マウ:ミスラF6A ナイト
ディーン:種族はお好みで脳内変換してください(/ω\)

1.
光曜日の満月に照らされたアットワ地溝。千骸谷とは逆方向の、冒険者も滅多にくることのない茶色い砂岩だらけの荒地を、小走りに走るやや小柄な人影があった。
クァールのものによく似た耳と尻尾、月明かりに照らされて白と銀色に輝くアーティファクトから、その人影がミスラのナイトだと分かる。
「あぁもう・・・こんなに早くきちゃうなんて・・・!」
ミスラのナイト、マウ・ラパーマは不機嫌そうに呟いた。
やがて、ガルカなら一人、ヒュームやミスラなら詰めれば二人は身を隠せそうな小さな洞窟を崖の下に見つけたマウは足を止めた。
(いつまでも走っててもしょうがないし、ここにしよう)
洞窟の奥にカバンを置き、壁に剣と盾を立てかけてから、マウは羽織っていたマントを地面に敷いて腰を下ろした。
座ったままの姿勢でマウはしばらくなにかに堪えていたようだが、やがておずおずと手を自分の股間へと近づけていく。
「んっ・・・」
(やだ・・・もうこんなに・・・)
指先に熱い湿り気を感じると、マウは自分を定期的に襲う生理現象が疎ましくてたまらなくなった。
マウに訪れたのは、ミスラ特有の生理現象であるヒート、いわゆる発情期だった。


―――数分後
(赤/獣はソロ狩りが楽だっていうけど本当だな)
操っていたアントリオンを【かえれ】で解放し、
満足そうに頷いて周囲を見回したディーンは、
自分がまるで土地勘のない場所にいることに気がついた。
(やべ、まだアットワの地図持ってないんだった)
狩りの獲物を求めて、思ったより奥のほうまで来てしまったようだ。
間の悪いことに、こういう時に限ってデジョンカジェルも呪符デジョンも
忘れてきたりするもので。
サポ獣ではテレポやデジョンといった移動魔法も使えないとなると、
長い時間をかけてブブリム半島にあるアウトポストへ行くしかないのだが、
夜のアットワ地溝を歩き回るのは大変な危険を伴うことになる。
なぜなら、この地では太古の怨霊であるコースと呼ばれるアンデッドが、
夜になると地表を徘徊するようになるからだ。
とにかく、安全に休息できる場所を探すためにディーンが歩き出そうとした瞬間、
「はぁ・・・ん」
甘ったるい吐息交じりの、若い女性の声が聞こえてきた。
ディーンは驚いて周囲を見回すが、彼以外の人影は見えない。
アットワ地溝のこんな外れに、自分以外に人がいるとは思えないのだが・・・
「あぁ・・・ダメェ・・・」
空耳かとディーンが思い始めた時、先程よりもはっきりとした声が聞こえた。


なぜこんな所で若い女の喘ぎ声が聞こえるのかとディーンが念入りに周囲を見渡すと、
すぐそばの崖に洞窟を見つけた。声はそこから聞こえてくるらしい。
ディーンは喘ぎ声の主に気づかれないように小声でデオード、スニーク、インビジと立て続けに魔法をかけて、
己の気配を完全に絶ってから慎重に洞窟へと近づいていった・・・


『マウちゃん、もうすぐアノ日なんでしょ? やっぱり戻ったほうが・・・』
『私もそうしたいけど、実家に仕送りしてお金がなくなっちゃったし、しょうがないよ』
『生活費くらいなら貸せるのに・・・』
『ごめんね。お金の貸し借りはしたくないの。やるとクセになって、
何度も借りちゃいそうだし・・・気持ちだけ受け取っておくね、ありがとう』
ヒートが始まることを心配する友人の女性冒険者とそんな会話を交わして、
タロンギ渓谷のテレポイントで別れたのが2日前。
ヒートになって発情したミスラの女性は多種族の男たちにとって、
格好な欲望の捌け口となってしまう。
ミスラたちもそれを警戒して、ヒートの間は決して人前へ姿を現さないはずなのだが、
マウの厳しい懐具合がそれを許さず、風のクリスタルを集めにアットワにやってきたのだった。
先月のヒートから計算して、今月のヒートはあと数日はある筈だったのだが・・・
(最近、ミッションに参加したりして生活が不規則だったせいかな・・・)
そんなことを思いつつ脚装備の上から股間を撫でさするが、
その程度の刺激では逆に疼きが強まるだけで、一向に治まる気配もない。
己を苛む欲望に堪えきれなくなったマウは、ガラントブリーチズの
黒い革製のパンツを下着ごとずり下ろすと、露わになった
自身の薄桃色の秘裂に直接指を這わせた。


「ふぅ・・・っ」
マウの吐息と共に、くちゅりという水音が股間から聞こえてきた。
動くものもなく、珍しく風もない静寂に包まれたアットワ地溝にはそぐわない、
その小さな水音が意外と大きく響いたような気がして、マウはピクリと身を竦ませる。
しかし、周囲は物音ひとつせず、月明かりに照らされた外の荒地にも人影は見えなかった。
マウは安心して小さくため息をつくと、自慰を再開した。
「はぁ・・・ん」
くちゅ・・・くちゅ・・・
マウの口から甘く切ない吐息が洩れ、股間の水音も激しさを増していく。
「あぁ・・・ダメェ・・・」
欲望に溺れかけた自分を引き止めようと拒絶の声をあげるが、マウの指は止まらない。
やがて、ここが屋外であることも忘れてマウは自分を慰める行為に没頭していった・・・


