孕ませ英雄伝説

腰を跳ね上げ背負ったバスタードソードを地面に叩きつける。地面に至る途中にあった犬頭は遅れて真っ二つになった。手には残るは地面を力任せに叩いたための痺れだけ。確かに奪ったはずの命の感触は全く感じられなかった。そのことが自分を苛付かせる。
修練に修練を重ね、自分は一流の剣士となった。この境地に至るは生半可な道のりでは無かったが自分には強い目的があった。だからこそここまで来れたのだと自負している。

自分はアイーダ=シュトロガルド。過去にはまた違った名で呼ばれていたが今はこの名だ。

また一匹を切り伏せる。まるで煙を切り裂いてるように感触が無い。本当に今自分が斬ってるのは命なのだろうか?

自分が何故こんなことをしているかというと、自分は冒険者だからだと答えるようにしている。この世界では都市には固有の防衛組織が配備されているが、このような辺境の村々にまではその力は行き届かない。よって自分のような冒険者という職業に声がかかるのである。
自分の今回の依頼は村で作物を荒らしているコボルド退治。自分の力量からすれば文字通り寝ながらでも問題ない。だからこそ一人で受けたのだ。

茂みの奥から何かが光った、と思った瞬間眉間に矢が当たった。頭蓋を貫通し自分の命はあっけなく終わった、自分が通常の人間ならば。矢じりは眉間に当たった瞬間、自らの勢いに負け歪みポテと地面に落ちる。
眉間には傷一つついていない。お返しにポケットに入れていた拳大のを投げ返してやった。「プギャッ!」という悲鳴と血飛沫が絶命したことを教えてくれた。

自分はある国の公爵家の一人娘だった。幼少より蝶よ花よと可愛がられていた。父は誇り高き騎士であり、自ら一騎打ちし討ち取った敵の総大将の話をよく自分に聞かせてくれた。
なんとも血なまぐさい話だったが、自分はそれに強い感銘を受け自分の夫となる者は父のような豪傑ではないといけないと思った。
反面、母は静かな人物だった。私が父の話をせがむと嫌な顔をするだけでそれ以上は何も言わない。だが、じとーとうとましく見張っているのだ。父はそんな母に睨まれると逃げるように退散し、そのせいで自分は母から離れていった。
その認識が崩れたのは以外に早かった。突然屋敷に軍がやってきて自分たちの世界を蹂躙していった。これは後から理解したことだが、父が敵国と通じ国家に重大な罪を犯したということだった。
これにより、我が公爵家は取り潰しとなり自分たちは女子供ということでなんとか命を救われたが財産は全て没収され、路頭に放り出された。
そのとき父は自分たちを捨て敵国へ亡命しようとしていた。が、途中捕まりその場で処刑されたというが真偽はわからない。
自分はいつか父がこの貧しい生活から助けに来てくれるものと信じて疑わなかった。だからこそ、生活の為に花売りとなった母を口汚く罵ったりもした「この買女!」「誇りを失った淫買が!」あの頃のことを思い出すと後悔で胸が痛む。
その認識が変わったのは、ある日父はもう帰ってこないと悟ったときだ。自分たちを捨てたわけでもないかもしれない。だが、もう帰ってこないと知った。それからは母と二人で力を合わせて生活していった。貧しいながらも充実した日々であった。
母がある年配の商人の心を射止め再婚に至ったときも祝福してあげた。今まで辛い思いをしてきたのだから尚更だった。
事実、母はとても幸せそうだった。おそらく母は名のある貴族の妻となるよりもこのような小さく穏やかな幸せの方が性に合ってたのだろう。

母はこうして幸せになった。自分もそれでいいと思った。だが、自分の生きる道はそこには無かった。
父の熱心な教育によって物心つくとき私は身も心も貴族となっていた。そして気が付くといつも在りし日の幸せな日々に思いをはせていた。
そしてそれは今に至るまで代わらない。もはや、あの日々が永遠に来ないのは知っている。だが、シュトロガルド家としての誇りと生き方を失ったわけではない。
こうして自分は貴族になることとした。叛臣の娘として、その道は困難であり不可能であるかもしれない。だが生き方は帰られぬ。
冒険者となったのは、何かしら功績をあげることで陛下の目に留まることを考えてと叛臣の娘では軍人にはなれないことの妥協案だ。
そして、数年の時を経て今ではそれなりの名のある冒険者となることが出来た。


「グガォゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」
一際大きな唸り声を上げた一回り、いや二周りほど大きな個体が出現した。
おそらくこの群を統べる長だろう。
長はその腕を自分に振り下ろした。

そんなとき、ある噂を聞いた。北部のある洞窟に住むといわれる強大な魔物の話を。
今まで名のある冒険者が挑み、誰も倒したことがないとされていた。しまいには国からの懸賞金も出され、注目を集めた。
当然自分もその魔物に挑み・・・・・・そして惨敗を期した。私が至ったという境地は所詮は人の境地だったと思い知らされた。赤子が大人に挑む方がまだ勝機があると言えただろう。

素手で心臓を抉る。この個体は多少なりとも「手ごたえ」があった。だが「手ごたえ」があっただけだった。

命からがら逃げ出した自分は背後から「また来るがいい。そのときは歓迎しよう」という魔物の声に悔しさと、それ以上の恐怖を抱いた。
そしてその鬱憤を晴らすためにこのような弱いもの苛めを受けたわけだが・・・あまりにあっさりと消えていく命に、自らの無力さを重ね合わせてしまう。
今の自分はこのコボルド程度の力なのだろう。打破しきれぬ圧倒的な力の差。
今まで、不可能なことなどないのだと信じてきた。出来ないのは努力が足りないだけだ、そう思い壁を乗越えてきたのだ。だが思い知らされてしまった人としての限界を・・・。

気付くと、長はバラバラの肉片と化していた・・・。


それから報酬を受け取った後、この近くに魔女がいることを思い出しどうせならついでとばかりにそこまで足を伸ばしてみようと思った。
魔女の作る霊薬は中々効果が高い。街で買うと高くつくが、直接交渉してみれば意外と節約できるものだ。まあこの魔女は変わり者で気に入られる必要があるのだが。
霊薬の中には能力UPの霊薬も存在する。が、自分に使ったところでその効果は知れている。いや、確かに効果は高いのだけど、1がうまくいって10になったところで一万には叶わないということだ。
そう、私はあの魔物に再度挑むことを無意識に考えていた。

「やっと、着きました。この高い煙突が目立って迷わずに済んだな」
なんでも煙突からアンパ○マンなるものが出て行けるようにしたかったということだが、煙突から出るのは煙ではないのか?まあ魔女の言うことだからな・・・。

「・・・・・・っ!・・・はぁぁ・・・」

ん?今何か声がしたような・・・

「・・・・・・だめ・・・そんなところ」

やはり聞こえる。森の茂みの方か


「ちょっと、待て・・・なんでこんなところで」
ゆっさゆっさと僕の上でダンスを踊るお方に尋ねる
「いいではないか、こんなにいい天気なのだからたまには外でというのも」
そのお方はニッコリと笑う。あ、ヤバい、こいつの笑顔は凶器だ。
「たまにはって、昨日からず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っとやりっぱなしですことよ?!というか、そろそろヒリヒリしてきてるのですが」
おおう、思わずオネエ言葉に
「その度に魔術で回復してるではないか、あ・・・うぅぅん・・・こっちも回復したぁ♪」
おうまいがぁ、こっちが必死でネゴシエートしてるっていうのに何故それを無に帰するような反応するんですか。MY愚息さんはぁぁぁ!!!
「・・・嫌か?・・・もう私とするのは・・・」
えっ?!
な、なんでそんな泣きそうな顔するんだよ。
「いや、わかってる、所詮見た目を若く見せてるとは言え、所詮はババァ・・・むしろ一度でも抱いてもらえただけで嬉しかったのだ」
「ロール・・・」
キュッキュッ!
「おぅふっ・・・しおらしいこと言ってるところ悪いが、さっきから締め付けてくるのですが・・・」
「ああ、昨日からずっとハメててコツが解ってきたのだ。これからどんどん気持ちよくしてやれるぞ♪」
ケロっといわれてしまいました
「ハメてて・・・いや、いい・・・。言っても無駄だし」
何より僕自身も
ぽにゅ
顔を胸の谷間にうずめてみる。うん、なんていうかなつかしい
「どうした、まだおっぱいは出ないぞ」
そういうわけではないが、いや安心感が母性の象徴かもしれないな。
「んー、ロールは卑怯だなぁと思ってな」
「ふふん、卑怯で結構だ。さぁさぁ、またたっぷりと出してもらうぞ」
ふぅ、
「卑怯な相手には其れ相応の対応しても別に構わないよな?」
「・・・・・・正嗣、なんだその笑みは!んあぁぁぁっ!・・・そこは違う!ちっ、違うっといってるのにぃぃぃ!」
「ロールは同時攻めに弱いよなぁー♪あんま調子こいてると壊しちゃうぞ♪」
「くぅっ・・・出来るものならやってみるといい。だが私も反撃を・・・」
「させると思う?」
「くぁぁぁぁぁぁ、ダメだそこ、子宮!当たってるっひ、卑怯だ!そこ弱いって知ってて・・・アフゥゥゥゥンッ!」
「グッアアァ・・・、ずっと俺のターン!」

