Love & Death
← 第3章 [Die Young]
夢の中。
牢の中。
優しげな男。
獣の様な男。
音の無い夢の中にアネシアはいた。
監獄で犯されている夢。
痛みまでもが感じられる夢。
手の先にまで痛みが通る。
男の腰が揺れ、体を貫かれる痛みを感じる。
泣き叫んでも声が出ない。
いや、聞こえていない。多分、声は出ている。
熱い物が胎内に入り、僅かな快楽と激痛を体に残し放心する。
以後、アネシアは男に恋をした事が無い。
いや、恋はする。
しかし、相手がいかに優しそうな顔をしていても。
それが、善意での顔であると思っていても。
あの時の情景が僅かに甦る。
よって、体を重ねる事も無く、時間は無為に過ぎていった。
体と心のストレスは冒険が全て解消した。
未知の場所、初めての敵。
全てが衝撃で、それが性欲に取って代わった。
だが、時が経つにつれ…。
新鮮味と言う情景は数が少なくなっていく。
そうなると、体のイライラは溜まっていくばかり。
忘れていたと思った情景は男を見る度思い出される。
思い描く夢も、全ては幻想でしかない。
そんな時に、ジュノで出会った。
「う…ん。」
もそもそと体を動かし、ベッドから身を起こした。
あの悪夢を見たのは久しぶりだ。
苦い思い出。
忘れたくてもフラッシュバックしてはアネシアを苦しめる。
「うー…」
不機嫌な顔をし、アネシアは外に出る。
そう、嫌な気分は全て吹き飛ばせば済む事だった。
暖かい日差しがアネシアを包む。
サンドリアの活気ある商店が好きだった。
ゆっくりと歩くと遠目に長身の女騎士の姿が見える。
「あ、おー…」
と手を振り叫ぼうとするや、横に見える黒い影。
エザンの姿だった。
アネシア曰く『憎いあんちくしょう』がディエリーザの横にいた。
そして幾晩か前に盗み聞きした声が頭の中でリフレインする。
あれを間違いだと思っていたかった。
何だか少しムッとした気分になり、踵を返し、露天で林檎を買って食べた。
少し、酸っぱかった。
「はぁ…」
先ほどまでの高揚しかけた気分は一気にブルーゾーンにまで落ち込んだ。
と、ふと頭を上げる。
別にディエリーザとアネシアは恋仲でもない。
会って深く話した訳でもない。
ただ、単にアネシアがディエリーザを気に入っているだけである。
別にディエリーザが誰と歩こうが勝手だ。
だが、それに嫉妬してしまう自分に憂鬱になる。
「うん、別に普通に話しかければ…」
しかし、今横には宿敵とも言えるエザンがいる。
と言ってもアネシアの一方的な思い込みでしかなく
エザンは大して気にしてもいないのだが。
「うー…」
結局、沈んだまま噴水の前で林檎を齧る。
気付かぬまに結構食べてしまっていた。
芯はゴミ袋にポイと捨て、俯く。
何だか少し悲しくなってくる。
「はぁ…」
ため息が止まらない。
青い空はあんなに広がっているのに。
自分の心はずっと満たされない。
何て悲しいのだろう。
ここまで来るまでに仲間はいた。
だが、死ぬ人もいる。
怪我を機に冒険者をやめる者。
ある程度限界を感じ普通の商売をする先達。
いつも行ってた場所で消息不明になった者もいる。
「残酷…よね…。」
出会った人の大半は、もう同じステージに立ってはいない。
数々の思い出が体を通り抜け、途轍もない虚無感がアネシアを襲う。
いつか自分もこうなるのか。
誰かに時々、思い出されるだけの存在になるのか。
自分もいつかは終わりが来る。
それは覚悟しているが、その恐怖は簡単に克服は出来ない。
いつまでも生きていたい。
幸せを享受していたい。
何人の人間が思い、そして適わなかった事か。
儚い存在である事をまざまざと認識するのが怖かった。
普段の明るさはその反動なのかもしれない。
明るい日差しも
