「目を覚ましたかしら…?」
パチパチと何かが燃える音と焼ける臭い、鼻に当たるその臭いに思わず体を動かそうとする。
鉛のように体が重く、鋭く鋭利な刃物で刺されたかのような痛みが走った。
どこが痛いのかはわからない、もしかしたら全身が痛いのかもしれない。
自分の頭がどの場所を傷めているのか理解していないようで、自分が今生きているのかすら疑問に思えた。
「まだ動かないで、酷い怪我なんだから」
大人びた女性の声、だがどこか幼いような音を残し、鈴の音のように愛らしい声に聞こえた。
まぶたがまだ開こうとしていない、もしかしたら包帯で覆われているのかもしれない。
もう、見えなくなっているのかも……。
「もう少し眠りなさい、まだ体が十分に癒えてないの」
そう声が囁くと、ゆったりとした歌声が聞こえ始める。
どこか懐かしいような、心地よい眠りに誘う、柔らかな歌声…。
俺はラウファという名前のいわば冒険者というやつだ。
他の冒険者達とパーティを組み、今日はザルカバードへと向かっていた。
一面の銀世界というよりはすべてが白く染まっており遠くを見渡すことが出来ない。
既にパーティとはぐれないようにするのが精一杯の状況だったが、俺達は探索を止めなかった。
好奇心がそうさせるのかわからないが、危険な場所であることが不思議な恍惚感を与えてくれるように思え
先へ先へと進み不気味さが増し、一人二人と吹雪の中でパーティを組んだ冒険者は消えていった。
何をしているのか、何処へ向かっているのか、目的すらも既に思い出せず、俺は一人彷徨い続けた。
白く、何処までも白く冷たい雪の中を……。
カリカリ……。
――なんの音だろうか……。――
カリカリカリ……。
――何かを削っているような音がする……。――
「あら?意識が戻ったようね」
カリカリと削るような音が消え、再びあの女性の声が、次は鮮明に聞こえた。
俺は吹雪の中で死んだのではなかったのだろうか?ここは天国か?
考えてみたが全く答えが出てこない、ゆっくりと瞼を開きながら体を起こす。
「流石はあの雪の中歩き回ってるだけのことはあるわね、冒険者の体力にも呆れるわ」
声の方を向くと小さな少女……タルタル族の女性だろうか?……が腕を組んでいた。
俺を見上げるようにしながら、にっこりと微笑んで小さな手で俺の膝の上に乗ると背伸びをして額に手を当てる。
ガルカとタルタルでは体格にかなりの差がある為、こうでもしないと額に手を届かすことはできないのだろう。
「うん、もう呼吸も落ち着いてるし怪我の具合も良好……凍傷も随分よくなってる」
「……ここはどこだ…?俺は……?」
「ここはボスディン氷河、貴方の事は知らないわ。ただその辺をうろうろしてたから気絶させて運んだの」
少女のようにも見えるタルタル族の女性はそういってニッと笑うと包帯を巻き直し始める。
今気がついてみると腕や脚に包帯が巻かれており、その部分が嫌になるほどじわじわと痛みを訴えている。
ここはボスディン氷河で……この女はいったい何者なのだろうか…?頭の中で疑問がいくつも沸いてくるが、どう質問したものかと考え込んでしまう。
その様子に気がついたのか、女は包帯を巻き終えるとそっと離れ、焚き火の方へ向かいながら口を開く。
「私はアリリ、貴方と同じ冒険者のようなものね、一応学者でもあるの」
そういうと何も無い空間から白い書物を呼び出し、パンと弾いたような音を立てて本を消す。
「貴方を助けた理由は特にないわ、目に付いたから助けただけ。まだ若いがルカみたいだし、転生の場所にここを選ぶとは思えないから」
アリリはそこまでいって少しだけ考え込むようにじっと黙ったまま焚き火を見つめ
「一人で来たわけではないのでしょう?でも仲間の事は諦めなさい。貴方は私が見つけてから3日も眠ってたの」
「いや、探しにいく……俺はあいつらを守るのが仕事だ……」
「なら勝手に行きなさいな。私は一週間後、この吹雪が止んでからサンドリアに帰る予定だから」
そうは言ったものの体が思うように動かない、本来なら手足を切断しなければならないほどの怪我なのだろう。
手足を動かそうとして、やっと自分の怪我の重大さに気がついた。
手足の感覚がほとんど無く、まるで自分の腕が消えてしまったかのような、そんな感覚だった。
アリリがずっと寝ずに看病してくれていたのだろう、痛みを忘れて眠れたのはきっと……。
「歌っていたのは、アリリ……お前か?」
「さあね、死ににいく人にそんな事教えてどうするの?言っておくけど、もう二度目は無いわよ」
「……悪かった。アリリ……。すまなかった」
「判れば宜しい」
アリリはそういって胸を張り、ラルファを見上げてにっこりと微笑む。
