ヒウォン・ビウォンの甘美な受難


 アジド・マルジドは、しばらくヒウォン・ビウォンが消えていったシャントット博士の庵のドアを見つめていた。
「…シャントット博士のことだ。ヒウォンのような一般人では、あの薬がなくてはまともに相手がつとまるまい。」
 薬を渡される際にその効果をシャントットから聞いていたアジドは、ヒウォンの行く末を思ってちょっとだけ同情した。しかし、シャントット博士自身がスキャンダルに見舞われる危険性も、アジドや妹アプルルがスキャンダルに見舞われる危険性も、これでなくなったわけだ。アジドは感傷を捨て、掌の中の懐中時計を確認した。
「もう、手の院は仕事が終わっている頃だな。」
 アジドは時計を懐にしまい、一路、森の区の郊外にある自宅を目指して走り出した。


…☆…☆…


 森の区の郊外。アジド・マルジドと妹アプルルが2人で暮らしている小さな家は、そこにあった。夕方、アプルルはいつもの通り、1人で帰宅した。カバンの中に職場から持ち出した「とあるモノ」を忍ばせたまま…。

「…ん…っ。」

 小さな家の中には、明かりが1つ。その明かりに照らされたベッドの上には、一糸まとわぬ姿のアプルルがいた。その手に、職場である手の院の院長室から持ち出したカーディアンの張型のアタッチメントを握りしめて。

「まさか、本当に持って帰ってきちゃうなんて…。やっぱこの数日で私、おかしくなってる…。」

 数日前にシャントットが手の院にやってきて、カーディアンに男性器の張型をつけられるよう改造してほしいと頼まれて以来、アプルルは張型を削ったりカーディアンの駆動部分を改造したりする度に、自らの身体でその使い心地を実験してきていたのだ。いい年をした女性が結婚もせずにカーディアンと淫らな行為に耽って悦んでいる…そんなみじめさをちょっとでも忘れようと、自分を愛撫してくるカーディアンに、かつて自分と愛し合い、婚約寸前までいった彼氏の姿を重ねあわせることで、何とか自分を慰めてきたのであった。
 しかし、いくら頼まれた仕事の一環であるとはいえ、こう毎日身体を重ねていると、多分慣れというものが出てくるのであろう。昨日などは1回しただけでは身体の火照りが収まらず、2回してからようやくアタッチメントを片付けたほどだ。イッた後の余韻を楽しむ意味も込めて、今日は、自分がイッたことを認識させてからさらに数分間、回転とピストン運動を続けるようプログラムしてみたのだが、それでも身体の火照りは収まらなかったようだ。2回目をするヒマがなくてやむなく張型を外して洗浄したのだが、もう一度したいという肉体の欲求に意思が負けてしまったらしい。気がつくと、張型を自分のカバンの中にしまいこんで院長室の扉にカギをかける自分がいたのだ。

「…まぁ、いいわ。私が作った物だし、そもそもシャントット博士からの依頼は私しか知らない内容なんだから。コレさえ他人に見つからなければ大丈夫だわ。」

 確かにその通りだ。元々自分のものを自分で持ち出すわけだから。アプルルは自分で納得し、張型をすぐ手にとれるように枕元に置いた。
そして、指先をそっとなめて濡らし、申し訳程度に膨らんでいる胸をゆっくりと揉み始める。
「…んぅ…っ……ふ…。」
 すぐに敏感な先端が反応し、立ち上がる。ピンク色の先端を濡れた指でそっとつついたりつまんだりしてみると、快感の電流が全身を走り、アプルルはびくびくと身体を震わせた。
「ぁ…っ。…んふっ…はぁ…ん…。」
 下半身が物欲しそうにもじもじと蠢くが、アプルルはまだそこに触れない。ふとももや内股のあたりをやわやわと掌でなでるだけで、ぴくんぴくんと腰が震え、熱い液体が秘所から染み出るのが分かる。触りやすくするために脚を少し動かすと、液体がにちゃ…と音を立てた。どれだけ濡れ、蜜があふれているのだろう…?アプルルは少し躊躇した後、ソコにゆっくりと手を伸ばした。
「…ぁん…!」
 くちゃ…。アプルルが予想していた以上に、ソコは熱く潤み、泉のように愛液があふれ出ていた。指に愛液をまとわせ、花びらや溝をほじくるようにかき混ぜると、くちょくちょと淫らな水音が部屋に響いた。
「あぁ…っはぁん……。キモチイイ…よ…おにいちゃん…!」
 ごく自然に「おにいちゃん」という言葉が口から飛び出した。しかし、快感の熱に浮かされているアプルルはもうそんなことも全く気にならないようだ。彼女の想像の中では、兄であるアジド・マルジドがあの低い声で、意地悪な言葉を耳元で優しくささやきながら、アプルルのとろとろにとろけた秘所をかきまぜているのだ。

