さてさて今更説明するのも馬鹿らしいほどありふれた話だ

僕は日本の大学生。ちょっとオタクな部分はあるが表向きは普通のどこにでも居そうな人間だ。
人並みに悩みもあるし友達もいる。そんな最大公約数的人生を送ってきたはずだが何故か気が付いたら異世界にいました。
いや待て、言いたいことはよーくわかる。
このスレでは何度も何度も使われてきたネタだってことはな。
だけど実際起こっちまったものはしょうがねーだろうが!!!

「そろそろそのメタな独り言をやめて説明させてもらっていいかい?」
そう話しかけてきたのはトンガリ帽子に黒ローブ、おまけに肩には梟と黒猫と言ったこれまた判りやすい魔女ルックだ。
僕は実際に魔女がいるのだとしたらよぼよぼの御婆ちゃんだと想像してた。つい最近では魔女っ娘や若くて妖悦な魔女も支持されているようではあるが、所詮は歴史の浅い欲望まみれの説だ。
リアルを追求していくとどうしても年老いねば学び切れないものが多いと思うからだ。そんなわけで老婆説を唱えている僕だが、目の前にいるのは 
胸元バンッ腰がキュッお尻ぷりりん な感じの男の欲望が象徴化したような女性だ。しかもローブの下はボンデージで胸の谷間は見える下は腰骨の辺りまでスリットが入っている。端的に言うと穿いてない状態JEEEEESUS!!!
顔?はぁ・・・聞くまでもないだろ、真っ赤な瞳はどこまでも透き通っていて吸込まれそうだし唇はその女性から漂う芳香が林檎を思い出させる。髪の毛は腰まで届きそうな黒だ。
ああ、何が言いたいかって?そうだよ、美人だよ!しかも飛びっきりのな!!
まあ救いとしては、今僕がいる場所がおどろおどろしい魔女の館っぽいことだな。暖炉のドロドロしたものを似ている大釜、髑髏の蝋燭立、天上に蔓延るこうもりの群。それらはとりあえず僕の心を落ち着けてくれた。
だけど僕は認めねぇ!旧き良きファンタジー愛好家としてはこんな読者層に媚びた魔女なんて魔女なんて・・・ああ、足を組みかえるなぁ!
・・・・・・ちぃ、魔女のくせに人を惑わせやがって
「ふぅ、魔女は若い男を惑わせるのも仕事のうちなわけだが、そんなことはどうでもいい」
なっ?!心を読まれた?
「とことんベタだね君は、口にだしているよ」
肩をすくめて言われた
「はぁ・・・・・・まずは自己紹介をしておこうか。わらわの名はファンタジー・ロール。きみのご想像の通り魔女、いわゆる魔法使いをやっているよ」
と言った次の瞬間、頬をはたかれた。
一瞬何が起こったか判らなかったけどしだいに張られた後が熱くなってくる。
「な、何をっ?!」
「こういうとき君は『はっはっは、これは夢だな』とか思うだろ?夢なら痛くないっていうのよく言うじゃないか?その手間を省いてあげたんだよ」
得意気に言うロール。突然だけどこの女性をロールと呼ぶことにたった今決定。
「思うまえに叩くな!わかってねぇ、わかってるようで全然わかってねぇ!」
「そうなのかい?」
「ああ、異世界召喚モノはまず最初にそれがあってこそ読者と主人公が一体化するんだ。このプロセスを省いたら、今後起こりうる元の世界に帰還したい欲求とか異世界での困惑が理解しづらくなっちまうんだよ!」
「そうか・・・・・・それはすまないことをした。この通りだ」
そういって深深と頭を下げた。あまりに素直に謝られたので二の句が続かない。
「あ・・・・・・もう、いいよ・・・」
「ああ、今からやり直すかい?
 『異界に眠る勇者よ、今こそ我が呼びかけに応え・・・』」
雰囲気も交えながら呪文らしきものを詠唱しだすロール。律儀・・・なのか?
「あーと、もういいよ・・・。今更する気も起きないし・・・」
心底疲れた声で言う僕。いや、なんていうか精神的につかれただよ、マジで。
「そうか?君がそういうのなら・・・・・・だが、安心した。やはり君はこちらの世界に耐性があるようだ、これならば話も早いだろう」
そういってロールは嫌な笑みを浮かべた。


小さい頃魔法に憧れた。次にモンスター、その次は魔法の武器。
その趣味は中学に上がっても変わることはなかったが、よりディープに浸かっていった。さすがに勇者様がお姫様を助ける、という判り易くも単純明快な話が好きだというのは公言するには恥ずかしかった。
なのでよりディープに。有名どころでは指輪物語・ネバーエンディングストーリーなどなど名の在るものを読んでいくようになった。
最初は欲求と恥ずかしさからの選択だったがしだいにその魅力ある世界に魅せられていき、今の僕が出来上がったわけだ。
いつか、こんな冒険をしたいと思ってもむしろ当然だろう。そして、それは今まさに叶わんとしている。
だけど、目の前の女性はそんな期待をのっけからぶち壊してくれた。
「ふむ、正嗣だね。さて、先ほど説明したように君は並み居る60億人の中から選ばれ見事異世界に召喚されましたー!ドンドンパフパフー!」
ロールは口とか手にタンバリンとかクラクションみたいのものをつけておまけに紙ふぶきまで舞っている。
悪意がないのはその目を見れば判る。
けれど悪意のないことのほうが厄介だということを今目の前で証明してくれた。
矜持つーものを台無しにしやがってー!!
「むーノリが悪いね。嬉しくないのかい?」
「いや、嬉しくないわけじゃないんですけど・・・もうちょっと雰囲気とか大切にしてください。ほんと頼みますんで」
「OK!作戦名『雰囲気大事に』だね」
もうやだこんな冒険の出だし

「さて、まずはこの世界について説明しておこうか」
RPGのお決まりの展開だな。ここで冒険の目的とか示されるんだよな普通
「あ、お願いします。」
「うむ・・・ゴホン『まず世界の始めの始め、それは一つの島だった』」
口調を替え静かな声で語りだすロール。そうそうこういうのを待ってたんだ。
その手元のカンペを除けばだけど
『その島では毎日新しい生物が生まれ、増えていった。そこは食べ物に不自由しなく、またそれによって争いも起こらなかった。後にその地は楽園とも呼ばれた』
『だが、中には島を出て新たな地を目指すものも現れた。それは龍、ドレイク、妖精、そして人間だった。何故彼らが新たな地を目指したか今となっては判らない。
食糧難か開拓心か?だが今はそんなことはどうでもいい。大事なのは我らが新たな地にたどり着いたということと、もう楽園には帰ることが出来なくなったということだけである』
『新たな地は困難の連続だった。その中でも最たるものは魔物の存在だった』
『彼らは異邦である我等を憎み暴虐の限りを尽くした』
『しかし、人も知恵を持って立ち向かった。生き残るために』
『そして人の中で一人の若者が立ち上がった。彼の名は今では判らない。ただ英雄とだけ語り継がれている』
『英雄は神の力を授かり、人間たちの地位を確立し、そこで倒れ尽きた。長き刻の後再び来訪することを約束し・・・』
「これが今世界中の誰でも知っている古い言い伝え・・・いやむしろ神話といってもいいな」
「・・・・・・そうかつまりその英雄っていうのが僕・・・か」
にわかには信じられないよくあるストーリーだけど、いざ自分がそうだって言われると
ロールは薄く笑って首を縦に振・・・
「そんな訳ないだろう」
・・・振らなかった
「え、えーーーー?そういう流れじゃないの?!」
「君は何か特別な力があるかい?」
フルフル
「魔法が使えるのかい?」
フルフル
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ」
鼻で笑われたよおい。しかもその顔滅茶苦茶むかつくんですけど。美人なだけ尚更な。
「まあ、落ち着きたまえ。いま話したのは昔話だ。ここからは具体的な今の現状について話そう」
なら最初からそこから話せよ
「一応、君のためを思って前振りしたんだけどね。やらないほうがよかったかい?」
前振りバザーイ!

