モンスターx少女【孕み】

 魔界、そこは弱肉強食の原理に支配された混沌の世界。いかなる行為も力の前には許され、いかなる倫理も力の前には屈服する。
 その魔界の法則の前に、精神を壊された少女がいた。
 彼女は、魔獣達に繁殖のための道具に貶められたのだ。
 もともと彼女も悪魔。貞操という観念はなく、同種の異性との性交はないものの、すでに肉欲に任せた苛烈な自慰や姉妹ともいえる同性との慰みにより、純潔とはいいがたかった。
 だが、魔獣たちの劣情は、少女の体験してきたすべてをはるかに凌駕し、その精神を焼き切った。
 少女はもはや生命体ですらないとも言えた。
 すべての内臓器官は、もはや魔獣達の卵を育てる子宮の維持のためだけに存在していた。
 たおやかな四肢は、もはや胎内に魔獣のグロテスクな生殖器を導き、生殖細胞の注ぎ込みを促すための器官に過ぎない。
 孕み人形。それが、今の彼女の状態に、最も適した言葉だった。

 少女の陰部に、魔獣の巨大な根が突きこまれていた。
 普段なら嬌声を上げ、快楽に身を捩じらす少女だが、このときばかりは勝手が違った。
「だ、だめぇ!産まれるの!出ちゃうの!だから抜いてぇっ!抜いてぇ!」
 背面座位の状態から、必死に抜け出そうとする少女の腹は大きく膨らんでいた。
 彼女は臨月を迎えている。ほんの一ヶ月前まで細くくびれていた腰は、子宮内で育った無数の卵達により、見る影もなく丸くなっていた。
「うまえぇっ!産まへるのぉ!ホントに産まれちゃうのぉ!ひぎぃぃぃぃっ!」
 白目をむいて、必死に暴れる少女だが、モンスターはその体を離さない。
 それは種を残すという意味では望ましくない行為だ。だが、彼らにとって性交とは他の二大欲求に並ぶ至上命題。彼らの主観からすれば、新たな命などそれによって生まれる副産物にすぎない。
 だから、いくら少女が訴えても、自身が達するまでその行為が終わることはない。
 むしろ、暴れる少女に興奮したのか、よりいっそう一物を硬くして、少女を突き上げる。
「ひぐっ!ひぎ!ああふぅっ!」
 少女がモンスターの上で、鞠のように跳ね上がった。

 激しい動きは、ある意味少女にとっては良い結果と、悪い結果をを生んだ。
 良い結果とは、激しい動きゆえ魔獣の絶頂が近くなったという点。
 そして悪い点は―――あまりの激しい動きに、魔獣の先端が、禁忌の領域にまで到達してしまった点だ。
「ひがぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 少女の体を、初めて魔獣の男根をくわえ込んだときに匹敵する衝撃が走りぬけた。
 魔獣の陰部の先端が、出産を控え、開きかけながら下がってきた子宮口を突きぬけ、子宮内部にまで到達したのだ。
 子宮内の卵は硬いからに包まれており、その程度の衝撃で割れることはなかった。だが、それが少女にとって幸運だったかどうかはわからない。肉棒に掻き混ぜられることで、無数の卵達が位置を変え、少女の子宮内面を転がりだした。
「―――っ!ぁぁっ!」
 今まで体験したことのない異様な感触に、少女は口を開きながら、声にならない悲鳴を上げる。その姿が魅力的に移ったのか、子宮口突破に際し一度動きを止めた魔物は、再び運動を再開した。
 まずは、ゆっくりと肉茎を引き抜く。
「あ、あ、あ、あっ……っ!」
 引き抜かれるにつれて、大きく開ききった子宮口から卵が膣を通って外界に向かう。
 だが、ペニスが完全に引き抜かれる直前、今度は陰茎が、膣にゆっくりと沈められ始めた。
「ぅ、きゅぅ……ふぅくぅっ…!」
 それに従い卵も子宮内に押し込まれる。それによって肺腑に掛かる圧力と。未体験の感触に、少女の口から悶絶の声が漏れる。
 そして、魔獣の先端が、再び子宮内部に突きこまれた。
「ひひゃん!」
 子宮内部で卵がごりゅごりゅと動き回った。二度目のその感触を、すでに開発され尽くした肉体は、痛みとも不快感ともとらなかった。
 それは、少女が得た、新たな種類の快楽だった。
「んんあぁぁぅっ!」
 その新たな感触に、少女は絶頂を迎えた。

 少女の絶頂が終了するまで、魔獣は待っていなかった。
 卵も少女もお構いなしに腰の振りを激しくする。
「かふっ、きゃぇ!ああっ!あんっ!ひぐぅ、いやん!はうっ!」
 静止を求めることもできず、少女はその最奥までを犯しぬかれる。
 やがて魔獣の動きの速さが、限界近くに達し…
「ああああああああああああっ!」
 少女がひときわ強烈な絶頂を迎えたと同時に、魔獣は少女の子宮に、直接粘液を流し込む。
 魔獣のペニスがビクビクと震えると同時に、少女の四肢も痙攣する。
 やがて、射精が終わりペニスが引き抜くと、魔獣は少女を放り出すように床に置いた。
 仰向けにされた少女は、口元からこぼれる唾液を拭くこともせず、焦点の合わない目で自分の陰部を見つめる。
「……ぅぁ」
 少女が呻いてから、膣から白い球体が一つ、姿を現した。
 それは魔獣の汚液にまみれた、卵だった。

