←そんなことよりミスラとマン参上!
「ようよう。んなつれない事言わねーで、俺達と一緒にミッションやろうぜ?」
サンドリア訛り丸出しで、なれなれしく話しかけながら、隣に座ったその若いエルヴァーンの男は、同じく若いエルヴァーンで女性のアリーの腰に手をまわしてきた。
確か、ロアクとかいう名だったか。親が名門貴族であるというだけで、騎士見習いの座に着いたは良いが。
肝心の剣の腕前や、普段の素行が悪く、いつもチンピラのような集団を連れて歩き回ってるロクでもない男だった。
アリーは、ロアク本人の会話は、左から右へと聞き流しながら、深紅の赤毛を、指でクルクル巻きながらそんなことを考えていた。
ロアクはアリーが黙っているのをいいことに、にやにやと笑いながら、彼女を何とか今度の騎士昇進試験のメンバーにくわえようと、俺と付き合っておくと後々美味しい目が見られるぜ、とか
なんなら、親にお前の推薦文を描いてもいい等と、買収半分、口説き半分で話しかけてきているのだ。
アリーの剣の腕前が、大勢いる見習いの中でも、傑出したものである為、PTに迎えることが出来れば、今度の昇進試験の課題であるオーク狩りも楽になるであろうという算段だった。
アリーは子供の頃からよく目立つ子だった。
赤い髪の毛の女の子が、男の子に混ざって引けを取らずに野山を駆け回りもすれば目立ちもするだろうが。
大人達は、なに、子供は男女の区別無く遊べる時代があるものさ、とアリーがスカートをたくし上げるのを注意しなかったのである。
やがて少女は、少年達より先に大人になり、野山を駆けるのを止め、自分の内なる魅力に気づいていく、というのが大人達の見解だった。
しかし、彼女は自分の魅力に気づきつつも、野山を駆け回るのを止めなかったのである。
猛々しく大地を駆け回り、そして銀月のごとき美しさで皆を魅了しながらも、ついには故郷を飛び出して、冒険者となったのである。
彼女は、誰にも依らずたった一人で生きていく強さと魅力を兼ね備えた、戦乙女の生まれ変わりのごときエルヴァーンだったのである。
そんな彼女は、エルヴァーンの王国であるサンドリアに来て、生まれて初めての恋をした。
ただ、相手はエルヴァーンでもヒュームでもましてやガルカでもなかった。
それは、ナイトである。
弱気を助け、悪しきを払い、鋼鉄に身を包んだ、厳然たる秩序の守り手。
彼女はナイトの存在そのものに憧れた。これこそが私の選ぶ道だと思った。
また、かの有名なクリルラ将軍も、彼女がナイトに惚れる原因の一つとなった。
女の身で一軍の将であり、彼女と同じ、赤毛のエルヴァーン。
いつか彼女に肩を並べる日を夢見て、彼女は騎士へ至る長い道のりを歩き始めたのだった。
いつの間にか、騎士見習い達の集まった食堂中が静かになっていた。普段は若い連中が、雑然と食事や会話に花を咲かせる場であったのだが。嫌われ者のロアクに誘われる優等生のアリーという構図が目を引いたのだ。
食堂の皆は、関心のないそぶりをしながらも、二人の会話に聞き入っていた。
もっとも、アリーにてんで脈が無いのは周りから見ても明らかだった。声高に話しかけているのは専らロアクである。
アリーは退屈げに、サンドリアカロットとネムリタケのバターソテーを口に放ってはむぐむぐと飲み込み、時折、食事中だというのに髪の毛をいじっている。彼女の悪癖のひとつだ。
隣のロアクが目に映ってもいない様子である。
「……で、どうよ?」
ロアクの勧誘が一方的に終わり、アリーの返答を促した。いつのまにかロアクの手は太股にまで伸びている。
「断る」
端正なアリーの口から出たのは、そっけない一言であった。
実は、彼女にとってはオーク狩りなどはものの数ではない。既に生まれ故郷からサンドリアへと出るまでの冒険の日々に、嫌という程の数のオークを打ち倒してきていた。
今度の昇進試験で出される課題なぞは、家を飛び出てきたために、誰にも頼れないアリーが日々の小遣い稼ぎにやっているような事と大差はなかったのだった。
ふと、アリーが顔を上げると、ロアクはまさか断られると思っていなかったのか、驚いたような表情をしていた。
「てめぇ、アンナマリー! どういう事だ!?」
不意に怒り出し、ロアクはアリーに食って掛かった。
その怒りの為に歪んだ表情は、容姿の美しさでもって他種族に知られるエルヴァーンとしても、伝統ある騎士としても似つかわしくないな。とアリーは思った。
「その名前で呼ぶな、ロアク・ユピレイド」
本名で呼ばれるのを好まないアリーは、ワザと相手の家名を混じえてロアクを呼び返す。
ユピレイド家は、代々続く騎士の名門である。先代も、数多もの手柄を戦場で上げ、その名声や政治力は大きく、サンドリアの若き執政官としても知られるトリオン、ピエージュ両王子からも信頼されているほどだった。
常日頃、ロアクはこの名前を出して、虎の威を狩るなんとやらで、好き放題やってきている。
アリーはそれを別にどうとは思っていない。他人には関心がなかった。自分が騎士になること以外はどうでもいいのだ。
だからワザと名前を呼んでやり、お前の身分は重々承知だ、と暗に示しているつもりだった。
幸い、お世辞にも愛想がいいとは言えないが、容姿端麗で剣にも強く、色々な冒険を積んできたアリーは騎士見習いの仲間達に好かれた。
みんながアリーの実践的で経験豊富な話を聞きたがった。家柄も庶民の出身であるために、変な差別意識もなく、誰とでも気が向いたらアリーは色々と自分の体験を話してやるのだった。
そんなアリーが、ミッションに誘われたのも、一度や二度ではない。
実はロアクの前にも何人かに、今回のミッションの協力を頼まれていた。ただ、ロアクと違って、皆、人のいないところで誘っていただけである。
ロアクは、皆の前でアリーを誘った。断られることはないだろうと思っての事である。皆の前で人気者のアリーにOKを貰い、自己顕示欲を満足させたかったのである。
だが、アリーは全部素っ気なく断った。自分一人でも出来るのに、何で手を組まねばいけないのか、が彼女の持論だったからだ。
「気を悪くするな、私は誰とも組む気が無いだけだ」
「そういうことじゃねぇんだ! この俺の誘いを断るのか!」
「リキシントンや、ヒリエッタの誘いも断っている。お前だけでは無い」
「そいつらと俺が一緒だっていうのか!」
落ち着いた口調でアリーは返答するが、格下と自分では思っている相手と同じにあしらわれ、舐められたと取ったロアクは更に激高する。
何がなんとしてもここでアリーを口説き落とさねば、自分の権威が失墜する、とでも思っているのだろう。アリーにとっては、はた迷惑なことだ。
アリーはこの場を引き上げる事にした。
もう食事は終わっている。自室まで行けばロアクも追ってこないだろうと思ってのことだ。
ロアクが何事かわめき立てているが、アリーは平然と無視して自分のトレイを片づけると、食堂から出て行こうとした。
その肩を、後ろから迫ったロアクが掴む。
「待てよ、まだ話は終わっちゃいねぇ!」
「………」
ココに至って、さすがにアリーはウンザリしていた。持ち前の、行動に移してから考える性質が、彼女の身体を突き動かした。
振り向いたアリーの胸ぐらを掴もうと、数段身体の大きなロアクが手を胸元に伸ばしてくる。
その瞬間、ロアクは足を払われ、行き場を失った手が空を彷徨い、バランスを崩したエルヴァーンは地面に転がった。
「ぐぇ!?」
カエルのような悲鳴をあげ、ロアクが食堂の床に叩きつけられる。
わっ!