「さて、この世界には魔物がいると言ったね。人類の歴史は魔物との戦闘の歴史とも言っていい。
 今は人類の組織化が行なわれ、軍隊や傭兵の練度もあがり一先ずは人類の平和は守られている。だがそれもいつまで持つか判らないのが実情だ」
「どうして・・・?」
「これは君の世界には判りにくい概念かもしれないが、生物にはすべからく『格』というものがある。どうしてか?という質問には答えられないが、あると断言してもいいだろう。
この格というのは判りやすい例で言うと、例えゴブリンが何万何億匹いようとドラゴン一体には絶対に勝てないようなものだ。それはドラゴンという生き物の格がゴブリンを遙かに凌駕しているからだ」
「・・・・・・けれど、それって当たり前のことじゃないのか?」
少なくともRPGではそうだった
「考えてみたまえ。頭のいい指揮官がいて性能のいい火器を用いて産まれたばかり幼龍一匹殺せないのだ。これに違和感を感じないかね」
「まあ確かに・・・」
確か人の肉を喰らう蟻がいるって話があったな。人間の皮膚に一斉にむらがって食い尽くすらしいけどそういうことか?
「だが、どうしても龍は倒せない。そこで学者は世界はそういう風に出来ていると考えたいのだ。格が生物としての強さを決定するとね」
「待った、じゃあ人間は?」
「人間も同様だ。格の位置づけについてはよく判ってないが、一般に魔物は人間よりも数段上だという説だ」
「それじゃ戦っても、人間は負けるだけじゃないか」
「多少の格の差は戦術と技能・練度で補える。だがレベル99にしてもボスボロットじゃ四回ど根性使うビグザムには勝てないだろう?つまりはそういうことだ」
言いたいことはわかるが・・・・・・なんでこいつはこんなに異世界について詳しいんだ。
「今まで様々な研究がされてきたが、わかったのは世界がそういう風に出来てるということを証明しただけだ。欲しいのは対抗手段だというのにな」
そういってロールは自嘲気味に哂う。今までの苦労が思い出されるのだろうか。
「そこで、私は別な方向のアプローチを検討してみた。これ以上人類を強く出来ないのなら、世界のルールそのものを変えてみればどうか?とね」
へっ?・・・・・・それって
うわー!やばいやばいやばい、マッドサイエンティストの倫理だ!
気のせいか目がいってるよおい
「そのとき私の頭に稲妻が走った。そして私はあるものを作った、なんだか判るかい?」
「・・・巨大トンカチかなぁ?」
乾笑とともにそんな答えしか出なかった
「ふふふ、ある意味それも正解だ。ありとあらゆるものを作ったのだからそれも正解かもしれないね。だがもっと正確に言えば作ったものは世界だ!」
「・・・・・・」
一瞬頭がいかれたのかと思っただけだい。ほんとだぞ。けれど絶好調に演説は続く。
「明確な物理法則、生態学、社会学に則った世界!わけの判らないルールに縛られない正当な法則に成り立つ美しき世界それを作ったんだ」
オーーーーパチパチ
「そして、今日!四百年に渡る研究の成果がここに現れたんだ!」
えぇ!じゃあロールって四百歳以上・・・・・・ってそうじゃない、
「気付いたようだね、私が作った世界は太陽系第参惑星・・・別名『地球』だ」


「いやー長かったね条件指定して、歴史捏造して、生態環境整えてetcetc・・・・・・猿から人へ進化誘導するにも10の23乗回以上試したし、やはり鯨を切って猿にしたのが正解だったかな。
生態上の特徴ってわかりやすいけれどDNAの可能性にかけた方がより確実だったんだよね・・・」
ロールが何か嬉しそうな声で何か言っている。僕は呆然としていた。いきなり、作られた生き物と言われても・・・
なんていうか両親に「実はできちゃった結婚なんだ」って言われた感覚に似ているような似てないような・・・
・・・呆然とするときって本当にどうでもいいこと考えるよな
「・・・おい、きいてるかい?」
「うわぁぁぁぁぁ」
思わず飛びのいてしまう、そうだこいつは造物主・・・つまり神様みたいなものだ。
こんな荒唐無稽な話信じるべきではないと考えてるけど、何か頭のどこかで警笛がなっている。曰く、頭から切り捨てるのは死を招くと。
もし、本当に僕達を作ったならその命を奪うのも簡単だ。
卵から孵ったおたまじゃくしを踏み潰す。それより簡単な意識でおそらく命を奪える。
相手からすれば単なる実験体の一固体に過ぎない、その意識の差がたまらなく恐ろしい。
話が通じないというのがこんなにも恐ろしいとは思わなかった。
「・・・近寄るな・・・いや、近寄らないでください」
慌てて言い直す。不興買わないに越したことがない。
「・・・・・・君を呼び出す魔力を貯蔵するのに200年かかった。」
「え?」
「予算の方は一国が丸々買えるぐらいだ。時間も私の人生を半分以上費やした・・・」
「それは何のためか判るかい?」
「・・・・・・」
世界がどうとか色々な答えは浮かぶけど怖くて口に上ることは無い。間違っていたらどうなることか。
「・・・ふう。全て君に出会うためだ。正嗣、君をずっと待っていたんだよ」
「・・・・・・」
「君が怖がるのも無理は無い。確かに、君を作ったのは言ってみれば私なのだからな」
「だが、それは君の親でもあるということだ。子は愛するもので殺すようなものではない」
「・・・・・・」
「愛するものに恐怖されるのは悲しい・・・」
ロールの目じりに光るものが流れた
「ごめんなさい・・・ロール・・・様」
そこにいるのは神様とか造物主とかましてや処刑人ではなく、ただただ一人の弱い女性だった。
「敬語はやめてくれ。それから呼び捨てでいい、さっきまでみたいに」
「だけど・・・」
「一人の人間として正嗣の前に立ちたいんだ。造物主とかそういう考えは捨ててくれ」
心細く震える肩を抱きしめる
「え?」
「わかったよ、ロール」
震えが弱まったような気がした
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あー・・・」
「・・・ど、どうしたんだ?」
気のせいか上ずってるような気がする
「いや、さっき腰が抜けて・・・」
「・・・へっ?・・・・・・プ」
「笑わないでくれ」
「・・・・・・そ、クククク、それは笑うだろう?」
「・・・ひどいな。愛してないじゃないか全然」
「いやいやいや、全開で愛しているよ。出来の悪い息子を持つ母親とはこんな心境なのだろうと実感してるところだ」
「ちぇ・・・」
それからお互いの震えが止まるまで抱きしめあった。
なんとなく、この見た目に反して可愛いところのある魔女に作られたのならそれも悪くないと思えた。


「さて、お互いのわだまかりがいろいろあって・・・コホン・・・解けたわけだが」
「はーいママ♪」
「茶化すな!」
さっきのことを思い出したのか頬が少し赤い。泣いた後だと本人は言い張っているが。
あ、あと攻められるじつは案外弱いってことも発見。
「私は地球という世界を作ってそこに独自の法則性を与えた。ここまではさっき説明したな」
「うん、あ、けど・・・」
「なんだ?」
「いや、ふと思ったんだけど地球の本っていうか物語、あーいう文化ってロールが考えたの?」
「うむ、君はいいところに気付いた。花丸をあげやう」
目の前でグルグルペンを動かされる
「想像の通りだ、特にゲーム、漫画、小説など私が特に力を入れて設定した。何故かわかるか?」
「・・・・・・こっちに似てるから?」
「正解だ。正嗣をこちらに呼ぶことは既に予定してたからな、ある程度下地を作りこちらの世界に拒否反応が出ない為の処置だ」
「ふーん・・・」
「そして、ある程度文化が発達しそのとき最も適正があった者を召喚した。それが正嗣だ」
案外60億人の中から選ばれたっていうのもこじつけじゃなかったんだな。それに、この状況への順応性にも内心納得した。
これがSF世界だった日には自殺ってたかもしれないし、剣と魔法の世界でよかったうん。
「さっき説明したとおり、地球では独自の法則が働いている。それはこちらの世界にとって上限レベルが99なところを100に飛び越え更に上昇していくものの様なものだ。」
「そしてこれは地球から召喚した正嗣にも適用されると私は考えている。つまり君は規格外の存在だ、このことの意味する事はなんだと思う?」
「つまり、あれだろ?あっちで予習はしてるからな。僕はこの世界を救うために呼び出された!・・・・・・くぅ〜〜〜〜恥ずかし〜だがこういうのを待っていたー!」
「・・・はぁ、一応真面目な話だが・・・具体的には?」
「世界を救うのは古今東西勇者と相場が決まってるんだよ。大方魔王を倒せばハッピーエンドってところだろ。ああーーーーーあったまわりぃー♪けどそんなお前もすっきやで〜」
「・・・・・・50点と言った所だ。君が世界を救うまでは合っている」
「だが現実というのは人一人が頑張った所で救えるものではないさ。」
「・・・言ってることは判らなくもない。けれど、ロールが用意したRPGや物語ではそれでハッピーエンドだったよ?」
「・・・私はあの中で魔王というのは可能性の限界のことを意味してたんだ。少なくともいくつかの作家の作ではね。『魔王を倒して幸せに暮らしました』これは『格の限界を突破し人は怯えることをやめた』という意味だ。まあそこまで読み取れというほうが無理か」
いや、さすがに無理無理。だけれどもそれは確かによりハッピーエンドに近いと思える。
「わかったよ、それで僕は何をすればいいんだ?」
「人と人は触れ合ううちに性質が似てくると言われている。君と一緒にいることで君の限界突破の可能性が人々に伝えようと思う」
うーん、つまりたくさんの人と出会って仲良くしろってことか
「それともう一つ・・・・・・あるわけなんだが・・・」
ん、急に言いよどんでモジモジと指を交差させている
「これは即効性のないんだが、より確実な方法で効果も高いと思うんだが・・・」
「よくわかんないけど、そうなら試してみるよ?」
「いや、なんていうかだな・・・。君の子どもならより具体的に力が現れると推測してるんだ・・・」
「へっ?」
「だ、だだだからだな。出来るだけ多くの女に君の子種を注ぎ込んで孕ませてやってくれ・・・」
奥さん、それは犯罪じゃないですか?
A犯罪です
こっちの法律は知らないけど、地球とリンクしてるなら多分犯罪のはずだ
「いや、さすがにそれは・・・・・・」
「うん、うん、そうだな、まだ確実に可能性が受け継がれるとは限らないものな」
「いや、そうではなくてですね」
「な、なら、まず始めに私をはははははは孕ませてくれ!」
言うが早いかロールはローブの中を脱ぎ捨てていった