 それを皮切りに、続けて卵が生み出される。
「う、産まりぇ、たぁ…」
 呂律の回らないまま、少女は笑顔で身を起こす。そして両足を抱え股を開き、軽くいきむ。
 それによって排卵の勢いが更に増した。魔獣と少女の体液にまみれた卵が排泄されるたびに、彼女の腹が小さくなっていく。
「あ、ああっ……うまりぇてるぅ…。見てぇ、産まれてるのぉ」
 魔獣に向けて、自らの出産の様子を見せる少女。その頬は、高潮していた。羞恥心ではない。少女は卵が膣を通り抜ける感触に……出産の感触に性的な快感を得ているのだ。
「はぅぅんっ!
 やがて、最後の卵がひりだされると同時に、少女は倒れた。
 苛烈なまでな快楽の嵐と出産は、彼女の体力を極限まで絞りと尽くしたのだ。
 彼女が産んだ卵は、あとで魔獣たちが持っていく。その後どうなるかは彼女の知るところではない。だが、おそらく彼らが育てるのだろう。
 ひょっとしたら、育った子供達が自分を孕ますためにやってきてくれるかもしれない。
(素敵…)
 壊れた彼女の精神は、その近親相姦じみた事象すら、素敵と評した。

 闇に沈みかける彼女の視界で、今まで自分を犯していたモンスターが卵を集め始めていた。
 まるで先ほどまでの粗暴さが嘘のように、やさしげな手口で魔獣は卵を集める。
 だが、それが終わるより先に、突然、魔獣の頭が胴体から切り離された。
 断末魔すらなく魔獣は倒れ、切断面から噴出した血が、少女をぬらす。だが、もはや意識の殆どが闇に飲まれた少女は、それに対して行動どころか感情すら抱けなかった。
 ぼやけてきた視界に、魔獣の首を刎ねた者達の姿が見えた。それは、少女と同じ人間に酷似したシルエットだった。だが彼女とは違い、額に角があった。
 それは彼女や魔獣たちより、さらに生態系の上位に立つ、知的な悪魔だ。だが、そこまでだった。それを知った時点で、彼女の意識は完全に闇に飲まれた。


「卵があるぜ」
「産み立てみたいだな。ご馳走だぜ。ん?何だ?
 ……おい、これ見ろよ」
「苗床にされていた下等悪魔か。ちょうどいい。こいつも持ち帰りだ」
「ああ、ちょうどこの間。一つ苗床がつぶれたところだしな」

 額に角を持つ彼らは、魔界全体に見てもかなり上位の悪魔だった。
 高い知性と頑健な肉体をもつ。その生活スタイルは遊牧を基本としていた。
 魔獣を飼いながら、ゆっくりと移動している。魔獣を飼う理由はいろいろあった。
 彼らにとって魔獣は輸送手段であり、装飾品の材料であり、そして何より、食料だった。


 あの悪魔の少女は生きていた。
 今、少女がいるのは穴倉ではなく、粗末ながらも屋根と壁のある小屋だった。
 その小屋の中で、少女は大きく膨らんだ腹を抱えながら、自らの胸をいじっていた。
「はぁっ…はぅ…んっ」
 荒い息遣いで、少女は自分の胸を外周から中心―――乳首に向けて絞っていく。
 そして絞られた乳房は、その乳首から白い液体を射出した。母乳だ。
 母乳は、彼女の目の前に置かれた器にたまっていく。
 彼女が自身を搾乳することに熱中しているところに、額に角を生やした悪魔がやってきた。
「おい!ミルクはもう出たか?」
「はっ…はいぃっ」
 少女はおびえながらも、しかしどこか陶酔した表情でミルクの入った器を差し出す。
 それを受け取った悪魔は、特に何の表情も見せてこなかった。どうやら期待以上というわけでもないが、不足というわけでもなかったらしい。
「よし、腹を出せ」
「は、はいっ!」
 少女は表情を輝かせ、自分の膨らんだ腹を差し出す。その目には、与えられるであろう快楽への期待に満ちていた。

 だが角のある悪魔にとって、少女の悪魔は家畜に過ぎず、その杞憂など些事だった。
 悪魔は少女の膨らんだ腹に手をやると、魔法を展開した。
「んんああああぁぁっ!」
 魔力を受けたとたん、少女は悶える。
 藁の敷かれた床に崩れ落ち、体を痙攣させ
「ひぅっ!」
 そして陰部から卵を産んだ。
 出てきた卵は表面に無数の突起があるものだった。大きさも以前彼女を飼っていた魔獣たちのそれに比べて数倍の大きさだった。
 それが数個、少女の媚肉を書き分けて生み出された。一つ出るたびに、彼女は絶頂を迎えて体をビクつかせる。
 やがてすべてを生み終えたとき、少女は力なく横たわりながら、快楽の余韻に身を任せていた。
 悪魔は、その少女を一瞥することすらなく、産み落とされた卵を拾い上げ、その場を去る。
 だが、小屋を出る前に、一度だけ振り向いた。
「おい、今度はミノスを孕んでもらう。午後からだ。準備しておけ」
 ミノス、それは牛形の巨獣だった。その巨体に見合うほど、陰茎も子供も大きい。それを受け入れ出産する。そんな自分の姿を想像し、少女は期待に身を震わせる。
「は、はい……わかり、まひた…」
 自分を待ち受けているであろう『極楽』を夢想しながら、孕み人形は眠りに付いた。