←マウさんの受難 アットワのヒートな夜
マウ:ミスラF6a
ディーン:種族とフェイスはお好みで!!
「ホント助かりました! ありがとうございます〜」
冒険者になって間もないらしいヒュームの少女が、ナイトのAFを着たミスラに頭を下げた。
「これくらいお安い御用です。さあ、あとは依頼人にダングルブの奇岩石を届けるだけです」
マウ・ラパーマはにっこりと微笑むと、先に立ってクエストの依頼人が待つ家に向かう。
“ダングルブの涸れ谷で珍しい石を採ってくる”
これがヒュームの少女が受けたクエストの内容だった。
涸れ谷でゴブリンに追われていた少女を、たまたま金策用のむきザリガニの素材を
釣りにきていたマウが救ってやり、ついでにクエストの手伝いもしてあげたのだ。
邪魔なゴブリンをマウが追い払い、
その間に少女は容易く目的の奇岩石を手に入れて商業区へ戻ってくることができたのだった。
依頼人の家に着いたマウは「お邪魔しま〜す」と声をかけてから、なにも警戒せずにドアを開けて奥の部屋へ入っていく。
部屋に入った瞬間、目の前に広がる光景にマウは思わず硬直してしまう。
「う、うぉおぉおお!!?」
獣のような呻き声に上げながら突然の闖入者に驚いているのは、少女のクエストの依頼人、ホラティウスだ。
彼はズボンを脱いで下半身が剥き出しの状態で、彼の股間でしゃがみこんでいる赤毛のミスラの頭を掴んでいる。
赤毛のミスラはホラティウスのペニスを口いっぱいに頬張っており、そこから放たれた精液を残さず飲み干してから、
ちゅぽんと音を立てて口を離した。
唇に残った精液を舌で舐め取りながら、赤毛のミスラは硬直しているマウとホラティウスを面白そうに見比べている。
「きゃああああああ〜〜〜!!」
マウの後ろから入ってきたヒュームの少女は、
ホラティウスの剥き出しの下半身を見て悲鳴をあげると、そのまま外に駆け出してしまった。
「ななななな、なんだお前らは!!? なにしにきたんだ!!!!」
少女の悲鳴で我に返ったホラティウスが、大慌てでズボンを履きながらマウを怒鳴りつける。
「わ、わたしは今の子を送ってきただけです! あなたこそなにやってるんですか!?」
「う、うるさい! ここはワシの家だ!! なにをしようがワシの勝手だ!!
用がないならさっさと出て行け〜〜!!」
マウも負けずに怒鳴り返すがホラティウスは聞く耳を持たず、
恐ろしい剣幕でマウと、ついでに赤毛のミスラも追い出してしまった。
「あ〜あ、参ったねぇ。あの成金オヤジはいいお得意さんだったんだけどねぇ」
赤毛のミスラはそう言うと、恨めしそうにマウを睨みつけた。
マウはその顔に見覚えがあった。
いつもこの界隈で裕福そうな家を窺っているミスラだ。名前は確か・・・
「ンブ・ラッテ・・・」
「あら、どこかで会ったっけ? まあいいわ。それよりも、
よくもあたしの商売を邪魔してくれたねぇ・・・どう償いをつけてくれるんだい?」
ンブの言葉に、マウは眉をひそめた。
「商売って・・・? あなた、さっきみたいなことをいつも・・・」
「ああそうさ。最近は商売があがったりでね、あんなことでもしないと稼げないのさ。
子供を食べさせないといけないんだ。綺麗ごとを言ってはいられないんだよ」
半ば投げやりな口調でまくしたてられるンブの言葉に、マウは少なからず衝撃を受けていた。
マウを育ててくれた養母の家は、かつてはサンドリアでもかなりの名門の騎士の家系だった。
しかし、20年前の水晶大戦で当主と跡取りを立て続けに失い、
領地も大半を召し上げられ、すっかり落剥してしまっていた。
それでも養母は決してへこたれず、残された小さな屋敷を孤児院に改装し、
マウのような孤児を引き取って育てているのだ。
貧しい中でも決して誇りを失うことなく、
ミスラの自分をサンドリア騎士の子として立派に育ててくれた養母の恩を決して忘れず、
今もマウは仕送りを欠かさなかった。
そんなマウにとって、子供を養うために懸命なンブは、
その手段はともかく母親の務めを果たそうとしている、立派な女性に見えた。
「ごめんなさい、ちっとも知らなかったから、わたし・・・どうすればいいですか?」
自分のせいで子供がお腹を空かせてしまうと思い、マウはすっかりしょげかえっている。
そんな彼女をじっと見つめたンブは、
高価な装備をなにも見つけられずに内心舌打ちしたが、あることを閃いた。
「金に苦労してるのはお互い様みたいだし、あたしの仕事を手伝うってことでどうだい?」
「仕事って・・・まさか、さっきみたいな・・・!」
先程の光景を思い出して、マウは思わず耳まで赤くなってしまう。
「アハハ、そうじゃないよ。さすがに素人にあんなことさせるわけにはいかないじゃないか」
マウを安心させるように、明るく笑う。
「明日の晩、あるお店で客を相手にしなきゃいけないんだけど、
あんたにも同じことをしてもらいたいのさ」
「お客・・・?」
「そう、隣に座って、客にお酌したり、話をしたり・・・まぁ、酒場のウェイトレスみたいなもんさ」
「ウェイトレス・・・」
風俗方面の知識があれば、ンブの言う店がどういう職種のものか想像がついたのだが、
マウにはその方面の知識がまるでなかった。
「わかりました。それくらいでしたら、わたしにもできそうですし、
喜んでお手伝いさせてもらいます」
なにはともあれ、ンブの子供のために償うことができそうだと気持ちが軽くなり、
マウは嬉しそうにうなずいた。
マウが承諾したので、明日の夕方に港のモグハウス前で待ち合わせること、
武器や鎧は置いて、できるだけ身軽な格好でくること。
この二つを約束して二人は別れた。
モグハウスの方へ歩いていくマウの背中が見えなくなってから、
ンブは港へと去っていった。
同じ頃、ディーンはサリマーという上品な女性から、奇妙な依頼を受けていた
「秘密の地下酒場・・・?」
ディーンの言葉に、サリマーは頷いた。
「はい、そこは会員制の高級クラブで、若い女性をはべらせながら
商人や政府の高官が商談や接待などをするらしいのですが・・・」
サリマーはここで言葉を切って躊躇っていたが、やがて意を決して続きを話し始めた。
「私の夫も明日、そこで誰かを接待するようなのです」
「ご主人はバストゥークでも屈指の大商人ですし、特に不思議はないんじゃないですか?」
「殿方にとってはただの接待かもしれませんが、
夫がそのような店で若い女性に囲まれて、私がいい気分でいられるとお思い!?」
サリマーは思いつめたような瞳でディーンを睨みつけて、声を荒げた。
「いくら仕事のためとはいえ、夫がそのような店に行くことを見過ごせません!」
「ちょ、サリマーさん、落ち着いて・・・」
興奮したサリマーを、ディーンは必死でなだめる。
「取り乱した所をお見せしてしまいましたわね。どうかお許しください」
少し落ち着いたのか、サリマーはディーンに頭を下げた。
「あやまることなんてありませんよ。それより、その高級クラブでご主人が
誰かを接待するとして、サリマーさんは私になにを依頼したいんですか?」
「私の連れとして一緒にそのクラブに行って、
夫が本当に接待をしているだけか調べて頂きたいのです」
「!?」
「明日、私もそのクラブに予約を入れてあります」
ディーンの驚きをよそに、サリマーは言葉を続ける。
「冒険者の方は、自在に姿を消すことのできる魔法や術を使えるとか。
その魔法を使って、店の中にいる夫の居場所を探し出して欲しいのです」
サリマーの言葉は続く。
「夫が本当に仕事として接待をしているだけなら、私も文句はありません。
そのまま帰ります。でももし、それ以外のことをしていたら・・・」
サリマーはそこで言葉を詰まらせた。
「していたら、どうするおつもりですか・・・?」
「私にも、分かりません・・・」
ディーンの問いに、サリマーはつらそうにうつむいた。
なんでそんな回りくどいことを、と言いかけてディーンは口をつぐんだ。
