アル  ヒューム♂ 合成のための倉庫キャラ
ミント ヒューム♀ 金魚掬いNPCのつもり

始めまして僕はアルって言います。
バストゥーク在住で合成と栽培で生計をたてています。鉱山区のモグハウスにお世話になり今朝もすがすがしい朝を迎えます。
今朝も5時に起き、栽培のチェックを済まし、ポストを覗き、簡易の食事を済ませて服を着替えると急いで部屋を後にして外へと走り出します。
ギルド開店前の行列に負けじと並びアイテムを購入するためです。
といっても開店は8時なのでそれまで競売所で必要なアイテムを購入し、それからギルドへと向かいます。
でも今日のバストゥーク鉱山区はいつもと違っていました。そう、チンチチという音と共に空に上がる花火
夏の風物詩である夏祭りが行われ始めたようです。競売所の横で普段見慣れない女性がなにやら露店を広げ始めていました。
そっと僕は彼女に声をかける。彼女は僕に微笑み返すと、夏祭りの間、冒険者を相手に金魚すくいを始めるということを教えてくれました。
可愛い笑顔の裏に少し陰りを感じ、後ろ髪を惹かれる思いをしながらも僕は錬金術ギルドへと急ぎました。
お目当ての品物を購入し、競売で購入した商品とそれをつかい合成を始めます。
シュワシュワー パリーン!
等と合成をしているうちに昼の食事も忘れ窓から覗く空は赤みを帯び始めています。時計を眺めると18時...時間はあっという間に過ぎて行きます。
今日の自分に課すノルマを終了すると、そのまま家路へと向かいます。
朝見かけた競売横の露店は店が見えなくなるほどの人でごったがえしていました。
金魚すくいがどれほど面白いものか経験がない僕には分かりませんが、この様子を見ている限りでは何時間も待たなければさせてもらえないような気がしました。
そのとき僕のおなかが空腹を訴え、物見も程ほどに帰宅する足を速ました。
お決まりの食事を済まし、ふかふかとは言いがたいベッドの上に寝転がると一日の疲れを癒すようにそのまま眠りの世界へと堕ちていく。
おやすみなさい...
翌日、毎日繰り返されるように起床すると、栽培チェック、ポストチェック、食事、着替え、流れるように済ますと外出する。
競売所でクリスタルや素材を買い込み、ギルドへと向かう。
しかし、昨日からいつのも流れに少し変化が起きました。今日も彼女は朝早くから露店の準備を始めていました。
彼女の名前はミント、夏の終わりまでの3o日間ここで金魚すくいの露店を続けることを教えてくれた。
今晩時間があれば僕も是非金魚すくいをしてみたいと約束を交わし、足早に錬金術ギルドへと向います。
シュワシュワー ポン!
合成を繰り返して、気が付いたころには西日が部屋に差込、アジマばあさんの顔をオレンジ色に色づかせていた。
ノルマは達成し、手持ちの素材も少なくなったので今日も家路に向かう準備を始めます。
競売所横を通りがかると、昨日と同じように露店を覆い尽くすほどの人ごみがそこに出来上がっていました。
これでは到底僕が金魚すくいをする時間はなさそうだと諦め、そのまま何事も無いように通り過ぎるとモグハウスに帰り就床する。
繰り返される日々、いつもと変わらない日常、仕事というものはこういうものだと諦めながらも日々繰り返す。

この夏の唯一の変化であるミントさんとのわずかな朝の会話。でもこれだけでも乾ききった僕の生活を潤すものになっていました。
彼女と出会ってから一週間がたち、僕達の朝の会話の時間は日増しに増えていきました。ギルド開店前に僕の姿はありません。
昼まで彼女と会話をし、簡素なお弁当も二人で食べるとそれは豪華な食事のような錯覚さえ覚えてしまうほどでした。
昼からギルドに向かい、日が暮れるとその日も家路を急ぐ。競売横をとおり彼女の姿を眺めながら通り過ぎる。
だけど今日は違った。僕はその足をとめ、露店へと向かった。今まで賑わっていたはずのこの場所だったが今日は幸い人が少なかった。
これをチャンスとばかりに僕は初めて金魚すくいをする。彼女からポイというものを受け取り、水槽で泳ぐ金魚をそれをつかってすくい揚げる。
結果は0匹。最初はこんなものだと微笑む彼女。
1回1ooギル。大した金額ではない...が今日は一度だけにしてまた明日チャレンジするといって店を後にする。

