登場人物
俺、「清(せい)ちゃん」姓は篠原。
従姉、真柴由美、俺より1歳上。
野島麻美子、俺より2年下の後輩。
叔母、真柴姓のはず。
叔父、真柴姓のはず。
雅也、高校時代俺の同級生でライバル。俺も雅也もエースにはなれなかった。

「ヘタレ」それは俺のためにある言葉なんじゃないかと思う。
受験シーズンも半ばを過ぎ、あと、本命の大学の二次試験を
残すのみとなった毎日。本番対策で朝はおはスタに間に合う
ように起き、叔母さんが作ってくれた朝飯を食い、試験場ま
での移動をシミュレーションするつもりで散歩し、時間がく
ればストップウォッチで時間を計りながら過去問を解く。
試験当日に実力を出し切るためにリズムを体に叩き込むだけ
の毎日。つい2週間前の煩悩なんか忘れたようにひたすら、
同じリズムを刻む。
さすがの従姉も、奔放な大学生活の影やおこぼれやざままま
ざざなものを俺が借りている部屋や行き来する領域に侵略さ
せようとはしない。もっとももう期末試験も済んでて、お出
かけに忙しいのかもしれないが、今の俺にそれに注意を払う
余裕はない。ただ、やりきった一日のスケジュールの最後に
面影をおかずに使わせてもらうだけだ。だってな、いくら、
テニスサークルでもいまどきワンピのユニフォームをそろえ
て家で試着するなんてされたら、・・・・ストライク過ぎる。

3年の時の国体予選敗退を最後に、引退したテニス部で、従姉
の由美姉は、一年先輩だった。両親が海外赴任している今、下
宿させてくれているこのうちは、叔父・叔母・由美姉の三人家
族に居候の俺、猫のポンタというメンバーだった。なんでも気
ままにしているように見えて実は計画的で緻密で志望大学にも
現役で合格。母校のテニス部でもこの何年か無かった成績を挙
げていて、クラスメイトの前でも、教師にも、のほほんとして
いるように見えて、「スーパーウーマン」的に活躍する姿に、
「陰でガリかよ」っていぶかしむ連中もいた。下宿して一つ屋
根の下になるまでは、もちろん小さい時から知っていて好意が
ベースにある俺でさえ、「よっぽど人の見てない時に努力して
いるんだろうなあ」と思っていた。
もちろん小さい時は単純にあこがれていた。小学校の高学年か
ら目立つつややかな髪、どっちかというと目がぱっちりした美
人顔、ハードトレーニングでしぼっていても柔らかそうな身体。
そこそこあって、高2くらいまでは、友達からもうらやましが
られていた胸。でも、鍛えてあるだけあって太ももはごつかっ
たが。

でもな、受験真っ最中のバレンタインデーにはありゃないよな。
いや、義理チョコくらいくれたよ。どこかの姉ちゃんみたいに
照れて照れすぎてデレてしまうなんてことはないけど。
俺だってプライドはある。どんなに素敵な従姉だからといって、
身内だから、子分だから、幼なじみだから、かまってくれたり、
つきあってくれたりしたら、小さいときでそれが必要な時なら
いいが、浪人生にもなって、ベタに甘えるわけにも行かないじ
ゃないか。股間にも沽券にもかかわるというものだ。
レギュラーになったりはずれたりしながら、ナンバー2の地位
をライバルの雅也と競ってきたが、それなりに、面倒見とアド
バイスで後輩への人望はあると思ってた。特に2年下の女子、
麻美子は、俺のアドバイスから、さらにまたもっと上のヒント
を引き出してぐんぐん伸びて、今やキャプテンをつとめている。
その麻美子が、明らかにキョドってこの真柴家の玄関の前で、
ウロウロしてたんだが、ウァレンティーヌスの御名の日にな。
てっきりもらえるものと思っていたものを肩すかしされるのは
つらい。二浪するかと思った。なんと麻美子は、由美姉に告り
に来たのだった・・・・。無頓着でいいと一旦決め込んだら、
とことん無頓着な由美姉は、メールで来ることを知っていたは
ずなのに、忘れて部屋にいた。


