夕暮れのカザム。
潮騒と木々のざわめきが耳に心地よい常夏の島が、赤やオレンジを織り交ぜた夕焼けから少しずつ闇に包まれようとするころ。

「ぷっはー!」
一気に飲み干したジョッキを勢いよく机に置き、口元をぬぐう景気のいい猫が一匹。
向かいには、そんな彼女を満足そうに見ながら、彼女と同じ南国の果物で作られた果実酒を口に運ぶエルヴァーンの男がいた。
「お疲れさん」
仕事の労をねぎらうと、彼女は地物の魚の塩焼きにかじりつきながら、うにゃっと満足げに目を細めて耳を下げた。
「今日はラッキーだったにゃ。まさかオポオポがあんな上物落っことしてくれるなんて」
猫が満面の笑みを浮かべるのも無理はない。今日二人は、さほどのこともない依頼を片付けた帰り道に、たまたま出くわしたオポオポと戦い、高値で売れる短剣を手に入れて、酒場で祝杯をあげているところだった。

「だなー」
頷いたエルヴァーンが、魔道士であることを示す指輪をはめた手を伸ばして、木の卓の上に並べられたいくつかの料理の小皿からカリカリに焼いた肉をつまんで口に入れた。
よく焼けてしみだした脂の香りが口に広がったところに、果実酒をあおる。
「ジンと仕事すると損がなくていいんだよね。大抵そこそこ儲かるし」
傍らの椅子に斧を2本差したベルトを引っ掛け、力強さを助長する宝飾品をその茶色い毛並みの耳にぶら下げた猫は、しかしミスラ族独特の赤いゆるやかな生地の衣装に身を包んでいる。仕事が済んだあとは、ラフな服装でくつろぐのが彼女の決め事だった。
「誰だって損な仕事はしたくないだろ?」
ジンは上機嫌な猫ににやりと笑い、厨房の入り口で立っている給仕に彼女の酒のお代わりを持ってくるよう手で促した。
「マウニーは色んな人と仕事するから、損してばっかりの人もいっぱい知ってるよ。そんな人はちょっとね」
「そうなのか、俺あんまりこっちで野良ってないからなあ」
「ジンは腕がいいからもっと大きな仕事すればいいのに」

まだ数回しか共に行動したことのないエルヴァーンに、しかしマウニーは全般の信頼を寄せているように笑みを浮かべ、給仕が持ってきた果実酒のお代わりに口をつけた。
「まあ、してないわけじゃないんだがね。本国が近い時は割と一緒に動く面子がいるからさ」
「そのうちイフリートの釜に一緒に行こうよ。稼げるよ」
「そうだな、また時間取れたらなあ。今回も明日には戻らなきゃならねーし」
ジンの頭に明日には戻ってくると告げていた仲間の顔がちらりとよぎる。プラチナブロンドが美しい端正な面影が。
「よーし!じゃあ今夜は飲み倒すにゃあああ!おねーさん!ここにあるお酒全種類持ってきてにゃーー!」
昼間の戦利品ですっかり気前がよくなったマウニーが、給仕に向かってぶんぶんと両手を振った。

「…うー…」
夜の帳が完全にカザムの街を包み、昼間には無かったわずかに涼やかな風がマウニーの細い毛並みを揺らす。
「まったく…どこまで景気いいんだよ」
彼女の腕を担ぎ、脇から抱くようにして支えつつ歩くジンが、呆れたようにつぶやく。
一人で立つこともままならなくなったマウニーを、街の宿屋へ連れてきたところだった。
宿屋といってもさすがリゾート地。一軒ずつ離れたコテージが海に張り出して建てられ、硬い植物の素材で編んで作られた涼しい寝台にリネンが敷かれ、簡素な天蓋のついた寝室が用意されていた。
「飲みすぎたにゃ…」
「当たり前だ。ある酒ことごとく片っ端から味見しやがって」
付き合ったジンも相当飲んだが、かろうじて猫一匹程度は支えていられる程度に意識は保っている。
「しかも…」
「ん?」
マウニーの身体を寝台に下ろしてやりながら、ジンは聞き返した。
「なんか…変なの飲んじゃったにゃ…」
「変なの?」
酒場にあった酒は、果実で作った酒を中心に20種類ぐらいはあったから、いまさらどれが変とかいうレベルの話ではないとジンは思ったが、マウニーはふるふると頭を揺らした。
「あれはダメなのにゃ〜…あれの匂いをかいじゃうとミスラはダメなのにゃ〜…」
開け放した窓から涼しい潮風が入る。マウニーを寝台に横たえてやろうとして、ジンは彼女の手がしっかりとジンのブルーコタルディを掴んだままなのに気づいた。

