アフマウが目を覚ますと、そこには見知らぬ天井があった。
(ここは……?)
「やぁ、気がついた?」
男の声がした。
そちらを見ると、ヒュームの男とエルヴァーンの男が立っており、
にやにやと笑みを浮かべてアフマウを見下ろしていた。
二人とも装備はつけておらず、くつろいだ格好をしていた。
ヒュム男のほうは知っていた。幽霊船の調査を命じた冒険者だ。
「エジワにダチを探しに行ったら、こいつと君が倒れてたんで、
モンスターに襲われたら危ないから、俺のモグハウスに連れて来たんだよ。
宮廷傀儡師のアフマウさん」
エル男が言った。
(そういえば、あの時……)
アフマウの記憶が、ようやく呼び起こされてきた。
エジワでキキルン達に襲われ、カーディアンの魔法で冒険者ともども吹き飛ばされたのだった。
「助けて下さってありがどう」
起き上がり、アフマウは礼を述べた。
しかし、何かがおかしい。
「……そうだ! アヴゼンは? アヴゼンはどこ!?」
「あの赤いオートマトン? 俺が来た時はいなかったなぁ」
「大変! 探しに行かなきゃ!」
アフマウはベッドから降り、モグハウスから飛び出そうとした。
しかしヒュム男が素早く彼女の腕を掴み、ベッドに座らせた。
「おっと、せっかくお近づきになれたんだから、もっとゆっくりしていってよ」
「悪いけど、そんな暇はないの!」
アフマウは掴まれた腕を振り解こうとしたが、ヒュム男は逆に覆いかぶさるように
彼女をベッドに押し倒した。
「な……何……?」
ヒュム男は答えず、何か早口で呟く。
途端にアフマウの体が痺れ、言うことをきかなくなった。
「おー、レジスト無しで入ったな」
ヒュム男の後ろから、エル男が言う。
「サイレスも入れとくか?」
「からくり士にはいらねーだろ」
「それもそうだな」
叫びかけたアフマウの口を、ヒュム男が吸った。
「あッ! ムっ……!」
ねっとりとした舌がアフマウの唇をこじあけ、口の中にズブズブと侵入してくる。
歯茎の裏を這い回り、舌にからみつく。
「んっ……ムふぅ……」
ヒュム男はさらに、アフマウの胸に手を這わせてきた。
アフマウは必死で逃れようとしたが、エル男が頭のほうに回って、アフマウの両手を押さえつけた。
「早く脱がしちまえよ」
ヒュム男は体を起こすと、アフマウのズボンに手をかけ、一気にひきずり下ろした。
白くなめらかな腹と、まだ薄い陰毛に覆われた恥部、太股があらわになる。
「やっぱり、下の毛も金髪なんだな」
ヒュム男はアフマウの両膝に手をかけ、ぐいっと左右に開いた。
「そらっ、開いてよく見せろ!」
「いやああああー! 見ないでー!」
アフマウは絶叫した。
露わになったアフマウの股間を、ヒュム男が覗き込む。
「へっへっへ、そこらの冒険者の女と違って、ピッカピカの処女だぜ」
「マジか」
「うっ……うっ……」
男たちに下半身をむき出しにされた挙句、秘所を晒され、アフマウは嗚咽を漏らした。
「マ、マウに……こんなごどをじで……ただで……えぐっ、済むと……
思っでるの……」
しゃくり上げながら、アフマウは必死で言う。
「ふ、不滅隊が……ひっく……あ、あんだだぢを……つがまえるんだがら……」
「確かにねぇ、宮廷傀儡師さまにこーんなイタズラしたってばれたら、
俺達捕まっちゃうよねぇ」
ヒュム男とエル男が顔を見合わせてくっくっと笑う。
「モグ、いつものやつだ」
「はいクポ〜」
モーグリが鞄の中から何か機械のようなものを取り出した。
「アフマウちゃん、あれ何かわかる?」
エル男が背後からアフマウの体を起こすと、モーグリの持つ機械を指した。
「虚像の器って言ってさ、風景を記録できる装置だよ」
その機械はアフマウにとって初めて見るものであり、「風景を記録する」と言われても
ピンとこなかった。
「あれを風景に向けて使うと、その風景が本物そっくりに記録されるんだ。
絵なんかと比べ物にならないくらいにね。
これを人間に使ったらどうなると思う?」
「……!」
アフマウはようやく理解した。
エル男はアフマウの両膝を掬い上げ、ぐいっと左右に開いた。
「顔がわかるように写せよ」
「わかってるクポ〜」
「いっ、嫌!」
アフマウは手足をじたばたさせたが、エル男の腕力にかなうはずもない。
「ハイ、チーズクポ〜」
パシャ!っと音がして、虚像の器からまぱゆい光がほとばしった。
「もし俺達のこと不滅隊にチクッたら、君の恥ずかしい写真を
アトルガンどころか中の国にもバラまいちゃうよ?」
「エロ本屋に高く売れるだろうねぇ〜。タイトルは『皇国美少女15歳』でどうだ?」
「駄目ぇ……それだけは……」
そんなことになったら、兄にどんな叱責を受けることか。
それ以前に、アトルガン聖皇のそんなものが出回るなど、前代未聞の事態である。
「だから、俺らのことは内緒にしててね♪」
アフマウには、もはや選択の余地は残されていなかった。
「じゃあ、そろそろいただくとするか」
ヒュム男はいそいそとズボンを脱いだ。
「ひっ……」
アフマウは小さく悲鳴を漏らした。
もちろん、男性のそれを見たことなどない。
ましてや、腹につきそうなくらい上を向いている状態のものなど……。
ヒュム男が再びアフマウに覆いかぶさったところ
「おい待てよ。俺が先だ」
エル男が制止した。
「やだよ。俺が先にアフマウちゃんを見つけたんだぜ」
「俺がエジワでお前らを助けてやったんだろ?」
「……じゃ、コレで決めようぜ」
ヒュム男はアフマウの金色の陰毛をぷちっと引き抜いた。
エル男もそれにならった。
二人は毛をつまんだ指を突き出してしげしげと見比べ……
「俺が先だな」
エル男が言った。
アフマウの脚を開かせていた手を離すと、エル男はアフマウの前に回った。
アフマウの秘所に顔を近づけ、最も敏感な場所を舐め始めた。
「あっ! そこはッ……」
初めての感覚に、アフマウはびくんと反応する。
深窓で育ったアフマウには、男女の知識もあまりなく、自慰をしたことすらない。
いきなりこんな刺激を受け、戸惑うばかりだった。
(男の人が……私のあそこを舐めてる……)
困惑はしかし、次第に別のものに変わっていった。
エル男が舐めている場所が次第に熱くなり、じんわりと、今まで感じたことのない
感覚が芽生えてくる。
(何これ……あそこが変な感じに……気持ち悪い……ううん、これ、気持ちいい……?)
