マルブ=タル♂1b
リピピン=タル♀2b
カーツ=ヒュム♂3b
イトグレー=エル♂3a
ゴウバン=ガル5b

まったくもぅ!マルブったら何回言わせりゃ解るのよ!!」
いつもと変わらないジュノ下層の喧騒に紛れ、聞き慣れた甲高い声が響く。
だがその声に誰も反応する事無く、街はいつも通り賑やかだ。
黄緑色のさらりとした髪に、後ろに結われたチャームポイントのちょんまげ。
眉の上に切りそろえられた前髪に、耳をちょこっと隠して顎の辺りまで伸びたもみあげ。
彼女、リピピンちゃんはひどくご機嫌ナナメだ。
「なーんでいつもタゲが維持できないのよ!!危うくまぁた戦闘不能になるところだったじゃないの!!」
ナイトのぼくを攻めるのは、パーティが終わった後の彼女の日課だ。
「だってぇ・・・」
「だっても何もないでしょ!!ほんっっっと、昔っから変わらないわねアンタのうじうじした性格!!」
手に持った黒魔道士のアーティファクトの帽子を掲げ、バシバシとぼくを叩く。
「いたたた、や、やめてよぅリッピちゃん」
「その呼び方もっ!!」
「いたた!いたたた!!ソレほんとにいたいっす!!リッピちゃん!!」
ぼくの頭を叩く物が帽子からタイタンカジェルに変わり、かなーり痛い。
「そのとんがった頭、四角にしてやるっ!!」
ぼこぼこぼこぼこ・・・
衰弱中の相手になぐりかかるアンデッド並に殺意を感じる。

不意に殴打の雨が止む。
「なーにやってんのさぁ、天下の往来でよぅ」
見ると、リピピンちゃんの振り上げたタイタンカジェルを押さえる人の姿が。

天の助け!

「カーツさん」
ぼくの言葉に反応し、「よーう」と手を軽くあげて答える。
ツンツンに立てた茶色の髪に、少しキツイ顔立ちのカーツさん。
ぼくがナイトをやる上で、よく相談に乗ってもらった先輩で、青いアダマンの鎧が眩しい。
「カーツさんとパーティ組んだ時は一回も危ない思いなんてなかったのに!!こぉのアホマルブ!!」
うわっ、仲介者が来たにも関わらずって感じだ!

「リピピンちゃん、何があったか知らねえがぁ、今日はここまでにしてやってくれないかねぇ」
押さえていたタイタンカジェルから手を離し、ぼくの肩に手を置いて、
「実はさぁ今日マルブと一杯やる約束しててね。わるいねホント。」
眉をしかめ、困ったような笑みをするカーツさん。
勿論、酒を飲むなんて約束はしていなく、リピピンちゃんからぼくを解放させるための嘘だ。

「うぅー・・・カーツさんがそういうなら・・・」

口を尖らせるリピピンちゃんだったが、カーツさんは満面の笑みを浮かべる。
「すまないねぇ・・・そんじゃ、行こうかぃマルブ」
「あ、は、はい」
「上層のマーブルブリッジでみんな待ってるぜぃ、ほら早くしな」
そう言うと、カーツさんはぼくをヒョイと抱え、肩車する。