「東方方面軍ヘッドラ地区制圧しました。これでカルル平原の支配率は57%です」
「司令にはわらわの名でねぎらいの言葉を送っておくがいい」
「ゲング族自治区で反乱が発生しました!」
「第二師団に鎮圧を命じろ」

ここは魔物領ナカククナ国、その行政機関である王城の謁見室である。
その玉座でカルマ=セントラルマン、通称カルマ皇主は内心ため息をついていた。
この玉座に座って幾年が経った、その間に私は一体何をしたんだろう?
幼き頃より王となることを強制され、玉座に座り軍を動かし罪人を処刑してきた。
そこにカルマの意思は関係なかった。格がずばぬけた産まれた瞬間その人生は決まっていた
魔物の世界で王はその格によって決定される。王は戦争になった際先頭に立たなければならなかったなごりである。
セントラルマン皇家に養子に入り、望む望まない関係なく王となることを決定された。
もう限界だ。何度もそう思った。だが、それでも王としての責務は果たさなければならなかった。
おそらく私は王として死んで行くのだろう。願うべくは早く寿命が訪れてくれるか、若しくは戦争で他国の王に殺されるか。
王として自らの死を願うなどもってのほかだ。だが、カルマの精神はそれほどまでに摩耗していた。
「皇主様?」
「すまぬ、考え事をしていた。次は何だ?」
「カスミ山脈でバースト級の魔力フレアを観測しました。震源地は山脈の東方70km以内と思われます」
カスミ山脈?確かあの魔女がいた地域よね。バースト級は儀式魔法レベルの魔術によく観測される。もしあの魔女が発したのならば・・・
「いかがいたしますか?他勢力の儀式魔術の可能性もあるため調査隊を・・・」
「よい、それよりその案件については戒厳令を敷くがいい。一切他言してはならぬ。同時にその地への立ち入り禁止とする」
「は、はぁ、一体何が・・・ヒィッ?!」
眼光だけで睨み付ける。腐っても魔王とはよく言ったものだ。
「なあ、報告官。そなた、わらわがただの小娘だと勘違いしておらぬか?」
「ひ、いえ、そのようなことはっ!」
「このようなナリをしても格はそなたよりも遙かに上だ。そのわらわが知るなと言っている。その意味を理解せよ」
「は、ははあぁ!そ、それではそのように法改正と一時処置を行なってまいります!」
慌てて出て行く報告官。
どうやら希望が見えてきたようね。

入れ違いで女の魔物が入ってきた。彼女はテラロッサ補佐役。私はテレサと呼んでいる。彼女は視線だけで室内から人払いを済ませた。
「あまり部下を苛めないであげてください、陛下」
テレサは私の教育係であり、今では大切な右腕だ。それと同時に私をこの玉座に座らせた手引き役でもある。
「あら?王たるものは威厳を持ち民部下に恐れられよ。と言ったのはどこのどなたかしらね?」
そんな事情もあって、テレサへの感情は少々複雑だ。なのでこういった意地が悪い返答をしてしまう。
「恐怖だけで民は律せません。恐怖と慈愛両方を持ってしてこそそれはなります」
「わらわがその任を全うしてない、と?」
「いえ、陛下は十分そのお役目を果たしておりますとも」
なら、これぐらいの鬱憤晴らしは大目に見なさい。
「はぁ・・・さっきの報告は聞いていたな?」
「魔力フレア・・・・・・確かあの地にすむマジックユーザーは一人でしたね」
「ああ、おそらくある者を召喚したのだろう。テレサにはその者をつれて来てもらいたい」
「その者・・・・・・一体何者でしょうか?」
「・・・・・・」
「私にも言えないのでしょうか?」
不服そうな顔がありありと浮かぶ。王になってから判ったことだが、テレサは意外と意地っ張りな所がありそこが可愛らしい。
その顔を見ているとついつい嗜虐心が起こってくるのも仕方のないことだ。若い頃、あんだけ苛められた仕返しも兼ねている。
魔王ではなくカルマとして言う
「そうね、貴方にだけは言っておきたいわ。其の方は私にとって大切な方・・・そう、私の夫となる方よ」
ズガガガーンッ!
あ、驚いてるわね、バックに魔力が漏れ出て稲妻となっている。
「・・・・・・大オオ大オオおお大おっとでぃでぃでぃでぃすか???」
いい気味。だけど少しやり過ぎたかしら。
「ええ、貴方にしか頼めないの。よろしくおねがいね」
「・・・・・・かしこまりました」
両手両足が同時に出ながらテレサは退室した。

全く言える訳がない。冗談めかしたのはそれを隠してのことだ。
もし、魔女があの者を召喚したのなら、おそらくそれは理を外れた者だろう。
其のものならきっと私を殺せる。
ねえ、テレサ。
私はもう疲れたの。元より魔王の器では無かったのよ。
貴方の期待に応えられないのは申し訳なく思ってる。
けれど皇主カルマに押しつぶされる前に、何かとんでもないミスを犯してしまう前に
一人の娘カルマとして死にたいのよ。
・・・・・・
ごめんなさい
許されぬことだということは判ってる
だけどこれだけは・・・

夫?!夫だと?!
今まで、今まで悪い虫がつかないように大切に、且つ厳しく育てて来たというのに・・・
こんなことでは亡き前陛下に申し訳が立たない!
・・・・・・。
だが、今の今まで忘れていたが陛下もそんなお年頃なのも確かだ。
このまま公務に追われていては嫁き遅れになることも考えられる。
それに・・・最近の陛下は溜め息が多い。私が至らないことにも原因はあるが臣下として出来ることには限りがあるのもまた事実だ。
そう思うと、陛下を側で支えてあげる者が必要なのかもしれない。
だがしかし!
そんじょそこらの馬の骨に大切な陛下を差し上げるわけにはいかない!
私がよく吟味し信頼の置けるものだと判断したものでなければ寝室にとおすわけにはいかないのだ!
例え陛下に嫌われようともそれが私の役目であろう。
魔女に召喚されたと言う者。
もし其の者が陛下にふさわしくないものだったときは私の手で・・・



「テレサと口調が似すぎてしまったために、どうやって差別化を図ったものかと悩んでいるファンタジー=ロール400と19歳である。
 とりあえず私のほうはクール且つ天然な方向で責めてみようと思うのだが・・・」
「だ・か・らって何で脱がすのかっ?!あと、クールで天然って同居できるのかぁ!」
「それはこれから解ることだよ♪性格が多少変化したとしても私は私だ。安心してくれたまえ」
「性格変わったら別人だろって、もう一つの質問に答えてねぇぇぇぇ!あ、やめれ、そこはえまーじぇんしー!えまーじぇんしー!大量破壊兵器がぁぁ!」
「うむ、これから多くの婦女子をその毒牙にかける南極条約違反の代物だね。」
「僕は犯罪者にはなりたくねぇぇぇぇ」
「それは君しだいだ。理由だったね、色々と説明出来る訳だけど一言で言うとだね・・・」
「・・・一言でいうと?」
「ここがエロパロ板だってことさ♪自らの生まれを呪うがいい」
「あ〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜」(フェードイン)