目の前で、ナイトのAFを着たミスラが自らを慰めている。
その光景にディーンの目は釘付けになっていた。
(こ、これが半脱ぎの魔力というやつか・・・!?)
ナイトAFの小手を外し、本来は股間を覆っているはずの
黒い革パンツだけをずらしただけというその姿は、
全裸よりも男に対する挑発ヘイトは遥かに勝っていた。
ナイトのミスラ――ディーンはまだマウの名前を知らない――
は身体の右側を下にした姿勢で、頭を洞窟の奥側へ向けて横たわっている。
光曜日の満月が、真昼のような明るさで洞窟の入り口から内部を照らしているので、
ミスラの剥き出しになったお尻と、細い指が艶かしく蠢く股間が
ディーンからは丸見えだった。
(なんというけしからんポーズ!!)
気持ちよさそうにもじもじと擦りあわされる両脚と、
指の動きに合わせてパタパタと揺れる尻尾に触れないよう細心の注意を払いながら、
ディーンはジリジリと近づいていった。


(ミスラは鼻が利くし、デオードもしておいてのは正解だった・・・
ナイス判断だぞ俺ww)
自分の用心深さを自画自賛しつつ、様々なアングルからミスラの痴態を
スクリーンショットに収めていく。
冒険者になって間もない頃なら『これもちょっとした冒険だよなwww』
とか言いながら後先も考えずに襲いかかっていたであろうが、
これまでの冒険者としての生活で得た経験が、ディーンに慎重である効用を
学び取らせていた。
一時の欲望の赴くまま女性を襲って、冒険者の資格を失い
監獄送りになった男は多いのだ。
そろそろ絶頂が近くなってきたのだろうか、ミスラは姿勢を変えてマントの上に
腹這いになってお尻だけを軽く持ち上げるという、なんとも挑発的なポーズをとった。
「んっ・・・! ふぅ・・・ん、くぅっ!! にゃぅ!!?・・・ひぁっ!!!」
ミスラは左手の小指を噛んで声を押し殺そうとするが、そんな努力もむなしく
喘ぎ声はどんどん大きくなっていく。
右手の指が二本、秘裂の中をかき回し、まるで背後から男に突かれてでもいるかのように、
腰がガクガクと揺れる。
清らかさの象徴のようなナイトAFに身を包んだミスラのあられもない痴態に、
ディーンも思わず前かがみになりながら、一心不乱にスクリーンショットを撮り続けた。


声を抑えようとしていたマウの左手が、後ろへと伸ばされていく。
「ふにゃぅ・・・ソコは、ダメぇ・・・」
マウの口から、自分を自制しようとする声が漏れるが、その手は止まらない。
尻尾の付け根を過ぎ、淫らに揺れるお尻の割れ目をなぞりながら、
目的の場所に到達した指が、右手がかき回す場所とは別の、もう一つの窄まりに触れる。
ソコに指が触れた瞬間、マウの身体がビクっと震えた。
最後の自制心と快楽への欲望がせめぎ合い、指の動きが止まるが、それも僅かな間だった。
更なる快楽を求めるマウの身体が、自制心を押しのけて指をアナルへと導いた。
「ひぅっ!!? うにゃぁぁぁああああん・・・・・・!!!!」
アナルに指が挿し込まれた瞬間、マウの身体がビクリと震えて、
絶頂を迎えたマウの高い声が、静寂に包まれたアットワ地溝の片隅に響き渡った。


(フィ、フィニッシュはお尻ですか・・・)
ナイトミスラの痴態を堪能しつくしたディーンは、心の中でため息混じりに呟いた。
(素晴らしいものを拝むことができました・・・ありがとう! 名も知らぬミスラの人!!)
ぐったりと放心したままのミスラを、インスニ&デードで姿を隠したまま合掌し拝む。
気配を悟られないように細心の注意を払ってはいるが、心の中では/clap連打である。

(淫らな欲望に身を委ねるなんて、サンドリアの騎士として失格だわ・・・)
自分の行為の一部始終を覗き見ていたディーンが、
心の中でスタンディングオベーションしている一方、マウは激しい自己嫌悪に苛まれていた。
覗きがいることにまったく気がつかないのは、ディーンの魔法の効果だけでなく発情期でミスラ自慢の嗅覚と聴覚が僅かに鈍っているせいなのだろう。


2.
(さてと、SSもバッチリ撮れたし、バレないうちに退散しますかね・・・)
これ以上ここにいたら理性のタガが吹っ飛びそうだと感じて、
ディーンは気配を悟られないようにゆっくりと後ずさり始めた。
(!?)
その時、なにかが近づいてくる気配を感じ、ディーンは動きを止めて様子を窺いつつ、
サポジョブの獣使いの能力である広域サーチで周囲のモンスターの存在を確認した。
すぐに、広域サーチに引っかかった恐るべきモンスターがこちらに一直線に
向かってくるのが分かり、ディーンの顔が引き締まる。
さらにもう1つ、その恐るべきモノがやってくる先触れのように、微かな足音が少しずつ
ディーンたちのいる方へと近づいてきていた。


やがて姿を現したのはエルヴァーンの男だった。
満月の光で、男の姿がハッキリと見えるので、身につけた装備と足音を立てない
独特の足運びからシーフだと分かる。
必死の形相のシーフを追って、1体のモンスターが姿を現した。
広域サーチでなにが来るか分かっていたものの、ソレを実際に目の当たりにした
ディーンの顔に再び緊張が走る。
黒いローブを身に纏い、全身を黄金の装身具で飾った骸骨が宙に浮かび、
滑るようにシーフを追いかけている。
真っ暗な空洞となった眼窩の奥で、失われた太古の呪法で蘇った邪悪な魂が
赤い光となって不気味に輝いていた。
宙を飛ぶ骸骨の正体は、コースと呼ばれるアンデッドモンスターだった。
放たれている妖気の強さが、コース族の上位種であるアークコースであることを告げている。アークコースの放つ妖気に月明かりが遮られるのだろうか、
周囲の闇が濃くなったようにディーンには感じられた。


