレギンスはもちろんのこと、ブリーチズもとっくのとうに剥ぎ取っているヤハイの下半身は白い下着一枚の状態だ。
ゆっくりと、太腿を撫ぜていた手で閉じている脚を割る。
下着の上から秘所を指先で撫で上げる。
「ひゃっ・・・」
「下着の上からでも、感じるのか?」
からかうように耳元で囁くとヤハイの顔が真っ赤になった。
恋人同士とはいえ、実は身体を重ねたことはまだなかった。
「初めて」がこんなところとはな、とルウは内心苦笑する。
そのまま秘所を撫で続けているとしっとりと湿り気を帯びてきた。
乳房を弄んでいた手を離し、衣を握っていたヤハイの手をそっと退けさせてもう少し衣を捲り上げる。
くっきりと浮かんでいる鎖骨にそのまま唇を落とし、きつく吸い上げた。
ヤハイの感じるところを探るように、そこここに唇を落とす。
「んっ・・・はっ、あ・・・」
退けさせられた手でヤハイがルウの肩を掴む。
白い肌に、赤い痕がいくつもいくつもつけられていく。
柔らかい、しっとりとした肌の感触にルウは夢中になって下半身へ刺激を加えることを忘れていた。
鎖骨から胸へ、胸から腹へと唇を移動させていってそれに気が付き、慌てて秘所に触れる。
指先に伝わったその感触にルウは思わず息を呑んだ。
「すごいな・・・ヤハイ」
「・・・え?」
「下着がぐしょぐしょに濡れてる」
「っ・・・!!」
ルウから告げられた言葉にヤハイが脚を閉じようとする。
それを両手で押し止め、ルウはヤハイの脚を思い切り開かせた。
「やあっ・・・!」
羞恥心からか、ヤハイがか細い悲鳴をあげる。
だがルウは気にもとめず脚の間に身体を割り込ませ、下着を剥ぎ取った。
ぬちゃ、という音が微かに響く。
器用に下着を脱がせて、ルウはヤハイの目の前にそれを持って行った。
「ほら、ヤハイ。こんなに濡れてる・・・」
「や、やめてよ・・・」
きつく目を閉じてヤハイが自分の下着から顔を背けた。
ヤハイのその反応に満足してルウは下着を放り投げると太腿を掴んでヤハイの秘所に見入った。
綺麗な桃色の花弁がぬらぬらと妖しく光っている。
デルクフの薄暗い中でも、それははっきりとわかった。
起ち上がりかけている花芯をそっとつまみ、乳房のそれと同じように親指と人差し指の腹で転がす。
「ひああ!?」
乳房の時とは比べ物にならないくらいに、ヤハイの身体が跳ねた。
「気持ちいいか?」
くりくりと転がしながら訊ねるが、もちろん答えは返ってこない。
代わりに返って来たのは悲鳴にも似た喘ぎ声だった。
花芯を弄ぶ指は止めずに、もう片方の手で蜜が溢れている花弁の奥に分け入る。
人差し指を一本挿れるとヤハイの身体が強張った。
花芯を弄ぶことはやめてこちらに集中する。
ゆっくりと、人差し指をナカで折り曲げる。
「んっ・・・んんっ・・・」
悩ましげに、ヤハイが眉を顰めたがそれは痛みのせいではないというのはわかっていた。
人差し指を折り曲げ、引き出し、押し上げ、ルウはヤハイの感じるところを探る。
すると、ある一点を突くとヤハイが小さく悲鳴をあげた。
「ここ・・・?」
その一点をルウは強く突く。
「ああっ! あ、あ、ルウ、やめ・・・やめて・・・」
「ここか?」
にこりと笑って、ルウはしつこくそこを攻めた。
「あうっ、あ、は・・・」
身を捩って逃げようとするヤハイを太腿を掴んで阻止する。
もう一本、中指を挿れてナカを掻き回しつつもその一点だけは的確に突き続けた。
どくどくと秘所から蜜が溢れ出、ヤハイが狂ったように喘ぐ。
「ふあっ、あっ、あ、あ、・・・っ、あ」
びくっとヤハイの身体が硬直したかと思うと、ルウの指がきゅうっと締め付けられた。
そして、次の瞬間にはヤハイがくたりと脱力していた。
「イったのか?」
「・・・ん・・・」
額に手をやり、呼吸を整えようとしているヤハイの唇をルウは自分の唇で塞ぐ。
お互いの舌を絡めあい、お互いの唇を強く吸う。
唇を離せば、ヤハイの呼吸は唇を合わせる前よりも激しくなっていた。
ルウはそっとヤハイの頬に口付けながら片手で器用に自分のモノを取り出す。
それはもう限界まで張り詰めきっていた。
先端をヤハイの入り口に宛がうと、ヤハイがぴくっと震えた。
気にせず、ルウは自分の身体を沈めていく。
「んっ、く・・・」
苦しそうに、ヤハイが息をつく。
だが苦しいのはルウも同じだった。
ヤハイのナカは狭く、ルウのモノを易々とは受け入れてくれない。
それでも強引に推し進め、根元まですっかり納めるとルウの額には汗が浮かんでいた。
「くうっ・・・」
襲い掛かってくる締め付けに、ルウは汗を拭う余裕もなかった。
ヤハイの細い腰を掴み、抜き差しを開始する。
「きゃっ・・・!? あっ、ルウ、やめ、あっあっ」
ヤハイが制止の声をあげるが、もうルウの耳には届いていない。
前へ後ろへと腰を揺さぶり、ヤハイの身体を揺さぶり、ただ快楽を追求する。
「あっ、ああ、ルウ、ルウ・・・!」
「っは・・・ヤハイ、ダメだ、もう・・・」
再度、ヤハイの身体が硬直し、そして脱力した時。
ルウはヤハイのナカに自分の欲望を吐き出していた。
床に寝そべっているヤハイの身体を、ルウは揺さぶる。
「ルウ、起きろ。いいかげん戻らないといけない時間だ」
「・・・ん〜・・・」
「俺、デジョン2ないからな。ダルくても歩きだ」
「・・・おんぶ・・・」
「は?」
「おんぶ・・・」
言って、ヤハイはのろのろとルウの背中に覆いかぶさる。
仕方ないな、とぼやきながらも、ルウは頬が緩むのを押さえきれない。
情事の後の疲れで半分眠っている状態のヤハイを背に負うとゆっくりと歩き始めた。
背中のヤハイに、静かに語りかける。
「・・・ヤハイ」
「ん・・・」
「これからは、もっと素直になれよ。
俺は全部、受け止めるから」
答えの代わりに返ってきたのは、静かな寝息だった。