OP主題歌「勃て!父よ」
その後タイトルカット
孕ませ英雄伝説
第一子後編「胎は出ているか」

姉さんピンチです。
世界が僕の貞操を狙ってくるとです。
「君にお姉さんはいなかったはずだが」
「また頭の中読むな!こういうのは様式美なんだよ!」
「ならば、その下に某ホスト芸人ネタなのもそうなのかい?多分気付いてない人の多い「しっかり理解してやがるんじゃねぇ!」
くぅ、前にもいった気がするが僕たちの文化は全部コイツが作ったんだった、この手のネタでロールが知らないモノは無いと考えた方がいい。メタ会話減らせって言われたばかりなのに最初っから全開かよ・・・
っていうかロールさん貴女何をしてやがりますか?私の両手を取ってベッドに括り付けるなんて、そして某、何故気付かん?!
「メタ会話よりもエロがないのが問題なのだよ。なあ、読者諸君?いい加減観念したまえ」
「っつうかお前性格変わりすぎ!さっき脱いで赤面してどもってたのはなんだったんだよ?!」
「ふむ、そこらへんはな・・・。といわけで回想スタート」


足元には脱ぎ捨てられた服。つま先が渦巻いた靴も片方ずつ脱いでいかれる。
白く肉感的、だが決して太っているわけではない足。
視線が自然と上がっていくとその付け根が見えそうで見えないところで黒いローブにはばまられる。
「なっ?なんで?!」
「・・・・・・だだだから、言っただろう君にはら、はら、孕ませて欲しいのだ」
「な、なん」
「きききき君の能力を確かめないといけないからだと言っただろう」
俯いた顔は真っ赤に染まっている。だけれども表情は見えない。
「こここ、これでも結構、魔女とはいえ、あ、いや、関係ない、わけではないか・・・。だから、そうじゃなくて・・・その、恥ずかしいのだ。早くシテくれ・・・」
シテという部分だけ脳髄から脊髄に、脊髄から股間に響き渡る。
やばいやばいやばい、ものっそ破壊力だ。
「・・・。それとも、私みたいのは嫌か?」
全然そんなことはないです!ただ今は驚きが先行してて反応(具体的なことは聞くな!)が追いついてないですとも!
「違うのかい?なら・・・な」
僕の右手をとってそのままローブに押し当てられる。ちょっ、待て、何か小さくて丸いのが当たってる。当たってるだけじゃないぞふにゅにゅーんて指が食い込んでいく!!!
あ、だめだこのままじゃ絶対襲ってしまう。な、何か手は・・・
「に・・・」
「に?」
「二十五歳まで童貞を守って魔法使いになるんだ。だからやめてくれ」
ロールは恥じらいがどっかへ吹っ飛んだ

「回想終わり。
 さすがにあれは女心が傷つくというものだ」
だって、咄嗟にあれしか思いつくしかなかったから仕方ないじゃないかよっ
あー顔が熱い。
「正嗣は魔法使いになりたいのかい?」
口から出まかせだったわけだがそういうことにしておいたほうがいいか?
さっきから僕が及び腰なのは、まあ童貞っていうのもある。初めての相手というのに幻想を持ってると言うのは否定しきれないがその点で言うとロールは優しく教えてくれそうなのでオールオッケーかもしれない。
問題は僕自身だ。僕達はまだ知り合って一日も経っていない。相手のこともよく知りもしないうちにそういった関係を持つことは僕には出来そうもなかった。
妊娠とか言われれば尚更だ。
「ああ、実はそうなんだ。だからだな」
「ならばやはり私とSEXするべきだ。さっき話しただろ、触れ合うことで人はその性質が似てくると。その中でもSEXは特に効果が高い。私の魔術師としての性質が君に渡ることも可能だ」
そ、そんな落とし穴がぁぁぁぁ
「さぁ、もう問題はなかろう、やろうぞ。・・・うわぁっ、こちらはもう今か今かと待ちわびていいいるではないかか」
う、手のひらでトランクスの上から裏スジをなであげられる。これだけでも十分気持ちいい。
「そ、それでは・・・ゴクリ・・・そのご尊顔を・・・」
トランクスに手がかけられる。だけど、しばらく待ったが降ろされない。
「・・・ロール?」
「すまん、さすがに少々緊張してしまっている。すぅはぁ・・・いくぞ!」
えいっとでも聞こえそうな勢いで下ろされるマイ下着。勢いがよすぎたせいか愚息のほうがバネみたいに暴れた結果
「キャフッ!」ロールの額にぴたーんと跳ね当たった。ええ、そうです。黙っていましたが脱ぎ始めてからずっとこんな状態だったのです。
「す、すごいな・・・。これを手で擦ればいいのだね」
「ちょ、ちょっと、マジでやめて!」
何を隠そうさっきまでの刺激で臨界点。今ちょっとでも刺激を受ければ暴発間違いない。
早漏っつーな!人より感覚が鋭いだけだ!まあそれを早漏というわけだが。
「だけど、むわっと匂って、鼻につくというか」
ロール は ニオイ を かいでいる!
げっ臭い?!ショックだ・・・。
毎日清潔にしていたはずだが、それでも匂うというのが逆に僕を重い気持ちにさせる。
「しぼんでいく・・・。これはイッたのか?だが精は出していないな・・・」
とかブツブツ呟いてるロール。
先ほどの言動からしてもしかしてノー経験ですか?ロールさん。


「ロール、悪かった。もういいよ」
やっと、ふんぎりが付いた。やっぱこういう形のはいけないよな。スレの皆には悪いが。
ああ、お前たちの言うとおり僕はヘタレさ、そのことは受け止めてやる。だけど、お互いのためにもこんなことはだめだ。
「ん?」
「僕は君を抱けない」
「・・・私のようなのはやはり抱くに値しないか?」
「そんなことない!」
こんな美味しい果実を目の前にして拒める奴はいないぞ。普通
「いや、いいんだ。・・・だが、子作りだけはしてもらわないといかんな。新しい女を連れてくるからそれと・・・」
「そういうことじゃないんだ!」
ロールは根本的に勘違いしている。嫌ってるわけじゃないんだ。
「ロール、あー・・・別にSEX自体が嫌ってわけじゃないんだ。僕も男だから女を抱きたいってことは人並みに思う。特に、そのなんだ、ロールみたいな綺麗な女なら尚更だよ」
「・・・・・・何が不満なのだ?」
「不満といったら罰があたりそうなんだけど、ただ単に子作りをする為だけのSEXはしたくないんだ。それじゃあ僕は単なる種馬じゃないか。種を絞ったらもう用無し。いやまあ、それもある意味男の夢かもしれないけどロールとはそんなことをしたくない」
「男というのは気持ちよくて射精できればそれでいいのではないのか?」
「射精って・・・。ま、まあ、そういう側面もある。だけどそれじゃあ自慰と同じだ。女を抱くからには、好きな相手で向こうも僕のことを好きでいて欲しいんだ」
俺もキンモー。何童貞がSEX語ってやがりますか?
だけど素直な気持ちなのも確かだ。
「・・・。その問題の片方は既に解決しているよ」
「え?」
「私は君を愛しているからだ」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!
「いや、今日会ったばかりだぞ僕達!」
「確かに会ったのは今日が初めてだ。だが、私は正嗣を長い間待っていた。」
そういやそんなことを言ってたな。
「だ、だけどさ・・・」
「勿論私が待っていたのは正嗣ではない。だが、長い時の間正嗣の姿をずっと夢想していたのだよ」
「・・・・・・。」
「そして、君と出会えた。
 見て、話して、聞いて、抱きしめて・・・。短い時間ではあったが、正嗣が正嗣であったことが私は嬉しかった。
 そして私は思ったんだ。君のことをきっとこれから好きになる。いや、むしろもう恋に落ちているのかもしれないな、これは」
クシャっと照れたようにロールは微笑んだ。
「君は私のことが嫌いか?」
「・・・嫌いなわけ・・・・・・ないだろ。だけど特別好きってわけじゃ・・・」
「君の事を好きな私を抱きたくはないかい?」
「・・・・・・。」
めちゃくちゃ抱きたいに決まってます先生!けど、ここで流されては・・・
「なら、それでいい。知ってるかい?好意を寄せられた相手というのはよっぽど嫌ってる相手でもない限り、寄せられた方も好意を持つものだ。だがそれも我々には関係ない。正嗣はいずれ私のことを好きになる。何故なら」
何故なら?
「私が魔女だからだ。魔女の仕事は男を惑わすこと。好きな相手とあっては尚更ね♪」
そう言って悪戯っぽく笑った。