凄い・・・あの魔女が髪を振り乱して・・・乳首もあんなに尖ってる・・・。
こ、これは、あれなのか、い、い、いわゆる、男女の、むつむつみ・・・睦事というあれなのか?
普段、あんなにクールな魔女が凄く幼く見えてしまいます!
ああっ?!
今、今、唇を併せて、えぇっ?!舌までぇぇ??!!
淫靡・・・そう淫靡過ぎます。
あ、下の男性の動きが早くなってきた。一つきごとに魔女の大きな胸が上下に暴れてて痛そう。なのに、魔女はあんなに目を蕩けさせて・・・。
「くぅぅぅ、あああああああああーーっ!・・・・・・い、今、ち、小さく・・・あうっ!あっあうっんっんぅ〜〜〜!」
「僕もすぐにい・・・ぐっ・・・から、併せて・・・」
「ああっ来るのだな、あっついの・・・来て!来て!・・・・あはぁぁんんんんんんんんんんんんんんんんんんんっぐぅむ・・・んっ・・・んぅっ・・・」
ビク!ビク!と、ここまで聞こえてきそうな大きく痙攣して・・・魔女は男に倒れこんだ。
トロンとした目で・・・あ、うわ、口付けを交わしたかと思ったら男の胸を舐めだして・・・ダメだもう顔がい、痛い!熱い!
もう、ここにはいられな、とうわたぁ!!!

「また、たくさん出したな・・・」
「そうだね」
「このまま、孕むまで挿入れててくれ・・・」
「それは無理(きっぱり)」
「ここは、無理でも『勿論』というべき」ガザザザザダン!「何の音だ・・・?」



「というわけで君たちSEXするといい」
ぶほっ!
思わず口に含んだ紅茶を噴出した。
そして目の前のアイーダはカップを傾けたまま固まって口の端からダラダラと紅茶が漏れたれている。
一体どうしてこんな話になったのか?

カチャ
魔女が香りの良いお茶とスコーンを出してくれる。
さっきから火照った顔を、一息つけて冷ます事に集中することにしよう。
「・・・ふぅ、いやなんていうか熱いなうん」
どうやら目の前の魔女の隣に座った男性も同じ思いのようだった。
現在の状況は居心地の悪いものこの上ない。
魔女とこの男性の情事を見てどうやら私は気を失ってしまったらしい。
その後魔女の家で介抱されたのだが、残念なことに記憶を失ってるとかそういうこともなく、目をあわすたびにさっきまでの情景をフラッシュバックしてしまう。
居心地の悪いのは男性も同じらしく、あんな場面を見られた私をどう扱っていいか判断つかない様子だ。
・・・というか魔女よ、先ほどからニヨニヨと眺めてるではなくいい加減諸々の説明をして欲しいのだが。
ついでに言わせてもらいますと、そんな男と腕を絡めて甘える貴女の姿なんて見たくは無かったです・・・。
「アイ、そんなに睨むな。覗いた方も覗かれたほうも不幸な事故ではないか?」
どうも、魔女はさっきのことで私が怒ってると思ったようだ。
「なっ?!ち、違う!・・・それと『アイ』って呼ぶな!」
私はそう呼ばれるのが嫌いだ。これにはそれなりの理由があるのだが語る気にはなれない。
「ん?可愛いではないか。なぁ、正嗣?」
魔女は男性に同意を求める。マサツグと呼ばれたその男性は苦笑を返すだけだったが。
「ああ、そうだアイにも紹介しておこう」
「・・・結局直す気にはならないのですね」
「今度ここで生活することになった正嗣だ。詳しい説明は省くが私にとって大切な人間だ」
恋人・・・なんだろうな。あんなことするぐらいだし。
「正嗣です。えーと、」
「アイーダ・シュトロガルドです。好きに呼んでください」
「アイちゃ〜〜ん♪」
「魔女っ!!その呼び方はやめろと何度言えば!・・・ええっと、出来ればそれ以外の呼び方にしてもらえると助かります」
「・・・苦労してるんだね(ホロリ)じゃあ、アイーダさんと。僕の方も好きに呼んでください」
あ、なんか仲良くなれそう。この人も魔女に振り回されてるんだ。
「判りましたマサツグさん」
「アイは冒険者だ。わらわは霊薬を作り冒険者に卸すのを副業としててな、その過程で知り合い以後親友としてやってるのだよ」
「・・・親友?魔女は単にからかう相手が欲しいだけだろ!」
「ああん、つれないな。だが、そんなところも好きだよ」
「あーもうっ!」
これだからここに来るのは気が進まないのだ。
しなだれかかってくるな!
「どうだい、正嗣。なかなかのツンデレっぷりだろ。」
「ロールに対してだけに見えるけど・・・」
「そこがいいんじゃないか♪特別な相手にしかツンが発動しないというのもやはり萌え要素の一つの形だと思うのだよ」
「・・・・・・はぁ。」
「ええい、離れろ!」
「はいはい、それでまいすうぃぃとあいたんは何の用で来たのかしら?」
「平仮名であいたんとか言うな!キシャーー!」
「ね、からかいがいがあるだろう?」
「・・・ノーコメントで」