振り返ると、リピピンちゃんが「フンだ」と口を尖らせていた。




場所を上層へと移し、カーツさんに肩車されたままマーブルブリッジにはいった。

「いらっしゃい」

マスターの声と共に、
「やあ、遅かったですね」
「おうおう、待ちくたびれたぜ」
カウンターに腰掛けた長身の男性とガルカが声を掛けてくる。
二人共青いアダマン製の鎧がよく似合っている。
「よーぅ、待たせてすまねえなぁ、イトグレー、ゴウバン」
カーツさんは店内の隅に置いてある、タルタル専用の椅子をカウンターに置くと、肩車していたぼくをそこに降ろした。
「マルブがまぁた夫婦ゲンカしてて手間食っちまってよぅ、わりぃな。先に飲(や)っててくれてても構わなかったんだぜ?」
「いえいえ、奢ってもらうのに先に飲むのは私達の意に反しますから。」
「奢るなんて一言も言った記憶がないんだが・・・」
「誘ってきたのは、カーツさんのほうでしょう?」
「そうそう、俺達だって忙しい中わざわざ来てやったんだぜ?」
ゴウバンさんがそう言うと、ふふ、と知的に微笑むイトグレーさん。
「ふぅ・・・解ったよ。マルブ、今日は俺の奢りだ。マスター、きついトコを四つくれるかぃ。」
「あ、ぼくトルティーヤを一つください」
「いいですね、私にも一つ。」
「俺には・・・何でもいいから肉くれよ、肉!」
「勝手にしろぃ」
カーツさんは呆れたように、呟いた。


今日はナイト限定の日だ。
珍しくお客さんも少なく、ぼく達以外のお客さんは数人しか来ていない。

「でよぅ・・・最近どうよ?お前等。」
カーツさんがぼくの頼んだトルティーヤをかじりながら、聞いてくる。
ぼくは、その言葉の意味がよくわからなかった。
「景気はいいか、て事ですよ。色んな意味で。」
「俺のほうはサイテーよ?BCでハズレばっかだし、パーティでも良い顔されねぇしなぁ・・・」
吐き捨てるように呟くと、カーツさんは手に持ったグラスの酒を一気に飲み干した。
「私もぼちぼちですかねえ・・・」
イトグレーさんはグラスの中の氷をカラカラ回す。
「俺はお気楽適当でやってるさな、ガハハ」
ゴウバンさんは大きな口を開け、干し肉を放る。
「マルブ君はどうです?」
三人の視線が、ぼくの顔に集中する。
「・・・ぼくもイマイチです、はい」
「ぬぁにぃ〜?リピピンちゃんといつも仲良くパーティ組んでるくせして何言ってんだぁ」
このこの、と肘でつついてくるカーツさん。
「ふふ、羨ましいですねえ」
「若えなあ」
その言葉に、ぼくは答えることなく黙り込む。
「・・・ん?何だ黙りこんじまってよぅ?」

はあぁ〜、と大きなため息をつく。

「ぼくはダメなナイトですから、いつもいつもパーティで失敗してばっかりで・・・いつもリピピンちゃんを危ない目にあわせちゃいまして・・・」
カーツさん達は黙って聞き入る。
「ぼく、なんだか自信なくなっちゃいますよぅ・・・」
ちびちびとグラスに口をつけながら、愚痴をこぼす。
「パーティ解散した後に、他のナイトさんはもっとうまくやるって、かならず言われちゃうんです・・・」
トルティーヤを一口かじる。
「カーツさんだって、聞きましたよね?カーツさんとパーティ組んだ時は一回も危ない思いをしたことがないって・・・」
グラスに入った酒を一気に胃に流しこむ。
「うーん、前途多難のようですね。」
イトグレーさんがボトルを手にし、ぼくのグラスに酒を注いでくれた。
「まあまあそんなに落ち込むなってば。日々用心って言うだろ?」
「精進、じゃなかったか?・・・まぁ、とにかく言いたい事は全部吐いちまいなぁマルブ。」
ゴウバンさんとカーツさんが優しく言葉を掛けてくれた。
心にジィンと染みて、泣けてくる。
「リピピンちゃんが危ない時は、しっかりかばうんですけどね。でもでも、そうするとすっごく怒るんですよ」
「かばわれて怒るとは稀有ですね・・・」
「おう、普通じゃねーな」
「かばわれて怒る後衛なんざぁ、聞いた事ねぇなぁ」
「でしょでしょ?でもリピピンちゃんは・・・」
ぼくはふうぅ、と大きくため息をつく。
「別にアンタにかばってもらいたいワケじゃないんだからね!?・・・て、顔真っ赤にして怒るんですよ!!だからかばうにかばえなくて・・・」