「・・・嬉しいな。あーくそ、とってもその気持ちは嬉しいけど、もう一つあるんだ」
「そうやって生まれてきた子どもはどうするんだ?」
「それは・・・」
ハッと気付いたかのように顔を上げるロール。
「僕たちはそれでいいかもしれないけれど、そうして生まれた子どもに対する責任もできる。」
「・・・正嗣に迷惑を掛けるつもりはない。私一人ででも育ててみせるさ」
ボソボソと篭りがちな声で告げられる。
「それはロールの我侭だ。一般論として言うと子どもは両親居た方が望ましい。僕もそう思う。出来るかどうかは別としてね」
「う・・・」
「何より、僕自身がそんなこと許したくないんだ・・・。」
「だったら・・・、いやなんでもない」
それからしばらくの間ロールは俯いていた。泣いてるのか肩が小刻みに震えている。
触れようとして僕に何が出来ると思った。彼女を傷つけたのは僕なのだから。


カシャン
ロールが腕の戒めを解いてくれた。もう必要ないということなのだろう。
「あ、あのさ」
「気にするな、君のせいではないさ」
だったらこっちを向いてくれ。腕を解いてからロールは背を向けている。
「今更だが勝手な話で済まなかったな。いきなり呼び出しておいて、好きだとか子作りと言っても困らせるだけだった。今思うと少々はしゃいでたみたいだ。召喚に成功したこともだが、正嗣に会えたことが嬉しくてね。失敗、失敗☆」
声が震えているのを隠せてない。無理に明るくしても痛々しいだけだ
「僕は、別にロールを」
そこで遮られる。
「そこまでだ。その先を言うと帰れなくなる。君はこちらの世界にずっと居るわけではないだろ?」
「・・・・・・」
「そう、私は単に振られたんだ。よくある話だ。どこにでもある・・・」
だからって痛みが消えるわけではない。けれど、手を差し伸べることは許されない。
「これから、どうするつもりだ?」
「さてね、また新しい人間でも召喚するとしようか。今度はもっとヤリチンで女にだらしない者にしよう」
え?
「きっとSEXも上手いだろうな。余計なことも言わずに私を悦ばせてくれるさ」
なんだよ、それ
「フフッ残念だったね。逃した魚は大きかったようだ」
「・・・っ!」
待て!僕に何か言う資格があるのか?!
「だから、安心してくれたまえ。私は私で楽しくやっていくから」
彼女があんなに心をぶつけてくれたのに何も出来ないのに・・・・・・
あんなに・・・ぶつけてくれたんだよな。会って間もないのに。
それに比べて僕は責任から逃れるように正論を並べて。

正嗣、僕自身が問う。
ロール=ファンタジーのことが好きか?
Ja!
愛しているか?
Sir,Yes sir!
彼女が愛してるのは誰だ?
Only me!Only me!Only me!
彼女を孕ませるのは誰だ?
Only me!Only me!Only me!
他の男が孕ませる。許せるか?
No!No!No!
OK!ならば答えは一つだ。
Fuck&Rape&Love!!!


「魔女の誘惑ってもう効いてるの?」
「ん?」
いきなり何を聞くのだろう?そう言いたげな声。
「どうやらもう既に惑わされちゃってたみたいだ。ひどいな、どう責任を取ってくれるんだ?」
後ろから抱きしめる。ここで手を離したらもう二度と手に入らない。
「きゃっ、ちょっと、だめだ!私は何も」
「こっちを向け」
振り向くと同時にその赤い唇に吸い付いてやる。駄目だ、もう止まらない。
「こ、こら、正嗣さっきと言ってることが・・・チュクッ!」
チュ、チュルルルルル・・・ピュフー・・・レロリ・・・
口を合わせるだけのキスから相手の息も唾液も構わず吸い込み自分の唾液を流し込む。その後は舌を引きずり出してひたすら嬲っていく。テクなど何もない。若さだけの口付けだ。
「やめろ。これ以上未練を募らせないでくれ」
「・・・。ある所に英雄がいました。あるとき英雄は魔女の館に迷い込みました」
「?」
「魔女は英雄のことが大層気に入りました。出来ればこのまま返したくないと思いましたが、英雄には帰る場所もすべきこともありました」
「・・・・・・。」
「そこで魔女は英雄を堕落させることにしました。帰る家への記憶を無くしたのです。哀れ、英雄は帰れなくなってしまいました」
「・・・そうだ、誘惑した覚えはないが取り返しのつかないことに」

「ですが、魔女と英雄は末永く幸せに暮らしたのでした」

「え?」
「めでたしめでたし」
「・・・・・・プッ、なんだいその脈絡のないオチは。ストーリーテリングのスの字もないよ」
「でも、ハッピーエンドだ」
「そうか、ハッピーエンドっていうのはいいものだな」
「ああとってもいいものさ」
「けれどいいのかい?ンチュ」
野暮な発言は唇で防ぐ
「いいんじゃない、僕ファンタジー世界って大好きだしその上魔法使いになれるって?それってサイコーだぜ!キャッホー!」
「そんな簡単な話じゃないんだろうけど、正嗣が良いと言うのならそれで良いと思ってしまいそうになるな」
それにロールの思いに少しでも報いたかったからだ。おっとこれオフレコで。
「・・・・・・」
なんで無言で顔赤くして涙まで流していらっしゃるぅぅぅ?!
「嬉し涙だ」
うわ、また口に出してたか?かっこわりぃぃぃぃ!!!
「かっこわるくてもそれが正嗣ならそれでいい」
「嬉しいこと言ってくれるね。だけど、脳内と会話がもうズタボロ」
「全くだね」

その後涙を舐め取って抱きしめてまたキスしてるうちにシャフトがスタンダップトゥーザヴィクトリー!
いくつもの朝はこれから迎えることになるわけで、ロールを見るとこちらも瞳を潤わせていらっしゃる。
これはもうこのままいくしかないでしょ?でしょ?
何より、ちゃんとした形で見せて安心させたいっていうのもある。
いや、素肌にローブ一枚で抱きしめててもう我慢できないっていうのもあるんだけどね。つうかこっちのほうが大きい。
だけどだけど必死で自己制御。忘れられない思い出にするために。
「多分僕は欲張りだ。きっとロールを独占したくなる。それでもいい?」
「最初からそのつもりだ。私を孕ませてくれ、何度でも何度でも。正嗣の種しか子宮に入れたくないんだ」
自己制御自己制御
「ああ、全部僕のものだ。唇も胸も子宮も膣も・・・」
「そして、心と未来も」
理性は欲望を抑えることはできても、愛は抑えることができません!
つまり制御不能制御不能!
そしてここに一匹の修羅が誕生したのであった。


正嗣の心臓から鼓動が聞こえる。
それに耳を当てていると段々私の鼓動とリンクしていく。ああ、一つになるとはこういうことなのかもな。「一つになる」・・・そうか、私はこれから正嗣に抱かれるのだな。
私は揺れて運ばれながらそんなことを考えていた。
あのまま仮眠用のベッドで事を致そうと言うところを正嗣に止められた。
埃やシミが気になるらしい。確かに、研究に没頭しすぎて天日に干したの半年以上前だったような気もする。女として致命的だと言われてるような気もしたので、少し細かすぎるんじゃないかというようなこと思ったら
「夢見がちかもしれないけれど、最初は最高の思い出にしたいんだ」
・・・そういうこと言うともう何も言えないじゃないか。ちょっとだけ嬉しかったが。
という経緯を経て寝室へと向かっているわけである。
・・・お姫様抱っこで。
私は嫌だと言ったんだぞ!だけど有無言わさなくてだな・・・
まあ嫌というわけではないしむしろ願ったり叶ったりなのだが・・・・・・鼓動よ、早く落ち着いてくれ。顔が真っ赤になって上げられないではないか。
以前、地球の文化は私が作ったと言ったがこの「お姫様抱っこ」も例外ではない。元々は結婚の儀において両手に収めたものを永遠に守るという誓いの一つだ。
それを多少アレンジして普及したのだが、いざ自分がやられると駄目だ。お姫様抱っこに色々と種類があるのだがこれはその中でも最上級のウェディングお姫様抱っこだ。
意識してやってるわけではないのだろうが、尚更質が悪いとはこのことだ。もう私はこの腕から逃れられないではないか。
まあ逃れる気なんてないのだがな。私をずーーーーーーーーと守ってくれ。私をここまでさせたんだから責任は取ってもらうぞ?
そんな思惑を浮かべながら見上げると、ニコっと笑いかけられ抱っこされながら髪を撫でられた。ああ、人に髪を梳かれるのは気持ちいいと久しぶりに思い出した。子どもの頃以来だろうか。
だが、嬉しいがここで私に一つの疑問が浮かび上がる。

もしかして、私は子ども扱いされてはいまいか?