青い空も
この喧騒も
自分からはいずれ消え去る。
体を抱え、うずくまる。
「いや…いやっ…!」
牢獄に入れられてた時の寒さの様だ。
「どうしたの?」
「……何やってんだ…。」
同時に声をかけられた。
ディエリーザとエザンがそこにいた。
好きな人と嫌いな人に同時にかけられた声に、どんな顔をすれば良いのか解らない。
「ん…」
と小さく返すの精一杯だった。
盗み聞きしてしまった、あの声が、頭の中で繰り返される。
顔をふっと上げると、目の前にはディエリーザの顔が。
「ひゃっ!」
驚き少し仰け反る。
「顔色、少し悪いじゃない。」
「あ、そのえっと…」
突如アップになったディエリーザの顔を見て顔を真っ赤にする。
「ほんとに…大丈夫?」
「あ、えとその…。だ、大丈夫!大丈夫だから!」
手をパタパタと動かす。
「そう、なら良かった。」
ディエリーザがニッコリ笑うとアネシアはホッとすると同時に胸の奥が熱くなる。
隣にいるエザンをそっと見上げる。
幾前かの晩に聞いた声が頭の中で繰り返される。
「……何かあるのか。」
エザンが口を開く。
見上げてたアネシアの視線を感じていたのだろう。
「……別に…そんな訳じゃ…。」
僅かな嫉妬。
自らに向けられない感情を一心に受けるが故の羨み。
「ホントに…大丈夫?」
再びディエリーザがアネシアに声をかける。
エザンの会話に何かが引っかかったらしい。
「そんな…訳じゃないんだけど……。ねえ…私達…死んだらどうなるのかな?」
「腐って骨になって土になるだけだ。それがどうかしたか?」
エザンが最もな事を言う。
だがアネシアが聞いているのはそんな事ではない。
「死んだら…。私達は暫くは思い出して貰える。だけど10年後は?50年後は?100年後は?生きてるって何?
今、ここで見える青い空も。雪原で見たオーロラも…自分がした体験はどこに残るの?
消えていくのが怖い…。何もかも…最後に消えるなら…!」
寒い。良い天気なのに。
死を予感する寒さ。
その寒さに震えるアネシアに酷な言葉が叩きつけられる。
「勝手に悩んでろ。そんな物は、他人から聞いて納得出来ない物だ。
だったら、ずっと考えてれば良い。気付いた時は墓の下だ。」
アネシアが立ち上がり、エザンを睨む。
「あ…あんたみたいに好き勝手生きてれば良いでしょうよ!!何も悩まなくて!ただ殺してれば満足なんでしょ!?
子供の物壊して、叩き切って!!あんたに…あんたに私の事が解って欲しくも無いわよ!!」
牢獄の中、死を予感していた。
明日なのか。それとも明後日なのか。それとも……今日なのか。
死が怖かった。
ゆっくりと迫る恐怖が身を蝕むのを体験していたアネシアに取って死の予感は何物にも勝る恐怖だった。
そんな中、恥辱的でも。泣きたいほど苦しくても。その条件を飲むしか無かったなら…?
「恵まれてるんだな。お前以外が辛い思いをしてもいないと思ってる…めでたい頭だ。」
「ちょ…ちょっと、2人とも!」
2人の対峙に少しオドオドしてたディエリーザが止めに入る。
パァン!!
アネシアの平手打ちがエザンの頬に入った。
しかし、意に介さずエザンは言葉を続ける。
「死はすぐに隣に存在すると言うのに、そんな事を悩んでいる。そんな事を考えて、死に到る。実に結構だな。」
珍しい程に饒舌なエザン。
「な…何よ!!だったら、あんたは死ぬのが怖くないの!?本能で生きてるのが、ただ壊す事だけ!?
馬鹿馬鹿しいにも程があるじゃない!死ぬのが怖くて何が悪いのよ!!死ぬのが怖く無いなら…
あんたこそ死ねば良いんだわ!」
顔色を変えずにいたエザン。
死ねと言われた事は数知れない。
昔からそうだ。だからその言葉で死にでもしない限り、エザンは意にも介さない。
パン!