結局あれから話が一向に進まなかったので僕が強引に仕切りなおした。
そして話を聞くところアイーダはある魔物を退治しようとしたところ返り討ちに遭い(本人は一時的な後退だと主張。なんでも貴族は敗北することは許されないらしい)、そのことでロールに相談しに来たらしい。
「・・・つまり手っ取り早く強くなりたい。というわけだね」
「別に早さは求めていないのですけど、どうも修行していて上達したという実感がないのです。何かいい方法があったらと思って」
「ふむ・・・。(ガサゴソ)正嗣、このレンズを通してアイを見てもらえるかい?」
そう言って双眼鏡のようなものを渡される。かなりの年代者のようだ。
言われたままにこの至近距離で覗きこむとアイーダの周りに青白い炎のようなモノが揺らめいている。
それをそのまま伝えるとロールは、やはりな、と呟いた。
「どういうことです?」
「結論から言うとアイはこれ以上強くなることは無い。正嗣の見た青白いオーラはアイの経験値がカンストしたことを示しているのだ」
「?」
「故にこれ以上のレベルアップは起こらなく、能力値変化も起きないと言うわけだ」
「レベルアップ?能力値?」
あ、さすがにこの世界の住人であるアイーダには理解が難しいか?
「ううむ、凡人に天才の考えを理解しろと言っても難しいか?ならば・・・」
「なんだと?」
「ええい、事実を述べただけだ。ん、正嗣は解心したのか?」
「まあ、大体は」
「なら、説明してやってくれ。わらわではいい言葉が浮かばないのだ」
「・・・あーでも。いいのかなぁ」
割ときつい言葉なんだよね。
「かまわぬ」
「そうです。おねがいします!」
「じゃあ・・・一言で言うと『才能が無い』ってことです」
「え?!」
「そうそれだ!そのことが言いたかったんだよ。いやぁ、さすがは正嗣だ。それでこそ私の・・・」

「ちょっと待ってくださいっ!!」
アイーダが叫んだ。俯き拳を握り締めて。
「そんなわけないじゃないか。これでも巷では五本の指に入ると言われた戦士なんですよ私は」
「・・・・・・」
「アイ。」
「そうですよ。才能無かったらここまで強くなれるわけないじゃないですか。冗談がきついですよ?」
「アイ。私はお前を評価している。人の身でありながらよくぞそこまで研鑽を積んだと。」
「・・・・・・。」
「おそらく、人間の中ではトップクラスだろうな。魔獣相手でもそうそう負けはしないだろう。」
「よく・・・わかってるじゃないですか」
「君は強くなった。だが、それは才能によってではなく努力よってだ。だからこそ私は君を評価している。生まれつき強い者など面白くもなんともないからね」
「だけど」
「誰にだって出来ることじゃない。だからこそ尊いのだ。アイはそのことを誇りに思うべきだ」
ロールは優しく語り掛けていった。
アイーダも気持ちは収まったようで座りなおした。
そして、僕はちょっと感動していた。
マッドなだけかと思ってたロールがこんな人間の出来た発言をするなんて・・・君を好きになって良かった。
「安心するがいい。蛇の道は蛇、理外れの道は魔女。何とかする方法はいくつか考えている」
その後、その方法がアレなことと判明し、僕は早々に後悔することになる。
つーか、感動は返せ!