食堂にいた皆が、アリーの思いもかけない鮮やかな反撃に喝采をあげる。
ロアクの足を払ったアリーは「しつこい男は、嫌われるぞ」と、面白くもなさそうに言い放ち、足早に食堂を跡にした。
アリーがロアクの脅迫めいた勧誘に屈しなかったことが、食堂中の皆を沸かせた。
その歓声を背中に受けながら、今まで成り行きを見守っていた取り巻きに、助け起こされたロアクが呪いの言葉を投げかけてくるのを、アリーははっきり聞き取っていた。
かすかに笑みを浮かべて、髪の毛をいじると、アリーは自室へと階段を駆け上がっていった。
ミッション当日、アリーは軽装のスタデットベストとブロードソードだけを身につけて、夜も暗い内からたった一人でロンフォールへと向かっていた。
昔、単独で危険地帯を動くなら、ゴテゴテと重装備するよりは、音の立たない身軽な装備が良いと、古強者の冒険者に教えて貰っていたからだ。
朝靄の中のロンフォールを歩き続け、太陽がやっとロンフォールに連なる頂から顔を見せる頃、アリーの顔に緊張が走った。
遠くの方、針葉樹の木がまばらになった森の空間に、ある物を見つけたからだ。
木で作られた指物に、薄汚れた白い旗に、赤字の◎文字が踊るソレは、オークの支配地域であるという警告の印だった。
オークがサンドリアの西に作った前線基地。ゲルスバ野営陣が近いのだ。
じっとりと、アリーの手に緊張の汗が走る。
森の暗がりから、今にもオーク達がこちらを伺っているのではないかという、妙な妄想に捕らわれ、辺りを見回す。
アリーは心を引き締めて、装備をもう一度念入りにチェックしなおした。
ブロードソードを引き抜き、持ち手の皮をまき直す。予備の武器であるダガーも調べ、特に足回りのブーツや靴ひもに異常は無いかと、しつこいくらいに調べた。
それらの作業をしている内に、心が落ち着いていくのを感じる。懐かしい感じだった。
駆け出しの冒険者の頃、色々な先輩に教わった事を反芻し、アリーはそれを実行する。
泥を綺麗に手入れされた装備に擦りつけ、手鏡を取り出し、美しい顔と髪にも持ってきた黒炭を塗りつけた。森の中に溶け込むためだ。
騎士らしくは無いと思うが、誰も見てるわけでなし、アリーは鏡に映る自分の姿をみながら、これが自分の流儀だ、と思って笑った。生き延びてこその戦いである。
最後に、奮発して競売で買っておいた、ミスラ風山菜串焼きを一串食べた。
辛い味付けの風味に、アリーは全身の力が漲るのを感じた。冒険者の間でも、景気づけに食べられる強壮食だ。
アリーは目立たぬよう腰を落とすと、索敵しながら藪に入っていった。その姿はまるで野の獣のように俊敏で、隙がなかった。
数時間後、アリーはその手にオーキッシュアクスという俗称の、オークの好む武器をぶら下げながら森を歩いていた。
アリーは、やや疲労していたが、戦闘で手傷は負わなかった。
オーキッシュアクスには、元の持ち主の血がこびり付いていて、酷く臭った。だが、今回のミッションはこれを衛兵に渡さねばならないのである。
アリーはその臭いを我慢して、ロンフォールの森を進んでいった。サンドリアまでは遠いが、最早、危険は無いだろう。アリーはのんびりと道沿いに進んでいった。
リラックスしていると、色々な事が思い浮かんだ。
「そういえば」
オークの血の臭いに閉口しながら、ロアクも男の癖に、宮廷舞踏会に出てくる着飾った貴族の御婦人方のような、香水の臭いをまき散らしていたのを思い出した。
「臭いのはオークもロアクも一緒か」
森の中で一人ごち、アリーはくすくすと笑った。
あの日以来、ロアクとは会っていない。騎士見習同士の私闘は厳禁であるため、呼び出しを覚悟したが、遂にこなかった。
会わないならそれでいいし、会ったらその時考えよう、とアリーは決めていた。無頓着、ここに極まれり、である。
その時、アリーの足が止まった。道沿いに何か見えた気がする。
………?
暫く注視したが何も見つからず、気のせいだろうか、と思い、歩き出そうとした瞬間。
ブオンッ!!
烈風がアリーの首を掠めた。
殺気を感じたアリーが、咄嗟に横に飛んだのである。
道の脇の茂みから、片刃の斧が突き出され、その持ち主が姿を現す。
「ほう、今のをかわすか」
感心したような口調で、野太い声が辺りに響いた。
エルヴァーンであるアリーよりも、更に身の丈がある相手が目の前に現れた。
岩のような風貌、巨大な体躯、丸太のような手足、厳然とした目で睨んできた相手はガルカだった。
「何者だ!」
素早く身体に力を行き渡らせると、アリーは低く構えてブロードソードを抜いた。銀の瞳は、鋭く強襲者を睨み返す。
アリーの呼びかけにガルカは答えずに、更に踏み込んで来て、空も裂けよ、とばかりに巨大な斧を片手で振り回した。
かろうじてその斬撃をかわし、アリーは、全身からどっと汗が吹き出すのを感じた。
(このガルカ! 強い!)