理由はどうあれ、これは上流階級のオトナの社交場を覗き見できるチャンスである。
サリマーにしても、夫のことを信じたい気持ちと疑いが心の中でせめぎ合った末の、
ギリギリの選択なのだろう。
(なにが起こるかは分からないけど、これも冒険だよなw)
ディーンの思案もすぐ定まり、大きく頷いた。
「分かりました。この依頼、お受けします!」
翌日、夕闇が迫るバストゥーク港のモグハウス前で、
マウ・ラパーマはンブ・ラッテが現れるのを待っていた。
時折通りかかる男たちは、
マウの姿を見るとほぼ全員が足を止めて見入ってしまう。
理由はマウの着ている服にあった。
バストゥークではあまり見かけない、一般にはミスラの初期装備と
言われるその服は、マウのミスラ族らしからぬ豊かな胸や、
引き締まったウェストからヒップにかけてのラインを
強調するようなデザインなのだ。
男たちは思わずじっと見つめてしまうが、マウにジロリと睨み返されると、
慌てて目を逸らし、そそくさとモグハウスへと消えていく。
「ハァ・・・こんな格好してくるんじゃなかった・・・」
マウはため息をつきながら、小さく呟く。
最近は滅多に着ない初期装備を着ているのには理由があった。
(あたしが働いてる店は雇い人の素性を詮索しない代わりに、
雇い人のほうでも自分の素性がばれるようなものは
一切持ち込まないって決まりになってるのさ)
ンブ・ラッテはそう言ってから、素性がばれないよう初期装備を
着てくるよう指示したのだが、なにか引っかかるものを感じずにはいられない。
「待たせたね」
しばらくして現れたンブ・ラッテも、いつもの鎧姿ではなく、初期装備姿だった。
マウほどではないが、ミスラらしい引き締まったスタイルのンブも、
男の目を惹きつけるには充分すぎるほど魅力的だった。
「それじゃ、行こうか」
ンブはマウを促すと、跳ね橋を渡って港の倉庫の方へと向かっていった。
「なんだね? ここでは個人の荷物の預かりはやってない・・・
って、なんだ、お前か」
倉庫の管理人であるエブラコンはそう言いながら、
ンブ・ラッテの背後に立つマウに目を向ける。
彼とンブの間で話はついているのだろう。
マウを上から下まで品定めするように見回し、
特に胸をまじまじと見つめてから彼は頷いた。
「合格だ。このコならお客さんも大満足だろうぜ。
なんせ、胸のデカイのが好みらしいからな」
そう言ってニヤリと笑うと、エブラコンはマウの睨むような視線を
無視して下の倉庫へ降りていった。
エブラコンの姿を見ると、下働きの男たちが荷物用の木箱を動かす。
いくつか木箱が片付けられると、下に隠されていた階段が露わになった。
「この下が店になってるんだよ」
ンブがマウの耳元で囁いてから階段を下り始めたので、
マウも彼女に続いて階段を下りていった。
狭い階段を下りた先には、
マウが今まで見たことのない空間が広がっていた。
ギリギリまで照明を絞った広い店内では、
なにかの香が大量に焚かれているのか紫色の煙が漂い、
店内を更に薄暗くしている。
フロアの中央には舞台が設けられており、そこで全裸に近い
きわどい衣装を着た踊り子たちが、官能的なダンスを披露していた。
舞台を囲むようにしていくつかのボックス席が仕切られており、
客と相手をしている女たちの小さな話し声や含み笑いが聞こえてくる。
冒険同士の待ち合わせなどに使う酒場とは明らかに異なる空間を、
マウは呆然としながら見回していた。
ぽかんとしているマウの腕をンブが?んだ。
「ほら、なにボーっとしてんだい。こっちだよ」
「え? あ、はい」
腕を掴まれたまま、マウは垂れ幕で仕切られた店の奥へと消えていった。
「こ、これを着るんですか!?」
奥の更衣室で渡された衣装を一目見るなり、
マウは大きな声をあげた。
先程見た舞台の踊り子に劣らない、
布の面積が極端に少ない水着のような衣装。
特にショーツの後ろは紐のような細さで、
お尻が丸見えである。
「そうだよ。さぁ、さっさと着替えてお客さんを接待しに行くよ」
「で、でもこんな格好するなんて聞いてません!」
マウの抗議にも、ンブは動じる気配はない。
「だって聞かなかったじゃないか。今更文句言ったって、後の祭りってもんだよ」
「そんな・・・!」
「今ここであんたに帰られると、あたしはあんたの分もタダ働きしなきゃ
いけなくなっちまうじゃないか。子供をどうやって食べさせてやればいいんだい?」
ンブの言うことはかなりのこじつけだが、子供のことを言い出されると、
マウはなにも言い返せなくなってしまう。
「わかりました・・・」
騙されたと知りつつも、マウは着ていた初期装備を脱ぎ始めた。
「お待たせしました〜〜」
店の一角に設けられたボックス席で、
ンブは彼女たちを待っていた客に明るく挨拶した。
ンブの横で、マウも若干引きつった笑顔を浮かべている。
「おお〜〜、待っていたよ。さあ、二人とも、今日の主賓に
たっぷりサービスしてあげてくれたまえよ!」
サリマーの夫で、バストゥーク屈指の大商人、
タンギーが大げさな身振りと声で、ンブとマウを招きいれた。
「は〜〜い♪ 失礼しま〜す♪」
今日の主賓という人物に目を向けた瞬間、
マウの引きつった笑顔が凍りついた。
ンブとマウを見て、主賓と呼ばれた中年男も
驚いて二人を見返している。
そこに座っていたのはホラティウスだった。
「いや〜〜、まさかホラティウスさんと君たちが顔見知りだったとはねぇ」
「ええ、でもお店で会うのは初めてです〜」
タンギーの言葉に、ヨソイキ用の声で快活に応じるンブ。
「それにこのコは今日が初めてのお仕事なんで、
ちょっと硬いトコロがあるんですけど、勘弁してくださいねぇ〜〜」
ホラティウスを挟んで反対側に座っているマウを見て、ンブが告げる。
「よ、よろしくおねがいします」
突然自分に話を振られて、どもりながらマウが挨拶する。
「ははは、真面目なコだね〜〜」
タンギーに笑われても、マウには気にする余裕がなかった。
生まれて初めて着た紐パン水着は布の面積が極端に少なく、
少し動いただけでずれてしまいそうだし、
今まで嗅いだことのない不思議な香りの香のせいか、
微かに頭がボーっとしている。
実はここで焚かれている香こそ、
錬金術ギルドが誇る天才、アヅィマの傑作の一つなのだ。
香の中には特殊な薬品が混合されており、
香を吸った者が特定の飲み物を飲むことで、
飲み物に仕込まれた催淫剤の効果が発揮されるようになっている。
つまり、コンパニオンにその飲み物を飲ませてしまえば、
店側は客のあらゆる要求に応じることができるというカラクリなのである。
これは最上級の客のみが対象のスペシャルサービスであり、
今回なんとしてもホラティウスに新ビジネスへの資金提供を
承知させなければならないタンギーは、金に糸目をつけずに
店側と交渉し、このサービスの提供を受ける段取りをつけたのだった。
マウたち座ると、ボーイがテーブルに酒の入ったグラスやボトル、
フルーツが盛られた皿を置いていく。
「さあ、ホラティウスさん、今日は堅い話は抜きにして、楽しくやりましょう」
ンブが手際よく酒を注いだグラスを掲げてタンギーが陽気に言うと、
ホラティウスも頷いた。
「そうですな。それでは、乾杯!」
「かんぱ〜〜い♪」
乾杯の音頭に合わせてンブが元気にグラスを掲げたので、
マウも慌てて自分のグラスを持ち上げた。
グラスがぶつかり、カチンと小さな音が響く。
ンブのグラスには男たちと同じボトルの酒が注がれているが、
自分のグラスにはオレンジ色の液体が注がれていることに、
マウはようやく気がついた。
恐る恐るグラスに口をつけると、色から想像した通りの
オレンジジュースの甘味とココナッツの風味が
マウの口の中に広がった。
(わたしが酔わないように、特別にアルコールの
弱い飲み物を用意してくれたのかな・・・?)