それから三日が過ぎ、僕は初めて金魚をすくい上げた。手を叩いて喜んでくれるミントさん。そして僕に景品の話をしてくれた。
次は景品を目指して、もっと多くの金魚を救えるようにチャレンジしていた。やがて僕は一度で1o匹は掬える様になっていた。
変化が無かった日常に、夕方から数時間彼女と二人の時間がとても有意義な時間に思え始めました。

彼女とであってからはや3週間がたったころ、僕は一つの変化に気付いた。いや、気付くのが遅かったのかもしれない。
いつもどおり起床、昼食までミントさんと話し合い、夕方までギルドでの合成、そして店じまいまでの金魚すくい。
こんな生活が2週間繰り返されていたが、大きく変わったのは彼女のお店にはほとんどお客さんがこなくなってしまっていたことでした。
開店当時、あまりの人ごみで彼女の顔さえ見ることができなかったはずだが、今となっては彼女の姿が見えなくなるほどの人ごみはできない。
多くても1時間に1o人程度、それでも僕はまるでやとわれサクラのように彼女からもらうポイで金魚を掬っていた。
このことを僕は彼女に話した。そしてこう応える彼女
【娯楽は飽きがきてしまうとそれで終わりなの...それに私も秋がくるまでしかここにいれないから...】
言葉遊びを含みながら、彼女のいった言葉はむなしさを感じることができた。仕事と娯楽は違う。
僕は合成を面白いとは思わない。もちろん飽きなんてとっくの昔から感じてはいるが生きるための仕事でやめるわけにはいかない。
お店にお客さんが日増しに来なくなり、彼女と二人だけの時間がその分長くなっていた。お互いの悩みを話し合ううちに彼女は僕に過去の話をしてくれた。
彼女はこの世界の人間ではなかったこと、パラレルワールドといわれる同じ世界でも決して交わることの出来ないもう一つのヴァナディール
そこで彼女は冒険者として世界を駆け回っていたと言った。
この世界に来たのはGMと呼ばれる人にノルマを課せられたからだそうで、夏の終わりまで金魚すくいでGM達に貢献することが目的だった。
僕も合成する一日のノルマは自分で決めていた。最近はさっぱりそのノルマを達成してはいないけど...
彼女に課せられたノルマは3o日間で金魚すくいだけで1oo万ギル。1回1ooギルだから1万人のお客さんを呼ばなければいけなかった。
一日に数回チャレンジする人もいるし、実際そんなに人は呼ばなくてもいいみたいでしたが
けど、それでも1ooギルずつもらって1oo万ギル貯めるのは気が遠くなりそうな数字だった。
でも彼女はいつも笑顔で答えてくれる。そんな彼女に僕は恋をしていた。

今日も僕は彼女の露店に居た。仕事をサボり、開店から閉店まで露店に居座り続けた。
けど...僕以外のお客さんは来なかった。寂しそうな顔で、それでも無理して笑顔を作り彼女は言う
【飽きられちゃったのかもね。けど、最後まで私頑張るから】
Mintoは気合を入れた!
しかし彼女に残された日は明日一日しかなかった。そして僕にもその一日が最後のチャンスになる日だった。
明日告白して、この夏に終わりを告げよう。たとえふられても、悔いのないように...

「僕と付き合ってください!」
開口一番に僕は彼女に伝えた。彼女が来て丁度3o日。彼女も今日で最後の日に僕は最初で最後の告白をする。
しかし僕にとって彼女の答えは良い物ではなかった。夏の恋はここで終止符を迎えたはずだった。
彼女は丁重に僕の申し出を断り、何度も頭を下げ、謝り続けた。
そして今日、彼女は露店の準備をしようとしませんでした。理由は僕と一日デートをしてくれるからでした。
ノルマは達成したのかと訪ねると、首を振る。
それならお店を開けるべきという僕に彼女は応える。
【来年がまたやると思うから。でもこの世界にこれるかどうか分からないし...あなたとの思い出を作っておきたいから】
無礼だと思いながら彼女がノルマを達成するまで後いくらギルが必要なのか問い詰める。
教えてくれない彼女を何度も何度も説得してその堅い口を抉じ開けることに成功した。後5万ギル...人数にして5oo人。
開店当初なら1時間で到達しそうなお金だったかもしれないが今日一日では不可能に近い金額だろうと思う。
僕は自分の財布を取り出し、彼女にお金を手渡す。彼女のノルマに足りない金額に少し色をつけて1o万ギル。
けど彼女は受け取らない。それだけは決して駄目だといって彼女は引き下がらなかった。