「何故、私を襲う!」
相手に動揺を悟られぬように、怒気をこめて怒鳴る。
が、ガルカは眉一つ動かさず、ずい、と間合いを詰めて来る。
それに押されてじりじりと後ろに下がりながら、アリーは相手を観察した。
全身をくまなくバンデットメイルで覆った、巨漢の片手斧使い。単純にいうならそれだけだが、更にこの相手は技量も持ち合わせている。
このガルカの戦技を上回って、尚、硬い鎧に覆われた身体に傷を負わせねばならないのだ。アリーは、まるで要塞を相手に闘っているような錯覚に落ちいる。
おまけにアリーは軽装である。一撃でも食らえば、ただではすまないだろう。
「金なら、やる。持っていけ!」
盗賊の類かとも思って、咄嗟に背負い袋から、オークから奪った金品をだそうとするが、ガルカは意にも介さず、逆にその隙をつくように更に攻撃を加えてくる。
いくらこちらの身が軽いとはいえ、山道では思うように動けず、アリーは何度も冷や汗をかきながら、相手の攻撃をかいくぐった。
巨漢のガルカと打ち合う内、アリーは絶望的な思いにかられ始めた。到底勝つことの出来ない技量の隔たりが、両者に間にあることに気づいてしまったのだ。
そして、不幸にも僅かな道の凹みに、足を取られ、アリーはガルカの攻撃から身を守るため、相手の勢いの乗った一撃を、正面から剣の腹で受け止めてしまう。
「あう!」
アリーはその一撃に堪えることが出来ずに、バランスを崩して倒れてしまった。
慌てて起きあがり、ブロードソードを構えるが、既にそれは真っ二つに折れてしまっていた。
ガルカの渾身の一撃を、防ぐことが出来るほど、ブロードソードは頑強ではなかったのだ。
アリーは、しまった!と自分の手に残った柄元に目をやる。だが、後悔する間もなく、ガルカが更に追撃をかけてくる。
アリーが武器を失ったというのに、ガルカは攻撃の手を緩める気はないらしく、アリーは必死に間合いを取ってかわすしかなかった。
「くう」
自分のうかつに歯噛みする。
ここに至っては、最早逃げるしかない。アリーは素早く飛びすさり、脱兎のごとく駆けだした。
全身のバネを使い、黒い風のように木々の間を突っ切る。黒い炭を塗って斑になった赤い髪が、まるで炎のように踊った。
ガルカも、装備から見れば信じられないほどの速度でアリーに追いすがるが、後ろから響く足音は少しずつ遠ざかっていくように感じた。
だが、道の向こうに、予想外のものが現れた。
それは、あたかも闇から抜け出してきたような漆黒の虎だった。
道の脇から飛び出したそれは、走るアリーに向かって、狙い澄ました体当たりを放ってきた。
全力で走っていたアリーは、吹き飛ばされ、道に転がった。肩を強打し呼吸が乱れて、アリーは喘いだ。
(息が出来ない! 苦しい…!苦しい……!)
それでも起きあがろうとするが、素早く虎がアリーの上にのし掛かった。
前足で押さえつけられ、苦しい息の下、虎をはね除けようとアリーは力を込めるが。成体の虎は重量200kgを越える。無駄だった。
死の予感を覚えつつも、必死にアリーは虎と格闘した、が
黒い影が横に来たと思った瞬間。
鈍い音がして、アリーの意識は闇に落ちていった。
バシャ!
「…………ぅ…?」
暗い意識の下から、急に五感を引き出され、アリーは呻いた。
それは触感だった。
肌を冷たいものがじっとりと覆い、それは顔や髪の毛にもまとわりついていた。
どうやら、自分が横たわっているのだけは何とか理解し、不快な感触にアリーは、体を起こそうとしたが。腕がまったく動かず出来なかった。
側頭部がズキズキと痛む。微かに引きつるような感覚があった。生暖かいのは血が流れているせいだろうか? それとも痣でも出来て、熱を持っているのか、どちらかわからない。
ぼんやりとする頭を抱えながら、辺りを見回してみると、蝋燭の灯がすぐ側の壁で揺れているのが見えた。暗い石壁はどこまでも広く続き、やけにカビくさい臭いが鼻をついた。
「よう、アリー」
暗がりから声をかけられ、アリーは体を捻ってそちらに向き直る。
誰かが立っているようだが、暗くてよくわからない。
突然、腹に鈍い衝撃が走る。
「うぅっ!?」
激痛に、咄嗟に防御しようと思うが、後ろ手に回された腕は動かなかった。苦しさに体がくの字に折れ曲がる。
続けて、アリーは腹や肩、背中を棍棒のようなものでめった打ちにされた。
「……!」
「いいざまだな、アリー」
涙で滲む、視界の向こうから声がかかる。男の声のようだった。
「……誰?」
ガッ!
顔を上げようとした所を、蹴り上げられ、アリーの鼻に、何とも言えないつうんとした痛みが広がる。
「あぐ…」
悲鳴を上げるアリーの顔に、ヌメリとしたものが流れる。鼻血だった。
暗闇からの暴力は更に続き、その冷徹で容赦が無い攻撃に、アリーは恐怖した。
混乱のうちに訪れる正体不明の脅威には、人は闘争心や、憎しみを持って立ち向かうことは出来ない。
相手の姿や目的が分かってこそ、初めて相手を理解し、それに反発する心が生まれ、人は恐怖を忘れる事が出来るようになるのだ。
アリーは、自分の位置さえ分からず、暗闇の中で子供のように脅えるしか出来なかった。
更に数発、アリーはのし掛かられて殴られ、悲鳴をあげた。
「や、やめて…!」
弱々しく懇願すると、のし掛かっていた相手が立ち上がり、暴行が終わった。
そのまま横たわったアリーの直ぐそばで、こちらを見下ろしてくる。
「もうよせ、それ以上やると死んじまうぞ」
それとは別の誰かの声が、暗闇からかかる。
「フン、こいつがそんなタマかよ!」
その時、上から見下ろしている者の顔が、蝋燭の炎に照らされる。
「……ロアク……?」
アリーは驚いて声を上げる。自分に暴行を加えていた相手は、あのロアクだったのだ。
「………」
怒りの表情激しく、ロアクがこちらを睨み付けてくる。
ガッと音がして、アリーの視界が暗くなる。ロアクがアリーの顔を、ブーツで踏みつけているのだ。
「う……」
そのまま、ロアクは体重をかけて、アリーの顔を踏みにじりながら、
「よう、アリー、会いたかったぜ」
「どういう……つもり…だ?」
痛みに堪えながら、アリーは純粋な疑問をロアクに投げかける。だが
「どういうつもり…だと?」
ガキッ!