「おい、寝床についたぞ、離せ」
「ダメにゃ〜」
「何がダメなんだ」
「匂いでもダメなのに、お酒で飲んじゃったにゃあ…」
ジンはマウニーの言葉に、つい先ほどまでの記憶を探る。マウニーほどではないが自分もかなりの酒量を摂取してしまったので、頭が朦朧としていつもより回りが遅い。
「飲んじゃったってお前何…うわ、あっ!」
マウニーに引きずり倒されてジンは思わず声を上げたが、同時にマウニーの言わんとする「ダメ」な酒を理解した。
「お前あれ飲んじまったのか!」
ミスラの好物、サイレドンの黒焼きを漬け込んだ酒が、確かに卓にところ狭しと並べられた中にあったような気がする。
「てか…あれって…w」
サイレドンといえば、猫があっふんあっふんしてしまうオトナのおつまみではないか!
ベロベロの猫に引きずられて結果的に寝台の上でミスラを押し倒している酔っ払いエルヴァーン。
サイレドンを摂取してしまったミスラの目的は、酔った頭でもわかる。いや、酔っているからこそ思いっきり理解してしまう。

…これは…。
頭の中で色々な天秤と錘が飛び交うが、酔いが理性という分銅を一瞬で投げ捨ててしまうのは、このシチュエーションであれば当然のこと。
ここはリゾート、異国の地。目の前にはラリって酩酊したぐだぐだの猫。
理性がぶっ飛んだ男を誰が責められるというのか。

「いただきまっす(・∀・)」
勝手に脳内で自分に許可を出したジンは、くったりと目を閉じたマウニーの頬を両手で挟み、黒い鼻に軽く口付けした。
赤い種族の衣装の上から形良く盛り上がった胸に手を伸ばす。うにゃっと小さな声を上げたマウニーの体がぴくっと反応し、ブルコタを掴んでいた手が思わず彼から離れた。
むき出しになった滑らかなわき腹から手を滑らせて、衣服の下に潜り込ませる。両手で乳房を下から持ち上げるように揉みしだくと、赤い布越しに乳首が屹立したのがはっきりとわかった。
「マウニーは淫乱体質だな」
耳元に唇を寄せてささやく。
「にゃ…に言ってるにゃ…淫乱じゃないにゃ…」
「乳触っただけで乳首立てるのは淫乱でしょw」
弱々しく口で抵抗するミスラの左の乳首を衣服の上から甘噛みしてやった。
「んっ!」
背をよじらせるのも構わず、そのまま舌で愛撫してやると唾液で濡れた布越しに乳首がさらに硬く立ち上がる。
「ほら」
「んん…イモリのせいにゃ…あれおかしくなるにゃあ…」
「じゃあ今夜はそのままおかしくなっちゃえよ」
舐めていない方の右の乳首を、乳房をもんでいた手でつねりあげた。
「んあぁっ!」
まだ柔らかかったそれは、ジンの指の間で一瞬にして勃起した。コリコリとその固まりを揉み砕くように強い愛撫を与えるたびに、酩酊猫が力の入らない声を上げてくにゃくにゃと身体をくねらせる。
舐めている方の乳房も手の中で変形するほど強く掴み、布の上から乳首を舌と歯で弄り続ける。
「ぁ…んふ…」
ふうぅっと息を吐き出し、されるがままになっている猫が膝をすり合わせている。ジンは乳首を虐めていた手を離して強引に猫の膝を割り開き、自分の腰を彼女の股の間に押し込んだ。もちろん彼女の腹に押し付けた股間はすでに膨張して熱さを帯びている。