マウは内心ホッとしながら、グラスの中の液体を飲み込んだ。
そんなマウの様子を、
ンブはタンギーのグラスに酒を注ぎながら注意深く観察していた。
そのままチラリと男たちと視線を交わして小さく頷く。
マウの飲んでいるオレンジジュースのようなカクテルこそ、
香に含まれた成分に反応して体内で催淫剤に変わるものなのである。
その効果は程なく現れるはずだった。
隣に座るホラティウスが、獲物を狙う狼のような目で自分を見ていることに
気づかず、マウは空になった彼のグラスに酒を注いでいた。
「サリマーさん・・・なんでまた、選りにもよってこんな部屋の予約を・・・w」
サリマーの連れとして、彼女と共に上客扱いで店の奥にある
個室に通されたディーンは、部屋の中を見回しながら訊かずにはいられなかった。
「ハァ・・・予約さえできればいいと思いまして、適当に選んだのですが・・・
まさかこのような部屋とは・・・」
サリマーは赤面しつつも、部屋の中を興味深げに眺めている。
壁一面に吊り下げられた様々な種類の鞭と拘束具。
隅にあるテーブルの上には、
革製の過激なボンテージスーツや赤いロウソク。
天井からは鎖は吊り下げられ、
その先端には当然、手枷がついている。
ここはいわゆる、SM趣味の客専用の部屋だった。
「あの、これはどのような使い方をするんですの?」
「ああ、それは相手の口に嵌めて返事ができないように
して・・・って、ここにきた目的はそれじゃないでしょうwww」
部屋の小道具に興味津々のサリマーを、ディーンはたしなめた。
彼らの目的はサリマーの夫であるタンギーの素行調査であって、
決してSMプレイの体験ツアーではないのだ。
「そ、そうでしたわね。失礼いたしました」
サリマーは慌てて拘束具を壁に戻した。
「それじゃいきますよ。サリマーさんはまだ慣れてないですから、
私の手を離さないでください」
そう言ってから、ディーンはサリマーにスニークとインビジをかけた。
部屋のドアを開けて、通路に人がいないのを確認してから
サリマーを外へ出し、自分にインスニをかける。
『ご主人は多分、向こうにあるボックス席のどれかにいると思います』
インスニをかけるために組んだ、パーティ専用の会話法で
ディーンが囁くと、姿は見えないがサリマーの頷いた気配が感じられた。
不可視となったサリマーの手を引いて、
ディーンは店の中央へと向かっていった。
『おお、目標発見・・・って、ぶぅっ!!?』
タンギーはすぐに見つけることができたものの、
彼と別の男に挟まれるようにしてマウが座っているのを見て、
ディーンは盛大に噴き出してしまった。
幸い、パーティ用の会話中だったのでサリマー以外には
聞かれなかったが、下手をしたら一発で
クエスト失敗になっていたところである。
『あの、どうかしまして?』
盛大に吹いたディーンに、サリマーが訝しげに問いかけた。
『い、いえ・・・それよりも、ご主人がいましたよ』
ディーンに促されて、
そちらを見たナリーマが息を飲む気配が感じられた。
『なんですか・・・あのミスラたちは・・・
あんな下着同然の格好をして、はしたない・・・』
上品なサリマーの声音が、
徐々にドスが効いて低くなっていく。
『主人も主人ですわ・・・あんな
軽そうな女にお酌をされて、デレデレと鼻の下を伸ばして・・・』
決して激しい調子ではないが、
静かに地の底から湧きあがってくるような低い声が、
返ってサリマーの怒りの深さを感じさせる。
『サ、サリマーさん落ち着いて。
まだ決定的な事態にはなっていませんから・・・』
前に進み出ようとするサリマーを必死で抑えながら、
ディーンはマウのことを考えていた。
(けど、なんでマウがここにいるんだ・・・?)