「あ……ぐぅ…!」
そのまま、再度蹴り上げられ。アリーは激痛に呻く。
「てめえに身の程をわからせてやるんだよ…! アリー!」
のたうつアリーを見ながら、残忍な笑みを浮かべてロアクが汚く罵る。
「…こんなこと……して…ただでは……すまないぞ…」
口の中を切ったらしく、アリーは鉄臭い唾に嘔吐しそうになる。
「ははは! 安心しろよ、お前はここからずっと出られねぇよ!」
「なん…だと?」
「ここはうちの倉庫さ、うちの館の塀に囲まれたな、お前はここで死ぬんだアンナマリー!」
アリーはそう言い放つロアクの目に、狂気の色を見て、ぞっとする。こいつなら本気でやりかねない。
「私がいなくなったら、皆が不審に思う……そうなったらお前が疑われるぞ、ロアク」
「何でそう思う? アンナマリー」
「………」
「みんな、お前は一人でオーク砦に向かって、そこで殺されたと思うだろうさ、門番もお前が一人で旅立つのを見てるしな」
アリーは言葉に詰まった。ロアクのいうことは概ね正しいだろう。皆に私が一人で行くと言っていたのは、誰もが知っていることだし。
状況的に見て、私がオークに殺されたか、それか掴まったと思うのが普通の考えだ。
ロアクも一応疑われはするだろうが、まさかあれぐらいのことで貴族の家捜しまでは出来ないだろう。
「アリー、お前は暫くここで飼ってやる。散々嬲り者にして、飽きたら殺してやるよ、くっくっく」
絶望に押し潰されそうになるアリーに、ロアクの卑劣な笑い声が更にのし掛かる。
顔色を失ったアリーを見て、ロアクはほくそ笑んだ。俺に刃向かうからさ、アリー。皆の前であんな恥をかかせやがって!
「さてと、アリー、随分汚れてるじゃないか」
アリーは、誰のせいだ!と怒鳴り返したかったが、それをいう気力すら失せたように、体が震えただけだった。体は先程の痛みを覚えて、萎縮してしまっているのだ。
ロアクが何か合図をすると、今までどこにいたのか数人の男達が暗がりから現れた。
アリーはその男達の何人かの顔を覚えていた。いつもロアクと一緒に連れ立って歩いているゴロツキの様な連中だ。
その内の一人が、壁の蝋燭に次々と灯を灯し、部屋の中が少し明るくなる。
「お前にはお似合いだがな、遊ぶこっちまで汚れちゃたまんないから、綺麗にしてやるよ」
ロアクの言うとおり、確かに明かりに照らされたアリーは酷い有様だった。
殴られた顔には血が滲み、側頭部にはガルカにやられたらしい痣があった。
泥にまみれたスタデットは倉庫の埃が付着し、更に汚くなっていた。髪も同様に埃と炭で、元の赤い色が茶色に見えるほど汚れていたのだった。
やがて、アリーの傍らに水の張った大きな園芸用の壺がいくつかと、粗末な作業台が運ばれてきた。
ロアクが乱暴にアリーの髪を鷲づかみにして、引っ立てる。後ろ手にされて抵抗できず、大人しく従うしかなかった。
ドブンッ
いきなり、なみなみと水の張った壺に、顔を押し込まれる。
「!!………」
冷たい水の感触にアリーは暴れるが、ロアクの腕に押さえ込まれ、水面に顔が出ずに溺れそうになる。白いうなじが、無数の蝋燭の炎の下、苦しそうに痙攣した。
「………………!……ぶ、あはぁはぁはぁはぁ………ふあぁ……」
突っ込まれた時と同様に、いきなり水から引き出され、飲んだ水を吐きながら、アリーは喘いだ。側頭部と先程殴られた跡に水が浸み、非道い痛みが走る。
更に作業台の上に突き飛ばされ、全身に水をかけられ、痛みと苦しさに体が疼いた。
やがて、何杯もの水がかけられ、アリーの汚れがすっかり落ちたと見えて、周りの男達の手がやんだ。
蝋燭の炎が揺らめき、アリーの肢体を照らすと、周りの男達は色めき立った。
今や、炭に汚れていた髪は、燃えるような深紅の色合いを取り戻し、教会のレリーフの如き整った顔立ちに、勇壮な女性の美しさ、といった、戦場で死んだ男達を喜びの野に導くという戦乙女を噂される、アリーの顔立ちに良く映えていた。
泥にまみれた手足も見違えるようになり、若くて健康そうな色合いの肌が鎧の下から所々垣間見えた。
今はその顔に深い絶望の色合いを湛え、憂いの美をその身に宿しているようで。男達はその顔を見るだけでも自身が奮い立つのを感じたほどだった。
「おい、スゴイな、こいつは」
「ああ…噂通りだぜ」
ボソボソと男達の呟きが暗闇に響く。水の冷たさに震えるアリーは、そんな会話すら聞き取れなかった。
男達は、震えるアリーの肢体を見て、その露わになった太股や、ピッチリしたスタデットの奥の胸や、股の事を想像し、喉を鳴らす。
「まだ、汚れてるところがあるじゃないか」
ロアクがそんな男達に声をかける。
「へ?」
「お前達の手で洗ってやれよ、ちゃんと濡れた服も脱がしてやってな」
ニヤニヤと笑いながら、ロアクは男達に促す。
「…へ、へへ、そうだな」
「俺達で脱がしてやるかぁ」
男達はロアクの言う意味がわかり、口々に笑いながら、一斉に仰向けになったアリーの体に手を伸ばしてきた。
全身の熱を奪われ、半ば意識を失っていたアリーは、そんな男達の乱暴な愛撫によって目を覚ました。
だが、そんな一方的な愛撫にも、冷え切った体に男達の手の体温が嬉しく感じられ、アリーはその感覚に愕然としてしまった。
「へへへ、なんてムチムチした太股してやがんだ」
「尻もでかいな、さすがエルヴァーン、安産型だな」
「…やめろ…私に…触るんじゃない……」
男達に体中をまさぐられ、その居心地の悪い感触にアリーは弱々しく呻くが、そんなもので男達が止まるわけがない。
「おい、この邪魔な服脱がしてやろうぜ」
「そうだな、風邪でも引いたら大変だもんな」
一人がいうが早いか、アリーの体を覆っていたスタデットレザーはあっという間に、皮紐を解かれ、下着も取り除かれてしまう。
今や、アリーの体を守る者は何もなく、大勢の男達に取りかまれ、震えるその身を蝋燭に照らされ、打ち震えるだけであった。
「ひょー、こいつはスゴイ体してやがる」
「………うう……」
鎧の拘束からとかれ、肌を晒したアリーの裸体は男達の視線を釘付けにした。
均整のとれたプロポーションに、空に向かってつんと成熟した形の良い胸、くびれたウェストの下に流れるようなラインが続き、大きな卵を二つ合わせたような肉付きの良い尻が露わになっていた。
そして、閉じられた足の隙間から、髪の毛よりやや濃い色合いの、股間の茂みに男達の視線が集中する。
「へぇ、下も赤い毛か」
「ちょっと薄いな、もう少しで見えそうだぜ、へへへ」
無遠慮に男達がアリーの品定めをする。
体中に突き刺さる視線に身を晒しながら、アリーは恥辱の余りに死にたいとさえ思った。