「マウニー」
うなじに息を吹きかけながらジンは呼びかけた。
「…にゃ…?」
かろうじて反応するマウニーに口付ける。舌を絡ませ、互いの唾液が混ざり合うほど淫らなキスを交わした。
「二人でおかしくなっちゃおうぜ」
唾液の糸を引きながら唇を離し、マウニーの乳房を隠している衣類をヒジの上までまくりあげて腕の動きを封じた。開け放たれた窓から差し込む月と星の明かりで、立ち上がった乳首がはっきり見える。
今度はじかに乳首を舐め上げ、右手をマウニーの足の間に入れると赤い種族装備の股がすでにしっとりとした感触になっているのがわかる。
「あっ…ダメ…ジン、ダメにゃぁ…ああ!…」
ぐだぐだなりに頑張って抵抗しようとするマウニーの乳首をつねり上げると猫は悲鳴を上げて頭を振った。衣服の隙間から指をねじ入れてみると、熱くなったマウニーの股間はもうぐっちょりぬかるんでいて、充血しきった柔肉がエルヴァーンの骨ばった指をくわえ込む。
「マウニーお前やっぱり淫乱w」
まさぐるとぷっくりと充血した肉芽がはっきりとわかる。指を動かすたび、くちゅっくちゅっといやらしい粘液の音がさらにジンを欲情させた。
ヒジまで上げて半分脱げかけた衣類をマウニーのライフベルトで寝台の柵にくくりつけると、マウニーの上半身は無防備に晒され、そそり立った乳首と形の良い乳房が天を突く。クロスに手をかけ、一気に脱がせた。
「やぁっ…」
明らかに恥ずかしがり嫌がっているのだが、とにかく酩酊しているのと身体そのものはもうバッチコイ状態なので、マウニーの声も弱々しい上に艶を帯びている。
ジンは自分も上半身裸になり、胴体以外の衣類や装飾品は付けたままのマウニーの両足首を掴みあげて開かせた。
「ダメ…や…だ…」
「何がダメなの」
意地悪に問いかける。体の自由も理性も奪われた牝猫は、それでも羞恥を感じるのか口だけは未だに頑張っている。
「上の口はダメとか言ってるけど、下の口はそうでもないみたいだぜ?」
柔らかいミスラの身体は、脚も真横まで開く。ミスラでは適わない男の力でがっちりと膝を押し開くと、透明な粘液で溢れかえるそこは、牡を求めてかひくひくと収縮している。
ジンは牝猫の股間に顔を近づけ、肉芽だけを舌で転がした。

「あああっ!」
マウニーがのけぞる。一瞬の愛撫で肉芽が見る間に硬さを増した。
「マウニー…気持ちいいならいいって、ちゃんと言って…」
囁きながら肉芽を弄り続ける。ビクビクとマウニーの柔肉がひくつき、彼女の呼吸が激しくなっているのが聞こえる。
「あ…んっ、ジンッ…」
「今日は…おかしくなっていいんだよ」
リズミカルな責めに、マウニーのあえぎ声が同調し始めた。彼女の細長く茶色い尾がいてもたってもいられないように激しく寝台を叩いている。
「んあ…あっ、あ、んっ…あ、い…いい…あっ、いい、いいよ…ん、んっあっあっ…」
「おかしくなっちゃっていいよね、マウニー…」
「いい…んっ、いいよっ、あ、あ、あっ、んふっ…もう…んっ、めちゃくちゃにしてぇ…」

