<1>
新月の真夜中に、ノーグで秘密裏に開催される市場がある。
主催はもちろん、天晶堂。
大陸では手に入らない禁制品を平然と扱っている街において、何を闇に紛れて取引するのかって?
そこでゴブリンが呼び込みしてるだろ。よく聴いててみな、わかるから。
「トビキリかわいい えるヴぁーんのオンナ いるぞ! 胸ちっちゃいけどいい尻!よく働く!」
「ふぇろーナンカ目ジャナイぐらい萌えるタルタル、イラナイカ?スレてないぞ!」
そ、人身売買。いくらノーグでもおおっぴらに出来ない訳だ。
売られる「商品」の事情は様々。
合成で一儲けしようとして破産した職人、犯罪に手を染めて冒険者登録を抹消された元懲役、
海賊にかっ攫われてきた新米冒険者、はたまた冒険者同士の間に望まれずに生まれた子ども、等等。
倫理的に考えれば、この市場は当然許されない。
だがその一方で、「商品」は命を永らえさせてくれる「主人」を望み、「消費者」は自分のニーズにあった「商品」を求めて、
辺境の岩窟まで足を運んでいるわけで。需要と供給は、明らかに存在しているってわけだ。
競売所の前に特設された露店の軒先には、当局が踏み込んできたときの為にか、カモフラージュの商品が並べられていた。
各種印章、モンスターを誘き出す「トリガー」、市場経済を乱すという理由で競売やバザーでの取引が禁じられている特別な装備品など…。
これだけでも十分怪しいと思うんだが、店員のゴブリン的には「珍しい品、安くウルだけ!」らしい。
Hakutakuを倒さないと入手できない(筈の)悪趣味な帽子を被って、鏡を覗き込んでみる。…似合わね。
これ欲しがってる脳筋が知り合いにひとり居るんだよな。意外に安いなぁ、買っていってやろうかな。
ひゅう。こりゃジュワユースじゃねぇの。さすがにお高い。
…そんな感じで、俗に「エクレア」と称される売り物を冷やかしていたらだな
「ニーサン 何 欲シイ? オンナ、全部ノ種類、イルゾ」
奥から出てきたゴブリンが怪しい標準語で話しかけてきた。
俺は今日、特に欲しいものがあってこの市に来たわけではない。
頼まれごとのついでに立ち寄ったら、たまたま絶賛開催中だった、それだけの話だ。
とはいえ、俺も男なわけで。
「どれよ?」
「ほらミロ、今日はレベル高いゾ?」
丸っこい親指でカウンターの奥を指すゴブリンの自信ありげな様子に、食指が動いたことは否定しない。
「ほー…」
奴が示した先には檻がいくつもしつらえてあり、それぞれにゴブリンの言葉で書かれた札が貼られていた。
何とかかれているかは、共通語と母国の古語しか理解しない俺には読むことはできない。
が、檻の中身の「商品」は、俺の興味を惹くに十分なものだった。
「いま、拡張中ダ」
<2>
そこには、タルタルの娘が二人入っていた。
ふたりは犬の首輪をリサイズしたらしいものをそれぞれ嵌められ、天井の滑車に鎖で吊るされている。
足はギリギリ床に届くか届かないかの高さで、少しでも気を抜くと、自分の体重で相手の首を締めてしまう仕掛けだ。
…まったく獣人ってのは残酷なこと、考え付くな。
「……お…おねぇちゃんっ……くるしぃ…くるしいよぉっ……」
「がんばるのよ……がんばればきっといつかはウィンダスにっ…」
一人は赤い髪を高い位置で結い上げた少し大人っぽい雰囲気、もうひとりは金色の髪をおさげにした幼い顔立ちだ。
あまり似てねぇけど、ふたりの会話、というか呻き声を聞く限り、どうも姉妹らしい。
赤毛の娘…姉はミルク色の滑らかな肌で、おさげの方…妹はそれに少し蜂蜜を混ぜたような健康的な色をしている。
…そう、何も纏わない姿で。細い首もむっちりした二の腕も丸いお腹も、ほんのわずかに膨らんだ胸もその上のささやかな突起も、
丸めたパイ生地のような尻も、全てが剥き出しだ。