はい、今の状況を説明します。
ここは寝室。
俺様ちゃんはパンツ一枚。
そしてベッドの上にはシーツを纏ったアイーダさん。

あ・・・ありのまま今起こったことを話すぜ
ロールがアイーダに耳打ちしたと思ったらいつのまにか寝室に放り込まれていた。
全裸で。
な…何を言ってるのかわからねーと思うが僕も何をあったのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
瞬間移動だとか「正嗣さん」
「は、はひっ」
「何をブツブツ言ってるのですか?」
「いえ、なんでもありませんです。はい」
アイーダさんは傍目に見ても凄く落ち着いている。
対して僕は焦りまくりだ。
「・・・ではそろそろ始めて欲しいのですが」
「は、始めるとは、何を」
「SEXです」
ぶっ、やっぱ何かおかしいです。
事態が僕の知らないところで進行していってます。
「ちょ、・・・いや、僕たちは今日知り合ったばかりだし、僕にはロールもいるし、というかなんでSEXするってことになってるんだ?!」
「・・・やはり私では嫌なのですね」
「え?」
「いえ、仰らずともよろしいです。例え貴族の出だと言っても、所詮今は金で命を売る傭兵の身。女性の煌びやか艶やかな魅力とは対極に位置しているとは自覚しています。それを推してお願い申し上げます。どうかこの私を抱いていただけないでしょうか?」
そういってベッドの上で三つ指をついて頭を下げられた。
その姿は綺麗ではあったが、あまりにも哀れすぎた。
「やめてください!どうしてそこまでして・・・」
「魔女が言うには、強くなるには貴方と交わるのが最も良いとお聞きしました。私はもっと強くあらねばならないのです」
「・・・」
「ただ一度抱いていただくだけでいいのです。他には何も望みません。その代わりとして、私が出来ることでしたら出来る範囲でお礼させていただきます」
胸の奥で黒く熱いモノが渦巻いてくる。
それは情欲とは程遠い「怒り」だと気づいたのは後日だった。

正嗣さんに押し倒されてシーツを剥ぎ取られた。
私の体が彼の視線に無防備に晒される。
出来ることなら手で隠したい。が、おそらくそうしたら彼はもう私を抱こうとはしないだろう。
自分を戒める意味も込めて、両手でベッドの端を握り締める。
行為が終わるまでこの手は決して離さないと心に決めて。
「・・・んっ!」
胸にゆびが触れる。
最初はゆっくりと外側から包むように。
じんわりと触れられた所から熱くなっていく。
もっと激しくされると覚悟してただけに拍子抜けがした。
「ん・・・あ、ふぅ・・・」
けれど、喉の奥からわずかに甘い吐息が漏れると話が変わる。
これは必要に迫られてやっているに過ぎない。なのに、自らの女の部分がじわじわと高まってくるのを感じる。
馬鹿者!何を感じているのだ。
私は騎士で、彼は私の恋人でもない。私は彼で肉欲を満たすわけにはいかないのに!
漏れそうになる息を必死で圧し隠す。
彼に知られてはいけない。
感じてしまっている醜い自分を知られたくなかった。
彼は時折、愛撫しながら私の表情を盗み見てくる。私はそれに耐えられそうになかった。
「あ、あの。・・・もっとはげしくしていいです。気遣いは無用ですので好きにしてください」
きっと彼はこうやって愛撫するのが当然と考えているのだろう。
それは彼の優しさで本来なら好ましいものなのだろうが・・・・・・
今の私には、優しさよりもまだ痛みの方が耐えられた。