ダメだ、俺の気が狂う。
思わず心中でつぶやいたジンは、はち切れそうになった己の股間を衣服から解放した。ただでさえミスラと交わるには大きいサイズだが、今日は酒とこのシチュエーションのせいで、また一段と大きく硬くなっている。
改めてマウニーの両膝を掴んでパックリと押し開き、既に寝台のリネンまでぐっしょり濡らしてしまった彼女の蜜壷に鉄のように熱い肉棒を突きたてた。
「ぅあっんぁあああっ…」
マウニーが尻をビクビクと痙攣させて悲鳴を上げる。ぐじゅぐじゅに濡れて充血し、リーチのような感触になった狭くてものすごい弾力に富んだミスラの膣をジンは一気に貫いた。
「う…マウニー…中深いな…」
ジンは背中を駆け上がるすさまじい快感を必死で押さえ、壁がわからないぐらい柔らかく充血しきった膣で締め上げられる肉棒をゆっくりギリギリまで引き抜いた。
続けてゆっくりとまた突き入れる。抽送を繰り返すたび、ずちゅっぐちゅっと何とも淫猥な音が生ぬるい風が吹き込む寝室に響く。

両腕の自由を奪われたマウニーの上にのしかかり、涎が垂れている唇に舌を入れて激しく絡ませる。そのままいきなり激しい突き上げを始めた。
「んんっ!」
マウニーが目を見開き、塞がれた口で激しくあえぎ声を上げる。ジンは唇を離して半身を起こし、屹立したままの二つの乳首をつまみあげた。乳首を弄りながらパンパンと音がするほど激しく腰を打ち付ける。
「やああっあっあ、あ、ああっ、んぁ、う…んっ、ああぁんっ、にあんっ」
痛いほど乳首をつまみ上げられるのにつられるかのように、上半身を弓なりにして、マウニーが激しくもだえる。その腰はただ犯されているようでいて、ジンの突き上げに合わせて激しくくねり、肉棒を緩急付けてぎゅんぎゅん締め上げてくる。
「気持ちいい?マウニー」
頂点が近づいてきたのを感じながら、ジンは乳首を責め立てていた手を離し、ミスラの両膝をいっぱいに開脚させて最奥へ突きこむ。
「んっ…い、い…ん、んっ、んふっ、んぅん…」
さすがにここまでくると素直でかわいい。
「気持ちいいんだ?縛られてばっくり拡げられてぶち込まれちゃってるのに、ぐちょぐちょに濡らしちゃってよがってるんだね」
「ぃやぁ…ん、ぁん、あっ、あ、ああ、すごい…いい…ジン、あっ、あ、もう…んああ、いっ…ちゃうぅ…んぁっ、ぁっ」
マウニーが恥ずかしがってるのか開き直ってるのかわからない嬌声をあげる。
「俺も…いきそ…出すよ、マウニー」
「あんん、ダメ…中ダメぇ…んぁぁ、にぁぁぁぁ」
「だめ…中でだす……一番奥で汚してやるよ…っん…っく…」
「ああっああっ、だめえっ、あ、あ、あ、あぁん、あぁ、にあぁっ、あぁぁぁぁっ、ぃ、いくぅ…んぅ」
ジンが達した瞬間、マウニーの蜜壺の肉が大きくうねり、肉棒を波打って締め上げた。
蜜壺の最奥でびくんびくんと痙攣する肉棒から、大量の精液がマウニーの子宮口めがけてびゅくびゅく放たれる。


快感の余韻が消えるまで、マウニーの上でぐったりとしていたジンは、目的を終えた肉棒を彼女から引き抜くと、彼女を拘束していたライフベルトを外してやった。
「…酒大丈夫か?」
一瞬横になったものの、己の頭もまだまともに回っていないことを思い出し、ジンは隣で戦闘不能状態のようになっている猫を振り返った。
「ぐちゃぐちゃにゃ…」
「…そうか;まあ吐きたかったらそこの窓から吐けば、いい撒き餌になるし、遠慮するな」
「……ジン…」
「ん?」
マウニーが目線だけ上げてジンを見あげる。
「また金になる仕事あったら行こうにゃ」
「おう」
ジンはにやりと笑って、マウニーの茶色い髪をくしゃっと逆立ててやった。


おしまい