私はこれでも400歳を越える魔女であり、この世の理を改変せんとする者だ。加えて世界を為すものであり、正嗣の母の母のそのまた母のようなものである。
そんな私が正嗣にこのような小娘のような扱いを受けていていいのだろうか?
甘えるのが嫌いなのではないぞ。だが、年上の責としてやはり年下を導くのもまた務めという物だろう。
甘えるのは後に取って置くとして、今回は私がリードすべきだろう、正嗣がチェリーだということは本人の口からはっきりとしている。
幸いにして私のほうはそんなことはないので、頼れるお姉さまとして続けられる。
問題は、私の知識が尺八以降真っ白だということだ。駄目じゃないか。
これでは私に一切経験が無いことがバレ、一生主導権を握られっぱなしになるような気がする。
だが、そこをなんとかするのが私の天才たる所以だ。伊達に創造主は名乗っておらん。
知識が無いのならば持ってくればいいだけの話だ。
私自身に知識はないが、私の脳と地球のライブラリーはホットラインで繋がっている。
簡単に言うと私が欲しいと思う情報を簡単に地球の書物などから抽出できるのだ。もっともどのような書物から抽出されるかはランダムだが、そこは数で補えばいいだろう。
余談ではあるが、地球の文化作成の際は適当なソッチ系の書物をいくつかぶち込んでおいた。なので正直私にもどうなってるいるか予測はつかない状態だ。
地球の性知識を学ぶことはこれから正嗣と付き合っていく上で大きな糧となるはずだ。それにどうせなら正嗣にも喜んでもらいたい。私は意識を地球文化にダイブさせた。


扉を開け、大きな天蓋付きのベッドを見つける。こちらのベッドは清潔だ。これなら
文句なしである。
そっとロールをベッドに降ろした。
「ついたよロール」
「・・・・・・。」
「ロール?」
「・・・・・・ぐすっ」
俯いた顔から一粒の水滴が零れ落ちた。
ななな、なんで泣いてはるんですかぁ?!僕何かしたか?今回はしてないよなぁ!
けれどロールの瞳からは次から次へと涙が零れ落ちていった。
それでも必死で涙を堪え様としている姿はその容姿から外れとても幼い印象を覚えされる。
「違うんだ。正嗣が・・・ぐすっ・・・悪いわけじゃない」
「よかったぁー」
一瞬安堵するが
「じゃあなんで?」
「正嗣の要求に答えられなかったらと思うと怖いんだ。それで嫌われてしまうと思うと・・・」
ロール・・・。
確かにそういう恐怖があると言うことを失念していた。それは自分自身にも言えることなので考えないようにしていたのもあるが。
「そんなことで嫌わないよ。むしろ、僕の方こそ嫌われないか心配だ」
「正嗣・・・」
「お互い様だよ。だから・・・ね?」
「本当か?私ちゃんと正嗣のこと愛せないかもしれない」
「ロールの気持ちさえあれば大丈夫だよ」
「そんなことないっ!・・・だってな、私、乳首ピアスも触手攻めも怖いのだ!」
ヘ?
「それだけじゃない!そんな逆さに吊ってお腹が膨れるほどまでに浣腸するとか、クリトリス肥大化魔改造とか、あまつさえ尿道を拡張して膀胱を孕ませるだなんて?!」
「いや、あのロールさん?」
イマナニイイマシタ?
ロールさんは更に加熱中
「いやだ!あまつさえ、アナルしか触れずに他の男に孕ませるだなんてっ!私を孕ませていいのは正嗣だけだ。頼むからそれだけは・・・!」
「いや、なんというかだね。なんでそんな盛り上がってるのか知らないけどというか・・・。あーもー!こんな可愛い娘を傷つけるわけないだろ!」
「・・・・・・他の男に触らせたりしない?」
「しない。僕はそんな心が広いわけじゃない」
「尻尾お尻に入れて四つんばいで犬食いさせたり」
「してほしいの?」
ブンブンブンと音が出るほど首を横に振る。
「ならしない。好きな人が嫌がることはしたくないよ」
「あとは調教とか・・・」
「あ、それは興味あるかも」
「なっ?!」
そんな絶望的な顔しないでよ。ちょっと興奮しちゃうじゃないか
「けれど、ロールが嫌ならしない。・・・・・・そろそろ落ち着いた?」
「ホッ・・・ああ」
あからさまに安堵の息を吐いた。
「どうしたの?」
後ろから抱いて膝の上に乗せてみる。正直、股間の滾りは熱くなる一方だったけど、一時的にクールダウンしたような状態になっている。なんていうの?欲望より愛おしさが募ってる状態というか
「正嗣がいた世界のメディアにそんな情報が流れてたのだ。もし、それが正嗣が望んだことなら・・・」
あーーーー、まあ色々なジャンルがありそうだからなぁ。けれど僕は一応ノーマルのはずなんだけど・・・。
「ねぇ、ロール。傲慢な考えかもしれないけれどロールを大事にしたいんだ。箱に入れて保存するってわけじゃないけれど、お互いに取って大切な時間に過ごす相手だと思ってる。
だから僕を信頼してくれないかな?君にとっても大事な存在でありたいんだ」
コクン
「・・・決心ついた。正嗣の好きなようにしていい」
「いや、それは・・・っ」
「わ、私が、してほしいんだ!全部正嗣を受け止めたいの」
振り返って涙目に上目遣い。思いとどまる必要もない。
途中何度も寸止めを喰らったがもうこれも最後だ。止まらない。
「後悔はさせないぞ」
「ああ」
そして悦楽の始まりのキスをした。

「んん・・・、んはぁ、やぁ・・・胸は・・・」
そんな可愛らしい声を出して止まれるわけがない。
後ろからローブの裾に差込みまだ見ぬ二つの山を揉みしだく。
「嫌?」
試しに聞いてみる。
「・・・んん、い、いやなわけじゃ・・・な・・・い」
判りきった答え。だけどロールの口から言わせたかった。
しっとりと手に吸い付いてくる乳房にまた意識を集中する。
ツンっと突付いてみるとプルンと震えたあとに元の形に戻っていく。なのに手で包もうとするとぴったりと隙間無くくっつき、何処までも指が埋め込まれていきそうな感覚だ。
女の人の胸っていうのはこんなに気持ちいいんだな。これに夢中になる人たちがいるのも納得できる。いつまでも握っていたい。
「・・・ああ、正嗣っ。不思議なんだ、胸のうちから熱いものが湧き上がってくる」
確かに鼓動が早くなっており体温も上昇し始めている。だけどそれだけじゃない。
「それは僕のことが好きな証だよ」
う、我ながら臭いセリフだ。だが、ロールには思いのほか受け入れられたようで。
「・・・そうか、よかった。私はちゃんと正嗣を好きなのだな・・・。それが正嗣に伝わってるのが嬉しい」
くぅぅぅ、僕にまでその気持ちが伝染していくる。誤魔化すように手の動きを早める。
「ん、急に!・・・・・・はぁぁぁぁ、私の胸は気に入ったか・・・?大きすぎて不恰好だったりは
「そんなことはない!」
「ひゃっ」
「ロールのおっぱい気持ちいいよ」
おっぱいというのはちょっと恥ずかしいがそれが一番真摯に伝わると思った。
きっとロールが小さくても大きくても僕はそう言っていただろう。だけど、この気持よさと揉むと指から溢れそうになる感覚はこのおっぱいでしか味わえない感触だろう。だから、このおっぱいであることに感謝した。
「・・・うん・・・♪・・・ねぇ、見てくれぬか?」
そういってローブがロールの手によって取り払われる。
綺麗だ。白い肌に健康的な張りがある。
紅く色ずく胸の先は淡いピンク色で和菓子のようだ。先ほどまでチラチラと見えていたが、いざこうやって明かりの元に晒されるとまた違った趣がある。
今までがエロチシズムだとすれば、これは高く上る太陽の下熟しつつある果実のような存在感だった。
「・・・・・・ど、どどどうだ?」
「綺麗だ。食べてしまいたいぐらい・・・」
「食べてもいいんだ。正嗣になら・・・あ、けど・・・キャッ!」
許可をもらった次にはむしゃぶりついた。


