ウィンダス連邦に広がるサルタバルタ草原。
初心者冒険者たちが今日もモンスター討伐に明け暮れていた。
新米戦士『ムラ』もそのうちの一人。
新米戦士とはいえウィンダス連邦付近にうろつくモンスターたちは彼の練習相手にもならない相手でした。
そうなれば必然的に自分の次なる獲物を探して行動範囲を広げていくのが冒険者の性。
徐々に北に進路を取りクロウラーやヤグードを相手に修行を積む毎日。
今では当たり前のようにサポートジョブをつけて辺りのモンスターを乱獲している冒険者達も少なくはない。
しかしムラはヴァナディールにきて間もなかった。
右も左も知らない彼がサポートジョブの存在もまだ知るはずもない。
ムラはクロウラーを倒し、次の戦いのために体を休めていた。
丁度よい相手を見つけては戦闘を繰り広げ、ヒーリングを行って傷を癒しては次の戦いに備える。
今回は実入りはよかったものの思ったより苦戦を強いられた分、回復にかかる時間も比例して長くなっている。
周囲の敵が闊歩する場所から離れてのヒーリング。
見かけによらず彼は慎重派のようだった。
そんな彼の視界に飛び込んできた一人のミスラの女性。
彼女は南に向かって必死に走っている。
その数歩後にはYagudo Intiateが追いかけていた。
しかもその数は一匹ではなかった。少し遅れてYagudo Acolyteが同じミスラの女性を追いかけていた。
その二匹はムラには気付いていない。
このまま見過ごせば彼に危険が及ぶこともないだろう。
ムラはヒーリングを中断し、即座にYagudo Intiateに狙いを定め、強さを測る。
『同じぐらいの強さ』
手ごわい相手には違いなかった。しかも彼はまだ前回の傷が完全に癒えていない状態なのだ。
だが、ムラの正義感は迷いを見せなかった。
先行するYagudo Intiateに即座に挑発を行った。
すぐさまきびすを返し、ムラに標的を返るYagudo Intiate。
「こいつ一体ぐらいなら……」
剣を抜き、走り寄るYagudo Intiateに対し身構えた。
Yagudo Intiateの左右のこぶしが襲い掛かる。
痛烈な打撃だった。丁度よい相手ばかり戦っていた彼のツケだろう。
十分に上がっていないスキル、しかも負傷を追った状態で同じ強さに挑むのは無謀だと思えた。
一撃の間隔こそ間が空くものの、瞬く間にムラは瀕死の状態にまで陥ってしまう。
□マイティストライク□
数少ない彼のスキル。ある意味最後の一手だった。
気合のこもった一撃でYagudo Intiateに襲い掛かったものの、あろうことかいとも簡単にその攻撃は受け流され手痛い反撃を受けることとなってしまった。

薄れ行く意識……
彼は一人の女性を護ったと満足げな笑みを浮かべその場に崩れ落ちていく。
「バカな!?」
彼の視界に飛び込んできたのは紛れもなく先ほど逃げていた女性その人だった。
逃げおおせたはずの彼女がこの場に戻ってきている。
自分の命は無駄に終わってしまったのか?
程なくして彼の耳に女性の呻き声が届いた。
(あぁ、彼女を救うことが出来たと思ったのに……)
とはいえ、冒険者達は魔物にやられただけで本当の死は訪れない。
多少の罰を受けることで再び命を授かることが出来る。
それはムラとて知っている。
知ってはいたが追われている彼女を見過ごすことは出来なかったのだ。
やがて彼に声が届く。
復活を促す天からの声だ。
しかし、もう一つの別の声が彼の耳に届いた。
声というより呪文、魔法の類に属する言葉だった。
長い詠唱が終わると同時に彼の体に光の粉が舞い降りる。
レイズといわれる蘇生魔法、白魔法の中でも代表的なものだ。
その魔法は死の罰則を軽減するだけでなくその場で復活することができる。
ムラはレイズの恩恵を受けるとすぐさま辺りを見渡し恩人を探した。
しかし周囲にそれらしい人影は見当たらなかった。
たまたま通りがかった冒険者が偶然倒れているムラを助けた、ただそれだけのことだったのだ。
そう、ムラが名も知らない一人の女性を助けようとしたのと同じ善意の押し売りみたいなものだろう。
「あっ!?」
ムラはふらつく足取りで立ち上がると自分が助けようとしていた女性の姿を探す。
少し離れたところで、彼女はうずくまるようにヒーリングに努めていた。
おそらくムラと同じ人が彼女にもレイズを施したのだろう。
ムラはまだ焦点の定まらない視界で、ゆっくりと女性に近寄って行った。
「キミ、大丈夫?」
「うん、大丈夫。助けてくれてありがと♪」
結果としてムラが助けたわけではないが、女性は彼にお礼の口上を述べる。
「ごめん、もっと僕が強ければキミを護ってあげれたのに……」
男はなにもできなかった自分を責める。
「そんなことないんじゃないかニャ、その……気持ちだけでも十分ニャ」
丁寧に女性は感謝の気持ちを口にする。