コース族は触れるだけで人間から生命力を奪い、強力な魔法も操る厄介なモンスターだ。
加えて魔法ダメージ半減やダンスマカブル、サイレンスシール等、様々な能力を有している。
戦う理由もなく、考えなしに戦うモンスターではなかった。
仮に、追われているシーフとディーンが共闘して立ち向かったとしても、
勝てるかどうかわからない相手だ。
勿論、見ず知らずの男のために命を賭ける義理がディーンにある筈もない。
ディーンはこのままやり過ごそうと息を潜めたが、マウが体を起こす気配が感じられた。
おや、と思いそちらを見ると、マウはカバンの中からハンカチを取り出して
内股を濡らす雫を素早く拭い、下着とAFの乱れを整えて立ち上がったところだった。
マウは自慰の余韻が残る、ほんのりと上気した顔のままでコースが去った方角を見つめると、
AFが揺れる小さな金属音を響かせて走り出した。
月明かりの中で、その美しさに改めて息を飲んだディーンはその後を追い始めた。
こんな美しいミスラのためなら、命を賭ける価値があるというものだからだ。


自分の後を追う男にちらりと眼を走らせ、マウはそのままアークコースを追って走り続けた。
しばらく追跡を続けていると、コースの前を走っていたシーフがなにかに躓いたのか、
バランスを崩して地面に転がった。
シーフの背後に迫っていたアークコースが腕を伸ばす。
氷のように冷たい指で触れられると、シーフはギャッと悲鳴を上げて、
死をもたらす骸骨の指から逃れようと地面を転げまわる。
その時、丁度追いついたマウがシーフにケアルを掛けた。
獲物に魔法の援護が届いた事に気づいた魔物が振り返り、眼窩の赤い光がマウを凝視する。
アークコースの注意が自分から離れたと気づいたシーフは跳ね起きると、
ジョブアビリティの【とんずら】を発動させて、ものすごいスピードで走り出した。
シーフの姿は見る見る小さくなり、やがて岩陰に隠れて見えなくなってしまう。
マウは驚いて恩知らずなシーフが走り去るのを見ていたが、
いつまでも見送っているわけにもいかなかった。
攻撃の対象を自分に変えたアークコースが迫ってきているのだ。
マウは剣と楯を構えてコースを待ち構えていると、もうすぐお互いの攻撃が
届く範囲になるという所で、突然アークコースの動きが止まった。
宙に浮いた骸骨の足下へ魔力が集まりその場から動くことをできないようにした上に、
周囲の空気が凍りついたように無音になる。
モンスターを足止めするバインドの魔法と、魔法を使えないようにする
サイレスの魔法が発動したのだ。
「おい、こっちだ!」
声のする方を見ると、先程から自分を追いかけていた男が少し離れた場所で手を振っている。その赤い帽子と、同じ色の礼服のようなアーティファクトで男が赤魔道士だと知ったマウは、このままソロでアークコースと戦っても勝ち目がないと判断して男のほうへと駆け出した。


マウとディーンは並んで月明かりの下を走っていた。
アークコースが動けないうちにできるだけ離れなければならない。
「あんた無茶するなあ。アークコースとタイマンで勝てるわけないだろ!?」
走りながらディーンが言った。
「あのシーフの人が、まさかこっちを置いて逃げていくなんて思わなかったんです!!」
恩を仇で返されたような状況のせいだろうか。答えるマウの声は少し怒りを含んでいた。
「そう言うあなたは、なんでわたしを助けたんですか!?」
全力疾走しながらの会話なので、少し喘ぎながらマウが問い返す。
「あのまま見捨てるわけにもいかないだろ。成り行きだよ成り行き!!」
同様に喘ぎながら言い返してから、突然ディーンは足を止めた。
「なんで止まるんです?」
「この辺りはサソリやらアントリオンが多いんでね。あやつるのに都合がいいんだ」
息を整えながら聞いてくるマウにディーンが答える。
「あなたサポ獣なんですか・・・って、え? それじゃあ・・・?」
「ああ、逃げ切れそうもないし、戦おう。ナイトのあんたと赤魔道士の俺の二人がかりなら、
なんとかなるだろ」
言いながら、ディーンは強化魔法の詠唱を始めた。
「あんた、サポは?」
「赤魔道士です」
「そりゃいい、あんたもかけられるだけ強化かけといてくれ。メイン盾なんだから」


「わ、わかりました」
ディーンのペースに巻き込まれたマウが強化魔法をかけている間に、
ディーンが作戦の説明を始めた。といっても、そう複雑なものではない。
マウとディーンが操ったペットでコースを攻撃し、ディーンは弱体魔法と
回復や強化魔法で援護するという、いたってシンプルなものだった。
「奴は範囲静寂の技とか使ってくるし、俺は離れてサポートに徹するから・・・って、
もう来やがった」
ディーンに言われて、マウが自分たちの走ってきた方向を振り返る。
コースを足止めしていたバインドが効果を失ったのだろう。
妖しい気配が近づいてくるのが感じられた。
「そういえば、まだ名前も言ってなかったな。俺はディーン、あんたは?」
「マウ。マウ・ラパーマです」
「マウって・・・あんたがあの・・・!」
言いかけて、ディーンがあわてて口をつぐんだ。
しつこく言い寄ってきた男の顔面を盾で殴り飛ばした「顔面砕きのマウ」
彼女の名前はこの異名で、男性冒険者の間で広く知られていた。


「・・・えーっと、それじゃあマウさん、お互いの立ち回りはさっき打ち合わせた通りだ。
焦らずやれば勝てる」
言葉を濁してごまかすディーンに、マウがにっこりと微笑んだ。
「そうですね、とにかく勝って生き延びましょう。ディーンさん」
マウの微笑になんとなく凄みを感じてディーンがひるんでいると、周囲の闇が濃くなり、
その奥からアークコースがその姿を現した。
マウは剣を抜き放ち、高く掲げて雄叫びを上げる。
「女神アルタナよ、我に御加護を!!」
月明かりに反射して光り輝く剣と盾を手にマウが凛々しく身構えると、
それに対抗するようにアークコースが両腕を広げ、漆黒のローブを翻す。
ディーンもアークコースに向かって魔法を唱え始める。
こうして、二人の冒険者とアークコースとの戦いが始まった。