いつも、子供の頃から男勝りだったアリーは、どんな男にも体や心を許した事はない。友人として、良き仲間として尊敬出来る相手はいたが、それ以上の関係になったことはなかった。
それが今や、力によって押さえ込まれ、無理矢理に男達の慰み者にされようとしている自分が許せなかった。
「殺せ!……こんな目に遭うなら、いっそ殺せ!!」
叫ぶアリーの胸に、男がお構いなしに手を伸ばしてきた。
嫌がるアリーを無理矢理押さえつけて、正面から両手で寄せるように持ち上げ、押し潰し、その感触を楽しみ始めた。
「おおお、いい揉み心地だぁ」
「美人の胸だと尚更だな」
「俺にも触らせろよ」
「く、くそぉ……」
アリーはせめてその男と顔を合わせないようにするのが精一杯の抵抗だった。悔しさに涙が幾筋も頬を伝って流れていく。
誰かが、アリーの股間に手を滑り込ませてくるのを、必死になって股を閉じて身を捩らせて抵抗した。
だが、別の男がアリーの足を掴み、身動きが取れなくなった所に無理矢理、湿ってもいない秘所を、指で擦られる。
「い、痛い…! やめて!」
敏感な所から来る痛覚に怯え、アリーは声色を変えて叫んでしまう。周りの男達もそれに気づき、顔を見合わせる。
「…おい、こいつ処女じゃないのか?」
「……見てみようぜ」
周りにいた男達が全員、アリーの足の方に移動し、その足を押さえつけ、股を無理矢理開いて、アソコを大きく開かせる。
「やめてぇ!!見ないで!そんなとこ見ないで!!」
他人に晒した事のない秘所を覗き込まれる恥ずかしさに、アリーは首を振って無き叫んだが、そんなことで男達が止まるわけがなかった。
数人がかりで押さえつけたアリーの股ぐらを、一人が慎重に両手を宛って左右の茂みごと、割れ目を開かせる。すると、男達は覗き込むため、我先に顔を寄せ合って殺到した。
「いやぁ……こんなの…いやぁ……!……うぅ…」
アリーはただもうぐったりと、大事なところを奥まで晒す恥辱に耐えながら嗚咽していた。
「……良くわかんねぇな……」
見ていた一人がボソっと呟く、まだ解れていない秘裂はぴったりと閉じられ、暗い蝋燭の光りでは判別も困難だった。
その時、ただ見ているだけのロアクが男達を割って、アリーの秘所の前に位置どり、かがみ込む。
「突っ込んでみれば分かるだろ」
さらりと言ったセリフが、アリーを絶望の底へと落としめる。
「やめて! それだけはやめて!!」
「お前があの時、俺の言うことを聞かねぇのが悪いのさ」
カチャカチャとエルヴショウスを脱ぎながら、脅えるアリーを見て、心底楽しそうにロアクが笑う。
ロアクのモノは既に勃起しており、天を突くようにそそり立ち、蝋燭の灯に赤黒く照らし出されていた。
「ああ…」
経験の無いアリーから見たそれは、凶悪で、そして恐ろしく醜悪なモノとして映った。
今になって必死に抵抗しようとするが、四方から押さえられては、空しいものでしかなかった。
「やめてぇぇーーーーー!!」
そして、ロアクは身を屈めると、暴れるアリーの中へと容赦なく挿入した。
到底、人の口からでたとは思えぬ金切り声が、ユピレイド邸の倉庫に響きわたった。
「…あ………ぎぃ………」
無理矢理にロアクのモノが、狭い肉壁をこじ開けるようにして粘膜をこすっていく感覚に、声にならない悲鳴が喉から絞りだされる。
「へ、へへぇ、思った通りだぜ! すげぇ締め付けだな、アンナ……マリー……?……って……おい」
「い、痛い……さ、裂けちゃ…う……」
「………」
「お、お願い動かない…でぇ…うう……」
「「だ、誰だお前はぁぁぁ!?」」
ロアクと周りの男達は、声を揃えて絶叫した。
いつの間にか、アリーとロアクの間に、見たこともない銀髪のエルヴァーンの女が現れていた。
アリーに抱きつくようにして、どこからともなく出現したそのエルヴァーンは、全裸にヴァルキリーマスクのみというある意味潔い格好で、しかも、ロアクがアリーに挿入したはずのモノを、すり替わるようにその肛門で受け止め、呻いていた。
アリーとは対照的に、銀の色を持つ水のような長髪。負けず劣らずのグラマラスなボディ。そして、何かアリーの儚い裸身に大して、あくまでも脳天気さの漂う雰囲気を醸し出している裸が印象的だった。
「は、早く、抜いてぇ……裂けちゃう……」
額に脂汗なぞを流しながら、ロアクの方に振り返って呻く、その顔はかなり深刻そうである。
まぁ、前戯もローションもなしに肛門に男根を突っ込まれれば、ベヒーモスだってこうなるに違いない。
状況はともかく、ロアクは痛いまでに伝わってくるその懇願の必死さに、思わず腰を引いた。
ズポんッ
「はうぉ………!」
ものスゴイ恥ずかしい音を立てて、肛門からロアクのモノが引き抜かれる。
……何かこう、一線を越えてしまったのか、謎の銀髪のエルヴァーン女性の肛門は、ぽっかりと穴が空いたまま元に戻らない。
四つんばいで、はぁはぁと苦しげに仮面の女が喘ぐ中、アリーとロアクと取り巻きは、我を忘れて呆然と成り行きを見守った。
勿論、皆の視線の先は、仮面のエルヴァーン女性である。
だが、尻のダメージがでかすぎるのか、いつまでたっても肛門をひくひくさせたまま動かない仮面の女。
思わず、取り巻きの一人が心配そうに尋ねる。
「あ、あのー大丈夫ですか……?」
「……あ、…あんまり…大丈夫じゃないわ……」
「…………」
「そ、そうだ……質問に……答えてあげる…わ……」
「へ?」
「わ、私はぁ!……ふ……美と…愛の追求者…ヴァナディール…ヒーローが…一人!…イタタた……」
「あ、あの……あんまり力まない方がいいんじゃ…?」
何を言ってるのか良く分からなかったが、けが人を労る優しさとどっこいの感情で、アリーが思わず仮面の女に声をかける。周りの男達も同意するようにうんうんとうなずく。
必死になって話すものだから、エルヴァーンの肛門が力むたびにパクパクと開いたり閉まったりして、まるで肛門が喋っているかのようにも見えなくもない。
勢い、皆の視線も、未だに晒し者になっている肛門に集まっていたのだったが、仮面の女はそれに気づかず肛門トークを続けてしまう。
「エルメスの!エルメスによる!…イタタっ……エルメスのための正義の味方!その名も『エルメスエクセレント!』優雅に参上!華麗に…活躍よ!………いったぁ…ぐすぐす…」
しまいには泣き出したエルメスエクセレント、勿論、お尻丸出しのままである。その姿には、欠片も正義の味方らしさはない。
「ええと……」
ロアクすら、リアクションが取れずにエルメスエクセレントの出方を待つしかなかった。
「あ、貴方達、恥を知りなさい!」
言って、涙目のままエルメスエクセンレントがビシィ!と周りに指をさす。
「な、なんなんだお前は……!?」