ディーンはマウと知り合ってからまだ日は浅いが、
決してこのような場所で働くような女性ではないことは
分かっていた。
同じ席にいるもう一人のミスラがンブ・ラッテだと
すぐに気づいたが、それでもマウがここにいる
理由までは分からずじまいである。
『とにかく様子を見ましょう。踏み込むにしても、
タンギーさんが言い訳できないような状況になってからでないと・・・』
サリマーを説得しつつ、
自分もしばらく様子を見るしかないとディーンは考えた。
(酔ったのかな・・・? 頭がクラクラする・・・)
ホラティウスのグラスに酒を注いでから、
頭をはっきりさせようとマウは頭を振った。
堅い話は抜きということだったが、ホラティウスと
タンギーの会話はいつしか商談になっていた。
“近東航路”“アトルガン皇国”
“天晶堂だけにオイシイ思いをさせる義理は・・・”
そんな会話が交わされているが、マウはどんどん
意識が混濁していき、話しかけられても適当に
相槌を打つのが精一杯になっていた。
頭に霞がかかっていく代わりに、
身体の感覚は妙に敏感になっていくのをマウは感じていた。
ホラティウスも酔いがまわってきているのか、
マウの肩に馴れ馴れしく手を置いて自分のほうに引き寄せているのだが、
その手が少し動いただけでも肩がピクリと震えてしまう。
普段のマウなら、男が身体に触れてきたら
不快にしか感じないはずなのだが、なぜか今は気にならない。
それどころか、徐々に身体が熱くなってきて、
奇妙なムズムズするような衝動が身体の奥から湧き上がってきていた。
「ん、気分が悪いのかね?」
薬の効果が現れてきたのを知りつつ、
ホラティウスはわざとらしく聞きながらグラスを突きつけた。
マウがそのグラスに酒を注ごうとした瞬間、
ホラティウスから視線で合図を送られたタンギーが、
彼女の肘に自分の腕を押し当てる。
当然、急にバランスを崩されたマウが注いでいた酒はこぼれて、
ホラティウスのズボンにかかってしまった。
「マァ大変!」
「や、これは失礼を・・・すぐに着替えなければ・・・」
ンブとタンギーはわざとらしく言いながら、
ホラティウスに立つように促す。
「ふむ、大したことはないんだが・・・
君、ちょっと奥で着替えを手伝ってくれんかね?」
ホラティウスは立ち上がると、マウの腕を取って返事も聞かずに店の奥、
ディーンとサリマーが最初に通された個室のある一角へと歩き出した。
「あっ・・・え・・・??」
マウは意識が混濁したまま、
わけも分からずにホラティウスに連れて行かれてしまった。
「・・・これで、しばらくすれば
ホラティウスさんは大満足で戻ってくるってワケです」
ンブ・ラッテはそう言いながら、タンギーに微笑みかけた
「うむ、この店の最上級のサービスを依頼したんだからね、
彼には満足してもらわないと困る。これからのビジネスのためにも・・・」
タンギーが大きく頷く。
「それについては心配ありませんよ。あのコは全くの素人ですからね、
その気になればお持ち帰りにして、奥さんの目の届かないところで
囲って自分専用にだってできるんですから・・・」
ンブは妖艶な笑みを浮かべながら、タンギーに擦り寄った。
「ホラティウスさんは、私の外でのお得意様だったんですよ。
ひょっとしたら、あのコに夢中になって、
私にお呼びがかからなくなっちゃうかも・・・」
タンギーにしなだれかかりながら、彼の耳元でンブが囁く。
「ほ、ほほぅ・・・外でどんなことをするのかね?」
生唾を飲み込みながら、タンギーも小声で囁く。
「イロんなコトですよ・・・私も新しいお得意様を見つけなくちゃイケナイかも・・・」
相変わらずタンギーの耳元で囁きながら、ンブの手は彼の股間をまさぐっている。
「そ、そうか・・・ではこちらも、ビジネスの話をしようか・・・」
「私も是非参加したいですわね」
突然、ンブの反対側から聞こえた声に、タンギーは文字通り飛び上がった。
いつの間にか、ディーンも気づかない間に移動したサリマーが、
にこやかな笑みを浮かべて座っている。
ンブの誘惑に陥落寸前のタンギーを見て、ついにサリマーの我慢が限界に達したのだ。
「あなた・・・こちらの方とのビジネスというのは、どのようなことなんでしょう?」
サリマーの言葉も表情も穏やかだが、そこに秘められた怒りは隠しようがない。
「あ・・・いや・・・コレは・・・」
突然の妻の出現にすっかりパニック状態に陥ってしまったタンギーは、
しどろもどろの返答しかできない。
「そちらとのビジネスのお話の前に、ちょっとあちらで夫婦の大事な話をしましょうか」
抵抗する気力もないタンギーを促して、サリマーは立ち上がる。
『冒険者さん、ご苦労様でした。あとは夫婦の間で解決しますので、
あなたはこのままお帰りくださいまし』
姿を消したまま呆気に取られているディーンにこう言ってから、
サリマーとタンギーは店の奥、先程のSM部屋へと消えて行った。
我に返ったディーンは、サリマーの依頼からも自由になったので、
ホラティウスとマウが入っていった部屋に向かうことにした。
「なんなんだい・・・全く」
1人残されたンブ・ラッテはそう毒づいた。
“マウという上玉を紹介して店から高額の紹介料をせしめて、
更にタンギーを篭絡させて新しい稼ぎ口を確保する”
これがンブ・ラッテの描いた目論みだったが、
突然のサリマーの乱入によって半分しか達成することができずに終わってしまった。
ンブは不機嫌そうにグラスをあおっていたが、
ホラティウスとマウの入った部屋へ向かうディーンの気配に気がついた。
ンブは立ち上がると、ディーンに気づかれないように注意しながら尾行しはじめた。
ホラティウスはマウを部屋に入れると、
いそいそとドアを閉めて彼女と向き合った。
この部屋はディーンたちが通されたSMルームとは違って、
調度品や家具も一流のものが揃えられた、高級な寝室という雰囲気だった。
勿論、ここでも香は焚かれており、マウから正常な判断力を奪っている。
「それじゃあ、着替えを手伝ってもらおうか? まずはズボンと下着を脱がせておくれ」
いつものマウなら決して従うはずはないのだが、薬で朦朧としている
彼女は言われるままにホラティウスの前に跪くと、彼のベルトに手をかけた。
ベルトをはずし、更にズボンと下着をずり下ろすと、
すでに天を衝くばかりにそそり立つホラティウスのモノが露わになった。
しかし、マウはぼんやりとした目でソレを見つめてから
ホラティウスの顔を見上げるだけだった・・・
ホラティウスがマウを連れ込んだ部屋の前まで来て、ディーンは立ち止まった。
ドアに手をかけると、小さな音がしてノブが回る。
急ぐあまり、ホラティウスが鍵を掛け忘れたようだ。
ディーンは音をたてないようにそっとドアを開けると、中に滑り込んだ。
部屋の中の光景に、ディーンは思わず我を忘れて飛び出しそうになった。
ホラティウスはディーンの方へ背を向けて、下半身剥き出しで仁王立ちをしている。
その足元に、頬を上気させて空ろな表情のマウが跪いていた。
ディーンはこのまま飛び出して、ホラティウスを背後から
殴り倒したい衝動に駆られtたが、必死でそれを押さえつけた。
ここで騒ぎを起こせば、すぐ店の者が押し寄せてきて、
こちらが捕まってしまうだろう。