「ん、んやぁ・・・あ、くすぐったい・・・」
チュッチュッっという音が体を通して伝わってくる。
いきなり吸いつくだなんて少しはしたないぞ?
いきなり押し倒されて吸い付かれた瞬間は驚いたが、一生懸命吸い付いてくる姿を見ると何故か微笑ましく思えてくる。いつか、正嗣の子にこうやって乳をあたえる日が来るのだろうか?ふむ、これが母性というものかひゃあっ!
「・・・そこは敏感・・・敏感なのぉ。乳首、乳首はやめて」
先ほどから刺激され続けてもうこれ異常ないほど乳首は膨らんでいる。そこを吸い付かれて官能の声が漏れてしまう。
まず、自分自身からそんな声が出てしまうことに驚いた。
「ん・・・ん、ああぁっ・・・」
まるで自身が楽器になったようだ。乳首を下で転がされるたびその振動が全身に伝わって反響し口からどうしても漏れてしまう。
だけど、正嗣はやめてくれない。むしろ其れを由とさらに刺激を加えてくる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ、胸をおかしくしないでぇぇぇぇ」
再びいつもならば絶対に出さないような大声を上げてしまう。
ううっ、随分と容赦ない赤ん坊なのだな正嗣は。
頼むからもうちょっと優しく・・・でないと壊れてしまいそうだ。
片方の胸をしゃぶりながら、もう片方を指先でコリコリとし・・・しげ・・・刺激されされ・・・
「可愛いよ。もっと感じて、もっと見せて」
か、可愛い?誰、私か?
そんなこと今まで一番言われたことのない言葉だ。
魔女暦も長いと其れ相応の侮蔑や恐怖の言葉しか向けられない。言われたとしても精々綺麗といったところだ。そんなことを言われたのは本の小さな頃・・・
ああ、そうか。
私の一番可愛らしかった頃、私はそのときに戻りたかったのだ。魔女だとかそんなことは全部忘れて、ただ愛しい人に愛してもらえる存在に。
「・・・正嗣、正嗣ぅぅっ!もっと、もっとして!愛して!」
ああ、私は壊れ始めている。だけど、それはとても心地良いんだ。
「ああっ、勿論だよ」
ああ、声がとても近くに聞こえる。私の中に正嗣の声が反響している。
胸を愛撫されてるだけでこんなに気持良いんだ、SEXならこの何倍なんだろうか?

・・・・・・んっ

途切れがちの思考の中で何か忘れてるような気がする。
「あ、待って!待ってくれ、さっきからチカチカしてっ」
思考が纏まらない。
「いいから、気持ちよくなるんだ」


お姉さん

お姉さんってなんだっけ?

むにゅるん
胸じゃないところから刺激が来る。今までが鞭でいたぶられていたとすれば。刃物で刺されたような刺激。
堪えようもない逃げ場のない快楽が太ももの間から襲ってくる。
堅く閉じていた瞳を開けて、下を見ると股の間から何やら太いものが生えていた。
ペペペニス?そんな正嗣よりも大きなのなんて?!
「あはぁぁっ!・・・もう、だめだ!このまま、このまま!」
意識が飛ぶ感覚が短くなっていく。
「・・・・・・私を・・・放さないでぇぇぇぇぇぇ!!!」
ギュッと身体が抱きしめられるのを感じた。
そして目の前は閃光で真っ白くなった。

ビクンビクンと痙攣して弛緩した後、数十秒後にロールの意識は回復した。
「・・・ん」
「ロール、大丈夫?!」
「ああ・・・・・・なんだ正嗣の腕か」
「え?」
「い、いやなんでもない!」
慌てて何かを隠そうとしている。どうやら特に問題はなさそうである。
・・・あれがイクという奴なんだろうな。まだまだ心臓が高鳴っている。
「酷い奴だ君は」
何やらむくれている。なのに何でこんなに可愛いのでしょう?
「私のほうがお姉さんなのに・・・こんな好き勝手するなんて」
あーと・・・
「それに、そのことに甘んじていた私も私だ。あんなはしたない姿を・・・」
つまりはわたくしはどうすればいいのでせふか?
「大体、正嗣は本当に初めてなのか?!妙に手馴れてたような」
「あ、まあな。・・・ロールに気持ちよくなって欲しかったから」
大分必死でした。
「う〜〜〜〜〜・・・」
そんなに気持ちよかったのか。よくやった、僕。と心の中でガッツポーズ。
「駄目だな、かっこ悪い所ばっかり見られてる」
「そんなことない。可愛かったよ」
「うっ、卑怯だ。正嗣は」
・・・・・・。
「私もかっこつけるのはやめる。とは言っても最初から駄目だったのだが・・・。もう私のほうも限界なのだ、優しくしておくれ・・・」
「喜んで」

横になったロールの両足を開く。息を呑む音が聞こえるがこのときばかりは無視を決め込んだ。
ピンクの、乳首と同じ色が一線縦に走っている。ここがロールの・・・
「あまりじっくりと見ないでくれるか。さすがに恥ずかしい・・・」
「ああ、ごめん・・・」
けれど、中々視線を外すことは出来ない。なるほど、貝に例えるのも解るような形状だ。
「も、もう準備はできてるから・・・な」
「ああ・・・」
確かに先ほど達したお陰で洪水状態だ。
僕も服を脱ぎ捨ててロールの前に膝立ちとなる。股間の一物は痛いぐらいに天を突いてる。
「大きい・・・」
ロールは頭だけ起こして見る。なんだか恥ずかしいが、ロールに大きいと言われると誇らしい気分になる。
「あ、私も気持ちよくしてやる」
起き上がって手を伸ばそうとしてくる。
駄目だ。今触れられたらその瞬間出てしまいそうになる。
興奮してたのはロールだけじゃないのだ。
「無用。ロール見てたからこんなになったんだよ?」
「・・・確かにさっきよりも大きいような」
「ああ、じゃあ行くよ」
両足の間に身体を割り込んで位置を調節する。
ツンと先端が割れ目の上をすべった
「うんっ」
甲高い声が上がる。
快楽が脳へ走る。すべただけでこれなら入れたらどうなるんだ?
「あのな・・・。」
「うん?」
不安そうな声が上から聞こえてくる。
「実は、初めてなのだ、そのSEXは・・・だから優しく」
まあ以前からそうじゃないかと思ってた。
「知ってたよ」
「ええっ?!」
というかあんな初々しい反応でばれてないと思ってたのだろうか?
「まあ、初めて同士ということでよろしくおねがいします」
意訳・いただきます。
「こ、こちらこそ・・・・・・それと、入れるときはキスしてほしい。その夢だったんだ」
「わかったよ」
お互いに頷きあって腰を進めた。

