ジスxマオ

マオ=ミスラF7a(黒)
アグリオ=ヒュム♂F2a(白)
ジス=エル♂F6b(戦)


昼と無く夜と無く、人でごった返すジュノ下層。
特に競売前は一度入ると通路に戻るのも一苦労な程混み合っている。

アグリオは、普段ならば何十人もの仲間を率いて”ハイパーノートリアス”と呼ばれる希少価値の高い最強クラスの敵を毎日の様に討伐に明け暮れているが、ここ数日は違っていた。
そう言った誘いも断り、下層の忙しなく走り回る冒険者の波をぼんやりと下層競売上で眺める日々。

原因は、あの日・ジャグナー森林で行われたバリスタの後。
駆け出しの頃から共に歩んできた悪友と、長い間ほのかな恋心を抱いていた女性が絡み合って痴態を演じているのを目撃してしまった事にあった。

「あーあ〜… ハァ……」

思い出した様に溜息を付いてはまた物思いに耽る。

少しばかり悲しくはあったが、多くは彼女が裸で快楽に悶えている姿が頭から離れない為だった。
何も知らない子供では無いけれど、想像でしかなかった彼女の乱れた姿を目の当たりにしてしまい何をしてもその姿が浮かんでくる為に他の事をする気になれないでいた。

「情けねーなぁ、俺…」

「…!」

溜息を付いて人の流れを眺めていると、その中に人の波で揉みくちゃにされている彼女・マオの姿を捉えた。

「マオ!」
「あ、アグリオ、おはよ〜」
人ごみを掻き分け、顔だけこちらを向けて手を振る最前列のマオの所に辿り着いた。
「な、何か買うの?」
「うん、やっとお金が貯まったから、イギラ買っちゃおうと思って」
何事も無かったかの様なマオに、アグリオは少しだけ安心した。
「アンタは何か買うの?」
「え…いや、俺は、あの、いや別に、挨拶でもと思って…その」
「挨拶するだけでこんなとこで揉みくちゃになってるの?変な人。」
そう言っていたずらっぽく笑った顔が、急に近付いて来た。
「おわ!」
思わず身を引くも、後ろからぎゅうぎゅうに押されて動けなくなってしまった。
「おっとと、人多いから、気を付けてね」
体が密着してマオの暖かい体温と香しい匂いが伝わって来る。
あの時の彼女の姿を思い出して、思わず体が反応しそうになった。
衝動的に抱き締めたくなるが無理矢理、理性で抑え付ける。

悶々とするアグリオを他所に、マオはすっと体を離すと、慣れているのかヒョイヒョイと人の波を潜り抜け通路の方へ歩いて行ってしまった。
「おーい、こっちこっち。大丈夫?」
アグリオの着ている装備が半分脱げ掛けになるほど人ごみで揉まれながら通路へ脱出した頃には、落札したばかりのイギラウェスキットに身を包んだマオの姿があった。
「へへへ、これであたしも一人前かな〜。お金無くなっちゃったけど」
「い、良いね、すげー似合うよ。ハハ…」


「ヒャァっっ!」
急に素っ頓狂な声を上げて、マオの体がびくんと跳ねる。
服を整えて居たアグリオはマオの背後に悪友・ジスの姿があるのを目に留めた。
ジスの手はマオの尻尾を軽く引っ張り上げている。
「おぉ、良いねぇ、セクシーだね」
「ちょっと!急に尻尾引っ張らないでよ!」
「それどうやって脱がすの?何かややこしい装備だな。」
「何で脱ぎ方教えなくちゃならないのよ、このスケベ!」
アグリオは、あんな事がある前と全く変わらない様子の2人をボンヤリと眺めて何となく身の置き所が無い様な感覚に襲われていた。

(なんだ…こいつらやっぱり付き合ってたのか…知らなかったの、俺だけか…)

はぁ、と溜息を付いて肩を落としフラフラと定位置へ戻ろうとするアグリオにジスががしっと肩を組んで耳打ちした。
「ちょっとアグリオ君、あれ脱ぎ方わかったら教えてよ」
「え…!?は!?俺そんなの知らねぇよ!
お前ら付き合ってんだったら自分で何とかしろよ!」
驚いて声をあげたアグリオに、ジスは目を丸くして答えた。
「別に俺ら付き合って無いぞ?なぁ、マオ」
「何であたしがこんなのと…勘弁してよ」