―――どれくらいの時間が過ぎただろうか。
戦闘に集中していたディーンには、数分にも丸一日が過ぎたようにも感じられる。
周囲にいたアントリオンやサソリのほとんど全てをペットとして死なせ、
ディーンとマウもあらゆるアビリティを駆使して、
ようやくアークコースを倒すことができた。
数百年の時を経た骸骨は、燃やし木のような激しさで燃え上がり、巨大な松明と化していた。
炎が完全に骸骨を燃やし尽くし、真っ黒な燃えカスが残るだけとなって、
ようやくディーンは大きく息を吐いた。緊張が去り、全身が疲労感に覆われる。
ワーロックシャポーを脱いで額の汗をぬぐうと、ディーンはいつもの癖で強化魔法を
かけ直してから、マウのほうへと歩いていく。
ダンスマカブルで操られ、ディーンに斬りかかってきた直後にスリプルで眠らされた
マウは地面に横たわったまま、静かな寝息を立てていた。
その暢気な姿に思わず笑いかけたディーンの眼が、ある一点を見つめて動かなくなった。
マウの胴を守るガラントサーコートの裾がめくれて、黒い皮製の鎧に覆われた
下腹部が露わになっていたのだ。


動きやすさを確保するために太腿の付け根が剥き出しとなっていて、
その健康的な褐色の肌が、ディーンの目を釘付けにする。
マウのこのあられもない姿にディーンは思わず唾を飲み込むが、
ともかく彼女を目覚めさせようと、肩に手を掛けて抱き起こした。
その瞬間、
「う、ん・・・」
マウが吐息を洩らし、思わず動きを止めたディーンの鼻に、甘い匂いが漂ってきた。
ウィンダス出身で、ミスラの生理現象に詳しいディーンには馴染みのある匂い。
それはミスラが発情したときに発する、男を誘惑する為の匂い――フェロモン――だった。
(あ、そういやこの娘・・・)
マウの先程の激しい自慰を思い出し、ディーンは彼女の顔をまじまじと見つめた。
その顔は戦闘以外の別のなにかのせいで紅潮し、開かれた唇からは熱い息が洩れている。
マウの銀色に輝く髪に鼻を押し付けると、髪の毛越しに彼女の熱っぽい体温が感じられ、
ヒートの匂いもさらに強く漂ってきた。
(ど、どうする俺!?)
この状況をさらに幸運に満ちたものにするか、あくまで紳士として振舞うか!?
(とにかく、ここじゃマズイ・・・)
ディーンはマウを地面に寝かせ直してから彼女の剣と盾を背負い、再びマウを抱え上げると、
先程マウがいた洞窟目指して、一目散に走り出した。


3.
洞窟に戻ったディーンは、自分とマウのマントを重ねて敷いてから、
その上に眠ったままのマウをそっと下ろした。
ヒートのためかマウは切なげな吐息を洩らしながら、しきりに身体をくねらせている。
ディーンはそんな無防備な状態のマウから目を離すことができない。
(イカン・・・このままじゃ煩悩に負ける・・・!!)
女性冒険者に乱暴しようものなら、良くて冒険者としての資格の剥奪。
最悪の場合、監獄送りだ。
仮に資格を剥奪されなかったとしても、同業者からの信頼を失って
冒険者を続けることはできなくなるだろう。
(激しく勿体ないけど、まだ冒険者をしていたいし、仕方ないんだ。耐えろ、俺!!)
ディーンはスッパリと未練を断つため、マウを目覚めさせるためにケアルを詠唱する。
(でも、もしかしたら・・・)
半ばあきらめていたが、ミスラのヒートを熟知しているディーンは
まだ僅かな希望を持っていた。


「・・・ん・・・ここは・・・?」
マウの眼がゆっくりと開かれた。ボンヤリした表情で周囲を見回す。
「!! そうだ・・・コースは!?」
マウは意識がはっきりとした瞬間、驚いてマントの上に上半身を起こす。
「大丈夫。あの後倒すことができたよ。だからこうしていられるんだ」
ディーンは、マウがダンスマカブルで操られてからの出来事を、手短に語った。
「そうだったんですか・・・わたし、コースに操られて、あなたに斬りかかったんですね・・・」
寝ていた自分に、ディーンがけしからん行為に及ぶべきか否かで激しく悩んでいたことなど、
知る由もないマウは申し訳なさそうに俯いた。
「マァ、気にしなさんな。お互い無事だったんだし・・・」
そしてディーンも、先程までの激しい葛藤などまるでなかったように悠然と構えている。


「でも・・・自分が情けないです。邪悪なモンスターに操られるなんて・・・あっ!?」
話しの途中で、マウが突然小さく叫ぶ。
ここ数日、マウを悩ませている忌まわしい感覚が不意に押し寄せてきたのだ。
(忘れてた・・・わたし・・・発情・・・!)
コースとの戦闘中は緊張して忘れていた甘い疼きが、
マウの下腹部の奥からじわじわとこみ上げてきて、理性を蕩けさせようとする。
(ダメ!・・・こんな・・・男の人の前で・・・)
激しい戦いのを経た結果の、生存本能の為せる技だろうか?
今まで感じたことのない大きな肉欲の嵐が、マウの華奢な身体の中で吹き荒れはじめた。
マウは己の淫らな欲望を鎮めようと、両腕で己を抱え、凍えたように肩を震わせている。


(キタキタキタ!! キマシタヨ――――(゚∀゚)――――!!)
荒い息を吐きながら蹲るマウの姿を見て、ディーンは心の中でガッツポーズをしていた。
(ヒートが一番キツイ時期だったら起こした瞬間にテンパるんじゃないかと思ってたけど、
まさに期待通りの展開!!)
さて、ここで押し倒せば野望の達成は間違いないところだが、
マウに無理矢理されたと思われたら、後で面倒なことになる。
(ここは、向こうから求めてくるまでグッと我慢だ・・・)
持ち前の計算高さでこう判断すると、ディーンは待ちの姿勢に入った。
どうしたのかと尋ねるのも白々しい気がするので、驚いた表情でマウを見つめるだけにする。
こういったことでは非常に芸が細かいディーンであった。