「もしよかったら……」
一人では辛い旅でも二人なら少しは楽になるのではと思いムラは彼女をパーティーに誘おうとした。
だが、視界が揺れると同時に彼は体勢を崩し前のめりに倒れこんでしまった。
幸いにもヒーリングをしていた彼女がムラの体を受け止め、生い茂る芝生がクッションの変わりになってくれた。
「大丈夫かニャ?」
「ご、ごめん。体に力が入らなくて……」
まるでムラは自分の体ではないぐらいに言うことが聞かない。
「衰弱してるのね。ってアタシもだけど」
「衰弱?」
ムラには聴き慣れない言葉だった。
「知らないの?蘇生直後は衰弱状態でそれが解けるまでは行動を慎んだほうが良いって」
死の経験はこれまで数度あったがレイズによる蘇生は今回が初めてだった。
事故だったとは言え、彼女に覆いかぶさってしまったムラ。
こともあろうか、彼の頬には女性の柔らかい膨らみが当たっていた。
不可抗力とは言えこの状況で若い男が反応しないわけがない。
「その……退いてくれるかニャ?」
「あ? う……うん」
気まずさとやりようの無い恥ずかしさが二人の間にこみ上げる。
「アタシはミーア、あなたは?」
その空気を打開するように女性は自分の名を名乗った。
「ぼ、僕はムラ。最近冒険者になったばかりなんだけど」
互いに簡単な自己紹介をし、堅く重苦しい雰囲気を取り払うことが出来たようだった。
「そうなんだ。じゃあ少しばかりアタシのほうが先輩かも?ね♪」
ミーアはムラをじっと見つめ、装備品や武具を品定めする。
年はほぼ変わらないものの彼女の言うとおりこの世界では彼女のほうが豊富な知識を持っているようだ。
装備面から見ればムラとミーアはほぼ変わりが無いといったところだが……
「色々教えてあげよっか?アタシの分かる範囲で……」
「お、御願いします」
いつの間にか立場が逆転してしまっていた二人の関係。
「そうね……でもその姿を見ているとまともな話って出来なそうだけど……」
と言った彼女の視線がムラの股間に注がれていた。
そこは先程から内側の力により大きく膨らみを見せている。
「こ、これは……」
「分かってるわよ。だってお互い年頃なんだから……それともアタシじゃ嫌?かニャ?」
「い、嫌って? な、なにが?」