固まるアグリオの後ろから不意にジスを呼ぶ声がした。
振り向くと、黒髪をポニーテールにしたヒュームの女性が立っていた。
「ジス、何してるの。早く」
「わりーわりー」
心なしかデレッとした表情のジスと、呆れ顔のマオを交互に見てアグリオは更に混乱した。
「ちょっと用事あるから、またなーお前ら。仲良くするんだよ」
「ちょ、どこ行くんだよ!」
「野暮用。んじゃねぇ〜」
ジスは女性に引っ張られてモグハウスへ消えて行く。

全く事態の飲み込めないアグリオの横で、マオが呟いた。
「ほんとに女にだらしないんだから、あーやだやだ」
「あの…君ら付き合ってたんじゃないの?」
「付き合って無いって」
だってこの間…と言おうとして、マオが遮る様に喋る。
「あいつ、女なら誰でも良いの。あん時だって、ちょっと仏心出して油断したらあんなんなっちゃった。」
「あ、あ…そうなんだ…」
「アンタのが付き合い長いから、知ってると思ってたけど?」
「女にだらしないのは知ってたけど、そこまで見境無いとは思わなかったな…」
「そうかもね。アハハ」
自分の気持ちに全く気づいて無い風の彼女がころころと笑う姿を見て葛藤と独り相撲の疲れがどっと出た。

「マオ、今日これからどっか行くの?」
「んー 合成用のクリスタルでも取りに行こうかなって思ってた。
アグリオは?今日はノートリアス狩りとか行かないの?」
「うん行かね…そっちに一緒に行こうかな…」
「良いけど、何かだいぶ疲れてるみたい。大丈夫?」
肝心な事は気付かないのにそういう所はよく気が付くマオ。
(君が行く所なら…)思わず言い掛けて止める。
「あ、あの、気晴らし。そう気晴らしだよ。じっとしてると、余計疲れちゃってさ」
「じゃ、一緒に行こっか!」

アグリオとマオの2人が向かったのは、ラテーヌ高原。
天気も良く、青い空とまっすぐ伸びた針葉樹の紅葉が美しい。
(天気良かったら意外とデートには持って来いの場所だな〜)
そんな事を考えて少し明るい気分になってくる。
「あちゃー天気良いね」
エレメンタル狩りに来ているマオは、この天気の良さがお気に召さない様子である。
「あ、そうね…雨降るか、風吹かないとね…」
「お弁当でも食べて待つかぁ、あたしやっとメロンパイ作れるようになったの」
あまり知られていない、ラテーヌ隅っこのエレメンタルポップ地点を選んで腰を下ろす。
彼女の手作りお菓子を頬張りながら一人浮かれて幸せを噛み締めるアグリオ。
しかし、パイを手に取ったものの口を付け様としないマオに気付いた。
「あ、美味しいよこれ、だいぶ腕上げたね。ちょっと焦げ入ってるけど。アハハ」
「…ほんとはちょっと、気になってたの。ジスの事」
「あ…」

やはり、彼女は悪友の事を想っていた。
今まで異性として考えたことは無かったとは言え、あんな事があってはやはり意識せざるを得ないのは理解できる。

「女なら誰でも良いっての、わかってるけど…ね。どうしても、気になっちゃって」

「一度寝ただけで彼女面なんてダサいよね、やっぱり」

「お互い、欲望の捌け口にしただけだっと思ったりして軽く考えるようにしてるけどああいう所みちゃうと、ちょっとショックだったな」

さっき女性といちゃつきながら去っていったジスに少しばかりショックを受けたらしく、アグリオの存在が見えていない様な口ぶりで訥々と愚痴るマオ。
明るい日差しとは裏腹にアグリオは、下層競売上で悶々としていた時よりも暗い気持ちになっていった。

「あ、疲れてるのに愚痴ってゴメンね。暗くなっちゃった?」

俯いて黙っている彼に、マオが指で頬をつんつんと突いて様子を窺う。
アグリオはその手をぎゅっと握り返し、何か決心した様にマオを見据えた。
「俺が…」
「…?」
(忘れさせてやる)…と言いかけてやっぱり止める。

古臭い言い回しが恥ずかしくなり口篭り、再び沈黙が流れた。

暗にアグリオの言いたい事を理解したように見えたマオが、大きな蒼い目で見つめ返す。
顔を覗き込んできた彼女との距離が、競売前で揉みくちゃになった時より近くなりアグリオはもう自分の中の衝動を抑え切れなくなっていた。