なにも娯楽が無いバストーゥク鉱山区を二人で手をつなぎながら歩く。
やがて日が暮れ、僕は彼女を部屋へと誘った。残り数時間二人きりで二人だけの世界で話がしたかった。
モグを説得して、二人きりになれるようにしてもらう。僕の部屋に置かれたブロンズベッドは二人で寝るには狭いものだった。
このベッドは以前顔も知らない人から宅配で贈られたもの、クエストが発生するとか噂で聞いたことがあるけど
この街の僕の知名度なんてほとんど無いに等しかった。故にそういう噂話であるクエストも発生することなくずっとここにレイアウトされていた。
彼女の浴衣をはだけ、一糸纏わぬ姿へ、そして僕は彼女を愛する。彼女も僕を愛してくれる。
二人は一つになり、僕は思いのたけをすべてぶつけた。僕は、数え切れない種を彼女に撒き、荒い息を整えながら彼女に僕の腕を差し出す。
それを枕にしながら僕に抱きつく彼女...この部屋に後1時間しか居れないと涙を浮かべ、力強く抱きついてくる。
彼女は全てを僕に話し始めた...
彼女は自分のいたヴァナディールで不正ツールと呼ばれるものを使用し、GMにより暗く、寒い、モルディオン監獄に送られたこと。
そこで反省をし、罪を償い、そしてチャンスを与えられたのがこの金魚すくいイベントによるGM達への貢献だった。
膨大な額のノルマ。しかし、彼女は声を張り上げ、必死の思いでノルマ達成を目指した。後少しの95万ギルまで稼いだのだと言う。
元の世界には彼氏がいること...そして僕に恋をしていたこと...
僕は彼女にここに残って欲しかった。お金ならいくらでも出せる。再度彼女に1o万ギル手渡そうとしたが彼女は首を振って天井を見ながら続けた。
【不正してつかまって、反省したのに...また不正しちゃだめでしょ!】
彼女は怒りながらでもその顔は笑っている。
【ありがとう。気持ちは嬉しいけど、私は自分のできることを精一杯頑張ったから...】
散らかされた浴衣を着ようと彼女はベッドから起き上がる、その彼女に後ろから抱きつくともう一度彼女をベッドへ誘い一つになった。
時間が無いのはわかっていた。それでももう一度彼女を感じたく僕は強引に彼女を襲った。
そんな僕を嫌がることなく迎え入れてくれる彼女、再び僕は彼女の中に精を放つ。
部屋を後にする彼女の笑顔の端には涙がこぼれていた。それでも彼女は泣かなかった...きっとまた会えるといって部屋を去っていく

彼女が居なくなった部屋をでて、僕は急いで宅配所へと向かう
Minto
5万ギル宅配...
宅配所のガルカはそれを彼女に届けてくれると言った。
ただ送るだけでは返されるのは目に見えている。慌てて僕は彼女にTELLメッセージを送る
Aru>>Minto 今ポストに送ったから調べてみて。そのお金は今日、ミントさんが僕に付き合ってくれた報酬だから絶対に受け取って!
Minto>>Aru ^^
彼女がいれば他には望むものは...

翌日僕はいつもの時間に目を覚ます。栽培チェックをすまし、ポストを調べる
Minto>レッドローズ
Minto>50,000Gil
「...」
僕はすぐモグにお金を返すように返却を指示した。
【だめクポ..その名前の人はこのワールドに存在しないクポ...】
ば、馬鹿な...僕は何度もモグに送り返すように怒鳴るが無駄なことだった。
【不正はもうこりごり...】
彼女のいった言葉が脳裏をよぎる。僕はレッドローズをポストから取り出すと苗木の植えている鉢を撤去し、そこに植える。
ドライフラワーにして、来年会えることを願い僕は錬金術ギルドの開店ラッシュに遅れを取らないように部屋を後にする。
もう祭囃子の音は聞こえない、秋が訪れ、冬が来る。僕の生活はいつものように繰り返される。飽きが来てこの娯楽に終止符が打たれるまで...

                              □END□