Kaede:忍者?
Ensetsu:私と、ヨミ……おまえの母は、昔、東方からの文化の伝来する地、ノーグにすんでいた。
Ensetsu:私はただの海賊船の船員。ヨミは、父から忍びの技を受け継いだ、男顔負けの生粋の戦闘員だった。強い女性だった………。
<エンセツの回想開始>
鍛錬場に屈強な男達が10数人転がっている。
みな一様に疲れ果て、抜き身の自慢の一物も萎えていた。
真ん中で腰に手をあてただひとり立っているヒュームの女は一糸纏わぬ裸体であった。
結い上げた黒髪に縁取られた端整な顔、お椀型の理想的な曲線を描く乳房、括れた腰、引き締まった尻、
黒い翳りに覆われた秘所、その後ろの茶色の窄まりまで、どこもかしこも白い液体で汚れていないところはなかった。
「さぁ、次は誰が相手なの?」その問いに答える者は誰もいなかった。
湯浴みをして汚れた身体を洗い新しい忍び装束に着替えた女は本日の訓練の結果を頭領に報告しにきていた。
「みな不甲斐無いさ過ぎます、これでは訓練になりません。」
「ヨミよ〜おめぇはそういうが、あいつらも世間じゃあ一流の使い手なんだぜ?」
ギルがメッシュは日に焼けた顔をしかめて目の前の娘に言ってみるが、事実ノーグの戦闘員でヨミに適う者はいないだろう。
「ですが、あの者たちでは修行になりません。」長い睫を伏せてヨミはうな垂れた。
「ん〜偶には戦闘員以外も相手にしてみるのもいいかもしれん。」
「ええ?!」
「そうだな、エンセツがいいだろ。ちょいっと行ってみな。」
頭領に言うことは絶対だ。
仕方無くヨミは船着場へ向いエンセツなる男を探すことにした。
ヨミは生粋の戦闘員だ。
幼い頃から父にありとあらゆる技を仕込まれた。
その中には敵を篭絡するくの一の常套手段である床技も含まれていた。
先輩のくの一の手で淫らな技を施され身体に叩き込まれ、父の前で戦闘員の男とまぐわった。
セックスに対して恥じらいだの喜びだの感じたことは無い。身に付けなければならぬ技術のひとつでしかなかった。
エリートであるヨミが船着場にやって来ることなど滅多になかった。
まして下っ端船員の顔など知るはずも無い。
最初に見かけた男にエンセツはどこかと尋ねると、男はお待ち下さいといなりすっ飛んで行った。
しばらくすると複数の荒くれ男どもが目立たない感じのヒュームの男を引き立ててきた。
「ヨミ様、こいつがエンセツです。何か無礼なことを仕出かしたならお手を煩わせることはありません、俺たちで始末しますが。」
「いえ、御頭に言われてこの男に用があるのです。」静かに答えるヨミに男どもはエンセツを置いて下がった。
ヨミの前に引き出された男は身に覚えのないことにおどおどしていた。
「着いて来なさい。」そういうとヨミはスタスタと歩き出す。慌ててエンセツも後を追った。
そこはヨミの自室だった。
着くなり「私を抱きなさい。」そう言うが早いか忍び服を脱ぎ捨て全裸になる。
訳が分からないままついてきたエンセツだったが、ヨミの言動に度肝を抜かれた。
『100人切りのヨミ』と呼ばれる彼女の相手が並みの男では務まらないことぐらいノーグの男なら誰でも知っている。
だがその身体を抱けるなら死んでもいいと妄想している非戦闘員の男が多いのもまた事実だった。
俺の人生もここで終わったな、エンセツはそう悟った。