ぼくは泣き出しそうな気分を紛らわすために、注がれた酒に口をつける。
「・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・・」
「ふ、ふふふ、ははははは・・・」
「くく・・・ぬわっはっはっはっはっは!!」
「ぶっ・・・ははははははは」
一斉に大笑いするカーツさん達。
「わ、笑いごとじゃないですよぉぅ!」
思わず口を尖らせた。
「わ、わりぃわりぃ。でも笑わずにいられるかってぇの」
「まったくだ!」
「ふふふ、私としたことが。」
三人とも、心底楽しそうな感じだ。
「いいかぁマルブ。俺に良い案がある」
カーツさんが、ゴウバンさんの頼んだ干し肉を手にし、かじる。
「どうせ明日もリピピンちゃんとパーティ組むんだろぅ?」
「え、あ、は、はい・・・たぶん。リピピンちゃん、いっつも強引にぼくを誘ってくるから・・・」
ぼくの言葉を聞き、ニヤッと不敵にも見える笑みを浮かべる、カーツさん。

・・・なーんか、イヤな予感を感じさせる微笑だった。


「よぉーし・・・そんじゃマルブ。明日ぁ、リピピンちゃんとパーティ組んだらなぁ・・・・」


・・・ぼくとリピピンちゃんはその日のパーティを終え、ジュノ下層に帰ってきたばかりだった。
いつもなら、街に帰った瞬間にぼくをしばきにかかってくるのだが、今日はソレがない。
リピピンちゃんは、目を伏せたままぼくの後をついて来る。

  いいかぁマルブ。明日のパーティ中はひたすらにリピピンちゃんをかばいなぁ。

昨日のカーツさんの言葉が、脳裏に甦る。

  怒られるからイヤだってぇ?チッチッチ・・・いいから俺の言った通りにしなってさぁ。

日課の競売覗きを終え、念のため矢弾を買いに上層に行こうとした。
「・・・ねぇ、マル」
リピピンちゃんの懐かしい響きの言葉に驚いて、振り返る。
マル。
その呼び方はかつて幼い頃、リピピンちゃんがぼくを呼ぶ時の愛称。
ぼくがリピピンちゃんを「リッピちゃん」と時々呼んでしまうのは、幼い頃の名残だ。
「・・・今日は、ありがと。何度も何度もかばってくれて・・・」
俯きながら、ぼそっと呟く。

  お前さんリピピンちゃんのコト・・・好きなんだろぅ?まぁまぁそう照れるな、落ち着けってぇの。

口をもごもごさせて、ぼくを上目でチラチラ見る。

  リピピンちゃんがモジモジしながらお礼を言ってきたらぁ・・・お前さんの気持ち、告白してみなぁ。

「り、リッピちゃん」
いつもは嫌がる愛称に、耳を傾けてくる。

  そして、OKがでたならぁそのまま自分の部屋に呼んで・・・あとは、わかるよなぁ??


「あ、あの、その、ええと・・・ぼ、ぼくは・・・」
がんばれ、ぼく・・・足が震えてるぞ。
「あの・・・えー・・・と・・・」
リッピちゃんは手を胸に当てて、ぼくをじっと見つめる。
「い、今まで、だだだ黙ってたけど、ずっと、リッピちゃんのこと、す、好きでした」
やった、言えた。
リッピちゃんの顔が耳まで赤くなる。
「へ、へたくそなナイトのぼくで良いなら・・・こ、これからも、ずっと一緒に居てくだ、さい」
全身から汗がやばいくらい出てる上に、心臓の鼓動もすごい。
「マル・・・うれしい」
リッピちゃんが顔を上げると、照れくさそうに言葉を続ける。
「わたしも、マルのこと、ずっと好きだった」
行き交う人々の喧騒など、もう耳に入らない。
「いままでゴメンね・・・わたし、マルの気を引くのに一生懸命でさ・・・パーティ中も、戦闘開幕にいきなりファイガとか、撃っちゃって・・・」
ばつがわるそうに、コートの袖を指でこする。
「タゲ取るって解ってるのに、古代魔法でMBもしたりとか・・・わたしのために、頑張ってくれるマルをみたくて」
リッピちゃんは一気に、しゅんと沈んだ様子に変わる。
「かばってもらってるとき、すごい嬉しかったの。でも・・・口を開くと素直になれなくて・・・」
つぶらな瞳が、潤んできた。
「リッピちゃん、もういいよ。今日は疲れてるみたいだし、早くモグ部屋に帰ろ?」
泣きそうな顔をしたリッピちゃんを見るのは、ぼくもつらいよ。
「ゴメンね、ゴメンね。いままでずっと意地悪して・・・そうでもしないと、マルが離れていくかもしれないって不安で・・・」

