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城山宵x暁白湯3
「ん…、朝か……」
カーテンの隙間から朝の光が差込み目が覚める。
季節は秋になり朝も寒くなってきた、寒気を感じ次第に頭がはっきりしてくると隣でもぞもぞと動く物が。
「白湯、いい加減起きろ。」
「寒いから、や。」
白湯である、彼女は城山が起きる前からすでに起きていたのだが寒いのでずっとベッドにいた。
彼女が城山と夜を共にし始めて9ヶ月が立った。
白湯が城山と一緒に寝ているのは夜の相手を努めるのだからそれは当たり前なのかもしれないが、
性行為がない時においても一緒に寝ることを義務付けられたため、白湯にとってここ半年は一人で寝たという事はない。
一緒に寝るようになり、当初は城山の反発からか間を空ける事が多かった。が、最近では諦めの境地なのか悟りの境地
に至ったのか間を空ける事もなく、気付けば城山を抱き枕のようにしている事が多かった。
自分の首に手を回して胸に顔をうずめる白湯を見て、城山はまるで子どものようだなと思った。
城山は白湯の頭を撫でると、顔を上にあげる様合図をする。白湯もそれに応じて顔を上にあげる。
そして、そのままお互い顔を近づけていき軽いキスをする。彼らの朝の挨拶である。
軽く口を合わせた後、今度は深くして互いの舌を絡ませる。そして顔を離すと白湯は城山の胸に顔をうずめ城山は白湯
の髪をなで、キスの余韻を味わう。余韻を味わった後は城山が立ち上がって、白湯もそれに続いて朝食の準備をした。
朝食を食べ終わると、城山は白湯に今日の予定はなんなのか聞いた。
「今日は何も仕事は入ってないわ、休みってことね」
「ほぅ、そうか。それなら暇だなー、そうだ白湯どっか遊びに行かないか?」
「私は今日仕事あるんですけど」
「どうせ、私の部屋の掃除だろう。そんなんどうでもいい、遊園地いくぞ。」
断ってもどうせ力づくでも連れまわすに違いないと思ったので、白湯は渋々OKした。
それならば即実行あるのみとすぐに仕度させ、車に乗り込んだ。
「遊園地ってどこいくのさ」
「ここだよ、ここ」
城山の手には最近できた人気のレジャースポットが載ってある雑誌があった。
今、城山達がいこうとしているところはその雑誌でも一番力を入れて特集されてある遊園地だ。
「しかし、あんたからこんなとこ行こうなんてね。」
「最近、お互い忙しかっただろ。あまりかまってやれなかったからな。」
「あなたが『お前も社交界デビューだ』なんて言いださなかったら、少なくとも私は忙しくなかったんですが。」
ここ2ヶ月ほど、城山の気まぐれで金持ち共のパーティーに無理やり連れまわされる事になった白湯は今の仕事の
他に一流階級のマナーや立ち振る舞い等を仕込まされた。当然、慣れていない白湯は悪戦苦闘の日々を過ごしていた。
唯一の救いは城山が過激な性行為をあまり要求しなくなった事だった。夜の行為についてはあいかわらず中だしが当たり前
ではあったが、前にくらべ無理やりではなく優しくなり大分楽になってきていた。
しかし、と白湯は思う。最近の城山は優しすぎると。朝のキスにしても今回の申し出にしても以前の時に比べ下心がないように
感じてき始めてきた。以前はただ白湯を汚すだけだったのが今では逆に気遣っている風に感じられる為だ。
白湯にとっても内情の変化はあり、前はただ快感だけが体を支配するだけだったのが最近では心も満たされている気がしているのだ。
以前は嫌がっていた中だしも安心を覚える様になっていた。『妊娠するかも』という思いも恐怖に怯えていたのが今では体を熱くする様
になっていた。どんどん自分は城山に惹かれていく、しかしその一方でそれを押しとどめる自分もいるのも事実だった。