「あっ……あ……あぁっ……」
そして、つるりとして一点の陰りもない秘部には、モルボルのつるを大きめに切ったと思われるものが挿入されていた。
両端をタルタルの身体で締め上げられた「つる」は苦しいのか、じたばたと不随意に暴れまわる。
「はぁぁんっ…あっ…いやぁっ…!」
「あんっ…あああっ…!!」
そのたびに二人のタルタルは身悶えし、がちゃがちゃと鎖が音を立てた。
だが、首に食い込む皮の首輪は、快楽に身を任せて気をやることも許さないようだ。
赤毛の姉の髪を纏めていたピンが弾け飛び、豊かな髪がばさりと、細い肩に落ちた。
おさげの妹に挿しこまれた側のつるが激しく痙攣していて、丸い尻がぶるぶると上下している。
あの小せぇ腹は、最奥まで汚らしいつるに蹂躙され、突きまくられているんだ。
そう考えただけで、喉がごくんと鳴った。触れてもいねぇのに。
「あぁっ…だめぇっ…あたしイっちゃうぅ…もうイっちゃいたぁいっ…」
つると金色の髪の娘の身体が擦れて、淫らな水音を立て続ける中、うつろな瞳で呟くのが聞こえた。
ぷりぷりとした太腿の内側は、妹自身が漏らした透明な汁と、モルボルの緑色の粘液で、どろどろに濡れ光っている。
「だめよ…気を……気をしっかりっ…あぁぁっ…!」
背中合わせで吊るされた赤毛の娘が悲痛な声をあげるが、姉ちゃんもまたつるに苛まされている。
喘ぎと消えた姉の声は妹には届かず、カエデの葉っぱのような小さな手が、ふらふらと下腹部に伸びた。
絶え間ない刺激のせいか、小さな肉芽は遠くから見てもわかるほど赤く固く膨らんでいて、その手が触れるのを待っているかのようだ。
「勝手に触る、ゴブリン許さない!おまえの身体、この市場のもの!」
俺の傍に居たゴブリンが大声をあげ、檻の中へ入っていった。
「いやぁっ……イかせてぇっ…おねがいっ……」
紅潮した頬で涙を流しながら懇願する妹の言葉など全く無視して、その手を後ろに捻り上げる。
「今、兄さんたちサイズまでは拡張デキテル!ガルカ用に仕立て終わるまで待つより、今のほうがイイ具合!どうだ?」
のたうつつるを掴み、乱暴に出し入れしながら、ゴブリンが俺の方を見てにたりと笑った(気がした)。
実はこの時点で、俺はたいした金を持っていなかった。
いや金がないんじゃないぜ?持ち合わせがなかっただけよ。
ま、正直にそう言えばよかったんだが
「えーっと…いやでも……ほら…」
いきなり見せられたものに対する驚きやら興奮やらで、はっきり断れなかったのだ。
「よしワカッタ!次じゃあ、スゴイの見せる!!」
そう宣言して、タルタルの檻から飛び出してくるゴブリン。
「お、おい」
その勢いに俺が抗えるはずもなく……
<3>
ミスラの檻が、目の前にあった。
彼女達はタルタルたちのように鎖で吊り下げられていることはなく、チョコボの寝ワラを敷いた床に、丸くなって眠っていた。
柔らかそうな茶色の髪の娘を抱きかかえるようにして、銀色の髪の娘が俺たちに背を向ける格好で横たわっている。
ワラの隙間から見え隠れする、しなやかな身体の線に、豊かとはいえないが形のよい胸のふくらみ。
性欲を感じさせる類の裸体とは、少し違うかも知れない。
そう思ったのだが。
「コイツら、今発情期。とりあえず落ち着くまで好きにさせテル」
ゴブリンが笑いながら彼女達の腰のあたりの藁をどけたのを見て、それは間違いだと気がついた。
銀髪の娘の腰に、男の性器を模したモノが括りつけられていたのだ。
サーメットを削って作ったと思われるそれは、色こそ似ても似つかなかったが形状は恐ろしく精巧に出来ていた。
大きさやカリの部分なんかは若干デフォルメされているようにも感じたが、こればっかりは個人差があるので何とも言えない。
腰部に食い込む黒い革のベルトが、なんとも艶かしい。