「さっき言ったでしょ? アタシが分かる範囲で教えてあげるって……この世界のこととか……ミスラの体のこととか……」
ミーアは艶かしく衣服をずらし、肩のラインを露にする。
「え? あぁ?」
戸惑いを隠せないムラの唇に優しくミーアが軽く口付けをする。
「ちゅっ……えへへ」
続いて照れ隠しに笑いを浮かべるミーア。
そんな仕草にムラの理性は簡単に崩壊してしまった。
今度は自ら熱い接吻を求める。
今度は技術も無い本能の赴くまま、若さに任せたがむしゃらに荒々しい口付けを行う。
二人に敷き詰められた草むらの絨毯が優しかった。
そのまま唇を重ねたまま二度、三度と転がるうちに体勢が入れ替わっていた。
ムラが下になりミーアを見上げる格好になる。
「やっぱり衰弱しててもここは反応するんニャね」
彼女が衣服の上からムラの股間を撫ぜる。
そこはさっきより一回り膨らみをみせ、苦しそうに中からズボンを押し上げていた。
ミーアの手馴れた手つき、片手でいとも簡単に彼のベルトのバックルをはずし、ズボンのファスナーをずらす。
地味なグレーの下着越しからでもその形が分かるほど充血したムラの肉棒が熱く滾っていた。
彼女の手がその下着をずらすと同時に中からギンギンにそそり立つムラの凶器が姿を現す。
しかし彼女の目にそれは恐ろしい存在ではなく、愛くるしくいじらしいものに映った。
ミーアは無言のまま天に向かってそそり立つムラの肉棒に舌を這わせた。
小鳥がついばむようなキスを降らせ、それを両手で包み先端を口に含む。
カリの部分まで咥えて、ゆっくりと首を前後に動かし、頬をすぼめて舌と唇で愛撫を行う。

じゅぱ……じゅるる、ちゅぱ……んじゅる……

ムラの肉棒がミーアの口腔を出入りするたび唾液と彼の分泌液が交わり淫靡な音を奏でる。
徐々にその動きは激しさをまし、耐え難い快楽をムラに供給する。
付け加えるならミスラ独特のざらついた舌の感触がとても気持ちが良かった。
目にかかる前髪を手で払い、それを一次しのぎに後ろへと流す。
「んはぁ……っく……んぁ……」
ムラの口からは苦しさに似た快楽の吐息が溢れ出る。
めくるめく快感の前に経験の浅いムラはすぐに絶頂に達しそうになってしまう。
だが彼女はそんな様子をすぐさま読み取ることが出来た。
一度彼の肉棒から口を離し、幹をキスで辿りながら根元のほうへと唇を這わしていく。
ミーアは男の二つの袋を左右代わる代わるついばんだ。

それは快感とは違ったどこかしらくすぐったい感触を男に与える。
しかしそれは視覚的に男の情欲を揺す振る効果を持ち合わせていた。
現に萎えるどころか男の肉棒はより硬さをまし、多種にわたる愛撫に悦んでいるようだった。
ムラも余裕が出てきたのか、再び彼女の視界を邪魔する前髪達を払ってあげた。
上目遣いで見上げるミーアの視線がムラを捉える。
彼女は再びムラの肉棒を咥え、手を添えて首を動かした。
ムラは自分の手を伸ばしミーアの上着の大きく空いた胸元から手を忍ばせる。
柔らかい乳房、その先に硬くしこる肉芽を日本の指で摘み、こねる。
その行為にビクンとミーアの体が一瞬反応を示した。
ムラがなぶった性感帯が快楽を与え、彼女の体が反射的に訴えたのだ。
しかしムラの悪戯もそこまでだった。
彼女が最初より深く、喉の奥まで肉棒を咥えこむと男は快楽に我慢の声をあげずにいられなかった。
その動きに激しく肉棒が彼女の口を出入りする。
「うぅ……だめだ、我慢できない!」
咄嗟にムラの手がミーアの頭を掴む。
彼は制止を促したつもりだが、彼女はそれにもかまわずより激しく、舌を唇を喉を使って男を快楽の園へと導いていく。

じゅぱじゅぱ、じゅぱじゅぱ、じゅぱじゅぱ

唾液がリズミカルに水音を立てる。
もはや限界とばかりにムラの手に力が込められる。
彼は無意識のうちに彼女の頭を自分の股間へとひきつけていた。
その目的は一つ、湧き上がる射出感に任せ、彼女の中へ白濁の精を放つことだった。
「っく! うぁ!」

ドクッ!……ドク、ドク!