麻美子は、かわいい。人は、求められる地位についたらそれ
なりの役割に応じた貫禄がついてくる。貫禄が「頼りがい」
という形でついてきた麻美子は、誰にも一目おかれるキャプ
テンになった。脱色したわけでもないのに天然で、やや栗色
よりさらに薄い色のふわふわの髪が肩にかかる。運動する時
は無造作に束ねるか、気が向いたらポニテにしていることも
ある。いちずで真摯な目。そのまなざしがこちらを見ている
時には、覚悟の不足を見透かされるような気さえする。
そんな麻美子の心が、一緒に住むと分かったのだが、よく言
って「のほほん」悪くいえば「ずぼら」な由美姉に、どうや
ってかっさらわれたか、俺の方が聞きたいくらいだ。関係者
の資格は十分にあると思う。
「せ、先輩。し、失礼しました。篠原先輩は、真柴先輩のお
宅に下宿していらっしておいでなんですね。」とあわてて持
っていた何かを背中に回して後ろ手で持って聞き返す。
「野島は、あ、由美姉のところに来たのか。待ってな。」
肩すかしを食わされた感と頭の中に渦巻く???のマークの嵐
のまま、予備にいったら「ありがと」と短く階段をだだだだ
降りてゆく由美姉の足音に、俺って二人には要らねーんだな、
と再確認した。



一度は豪邸に住んでみたいものだ。しかし、三千院家でも、
由緒ある貴族の末裔でもなんでもない一般庶民の家庭では、
同居人の物音が脳にインプットされないようにシャットダウ
ンすることは至難のわざだ。
自分の部屋で本業を再開した俺の脳も、例に漏れず、最初は
ボソボソ低い声や、きっぱりした声で会話して・・・内容ま
ではわからないが、二人の人格が押し相撲している雰囲気が
ひたひたと伝わっていた。そしてがたんという物音。そして
野良猫の春先のような声が出てしまわないように押さえたよ
うな声とミルクを舐めるような音・・・・舐めるような音は
俺の妄想だったかもしれない。
たまらず、自己主張をして止まない股間の同志を、束縛から
解放すべく、下半身裸になって御自愛初めてしまった。もち
ろん、肩すかしくらった麻美子ではなく、由美姉がおかずで。
それに由美姉をおかずにするの慣れてるし。
妄想の由美姉は、「清ちゃん、知ってる?こうなってるの」
と、テニスサークルの水色とオフホワイトのストライプのワ
ンピースのユニフォームで、あお向けに寝ている俺をまたい
で立って見下ろして、ユニフォームの裾の縫い目を裏返して
見せる。でも、アンスコどころかノーパンだ。妄想だから。
この年にしてまだ、女性の大陰唇の間がどうなっているか、
見たことはない。二次試験に出るなら今からでも勉強したい
くらいだ。妄想の由美姉は、現実よりもツンデレだ。
「せ、清ちゃんにしてあげるんじゃないのよ。わたしが気持
ちよくなるのに使ってあげるだけ。」
そして、ワンピースの裾をからげもせず、グラインドに邪魔
なのに脚に裾を引っかけながら、俺の自己主張するモノに手
を添え、軸を固定し、本当のところどうなのかは知らないが、
熱くてぬるぬるで締めつけるところに納めて、腰を落とし、
上下や回転・・・・するんだろ?
妄想の由美姉は、適度な胸を揺らしながら、眉根を寄せて、
鼻息をこらえて漏れて、栗のつけ根を俺が机の角であるかの
ようにぐりぐり押しつけて、恥骨結合の激突・・・って本当か?
もちろん妄想中の俺は、妄想の由美姉にバイブ扱いされて、
しごき締められてあえなく・・・

 自分の腹を拭くってむなしいよな。


「あ」と「え」の間のような息が、鼻声でもれるような、そ
れが、寄せては返す波のような、何かをこらえる努力が間歇
的にとぎれるような、女の人のあえぎ声のような物音がかす
かに聞こえる気がする。廊下に並んで壁一つ隔てた隣の由美
姉の部屋。それが、チョコを持ってきてくれた後輩へのもて
なしなのか、くりかえしくりかえしうねって盛り上がっては、
澄んだ音色のフレーズに戻るピアノソロのCDのミニコンポ
の音が前面に、俺に対するカモフラージュかもしれんがなり
続けている。1つのパートが長い、俺も知っているジャズピ
アノの曲だ。いらいらする。何やってんだ。俺には想像もつ
かない感覚、想像もつかない心のつながり、想像もつかない
よろこび・・・快活な由美姉、一途で真摯な麻美子が二人で
一体、どんなことやってるんだ。俺だって、誰かと、誰かと
一緒になりたいよ。魂を溶け合わせたいよ。誰かってところ
で既に負けているのは、よく、わかっては、いるんだが、な。