(やだ・・・どうしよう・・・!!)
男の前で発情するなど、マウにとって屈辱以外のなにものでもない。
増して、このまま男を求めるようなことになったら・・・!
(とにかく、ここから離れなきゃ・・・!)
そう思い、マウは立ち上がろうとしたが、
「あぅっ!?」
いきなり身体を動かしたせいか下腹部の疼きが一層激しくなり、地面に両手を突いてしまう。
「お、おい・・・大丈夫か?」
そんなマウの姿を見て、ディーンは思わず身を乗り出し、彼女の身体を支えようとする。
肩を抱いて起こそうとした拍子に、ディーンの息がマウの首筋にかかった。
「ひぁっ・・・!」
ヒートで敏感になっていたマウの身体は、たったそれだけの刺激にも敏感に反応してしまう。
マウの身体がビクッと激しく跳ね、
その反動でディーンがマウに押し倒された格好で地面に尻餅をついてしまった。


「あ・・・・・・あぁ・・・?」
偶然とはいえ自分からディーンの胸に飛び込んで抱き止められた今の状況に、
マウが戸惑ってディーンの顔を見上げる。
身体が密着したせいで、ディーンの身体から立ち昇る微かな雄の匂いを嗅ぎ当ててしまい、
それに反応してマウの雌の本能も目覚めはじめる。
マウの頬は見る見る桜色に染まり、切なげな吐息が激しさを増す。
胸板にかかる熱い吐息と、まるで自分を求めているかのように見つめる
欲情に潤んだマウの瞳に、ディーンの煩悩もついに限界を突破してしまった。
(あー・・・ダメだコリャ・・・)
もっとも、どんな男でもこの状況で堪えることなどできはしないだろう。


一種の開放感を感じつつ、ディーンはマウに顔を近づけ、そのまま唇を重ねた。
「・・・んっ!・・・・・・むぅ・・・!」
マウが拒絶しようと声を洩らすと、すかさずディーンの舌がマウの口腔に侵入した。
必死に押し戻そうとするマウの舌が、器用に動くディーンの舌に絡め取られ、強く吸われる。
(いや・・・! キス・・・初めてなのにこんな、激・・・!)
ディーンはわざと音を立てながらマウの舌を吸い続け、
手はナイトのアーティファクトに包まれた肩と腰を押さえ、
密着するように自分に押し付けた。
「んむっ・・・んっ・・・んぅっ・・・ふっ・・・」
ちゅ・・・ぷちゃ・・・くちゅ・・・
マウの低い呻き声と唾液の絡み合う湿った音が重なり合って響く。


激しく濃厚なキスの音が大きくなるにつれて、ディーンの身体を押し返そうと
力を籠めていたマウの両腕から力が抜けていく。
その腕はやがてディーンの首筋に絡まり、逆に自分に押し付けるように力を籠める。
ミスラ特有の少しざらざらした舌をディーンは存分に堪能し、
舌先を尖らせてマウの唇を嘗め回す。
キスの合間のディーンの息遣いが荒くなり、それがマウの顔にかかるが、
ヒートのせいかそれさえも心地よく感じてしまう。
名残惜しそうにディーンが顔を離すと二人の唾液が混ざり合って糸を引き、唇をつなぐ。
生まれて初めて体験した激しいキスに、マウの顔は先程よりも紅潮し、
瞳は理性が抜け落ちたように空ろになっていた。


ディーンはマウの小柄な身体を軽々と抱き上げると、胡坐をかいた己の脚の上に座らせた。
キスの余韻がまだ残っているせいか、マウはトロンとした表情のまま胡座の上に腰を下ろし、
その上半身がディーンの胸に寄りかかる。
マウが抵抗できない間にと、ディーンの手が素早く動き、彼女の装備を脱がせ始めた。
腕や肩、足を保護していた白銀に輝く鎧部分の留め金を外し、腰のベルトを抜き取る。
続けて胴鎧の上に羽織っている、法衣のような白いサーコートを脱がせると、
鉄鎖で編まれた胴鎧が露わになった。
この鎧の構造は意外と単純で、脇腹の部分にある革紐の結び目をほどくと、
簡単に脱がせることができた。当然、さっさと脱がせて脇に放り投げる。
残るは、鎧の金属部分と皮膚が擦れないように保護している丈夫な革製の鎧のみである。
赤茶色や黒色の鎧を脱がせられると、マウは額を守るガラントコロネット以外には下着しか
身につけていない、ほぼ全裸の状態になった。
(・・・こ、これはエロい・・・!)
戦闘中の凛々しい姿を見た後だけに、自分の膝の上にいる下着姿の
ミスラの肢体はこの上もなくいやらしく見えた。


マウの背中に手を回しブラのホックをはじくと、
下着の拘束から開放された乳房が微かに震えながら零れ出る。
装備の上からは気がつかなかったが、マウの乳房は彼女のSサイズの小柄な体格に反して、
Lサイズ級の豊かさを誇っていた。
ヒートの興奮でしっとりと汗ばんだ張りのある乳房の先端で、
乳輪と突起の淡いピンク色が輝くように、鮮やかに映えている。
(・・・では、いただきます!!!)


