フェイス:ミスラF3A
     タルF5A

それは、あるミスラとタルタルの小さな物語。

     〜変わり者ミスラと物好きタルタル〜

じめじめとしたオンゾゾの迷路に、二人の人影がある。
一人は、露出の高い衣装を着け、弓をつがえているミスラ。
もう一人は、白魔道士のアーティファクトと呼ばれる衣装に、ごつい棍棒を持ったタルタル。
ミスラが狙っているのはコカトリスという大鳥。
これの肉は美味で、調理の材料として人気が高い。
それを得るため、二人はここでコカトリス狩りをしているのだった。
ミスラが矢を放つと、タルタルが標的の顔面めがけて突進する。
矢は標的の首の辺りに命中するも、致命傷には至っていない。
耳障りな叫び声をあげながら突進してくる標的に、タルタルが頭に渾身の一撃を放ち、コカトリスは昏倒した。
とどめとばかりにミスラが魔法を詠唱、エアロIIIが発動し、首を切断する。
「ふぅ、これで15匹目っと。今日も大猟だわ」
彼女の名はフィム。
赤魔道士でありながら弓を使い、その腕前も確かである。
「ま、僕らにかかればちょろいもんでしょ。さ、次行こう」
彼の名はマルド。
とてもタルタルとは思えない怪力を持つ白魔道士である。


彼らは腕利きの冒険者で、変わり者としても有名である。
その理由はパーティ中の奇抜な行動にあった。
フィムはいつも弓を携帯し、手が空いている時は弓で敵を撃ち抜く。
マルドは率先して敵に殴りかかり、ウェポンスキルで敵を葬る。
しかも二人はいつも一緒で、初めて彼らを見たものは驚くという。
しかし、職の役割は全うしており、面白いという者もいれば嫌う者もいる。
そんな型破りな二人は付き合いが長く、よくこうして二人で狩りに来ていた。
「さて、もう何匹か狩ったら帰りましょうか」
「そうだね。持ち物も整理しないと」
フィムは再び弓をつがえ、新たな獲物に狙いを定めた。


一時間ほど後、彼らはホームポイントに帰還した。
そこは、ジュノの下層。
競売でクリスタルを買おうと競売所に行くと、ヒュームの軽薄な男が声をかけてきた。
「よう、ネーチャン。オレとお茶しないかい?」
言いつつベタベタとフィムの肩や腰などを触る。
露出度の高い服────ジャリダペティという近東様式の服───を着ているため、嫌でも男の注目を集めてしまうのだ。

しかし、当の彼女は慣れているのか、すぐに魔法を詠唱し発動させる。
「ファイア」
「!!??」
ボッ、と男の顔面に火が点き、うずくまる男にフィムは言う。
「汚い手で触らないで。次は全身ズタズタになるわよ」
さらにギロッと睨むと、男はどこかへ行ってしまった。
ざわつく周囲を後目に炎のクリスタルを買い、モグハウスに向かう途中に呟く。
「…やれやれ。よくいるのよね、ああいう変態」
「…君の格好がいけないと思う」
隣で成り行きを見ていたマルドはため息を吐く。
「このカッコじゃないと落ち着かないのよ。ああやって追っ払えば済むことだし」
当然のように言うと、自分のモグハウスに消えていった。
それを見て、マルドはまたため息。


フィムは持ち帰ったコカトリスの肉を取り出し、先ほど買った炎のクリスタルを使って合成を始めた。
程なくしてミスラ風山の幸串焼きが出来上がる。
競売に出品する商品であり、彼女の大好物でもあった。
狩りの帰りにモグハウスで山串を食べる、というのが彼女の趣味なのだ。
今日は調子が良く、HQが沢山できたため、思わず呟いた。

「ふふ、今日はついてるわ」
合成を続け、数ダースの串焼きが出来た。
そのうちの六本を食べ、残りは出品用と宅配用に分ける。
これはマルドの好物でもあるため、毎度のようにお裾分けしているのだ。
「ふぅ。やっぱり作りたての山串は美味しいわ…さてと」
外に出て宅配しようとモグハウスから出ると、マルドが待っていた。
「…フィム。ちょっと話があるんだ…僕のモグハウスに来ない?」
「…突然ね。まぁいいわ。山串を宅配する手間が省けるし」
何気なく装ってフィムに声をかけるが、実は内心かなり緊張していた。
なぜなら、今まで秘めていた想いをぶつけるためだから。
そうとは知らず、フィムは串焼きを持ってマルドのモグハウスへ向かった。