だが、次の瞬間、エザンは驚いた。
目に涙を溜めながら、ディエリーザがアネシアの頬を叩いていたのだから。
「……“死ね”なんて…使うもんじゃないでしょ…?」
アネシアはディエリーザに叩かれた事が解らず呆然とする。
いつの間にか数人が集まり、3人を囲んでいた。
「う…うっ…うああああああん!!」
辛い事からの解放を求めるが如く、アネシアはまるで子供の様に泣き出す。
「………どけ。」
どうしたら良いのか解らないエザンは、複雑な顔をしながらも人を押しのけ、その場をアッサリと離れてしまった。
「あ、その…な…泣かすつもりじゃぁ…。」
ディエリーザは驚き、涙を溜めた目をそのままにしどろもどろ。
アネシアの頬を伝う涙は止まらない。
結局泣き止んだのは陽が傾き、空が茜色に染まった頃だった。
「うー……ぐずっ…」
まだ少し泣きながら、ディエリーザに寄りかかる。
「ほら…。」
ハンカチを差し出され、涙を拭くアネシア。
少し疲れた顔をしながらも、ディエリーザはアネシアの頭を撫でている。
「辛い事…あったんだよね…。」
ポツリとディエリーザが口を開く。
「何があったのか…私には解らないけど…。でも死ねなんて言ったらダメよ…。
皆、辛い事があって、悲しい事もあって…それでも、何とか生きているんだから。
一生懸命…。いつか死ぬ事があっても…後悔しない様に生きるの…。」
後悔しない様に生きる。
それがどれだけ簡単で難しい事か。
まだ、未熟な頃組んでいたガルカを思い出す。
「もう…右足…動かねえんだ…俺はここで引退…だな。
なぁに、暗い顔すんなって!飯屋でも開いて、楽しくやってくからよ!」
オークの斧で右足の腱を切られ、彼の右足は動かなくなった。
ケアルを一生懸命唱えたが、傷は塞がっても足は僅かに動くのみ。
アネシアは自らの力を恨みながらも、そのガルカは笑っていた。
自信がついてきた頃、引率した駆け出し冒険者を思い出す。
「私…いつか…なれますよね……立派な冒険者に…お母さんを…楽させて…あげな…。」
倒したと思ったヤグードの決死の一撃で彼女は死んだ。
骨も砕け、血は止まらず、激痛であろう中で笑って死んだ。
タロンギの星空を眺めながら。
「あー…疲れちまった…俺も歳だな…。」
ある時組んだエルヴァーンがそんな事を言った。
力強く動くも、彼には限界だったらしい。
ジュノの片隅で彼はそんな事を言った。
数ヵ月後、彼は結婚し冒険者稼業から身を引いた。
今は幸せに家具を作っている事だろう。
「ふっふーん。これでフナ一万匹ニャ〜!」
ニコニコ笑いながら釣り糸を垂れていたミスラがいた。
ある日、海賊の襲撃に巻き込まれ、彼女は行方不明になった。
生死も解らぬまま、彼女はアネシアの思い出となった。
「全く、貴女がもう少し早く敵を寝かせてれば……」
嫌味な口調のエルヴァーンを思い出す。
言い争いは耐えなかったが、生き生きとしていたんだと思う。
そんな彼女は、獣人に捕らえられ帰ってきた時は狂人となっていた。
かつての性格はどこへやら。ケラケラと笑いながら、どこかへと消えていった。
「へっ。だからオメエはダメなのよ。もっとでっかく行けよ、でっかくよ。」
そう言ったヒュームがいた。
悪態をつきながらも、ニカっと笑うその顔は多くの女性を魅了した。
だが、彼はモンスターに食われ、その遺骸すら残さずこの世から消えた。
数々の別れが、アネシアの胸に去来する。
その度に胸がズキズキ痛む。
出会いと別れが白いカンバスを埋めていく。
己の意図しない模様を描き、乱雑で美しく、醜く、整合性も無い。
だが、出会いと別れはそんな物で、人にどうにか出来る代物ではない。