「んにゃ…」
銀髪ミスラがまどろんだまま、茶髪ミスラの腰あたりに張型を擦りつける仕種を繰り返し始めた。
くびれた腰が扇情的にゆるゆると動き、尻尾がぱたぱたと床を叩く。
「んみゃぅ……」
その肩越しに、茶髪ミスラがゆっくりと目をあけるのが見えた。
黒い潤んだ眼が俺とゴブリンの方を見つめたが、特に反応はない。
気がつかない距離ではない筈なので、発情期の彼女にとって、俺たちギャラリーの存在などは取るに足らないことなのかも知れない。
「みゅぅ…」
俺たちから気だるげに視線を外すと、銀髪ミスラの首に腕を回し、そのまま唇を重ねる。
目の前で展開される、濃厚なキスシーン。
ちゅくちゅくとついばむ様な音が2、3度聞こえ、ピンク色の舌がふたりの唇の間で絡み合うのが、見えた。
銀髪ミスラも目を醒ましたようで、茶色の髪を優しく指で梳いてやっている。
もう片方の手が、発達途上の乳房に触れ、やわやわと揉みしだきはじめた。
「ふみゃぅ…みゃ……みゃあんっ…」
茶髪ミスラの唇がずれ喉が反り、獣じみた鳴き声が形のいい唇から溢れる。
銀髪ミスラの細い指の間からこぼれる柔らかい肉を見ていると、質感や触り心地までがリアルに想像出来てしまうのは俺の業か。
長く形のいい爪が、ピンク色の乳頭をつまみあげ、クリクリと弄り始めた。
「みゃぁっ…!」
茶髪ミスラの身体が、雷に打たれたかのようにびくんと跳ねた。リードを取っている銀髪がゆっくり起き上がり、今しがたまで抱いていた身体を跨ぐ。
いとおしげに同族の同性の裸体を見下ろすと、その両脚を両肩に抱えあげ、腰の張型を剥き出しになった股間へとあてがった。
濡れそぼり、だらしなく口をあけた秘部と、髪より少し濃い色の茂みに、サーメットの先端がぷちゅり、と音を立てて沈む。
「みゃ…!」
茶髪が自ら腰を持ち上げ、自身を犯そうとする異物にそこを擦り付け始めた。微かだがはっきりと聞こえる水音。
銀髪が小さく頷き、サーメットの塊を一気に挿しこんだ。
「みゃうぅぅぅ…!」
歓喜の声をあげる茶髪ミスラ。腰を曲げて上に被さる銀髪の背中を片手でかき抱き、もう片方の手は尻尾の付け根のすぐ下に伸びた。
尻の隙間から指を挿しいれ、自らを犯す娘の秘所をまさぐっている。
「んにゃぁっ……!」
銀髪ミスラが一瞬啼き声をあげたが、茶髪の舌と唇がそれを封じた。この二人には立場の優劣は殆どないようだ。
先ほどまでされるがままだった茶髪が、貫かれたままとはいえ今はリードしている。
サーメットを呑み込んだ腰を動かし、二本の手は頬を乳房を首筋を脇腹を愛撫し、起き上がって抱き合い、たった今騎乗位になった。
「んみゃ んみゃぁっ みゃっ みゃうんっ」
「みゃぁ みゃあぁぁぁんっ あぁんんっ」
俺とゴブリンには全く頓着する様子もなく、檻の中で快楽を貪るふたり。
「…何か、目のやり場に困らねぇか?」
とかいいつつ、四つの乳房が震え、まがい物の男性器が愛液に濡れ光る様から目が離せない俺。
「そうか?兄さん達は『れず』も好きだと聞いたゾ!こんなのなかなか見れないぞ!」
ゴブリンもそれはお見通しなようで、耳をパタパタさせながらきしし、と笑った。
「……確かに嫌いじゃないけどよ」
それぞれ激しく床やワラを叩き、時には鉄格子に絡みつく二本の尻尾。それを見ているだけでも確実に欲が掻き立てられるのは、俺が悪いんだろうか。…いやそんなことないと思う。
「もちろんこれで終わりじゃないぞ!ちゃんとシキョウヒンも用意してある!!」
俺の心を見透かしたのかゴブリンが自信たっぷりに言い放ち、腕を引っ張った。
「シキョウヒン?」
…試供品のことだと気がついたのは、行為に耽るミスラたちからだいぶ離れてからのことだ…。
<4>
ゴブリンいうところの「試供品」は、ヒュームとエルヴァーンの娘だった。