二人がマルドのモグハウスに着くと、フィムは串焼きを置いて聞く。
「で、話って?」
「ええっと………」
(頑張れ僕!まずはさりげない話題から…)
緊張でうまく口がまわらない。
しかし、マルドは自分を奮起させ、会話を切り出した。
「…前から気になってたんだけど、どうしてフィムは弓を使ってるの?」
突然の問いにきょとんとするフィム。

「あれ、言わなかった?私が弓を使ってるのは、昔狩人だったからよ。
その時もよく一人で狩ってたんだけど、ちょっと危ない目に遭ってね。
弓が使えてソロが出来るジョブが、赤魔道士だったわけ」
マルドはフィムの話にうんうんと頷く。
話し終えると、フィムはマルドに聞き返した。
「私も聞くけど、マルドは何でそんなに力があるの?」
問いには一度頷いて答える。
「僕も君と同じような理由さ。タルタルの利点と打撃を考えたら、白魔道士に行き着いたんだ。
僕は元々戦士だったから、力には自信があったし」
話しているうちに緊張が解れたのか、饒舌になるマルド。
通常、魔道士は単独行動を控えるが、この二人は違っていた。
魔道士なのに物理攻撃が得意、というのも二人の変人たる所以である。
「ふふ、やっぱり僕たちって変わってる」
「ユニークって言って欲しいわ。これも一つの可能性なんだから」
可笑そうに笑うマルドと、拗ねたように言うフィム。
そんな彼女に、自然に“本当に言いたいこと”を言った。
「でも僕は…、そんな君が好きだよ」
自分でも驚くくらい、自然に。


突然の告白に、フィムは冷静に答える。
「それは…友達として?それとも、恋人として?」
「もちろん…恋人として」
マルドの毅然と態度と言葉に、フィムはポッと頬を赤く染める。
時が止まったかのように、しばらく二人とも動かなかった。

先に動き出したのはフィムだった。
彼女はゆっくりとマルドに近づき、優しく抱きしめる。
「ありがとう…。あなたの気持ち、何となく気づいてはいたんだけど…確信が出来なくて…」
そのままフィムは続ける。
「私も、あなたが大好きよ。恋愛対象として」
今度はマルドの顔が真っ赤になっていた。
信じられない、という風に彼は呟く。
「僕の片思いだと思ってた…フィムも…僕が…?」
「ふふ…こういうことは鈍感なのね。マルドは」
真っ赤な顔が愛おしくて、小さな顔を両手で包む。
そしてゆっくりと自分の顔を近づけて、唇をマルドの唇へ。
彼も、目の前にある彼女の顔にどきどきしながら目を閉じる。
やがて、唇が触れ合った。
唇が離れるまでの数秒が、どれだけ長く感じられただろう。
そんな不思議な感覚に酔いしれつつ、未だ間近にあるお互いの顔を見つめあう。

再び二人の唇が重なるのに、さほど時間はかからなかった。
今度は啄むように何度も。
何度目かのキスで、フィムがマルドの口に舌を入れ、さらに激しいキスになる。
お互いの舌をからませ、激しく相手を求め、唇が離れたときには透明な橋が出来ていた。
それが崩れると、熱っぽさの混じった瞳で再び見つめあう。
「服…脱ごう。えっち、したい…マルドが…欲しいの」
「ん…」
熱に浮かされ、頭がぼーっとなっている。
理性など、とうに吹き飛んでいた。
お互いに向き合ったまま服を脱ぎ捨て、二人とも生まれたままの姿になる。
「きれいだ………」
思わずそんな言葉が漏れるほど、フィムは美しかった。
綺麗に浮き出た鎖骨に、小振りながら形のいい乳房。
程良くくびれた腰、淡い恥毛。
それらをまじまじと見つめていると、
「そんなに見ないで…恥ずかしい…」
か細い声で言われてしまい、マルドはハッと我に返る。
「ご、ごめん…でも、ほんとに…きれいだ」
「………ありがと」
改めて言うと、またか細い声が返ってくる。
フィムは自ら備え付けのベッドに身を倒し、両手をのばしてマルドを迎え入れる。