「そういえば、あんたの名前聞いてなかったね」
そう言いながら白い本を取り出しケアルを唱え始めていた。
「な、なんでそんな事をっ!!」
「良いじゃない、減るもんじゃないし」
「減るとかそういう問題じゃない!俺は…!!」
「静かにしなさい、ただガルカの精液を採取したいって言っただけでどうしてそこまで騒ぐのよ」
やれやれといった様子で肩を竦め、アリリはラルファを見上げて腰に手を当てる。
「ガルカは子孫を残さないのよね?でもペニスは付いているんでしょ?なら精液も出るんじゃないの?」
「あんたは女の癖によくそんな言葉を……」
「あら、私を女として見てくれるなんて光栄だわ。それでどうなの?出来るのできないの?」
ラルファは額を手で押さえるようにしながら深い溜息をついた。
突然アリリが笑顔で近づいてきたことに不安を覚えた直後に『貴方の精液を採取させて』と言い出したのだ。
あくまでも採取であって行為をしようという意味ではないらしい。
アリリは期待しているような目でじっとラルファを見上げ、小さな器を差し出している。
「ガルカは生殖行動を行わない……だから俺は……」
「それは知ってるわよ、でも貴方を着替えさせたときにちゃんとペニスがあるのは確認したんだから」
胸を張りながら誇らしげにそういって勝ったとでも言いたいような表情を浮かべるアリリ。
それを見ながら大きな溜息をつき、両手をあげてやれやれとポーズをとってみせる。
ラルファのその様子に満面の笑みを浮かべながらアリリは器を差し出していた。
外の風がびゅうびゅうと吹き込んでくる遺跡の入り口、その中でラルファは自分のペニスを下着を脱いで取り出し
ゆっくりと扱くようにしてみるが全く勃起すらしてこない。
それよりも好奇心でじっと覗くように見つめているアリリのせいで気分も全く乗りはしなかった。
「おかしいわね、いつ精液が出るのかしら?」
アリリは大真面目にそういってラルファのペニスを眺め、大きなそれを小さな手でつんつんとつつく。
その愛らしい仕草にラルファのペニスが反応したのか、むくむくと大きくなり始め。
「……興奮したの?」
「……何も言わないでくれ…」
自分の体の反応にラルファもショックを隠しきれない様子で頭を掻く。
まさかよりにもよってタルタル族のこんな滅茶苦茶な女に興奮しているなんて認めたくなかった。
確かにタルタル族にしては大人びたように見える顔で、頭の動きに合わせて揺れるポニーテイルが愛らしい。
「全く、仕方ないわね」
腰に手を当てながらそういうと大きな溜息をつくとローブの下に隠れてほとんど見えなかったズボンを下ろすとローブを両手で持ち上げ
やはり恥ずかしいのかほんのりと頬を赤く染めながら悪戯っぽい微笑みをラルファへと向ける。
「これですこしは出しやすくなった?早く興奮していっぱい出してちょうだい!」
「その言葉の意味がわかってるのか?」
ラルファはゆっくりとアリリを捕まえ、自分の顔の前までアリリを引き寄せる。
「俺に襲われてもいいのか?アリリ」
「襲えるの?私を?」
挑戦的な目でそういうとラルファの目を見ながらにっこりと笑う。
仮にも命の恩人であるアリリを襲うわけにいかない、それより押さえ込める自信がない。
背中に巨大な影を背負っているような、そんな気がして……。
ゆっくりと自分のペニスを手に取り上下に擦りながらはぁっと深い息を吐く。
こんな脅迫されているかのような場面でなければもっと楽しめるかもしれない。
「……見せるだけじゃなくてほら、何かしてくれないか?」
「何かって、何を?」
「尻を向けて振るだとか、色々あるだろ?」
アリリはすこし不満そうな表情をしながらも背中を向けてローブを持ち上げ尻を突き出し、小さな尻を隠す白い布と綺麗な肌を晒す。
こうしていると子供をおかずにしている変態のようで、自分がとても情けなく思えてしまう。
「はぁ…」
全く気分は乗ってこないが、もう少しで出せそうだと手のスピードを上げる。
「もう出るの?やった!」
そう言いながら器を手にじっとラルファのペニスを見つめ……。
「くっ!はぁ…」
ドクンと吐き出された精液が覗き込んでいたアリリの顔にどくどくとかかってしまい。
その吐き出される精液を止めることも出来ずにただただアリリの体に自分の精液をかけてしまう。
かけられている本人といえば、頬を赤くしながら顔全体を精液でどろどろにされながら、口をそっとラルファのペニスに近づけ。
「ん、んん……」
腰を振りながら何も言っていないのに小さな口と舌でフェラをはじめる。
そんなアリリの様子にまたペニスを膨らませながらラルファはアリリの頭を撫でながら今後の展開について頭の中で妄想を膨らませるのだった。