心の渇きに負けて、壁に耳を押し当ててみる。声以外に聞こ
えるのは、ピアノの音、ベッドのきしみ、そしてクッション
だか布団だかの衣擦れの音。ゆれるようなことをしている、
としかわからない。しかし物音をさせると気づかれるかもし
れない。聞こえてもいいと思っているのかもしれないが、さ
すがに邪魔が入ると止めるだろう。くそ。音を立てて止めさ
せてやろうか。サカっている猫に水掛けるようなものだし。
でも、俺、由美姉も麻美子も。

 好き。

だし。いや、少なくとも、好意は持ってるつもりだし。もう、
何が恋なのか愛なのかなんて、こんなときにわかりっこない
けど、好きな女が思いどおりにならない時に殺してしまうよ
うな男にだけはなりたくない、と前から思っていたし。
できるだけ静かに壁から離れ、そうっと自分の部屋の廊下側
の引き戸を開けて、廊下をしのび足で、気配をうかがいに由
美姉の部屋の戸の前までじりじりと進んで行った。

引き戸って、注意深く閉めないと、他に大事なことがあった
り、心を大きく占める微妙な気持ちがあったら、ぴったりと
は閉まらないものだ。隙間からのぞく由美姉の部屋は、案外
そっけない。ベッドの木枠の端に立っている柱の上の端には
手編みの毛糸のカバーが被っていて、掛け布団とベッドカバ
ーの他にクッションがごろごろしている程度のもので、いろ
んな女の子の部屋に入った経験があるわけではないが、雑誌
やテレビにでてくるようなピンクピンクしたもやがかかった
ような部屋ではない。クッションに埋もれるように手前を頭
にして仰向けに由美姉が寝ていて、さっき着ていた無地のあ
っさりしたフリースの膝上丈ワンピースに黒の長スパッツ、
ふくらはぎに重ねて水色と青の縞模様のソックス。どうなっ
てるんだ、右膝が麻美子の左太ももの上に重なって細かい動
きを飽きもせず続けている。たくましくボリュームがある由
美姉の太ももが薄手の伸縮素材のスパッツで包まれて力が入
っては緩み、筋肉の動きから溢れんばかりの情熱と精力が感
じとれる。手前のクッションからは、あふれた黒髪が徐々に
ばらけて広がって来ている。

癖っ毛の幾筋かが汗でくっついた、麻美子の色白の額、眉の
付け根が狭まり縦皺が寄っている。凄まじいばかりの集中力、
どこかにたどり着きたい意志がこめられた表情は冴えた美し
さに満ちていた。この家に来たときのコート姿の下に着てい
たのは、めいっぱいおしゃれしたんだろう、シルバーグレー
のざっくりしたセーターワンピース。ゆったりU字の胸元に
ネックレスが見え、上気してか赤みのさした素肌の下に乳房
の上の裾野のカーブが重力で変形しつづけ、今までにみた数
少ないアダルトビデオやグランドスラムに出ている超人気美
人テニスプレーヤーの誰よりも魅力的な胸の揺れに目が釘付
けになる。
息を吸って吐く。吸って吐く。粗い息。意外にも、うなり声
の方は由美姉だ。主導権を麻美子が握っているなんて、普段
の糞真面目さからは予想もつかなかった。ここ一番の重要な
ゲームを落としたくない時のような目をして、由美姉のお腹
の方をじっとみているようだ。お端折りのようにたくし上げ
たニットのワンピースの裾から柔らかな白い下腹部。そして
チラッと見える光沢あるパールホワイトのパンティがまぶしい。