今まで見てきたタルタル、ミスラのお嬢さん同様すっ裸だ。
手枷と首枷を施され、尻を思い切り突き出した格好で、広場の真ん中に「設置」されている。
腰を90度に折り曲げた状態で、爪先がギリギリ地面につく程度に調整されていた。
その高さは丁度男たちが、腰を抱えて犯しやすい位置なのだろう。
事実ふたりは髭面のヒュームと、長髪のエルヴァーンにそれぞれ柔らかそうな尻たぶを乱暴に掴まれ、玩具のように揺すりたてられていた。
4人とも俺にもゴブリンにも、全く興味を示さなかった。気がついていないのか、衆人環視の中で為すことに馴れてしまっているのか、どっちかなんだと思う。
「……っぅ あーっ …んっ …ぁぁっ!」
形のいい唇を噛み締め、必死に声を殺すエルヴァーンの姐さん。
どちらかといえばスレンダーだが、ケツはご多分に漏れず豊かで、髭男の下腹部が打ち付けられるたびに小気味の良い音を聞かせてくれる。
「ほら、しっかりデカ尻ふらねぇか!」
興奮が高まったのか、髭男が姐さんの尻を平手で張った。
「あぁぁんっ!」
ぶるんぶるんと音を立てんばかりの勢いで双丘が揺れる。
「なんだオマエ、叩かれて嬉しいのか?きゅうきゅう締め上げてきやがって…!」
上ずった男の声に続き、ぴしゃり、ぴしゃりと肉を打つ音が断続的に響いた。
「あぁあっ…!あんっ…!!あぁぁぁんっ!!」
姐さんの悲鳴が上がったが、確かにそれは、苦痛を訴える類のものではなかった。
長い黒髪がばさばさと乱れ、背中がびくびくと痙攣している。
男の手形が浮いた尻を自ら揺すり、快楽を貪る姿がそこにあった。
「いたぁぁ…あっ……んぁぁっ…はぁぁんっ!」
対する幼い顔立ちのヒュームの娘は、ぼろぼろ涙をこぼしながらも、嬌声を堪えられない様子だ。
彼女を犯しているのはエルヴァーンの男だったが、幾分サイズが合わないのだろう。
赤黒い器官の根元が埋まりきらないのが、俺の位置からも見てとれた。
「痛いといながらずいぶん気持ち良さそうじゃないか」
恍惚とした表情を浮かべながらも男は娘を責め、片手で細い腰を掴んで突き上げる。
「あぁぁーーっ…!あっ やんっ んっ んくぅっ」
形のいい乳房が、ゆさゆさと揺れる。
エルヴァーンの男の指が形のいいそれを鷲づかみにし、好き勝手に揉みしだく。
「あぁっ だめぇっ そこだめぇっ あっ あぁっ やぁぁんっ!」
乳頭をすり潰され、高い声で啼く娘。枷で戒められた手が、何度も空しく宙を握った。
隣では姐さんが、爪先から背中にかけて、針金でも通ったようにぴん、と仰け反らせている。
絶頂、か。
「……っ……るっ…!」
「出すぞっ……中に出すぞっ……!」
二人の男がそれぞれ低く呻き、各々のペースで深く早く腰を動かした。
おーおー、出してる出してる。
「あっ…あぁっっ……熱いぃ…」
ヒュームの娘の胎内は、エルヴァーンの量を全て受け入れる事はできなかったようだ。
開ききった秘部からどろりと白く濁ったものが溢れ、太腿の内側を汚す。
エルヴァーンの姐さんは残滓を尻に振り掛けられ、擦りつけられているが、抗う気力もないようだ。
そしてこれで終わりではなく、萎えたものを唇にねじ込まれる「試供品」たち。
「んっ……んむぅっ…」
「あぁっ……っ」
ふたりとももう何度も犯されているのか、よく見ると髪や顔や胸元に、乾いた白い飛沫がたくさんこびりついていた。
それでも目は潤み、頬は紅潮し、淫らがましい水音と息遣いが止む事はない。
女の快楽は男のそれよりずっと強くて、しかも終わりがねぇって聞いたことがあるけど、本当なのかもな。
うっとりとした表情でグロテスクな器官を咥え、舌を絡める様子を見て、そう思った。
っていうか。
これから俺も試してくっからよ、話の続きはまた後でな!
【つづきません】