マルドはそれに吸い寄せられるように、フィムの上に乗った。
まずマルドは、小さな手で胸の先端辺りを揉む。
その際に先端が指に挟まり、丁度よい刺激になっていた。
「んっ…んぁ…」
しかし、フィムはくすぐったそうに呻く。
ならばとそこを口に含んでみると、ぴくっと身体が震えた。
「ひゃっ…あ、ん…」
ちゅっちゅっとしゃぶってみたり、ぺろぺろ舐めたりして反応を確かめる。
すると、どうやらそこは敏感らしく、声にも快感の色が混じってくる。
「うぁんっ…はぁ…んん…あ…」
夢中になって吸っていると、フィムが喘ぎ混じりに言う。
「んっ…マルド…おっぱいだけじゃだめ…下も…おねがい…」
乳房から口を離すと、マルドは謝った。
「ごめん…。気持ちよさそうだったから…つい興奮して」
するするとマルドは腹伝いにフィムの下半身に移動する。
その際に舌を這わせるなどはしない、というよりできなかった。
そこまでの技巧と余裕が無かったのである。
閉じている脚を少し開かせ、自分が入るスペースを作ると、秘部を覗きこんだ。

そこは汗と女性の匂いの混じった、不思議な空間。
和毛はしっとりと濡れていて、秘部を晒け出していた。
初めて間近で見る女性器に見入ってしまうマルドだが、またもフィムから注意が。
「恥ずかしいんだから…あんまり見ないで…」
「ん…ごめん…」
今度は口先だけ謝って、そこへ触れる。
独特の湿った感触があり、ほんのり温かかった。
少し指を入れると、小さな指は楽には入った。
すっかり興奮している自分の体温と混じるようで、溶けていきそうな錯覚に陥る。
「ひゃっ…ん、はぁぁっ…いいよ、マルド…好きに、してぇ…」
追い打ちのような一言で思考も麻痺し、ただフィムを求めるように指を動かした。
「ふぁっ、んはっ…あぅ…んっ、あぁっ…」
フィムの声も大きくなり、彼女もまたマルドを求めるように身体をくねらせる。
指を二本にして激しく動かしていくと、くちゅっくちゅっと淫猥な水音がし、さらに二人を高ぶらせる。
「すごい音がしてる…」
「くはっ、ひゃうっ…あふ…ぁ…んはっ…ふぁぁっ…!」
その時、ぎゅっと脚に力がこもり、マルドは挟まって動けなくってしまった。
「わぁっ!?」
びっくりした彼が素っ頓狂な声をあげる。

彼女もその声に驚き、同時に自分のしたことを知り、謝った。
「ご、ごめんね…今度は、私がしてあげるから…」
脚の力を抜き、身を起こすと割と大きなマルドの肉棒に手を伸ばす。
手の中にすっぽり入るほどの、しかしそれなりの太さを持ったそれ。
「あ…さっきから見えてたけど、近くで見ると結構おっきいんだ…」
確かめるように握られると、マルドは急に照れくさくなり、顔全体が真っ赤になった。
「う………」
フィムはゆっくりと手を上下させ、ひくひくと僅かに反応するそれを弄ぶ。
すべすべした彼女の手に包まれ、軽くしごかれただけで快感が全身を駆け巡る。
「うぁ………」
思わず呻いてしまったことを恥じ、口をつむいだ。
それに気づいたフィムは、彼に優しく囁く。
「声、出してもいいのよ…?これからもっと気持ちいいことするんだから…」
まず手で茎を握って、先端を舐めた。
ミスラ特有のざらざらした舌が、彼の亀頭を刺激する。
「………ッ!」
瞬間、ぞくっとするような快感に襲われ、声にならない声をあげる。
手でやわやわとしごきながら、フィムは先端をぺろぺろと舐めた。