「おにい…ちゃん…。もう、私ガマンできない…おにいちゃんのが、欲しぃ…。」
 誰も耳をそばだてる者のいない自宅の寝室。アプルルのピンク色の愛らしい唇はそんな言葉を漏らし、彼女の手がまるで夢遊病者のようにふらふらと宙を泳いで枕元に置いてある張型を掴んだ。
「ん……ちゅっ…れろ…くちゅ…。」
 とろんとした瞳で張型を見つめていたアプルルは、おもむろにそれを口に持っていった。いとおしむように何度も口づけ、張型がぬらぬらに濡れるまでいやらしく舌をはわせる。
「おにいちゃん…入れて…。私の中でイッて…!」
 熱にうかされたようにつぶやき、アプルルは張型を自分の秘所に導いてゆく。よく濡れた先端が、ぬちぬちと音を立てて花びらを押し広げ、中に飲み込まれていくと、彼女はびくんびくんと腰を振って悦んだ。
「ぁ…ぁんっ……お、おにいちゃんのが…入ってくる…ぁあん…っ…。」
 ゆっくりと感触を確かめるように押し込んでいくと、やがて先端が最奥部にこつんとあたる。その感触にアプルルは一旦びくりと震え、少しの間じっとしていた。天井を見つめて息を整える。
「はぁ…っ…んぅ……ぁ…突いて…おにいちゃん…。」
 快感に眉根を寄せながら懇願するようにつぶやくアプルル。張型を握った左手が、ゆっくりと抽送を始めた。自分といつも身体を重ねているカーディアンにそうさせているように、手首を軽くスナップさせて回転を加えながら引き、奥まで押し込む。張型がアプルルの愛液をかきまぜるぐちゃ、ぐちゃ、という淫らな水音が聞こえ、その度にアプルルの腰がはね、愛らしい唇からは甘い鳴き声が漏れる。
「はぁん!やぁ…、ぁはんっ…ぃやぁん!…ぁあ…イイよぅ…!」
 最初の方こそゆっくりとした動きだったが、快感が増していくにつれてだんだんと抽送のスピードが速まってゆく。同時に、それまで緩慢に乳首をこねまわしていた右手が、張型が出入りしている花びらの近くでぷっくりと膨れ上がってひくひくと痙攣している敏感な肉芽に伸びる。指先でそっとこねると、たったそれだけで全身を快感の電撃が走り、アプルルは一気に絶頂へとのぼり詰めていった。
「…ぁ…っはぁんっ!!…らめぇ…おにいちゃん…イッちゃうよ…ぉ…。」
 そして。それと同時に部屋のドアがガチャリと開き、兄アジド・マルジドが愛用の帽子を片手に帰ってきてしまったのだ。アプルルの顔が一気に絶望の色に染まるが、その両手は止まることなく快楽を追ってくちゅくちゅと動き続けていた。
「…帰ったぞ。…なっ…!!アプルル!?」
「…ぁぁあっ!見ちゃらめぇ、おにいちゃん…イク、イッちゃ…ぅ…ぁはぁあぁっ――――ッ!!」
 アジドが呆然と見守る中、アプルルは愛液を飛び散らせ、全身を震わせながら淫らにイッてしまった。