「あぁ……」
アフマウは思わず声を上げていた。
エル男はやや舌の勢いを早めた。
「あ……あぁ……ああん……」
湧き上がる快感がアフマウをだんだんと支配していく。
(気持ちいい……おかしくなりそう……)
快楽の波が押し寄せ、アフマウは初めての絶頂を迎えようとしていた。
その瞬間、エル男はすっと顔を離した。
(なぜやめるの!?)
アフマウは思わず、股間のエル男を見ると、
エル男はじっとアフマウを見つめ、いやらしい笑みを浮かべていた。
「どうして欲しい?」
(続きを……続きをして……)
しかし、僅かに残った理性がそれを口にすることを押しとどめた。
この男たちは、卑怯な手で自分を蹂躙している相手なのだ……。
アフマウはぎゅっと目を閉じ、首を強く横に振った。
「ちっ、意外と強情だな」
エル男はズボンを脱ぐと、彼の怒張をアフマウの股間にあてがった。
それが先刻見たヒュム男のものより大きく赤黒いことが、アフマウを恐怖させる。
「そろそろ、俺のギロティンを味わわせてやるよ」
「ギロティンよりもパワースラッシュのほうが合ってね?」
アフマウの胴着をめくり上げながら、ヒュム男が呟く。
エル男は先端でさっきまで舐めていた場所をなぞると、その少し下に一気に押し入った。
「あああぁーっ!」
アフマウは絶叫した。
「い、痛……」
エル男は構わず、アフマウの中に入っていく。
「痛いぃぃ……死んじゃう……」
あまりの痛みに、アフマウはぽろぽろと涙を流した。
エル男はアフマウの華奢な腰をつかみ、自分の腰を打ちつける。
「ひッ! あッ! あッ!」
「あぁ〜〜気持ちいい、気持ちいいよアフマウちゃん」
抜き差しするグチュッ、グチュッという音、パンパンと体のぶつかりあう音が
モグハウスに響く。
「ああ、これがアフマウちゃんのオマンコなんだぁ〜」
エル男は腰の動きを早めた。
「……っ……出る……ッ」
「ぁああっ!」
アフマウは体内に熱い迸りを感じた。
エル男のものがようやく引き抜かれ、わずかな安堵を感じたのも束の間。
「じゃ、次は俺な」
待ちかねたようにヒュム男がのしかかってきた。
アフマウには、もはや抵抗する気力は残っていなかった……。
その頃、アトルガン白門の冒険者居住区は騒然としていた。
不滅隊が片っ端からモグハウスに踏み込み、中をあらためていたのだ。
ある者は昼下がりの休息を邪魔され、ある者は着替えの最中に踏み込まれた。
当然、抗議の声が上がったが、そんなもので不滅隊は止められない。
彼らは聖皇直属の部隊であり、冒険者達は彼らに逆らうことはできず、
彼らが探しているのは皇国の最重要人物なのだから。
そして……
四つん這いにさせられたアフマウを背後から犯していたヒュム男が果てた瞬間と、
不滅隊が踏み込んだのは、ほぼ同時だった。
翌日。
以前から冒険者の間で噂になっていた、二人組の婦女暴行犯が捕らえられたという瓦版が、
白門で配られた。
女性冒険者からは安堵の声が聞かれたという。
「アフマウの様子はどうだ」
「はっ、鎮静剤が効いていて、まだ眠っていらっしゃいます」
「あのあと回収された『アレ』はもうないか」
「はい、念入りに調べましたので大丈夫です」
「ご苦労、下がれ。何かあったらただちに報告するように」
リシュフィーが部屋から出て行くと、ラズファードは机の下から箱を取り出し、
カギを開けた。
中には、虚像の器によるアフマウのあられもない姿の記録がぎっしりとつまっている。
モーグリはよほど手馴れていたとみえ、どれもほどよい明るさで鮮明に写っていた。
「これは……どうしたものかな……」
ラズファードは呟いた。