ディーンは内心歯軋りしつつも、部屋の隅にある
大きな衣装ダンスの陰に隠れ、しばらく様子を見ることにした・・・
「あの・・・これからどうすれば・・・?」
ホラティウスのモノと、彼の顔を交互に見ながらマウが問いかける。
「君のせいでこんなになってしまったんだ。きちんと鎮めてくれないと、
着替えることもできんだろう?」
「鎮める・・・って・・・?」
「これを鎮めるには、君がここの先端に口をつけて、
この腫れた部分から膿を吸い出すしかないんだよ」
全くの素人娘を一から仕込むという、初めての体験に目を血走らせ、
声を上ずらせながらホラティウスが言う。
「わかりました・・・」
薬のせいですっかり男の言いなりになっているマウは、
ためらうこともなくホラティウスの根元に手を添えると、先端の鈴口に吸い付いた。
「むぅ・・・いきなり吸い出そうとしてもダメだぞ、
根元から丹念に舐めまわしてからでないと」
そう言われると、マウは先端から口を離して、根元へと舌を這わせた。
ミスラの娘の少しざらついた舌に、敏感な器官を舐めまわされる快感が、
ホラティウスの背筋をゾクゾクと震わせる。
「そうだ・・・ゆっくりと・・・隅々まで舐めるんだ・・・!」
「はい・・・ん・・・んふっ・・・」
マウは素直に返事をすると微かに鼻を鳴らしながら、
徐々にホラティウスの先端へと舌を這わせていく。
「ふぉおっ・・・!!」
マウの舌が裏の筋を舐め上げた瞬間、
思わず暴発してしまいそうな快感が先端から脳天まで奔り抜けて、
ホラティウスは思わず情けない声をあげてしまう。
「よ、よし・・・これくらいで充分だろう・・・」
これ以上は堪え切れないと感じたホラティウスは、
マウの口から自分のモノを離した。
(テクニックはまだまだ未熟だが、この娘・・・
男の悦ぶ部分を本能で感じ取ってでもいるのか・・・)
ホラティウスは感嘆しながらマウの顔を見つめる。
マウのほうは意識がはっきりしないで、焦点の定まらない
視線を彼に向けるだけだった。
「ではそろそろ、膿を吸い出してもらおうかな」
ホラティウスは舌なめずりをすると、
再びマウの顔の前に己のモノを突き出した。
「先端から頬張るんだ」
マウはこくんと頷くとホラティウスの亀頭部分に唇をかぶせる。
「うぉ・・・」
柔らかくて温かいマウの口腔内の心地よさに、
ホラティウスはうめき声を洩らす。
「いいぞ・・・そのまま歯を立てずにしっかりと咥えこむんだ・・・!」
マウの頭を押さえつけて、ホラティウスが腰を突き出す。
「ぐうぅぅっ・・・!!」
口一杯に無理矢理押し込まれ、マウが苦しそうに眉をしかめながら呻く。
マウの唾液とホラティウスの先走りが入り混じり、
唇の端から顎の先へと滴り落ちていく。
むせかえるような雄の匂いがマウの口の中に広がり、
彼女のカラダの奥深くに眠っていた牝の本能が否応なく目覚めはじめてしまう。
マウの左手が、無意識に己の股間へと伸びていく。
「んんッ!」
マウの股間は、薬と口の中に広がる雄の匂いにすでに熱く潤んでいた。
薄い布越しに敏感な部分を刺激しながら、
マウがホラティウスへの奉仕を続けていると、
「口の中で出し入れしながら、ワシを舌で刺激するんだ・・・!!」
ホラティウスが上ずった声で命じながら、腰を前後に揺する。
「ふぁい・・・んぐっ・・・」
息苦しさにマウは目に涙を浮かべながらも、
懸命に言われた通りに舌でホラティウスを愛撫する。
「・・・昨日はワシを蔑むような目で見ていたクセに、
今日は随分おいしそうにワシのモノを咥えるではないか? んん?」
つい先日、ンブ・ラッテに奉仕させていた現場をマウに見られた時、
彼女の瞳にチラリと浮かんだ軽蔑の眼差しが、ホラティウスに激しい屈辱感を与えていたのだ。
自分を軽蔑していた娘に奉仕させている今の状況に、
ホラティウスの内に快感を更に高める暗い炎が燃え上がる。
自分に屈辱を与えたマウへのどす黒い復讐の悦びと、
彼女の舌がもたらす快感に、ホラティウスはすぐに限界に達してしまう。
「出すぞ・・・! 出すぞぉ・・・っ・・・!!!」
押し殺すような呻き声の一瞬後で、
マウの口腔内でホラティウスのものが爆発した。
「――――!!?」
ドロリとした大量の精液が、
ホラティウスのモノに塞がれて声も出せないマウの喉に注ぎ込まれていく。
飲み込みきれなかった精液が、彼女の喉を伝い、胸元へと流れていった。
そこから放たれる雄の匂いに、マウはウットリとしながら目を閉じた。
射精の快感が引いてから、ホラティウスはまだ余韻に浸ったままの
マウの髪を掴むと、彼女の頬にぐいぐいと自分のモノを押し付けた。
「まだ終わりじゃないぞ。綺麗に舐め取ってから、
ストローを吸うように残りを吸い出すんだ」
興奮したホラティウスが似非紳士の仮面をかなぐり捨てて、本性を現した。
マウはペロペロと丹念にホラティウスを舐めまわしてから、
先端の鈴口に吸い付く。
「おふぅ・・・」
体内に残っていた精液が吸いだされる快感に、
ホラティウスがうめきながら腰を震わせた。
(マウにフェラチオなんてさせやがって・・・!!)
ディーンは目の前の一部始終を見て、興奮しながらも
ホラティウスへの嫉妬が湧き上がってくるのを抑えることができなくなっていた。
(俺だってまだしてもらったことないのに、あの野郎・・・!!!!)
かなり自分勝手な怒りに駆り立てられ、これ以上好きにさせまいと
前に出ようとしたディーンの腕が、突然後ろから?まれた。
「あの奥さん、どこからきたのかと思ったら、あんたの手引きだったんだね?」
小声で囁きながら、ンブがディーンに詰め寄る。
マウに気を取られて、ンブのことをすっかり失念していたことに気がつき、
ディーンは内心舌打ちをした。
「ここで騒いだらお互いマズイだろ?」
ディーンは小声で囁き返しながら、指でホラティウス達を指し示す。
衣装ダンスの陰に隠れているものの、腕を掴まれたことでインビジの魔法も
切れてしまったので、ホラティウスが振り返ればすぐに二人とも見つかってしまうだろう。
「まあねぇ・・・見たところ、あんたの目当てはあのコかい?
悪いけどあんたに邪魔させるわけにはいかないんだよ。
あんたがなにかしようとしたら、すぐに人を呼ぶからね」
この場の主導権を握ったことを察して、ンブは勝ち誇った目でディーンを見つめた。
「わかったよ・・・」
ディーンは小声で頷いてから、再びマウに視線を向けた。
「上客の興を削いじゃ悪いからね、ここで大人しくしてるんだよ」
そう言うと、ンブも部屋の中に視線を向けた。
ディーンとンブが話している間にホラティウスはマウの腕を
掴んで立ち上がらせると、ベッドに向けて乱暴に突き飛ばした。
「キャッ!」
悲鳴を上げて、マウがベッドに倒れこむ。
倒れた拍子にマウの胸がプルプルと激しく揺れるのを見て、
歯止めの効かなくなっているホラティウスは、欲望の赴くままに彼女に襲いかかった。
マウの上に馬乗りになると、ブラを乱暴に引きちぎる。
露わになったマウの豊かな乳房を両手で鷲掴みにすると、乱暴に揉みしだいた。
「くっ・・・ひっ!・・・いた・・・ぃ!! ダメェ・・・!」
ホラティウスが指に力を入れると、
マウの乳房がグニグニと卑猥に形を歪める。
「なにがダメなんだ? こんなに乳首を尖らせておいて・・・!