勢い有る白濁の精は彼女の喉の奥を打った。
熱い迸りと独特の臭気にミーアは思わず噎せ返るのを我慢し、絶頂が迸る終止を待った。
しだいにミーアの頭を抑えていたムラの手の力が抜けていく。
それは彼が射精を追え、彼女の解放を意味していた。
彼の拘束から逃れ、ミーアは自由になったと同時に口に溜まった彼の精を両手に吐き出した。
大量な欲望のリキッド、彼女の唾液も混じっていたがそれはミーアの手にあまり零れるほどに溢れていた。
「いっぱい……フフフ」
なんて艶かしい姿なんだとムラは生唾を飲み込んだ。

彼女は両手のものを乾いた地に返し、彼に体を摺り寄せてくる。
「……にも……して」
小さくムラの耳に囁き落とした言葉。
大半は風に流され音として伝えれなかったが言葉の意味は鮮明なまでに男の脳にまで届いた。
彼女の欲求……それに応えるムラ……
人の腰ぐらいまで有る切り立った岩を背もたれにし、彼女はムラの愛撫を受け入れていた。
二人の姿を人目から身を隠す上でもその岩は有効に活用できていた。
男の舌がミーアの体を這い、首筋を、乳房を愛でる。
先ほどの彼女の好意に応えようと執拗なまでに大人としては未熟なミーアの体中を嘗め回していた。
やがて彼は黒い茂みを進み、潤いを帯びたクレバスにその手を進めていった。
「は、恥ずかしい……」
両手で顔を覆いながらミーアはうわ言のように呟いた。
形勢逆転といったところか、彼女の言葉を意に止めずムラは濡れそぼった花弁に唇を這わせた。

じゅるる……

あふれ出る甘い蜜をすすり、湧き出るクレバスの奥へと舌を差挿し入れて内側を嘗めた。
「あぁ……あぁん……はぁ、んぁぁ……」
子猫の鳴き声のようなミーアの口から控えめの喘ぎ声が漏れる。
火照った体に冷たい岩肌が心地良かった。
ムラは彼女の股間に顔を埋めたまま両手で胸にしこり立つ乳房をこねくりまわす。
野外という状況が普段とは違った興奮を二人にもたらす。
風のざわめき、川のせせらぎといった自然の演奏が二人に非日常の空間を作り出していた。
欲望を吐き終えた股間に再び熱がこもるのをムラは感じていた。
とは言えまだことをなすには不完全な炎。
ムラは彼女への愛撫を中断するとゆっくりと立ち上がり、彼女に身を寄せた。
座っている彼女の丁度口の高さに力を失っている彼の股間のものが現れる。
ミーアは力なくうなだれるソレを手に取り、ためらうことなく口に含んだ。
先ほどとは違う柔らかい肉棒。
マシュマロのように口の中で転がし舌で味わう。
しかし瞬く間に彼の肉棒はミーアの口腔内で大きく膨れ上がり硬化していった。
「ねぇ……きてニャ……」
ミーアは芝生の絨毯に寝転び彼に向けて右の手を伸ばし掌を上に指を一本ずつゆっくりと曲げて手招いた。
同じように無作為に動く尻尾もそれに輪をかける。
魅入られたように彼女の誘いにのるムラ。