女の人、いや、女の子ってずるい。あんなにきれいで、かわ
いく、真面目だったり親しみやすかったりしている癖に、誰
でも薄っぺらい何枚かの布の内側に、想像もつかない猥褻で
ややこしいものを隠しているなんて。昔なんかの課題図書か
なんかで読んだ小説で書いてあった。読んだ時は、全くそう
だよって思った。50年も前の小説家だって、思ってたんだか
ら、俺がそう思ったって、悪かないだろ?
 小説なんだから、登場人物が思ったことで、小説家が思っ
たことじゃないだろって?
 絶対作者自身ずっとそう思っていたから、登場人物に考え
させたんだよ。
どうなってるんだろう。由美姉の黒スパッツの左太ももを跨
ぐ格好の、麻美子の右太ももが白い。由美姉の股間にもぐり
こんでいるというか、あたっているというか、密着したりず
れたり勤勉に熱心に両足の付け根の間が当たっているように
見える。机の角ってやつ?それの二人版?でも想像していた
よりも遙かに複雑な動きだ。両足の太ももの内側の筋肉がピ
ンと張っていて段のようになっている。まんこって、あの段
よりも上にあるのか?下に向いた面についているのか?教え
てくれ!

ちらっとヘソが見えた。腰の下半分を前に持ち上げ、下に向
いた面で由美姉の両足の付け根の向こう側をこすりあげるよ
うに、何かを受けにくるような動き。何度か繰り返して今度
は麻美子の両ももで由美姉の左太ももをじっとはさんで締め
るような動き。ダイナミック。スペクタクル。映画の宣伝の
ような言葉が頭をよぎる。なんだこりゃ。こんなところを生
で見るなんて。
でもあのまんこ、俺んじゃねえ。二浪したら、てめえらのせ
いだぞ。しかも大事なところは、隠れて見えない。パンツ脱
げ。脱いでもらってもいいかな。脱いでくれない?お願いパ
ンツ脱いで下さい。太ももをはさんだり開いたり閉じたりす
る動きのせいもあるが、麻美子の大事なところは、俺の目線
よりも、由美姉のスパッツの盛り上がっているところの方に、
興味があるから、俺からは見える向きにはなってはくれない。
きっと、クリトリスってあのあたりなんだろうな。よく書い
てあったり言ったりする「しみ」とか「濡れてる」とかが、
あそこに生で動いていて、あるんだよな。
くそ、だけどあれは、あそこにある、あれは、俺んじゃねえ。
愛でさえも。

上品なセーターで包まれた、積極的に自己主張する気に満ち
た麻美子の胸。いや、乳。腰の動きでいろいろな向きに揺れ
る。ときどきたくし上げたセーターワンピースの裾をたくし
あげなおして、休まずたゆまず動く。いつの間にか、また、
由美姉は、鼻からふーんっ、とか、口からあーんっ、とか、
さっきより長く音を出しながら、全身を緊張させている。緊
張させては緩むリズムが、俺の知らない快感を表しているか
のようだ。麻美子の手を恋人つなぎというかつかみ合いとい
うか指と指の間に指を入れながら押し合ってみたりしている。
ひときわ由美姉の頭がクッションに沈んだかと思ったら、う
ならなくなった。右手で由美姉の左手を押すようにつきはな
した麻美子は、両手を自分の首の後ろにまわしてネックレス
をはずす。後ろでにサイドボードにネックレスを置いたと思
うと、襟を両手でつかみ、すぽーんとセーターワンピースを
脱ぐ。まとわりつくオフホワイトのスリップ。ストラップを
はずしてどう脱ぐのかと思ったら、裾から輪のようにつかん
で片方ずつ肩を抜いて、今度は背中に手をまわしてパールホ
ワイトのレースの目立つブラジャーをはずし、上半身裸にな
って、一瞬顔を見上げてこっちを見た、かもしれない。
しっかりした骨格に小ぶりの乳房。向かって右の乳首にふわ
ふわ毛が1本。乳首が目立つ。乳首ってあんなだっけ?

かすかに汗がついたスレンダーな裸体、玉のような肌ってあ
んな感じ?由美姉の上半身を見たことがないわけじゃないが、
いつも夏だったから、日焼けしてたんだよね。あんなに白い
胸、これまで人生生きてきてはじめて見た。いや、母のは見
ていたかも知れないが。
小ぶりの胸を大きく見せる、腕立て伏せのような角度で、由
美姉に覆いかぶさる麻美子、耳元で何か言ってる。完全にか
ぶさってしまった。下から麻美子の裸の背に廻って抱きしめ
る由美姉の手。ゆっくりと撫でている。
もっと見ていたいけど、こっち見たとすれば、覗きしてると
思われたかもしれない。軽蔑するだろうか。それより、あん
なにいとおしんでいるって手、見てるだけで切なくなっちゃ
う。それに俺の脚の付け根だって生きている。戸の隙間に差
し込んでやろうか。あんなに踊り跳ねていた麻美子の腰にあ
るはずのまんこ。俺のウィンナーの出番がもしもあるならば、
どこにどうはまるんだろう。いちいち全ての攻撃を受けきっ
ていた由美姉のスパッツの中のまんこ。麻美子の位置に俺が
いたとして、俺のサナギマンを迎えうつときはどう包み込む
のだろう。

