ヒュームの俺とミスラの彼女。
俺たち二人はいつも一緒にいる。
俺たちが初めて出会ったのは、
祖国から他国を回るよう指示されたミッションの最中だった。
もっとも彼女とは所属している国が違ったため、ともに行動したのは一日だけだったが。
それからすこしレベルも上がったころ、ジュノで再会した。
なんとなく、話すようになり・・・なんとなく、一緒に行動することが多くなった。
そんな日々が続いたある日、彼女が尻尾を揺らしながらこう言った。
「私の、パートナーになってくれない?」
「パートナー?」
「そう、パートナー。私たち気も合うみたいだし・・・ほら、それに私、吟遊詩人だから一人じゃ限界もあってさ・・・。」
「あ、恋人とかそんなんじゃなくて、なんだろ、んーと、共に戦う相棒!みたいなさ・・・。」
「だ、だめかな?だめならいいんだ、ゴメン!」
まくし立てている彼女の耳がしゅんとしてるのを見て思わずokした。
それから俺たちは以前よりも一緒にいるようになった。
彼女の所属国に移籍もした。
正直・・・俺は彼女に惹かれていっていた。
彼女は奔放で、どこか危なっかしく、いつでも笑っていた。
だけど、俺たちが、相棒の一線を越えることはなかった。
彼女には好きな男がいた。
俺には「憧れてるんだー!」なんて言っていたが
いつも彼女を見てる俺からすれば、その男を見る目は恋以外の何物でもなかった。
アーティファクトを揃えたばかりの俺たちとは違う・・・。
強い、男だった。
何度か一緒に行動したときも
その大鎌をふり、いつでも彼女を助けた。
「妹みたいなもんで、ほっとけないんだよな。」
なんて笑う、その男を見て彼女は少し寂しそうに笑ったのを覚えている。
彼に追いつこうとする彼女に合わせて、俺たちは急ぎ足でレベルを上げていった。
先日、彼からプレゼントされたという、シャイルマンティルに彼女が袖を通せるようになったころ・・・
初めて、彼女の涙を見ることになった。
その日も俺たちは一緒にいた。
レベル上げを急ぎすぎた疲れを癒すようにジャグナーに釣りに来ていた。
「滝ってきもちいいよねー!」
なんてわざわざ水しぶきがかかる位置で彼女ははしゃいでいる。
しばらくして、はしゃいでいた・・・その声が止まり、代わりに今まで聞いたことないような切羽詰った声が耳に届いた。
「うそ、なんで!」
「いやだ、そんなの!」
「お願い、行かないで・・・」
慌てて釣竿をしまい、彼女のほうへ振り向くと
彼女の頬を涙が伝っている。
「やっと、私・・・一緒に肩を並べれるって・・・」
呟くように言ってその場にへたり込んだ。
こんな風な彼女を見るのは初めてで、ともかくどうしたのか、落ち着くようにと
通信相手に聞こえないように言う。
涙で濡れた瞳が俺を捉える。
「・・・彼が・・・冒険者を辞めるって・・・通信・・・もう・・・届かない・・・。ねぇ・・・届かないよ!!」
「どうしたらいいの!?こんな風に終わるなんて、そんなのないよ!」
誰に聞くでもなく、誰に言うでもないように彼女は泣き叫ぶ。
ただ、俺にできたのは彼女を抱きしめることだけだった。
子供をなだめるように、その細い髪をすきつづけた。
長い時間がたったように思えた。
ひとつの約束をした。
「俺は、お前を置いていかないから。誓うよ。」
いつもなら言えないような台詞。
彼女は、嗚咽交じりにありがとう、と呟いた。
またしばらくの時がたち、いくらか落ち着いた彼女が
濡れたままの瞳で俺を見据えて言った。
「もうひとつ、お願い、しても、いいかな。」
「おう、なんでもこいや、絶対叶えてやるよ。」
と、言ったことを次の瞬間後悔することになる。
「抱いて。」
「は・・・?」
「何でも叶えてくれるんだよね?抱いて。今、ここで。」
「ここで、って・・・今・・・って・・・」
「私、このままじゃ進めない、戻れない、ここからどこへも行けない。」
「今の自分を壊さなきゃ、私・・・。」
そこまで言って、また瞳から涙をこぼす。
なにが正解なのか、わからなかった。俺にも、彼女にも。
ただ、望みを叶えることにした。
わかった。とだけ伝え彼女を強く抱きしめて唇を重ねた。
ぎこちなく、舌を絡ませる。
生暖かい彼女の口内を犯していく。
くちゅくちゅと、淫靡な音は滝の音がかき消してくれる。
左手で彼女の背を支え、右手をシャイルマンティルの下に滑り込ませた。
すでに硬くなり始めた突起ごと手のひらで胸の感触を楽しむ。
「んんっ・・・」
彼女の苦しそうな吐息が漏れる。
唇を離し、濡れた瞳にキスを落とす。
・・・好きだとは言えなかった。
滝の音と吐息しか聞こえない中で、キスを交わし、お互いの体温を感じていた。
シャイルマンティルをずりあげ、あらわになった突起を口に含んだ瞬間、彼女がびくっと震えた。
「大丈夫、だから・・・して・・・。」
わざと、彼女を見ないようにして、舌で突起を転がす。
「んぁ・・・ぁ・・・はぁ」
抑えた喘ぎが俺の欲情をそそる。
もう一度、唇を重ね、サラウィルを下へずらすと、
俺の背中に回された彼女の腕に力が入る。
気づかないふりをして、下着の上から彼女の敏感な部分に触れてみた。
「あぁっ!いやっ!やめて!お願い!」
重ねていた唇が離れ、背中に回していた腕で俺を突き放す。
その瞳からは、また涙がこぼれていた。
「ご・・・ごめん・・・だ、大丈夫だから、もう一度・・・。」
「もう、充分だろ?」
そういった俺から彼女は目をそらす。
「ごめん・・・」
もう一度、目を伏せたまま謝る彼女の額にキスを落とす。
はっと顔を上げる彼女に向かってニヤリと笑い、
「次はやめてやんねーからな。」
ちょっとかっこつけすぎたことを
後悔するのは股間に痛みを感じた次の瞬間だったりした。
ヒュームの俺とミスラの彼女。
俺たちは今日も一緒にいる。