「…。」
 部屋に入ったら言おうと思っていた言葉が全て吹っ飛び、アジド・マルジドの脳内は真っ白になっていた。しかし、それでも大切な人に想いを告げたいという気持ちは変わりはしない。アジドはもう、いてもたってもいられないという感じでその場にカバンと帽子を落とすと、フードごとローブを脱ぎ捨てた。生まれたままの姿になると、絶頂の余韻でひくひくと身体を震わせているアプルルのそばに近づいていった。ベッドによじのぼると、彼女を後ろから優しく抱きすくめ、耳元に囁く。
「…アプルル。もう、カカシや張型なんかで、自分を慰めるようなマネはやめろ。」
「ぇ…おにぃ…ちゃん…?」
 ようやく余韻から抜け出そうとしていたアプルルが、理性の戻った目で兄を見つめた。兄は動じずに妹の身体をぎゅっと抱きしめ、長い耳にそっと舌をはわせながらもう一度囁いた。
「もう二度と…『結婚できないからカーディアンと結婚する』なんて、寂しいことを言うな。」
「…ぁっ…!」
 敏感な耳を柔らかい舌がはい、アプルルはぴくんと身をよじらせた。アジドの腕の中で、アプルルは身体を少しずつよじり、正面から兄と向き合う姿勢をとる。そのままアプルルは腕を伸ばし、アジドの胸に抱きついた。たくましい胸板にゆっくりとほほを押し付け、アプルルは切ないくらいにずっと心の奥底に秘めていた想いを兄に告げた。
「おにいちゃん…。…好きなの。…愛してるの……抱いて…欲しいの…。」
 アジドは妹の身体を包み込むように抱きしめ返し、片手で彼女のほほを支えて自分と向かい合わせた。アプルルはその時、初めて見てしまったのだ…耳の先まで真っ赤になって、自分に想いを告げてくれる兄の顔を。
「俺も…お前がいちばん大切で、愛しくて、抱きたいと分かった…。」
 アジドは片手でアプルルのほほを支えたまま、軽く目を閉じて近づいてきた。…あぁ…この時を、この瞬間を、どれだけ待ちわびたことか!!
アプルルが喜びに震えながら目を閉じるとすぐに、アジドの唇が彼女の唇をふさいできた。
「…ん…。」
 力強く荒々しく、それでいてとても優しい唇が、ちゅくちゅくと音を立てて何度もアプルルの唇をついばんでくる。熱く柔らかい感触が彼女の脳をとろけさせ、全身の力が抜けてゆくのが感じられる。ほどなくして、ゆっくりと舌が進入してきた。アプルルの口内を思う様蹂躙し、その後直接舌に吸い付いてねっとりと愛撫する。
「んふっ…っ……んぅ…。」
 さんざん口内をこねまわし、ようやく2人の口が離れた。どちらのものか分からない唾液が、銀色の糸となって両者をつないでいる。しばらく息を荒げてそれを見つめていたアジドだったが、おもむろにアプルルの肩に両手をやわらかく乗せ、ベッドに押し倒した。そのまま覆いかぶさり、額・ほほ・耳と順番に柔らかく口づけてゆく。兄の唇が這い回るたびに、アプルルの口からは快感に浮かされたような甘い吐息が漏れた。
「ぁはぁっ……ぁっ…んはぁ…っ。」
「まだキスだけなのに、そんなに感じるのか?」
 揶揄まじりのアジドの質問。どうやらその声自体に感じてしまったらしく、アプルルは恥ずかしがって顔を手で覆い隠し(当然、隠しきれていない長い耳は真っ赤に染まって垂れている)、身をよじりながら答えた。
「…ぁっ…ん……。だって…。おにいちゃんに、あんなに優しく…キスしてもらってるって思うだけで、もぅ…。」
「もっと感じたいか?」
 低く、涼しい声が、火照った身体に気持ちいい。アプルルは顔を隠している手の指の間から兄を見つめ、「ぅん…。」と小さくうなずいた。