ぼくは、話の途中にも関わらずリッピちゃんの手を引き、そのまま駆け足でモグ部屋へと向かった。

ぼく達の周りに、少なからず人だかりが出来ていたから。


行き交う人々にぶつからないように気をつけながら、走る。
そして自分の部屋(正確にはレンタルハウスだけど)に、リッピちゃんと共になだれ込む。
「ふぅ」
と、一息つきリッピちゃんへと振り返る。
口を硬く結び、耳を少し寝かせて泣いている。
ぽろぽろと大粒の涙を零す様は、まるでぼくが意地悪して泣かしたかのように見られちゃうからね。
とりあえず一安心。
「リッピちゃん、だいじょうぶ?」
顔を覗き込むと、ウン、と小さな声で答えてくれた。
「ごめんね、いきなり泣き出したりしちゃって・・・」
ひっくひっくとしゃっくりをするリッピちゃんの背中を撫でて、落ち着かせようとした。
レンタルハウスのベッドに梯子で登り、二人腰を並べた。

「ちっちゃいころから、わたし達はいつも一緒だったよね・・・。」
数分もするとリッピちゃんはすっかり落ち着きを取り戻し、涙も止まっていた。
「いつごろからか、二人で居るのが当たり前になってた。」
「うん、そうだね」
「だからね、急に怖くなった時があったの。もしマルが、わたしの傍から居なくなっちゃたりしたら、て・・・」
組んだ指をもじもじさせながら、リッピちゃんは呟いた。
「でも、素直に言うのは恥ずかしくて・・・だから、つい思ってるコトと逆言っちゃたりして・・・」
「だ、だいじょぶだよ、リッピちゃん」
ぼくはリッピちゃんの素直な気持ちを聞いて、はしゃぎまわりたいのを堪えながら、
「ぼくは、リッピちゃんの傍に居るためにナイトになったんだから!」
ドンッと自分の胸を叩いて鳴らす。

リッピちゃんは、照れくさそうに微笑んだ。


「マル・・・」
呟くようにぼくの名前を呼ぶと、リッピちゃんは身体を預けてきた。
わっ、と思わず声を出し、受け止めると きゅうぅっ、と抱きしめてきた。

・・・こ、この状況は・・・・。

心臓が、自爆直前のボムのように暴れている。
リッピちゃんの甘い髪の毛の香りが、頭の中の芯をちくちく刺激する。
緊張からの汗が、背中に滝のように発生する。
びびって手が震えてます、はい。

  マルブぅ、レディに恥かかせる真似するなよ?

そ、そうだ。
リッピちゃんがぼくに身を預けてきたんだ。
おおおお男なら、その気持ちに応えてあげないといけない。

ぼくも、リッピちゃんの身体に手をまわし、抱きしめる。
暖かくて、すごく気持ちよくて・・・何だか落ち着く。
長い付き合いだけど、こういうふうに抱き締めあうのは初めてだなぁ・・・。
服の上からでも、柔らかい体が解る。
「リッピちゃん」
ぼくはリッピちゃんの体を離すと、顔をじっと見つめる。
「ん・・・」
リッピちゃんは、頬を桜色に染めながら眼を閉じ、唇を軽く突き出す。

・・・こ、これは、俗に言う『キスして』ポーズ・・・???