 やっぱり俺は一介のヘタレだ。ひょっとしたら、一生一ヘ
タレの道を究める定めかもしれない。
「乱入」、その単語は十何分か前から俺の辞書からは消えて
しまっていた。せめて音を立てないように、右手であやしな
がら、自分の部屋に戻って、その日は夕ご飯まで自分の布団
の中で、八ヶ岳単独登山に旅立った。
 それが、義理チョコ一個はもらえた(あとで累積三個には
なったが)俺の19歳のバレンタインデーだった。浪人だか
ら元の同級生たちとこの時期逢う機会ないし。予備校仲間で
義理チョコくれそうな娘とは受験校違うから遇わないし。

 えっ?もちろん今宵はこれまでだよ。篠原清一の輝かしい
ソロ活動の話聞きたい人、居る?



なんとか浪人生活は一年で終われそうだ。合格発表の日、
帰国できない両親に代わって叔母叔父夫婦と従姉の由美姉
で祝賀宴会をしてくれた。ビールやチューハイ、日本酒・
ワインにホームカラオケまで飛び出す大宴会になった。
お世話になるだけじゃなく、みんな受験生の俺に気を使っ
てくれてたんだなって思った。飲みつぶれた叔父が先に叔
母に介抱されて寝室に連れていかれ、俺も叔母と従姉に二
人掛かりで階段昇らされたような記憶が途切れ途切れに・
・・
あれ、ここどこだ?天井違う。あ、由美姉の部屋?もう昼
間の光りだ。掛け毛布に透き間風が入って下半身がスース
ーする。
「おい、ナニやってんだ由美姉!」
「ごめんなさい、篠原先輩。野島です。」
えっと、朝立ち握ってない?

「先輩、合格おめでとうございます。」
「あ、あ、さんきゅ。でも何してんの?」
「真柴先輩にバレンタインデーのお返しのプレゼント上げ
るっていわれまして。」
「ああ、それでこの家に呼ばれたのか、お〜い、由美姉〜
なんだよ〜」
「大きな声出さないでください。由美先輩は、外に出てら
して、部屋に私達二人だけにしてくださって。階下(した)
にお母様がいらしてます。」
「で、野島はプレゼントもらったの?もらわずに何してん
の?」
「篠原先輩が、プレゼントなんだそうです。私のリハビリ
だと思うんですけど。」
「リハビリってなんだよ。それに『カミナガさんは物じゃ
ありませんっ』ってんじゃないのか?一般的な乙女はよ。」


「すみません、私一般的じゃないみたいです。だから真柴
先輩は篠原先輩をプレゼントに下さったのかも」
「てっきり野島と由美姉はつきあってんのかと思ってたよ。
幻滅したな、野島が男のナニをしごきながらこんな微妙な
会話を平然とできるやつだったとは。」
「ごめんなさい、つい昔の癖で。でも任せてくださいね。
大丈夫ですから。きっと先輩には御満足いただけるように
しますから。こう小指側でつけ根を握り締めながら、親指
と人差し指でくりくりっと皮を剥いては着せたら、これで、
いいですか?」
そういえば身体が不自由だと思ってたが、手をベッドの支
柱に縛られていた。由美姉のしわざなんだろうが、笑いも
しない真面目な表情の麻美子がちょっと怖い。麻美子は毛
布をはがすと、
「先輩失礼します。毛布は取るけどすぐ暖かくしますから。」
ジャンパースカートの制服姿で胸のタイを揺らしながら俺
の身体を膝つきでまたいで来た。