ディーンの両手が伸びて、マウの乳房を包み込む。
そのまま掬い上げるように下から持ち上げると、豊かな乳肉に指がめりこんだ。
「あぁっ・・・いやぁ・・・!」
マウの身体がピクンと反応し、残った理性を総動員して男の手から逃れようと身悶えるが、
ディーンはマウを逃すまいと、彼女の耳元に唇を寄せ、軽く息を吹きかけた。
「・・・ぁう・・・っ、ひぁあっ・・・・・・!」
「マウさん・・・すごい、可愛いな・・・」
マウの耳の敏感さに興奮したディーンは、彼女のクァールのものに似た耳を甘噛みし、
更に耳朶の中に舌を這わせた。
ディーンの舌の動きに合わせて、マウの身体がまたビクッと震える。
「!・・・あ・・・っ・・・はぁぁあぁっ・・・!」
(イヤ・・・恥ずかしい・・・・・・!)
ぴちゃぴちゃという耳の中で響く水音と、初めて耳奥を嘗め回される刺激に、
マウの口から羞恥と快感の入り混じった高い声が溢れる。


目尻から涙が一滴零れ落ちたが、それが悔し涙なのか、
それとも悦びの涙なのか彼女自身にも分からなくなっていた。
恥ずかしそうに涙ぐみながら身悶えるマウの反応を楽しみつつ、
ディーンの舌は頬を滑り、首筋を這いまわる。
「・・・あっ・・・ふぅううんっ・・・・・・」
ディーンのネットリとした舌遣いがもたらした、
これまでとは違うゾワリとした刺激にマウが吐息を洩らす。
そこに媚びるような響きを感じたディーンが、乳房に指を食い込ませて形をひしゃげさせた。
そのまま、乳首を指先でクリクリと転がして刺激する。
「やぁぁ・・・いた・・・!・・・あぁぁあぁぁっ!!」
(ダメぇ!・・・そんなに転がしちゃ・・・)
マウは心の中で必死に拒絶するが、乳房に指がめり込む痛みと乳首を転がされる
快感が混ざり合い、口から漏れるのは高い喘ぎ声ばかりだった。


(もういい頃だろ・・・)
そう思い、ディーンはマウの乳房を弄んでいた右手を、徐々に下半身へと伸ばしていく。
「・・・!! いやぁ・・・!」
その目指す場所に気づいたマウが、驚いてディーンの右手を摑む。
しかし、マウの抵抗を予想していたディーンはマウの胸に顔を埋めると、
先程まで己の指で弄ばれていた乳首に吸いついた。
「あっ・・・! うにゃぁっ・・・!」
普段なら決して聞くことのできないような、可愛らしい鳴き声でマウが反応する。
乳首をちゅうちゅうと音を立てて吸われ、舌先でくすぐられると、
マウの身体は意思とは無関係にヒクヒクと震え、
下腹部を目指す手を押さえる力も抜けてしまう。


開放されたディーンの右手が、マウの臍を指先で軽く撫でてから下腹部へ滑り下りていく。
もじもじと擦りあわされているマウの太腿の間に指を潜らせると、そこはすでに充分に潤い、
しっとりと湿っていた。
ディーンが指をミスラショーツにかけ、そのままスルスルとマウの足先へと滑らせていくと、
ショーツは指に引っ張られて足の爪先から抜き取られ、マントの上へ落ちた。


「あぁ・・・いやぁ・・・」
下半身を露わにされた頼りなさに、マウが弱々しく首を振り身体をくねらせる。
そんな弱々しい抵抗が、ディーンを更に興奮させてしまう。
マウの上半身をマントの上に押し倒して、彼女の両膝を自分の肩に抱え上げた。
こうするとマウは腰が浮き上がって身動きできなくなり、
ディーンの眼前で大股開きする格好になってしまう。
こうして目の前に広がった光景に、ディーンは思わず息を飲んだ。


マウの髪と同じ銀色の恥毛は、汗と愛液でペッタリと肌に張り付き、
すでに大事な部分を覆い隠す役には立っていない。
その下の優美なクレバスも愛液で濡れ光り、ディーンを待ち焦がれているかのように、
微かに震えている。
「あぁ・・・ダメ・・・こんな・・・・・・見ちゃダメぇ・・・!」
(こんな・・・恥ずかしいトコ・・・全部・・・!)
強引に股間を露わにされたマウが弱々しく悲鳴を上げ、
なんとかして恥ずかしい部分を隠そうと身をよじるが、
そんな抵抗では逆に腰をくねらせて見せ付けているようなものだ。


ディーンの指がマウの薄桃色に濡れ光る花弁をそっと押し開いた。
「おおおお〜〜〜〜〜!!」
マウの内部を覗き込んだディーンが思わず声をあげる。
肉襞同様、愛液に濡れる薄桃色の内壁、その奥に純潔の証である障壁を見出したからだ。
「マウさん、初めてだったんだ・・・」
言いながら、からかうようにマウの瞳を覗き込む。
「・・・・・・っ」
マウは睨み返そうとするが、処女であることを知られた恥ずかしさに
堪えられず脇を向いてしまう。
そんなマウの姿に満足そうな笑みを浮かべ、
ディーンは彼女の内部に指を浅く侵入させた。


痛みを感じさせないように、細心の注意を払いながら指を軽く出し入れすると、
マウの胎内から、くちゅくちゅと淫猥な音が聞こえてくる。
「キスして胸触っただけなのに、こんなに溢れてる・・・」
「いやぁ・・・・・・ディーンさん・・・いたずらしちゃ、ダメぇ・・・」
マウの懇願を無視して、ディーンの指が更に深く潜り込む。
「すご・・・中が俺の指にネットリ絡みついてくる・・・!」
「んっ・・・にゃっ・・・ん・・・!」
マウは背中を反らせて、嬌声交じりの荒い息を吐いて激しく反応する。


「マウのここ、すごく可愛いな・・・」
ディーンが調子に乗って彼女を呼び捨てにしながら、更に激しく指をくねらせた。
ヌチャッ、ヌチャッ・・・クチュ、グチュ・・・
その度に、いやらしい水音が先程よりも大きく洞窟内に響き渡る。
「イヤぁ・・・ダメぇぇ・・・うにゃああぁあぁ!」
誰にも触れられたことのない場所を弄ばれ、マウの身体が羞恥と屈辱に熱く火照っていく。
だが、同時に今まで感じたことのない大きな快感の波が押し寄せて、正気を失いそうになる。