「じゃあ…。」
 アジド・マルジドはゆっくりとアプルルの顔を覆っている両手をはずした。そのままゆっくりと唇に口づけ、しばらく唇をついばんで楽しむ。
「…んふ…ぅん…。」
 ほほを紅潮させ、とろんとした目で兄を見つめるアプルル。アジドは唇を離し、見つめ返しながら下に移動した。目を潤ませて自分を見つめてくる妹の反応を見ながら、ふっくらとふくらんだ胸をゆっくり撫で回し始めたのだ。さらに感じてしまったらしいアプルルが目を閉じて顔をそらし、快感に身を任せようとすると、アジドは手を伸ばして彼女のほほをとらえ、正面にむけ直した。きょとんとするアプルル。
「アプルル。ちゃんと見てて。俺が、お前を感じさせるところ、ちゃんと見てて…。」
 そうささやくと、再び手が胸をやわやわと揉み始め、熱い舌がピンク色の突起に近づく。あぁ…なめられちゃう、吸われちゃう…!不安と期待で潤んで震えるアプルルの目を見て、アジドは一旦舌を引っ込めてニヤッと笑った。一息つくと、再び乳首に舌を伸ばす。熱く柔らかい舌がピンク色の乳首をつつっとなぞるようになめまわす様がハッキリと目に映った。そしてその瞬間、電撃のような快感がアプルルの全身を走り、自分でも予想できないような甘く激しい鳴き声を上げてしまう。
「…ぁっ…ぁはあぁん!…っ…。」
 余りに大きな声が出てしまい、アプルルは紅潮した顔をますます赤くして今さらのように両手で口をふさぐ。アジドはその手をひょいとつかみ、真っ赤になって恥らう妹の瞳をのぞきこんでささやいた。
「心配いらない。その声を聞くのは俺だけだから。お前の感じてる顔も、かわいい鳴き声も、全部、俺だけのものだから…。」
「ぁ…。…おにいちゃん…。」
 アプルルにとって、この兄の言葉は、今までに聞いたどんな告白よりも、どんな口説き文句よりもハートに直接響くものだった。彼女は返答の代わりに自ら手を引き、兄の手を自分の胸に導いた。導かれるままにアジドの手が、再び胸をこねはじめると、アプルルは快感に目を閉じる代わりに、こらえきれないような甘い吐息をつきながら、兄の手の動き、舌や唇の動きを目で追うようになった。
「ん…ぁふん……はぁっ…んふ…恥ずかしい…ぁあん!…ぁはっ…。」
 アジドがピンク色の突起を指でクリクリとこねると、アプルルはびくんびくんと腰をはねさせて甘く喘いだ。もどかしそうに下半身をよじると、すでにあふれた蜜がにちゃ、ぬちゃ…と音をたてる。

「いやらしい音だな。もうそんなに濡らしてるのか?」
「…やんっ…お、おにいちゃんの、キモチよすぎて…ぁん、はぁん…。」
 兄の意地悪な質問にも身体がぴくんぴくんと反応してしまい、甘い喘ぎが口から漏れるのが止まらない。
「アプルルはいやらしいんだな。兄の俺に見られたり、胸をこねられたりしただけで…ほら、こんなにぐちょぐちょに。」
 声だけは冷静につぶやきながら、アジドはアプルルの両脚をM字に開き、膝を手で支えさせた。ソコは文字通りぐちょぐちょで、アジドが
じっと見つめているだけでも蜜壷から新たな蜜がじゅわ、じゅわ、と湧き出てきている。
「ぁ、そ、そんな…ぁん…ぃやぁ…。」
 真っ赤になって首を横に振り、イヤイヤと口では言いつつ、アプルルは腰をくねらせて秘所を兄に見せつけているように見える。アジドはくすりと笑うと、両腿をさらに上に押し上げて真上にくるようにした。秘所は明かりを受けてぬらぬらと淫らに濡れ光っている。その様子がアプルル本人の目にもはっきりと見えた。
「はぁん……こんなの、いやらしい…ょぅ…。」
 手で顔を覆い、必死で否定の意を表すアプルル。その言葉に、アジド・マルジドは声をたてて笑った。
「ははっ…。何言ってんだか。恥ずかしいとかいやらしいとか言いながら、俺に見せつけてるじゃないか。…ホントは触ってほしいんだろ?」
「…っ……ぁっ…んっ……っはぁっん…。」
 アプルルは力なく首を横に振った。しかし、快感ですっかり脱力してしまってる口からは甘い喘ぎしか漏れない。
「…言ってみろよ…『おにいちゃんに見つめられただけで濡らしてしまう淫乱なおまんこを弄ってください』って…。」
 兄の意地悪な注文に、アプルルは真っ赤になって首を横に振った。まだ理性があるのか…。アジドはさらに意地悪になり、言い放つ。
「じゃあ、俺は触らない。見つめ続けるからな。」
「…ぇ…?」