「失礼します。せっかくのプレゼントだからいただきます
ね。それに、これは私から篠原先輩への合格祝いを兼ねる
ってことで、許してくださいね。」
プリーツを持ち上げるとブラウスの裾が見える。でもパン
ツはいてない。
「ちょっと恥ずかしいですが、準備しますね。巻き込まれ
ないように。」
髪の毛と同じ淡い色の毛をなでるように左の指でラビアを
さするように、人差し指と中指で、開くというよりは、大
陰唇を斜め外の上側に引っ張りあげるようにして固定した。
「これが私です。私の本質。お気に召しまして?」
右手で固いところを脚の方に押し下げて軸を合わせる動作
は手慣れたものだ。制服姿を見てさらにぎんぎんに固くな
っていたので、そうされると痛い。
ずっともう一方の手でメンテしてたのか、ずるずるしたた
る入り口の粘膜で俺の先端がこすられる。19年生きて来て、
ついに失うのか。それも「愛」とちょっと違う動機で。

慎重に味見するようなこすり方。粘膜と粘膜の接触って、
思わずぴくぴくする。キスもまだなのに。
「やめろ、野島。俺のこと、どう思ってるんだ。」
「好きですよ。」
「それ、違うだろ。」
「すみません。でも、先輩のコレが私には必要なんです。
今、真柴先輩の処方箋の意味が分かりました。いただきま
すね。」
わっかが広がりすぼまりしながら飲み込んでゆく感じがた
まらない。
「あ。は。入って来ます。篠原先輩が私の中に。」
あああ、俺の身体のどこかが勝手に気持ちいいらしい・・
「これが膣の中なんですよ。『これが女よ』といいたいと
ころだけど、誰でもそうなのかは・・・わかりません。」
じれったくなって腰がもぞもぞするのが人ごとのようだ。
ま●こが、いとしくも思っていたかわいい後輩のま●こが、
空から降ってきてはまっているのに、ち●こになりきれな
い自分が分離する。

弾力とぬめり、脚のつけ根にスカートの風と麻美子の太も
もの熱が感じる。熱くすぐ冷える滴りが俺の陰毛を濡らす。
すーすー感と密着感。そして、意思のこもった恥骨結合の
骨。こすりつける強烈な意思。
「これが気持ちいいんです。私のクリトリス当ててます。」
グラインド。ピストン。前後運動のためにウレタンのよう
な弾力で頭側と脚側に角度を強制的に変えられる陰茎。ま
さに茎になった感じ。
「はっはっはっはっ、んんんっ」
このモノ扱いされている感じと夢にみたセックスをしてい
るという事実のギャップが、背筋に戦慄を走らせる。俺、
今、開発されてるんだよな。
「あ」「ふん」息が荒い。腰の動きの激しさに応じて、筋
トレしている時のような荒い鼻息を吐く麻美子。ぜん動の
ようなとらえづらい括約筋の動き、そしてち●この手前の
面をこすりつけるざらざら。すごいぞ鞘娘。

だんだん眉を寄せる麻美子、堪えられなくてくわえていた
制服の裾を離してしまう。俺のを飲みこんでいる麻美子自
身が見えなくなった。スカートの裾がすこし邪魔だが無頓
着に動きつづける麻美子の腰、上下上下上下上下前後前後
回転くちゅくちゅ。密着させたい。一つになりたい。
「あは、あは、は、いい、気持ちいいですよ。」
麻美子の心がどこにあるかわからないけど、せめて性器だ
けはぎゅっとくっつけたい・・・押しつけるように自動的
に腰をもちあげていたが、協調しない麻美子の股。
器用だ。なぜ抜けないのか不思議なくらい。だんだん俺の
肛門の内側くらいの筋肉が一定のリズムで、収縮して緊張
がゆるむ運動を勝手に繰り返す。ああ、チカラが入ってし
まう。
「野島、もうだめだ。出るから離れろ」
「いいんです。危険日じゃ、あは、ありませんから。下さ
い。私がもらったん、です、から、先輩のはじめては。」

「あああーっ」
中に出してしまった。けいれんを感じたのか、精液を感じ
たのか俺に制服の胸のままおおいかぶさってきた麻美子が、
はじめて、俺の口にキスをした。
ジャンパースカートの制服の胸の部分とスカーフのように
布たっぷりのちょう結びのタイが、トレーナー一枚だけの
俺の首もとに当る。
「ごちそうさまでした。先輩。合格おめでとうございます。」
ついばみキス。ほお。鼻。唇。それって愛?
しかも抜けてないち●こをきゅっとしめる。
「こんど尾道につれてって下さいね、先輩」
なんのつもりだよ。『やっぱりキスはだめ』じゃないのか
よ。
何か反撃したくてこういった。
「有明につれてって、やるよ」


補足