ここであせっちゃダメだ、とにかく落ち着いて、落ち着いて・・・。
リッピちゃんに恥をかかせちゃダメだぞ、ぼく。
「・・・ん」
まるで錆びたブリキ人形のように、緊張でギシギシとした動きでリッピちゃんの可愛らしい唇へと近付いていく。
少しずつ、少しずつ、リッピちゃんの顔に近付いていく・・・・心臓がばっくんばっくんだ。
つん、と唇同士が触れ合うとお互いの体がビクンと震える。
ふにゅっ。
ぼくとリッピちゃんの唇が、ついに重なり合ってしまった。
リッピちゃんはぼくの服を掴み、腕を震わせている・・・リッピちゃんも、緊張してたんだ。
音も無く唇が離れると、ほわっとした熱気が頭を包み、何だか胸も熱い。
リッピちゃんは耳まで真っ赤になり、恥ずかしそうに目を伏せて、もじもじとしている。
「あ、あのね・・・マル」
「な、なーに?」
ちらっとぼくを見る。
「あの・・・えとね・・・キ、キスだけじゃ、イヤって言ったら・・・軽蔑、しちゃう?」




・・・・・・。




ぼくの尖がった髪型が火山のごとく、ボン! と噴火したような気がした。


大きなベッドに不釣合いな二人。
部屋の灯りは既に落としてある。
水曜日特有の青い月光が小さな窓から差し込み、幻想的な感じだ。
「い、良いんだね?」
「・・・・・・・・うん」
大きく深呼吸を一つ。
よ、よし・・・リッピちゃんに恥かかせないように、しないと・・・。
リッピちゃんの肩に手をかけ、もう一度キスをする。
そのままゆっくりと後ろに倒し、優しく寝かせ、唇を離す。
ぼくはガントレットとサーコートを脱ぐとリッピちゃんにもう一度キスをした。

  ガッつくんじゃぁねえぞ? 焦らず、優しく、何度も口付けしてやれよぅ。

カーツさんの言われた通りに、焦らず優しく、ゆっくりとコトを進めていく。
慣れない手つきで、リッピちゃんの着ているコートの前の紐を解く。
恥ずかしいのか、リッピちゃんは顔を手で隠してしまった。
ここで無理にこちらを向かせるのは酷かもしれないので、そのまま続ける。
タルタル独自の布式コルセット状の白い下着が目に飛び込むと、流石にぼくも照れてしまう・・・。
こ、ここで手を休めてはいけないぞ、ぼく。
ちょっと上体を伸ばし、リッピちゃんのおでこにキスをする。
つぎはトンバンに手をかけ始めた。
「マ、マル・・・は、恥ずかしい・・・」

うっ・・・・。

一瞬ピタリと静止してしまった。

「だ、大丈夫。ほ、ほら、ぼくも一緒に・・・」
脱いでいくから、と言う言葉は飲み込んだ。
人差し指と中指をトンバンのウェストの部分に引っ掛け、するすると脱がせていく。
・・・うわっ、し、刺激的。
下着がわりのゾディアックサブリガ・・・通称 白サブリガですか・・・。
「そ、そんなにじろじろ見つめないでよ・・・もぅ。」
「え・・・あ、う、ご、ゴメンね」
はだけたコート・・・ずっと顔を隠していたから、脱がすことが出来なかった。
そして月光に彩られる白い下着・・・。
き、きれいだ。
「ヤダ・・・そんな・・・」
あ、思わず口から言葉が漏れちゃったみたいだ。
ぼくもブリーチズを脱ぎ、上に着ていた象牙色の肌着を脱ぐ。
・・・他種族に比べると圧倒的に小さいソレが、ピンピンに張り詰めてテントみたいになっている。
顔を隠す手の隙間から、ソレをじっと見つめるリッピちゃん。
・・・今度はぼくが顔を覆いたい気分だ。
リッピちゃんもバツが悪そうにしている。
「リ、リッピちゃん・・・」
ぼくはリッピちゃんに覆い被さると、顔を隠す手を払い、再度その唇を奪った。
「・・・マル・・・」
そのまま手をリッピちゃんの体へと移す。
「あ・・・・っ」
リッピちゃんがピクンと身体を震わせ、可愛らしい声を出した。