 アジドはアプルルの腿を支え、ひくひくと蠢く蜜壷をなめまわすように見つめた。ただそれだけ。おにいちゃんの視線が、熱い…。そう感じた途端、蜜壷が熱くうずき、どくん、どくんと脈うつ度に大量の蜜があふれる。
「ぁっ……はぁんっ…。ぃやぁ…っ……ぁはぁっ…ん…。」
 秘所丸出しの恥ずかしい姿を光の下にさらし、動けないままに視線のみで秘所を思う様犯され、アプルルは恥ずかしいくらいに感じてしまっていた。ヨダレのたれる口からは甘い喘ぎがとめどもなく漏れ、兄にがっちりと下半身を固定されているにもかかわらず、腰がだらしなくびくんびくんと不規則にはね続ける。
「…ぁ…ぁあ……も、らめぇ…。」
 うわごとのようにつぶやくアプルル。しかし、アジドは意地悪な笑みを口の端に浮かべて言った。
「触ってほしいなら、おねだりしてみろよ。」
「ぁ……あぁ…。」
 もはやアプルルには、恥ずかしいという理性はカケラも残っていなかった。実の兄に視姦されることで、理性的な感情が全て洗い流されて
しまっているようだ。こらえきれないような甘い吐息と共に、アプルルはおねだりの言葉を口にした。
「お…おにぃちゃんに、見つめられただけで、ぐちょぐちょに濡らしてしまう…ぃ、淫乱な…ぉ…お、おまんこを…弄ってください…。」
 その言葉を聞いた途端、アジドは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。片手で妹の腿を支えながら、蜜のあふれる蜜壷の周辺をそーっと指でなぞるアジド。アプルルの腰はその瞬間、兄の指を避けるかのように大きくはね、淫らな鳴き声が口から発せられた。
「はぁぁんっ!…やぁ……ぁんっ、イイッ!……おにいちゃん、キモチイイよぅ…!」
「アプルルはホントに淫乱だなぁ…。ホラ、恥ずかしいお豆さんがこんなに膨れ上がってる。」
 アプルルの蜜にまみれた指をペロリとなめ、アジドは笑いながら彼女の腿を持ち上げて、本人にも恥ずかしいお豆さんが見えるようにしてやった。アプルルはとろんととろけた目でお豆を見つめ、顔を赤らめて兄にねだる。
「ぁっ…恥ずかしい…淫乱な…お豆さん……こねてぇ…おにいちゃん…。」
「よぉし。じゃあ、俺がお豆さんこねるの、ちゃんと見てろよ。」
 想像以上に淫らな妹の痴態に、アジドは表面は冷静で意地悪なところを装っていたものの、内心興奮しまくっていた。荒い息をつき
ながら、彼は指先でアプルルのクリトリスの皮をそっと剥いた。中身は少し白っぽく、いかにも触ってほしそうにふるふると震えている。
アジドは自分の欲求に正直に従い、その恥ずかしいお豆さんをそっと指の腹でなでた。
「…あっ……ぁっあぁあぁんっ!!」
 全身を電撃のように快感が走り、アプルルは高く鳴いた。その声にアジドは更に興奮し、クリトリスを指の先で軽くひっかいたり、押したり、2本の指で挟んでクリクリとこねたりしてみた。その度に彼女の腰がいやらしくはね、甘い鳴き声が上がる。
「あぁんっ!ぃやぁあん!ぁはっ…やんっ……っはぁんっらめぇ、おにいちゃん、イッちゃうよぉ…!」
 切なげなアプルルの嬌声。アジドはさらに指の動きを速め、くちゅくちゅと大量の愛液を飛び散らせながらクリをいじめ、蜜壷を激しくかきまぜ続けた。愛する兄の指で、アプルルはどんどん追い詰められてゆく…。
「ほら、ほら、イッていいぞ。俺が全部見てるから…!」
「やん、ぁん!おにいちゃん、私がイクとこ、見てて…はぁあん!…ぁんイクぅ……ぁああ!ぁはぁあぁ―――――ッ!!」

びくん!びくびくっ!ぷしゃぁあーっ…!アプルルの腰ががくがくとはね、秘所から勢いよく潮が吹き上がった。アジドは愛液と潮でびしょ濡れになった手をレロッとなめ、強烈なメスの香りと味をゆっくりと味わった。
「………ぁっ……はぅ…ぁあ…。」
 イッた後のけだるさを楽しむように、アプルルはしばらく漂っていた。だんだん回復してくると、ゆっくりと目を兄に向けた。彼女自身が望んだ通り、アジドは自分自身をギンギンにいきり立たせていた。2人で身体を重ねて、イキたい…その思いに従い、アプルルは指で秘所を割り開き、兄を妖しく誘った。
「…おにいちゃん、来て…。私の中で、一緒に、イッて…。」
 兄もまた、不敵に笑ってみせた。
「…どうなっても、知らないぞ、アプルル…。」