ワケの分からない迫力に押されて周りの男達がちょっと距離を取る。ロアクも引き抜いたままの姿勢でじりじりと後退していった。
「嫌がる女性に無理チン迫るなんて最低よ!」
「け、ケツ丸出し女が何言ってやがる!」
正論ではあるが、説得力の無さに取り巻きの男が怒鳴り返した。
「あなた達だって、チンコだしてるくせに!」
「俺達は良いんだよ! ええと……その…レ、レイプ集団なんだから!」
「本気で言ってるの?下劣な集団ね、せめてスーパーフリーぐらい名乗ったらどう!?」
「変なネタやめレ! LSの名前にするのも禁止だ!」
「兎に角、…アンナマリーさん?」
いきなり呼びかけられ、遥か時空の彼方へと置いてけぼりを食らっていたアリーが慌てて返答する。
「は、はい?」
どこから取り出したものか、小さな札のようなものをアリーへ押しつけるエルメスエクセレント。
「こ、これって…? あ、ちょっと…!」
それがアリーの手に触れるなり、いきなり黒い淀みのようなものが空間に現れる。そして、それはアリーを包み込み
ぶびゅびゅびゅーぅん
そして、気がついた時にはアリーは、帰還呪文の効果によってHPへと飛び、この場から消え去っていたのであった。
「ああ!!」
それを見たロアク達が叫ぶが、時既に遅し、である。
「てめえ!」
「ふ、これで貴方達の悪行もおしまいね!」
言って、お尻をひくひくさせるエルメスエクセレント。
「あの子がここであった事を、兵士に話したら、貴方達はつかまるでしょうね」
「ち、チクショウ! まずいぜロアク!」
事態の移り変わりようやっと気づいた男達が、ロアクを中心にどよめき始める。
「それじゃあ、私はここで」
そして、その騒ぎの中、四つんばいのポーズで、よちよちとエルメスエクセレントが去ろうとする。
よちよちよちよち
「…………」
よちよちよちよち
「…………」
死ぬほどとろい
「………なにしてる?」
いつの間にか、ロアクと男達が這うように進んでいるエルメスエクセレントを取り囲んでいた。皆、怒りの表情激しく、凶悪な顔で睨み付けてくる。
「うん、さっきの挿入で腰が抜けちゃったみたい。私、戦績すくないから呪符デジョンも、さっきのあげちゃった一枚で終わりだし、こうやって帰るしか……」
質問に以外にあっけからんと答えるエルメスエクセレント。
よちよちよち…どん…
「きゃあ!」
男達の一人が、エルメスエクセレントを突き飛ばし、あっさりと床に転がす。
「なにするのよ!?」
突き飛ばされた時に打ったのか、鼻を押さえながら、エルメスエクセンレントが怒鳴り返す。
「なにするのじゃねぇ!」
「いきなり現れて、お楽しみの邪魔しやがって……!」
「こうなりゃ……」
「お前だけでも逃がしゃしねぇ!」
男達は口々にエルメスエクセレントを罵り、身動きの取れない彼女の豊満な肉体に群がっていった。
「ちょ、ちょっとぉ!?」
今更な避難の声を上げながら、エルメスエクセレントは必死に抵抗する。
どっかで見たような光景だが、先程に比べてイマイチ悲壮感が足らない。
「あ、貴方達、衛兵が来る前に逃げた方がいいじゃないの?」
形成不利とみて、エルメスエクセレントが必死の挽回を計ろうとするが
「やかましい! どうせ役人が来るのなんか朝になってからだ!」
「後、5〜6時間あるからな、それまでてめぇをイヤって程犯しまくってやる!!」
しっかり開き直られてしまった。
「こうなりゃ、二穴同時ハメとかやってやる!」
「いや、むしろお仕置きにはアヌス二本差しだYO!」
「チョコボキボンヌ」
口々に好き勝手なプレイを叫び始める男達。
「そうだ! ユピレイド家を舐めやがって! お仕置きだ!」
「おい! モルボルのつるとヘクトアイズもってこい!キノコとクリスタルもな!こいつのケツマ○コの中で合成してやる!」
ロアクがかなり、険悪な表情で怒鳴る。
「ロアクさん、全部既出ですぜ?」
「畜生! もう誰でもいいからコイツに突っ込めぇー!!」
八つ当たりのように、ロアクががなりちらす中
「えい」
ぬぷ
アヌスに二度目の挿入を受け、エルメスエクセレントの悲痛な叫びがユピレイド邸の倉庫に響き渡った。
「ふあう、痛……痛い……!」
以外にすんなりと入ったが、それでも痛いことにかわりは無く、エルメスエクセレントの唇から苦痛の悲鳴が零れる。
「…お…? 何かこいつの尻具合いいぞ?」
挿入した取り巻きは、吸い付いてくるような尻の穴の感触に驚いた。肛門性交の体験は少ないが、まるで名器といわれるような感触に、四つんばいのエルメスエクセレントの背後から、夢中になって腰を振る。
ずぼぉ ずぼぉ ずぼぉ
「だ、ダメー…! そ、そんな激しく動かないで…! ひぅぅ!」
「そんなこといったってよぉ、うぁぁぁ……き、き、気持ちいいぜ、お前のケツマ○コ」
苦しそうなエルメスエクセンレントの顔に対し、その尻の穴にモノを突き立てて腰を振る男の顔は、至福の表情をしている。
「や、やべぇ、締まりも良くて……さ、最高のケツだ」
「マジかよ! 早く変われよ」
「やぁ…お尻のお肉めくれちゃう……ひぅぅ…」
「むひゅおー、掃除機にチンチン吸わせるより気持ち良いぜ!」
「……そんなことしてたのか……お前…」
「ふあぁ…! お尻ダメぇ… そんなに粘膜こすらないでぇ!」
エルメスエクセレントに突っ込んでいる男の感想に、改めて喉を鳴らした男達は、その体を舐め回すようにして注視した。
体全体はそれなりにスレンダーなのだがしっかりと凹凸のついた体の線、美しく形の整った乳房、そして、果実のように熟した尻肉が、バックからの挿入に腰肉とぶつかり合い、イヤらしくパンパンと倉庫に肉の嬌声を響かせていた。
「や、やぁぁあ! こ、擦られて、お腹…! 熱くなってきちゃうう! はぅぅ……!」
腸壁を擦られ続けてか、段々とエルメスエクセレントの反応も変わってくる。
ヴァルキリーマクスに覆われていない顔の下半分が赤く色づき、情感的な唇からは快感に変わりつつある喘ぎが漏れ始めていた。
「うぁ……すげぇ締め付けだ……も、もう出る…」
「いやぁーーー!?」
男が男根を尻の奥深くに突き込み、そこで動きを止めた。
ひくひくと痙攣するように精を放ち、射精の余韻にエルメスエクセレントの奥で浸る。
「ひぃ……わ、私の奥で、ど、どぷどぷいってるぅぅ……」
かなり貯まっていたようで、相当量のザーメンが腸内に放出されていく。
「こんな…こんな……事…されたら、私ぃ……」
「うっはぁ…初めてだぜ、こんなケツの穴……」
「ひぃ…!」
射精を終え、ずるり、と男が自らのモノをエルメスエクセレントの尻穴から引き抜いて、嬉しそうに周りの取り巻きにいう。