・・・・や、やーらかいっす、はい。

パッと見、タルタルなんて男女の差が無い体型だ・・・なーんて、よく言われるコトだ。
でも、こうして触れてみると解りますよ、うん。
男とは明らかに違う温もりに、柔らかさ、滑らかさ。
頭がもんもんとし、柔らかさに酔い潰れてしまいそうだ。
意識するワケでもなく、リッピちゃんの胸を撫で回しては、こねる。
「あっ、あん・・・んっ」
唇を閉じ、眉にしわを寄せて耐えるように悶えるリッピちゃん。
胸からへそまでを隠す下着をずらすと、ぼくは下へ移動し露になったピンクの敏感なところに口を付けて、吸った。
「あっ! ひゃん・・・!す、吸っちゃダメぇ・・・!」
リッピちゃんは、ぼくを離そうと頭を押してくるけど、力が入らないみたいだった。
まるで桜の蕾のように可愛らしい乳首を舌で転がしては吸い、空いているほうは指で擦りあげる。
「あああんっ!!」
ふわっと甘酸っぱい香りを、リッピちゃんから感じる。
うう・・・や、やばいくらいに興奮し始めてきちゃった。
「あっ!! あ、そ、そこは・・・!」
ぼくの手は既に下の方へといっており、リッピちゃんの大事なトコを下着の上から撫でていた。
柔らかくて、しっとりと湿っていて、少しヌルヌルしている。
「ま、マル・・・っ、あっ・・・!」
潤んだ瞳で、名前を呼ばれては・・・もぅたまりません。
ぼくは下着の中に手を入れ、直接リッピちゃんのに触れる。
「あぁん!・・・あっ・・・はぁ、ん・・・し、痺れちゃうよぅ・・・」
ヌルヌルが直で指に絡みつき、ものすごーく刺激される。

が、ガマンは限界に近い・・・。
ぼくは下着代わりの白サブリガに手を掛け、するすると脱がせる。
少し抵抗されたが、ここは男らしく(?)強引に脚をおさえ、リッピちゃんの一番大切なトコを見つめる。
縦に一本、線が引いてあるだけの飾り気のないものだ。
・・・なのに凄いひきつけられてしまう感じがする。
ぼくはリッピちゃんの脚の間に割って入り、そこに手を伸ばす。
「んっ・・・」
ピクンと身体を震わせるリッピちゃん。
今ぼくはリッピちゃんの大切なトコに触れている・・・。
指で、くいっと左右に広げるとピンク色のアソコが目に飛び込み、眩みそうになった。
「マル・・・」
リッピちゃんは横向きに寝っ転がると、ぼくもそれに合わせて横になる。
お互いに股間が顔にくる形になった・・・・・て、も、もしかして。
リッピちゃんは思った通り、ぼくのアソコを下着の上から優しく撫でる。
そして下着に手を掛け、一気に脱がせてぼくのアソコを晒した。
「リ、リッピちゃん?」
うう・・・さすがに恥ずかしい。
まあ、ぼくもリッピちゃんのアソコを見つめちゃってるんですけどね・・・。
ピンピンに立っているそれをリッピちゃんはマジマジと見つめ、
「すごい・・・」
と、驚きながらつぶやいた。
ちらっとこちらを見る。
「マル、わたしもシテあげるね」