「もうやめよう」
一瞬何を言ったか理解できなかった。
すっと体が離れ素肌に冷たい空気が触れる。
「あ、あの、私何かしましたか?」
おずおずと尋ねると彼は首を横に振った。
「でしたら何故・・・」
「う〜〜〜ん、自分でもよくわからないんだ。」
「・・・・・・」
「本来なら、こういうのは据え膳なのにな」
そうだ。男は皆裸婦を見れば発情するのではなかったのか?
「アイーダが覚悟して、ここにいることは理解した。」
そうだ、私にとってこれはとても重要なことだ。
「だから僕に出来ることなら協力したいと思ったんだ」
なら何故?!
「・・・それは、私が生理的に抱くことが出来ない女だということですか?」
・・・女だということは既に捨てたはずだったがさすがにこれはこたえた。
「違う!」
「・・・え?」
「アイーダとは今日始めてあったけど好感を抱いたんだ。努力家なところを尊敬してるし、素直でからかわれやすいところを可愛いとも思ってる。その前を真っ直ぐ見る瞳もカッコいいし、一般的に見ても美人で所謂『いい女』だよ」
「そ、そんな私など・・・」
不意打ちだ。
今までそんなこと言われたことは無かったので頭がパニックを起している。
力をつけていくに従って、恐れられはすれどもそんな言葉はかけられたことは無い。いや掛けられていても気には留めていなかっただろう。
「だから、アイーダを抱くと今以上に好きにならずにはいられないと思う」
ああ、そういうことか・・・
「故に深入りしたくないと。そうですね貴方にはもう魔女がいるのですから・・・」
ああ、だが素直に嬉しかった。自分にそんな言葉が掛けられることがあるとは思っていなかったから。
彼は首を横に振った。
「ロールのことは関係ない。いや、そっちも大事ではあるんだけど、アイーダが気にする必要はない。・・・多分」
遠くを見ながら語る。本当に大丈夫なのですか?
「それより、好きな人なら大事にしたい大切にしたいんだ。だけど、その本人が自分を大切にしないだなんて悲しいじゃないか」
胸が痛い。
そんなこと考えもしなかった。
なぜなら私にはなさねばならぬ使命があったのだから。
「君を抱きたくないわけじゃない。僕も男だからね。けれど、それとは別にアイーダを大事にしたい。
 強くなるには必ずSEXしなければならないってわけじゃないと思う。僕もロールも君の力になりたいんだ。だから、考えよう。何が一番いい方法なのか」
そう言って正嗣さんは微笑んだ。
どうしてだろう。その微笑みはとても懐かしいものだった。
そして気がついたら彼に抱きついていた。

えーと、これは一体どういうこと?
断腸の思いで据え膳から目を逸らしたじはずなのに、何故か口元に差し出されてあーーーんとされていますよ?
あ、こら、後ろから回された手が股間に当たっています!
多分無自覚なんだろうけど危険ですので白線の内側までお下げくださいイイイイイイイイイイ
「アイーダさん・・・?」
キュッ
「・・・あ、うー、え、その。放したくありません」
は、はひいいい?
「あう、自分でも何を言ってるか判りませんけれど、離れたくないんです。放したくないんです。もう一人は嫌なんです!
 ・・・ずっとこうしていたい・・・」
あるぇー?もしかしていつのまにかフラグ立ててた?
抱きついて上目遣いで潤んだ瞳を向けてくるアイーダは破壊力は抜群だった。
いやいや、そうではなくて。冷静になれ、アイーダは一時的に混乱してるだけ
「あの・・・改めてお願いします。抱いてください。貴方をもっと深く感じたいんです」
無理デース!
グフッ俺の理性は度重なる戦いでもうボロボロだったのさ・・・
あとは頼んだぜ。バタリ。
「後悔するなよ。というかさせない」
「・・・はい」