腕を引っ張ってマオを抱き締めそのまま地べたに押し倒すと、勢いに任せて唇を重ねた。
ジスの時とは違い、少しぎこちなく動く舌と唇の暖かく、優しい感触。
かと思うと激しく食らい付いて吸い上げる。
マオは優しく付き添っていた相棒の変わり様に少し驚いたものの、抵抗する事無く受け入れ答えた。
唇を唇で甘く噛み、舌で舐め上げると小さな吐息が漏れる。
性能に反し薄い作りのイギラから柔らかい胸の感触が伝わって来た。
直接触れたくなって、全身を装備に包まれている彼女の体の、滑らかな肌への突破口を探し当て、夢中で舌を絡めながら、スロップスとウェスキットを引き剥がす。

「ふ…はぁ、ぁ…ぁ」
ブラをずり上げ、露になった乳房を抱え上げるように掌で弄び、指を滑らせるとマオは震える吐息を漏らして喘いだ。
乳首がぴんと立って愛撫を待ち構えている。
糸を引きながら唇を離すと、彼女の目はもううっとりと潤んでいる。

(ごめん…)
「え…?」
「ちょっと、我慢出来ない…」
そう呟いて少し怖い顔になると、アグリオは自分の胴装備を脱ぎ捨て、上に覆いかぶさるとマオの足を広げ秘部に手をやった。
そこからとろとろと愛液が溢れてくるのを確かめると、茂みを掻き分け割れ目に指を挿し入れ濡れた突起を下から擦りあげる。
「あっ…っくぅ…あ、あ…」
「やめてつってももう止めないから…」
身をよじって目を瞑り快感に集中したり、目を潤ませて懇願するようにアグリオを見つめ返したりくるくると表情を変え自分の下で喘ぐマオの、夢にまで見た痴態を愛おしげに眺めた。
「…やだ…顔、顔見ない…で、アッ…っ…あっ!」
期待が現れている乳首を舌で弾きしゃぶりつくと
秘部は更に潤い、小さく短い吐息が大きく長いものに変わる。

湿りきったインクロスを剥ぎ取ると、いきなり指が膣の奥まで押し込まれ、ゆっくりと出し入れしながら膣壁を撫でられた。
ぐちゃぐちゃといやらしい音がして、それが背中を伝って脳天に響く。
「いや…恥ずかしい、み、見ないでぇ…ぁっあ…」
アグリオはマオの腰を抱え上げ、突起の包皮を引っ張り上げそこを剥き出しにすると舌で小刻みに刺激したり唇で挟んだり大きく舐め上げたりと激しく弄んだ。
挿し入れた指はそれとは逆にゆっくりぬめぬめと動いて、彼女の体に相反する二つの喜びを与えていた。
「くぁ…あ、あっ…だめ、あぁっ…もう、もうっ…ア、はあ…」
マオは、足の爪先まで尖らせて快感の波に耐えつつもぐねぐねと腰を振っていた。

股間から顔を離し、また優しく熱いキスをすると尻の方から手を回し前後から秘部を責める。
「ひっ…アッあぁ、もうだめ、もうだめ、い、いっちゃう…くぅ…」
舌を絡めながらアグリオが言う。
「…好きだったんだ、ずっと…前から」
「あぁっ!!あっ…アッ!」
「俺に可愛いとこ、見せて…」
「やっ…ア、あぁ──!!あぁっ…!」
差し入れた指がきゅっと締まったかと思うと、マオの体が大きく何度もびくん・びくんと跳ねる。
マオが達したのを確認しても、更にアグリオの指は激しく動き続けていた。
「はぁっ…はっ…あぁっ!と、止めて、止めてッ…おねが、い…あぁあっ!!」
「ダメだよ、止めない」
「おねがい、お願い…あ──!!お、おかしくなっちゃう!あぁ!あッんあッ!」
ボタンを押すと動く玩具の様に、突起を弄ると大きく跳ねて声を上げるマオの体。
「もう、もう入れて…!おねがい、も、もうだめなの…っっ!…死んじゃう…」

涙を浮かべて懇願すると、やっと彼の指が止まった。
はぁはぁと息を切らし小さく震えるマオの汗を拭う様に、
額・頬・首筋…唇に順番に軽くキスをする。
アグリオがズボンの中で先端を濡らしながら怒張していたそれを引っ張り出すと花弁を指で広げ、押し当ててゆっくりと挿しいれた。
「ウ…!?はぁっ…ちょ、ちょっと、待って…っ…」
「だめ、待たない」
「や…待っ…て、ちょっと…あ!あぁ!お、おっき…ぃ…!」
「今までずっと待ってたんだ、もう待たない」
マオは眉間にしわを寄せてしばらく圧迫感に耐えていたが、肉芽を転がすと小さく声を上げて潤滑油の様に愛液が溢れ卑猥な音が響いた。
少し大きめの彼の形に添うように中がきゅっと締まる。
「あの…苦しい?大丈夫?」
先程は衝動に耐え兼ねて強気になっていたアグリオだったが、愛しい彼女が苦しげに呻いているのを見て少し弱気になる。