え・・・。

「わ、ああっ」
先端をぺろぺろと舐め、口にくわえてチュウっと吸う。
初めて味わう感覚に身体が震えて、思わず声が出てしまう。
「男の子はこうすると気持ちいいって友達から聞いたんだけど・・・どう?」
リッピちゃんはぼくへの攻めをしながら、聞いてくる。
「き、きもちいい、すっごくきもちいいよ」
うわ言のようにしか答えられなかったけど、リッピちゃんは、
「よかったぁ」
と言い、更に行為を続けた。
全身に甘い感覚に支配されながら、リッピちゃんにもお返しをする。
きれいなピンク色のソコへ舌を伸ばす。
「んん・・・!」
ぼくのをくわえたまま、リッピちゃんが声を漏らす。
よかった、リッピちゃんも気持ちいいんだ。
よく滑るソコはヌルヌルとして・・・とても良い香りがして、たまらない。
一心不乱に、ぼくとリッピちゃんはお互いのを舐めあう。
「・・・ん・・・んん・・・」
リッピちゃんの声を聞くとくらくらとして、まるで酔っ払ったみたいな気分だ。
激しく、強く、すみずみまで舐める。
「ああ・・・ま、マル・・・!」
ヌルヌルとした液体の湧く穴をすくい上げるように攻めていると、チュルっと舌が入る。
「んん!ああぁん!」

頭から指先まで、いっぺんに熱くなり・・・もうぼくはガマンできなかった。
ぼくは起き上がり、体勢を変えてリッピちゃんの脚の間に割り込む。
普通なら緊張でぼくのアソコはしんなりとしてしまうだろうけど、今はリッピちゃんに酔っているお陰でピンピンだ。
「い、いい?」
「・・・うん」
自分のに手を添えて、目標めがけて腰を突く。
「あぁん・・・」
リッピちゃんの可愛い声がしたけど・・・ぼくは挿入に失敗していた。
ニュルっとした感触が先端に感じただけで滑っちゃった・・・これはこれですごく気持ちよかったけど。
今度こそ・・・。
「んん・・・」
またしても滑って失敗した。
「ま、マルのイジワルぅ・・・じらさないでよぅ・・・」
・・・ホントは挿入に失敗してるだけなんて、言えないっす。
潤んだ瞳が一層可愛いリッピちゃん。
よし、今度こそ。
「・・・んんんっ!」
リッピちゃんが身を強張らせる。
「あ、ああぁぁぁ・・・」
ぼくは、惚けたように情けない声を出した。
あったかくて柔らかくて、ヌルヌルでギュウギュウで、初めて感じるその感覚に痺れてしまいそうだ。
「いっ・・・つ・・!」
喉から搾り出したかのような呻きに、はっとする。
「リ、リッピちゃんも初めてだったの??」
ぼくの問いかけに、リッピちゃんは痛みに眉をしかめながら、
「うん・・・」
と、縦に首を振った。
「でも大丈夫・・・動いて、いいよ」
精一杯強がっているのが、わかる。
このままやめた方がいいかも、と思ったけれど、ぼくもガマンしていたから止められない。
「う、動くよ」
そう言って腰を引くと、ゾゾゾゾッと背中に気持ち良い感覚がくる。
「ああああ」
リッピちゃんのナカを、ぼくのが掻き混ぜる感触はたまらなかった。
もう、ダメだった・・・。
「んん・・・マル・・・んぅぅ・・・っ」
腰が止まらない・・・。
息が荒くなり、ぼくは完全に快感に酔っていた。
「ま、マル・・・は・・・激しすぎる・・・よぅ!」
ぼくの腰がリッピちゃんの身体にぶつかり、そのたんびにいやらしい音がする。
ぱちゅん、ぱちゅん、と液体の音がすっごくエッチな感じで、たまらない。
「ご、ごめんね・・・でも、気持ちよすぎて・・・とまらないんだ!」
ぼくの動きにベッドが少しきしむ。
「・・・あっ・・・う、そ・・・?」
リッピちゃんが、ぼそりと呟く。
ぼくは構わず腰を振り、リッピちゃんのナカをごしごし擦る。
気持ちいいのが、とまらない。