アネシアは白いカンバスのままが良かった。
何でも描ける、描くまでいつまでも迷っていたい。
素敵な色をのせた後に塗り潰されたくは無い。
だから、その素敵な色をずっと考えて悩んでいたい。
出会って別れる事も無く、楽しく過ごせたら良かった事だろう。
だが、果たしてカンバスは白いままを望んだのだろうか。
何かを描かれる為にカンバスは白いのだ。
己が役目を果たさぬカンバスは幸福であるのか…。
「皆…私から…離れて行ってしまう……うっ……ぐずっ…。楽しい時も…ずっと一緒だったのにっ!!」
ディエリーザはアネシアの頭をそっと抱きかかえる。
「そうね……私も沢山失ってきたわ…。でもね、アネシア。出会いがあると言う事は…
別れも絶対にあるのよ。悲しい事だけど…。別れがあるから、出会いがある…。
私は…アネシアと出会って嬉しかった。でもね…いつかは…。」
そう言った瞬間、アネシアがディエリーザに抱きついた。
「お願い……それ以上は……言わないで…。」
「ん…ごめんね…。」
まるで、すがりつく子供の様にアネシアはディエリーザに寄りかかる。
暫く、頭を撫で夜空を眺めていた。
昼は少し暑い日差しも今は涼しい。
その時、完全に泣き止んだアネシアが口を開いた。
「……ねぇ…あいつ…エザンと……何があったの…?」
瞬間、ディエリーザは体を硬直させる。
「え、えと…、な…何にも無いわよ…。」
僅かに目が明後日の方向を見る。
「隠さなくても……良いよ…。」
「……その…あの…。」
アネシアが腕に少し力を込める。
「……何があっても…良いの…。でも…私じゃダメかな…?」
寂しそうで不安を匂わせる表情。
でも、何故。
彼女の様な器量良しならば、素敵な恋人の一人や二人いてもおかしくは無い。
いや、単に今いないだけなのかもしれない。
だが、何故心の寄り所を求めるのが自分なのか。
ディエリーザは全く解らなかった。
「…私には…解らない…アネシア…。何故…私なの?」
その言葉に対し沈黙を続けるアネシア。
「アネシア…私は…壊れてる人間…。どこか…ね“オカシイ”のよ。
多分…これからも…。だから…私じゃ…。」
アネシアは腕を解かない。
「ううん……。私も…壊れてるから…。ずっと…この先も…。」
また泣き出しそうな声を出し、抱きつく。
ディエリーザは何も言わなかった。
ただ、アネシアの頭を撫でていた。
そっと、ディエリーザはアネシアの髪を撫でた。
艶やかな色が、僅かに燃える火に映える。
頭を撫で、その華奢な裸身に触れた。
その感触に僅かに体を震わすアネシア。
「…少し…怖い…?」
「…ん…。でも…平気。」
そう言うとそっと、ディエリーザはアネシアに口付けをする。
そして、ベッドへと倒れこんだ。
アネシアが上に乗り、尚もディエリーザの唇を求める。
ディエリーザも必死に舌を絡めるアネシアに負けじとアネシアの口を舌で犯していた。
不意に、ディエリーザがアネシアの胸をそっと撫で、時に揉み始める。
「あ…ふぁ…。」
指先からの熱がアネシアの乳房へと広がっていく。
ディエリーザの温もりが、少しづつアネシアへと沁みこんで行く。
ディエリーザの指はアネシアの体を撫で、アネシアの体に官能を刻み付ける。
アネシアは初めて同性に抱かれる感覚に酔いしれていた。
男性へ対する恐怖。
それが微塵も感じられない……初めて肌を重ね合わせる感覚。
「ああ……うん…きゃん!」
不意に、ディエリーザの手が足の付け根にもぐりこむ。
微妙に指を動かし、クリトリスを刺激する。その度にアネシアの体はディエリーザの上で体を躍らせた。