「足を開いて」
「・・・はい、あまりみないで・・・んっ」
そこは全くの不毛の大地であった。
ロールとはまた違い色まではっきりと視認できるのは衝撃的だった。
さすが単色では4枚投入が基本なだけあるぜ(謎)
そしてその少女のような筋はうっすらと開いておりほのかに濡れて光っている。
「濡れてる?」
「な、そそそんなことととありまません!」
「いやでも」
「そそそれ以上言ったら舌を噛み切って死にます!」
そんなに嫌がらなくても。
目をつぶって貴族としての誇りがとか騎士の本分だとかブツブツ呟いている。
ああ、そうか。
時折感じていた不快感はこれなんだな。
「アイーダ。確か最初なんでもするって言ったよね?」
「・・・は、はい」
「なら、これから貴族とか騎士の誇りだとか使命だとか、そういうの一切合財忘れること。発言も禁止。」
「え?」
「SEXは一人でするもんじゃないんだから、こういうときは自分を抑えつけないで。
 あ、けど、そうしないとこんな事態にはならなかったか。ははは」
「・・・・・・」
う、沈黙が痛い。
外したかなと思うと、首に両腕が廻された。キュッ
潤んだ瞳、熱い吐息。
これは了承してもらえたと思っていいんだよな。
「あ、あの、もうきてください・・・」
声には若干の震えが感じられた。
この申し出はとってもありがたかった。
さっきから愚息は天元突破な状態だから。
だけど熱いパトスとリビドーをエゥロス(愛的な意味で)に換えて
「このままだったらまだ痛いと思うよ。もう少し・・・」
「・・・だめ。もう恥ずかしくて死んでしまいそうで・・・」
本当だ。もう耳まで真っ赤にして。
あ、やべ。またエゥロスが蛇口全開でドバドバだぜ。
そんな内情を持ち前のクールーキーっぷりで微塵にも感じさせずに(クールーキー:クールなルーキー。ここでいうルーキーとはつい先日喪失した貞操に置ける意味だと思われる。)
「わかった。多分痛むよ。」
と答える。
「いいんです痛みは。むしろ痛い方が、貴方を感じられますから」
あ、今ズキュンと来た!
本人に自覚はないんだろうけどすまんロールと心の置くから謝っておく。
「出来るだけ優しくするからな」
コクンと素直に謝るさまも愛しさを増す行為だったとこと追記しておく。

グゴリ
熱いものが体を砕いてるのではないかと錯覚した。
「ギッ・・・グウゥ・・・」
それでも悲鳴を漏らさなかったのは訓練ゆえのものだろう。
脳裏には地面に杭をハンマーで打ちつける図が浮かんでいた。
怖くて目が開けられない。例え、望んだことでも身体に異物が侵入してくる状景を見たら壊れてしまうと確信していた。
なのに、神経は逆に敏感になり全身に流れる血液の鼓動を感じ、下腹部の痛みを詳細に教えてくれる。
ああ、もう許して・・・
暗い世界に絶望しかけたとき、耳元で暖かな声が囁かれた。
「痛いときは痛いと叫ぶんだ。泣きたいなら泣いていい。我慢しなくていいから」
叫んでいいの?
泣いてもいいの?
「・・・痛い!痛いイタイイタイイタいんです!
 死ぬよぉ・・・こんなの死んじゃう!ああっ・・・ウッ!
 なんで!なんでこんなに痛いの?!ひどいよ・・・こんなのひどい・・・うう、ヒック・・・えぐ」
ああ、こんな声を上げて泣いたのは何年ぶりだろう。
許されないと思ってた。
弱さも認められなかった。
そうしたら全部崩れてしまいそうだったから。
なのに、一度泣いたらぼろぼろぼろと次から次にあふれ出して来て・・・
痛みも何かもわすれてしまっていた。
「・・・落ち着いたらゆっくりと深呼吸をして。うん、そう」
何分、何秒経ったんだろう?さすがに一時間は経ってないと思うんだけど。
相変わらず痛みはあるけどもさっきほどひどくはない。
私が泣いてる間、背中を擦ってくれてたらしい大きな手がとても暖かい。
大事にしてたものを失ってしまったのになんでこんな穏やかな・・・まるで揺り篭の中にいるような気持ちにさせてくれるんだろう。
今ならなんとなく解る。私はずっとこうしてほしかったんだ。
だから正嗣さんを求めた。
「正嗣さん。愛してください、アイーダを愛してください!」
ギュッ
抱きしめたのは私か彼か、そんなのはどちらでも構わなかった。

