プロローグ

「ふぅあぁ・・・げっ、今日はアレの日か」
ショーツに付いた10円玉サイズの赤い染みを見てアリナが呟いた。
「といっても、超軽そうだから問題ないね」
そう言ってショーツを放り投げて服を着、部屋を出る彼女の腹は
あの日から一週間で子宮内を満たす程度に成長した、それがいた。

「で、経過は順調ですか奥さん」
アリナはそう言うと、ジト目でミーナの腹を見つめた。
「とても順調です、胸も大きくなったんですよ」
そう言ってミーナはBになった胸を指差し、妊娠5ヶ月目大の腹を揺らした。
「さて、今日の依頼について説明しますね」
そう言うと、ミーナは気だるそうに資料を取り出してカウンターに並べた。
「何々・・・アリィの巣を退治だと!?」
資料を一瞥したアリナは、驚いてミーナに問いただした。

アリィ
働きアリィ1m、兵隊2m、女王10mの社会性を持つ昆虫
働きアリィの戦闘能力は一般的な村の警備兵と同等のため
働きアリィ数十匹で、村は壊滅する
「アリィィィイイイイイイイイイイイ!!!」と誰かの叫び声が聞こえたらパニックが起きる
女性を繁殖に使う事もある模様

「こんな危険な依頼どうして個人に回してくるんだよ!」
資料を指差して、アリナはミーナに問い詰めた。
「キャッスルドーザーのアリナさんには、丁度いいかと思いまして」
ミーナがにこやかに答えると、アリナは数年前の出来事を思い出した。

アリナがこの村にやってくる前の事。
王族関連の依頼をこなした後、王様に謁見し直々にお礼を賜る事となった。
しかしその王、謁見中アリナに触りまくりのトンでもないセクハラ王であった。
必死に絶えていたが、割れ目に指を突っ込もうとされたのでアリナの堪忍袋の緒が切れた。
近くにあった柱に、素手で渾身の右ストレートを叩き込んだのだが。

「それが大黒柱だったなんてなー・・・」
だるま落としのように吹き飛んだ、柱の中央部分をアリナは思い出す。
「結局半日後、城は倒壊して王は死亡、アリナさんはこの村へ逃亡でしたね
でも、今は賢王の善政が敷かれましたから良かったじゃないですか」
一点の曇りもなく微笑むミーナにアリナは眉を顰めた。
「・・・話を戻すが、私には無理じゃないか?」
「巣を壊せばいいんですよ。アリナさんならできます」
得意げに言うミーナに向かって反論しようとするが
「それだと穴を掘って出て・・・んぅ・・・」
腹の中の欲求に、アリナは反論をやめる。
「アリナさん、どうかしましたか?」
「いや、ヤりがいあるから、やってみてもいいかなと思っただけ」
ミーナの心配そうな目をよそに、アリナは会話を打ち切った。

「アリィなんて叫ぶ暇もなかったかな」
アリナの目の前には、アリィに蹂躙されたと思しき村があった。
「・・・全員頭を一突きか・・・ん?これは人形?」
彼女の足元には、子供が喜びそうなかわいいお姫様と勇猛そうな騎士の人形がある。
「・・・子供の死体は無いな、攫われたか」
彼女が見渡す中には、それぞれ違う香りのする、いろいろな粘液が散見された
「すー・・・なんかこう、クラクラするな」
彼女はそう口にすると、股間からはみ出して嗅いでいるそれに気付かず
村への侵入口と見られる巣穴に近づいた。

巣穴の中は集団で来られるほどの太さである。
「おやおや、量産品が来なすった」
六つの足のうち、前二つが先のとがったスコップになっているのが働きアリィである。
十数匹が相対し、彼女は身構えたが
「さあて、一週間ぶりのストレス解消・・・んあぁっ!」
下腹部の強烈な感覚に身悶えた。
「あひっ・・・こんな時に・・・一体何!」
股間と肛門からは透明な液体があふれ出し、開かれた両足の間にたれ落ちる。
外敵の異変を察知し、働きアリィ達が彼女へ詰め寄るが、程なくして足を止めた。
「んぁ、腹がジンジンして・・・尻が燃えるぅ!」
彼女が腰を折り曲げると、腰布が肌蹴て脇に落ちた。
「どんどん溢れる・・・えっ・・・尻に硬いの!?」
肛門の感覚に、彼女は一週間ほど来てない便通のことを思い出す。
「なっ・・・あたしは・・・そん・・・な・・・んんぅ!」
彼女の言葉を遮るように、紫色の物が肛門から微かに覗く。
「しゅ・・・み・・・なん・・・てぇえ、出るぅ!」
肛門からそれが排出され、硬質な音が響いた。
「はぁっ・・・はぁ・・・えっ、何?」
彼女が振り返った足元には、紫色でラグビーボール型
直径3cm、長さ5cmの楕円体が転がっていた。
働きアリィはそれを嗅ぐと、元来た道へ帰っていった。
「この玉がどうしたって・・・ん・・・この匂いは」
彼女は村を見たときに嗅いだ、慣れぬ香りを思い出した。
「なんでこんな事に・・・あの香りを嗅いだせいかな?」
真の理由を知らぬまま、彼女は腰布を巻いて奥へと進んだ。