この淫乱娘が・・・!」
蔑むように言いながら、ホラティウスは昨日味わった屈辱への復讐とばかりに、
指の間から顔を覗かせているマウの乳首に吸い付く。
ちゅばちゅばと激しい音を立てて吸い上げ、きつく歯を立てる。
「んにゃああぁぁ・・・!!」
快感と痛みに同時に襲われて、薬で朦朧としていたマウの意識がさらに混濁していく。
しばらくして、ようやく満足したホラティウスが体を離すと、
マウの乳房には無数のキスマークと歯形、それに強く?んだ指の痕が残っていた。
「あの野郎・・・!」
ディーンは小声で呻くと、思わず前に踏み出そうとするが、
ンブ・ラッテに押し留められた。
「言っただろ? 上客の邪魔をするんじゃないよ」
ディーンは恐ろしい形相でンブを睨みつけると、
ベッドでぐったりと横たわるマウに向き直った。
その目には純粋に彼女を気遣う思いが満ち溢れている。
(これも娘を食べさせていくためなんだよ・・・)
ンブは心の中で、ディーンとマウ、
そして誰よりも自分自身に言い訳をする。
(けど、まさかあの成金オヤジがこんな下衆野郎だったとはねぇ・・・)
ホラティウスを見つめるンブの瞳にも、
微かにだが怒りの炎が灯っていた。
愛撫とはいえない激しい責めに、荒い息を吐きながらベッドに横たわるマウ。
そんな彼女を、ホラティウスは血走った目で無言のまま見つめている。
その視線の先には、呼吸と共に揺れるマウの乳房があった。
マウが息をするたびに揺れるその双丘は、
横になっていても形が崩れない程の見事な張りを誇っている。
ホラティウスは再びマウの上に馬乗りになると、
彼女の両の乳房の間に自分のモノを挟みこみ、ゆっくりと力をいれながら乳房を寄せ上げた。
「う、うほぉおおぉ・・・」
柔肉の絶妙な圧迫感に、ホラティウスが思わず情けないうめき声を洩らす。
ホラティウスはマウの胸で挟むようにして、己のモノを擦りあげた。
そのまま腰を前後に動かしてピストン運動を開始する。
しばらくマウの乳房の柔らかな圧迫感を貪っていたホラティウスが、動きを止めた。
「なにを呆けておる。シャンとして、先っぽに口で奉仕せんか!」
朦朧としたままのマウの頬をピシャピシャと叩く。
頬を叩かれ、僅かに意識が戻ったマウがのろのろと頭をあげて、
胸の谷間からはみ出したホラティウスの先端に口を付ける。
「そうだ・・・そのまましっかり咥えこんだり、舌を使ってカリの裏を舐めるんだぞ」
そう言うとホラティウスはピストン運動を再開した。
「ん・・・んちゅ・・・ハァ・・・んむぅ・・・」
ホラティウスがマウの乳房で己をしごき、
その先端をマウが温かい口腔で包み込み、舌で柔らかく刺激する。
二人の息が荒くなり、ホラティウスの腰の動きがどんどん激しくなっていく。
ディーンはその光景に目を奪われたフリをしつつ、
横目でンブ・ラッテの様子を窺っていた。
最後の瞬間が近づいてきているのを感じて、
ンブはベッドの上で繰り広げられている痴態にかなり気を取られているようだった。
(あのオッサンがこの次発射した時が勝負だ・・・)
ディーンは覚悟を決めると、意識を集中し始めた・・・
「ぬ、ぬぅぅうううぅぅ・・・」
ホラティウスは快感を少しでも長引かせようと、
必死に射精感を押し留めていた。
しかし、それももう限界になりつつある。
「くぅ、また出すぞぉ・・・! 今度はこぼさずに全部飲み込むんだぞ・・・!!」
マウの顔をじっと見つめながら命じると、
ホラティウスは大きく腰を前に突き出した。
「んぐぅ!!」
胸の谷間から大きくはみ出した先端が、マウの口に押し込められる。
その瞬間、我慢の限界に達したホラティウスのモノから、
再び白濁液がマウの喉へと迸った。
ホラティウスの射精の瞬間、ンブ・ラッテが
そちらに見入った隙をついて、ディーンも行動を起こした。
(うおぉぉおお! いけぇええええ!!)
ホラティウスへの怒りを込めて、赤魔道士のアビリティ【連続魔】を発動させる。
「!!?」
ンブが驚いて大きな声をあげるよりも早く、スリプルの魔法が彼女を深い眠りへ誘う。
呪文の詠唱なしで魔法を発動させる【連続魔】スリプルで
不意を打たれては、さすがのンブも人を呼ぶ間もなかった。
ディーンはそのまま、背後の気配に振り向いた
ホラティウスが彼の姿を見るよりも早く、スリプルで眠らせてしまう。
ベッドの上に倒れたホラティウスを無視して、ディーンはマウに駆け寄った。
乳房のあちこちに乱暴な陵辱の痕を残し、
口から胸元にかけて精液でベトベトという、むごたらしい姿のマウを見てディーンは言葉も出ない。
ディーンは枕のカバーを引き剥がしてマウの顔と胸元を拭いてから、
ベッドのシーツで彼女の体を包んで抱え上げた。
倒れたままのホラティウスとンブ・ラッテを見ると、
ディーンの胸にこの後のトラブルが思いやられて、心に不安が広がっていく。
(いいさ。いざとなったら、地の果てまでも逃げてやる!)
改めて決意すると、ディーンはマウを抱えたままエスケプの魔法を唱え始める。
その時、部屋の外から激しい怒鳴り声と、物を壊す大きな音が響いてきた。
何事かと思い、魔法を中断してディーンが
ドアに耳を押し付けると「銃士隊のガサ入れだ」という怒鳴り声が聞こえてきた。
その怒鳴り声を圧するように、ディーンには聞き覚えのある凛とした声が聞こえてきた。
「御用改めである!! 神妙にしなさい!!」
それはミスリル銃士隊のアヤメの声だった。
この店の者の追跡も面倒だが、銃士隊に捕まればそれ以上に面倒なことになってしまう。
ディーンはエスケプの魔法を唱え直そうとしたが、急に一つの考えが閃いた。
その考えに従って、ケアルを唱えてンブ・ラッテの目を醒ましてやる。
目を覚ましたンブ・ラッテはディーンを見ると跳ね起きた。
「あんた、こんなことしてタダで済むと思ってんのかい!?」
ンブ・ラッテはそう言って睨みつけるが、ディーンは落ち着き払っている。
「あんたこそ、外の騒ぎが聞こえないのか?」
そう言われて、ようやくンブは外の喧騒に気がついた。
「銃士隊のガサ入れだそうだ」
驚くンブに、ディーンは意識しながらわざと冷たい声でそう言い放つ。
「ま、待っとくれよ! だったら私も・・・」
「なんであんたを助けなきゃいけないんだ?