当の本人は、アヌスを隠す気力もなく、ぐったりと前のめりに突っ伏していた。蹂躙された尻穴は拡がりきって、ぱっくりと開いたピンク色の穴が何かを誘うようにひくひくと痙攣している。
「お、おう! 次は俺だ!」
「えー!?、今度はボクたるぅ〜!」
男の感想に色めき立って、取り巻きとロアクが順番争いを始める。
「お前ら、ここはユピレイド家の倉庫だぞ! 俺にやらせろ!」
「ロアク殿は、さっき入れたでござろう! ここは拙者が!」
「引っこんでろ! 折角だから俺はこの赤いアヌスを選ぶぜ!」
「お前達の感じている感情は、アヌス欠乏症の一種だ、治し方は俺が知ってる俺に任せろ!」
「貴方は腸先生! ご冥福をお祈りします! 誰だか知らんけど」
「ていうか逃げませんか?」
「ま、早い者勝ちで」
ずぶん
「あ! …ま、またぁ……!」
やたらと軽薄な音を立てて、俯せになったエルメスエクセレントに、次の男のモノが挿入される。
肉棒が突き込まれるたびに、放出された精液が絡みつき、尻穴の回りに白いカスにようなモノが付着していく。
「うへへ、お姉さんエロ過ぎ」
「俺も中に出そ♪」
「あ……熱いのぉ…お尻がいいのぉ……」
「おいおい、お姉さんも好き者だねぇ、腰振り始めたよ」
急に人が変わったように、くねくねと、エルメスエクセンレントが挿入にあわせて円を描くように腰を振る。
「何しに来たんだよ、この女?」
「だ、だってぇ……お尻気持ちよくて止まらないぃ……」
「お、おい、そんな動いたら、やべぇって」
吸い付くような尻穴の感触に、あっという間にいかされそうになり、男は腰を引かすようにして耐える。
「な、な? やばいだろコイツの穴」
「やああ、もっと入れてぇ…!」
腰を引かして逃げた男を追う様に、自らの腰を密着させるエルメスエクセレント。
そして、また根本まで入ったソレを、確認し、
ぎゅぅぅぅぅぅぅ!
「うぇあ!? か…そ、そんな締め付けたら……うっ!」
エルメスエクセレントの、不思議なうねりを見せるアヌスの締め付けに、男のモノはたまらず精を吐き出した。
「うふふふ、一杯出してぇ…エルメスのお尻にぃ……」
繋がったままで、エルメスエクセレントは後ろの男に怪しく笑いかける。
「うぁ……で、出る……」
その妖艶な笑みに刺激されたか、大量に腸内へと射精する。
どびゅぷ どぷぷ どぷ
「はぁはぁはぁ…まだ…出てる……」
腸内で更に、男のモノがどくどくと波打つように、精を放つ。
「うふふふふ、まだまだ出して貰うわよ……まだまだね…」
その射精を受け止めながら、ヴァルキリーマスクの下でにやりと唇が邪悪に歪んだのに、気づいた男はいなかった。
「お、おい、何だよコレ!? 止まんねーよ」
「はぁ? 何いってんだよ?」
突然に、エルメスエクセレントのアヌスに挿入していた男が、呻く。
普段ならとっくに止まるはずの射精が止まらない。
まるで、大羊の乳でも搾るかのように、体中の生気が逸物から外にへと放出されていってしまう。
どぷん! どぷん! どぷん!
流れ出ていくような精の射精に、自分の心臓が悲鳴の鼓動をあげるのが男にはわかった。
「ひぃぃ!? と、止まら…ない……ひいあ…!で、出ちまう……あがが………ぁ………!」
エルメスエクセレントに繋がったままの男が、異様にがくがくと震えだし、回りの男達も異変に気づく。
「おい、どうしたんだよ?」
「そ、そんなに気持ち良いのか…?」
最早そういう問題ではないのだが、白目を剥いた男は口から泡を吹きながら、尚もエルメスエクセレントの中へと放ち続けてしまう。
「あああ……こんなにされたら……お、お尻で…いっちゃう……うう…」
「…………………!」
恍惚と呟くエルメスエクセレントとは対照的に、背後から挿入したままの男が、まるで幽鬼のように青白くなった顔で声に鳴らない悲鳴をあげる。
そして、そのまま全ての生気を抜かれた蝋人形のように動きを止め、気絶する。
「…はぁ……はぁぁ………貴方達が悪いのよ……今日は普通に帰ろうと思ってたのに……」
ずぼぅ
「んん…!……はぅ……」
男が気絶したのを見て、腰を捻って男根をアヌスから引き抜き、エルメスエクセレントはその場に以外としっかりした様子で立ち上がる。
「て、てめぇ!何しやがった!?」
仲間の惨状を見て、余りの事に硬直していた男達が、慌てて怒鳴る。皆、包囲するようにエルメスエクセレントの周りに集まる。
「言ったでしょ、正義の味方だって?」
抜けてた腰に力が戻ったのか、その佇まいは威風堂々としている。
「ふざけんな! そんな格好の正義の味方がいるか!」
「…露出狂なの、私」
少し照れくさそうにエルメスエクセレントは自分の性癖を告白する。
「露出狂が正義の味方なんてやってんじゃねぇ!!」
「どうでもいい! こんな女に付き合った俺達が悪かったんだ! 殺せ!」
ロアクは我に返ったように叫び、取り巻きに命令を下す。
「あら、居たのね貴方?」
「うるせぇぇ!!」
エルメスエクセレントの返答に、ロアクが本気で腹を立て、壁立て掛けて合った剣を抜く。
それに習うように周りの男達も、それぞれが自分の獲物を抜き放つ。
「こっちは丸腰なのにねぇ」
だが、刃物に囲まれてもエルメスエクセレントは、ヴァルキリーマクスの下で、唇の端をつり上げて笑うだけだった。
「こっちも楽しませて貰ったから…せめて楽に殺してあげるわ……」
言って、手を上に振りかざし、叫ぶ。
「エルメスウェポン! カァムヒァァァァ!!」
その瞬間、虚空からプロテスの光りと共に、巨大なトゥハンドソードが出現し、エルメスエクセレントの手に、ガシッと収まる。
「ふふふ、いきなりお尻に突っ込んでくれたお礼をしなきゃね……この剣でもツッコミ返してあげようかしら、お尻に…」
「な、なにぃ!? どっから出しやがった!」
「てか、すげぇ危険なこといってませんかこの人ぉ!?」
いきなり出現した凶悪なそれを見て、男達が狼狽える。
「知らないの? 女には色々隠すところがあるのよ!」
「ああ、なるほど、アソコに隠しておいたんだねー 後ろしか使ってなかったし」
「そそ」
「いくら何でもそんなモノが入るかぁ!! お前のマ○コはゴブかばんか!! 拡張クエ4済みか!」
ロアクが激高して、わめきちらす。それに合わせて周りの男もうむうむと頷いた。
「あーら、入るわよ? 試してあげようか、貴方達のお尻で…!」
エルメスエクセレントは、その場にぐっと腰を下げ、タメ、のようなモノを取る。
「く、一人で何ができるってんだ!」
「アンナマリーちゃんとやりたかったよう!」
男達は怒りの声をあげ、エルメスエクセレントに殺到し、一斉に剣が振り下ろされる。
ブォンッ!