「ミスラって、ココも弱いんだよな・・・」
マウの肉襞を丹念にまさぐりながら、空いた一方の手の指で尻尾の付け根の裏側を掻く。
「・・・!?・・・うにゃぁぁぁぁっ・・・!」
この新たな刺激にマウの背中が反り返り、ディーンの顔の両脇で太腿がビクビクと震えた。
太腿の痙攣を頬で感じながら、ディーンは割れ目の上にある突起を指で転がし、
尻尾の付け根も痛みを感じさせない程度に力を籠めて、カリカリと引っ掻く。
「〜〜〜っ!!・・・あぁ〜〜!・・・あぅぅ・・・ふみゃ・・・・・・うにゃぁぅ・・・・・・!!」
ディーンの指の動きに合わせて、マウの身体全体がガクガクと揺れる。
大きく開かれた唇から嬌声と共に唾液が筋を引いて滴り落ち、
目尻からは歓喜と恥辱の入り混じった涙が零れた。


(そろそろかな・・・)
マウの手が縋るものを求め、敷かれているマントを強く握り締めているのを見て、
絶頂が近いことを感じたディーンがダメ押しとばかりに、彼女の尻に顔を近づける。
そのままマウの後ろの穴に舌を尖らせて捩じ込んだ!
「あっ!?・・・にゃぁあぁぁ!? にゃぅ・・・うにゃぁぁぁああぁぁぁん!!!」
プシャァァァ!
アナルを責められて驚いたマウが、絶頂に達して悲鳴のような声をあげると、
潮を吹くように勢いよく愛液が飛び散った。
マウが絶頂に達したことを告げる全身の痙攣が治まると、
ピンと張り詰めていた尻尾がだらりと垂れ下がった。
ディーンが愛液でビショビショになった顔を離し、肩に担いでいた両膝を下ろすと、
全身から力が抜け落ちたマウの身体が、マントの上にぐったりと横たわった。


(わたし・・・男の人に・・・)
絶頂の余韻と激しい脱力感に襲われ、グッタリと横たわりながらマウが心の中で呟く。
男の指と舌がもたらす快感に狂い、痴態を晒し、それを全て見られてしまった。
本来ならマウには耐えられない程の屈辱のはずだが、ヒートに身体を支配され、
その虜となったマウの本能にとっては、見られることの恥ずかしさすら快感となってしまう。
この事実が、自分はヒートを意思の力で抑えられるという自信や、
ナイトとして気高く生きるという誓い、言わばこれまでマウの心を
力強く支えていた柱を粉々に打ち砕いた。
今のマウは心の支えを失い、己の内に燃え上がる性欲に戸惑い、怯える一人の少女だった。


身体の奥で子宮がまるで別の生き物のように疼き、まだなにかを求めているのが感じられる。
自分ひとりでは決して満たすことのできない、この切ないような疼きを
鎮めることのできる相手を、マウの中で目醒めた雌の本能は悟っていた。
頭を巡らしてその相手に視線を向ける。
視線の先にはマウの傍らで服を脱ぎ、己も全裸となった男・・・ディーンがいた。
その股間でそそり立つモノを見た瞬間、これから自分が体験するであろう
未知の行為が否応なく連想され、マウの心が不安に満たされていく。
だが同時に、マウの胎内の奥で熱い溶岩のような疼きが沸き上がる。


マウの心と身体の中を吹き荒れる嵐をよそに、
ディーンは彼女の両腿の間に身体を割り込ませた。
その体勢のまま己のモノを摑み、マウの胎内から溢れてくる愛液を丹念にまぶしつけていく。
勿論、先端でマウの肉襞を丹念になぞり、突起を刺激することも忘れない。
「ふにゅっ・・・はっ、ぁん・・・やぁん・・・・・・」
心の中は不安で一杯だというのに、マウは甘ったるい鳴き声で喘ぎ、
ディーンに媚びるように腰をくねらせてしまう。
(こちらのTP300%!! 貫通連携いくます!!!!!)
心の中で連携開始の合図を送り、慎重に腰を前に突き出す。


ディーンの先端が、マウの肉襞を掻き分け、徐々に奥へと侵入を開始した。
「うにゃああぁぁぁぁ・・・!!」
マウが苦悶と喜悦の入り混じった高い声をあげる。
初めての行為に対する純粋な怯えと快感への渇望が、マウの心の中で激しくせめぎ合う。
そのせめぎ合いの果てに、ひとつの思いが浮かび上がる。
――いつか出会う、心から愛する男性に初めてを捧げたい――
それは、全ての女性の心の中にある、普遍の思い。
そして、この思いは折れ朽ちかかったマウの心を支える、最後の支えでもあった。
「いやぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!!」
思いが絶叫となってマウの口から迸り、彼女の身体から強く輝く白い光が放たれた!


「うがぁぁぁぁぁぁ!?」
股間に激しい衝撃を感じ、跳ね飛ばされるディーン。
そのまま洞窟の壁に背中を激しく叩き付けられて、思わず呼吸が止まる。
(い・・・一体何が・・・・・・!?)
背中の痛みに耐え、マウを見たディーンの目が驚きに見開かれた。
(これは・・・【インビンシブル】!!?)
力なく横たわるマウの全身を包む光は、ディーンも何度か見たことがある
ナイトの究極のアビリティ【インビンシブル】のものだった。
本能的な怯えと純潔を守りたいというマウの強い思いが、
無意識に【インビンシブル】を発動させ、胎内に侵入しようとするディーンのモノを、
彼の身体ごと弾き飛ばしたのだ。


ディーンは大きく息を吐くと洞窟の床に胡坐をかいた。
情けないことに股間のモノは今の衝撃ですっかり萎えてしまっている。
だが、ディーンにとって幸いこの上ないことがあった。
アークコースとの戦いが終わった後にかけ直しておいた強化魔法が、
かろうじて肉体的な損傷から守ってくれたのだ。
(ストファラかけてなかったら、
下手すりゃナニがミンチになるところだった・・・)
いまこの時ほど、自分か赤魔道士だったことを幸運だと思ったことはない。