マウをこんな目に合わせた張本人を・・・」
ディーンの言葉は、最後は怒りに押し殺された。
「じゃあな」
そう言い捨てると、ディーンはエスケプを唱え始める。
「待って・・・」
その時、意識を失っているとばかり思っていたマウが、
力なくディーンの腕の中で呟いた。
驚いたディーンが再び詠唱を止めると、マウは小さな声で必死に語りかける。
「ンブ・・・連れて行って・・・・・・子供、かわいそう・・・」
「マウ・・・」
ディーンはなにも言えずにマウの憔悴しきった顔を見つめていたが、すぐにンブに向き直った。
「いいか、俺とマウは最初からここにはいなかった。
もし誰かに聞かれてもそう答えるなら、マウに免じて助けてやる。どうだ!?」
立場が逆転し、この状況を最大限に利用してンブに恩を売ろうと、
ディーンが言葉で彼女を追いつめていく。
ディーンが眠っているンブをわざわざ起こしたのは、
こうして恩に着せて彼女の口を封じるためだったのだ。
その点、さっきのマウの言葉はンブ・ラッテからすれば、
ディーンだけでなくマウにも恩を受けることになるわけで、ディーンにとって嬉しい誤算だった。
ディーンたちのいる部屋のドアが乱暴に叩かれ始めた。
すぐ外まで銃士隊が迫っているのだ。
もしここで銃士隊に捕まれば、いつ釈放されるかわからない。
その間に、治安の悪い鉱山区にいる娘がどうなるかと思うと、
ンブ・ラッテはディーンの申し出を受け入れて、彼に縋るしかなかった。
「わ、わかったよ。わかったから、私も連れて行って! お願いだよ!」
追いつめられたンブ・ラッテが、外に聞かれないように小声でディーンに懇願する。
「よし、交渉成立だ。こい!」
ディーンも外に聞こえないように小声で言い返すと、そのままエスケプを唱える。
ンブ・ラッテがディーンに駆け寄り、ディーンがエスケプの詠唱が完了するのと同時に、
部屋のドアが蹴り破られた。
銃士隊が部屋に踏み込んだ時には、ベッドの上で
下半身を露出させたまま、前後不覚に眠りこけているホラティウスがいるのみだった。
倉庫の外へ脱出したディーンは、ンブ・ラッテが何も言わずに
夜の闇の中へ消えていくのを無視して、マウを連れたまま自分のレンタルハウスに駆け込んだ。
夜中に女性を抱えて戻ってきた彼を見て驚くモグには目もくれず、マウをベッドに寝かせる。
驚いている自分のモグに、マウの世話をしているモグに
着替えを持ってこさせるように言いつけると、ディーンは再び外へと飛び出していった。
バストゥーク中を駆け回り、街の様々な噂を集めたディーンが
レンタルハウスに戻ってきたのは夕方になってからだった。
「ご主人様、待ってたクポ〜〜〜〜」
レンタルハウスの前でモーグリが出迎えたので、ディーンは驚いて足を止めた。
「お前、なんで外にいるんだよ?」
「じつは、マウさんのことでお話があるクポ〜〜」
モーグリはディーンの周りを飛びながら説明を始めた。
「マウさんが眠ってる間に、ボクはマウさんのお世話をしてるモグを呼んで来て、
マウさんのカラダの傷をモーグリ秘伝の軟膏で綺麗に消したり、お世話をしたクポ」
“モーグリ秘伝の軟膏”はどんな怪我も簡単に治癒するだけでなく、
傷まで綺麗に消してくれるので、女性の冒険者には特に人気のある常備薬なのである。
「しばらくして、マウさんが目を覚ましたんだけど、
なにがあったのかあんまりよく覚えてないみたいなんだクポ」
「覚えてない?」
「かなり酔っ払ってたみたいで、記憶が抜け落ちてるらしいクポ〜」
実際には酔っ払ったのではなく催淫剤のせいなのだが、
そこまでは彼らも気づいていなかった。
「だから、なにがあったのか知りたいって、
マウさんはご主人様の帰りを中で待ってるクポ〜」
「なるほど・・・」
「マウさんの身の上に、なにか良からぬことが起こったみたいだから、
その辺のことは知ってても話さないで欲しいって、マウさんのモグに頼まれたから、
それを伝えたくてここで待ってたクポよ」
モーグリの言葉にディーンは頷いた。
確かに、あの酒場で起こったことを包み隠さず話せば、
真面目なマウのことだ、絶望の余り出家でもしかねない。
ディーンとしても彼女を悲しませるのは本意ではない。
もう一度頷くと、ディーンはモグに言った。
「分かった。それがマウさんにとっても一番だろうし、
適当に話をでっち上げてシラを切ることにしとくよ」
「ありがとうクポ〜。助かるクポ〜〜〜」
そう言ってモーグリは嬉しそうに飛び回る。
「それにここでいいカッコしておけば、なにかフラグが立つのはまちがいないクポ!!」
「なんか安っぽくなるから、フラグとか言うなw」
ディーンはレンタルハウスの中へ入って行った。
レンタルハウスの中で、マウは落ち着かない様子で椅子に座っていた。
着ている服はガンビスンにホーズ、彼女の普段着なのだろう。
入ってきたディーンの姿を見ると、マウは立ち上がった。
「ディーンさん・・・今までどこに行ってたんですか!?」
「ああ・・・街の噂を集めに行ってた。
あの酒場になんで銃士隊が踏み込んだのかとか、色々知りたかったんでね」
「銃士隊・・・?」
「そうか、マウさんは酔っ払ってたから覚えてないのか・・・
あの酒場に銃士隊が強制捜査に乗り込んできたんで、
俺はマウさんとンブ・ラッテを連れてエスケプで逃げ出したんだよ」
「そういえば・・・そんなことがあったような・・・どうも頭がハッキリとしないんです」
まだ薬の効果が若干残っているのか、マウが頭を振った。
「そもそも、ディーンさんはなんであそこにいたんですか?」
「おk。じゃあその辺から順番に話していこうか」
「・・・で、俺は銃士隊が部屋に踏み込んでくる前に、
マウさんとンブ・ラッテを連れてエスケプで逃げ出したんだよ」
サリマーから夫の浮気調査の依頼を受けてあの地下酒場に潜入した事や、
そこでマウを見つけてからの自分の行動を、
ディーンはかなりの時間をかけてようやく話し終えた。
勿論、マウは酔っ払って寝込んでいたことにして、
ホラティウスにどんな目に合わされたかは隠して、である。
「そうだったんですか・・・」
ディーンの話を聞いて、ようやく自分が酔ってから
――本当は薬でおかしくなってから――の出来事の経緯が飲み込むことができた。
「わたし、またディーンさんに助けられたんですね・・・」
「また?」
「アットワのコースの時ですよ。
あの時もディーンさんがいなかったら、わたしはコースにやられていたはずですし・・・」
「あ〜・・・」
ディーンは困ったように頭を掻く。
マウと共にアークコースを倒したまでは良かったが、その後に発情期のマウを襲った挙句に失敗し、
その償いとして狩りのお供をさせられているディーンにとっては、あまり思い出したくない出来事である。
「それじゃ、次は街で拾ってきた噂を話しておかないとな。これも俺やマウさんに関係のある話だから」
ディーンは話を逸らそうと話題を変えることにした。
ディーンがバストゥークの街へ出ると、町中が昨夜の港区の倉庫への強制捜査の話で持ちきりだった。
昼頃になって大統領府からの正式な発表があったが、それは
“かねてから内偵していた港区の倉庫の一つに隠し部屋があり、踏み込んだところ密輸品が隠されていた”
という、ディーンたちの知る真実とはかけ離れたものだった。
「あの酒場には商人以外にも政府の人間も出入りしていたっていうし、
事実を公表したら返って大事になって恥の上塗りになるってことで、こういう発表になったんだろうな」
ディーンの推察に、マウが頷いた。
「その証拠に、店で働いていて銃士隊に捕まった女の子たちは厳重注意されて、
今回のことは他言しないって条件でから全員釈放されたらしい。
その内の1人が冒険者で、直接会って話を聞いてきたから間違いない」
「え? でも他言しないって条件じゃ・・・?」
「冒険者同士の横のつながりってやつだよ。
勿論、俺も誰にも言わないって約束してるんで、マウさんも誰にも言わないでくれよ?」
ディーンは涼しい顔である。
「あの・・・わたしも銃士隊のところに出頭したほうがいいんでしょうか・・・?