「あっ…あぅっ…あっ!!」
アネシアが官能に身を委ねて来ると、最初はあんまり乗り気では無かったディエリーザにも火がついた。
少し、笑ったかと思うとアネシアと身を入れ替え、ディエリーザが上になる。
アネシアの足を掴むと思い切り横に広げ、開脚させた。
「やあっ!」
恥ずかしさに足を閉じようとするが、ディエリーザは手を離さない。
「うふ…。こんなに濡れちゃって…。」
そっと、指で閉じた女陰を撫でる。
すると、それに反応するのか更にしとどに蜜を溢れさせる。
「あらあら、シーツ濡らしてるわ…。」
そう言うと、そっと顔を近づけ舌をつけた。
ピチャリ…くちゅ……ぺチャ…。
「あっ…きゃあっ…あっあっ…!!」
舌で蜜を舐め取るが、一向に蜜はなくならない。
逆に舐めれば舐めるほどに蜜は奥から湧いてくる。
「ん〜いつまで舐めても無くならないわ…。アネシアは…エッチな子ね…?」
「そ…んなんじゃ…んむぅ!!」
愛液に塗れた唇でアネシアにキスをする。
少しショッパイ味がする舌で口を犯される。
それだけでアネシアの体はドンドン熱くなる。
更に不意に女陰に入れられたディエリーザの指がアネシアの感じる部分を探り当てた瞬間。
「あっ…あっ…やぁ…あああっあああああああああ!!!!!」
腰が浮き、体が痙攣すると同時に達する。
「あら…早いわぁ…。じゃ…もう1回…。」
絶頂に達したすぐ後に、再びディエリーザが体を撫で始める。
「ひゃん!ま、…待っ…ああっ!!きゃああう!!」
快楽の余韻が残る体は更に敏感になる。
「ふふ…ちょっと…いたずらしちゃうわね…。」
そう言うと、指を激しく動かし、アネシアの膣を激しく出入りさせる。
「あっ…あっきゃああっ!!!」
2度目の絶頂。
それは激しく潮を吹き、ベッドの上をベチャベチャに濡らす。
「はぁ…はぁ…あっ…あっ!?」
2度目の絶頂に昇りつめたのもつかの間。
ディエリーザは、再び手を激しく動かす。
「あ……ひぃいいぃぃいい!!」
3度目の絶頂。だがディエリーザは手を止めない。
ぐちゅぐちゅとアネシアの女陰を延々と刺激し続ける。
空気を求める魚の様に口をパクパクさせ、体を震わせる。
口から涎が、出て顔を伝うがそれをも気に留めない。いや、留めることが出来ない。
目の前が真っ白になって、火花が飛ぶ。
一瞬だけ景色が戻って見える天井とディエリーザの顔。
状況を判断する前に、再び快楽で真っ白になる。
一瞬気を失っても、また快楽で引き戻される。
「はぁ…はぁ……。少し…疲れちゃった。」
そう言って、手を動かすのをやめたのはアネシアが何十回と言う単位でイかされた後だった。
ベッドの上は愛液と気を失った時の尿でぐしょぐしょだった。
体がガクガクと震え、息を荒げるアネシア。
快楽が頭と体の芯まで叩きこまれ、現実が把握できない。
快楽だけが感覚の全てだった。
これを暫く続けられたら快楽だけが頭にある色情狂になってしまうかもしれない。
アネシアはボーっとした頭で、ディエリーザの胸へ顔を押し付けた。
何も考えてない行動。
まるで赤ん坊でも出来たかのようにアネシアを抱きしめるディエリーザ。
その時、アネシアは視界の端に白い物がディエリーザの肌を伝うのが見えた。
それは、母乳。
ディエリーザが快楽に狂った末起きた体の変化。
そっと、舌を出し舐めてその源の乳首へと舌を当て母乳を味わう。
「あっ…!」
ぴくりと疲れた体を動かすディエリーザ。
その感触に乳首が少し隆起する。
まるで赤ん坊の様に乳首を口に含み、母乳を飲むアネシア。
「んくっ…あっ…!」