(もぅ、こいつは何を考えているのよ)
車に揺られながら、白湯が悩みつつも目的地には徐々に近づいていった。
遊園地は平日だというのに盛況していた。休日になるとこの倍はいるのかと思うと白湯は少しげんなりした。
「どうせ金持ちなんなら貸切にすればいいのに。」
「こういうところは人がいてなんぼだろ、フリーパスはあるんだそれで我慢しろ。」
とりあえず最初は定番からという事で絶叫系から行く事にした。
「さーて、次は『マッスルドッキング』よ」
「ちょっ、まって……、少し休もう」
いい感じにテンションが上がってきた白湯に対し城山は真っ青になっていた。
「なにしてんのよ、弱いわね。」
「観覧車だ、ここの名所の一つにあっただろ。あの無駄にでかい奴」
ここの名物アトラクションの一つに一時間かけてゆっくりと回る大型観覧車がある。
休むならそこで休もうじゃないかと城山は提案した。
「しかたないわね、まぁそこは夕暮れ時になると急に混むらしいからいいでしょう。」
というわけで二人は観覧車に乗り込んだ、風評どうりにあまり並ばなくて良かったのは幸いだった。
「ふう、まったく元気の塊だな。お前は」
「あなたがひ弱なだけでしょ」
「……、ちょっとはストレス発散になったか」
「まぁね、最近はマナーだなんだとうるさかったからね。ようやくパーッとやれたわ」
「それならいいんだ、連れてきたかいがある。」
「・・・・・・・・」
急に無言になる二人、ただ外の景色だけがゆっくりと動いていた。
「なんで、急に優しくする気になったの」
「なんの話だ?」
「ここ最近の話よ。今までレイプまがいに無理やり襲ってきたのに、最近優しくしてくれるじゃない。」
「なんだ?無理やりの方が好みなのか?」
「……私は借金はあるし、あなたとの勝負にも負けちゃったから体で返すって事についてはもう反論しないわ。
嫌だけれど、それならいっその事奴隷のような扱いの方がはっきりしていてわかりやすい。
でも、今日みたいに変に優しくされたらわかんなくなっちゃうのよ。貴方が遊びで……、
ううん遊びなのはわかってるけど、私だって女の子だよ。勘違いしちゃうじゃない……。」
白湯の目から涙がこぼれる。
「捨てられるのが怖いの……、一人ぼっちになるのは嫌……、はっきりするならしてくれないと私もう……。」
泣き崩れる白湯を城山は自分の胸に手繰り寄せ抱きしめる。
「白湯……、じゃ私の物になるかい。体だけじゃない、心もだ。私のそばにずっといてくれるかい?」
「いる…、全部あなたにあげる。あなたのそばにいさせて……」
白湯は顔を上げ、城山の顔に近づけ。そして、朝の時のようにキスをした。
ガコンと観覧車が音を立てて揺れ、動きが止まったかと思うとアナウンスが入った。
「トラブルが発生しました。至急修理いたします。安全には問題ないので申し訳ありませんがしばらくお待ち下さい……」
「ん・・・む・・・」
白湯と城山は抱き合い、舌をからめ唾液を交換するかのような深いキスを交わしている。
こうしてみるとただのラブラブカップルに見えるが、下の部分に目をやると「ただの」ではないのがよくわかる。
白湯はショーツを脱ぎ、城山は下半身裸で繋がっている状態である。よくみると小刻みに白湯の腰が動いているのがわかる。
(ちなみに現在彼らの位置はちょうど頂上で他の客達からは見られない)
「さすがに久しぶりだから、きついな」
「あん…、だってぇ……、んん」
「ほら、ここ疼いているんじゃないか?ふん」
「あぁあ……!やぁ、子宮にあたってる……」
「白湯、ちょっと態勢変えるぞ」
と城山は対面座位の状態から立ち上がって、振り返り座席に白湯を押し付けた。
「あ、くぁぁぁ」
さらに深く城山のモノが入ってきた事で白湯は嬌声を上げる
「行くぞ」