手を添えて照準を合わせたことを確認して唇を合わせた。
今回は目を閉じずに見詰め合ってる。
チュクン
「・・・ン」
チュルン
上手く入らずに上滑りとなる。
それだけでもロールの顔は快楽に歪む。
いざ、もう一度というところでロールからも手が伸びて来た。意識を顔に戻すとロールは頷いて目を閉じる。
そうだな、二人で気持ちよくなろう。
「・・・ぐ、っふぅぅぅー・・・・きゅあんっ!」
腰を進めるごとに肉を割り裂いていく感触が伝わってくる。そしてそれは同時に合わせた唇からの悲鳴も共鳴させる。
背中に腕が回され指は爪を立てられる。それだけでその痛みを理解できないものと察せられる。
やがて、何かに阻まれる。おそらくこれが膜なのだろう。ロールの純潔の証。
「フゥ・・・フゥ・・フゥ・・・」
荒い息が聞こえる。ここまでこれほどまでに痛がっているのだ、これを破ってはどれほどの痛みになるか・・・
そこまで考えたとき一層強く合わせた唇から舌が暴れだした。
瞳には強い輝きがある。それは覚悟したものの証だ。
ここで怖気づいては一生ロールに顔向けできない。
僕に出来るのは痛みを忘れるぐらい強く抱きしめるだけだ。
「・・・うん・・・、んぎぃ・・・ふぅあぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっ??!!」
万力のような力で締め上げられ、それ以上の力で抱きしめる。
そのまま最奥まで一気に押し込む。
傷つけながら慰めるなんておかしいと感じてしまう。けれど、これしか出来ない。僕がもっとうまくできたのならこんな痛い思いはさせなくて済むのに。
「ぁぁぁぁ・・・・・・フゥー・・・フゥー・・・」
やがて押し込められた絶叫も落ち着き荒い息に変わる。それまで僕は食いしばった唇に必死に吸い付いていた。
「うん、もういいよ。・・・まさつぐっ愛してるよまさつぐ!」
ゆっくりと唇を離して同意を口にする。
「僕もだ」
目は涙で口元は涎でぼろぼろだ。そんなロールを改めて抱きしめて落ち着かせるように髪をなでる。
よくがんばったね。そんな言葉を慰撫にこめる。
「ああ、正嗣のがここに入ってるのが解るよ。よかった・・・よかった・・・」
よしよしと身体を動かさないように抱きしめる。
「痛くない?」
「正直痛い・・・」
う、まあそうだよな。
「だけど、これが正嗣のモノになった証だから。その、嬉しいのだ」
「ロール、僕も嬉しい。お前のこと大事にするからな」
何かこのロールに報いたかったがこんな言葉しかいえない。
「ああ、だったらもう一度キス」
『ンヒュ・・・チュゥチュチュゥ・・・』
はぁ
「ロールはキスが好きだな」
「ちょっと違うな。正嗣とのキスが好きなのだ」
ぎゅいん。そんなこと言われたらロールの中の僕が反応する。
「んあっ?!・・・元気だな」
いや、そんなこと言われたら不可抗力だろ。
「そろそろ、いいぞ。その、正嗣を私に刻み付けてくれ」
「うん、もう限界だった。動くよ」
「ああ、あぁぁぁぁっ!」


熱くうねったロールの中を蹂躙し始める。
そこは魔女の釜のようだ。
「ふうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!」
奥まで入れると拒むようにきつく締め付けるくせに、
「あふぁぁぁぁぁぁっ、まさつぐぅぅっ!」
抜こうとすると逃さないと言わんばかりに絡み付いてくる。
その度に、射精への誘惑は大きな口をあけて襲い掛かってくる。
正直、入れただけでも危なかったので何時射精してもおかしくない状況だ。
「あはぁっ、うん、はぁぁぁぁぁ・・・痛いのに、段々・・・・気持ちよく・・・!」
だけどそれを必死に押さえ込む。
ロールの快楽に咽び泣く姿を一瞬でも長く見るために。
「ああ、ロー、ルッ。いいよ・・・」
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ、ダメだ激しすぎるーーーー」
胸を乱暴に握り締める。それにも敏感に反応してくる。
「ああ、駄目!跡が付いちゃうぅ!全部正嗣のものだって跡がついちゃうぅぅぅ!」
「これ全部、僕のものだよ!刻み込んでやるよ!」
「うん、つけて!つけて!・・・全部、あげるからまさつぐのものにしてぇ!」
ああ!
ドクン!と深くうちつけると身体がブリッジしたように跳ねる。
全身が粘膜になったように絡み合って肌に吸い付いてべた付くのが尚更一つになってることを意識させる。
これは僕のものだ。
これで遊んでいいのは僕だけだ!
名前代わりのキスマークを首筋から順に残していく。
そうしたら
「ウチュ・・・チュゥ・・・私もキスすりゅぅ」
お互いにチュッチュするはめになりながらも爛れた時間のカウントダウンは刻一刻と近づいてくる。
「まさつぐぅっ、チカチカ、目の、前がチカチカ、来るんだ!」
ああ、僕も来てるよ。真っ白になりそうだ。
「頼むっ、一緒に、いっしょにぃ、はなさないでくれ!」
「放すもんか!」
ギュッといれたときのように抱きしめる。
「ああ、私はりめてれこ、んなに、きもひよくなっ!へるなんてぇ・・・!」
「ああぁっ、もう少しっで・・・」
「射精すのだな?!わらしの奥にらして孕ませるのだな?!」
「そうだ!ロールの膣奥に射精して授精させる!」
「あああああああぁぁ・・・らしてぇらしてぇわらしのなかにぃっ!しきゅういっぱいに・・・ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ドクン!・・・ドクン!ドクン!
ガクガクとベッドが振動し、その後沈静化する
「くぅっ!」
「あふぁぁ・・・・れてる・・・いってる・・・ひきならら授精してるぅ・・・」
股間が爆発したかのように強い衝撃に支配される。
「しきゅう・・・しきゅうにしゅごいいきおいで流れ込んで来る。・・・あ、ダメ、子宮でまたいくぅぅぅぅぅぅ!!」
ビクンと再び痙攣して精液がビュクッと誘発されるのを感じた。
「あ、また出てるぅ・・・もうダメェ、私の子宮、正嗣専用になってしまうぅ・・・」
「そんなこと言うとまた・・・っ!」
「あぅもうでぱなしだぁ・・・絶対にあかちゃんできるぅ・・・」

やっと射精がおさまり抜こうとすると腰に回された両足で止められる。今更ながら気付いたが、どうやら射精しているときから巻きついていたいたようである。
「ダメだ!・・・その抜くと精液こぼれちゃう・・・」
ゾクッっと背筋に何かが走る。
はっはっは、そんなに心配なら何度でも出してやるぜ!
と思ったけど、結合部分から漏れ出でる紅い液体に目が留まる。
ああ、そうだ今日は一番最初だからな。よく見ればこの足もガクガク言ってるじゃにか。多分、今までからすればありえない動きをして疲労してるのだろう。
今日はもう無理だと判断して、ロールの腰を持ってそのまま半回転する。先ほどまでとは逆で僕が下、ロールが上だ。
「ひゃうっ」
あ、今の動きで脇から生暖かいものが流れてくるのを感じた。
「ああああ・・・お腹の中が一杯だ、とっても暖かい」
あう、そういうのを真顔で言わないでください。恥ずかしい。
「出したのは正嗣ではないか・・・」
プクーと頬を膨らますロールさん。いや、キャラ変わっていませんか?
「変わったとすればそれも正嗣のせいだ。」
「(あんな恥ずかしいこと言ったのも全部・・・)」
胸に顔を押し当ててのの字を書くのは危険ですのでやめてください!
ギュイン!
あうち・・・・・・股間の縮退炉は再び臨界運転に入りましたぁ!
「ま、まだやるのか?!ま、まあ正嗣がやりたいのなら・・・」
正直やりたかとです。けれど、正嗣は愛に生きる戦士ですので
「やりませんって!SEXは一日一回!腰を悪くしますから!」
「一回・・・スレの皆は納得するのか?」
「しょうがないだろ、慣れるまではこれを守っていただきます」
「慣れたら・・・やるのだな・・・何度でも何処でも何時でも・・・」
おーい、どこ見てはりますかー?
「あーそういうわけなので、そろそろ抜いていただきたいのですが」
「・・・・・・。今夜はこのまま寝たいのだ・・・駄目か?」
上目遣いはやばい。ロールさん普段は綺麗系なのに上目遣いのときだけはとても幼く見えてしまってそのギャップがクリーンヒットしてしまいます。
「精液が漏れるのを防ぐためだが・・・、それ以上に正嗣が私の中にいるのが嬉しいんだ。」
むしろ願ったり叶ったりなんですが、TPOが
「・・・駄目か?」
TPOがなんぼのもんじゃい。
そんな不安そうな顔すると
「問題なし、むしろ歓迎!」
と言ってしまう。骨抜きになってるのはこちらだなきっと。
けれど、さすがに疲れた。童貞ブレイクバージン散華したんだから当たり前か。
駄目だな、言語中枢が怪しくなってきてる。
「それは元からだ」
そうか元からか、なら仕方ないか。
見るとロールもうとうととしてきているようだ。
そうだな今日はこのまま寝るとしよう。
「愛してるよ」
「ああ、ろーるもあいして・・・る・・・・・・」
そこで力尽きた。どうやら眠くなったり極限状態になると退行するらしい。尚更、好きになった。
問答無用で連れてこられたこの世界だが、ロールと出会えてよかった。
これからのことを明日二人で考えよう。
SEXもこれから一杯して、生まれてくる子の名前で喧嘩したり夢は広がるばかりだ。
だから、今日はここまでだ。おやすみロール。

今夜のことを思い出して、寝た後も元気だった僕ちんの暴れん棒は夢精してしまったらしい。がこれはまた別の話である・・・


→第二話「誰が為に君は孕む」