「超電磁!エルメススピン!」
だが、気合いと共にエルメスがトゥハンドを一閃させると、あっさり男達がボロクズのように吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。
「ばばば、馬鹿な!」
一人、突撃しなかったロアクは、取り残され、驚愕の余り目を見開いたまま震えた。
「ふふふ、もう貴方は逃れられないわよ」
エルメスエクセレントは振り抜いたままの体勢で、余裕の笑みをロアクに向ける。
「まったく、いきなりお尻にいれてくれちゃってさ…庇うなんて使わなきゃよかったわ……ん?」
「う、動くな! 化け物!」
ロアクが懐から何かを取り出して、こちらに向ける。
「銃……ね?」
エルメスエクセレントは、ロアクの手にあるモノを理解して、呟いた。黒い銃口がぴたりと額に向けられている。
「そうだ! バストゥークから仕入れた最新式だぜ! 裸のお前に勝ち目は無い!」
「さすが、ユピレイド家の跡取り……でもね、貴方みたいな根性無しが持っても無駄よ……」
「な、なに?」
シュダンッ!!
引き金を絞ろうとしてロアクは驚愕した。つい今し方そこに居たエルメスエクセレントの姿が、僅かな破裂音のような音と共に、掻き消えるようにして居なくなったのだ。
「ど、どこへいった!?」
狼狽えて辺りを見回すロアク。魔法の詠唱や呪符も使っていないのに、人が消えるわけがない。
その時、微かな物音がロアクの耳に入り、慌ててそちらを向く。
「…上!?」
辛うじてロアクは、信じられないほど高く飛び上がり、天井の板を蹴り高速で折り返してくるエルメスエクセレントの姿を視界に捕らえていた。
「マトリックスかよ! てめぇ!」
慌てて、裸のその体に狙いを付け、引き金を引く。
バゥン!!
黒い銃口から、エルメスエクセレント目掛けて白い硝煙が上がる。が
ガキィィィィン!!
激しい金属音と共に発された弾丸がはじき返される。そして
「な、なんだと!? う、うぁぁぁぁぁぁ!!」
ダガァァァァァン!!
全身に鋼鉄銃士鎧を身につけ、金属の塊と化したエルメスエクセレントが、その凄まじい重量を持ってロアクを叩きつぶしていた。
「……攻防一体、エルメス着弾変身!!」
倉庫の埃が舞い上がる中、エルメスエクセレントはロアクの上に乗ったまま決めポーズを取っていた。
チラ、と下をみるとロアクは今の一撃で完全に伸びているようだった。
「露出狂だからって、鎧を着ないワケじゃないのよ ふふふ…ふぅっ!?」
だが、笑いながら気絶しているロアクから降りようとした時。エルメスエクセレントの体に変調がおこる。
ぐきゅるるるるるるるるるるる、と豪快な音を立てて、彼女のお腹がなった。
「あ、ちょ……やだ、派手に……動いたから……」
先程、散々お腹に射精を受け、腸内に残った精液が浣腸液の役割を果たし、激しい腸蠕動が開始されたのだ。思わず彼女は持っていたトゥハンドソードを取り落としてしまう。
ヴァルキリーマスク下の顔を青ざめさせて、エルメスエクセレントは何とか耐えようとするが。
既に腸内の排泄間は、限界寸前までに達しており、散々突き回された肛門も緩みきっており、負けて弁が開きそうになる。
ぷ、ぷぴぃ…
「や、やだちょ……! で、でちゃう…はぉ! ……が、我慢できないぃ……!」
つま先立ちになって耐えるが、肛門から堰を切って、あふれ出すのは時間の問題に思えた。
エルメスエクセレントは、やむなく銃士鎧の股当ての股間部分を外し、その場にかがみ込んだ。
全身をくまなく覆った彼女の、かがみ込んだ股間部分だけが外気に晒され、肛門がひく、と動いた様だった。
ぶ、ぶぴぶしゃぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁ
その途端、激しい排泄音と共に、彼女は腸内に放出された精液をひりだし始めていた。
「はぅぅぅ……出る……あぁぁ…一杯…でちゃう……!」
殆どが精液なので、緩い便のように、エルメスエクセレントの肛門から噴水のように吹き出していく。
男達が倒れている倉庫の中、銃士鎧姿のエルメスエクセレントは、そこで排泄しなければならなくなった事に激しい羞恥を覚えたが、既に止められずに排泄の快感に身を任せていた。
「やだぁ……こんな……止まらないぃ………!」
不幸にも、丁度真下で気絶していたロアクに、びしゃびしゃと降り注いでいく腸液と精液のカクテルが降り注ぐ。
「やぁぁぁ! 何でそこにいるのよぉぉぉぉ!?」
今更ながらに気づいたエルメスエクセレントが、八つ当たりとしか言いようのない避難の声をあげる。
自分で倒しておきながら、随分非道いいいようである。
ぶびぶぶ ぶすぅ ぷぷ ぷう
「あううう………」
やがて、放出が止まり、エルメスエクセレントはほっと一息ついて、後ろの白い水たまりのようになっている排泄物に触れないよう、前のめりに倒れ込んだ。
鋼鉄鎧のお尻だけ不自然に露出させたままの格好で、暫く、息を整える。
その隣では、白い液体を頭から浴びせられ、えげつない香りに包まれたロアクがピクピクと痙攣していた。
周囲には下半身裸の男達が、なぎ倒されたままの姿で転がっている。
「………かえろ…」
息を整えた後、周囲を見回し、その地獄絵図に心底ウンザリした様子で呟くと、エルメスエクセレントは不自然ながに股で、倉庫を出て行った。
その後、いそいそと置き忘れたトゥハンドソードを取りに帰り、更に入口にカードを一枚落としていった。
翌日、この件が公になり、色々と調査がなされたが、重要参考人物のアンナマリーは黙して多くを語らなかったという。
ただ一つの手がかりは、現場に残された「エルメス(゚∀゚)E!」とだけ刻印されたタルットカードだけで、やがて人々はこの事件を忘れていった。
一部の冒険者達をのぞいては……
Fin