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第四話 宣言

ユキコの膝を立たせ、両脚のあいだにもぐりこむ。びちょびちょになった下着をずりずりとずらすと、ふとももにはナメクジが這ったような水痕がテラテラと光っていた。くらくらするほど「女」の匂いが立ちこめる。
ただでさえ薄めのヘアは濡れそぼって肌にはりついているため、充分に熟れた秘肉を隠しきれず、すっかりほぐれたサーモンピンクの花園が顔をのぞかせている。外性器にもあまり色素が沈着しておらず、まだ男を知らないかのような初々しさだ。
尿道から伸びているカテーテルをそっと引く。ぽっ、と小さな音を立ててプラスチック製の管が抜けると、尿道口がしずかに閉じた。ユキコは潮を噴く体質ではないから、しばらくの間なら漏れる心配もないだろう。もっとも漏れたところでどのみちとっくに洪水状態なのだ。
その上には真珠と見紛うばかりに、濡れて鈍く光る小さな突起。ふっ、と息をかけるだけでユキコの体は電気が走ったかのように跳ねた。単なる反射にすぎないことはわかっている。それでも、ユキコが応えてくれているんだ、と思わずにはいられない。
秘唇を割り開き、控えめにたたずんでいる入り口に中指をあてがう。ゆっくり奥に進めると、驚くほどスムーズに飲み込まれていく。無数の舌で指をしゃぶられているような感覚。熱くぎゅうぎゅうと締め付け、にゅぐにゅぐと生き物のように蠢く狭い洞。
手のひらを返し、指をくいっ、と曲げる。ビクンッ、とユキコの腰が浮いた。白く粘り気のある液体がじわりと流れ出る。ここだ。ユキコの弱いところ。変わってない。もう、可愛くてしょうがない。
何度も指の曲げ伸ばしをくりかえし、そのたびにきゅんきゅんと締め付けるユキコ。見ると下腹部が細かく痙攣している。もう何回のぼりつめたかわからないが、さすがに限界だろう。顔を覗き込むと、待ちきれないとばかりに訴えかけられた。

『あなた』『欲しい』『お願い』

幾通りかの組み合わせの中で、ユキコは考えに考えぬいてこの単語の並びを選んだのだと思う。「あなた(のモノ)が欲しいの…お願い」ってわけだ。わざわざ僕が好きなフレーズになるよう、工夫したんだな。そういうところも、いじらしい。
ああ…思い出した。顔中真っ赤にして口ごもってしまうのに「あなたの…ぉ、ぉち…ん………欲しい…の…」って言ってくれる。それがまたなによりも可愛かった。ユキコの気遣い。今できる精一杯の気遣いが、無性に嬉しい。

「じゃあ、いくよ」
『うん』
「ユキコを、今日、これから、孕ませる。妊娠させるよ」

ユキコの『返事』は涙でにじんだが、真意は伝わった。お互い理解している。僕を愛してくれるユキコ。ユキコを愛している僕。その絆を僕はユキコの中に残らず放つ。ユキコはたいせつな部屋で受け止める。その結晶は、ユキコのお腹に小さな命を宿す…。
これまで幾度となく愛し合い、体を重ねてきたが、今日はこれまでとは違う。ほんとうの愛の営み。子供を作るという、神聖な儀式。あらゆる意味で特別な日になるんだ。


→第五話 交合