(まさか、【インビンシブル】にこんな使い道があったとは・・・)
あまりといえばあまりな成り行きに、ディーンの口から笑い声が洩れる。
気がつけば【インビンシブル】の効果も失われて、
マウは先程までと変わらない無防備な姿でマントの上に横たわっている。
どうやら【インビンシブル】発動と同時に気を失ったらしい。
とはいえ、ディーンにこのまま続きを再開する気持ちはなかった。
このミスラの少女の貞操観念は、並大抵のものではない。
(さすがは顔面砕きのマウってところか・・・)
また笑みが浮かぶが、マウが起きてからの修羅場を思うと、自然とそれも消えていく。
冒険者の資格剥奪、監獄送りといった言葉が頭をよぎる。


(ま、しょうがないよな。マウの気の済むようにさせてやるしかないか)
開き直りとしか言いようがないが、ディーンは自分を無理矢理落ち着かせた。
この期に及んで逃げ隠れしたり、下手な言い訳をするなどできるものではない。
その程度のプライドは持ち合わせているつもりだった。
そんなことを考えていると、ディーンが口から大きなくしゃみが出た。
アットワの夜の冷気の中で自分が全裸だったことに気がついて、
慌てて散乱していた下着を身に着けた。


自分だけでなくマウも全裸なのに気づいて、
荷物の中から野営の時に使う毛布を出してかけてやる。
その後で服を着終えると、ディーンはまた腰を下ろして目を閉じた。
(いざとなったらジタバタしない!!)
心の中で繰り返すうちに激しい眠気に襲われて、
ディーンの口から安らかな寝息が漏れてきた。


4.
「ご主人様。お帰りクポ〜〜」
モグハウスのドアを開けると、いつもと変わらないモーグリの声が出迎える。
ディーンは婦女暴行の罪でガードに拘束されることもなく、
一応無事にウィンダスのモグハウスへ帰りつくことができた。
目を覚ましたマウに朝食を振舞って彼女の怒りを和らげたり、
言い訳がましいことを一切言わない潔さを見せたりしことが、
ディーンを紙一重で救ったと言える。


ドアを閉め、大きく息を吐いてディーンが椅子に腰を下ろすと、
彼の装備やカバンを手際よく片付けたモーグリがウィンダスティーを淹れる。
差し出された熱いお茶をゆっくりと啜りながら、
ディーンはその日のマウとのやりとりを思い返した。

ディーンがマウにした――彼女曰く“淫らな行為”――の償いとは。
大きく胸を反らせながら彼女が自信満々に言い放った言葉の内容は、
ディーンが想像もしなかったものだった。
「わたしが許す気になるまで、わたしが参加している固定パーティに入ってもらいます!」
「ハァァ!!?」
その想定外の要求に、ディーンは思わず素っ頓狂な声をあげた。


「丁度、MPヒーラーがいなかったんです」
得意そうなマウの声が、ディーンの耳に蘇る。
「お互い冒険者なんだから、それに相応しい責任の取り方でしょう?」
そう言ったときのマウの顔は、相手を心底驚かせて、してやったりという表情だった。
この想定外の要求に面食らったディーンは、その後なし崩しに、
マウの呼び出しがあればいつでも彼女の固定パーティに参加して、
狩りのお供をすることを約束させられてしまったのだった。


(しっかし・・・いいのかねぇ・・・)
空になったウィンダスティーの湯呑みを弄びながら、ディーンは思った。
(いくら未遂だったとはいえ、自分にエロいことしようとした男と
行動を共にするんだぞ・・・?)
マウがあまりに得意そうな顔をしていたので言いそびれたのだが、
彼女の身になって考えれば、これはかなり危険なことではないのだろうか?
たしかに、MPヒーラーである赤魔道士がいれば狩りがしやすくなるのは確かである。
それにパーティを組んでいる間は常に複数の仲間と一緒なのだから、
身の危険はないと判断したのかもしれない。
もしかすると、自分が気づいていない裏の目的でもあるのかとまで勘繰ったが、
これはディーンにとっても好都合な申し出でもあった。
一緒にパーティを組んで親密になれば、それだけ処女を頂くチャンスが
増えるということなのだから・・・


「ご主人様、空っぽの湯呑みを見てニヤニヤして、一体どうしたクポ〜?」
モーグリの怪訝そうな声で、ディーンは我に返った。
マウと親密になった後の展開を想像して、自然とにやけていたらしい。
咳払いをしてごまかしながら、ディーンは立ち上がって大きく伸びをした。
ともあれ、これで最近マンネリ気味だった冒険生活にも、新しい風が吹くかもしれない。
「ご主人様、お湯が沸いたクポ〜」
「お、いいね〜」
ディーンはタオルを肩にかけて、ご機嫌な様子で部屋の奥にある湯浴み場に向かった。


同じ頃、マウも自分のモグハウスの湯浴み場にいた。
だがご機嫌なディーンとは正反対に、
不機嫌そうな顔で何度も頭からお湯をかぶっている。
今更ながら、ディーンにされた行為と自分の痴態を思い出し、
いてもたってもいられないような焦燥に駆られていたのだ。
(男の人と・・・あんな・・・あんなコト・・・!!)
お湯をかぶりながら、何度も頭の中で繰り返す。
「あんな過ちはもう絶対、二度と繰り返さない・・・!!」
盥に張られた湯に映る己の顔を見つめながら、マウが小声で、
しかし力をこめて呟く。
(あの人にも、償いをさせてやる・・・! ずっとこき使ってやるんだから!!)
ディーンの顔を思い出し、怒りを新たにして決意するマウ。
だが、そのせいで彼にされた行為まで思い出してしまい、
火照りかけた身体を鎮めるために、
今度は冷水を何度もかぶる羽目になってしまうのだった。

(おしまい)


ママのお手伝い