自分が動き易い形になった事で城山は一気に攻勢にでる。
「あん、は、激しいよぉ」
「ふっ、っくぅ」
パンパンと肉と肉がぶつかる音と空気と粘液が入れ混じる音が室内に響く。
「あ、ひゃぁ、あ、い、イク時は……、中に、中に出してぇ……」
「ああ、出してやるさ。孕ませてやるよ」
お互いラストスパートに入り、城山は腰の動きをより一層激しく、白湯は足を城山の絡みつくように腰に回す。
「ほら、い、イクぞ」
「ひゃう、あん、あ、あ、あ、ダメ」
ビクッとお互いの体が跳ね、達した。
城山は小刻みに腰を動かし、全ての精液を白湯の体に流し込むと一物を抜き白湯から離れた。
白湯はぐったりと力が抜けたかのように、そのままずるずると体を傾けていく。秘所から溢れた精液が漏れ
開かれた足に伝わっていく。
「はぁっ、はぁ、白湯。可愛かったぞ」
と城山は肩で息をする白湯に顔を近づけ、軽く口づけた。
観覧車の修理が終わったのか、情事が終わった頃には動いていた。
手早く服を着て下に降りてくるまで城山は白湯を自分の膝に乗せ、ゆっくりと風景を楽しんだ。
そして、観覧車から降りた後二人は遊園地を後にした。
「他に乗りたかった乗り物あるんじゃないのか?」
「ううん、もういいの。」
車の中で静かに揺られながら白湯は隣に座る城山の肩に頭を預けた。
「ほら、出すぞ」
「んん、きてぇ!!」
外から戻った二人は自室に戻ると服を脱ぎ捨て、貪るようにお互いを求め合った。
「宵、宵ぃぃい」
「白湯、白湯!」
すでに、二度、観覧車の時のも入れれば三度、絶頂に達しているが、なおも止まらない。
今まで隠していた己の想いが一気に噴出し、止まれなかった。
この日、8度交わったところで力尽き。お互い重なり合って泥のように眠った。
この日を境に二人は変わっていった。
白湯は城山のサポートから家の仕事も無難にこなすようになり、家庭的な女性になり
城山は心なしか冷たい印象が薄れ、温かく人間味のある人間へと変化していった。
そして月日は巡り、5ヶ月後。
「きゃあ」
「白湯、おいおい。大丈夫か?」
「ええ、ちょっとつまづいただけ」
「まったく、しっかりしろよ。……もう一人の体じゃないんだからな」
「うん、……わかってる」
白湯は優しい目で己の腹を優しく撫ぜると、左手の薬指にはめてある綺麗な指輪がキラリと光った。
そしてそれから4ヶ月後。
「お、動いた動いた」
「ふふふ、パパに挨拶したんだもんねー」
すっかり大きくなった白湯のお腹に耳を当てる城山。
「この子、女の子か?それとも男の子か?」
「気になるなら、検査かければいいじゃない」
「それは母親としての勘でだな」
「えー、うーん女の子……かな?」
「そっか、じゃあ次に出来る子どもは男の子か」
クスクスとお互い笑い合うと、口を寄せ合い軽く口付けた。
その時、私を忘れるなといわんかのようにまたお腹の子どもが動いた。
さらにそれから5ヶ月がたった。
「あーう」
「おおっと、はいはい。ママのところでちゅねー」
白湯の勘が当たったのか無事女の子を出産した。
「んんー、ご飯?ご飯だねーちょっとまってね」
白湯はブラウスのボタンを開けるとブラをずらして片方だけ胸をはだけた。
「うーん、やっぱり子どもできると胸が大きくなるっての本当なんだな」
「ひゃぅ、ちょっと待って。揚羽にご飯あげなきゃ。ひゃん」
「おお、揉んだら出てきたぞ」
「あ、ん、ちょっと、待てっていってんだろぉぉぉぉ」
「ごふっ」
「あーあーあー」
「ああ、ごめんねー揚羽ちゃん。揚羽ちゃんのご飯盗もうとした馬鹿に制裁加えてあげたからねー」
「肘と…膝…(ガクッ)」
娘に乳を与えながら白湯は今の愛する夫と娘に囲まれる日常の幸福感をかみ締める。
こういう時、白湯は密かに思う「この幸せがいつまでも続くといいな。」と。