ウォォォォォォォォォォォ!!!
なんつーの?
毎日遠くから餌付けしてた子猫が初めて直に手から餌を食べてくれた時の感動を数倍にしてPCの前の貴方にお届けしております!
まさか、こんなことになろうとは。
最初会ったときはクール系だと思ってたのに、今では保護欲全開バリバリ最強伝説!もう手放すことはできましぇーん!
「じゃあ、動くよ」
コクンと頷き
「痛みも大切な思いでになります。だから遠慮しないでくださいね」
うはぁ、そんなこと照れながら言われたら優しくせざる得ません。
反論は認めない。
聖上位から抱き合って対面座位で腰を動かし始める。
最初のうちは奥をつくような動きは極力避けて、円を描くようにほぐしていく。
しだいに
「・・・ふっ、ああぁ・・・んんっ」
と甘い声が漏れてきた。
「あっ、ふぁ、で、出来てンンッ・・・いますか?・・・キモチイイですかぁ?あっ」
ギュ
「大丈夫。ああ、気持ちいいよ」
「よかった」
ほっとしたように微笑むとやがて、自分からも腰を使い出した。
「ん、んっ、んっ、んっ。痛いけど・・・暖かいんです!嬉しい!」
両肘を僕の肩に乗せて踊る。
「私で、んんんっ、あいーだでぇ、きもちよくなってくださひ」
「勿論。だけど・・・」
「え?・・・きゃふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?!?!?」
「気持ちよくなるのはお互いにね♪」
乳首にむしゃぶりつくと同時に、手探りで陰核を擦る。不毛故に探すのに苦労はしなかった。
これは愛撫しているうちに気づいたことだけど、アイーダは胸それも乳輪への刺激に弱い。
今も歯を当ててこそぐ様に掻き下ろすと、口をパクパクさせてビクンと痙攣してしまった。
キュウとただでさえ狭い膣が正嗣二世を締め上げる。
「ぐっ、あぁ、ふふぅーん」
今のは危なかった。多分二度目はないだろう。
「ら、え、だ、だめです・・・そんなのされたら・・・壊れましゅ・・・」
瞳から涙がこぼれ抗議してくる。
「わ、私は、求められるだけで幸せなんです・・・だかりゃ、そんなことまで」
「言ったよね、SEXは二人でするものだって。お互いに気持ちよくなるものだよ」
場合によっちゃ三人とか四人ですることもあるけどここでは省略。
「こ、壊すつもりですね?!・・・アイーダ、壊すんですね?!」
「壊して欲しい?」
一瞬逡巡するが
「・・・こわしてぇ!・・・全部、なくしたら・・・ほんわかふわふわなんです」
くぅっダメだなこっちももう余りもちそうにない!
ストロークをゆっくりと、だが深く染み込ますように刻んでいく。
「あふぅ、へぁっ、あああああぁ・・・動いてる、脈打ってる・・・こ、これ」
「ああ、出すよ!射精するぞ!」

注:ちなみに、まだ僕は『射精す』でだすと読むスキルはゲットしてない。
『挿入る』も同様。あしからず。

「来て!来てください!ん、全部、受け止めますからぁぁぁぁぁっ!」
ドクン
カリッ
「んふぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ?!?!?!」
胸を噛みながら子宮へとありったけ射ち込んだ。
「あ・・・・・・壊れて・・・白い・・・・・・全部・・・」
一緒に逝けた(注:『絶頂けた』ry)みたいだ。
「・・・はぁ・・・んっ・・・」

アイーダはしばし放心していたがしだいに目がうつろになりスヤスヤと眠りについた。
僕は少しはアイーダの力になれただろうか?
少なくても抱き枕状態で直立状態で抱きつかれてる状態から信頼はされてるようだ。
この後ロールと会うことを考えたら憂鬱だ。
ま、自分のしたことの責任は取らないとな。後悔はしていないし。
・・・・・・土下座ですむかな?(ビクビク)
腕枕の上で寝息を立てている鼻に髪の毛がかかるのを直した後、そういえばキスもしていなかったなぁと気づいた。
今なら無防備に奪ってくださいとばかりに用意されてるが、いやいやそれはどうだろう?
SEXまでしたんだから今更じゃね?いやそれとこれとは別問題だろ。
という問答を繰り返した後、妥協点として額にキス。
指で髪をすいて、うわ、めちゃくちゃ細くてしなやか。しかもいい香りする!
チュと口付けると一瞬身じろぎをされびくった。
幸い起きることはなかったが一つ寝言を発した。
「・・・ん、おとうさま・・・」
その顔はとての穏やかなものだった。

「ほう、正嗣もなかなか。だが、そうでなくては困る」
ここは薄暗い一室。水晶球には先ほどまで行われていた情事をリアルタイムで中継されていた。
「正嗣、君は嫌がるかもしれんが君には君の義務がある。
 故にこれから幾千の女を孕ませることになるだろう。
 君は私を愛してると言ってくれたが、同様に私も愛している。
 その愛し方どれほどの違いがあろうとも、愛してることに違いはないのだよ」