 アジド・マルジドはいきり立った自身をつかみ、蜜があふれる蜜壷にゆっくりとあてがった。少しの間、軽くぷちゅぷちゅと出し入れしたり、入り口をこねたりして、感触を楽しむ。焦らされたアプルルが腰を振っておねだりしてくるまで…。

「ぁ…おにぃ…ちゃん…。もどかしい…よぉ…!」
 案の定、アプルルはもじもじと腰を振りながら切なげに訴えてきた。アジドはこれからの快感への期待で、すっかり興奮して息が上がっている。
「…ほしいなら、ちゃんとお願いしてくれなきゃ。」
 意地悪な笑みを浮かべて言うと、よほど余裕がないのだろう、アプルルは少し顔を赤らめながら、おねだりしてきた。
「…んっ…ぁ…ぉ、おにいちゃんの、おっきなおちんちんを…私の、ぐちょぐちょの、ぉ、おまんこに、入れて、ください…。」
「ふふ…ようし…。」
 たっぷりと愛液をまぶしたアジド自身を蜜壷にあてがい、ゆっくりと挿入していく。赤黒い肉棒が、ピンクの花びらを押し広げてずちゅずちゅと入っていき、アジドはぬるぬるの柔らかい肉壁にしぼりとられてしまいそうな痛みと快感を覚えた。
「ぁ、うぅぅ…!アプルルの中、すごくキツイ…。」
「おにぃちゃんの…ぁっ…すごく……すごくおっきぃよ…中が、こすれて…ぁあっ…。」
 アプルルが甘く喘ぐ度に、中がぎゅんぎゅんと締まり、アジドのモノをしぼりあげてくる。鈍い痛みに耐えながらアジドは腰を進めていき、やがて最奥部にこつんと先端が当たった。組み敷いたアプルルの顔を見ると、痛みに耐えるような顔のまま、ひくひくと不規則に震えている。…やはり、ものすごく感じてる。俺の妹は、とてつもなく魅力的で、淫乱だ。もう誰にも渡さない。アジドは愛情を込めて妹の身体を抱きしめ、耳元に囁いた。
「…動くぞ。」
 アプルルがかすかにうなずいたのを確認し、アジドはゆっくりと腰を動かし始めた。彼女の全てを味わうように、じっくりと、こねまわすように。
「…んはっ…ぁあっ!……やぁん…ぁはぁあっん…。」
 兄の首に腕を回してしがみつき、アプルルは淫らに腰を振ってヨガリ鳴く。大好きなおにいちゃんが、私のことを愛しいって言ってくれた。抱いてキスして、恥ずかしい場所をいっぱい愛してくれた。身体と身体で、繋がってくれた…。アプルルは幸せのあまり、いつ達してもおかしくないくらいに全身で兄を、いやアジド・マルジドという男を感じていた。…と、自分に覆いかぶさるように抱きしめてきていたアジドがゆっくりと上半身を起こした。興奮のあまり紅潮して、息が乱れに乱れている。動きながら器用に深呼吸を繰り返し、何とか息を整えたアジドは、真剣なまなざしでアプルルを見つめた。アプルルも甘く喘ぎながら、兄をじっと見つめ返す。
「…アプルル…愛している。」
 ――きゅぅん!
 そう言われた瞬間、アプルルは自分のソコが今までにないくらいにしぼられるのを感じた。直にアジドのモノを感じて目を閉じそうになるのを必死でこらえ、見つめ返す。喘ぎ声が漏れそうになるのを抑え、アプルルは返事を返した。
「私も…愛してる。」

 そして、再びアジドの首に手を回して抱きしめ、自分から彼に口づけた。兄の目が一瞬驚きに見開かれるが、すぐに主導権を取り戻して、繋がりながら激しく唇を貪りあう。アジドの片手がアプルルの背中を離れ、繋がっている下半身に伸びていった。アジドのモノを受け入れている蜜壷のすぐ上にある恥ずかしいお豆をきゅっとつまんだのは、その直後だった。
「っぷぁ!…っぁあぁあぁあぁあんっ!!」
 キスしていた唇を離し、アプルルは激しく喘ぐ。自分を激しく鳴かせてくるこの手が、この指が愛しい。いやらしい言葉をつむぎ、貪るような
キスをしてくるこの唇が愛しい。繋がっているソコが愛しい。愛しさと快感とが相乗作用で高まってゆく。
「ぁはぁん!キモチ、イイ…おにいちゃん…ギュッて…抱きしめて…ギュッてされて、イキたいの…やっ…ぁっはぁあぁん!」
 アジドはギュッとアプルルを抱きしめ、絶頂に向けてひたすらに腰を振り続けた。片手の指がクリトリスをこねる度にびくんびくんと身体を震わせ、さらに絶頂に向けてお互いを高めてゆく…そして。

 ――ぴたんぴたんぴたんぴたんぴたぴたぴたぴたぴた…!