あの日が初めてだったけど、あそこで働いてたんだし・・・」
マウが不安そうな顔でディーンに尋ねる。
「!! そうだよ! そのことを聞きたかったんだ。
マウさんのほうこそ、どうしてあんな所に・・・!」
ディーンの問いかけに、マウはしばらく躊躇っていたが、やがて決心して頷いた。
「分かりました・・・全部お話します・・・」
今度は、マウがディーンに自分があの店で働くことになった経緯を説明し始めた。
「なるほど・・・」
マウの話を聞き終わると、ディーンは大きなため息をついた。
(子供のためか・・・まったく・・・騙されやすいというかなんというか・・・)
ディーンはマウのあまりの人の良さに、半ば感心しつつも呆れていた。
「あの・・・やっぱり、銃士隊のところに言ったほうがいいと思う・・・?」
再びマウに尋ねられると、ディーンは首を振った。
「銃士隊はマウさんがいたこと自体知らないだろうし、
酒場の連中も倉庫番のエブラコンや他の男どもも一応釈放されたらしいけど、
奴らはマウさんも他の女の子同様に銃士隊に捕まったと思ってるんじゃないか?
あの倉庫の関係者は当分の間、銃士隊に厳重に監視されることになるだろうし、
働いてた女の子がどこにいるかなんて調べてるのが発覚したら、
今度こそやばいだろうから、マウさんが追求されることはないと思う」
きっぱりとしたディーンの言葉にマウは思わず安堵の吐息を洩らす。
そんなマウを見ながら、ディーンはいくつかの疑問を感じていた。
そもそも、なぜあの日に銃士隊は踏み込んできたのだろうか?
あのような業種の店なら、間違いなく役人にも相応のワイロを渡していたはずである。
それに、女性であるアヤメが踏み込み、正式な報告がされたとなれば、
今後あの場所で同様な店を開くことは不可能だろう。
(ま、マウが無事だったんだし、あの店がどうなろうとどうでもいいかw)
そう思ったとき、マウがじっとこちらを見ていることに気がついた。
「・・・なに?」
ディーンに気づかれて、マウは慌てて視線を逸らした。
「べ、別に・・・」
そう言ってしばらく口ごもるマウ。
やがてそっぽを向いたまま視線だけディーンに向けて、ぶっきらぼうに呟いた
「その・・・助けてくれて、ありがとう・・・」
「あ、ああ・・・」
初めてマウにお礼を言われて、面食らったディーンが
気の利いたセリフも言えずにいる間に、マウは立ち上がった。
「事情も分かったし、お礼も言えたんで、これで帰ります」
「あ・・・待った。送っていくよ・・・」
ディーンが慌てて立ち上がると、マウが急に振り向いた。
ミスラとしても小柄な方のマウは、ディーンの胸の位置に顔がくる。
突然、マウはディーンの肩に手をかけてかがませると、
自分は背伸びをしてディーンの唇に口付けした。
驚いたディーンはスタン状態のまま、動くこともできずにいる。
しばらくしてディーンから唇を離すと、マウの顔は耳まで真っ赤になっていった。
「か、勘違いしないでください! 今のは恋愛感情とか抜きにした、
助けてくれたことへの純粋なお礼ですからね!!」
マウはスタン状態のまま硬直しているディーンに
怒ったような口調で言い放つと、そのまま振り返りもせず部屋を出て行った。
再びドアが開いてモーグリが顔を覗かせた時も、
ディーンは身動き一つしないで立ったままだった。
「ご主人様、どうしたクポ〜〜!!?」
ただならぬ様子のディーンの周りを、モーグリが心配そうに飛び回る。
「フ・・・」
「フ?」
「フラグが立った・・・」
ディーンが小声でそう言った、次の瞬間、
「いよっしゃあああああああああああああああああ!!!!!」
周りのレンタルハウスにまで轟くようなディーンの喜びの叫びが響き渡った。
同じ頃、ジュノ下層にある天晶堂奥の社長室で、アルドは部下から報告を受けていた。
「・・・今回の件で、バストゥーク港の地下酒場の営業は事実上不可能となりました。
これで、我々が現在計画中の鉱山区に私娼たちを集めた“歓楽の館”建設の障害はなくなったことになります」
「で、そこを仕切れる人材は見つかったのか?」
アルドの問いに、部下の男は頷いた。
「一人適任者を見つけております。ミスラですが度胸も据わっており、
なにより“男女間の”交渉事にかけてはプロと言える人物です」
「そうか、ならそいつをうまく抱きこんでおけよ」
アルドは報告書を机の脇に放り投げた。
「それにしても、これで例の近東航路の件で
バストゥーク商人の横槍が入らなくなるとは、幸運でしたね」
部下の言葉に、アルドがニヤリと笑う。
銃士隊を使って地下酒場を閉鎖に追い込んだのは、彼ら天晶堂だったのである。
あの酒場をバストゥークのアイロス大臣の失脚を狙う政敵が利用していることを突き止め、
酒場の顧客リストを押収し弱みを握るように仕向けたのだ。
アイロスは見事に引っかかり、銃士隊のアヤメに強制捜査を極秘に命じ、
その結果、アイロスは政敵の首根っこを押さえる弱みを握り、天晶堂は商売敵と
偶然そこに居合わせた近東航路開拓のライバルを同時に潰すことに成功したのである。
「アトルガンとの航路については、まだあっちと色々交渉しなきゃならんのに、
ここで奴等が出しゃばってきたらこっちが条件を引き下げなきゃいけなくなっちまうからな・・・
バスの商人や成金共には交渉人を派遣しておけ。奴等も今回のことで懲りただろうから、
ウチの下で航路計画に参加するのをいやとは言わないだろう」
「かしこまりました・・・それと社長、ウチの傘下の店に、こんな注文が来ているんですが・・・」
部下がニヤニヤしながら、1枚の注文書をアルドに差し出した。
渡された注文書の依頼主と注文内容を見て、アルドは噴き出した。
「そうか・・・あのカミさんもあそこで捕まったって報告にあったが、
相当ハマッたらしいな・・・!」
ひとしきり笑った後で、アルドが言った。
「せっかくの注文だ。選りすぐりの高級品を送っておけ。決して損にはならん」
数日後、深夜のバストゥーク商業区――
「ふふ・・・新しい衣装の着心地はいかが?」
黒いボンテージ衣装に身を包み、鞭を手にしたサリマーが、
自分の前に跪いている男に問いかける。
だが、男は全身を黒い革製の拘束具で固められ、
ボールのついた猿轡をかまされているので返事もロクにできない。
「これから、徹底的に仕込んでさしあげますわ・・・
あなたを満足させられるのは私だけだということを・・・!」
欲情に潤んだ瞳で男を見下ろしながら、サリマーが言い放つ。
男――彼女の夫、タンギー――の目も、期待しているかのように輝いている。
どうやら、ディーンと別れてからの夫婦間の話し合いによって、
サリマーと夫は共に新たな趣味に目覚め、夫婦仲は円満になったようである。