まるで何かに操られているみたいだった。
「・・・・ぁ・・・ぅ、んん・・・ああ・・・」
リッピちゃんのナカが、もっとあったかくなる。
「あ・・あっ・・ああっ、んああっ」
さっきよりも更にぎゅうっと締め付けてきた。
「すごっ・・マ、ル・・・き、きもちいい・・」
は、初めての人は最初から最後まで痛いって聞くのに・・・もう感じちゃってるんですか??
か、感度が良いってヤツですね、うん。
「リッピちゃん・・・!ぼくも、すっごくきもちいいよ・・・!」
「マルぅ・・・もっと・・もっと奥まで来てぇ・・・!」

もぅぼくの興奮は最高に高まってきた。
もっとリッピちゃんを感じていたいけど、もう限界だ・・・。

「あんッ!あん!マル、もっとぉ!もっとぉ!!」
思いっきり引いては、一気に突いて、また引いては突いて・・・。
何度も何度も繰り返す。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と擦れ合う音が耳に届く。
「あああ、リッピちゃん!ぼ、ぼくもう限界!!出ちゃう、出ちゃうよ!!」
「うん、イってぇ!わたしで・・・わたしでイってぇ!!」
ああっ、なんてエッチなお言葉。
「あ・・・マル、マル・・・!!あ、あ、ああぁぁぁぁっっ!!」
ビクン!!っとリッピちゃんの身体が震えると、ナカが更に締まる。
「う、うあぁぁぁっ」
理性の欠片が身体を何とか動かすと、ぼくは急いでアソコを引き抜いて、射精した。
音が聞こえそうなくらいな勢いで発射されたソレはリッピちゃんの顔にまで届いて、白く汚した。


ジュノ上層。
比較的冒険者の少ないこの層には、得てして暇な者が集まる。
「よーぅ、お前等ぁ。」
誰かに向けて放たれる、間の抜けた声。
「おや、カーツさん」
「おぉう、相変わらず暇そうだな!」
それはイトグレーとゴウバンに向けられたものだった。
教会前にて立ち話をしていた二人。
「どの口で言いやがるって。お前等こそ、負けず劣らず暇そうじゃねぇかよぅ」
「がはは!違いねえな!」
大口で豪快に笑う、ゴウバン。
「さぁて・・・いつもの三人になったコトだぁ・・・。マルブも誘って、一杯どうよぅ?」
「気前良いですね。」
イトグレーがさわやかに微笑む。
「言っとくけど奢りじゃねぇぞ。お・・・ウワサをすればなんとやら・・・っと。」
カーツは手を振り、
「お〜〜い、マルブぅ〜」
と、モグハウス側から歩いてくる人影に呼びかける。

「あ、カーツさ〜ん」

マルブが手を振って返す・・・が、カーツはとある異変に気が付く。

「んん?? あれは・・・」

マルブの隣には、リピピンがべったりとくっつき、寄り添って歩いていた。
「こんにちはー」
マルブの腕にべったりしたままリピピンは挨拶してくる。
「マルブ君、それは一体・・・」
イトグレーが目を丸くしながら尋ねると、
「いやぁ、あははは・・・」
「うふふふ」
照れながらも、マルブとリピピンは満面の笑みで答える。
「あー・・・オッケーオッケー。マルブ、ただ呼んでみただけだ。何でもないからよぅ、またな。」
「ん、そうですか、ではカーツさん、イトグレーさん、ゴウバンさん、またー。」
「さよならー。」
立ち尽くす三人をよそに、今日はどこいこうか?等と楽しそうに会話するマルブとリピピン。
「・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・・。」
二人がチョコボ厩舎への階段を下りてゆく時に、カーツがようやく口を開いた。
「・・・まぁさかあそこまで仲良くなるたぁ・・・なぁ?」
「お、おう・・・俺も驚いたぜ」
驚き、呆れる二人をよそにイトグレーが、呟く。

「まあ、ツンデレにはパターンがありますから。」

「あぁ? なんだってぇ?」

「何でもありませんよ、そんなことより・・・私は持ち合わせありませんよ。」
「俺もねーぞ」

「あー・・・わぁったわぁった。俺の奢りだ、一杯飲りに行こうぜ、二人ともよぅ。」