「ぁん!はぁあぁん!…ぃやぁん!…イッちゃう…おにいちゃん、私…イッちゃう…!」
「ぁっ…はぁっ…お、俺も、もう、…出そうだ…っくぅ…!」
「はぁっ…んぅ……ぁんっ…おにいちゃん、一緒にイッて…私の中に出して…ぁん…ぃやぁん…おにいちゃん…!」
「ぁあっ…!アプルル…!」
 激しく抱き合ってぴたんぴたんと腰を打ちつけあう2人。ひたすらに腰を振り、愛情を込めて妹を抱きしめるアジド。ひたすらにヨガリ鳴き、普段の勤勉でまじめな仮面をかなぐり捨てて淫乱に愛を貪るアプルル。2人が登りつめたのは、それからほどなくしてからだった。
「…はぁん!ぁっ…ぃやぁん!イッちゃうぅ、おにいちゃん!ぁあイクッ!…っぁはぁあぁあぁあぁあぁあ――――ッ!!」
「…ぅぐっ!…アプルル…―――――ッ!!」

 ――びゅくんっ!!どくん…びゅるるっ!…どびゅうぅうぅーっ…!

 今までにないほどの快感でびくんびくんとはねまわるアプルルの胎内に、アジドの白濁した欲望が何度も注ぎ込まれた…。


…☆…☆…


 翌朝。アジドが目覚めると、隣の部屋から何ともいいにおいが漂ってきていた。昨日脱ぎ捨てたはずのローブと帽子が、ベッドの下にきちんとたたまれている。
「おにいちゃん、おはよー!早くシャワー浴びておいでよ。朝ごはん作っとくからね。」
 いつもと変わらない調子でアプルルが呼びかけてきた。昨日の痴態とは大違いだな…アジドは思わず苦笑してしまう。昨日まで、何かというとかまってくるウザイ存在だった妹が、今朝はたまらなく愛しい伴侶として感じられる。今までとは違う自分になれたような気がして、アジドは気分よくシャワーを浴びに行った。

 身の回りを整え、朝食をとると、アジド・マルジドはいつもどおり、妹よりも先に出勤する。
「今日も、シャントット博士のところ?」
 妹にそう訊かれて、アジドは思い出した。シャントット博士のところには、あの不運な新聞記者ヒウォン・ビウォンがいるのだった。今頃はあの薬の効果で生きたバイブマシーンとなって、毎日博士を悦ばせることになっているだろう。…つまり俺は、当分毎日早めに家に帰って、アプルルと愛し合える!!こんなことを考えつつ、アジドはいつもの冷静な顔のままつぶやいた。
「…いや。博士は今日からしばらく所用でお忙しいはずだ。たまには本業である口の院でひよっ子達を鍛えてやるのも悪くない。」
「そっか。じゃあ今日もがんばってきてね、おにいちゃん。」
「…あぁ。」
 愛用の帽子とカバンを片手に、家を出ようとするアジド。と、アプルルが彼の背後からマントを引っ張って自分の方に振り向かせてきた。
「…おにいちゃん。」
「?」
 怪訝な表情で妹を見つめるアジド。アプルルは兄の首に両手を回して抱きつき、「行ってらっしゃい♪」と囁いてほっぺにチュッとキスをした。
「〜〜〜。…ぃ、行ってくる。」
 アジドは、こういう日常レベルでの愛情表現には全く慣れていないらしい。蒸気を吹き出さんばかりに真っ赤に染まった耳を隠そうと、帽子をかなり目深にかぶり、テレかくしにわざと大きな足音をたてて家を出ていった。フラフラとおぼつかない足取り…たちまち木立にぶつかってハデにこけてしまう。その様子を窓から見て、アプルルは心底幸せそうに笑ったのであった。

-THE END-


愛のバカンス