彼女の足首を掴みその足をMの字に力任せに開かせた。
露になったクレバスからはとめどなく淫蜜が溢れ臀部へと滴り落ちていたようだった。
硬くそそり立った剛直をあてがい、ゆっくりと彼女の中に進み入る。
「ああぁぁぁ……」
にゅちゅにゅちゅと水音を立てて彼女の中を突き進むムラの肉棒。
彼は半分ほどミーアの中に埋めると、腰を引き、抽送運動を繰り返す。
「あぁ、あっ、あぁん……あっ、あぁ……もっとぉ……」
もっと奥まで入れて欲しいとミーアの焦燥感が募る。
とはいえムラもただ彼女の入り口を責めていたわけではなかった。
彼の目的はじっくりと彼女の膣を味わい、肉棒にその味を覚えこませることだった。
彼女の味を覚えることで、刺激にも慣れ少しでも長くその中に留まろうと言う彼なりの算段だった。
ムラの肉棒にミーアの味が染み渡る頃、男は一気にその腰を沈め、中を突き進んだ。
「あぁん! あっ、はあぁぁん!」
深く深く男がミーアの中を埋め尽くす。
ミーアの体はくの字に曲げられ体重を乗せてムラの腰は打ち付けられる。
逃げ場が無いミーアは否が応にも肉棒の先端に子宮の入り口を叩かれていた。
「あん、あぅ!深っ!にぁん……あっ、あっ……あぁん!」
じゅぶじゅぶと中に溢れる愛液を肉棒のカリの部分が外へとかきだしていく。
しかし残念なことにここは柔らかいベッドの上ではない。
いくら芝生が断衝材になるといってもたかが知れていることだろう。
今の体位では彼女の負担が大きすぎたようだ。ミーアは違った意味での肉体的限界を感じずに入られなかった。
とはいえ没頭している経験の浅いムラがそのことに気付くはずもない。
しかし丁度、今の動きに変化をつけようとムラが体位を変えようと試みたところだった。
「手を貸して」
ムラの声に応じるように彼女は自身の手を彼に差し出した。
その手を掴み、男は彼女の上半身を引き寄せるようにしながら腰のピストン運動を再開した。
先ほど同様逃げ場の無い彼の腰使い。
「ああぁぁあんあん! にっ、にゃああぁん!」
ただ彼の体重が圧し掛からない分ミーアの負担は減ったがより一層深く強くそして激しく責め立てられる。
小刻みな動きにミーアの喘ぎもビブラートし、歓喜の声が留まることなく辺りに響く。
「あああぁぁ──! すごい、すごぉい! だめにゃ、にゃっく……ふにぁん!」
ムラの体に汗が玉のように浮かび上がる。
彼の息遣いは全力疾走でもしているかのように荒々しく吐き出されている。
「っぐ……はあっ……はぁっ、はぁっ、お、俺……っく!」
ムラの腰使いがさらに加速し頂へと向かい駆け上り始める。


彼は結合部を密着させたまま深く深くへと腰を打ち付けていた。
ぐちゅぐちゅと川の音を掻き消す淫靡な水音。
「ああぁぁぁ!! わ、私も……っく、あぁぁあん!」
ミーアの伸ばした手もぎゅっと堅く握り締められる。
尻尾にも力が入るのか、ビンと棒のように硬く今まで暴れていた動きを止める。
互いに限界が近いことを察したようだ。
「だめぇ、も、にゃ……だめぇぇぇええ! い、いちゃぅニャ─────!!」
ミーアは頭をそらし、絶頂を迎えると共に絶叫していた。
次の瞬間、ムラも彼女の中から剛直を抜き取ると欲望の丈を彼女の腹部に吐き出していた。

ドクン!ドクン!

熱い迸りがミーアの腹部に放たれ、彼女の肌に白い跡をつけていった。
「はぁ、はあ、はあぁ……」
荒々しい息遣いを整えようとムラは努めた。
彼の目には余韻に浸るミーアの姿が映っていた。
「……」
「……」
二人は無言で見詰めあった後どちらからともなく微笑みかける。
彼女はしばらく起き上がれそうにないようだ。
それはムラとて同じだろう。
必要以上に消耗した体力、それに加えての激しい運動。
彼は安息を求めてミーアの隣に寝転ぼうと疲れた体を投げ出そうとした。
それと同時にムラの体が一瞬まばゆい光に包まれる。
「へ?」
ムラは突然の出来事に思わず背後を振り返ってみる。
そこに立っていたのはヤグード族の白魔道士Yagudo Acolyte。
そいつは少し離れたところから睨みを利かせていた。
「えっ?」
彼が光に包まれたのはYagudo Acolyteが放った『ディア』だった。
その魔法を受けてしまっては休息を取るどころか今の彼なら死に至る可能性もいなめない。
【逃げて!】
ムラはミーアにその言葉を残し自分も一目散に町へと向かって走り出した。
幸いにしてYagudo Acolyteはミーアの存在には気が付いていなかったのだろう。
Yagudo Acolyteの狙いはムラでありミーアは眼中にない。
ひたすら彼の背中を追って駆け出していく。
サルタバルタ草原を全裸で走りぬける男……Yagudo Acolyteに追われていたとは言え誰も彼を助けるものはいなかったと言う。



後にミーアとムラはパーティーを組み功績をあげることになるのだがそれはまた次の機会に……

□END□