「だ、だいじょうぶ…止めないで…」
マオが両手でアグリオのうなじを掴み寄せ、激しくキスをするとより一層硬く大きくなった気がした。
彼は答える様にゆっくり腰を引いて、一気に奥まで貫くと体ごと引き摺られるようにマオの体が前後に揺れる。
「ひ…ぁ…っ!」
硬い陰茎で擦られる度に背中から頭にかけて電気の様な快感が走り結合部からずちゅ、ぬちゅと淫靡な音が漏れる。
風が髪を揺らして、肌を滑る感覚も全てが刺激になった。
先端で奥の方を突くと音を遮るようにマオは高く短い声を上げた。
「あっ!あぁ…っ!そこ、そこダメなの……あぁ…ぅっ…」
「マオ…マオ、愛してる…」
「あ…あ、アッ!!つ、突いて、もっと…」
「愛してるよ…」
アグリオが囁く度にそこがきゅうときつく締め付けられた。
彼の体全部飲み込まれるように、結合部が吸い付き引っ張り上げる。
頭の中が鷲掴みで絞られた様にぼんやりとして、下腹部に全ての神経が集中しているのがわかる。
繋がったまま、軽々と彼女を持ち上げ四つん這いにして後ろから更に突き上げた。

脇から抱える様に手を回し、剥き出しで勃起した肉芽をこねるとマオが小刻みに叫ぶ。
「あぁ───!!だっ、だめぇ……い、いくっ……!あ、はぁっ…!」
「マオ、お願い…」
「あ、アグ…もう…もう、良い?あたしイッて良い?…早く…」
「お願い、俺の事好きになって…」
今まで言いかけて止め続けた台詞がすらすらと吐息混じりに零れた。

「だめ、も、う、く…ぁ…い、イク…!いっちゃう…!!」

そう言うと中が激しく痙攣し締め上げる。
”一緒に来て”と言う様に絞り上げられ、堪らず彼も中で大量に熱い迸りを放った。

ぐったりとしたマオを後背位から抱き起こし、繋がったまま座り込んだ。
アグリオは後ろからマオを抱き締めると、肩に顔を埋め黙り込んでいた。
「ん…どうしたの?」
「…」
「まだ元気ない?」
腹の辺りで抱えるアグリオの手を握り返してマオが訊ねるとぎゅうときつく抱き締めてアグリオが言った。

「…俺…と、つ、付き合ってください…」

振り絞るような告白に対し、彼女からは思いもよらない答えが返ってくる。
「えぇ──!?アハハハハッ」
「え… アハハっ…て……う…」
大きな目をまん丸にして大笑いするマオ。
アグリオは先走って馬鹿な事を言ってしまったと後悔し、彼女の拒絶の意思を感じ取って情けなくも思わずその場で泣いてしまった。
「あぁ、ご、ごめんね!違うのよ。えっと」
マオは大人しくなったそれをゆっくり引き抜いて、向かい合わせに座り直すと慌てて説明した。
「だって、さっきあんなに…あんな…激しかったから、ほら」
「…?」
「もう、”そういう事”なんだと思ってたのに、わざわざ改めて言うから真面目な人だなーと思って笑っちゃった。ウフフ」
鼻水まで垂らしてぐじゃぐじゃになったアグリオの顔がぱぁっと明るくなった。
「う…かっこ悪ぃ、俺」
「なんで?そんな事ないよ、カワイイよ?」
そう言って涙を拭って、彼の鼻先にキスをして抱き締めた。

まだ余韻の残る体で、ジュノの喧騒の中へ戻る気になれずサンドリアまで歩いて帰る事にした二人。

「ところでイギラどうやって脱がしたの?」
「あ…さぁ、どうやったんだろ…?」
「…!? あたしのぱんつどこにやったの!?」
「ど、どこやったんだろ…?あれ?」

日が傾いた頃にはラテーヌ高原に風が吹き抜けていた。
二人の近くで風のエレメンタルが、落ち葉や色々な物を巻き上げゴウゴウと音を立てて舞い続けていた。

*end*