舌で舐められ、吸い上げられる母乳がディエリーザに僅かな快楽をもたらす。
少しづつ頭がはっきりするアネシア。
何度も絶頂に達したのが少し悔しいのかディエリーザの胸を重点的にせめる。
舌で乳首を転がし、右手で大きい乳房を揉みしだく。
「あっ…ふあぁ…!」
感じる度に母乳が溢れる。
少し甘い乳をゆっくりと飲み干すアネシア。
隆起した乳首は段々とディエリーザに大きい快楽をもたらす。
アネシアが起き上がり、ディエリーザの脚を掴み、頭の方へと持っていく。
そこにある茂みは愛液で肌にはりつき、クリトリスはまるで子供の小指の様に充血していた。
指でそっと弾く。
「はぁう…!!」
それを見て、アネシアはディエリーザのクリトリスをそっと口に含むと舌を使い舐め始めた。
「あっ…あああっ…ひっいいい!!」
体を電撃が走る。
僅かに歯が当たる。
それがえも知れぬ快楽となってディエリーザを襲った。
自らの胸を無意識に弄り、快楽をむさぼるディエリーザ。
「…私もエッチだけど…んちゅ……ディエリーザは…もっとエッチだね…ちゅぷ…。」
愛液に顔を汚しながらも、クリトリスを口に含み続ける。
快楽の震えが止まらない。
「……さっき…ん……ディエリーザ…むちゅ…こっち弄ったけど…」
そう言うとそっと、女陰を指で撫でると、びくんと体が震えるディエリーザ。
「こっちは…どうかなあ?!」
悪戯する子供の笑みを浮かべ、アナルに指を二本、差し入れた。
「ひぃぃいい!?」
体を硬直させ、嬌声をあげるディエリーザ。
そこは、父との性交で良く交わった場所。
何度も男根を突き入れられた肛門はもはや性器と変わりなかった。
「あはぁ…こっちの方が好き何だ…。」
そう言うと、アネシアはもう片方の指も二本入れ、肛門を指でかき回す。
「あぁおおおおおおおおお!?」
狂いそうな程の快楽。
特に快楽に弱い場所を容赦なく責めるアネシア。
「あぎううううう!!ああっあっ…ひああぐううう!!」
歯を食いしばるも、何度が絶頂に達する度、潮を吹きアネシアの顔にかかった。
「ディエリーザ…凄い……綺麗…。」
快楽に溺れる顔。
光る愛液と汗。
淫らなその姿が今のアネシアには凄く綺麗に見えた。
「ああっ…ぐうううああああ!!おおっ!!おああっ!」
はしたない声を上げながら、絶頂に達するディエリーザ。
それだけ弱い部分なのだろう。
牢獄の中で快楽に溺れたら自分もこうなれたのだろうか。
一瞬の錯覚。
だが、それはそれで幸せになれるのかもしれない。
過ぎ去った事ではある。
二度と戻らない。
今は今でしかない現実。
目の前にいる淫らな女。
そして、淫らな自分…。
これで良いと納得しながら、ディエリーザを責め、そしてディエリーザはアネシアを責め続けた。
二人の嬌声は部屋の中でこだました。
夜があけるのはまだ先の事。
それまで、ゆっくりと…楽しむのも良い。
アネシアはそう思い、自ら開けた快楽の扉へと飛び込んだ。
カンバスに描かれた色は淫らで綺麗な…不思議な模様。
To Be Contined
次回Love & Death予告!
太陽!!
海!!
水着!?
セルビナで海水浴を楽しむ3人。
ぎくしゃくとするディエリーザとエザン。
笑いながらスイカを齧るディエリーザ。
不揃いな3人は今日も今日とて大騒ぎ?
次回、Love & Death
第5章『Quicksand Jesus』
エザン「お前……これ…は?」
アネシア「え?ジュノでデザイナーさんに頼んだ水着。」
ディエリーザ「あのー…さ、流石にこれは……。」
エザン「……わ、私は着ないぞ!!」
アネシア「え〜?大人気ブランドなぁにぃいいい!?」