ざらついた感触とぬるぬるした感触が同時に襲い、マルドは堪えきれず呻いてしまう。
「くぅ………うぁっ」
フィムはそれが嬉しくて、肉棒を口に含んで顔を細かく上下させた。
それによって、マルドの肉棒はさらに硬度を増した。
「うぁあ…っ!フィ、ム…っ!」
全身が快感に支配され、身体が動かない。
ただ彼女の為すがままになっていた。
「んっ、ふ…んん…ん、ん…んむ…」
強すぎる快感に、とうに彼の肉棒は限界を超えていた。
マルドはそれを彼女に告げる。
「フィム…っ、僕、もうっ…!」
「んん…」
亀頭の辺りを刺激して射精を促すと、すぐにマルドは精を放った。
「うぅ………ッ!!」
どくっどくっと注ぎ込まれる白濁液を、フィムはこくりと飲み下す。
マルドのそれは未だ萎えておらず、まだ残っていた白濁を舐め取るのに都合がよかった。
「ぷぁっ…ごめんねマルド…。私より先にイカせちゃって…」
口の端に白濁液を付着させて、フィムはすまなそうに言った。
絶頂の余韻で息を荒くしていたマルドは、ゆっくりと応える。
「…いいんだ。この後、二人で、気持ちよくなれば…さ」

その言葉に、フィムは弾むような声で応える。
「うん…♪」
フィムはまたベッドに身を倒し、脚をMの字に開いた。
マルドは気だるい身体をなんとか動かし、未だ大きくなっている肉棒をフィムに押し当てる。
そのまま前に身体を進め、ゆっくりとフィムの秘裂に進入していく。
ぬるぬるした膣内が、舌とは別の快感を与え、さらに締めつけた。
根本まで入れると、マルドは呻きつつフィムの締めつけを味わう。
「うぁ…フィムの中、かなりきつい…」
「んぅ…私も…いいよ…マルドの、予想、以上に…おっきいから…」
しっかりと自分の中に収まったそれを確認しつつ、フィムは息を荒げた。
それでも、本能的になのか、腰を揺すってマルドを求める。
それに応じるように、彼も動き始めた。
ぐちゅぐちゅという淫猥な水音と、ぴたんぴたんと腰がぶつかる音が部屋に響く。
「んぁっ…あっ、ん…はっ…あぅっ…んんっ…」
それにフィムの喘ぎがプラスされ、より一層淫らな空気を作っていた。
「くっ、うっ…フィム…フィム…ッ!」
愛する人の名を呼びながら、マルドはひたすらに腰を打ちつける。

「ふぁっ…んく…ふぅっ…んぁ…あくっ…んうぅっ!」
脚を閉じてしまいそうになるが、懸命に抑えて喘ぐフィム。
彼女は今までタルタルとは経験がなかったので、ここまで快感を得られるとは思わなかった。
そんな別の意味での初体験に、フィムはマルドでよかった、と秘かに思う。
とうとう抑えが効かなくなり、脚が閉じかけたところでマルドが呻く。
「フィム…っ、そろそろ…イケそう…?…っ、僕も、もう…っ、すぐだから…っ」
「んっ…あっ、あっ…たし、も、すぐっ…んぁっ!」
フィムの喘ぎが大きくなり、部屋に響く音や、腰の動きもそれにつれて大きくなる。
やがて、二人の快感が極まった。
「フィム…ッ、でる…よ…っ!」
「んぅっ!マ……ド……んぁぁっ!!」
二人はびくびくと大きく痙攣し、フィムの膣内に精が注がれる。
腹の中が妙に温かい。
それすらも心地よく感じ、フィムは絶頂の余韻に浸っていた。
ふとその時、股間の辺りから声が聞こえる。
「うぅ…フィ、ム…くるし…」
またも両足に挟まれ、苦しむマルドだった。
「きゃっ…ごめん、大丈夫…?」
心配そうに声をかけて足をどけると、フィムは彼を抱き上げた。


ようやく解放されたマルドは、ため息をつく。
「大丈夫じゃないよ…危うく死ぬところだった」
力の入らない身体をどうにか動かして、フィムの中から肉棒を抜く。
お互いの体液を拭き取り、後始末を終えると、マルドはお互いの顔が見える位置に寝た。
「ごめん…次はバックでしよっか。そうすれば挟まないで済むし」
「ん…また今度…ね」
力なく言うマルドにキスをして、フィムは微笑む。
「うん。また今度…」
程なくして、二人は眠りに落ちてしまった。
二人の雰囲気を察して家具に隠れていたモーグリが起こしに来ても、二人は起きなかったという。


かくして、変わり者達の恋は実り、この物語は終わりを迎える。
いずれまた彼女達の活躍を、ここに記そう───。

     〜fin〜


〜変わり者と珍味〜