「だから他人の家の中を裸で歩き回るなって言ってるだろぉぉぉぉぉ!」

少年は絶叫した。
『少年』と呼ばれるのは本人にとっては不本意かもしれない。
彼はここバストゥークの錬金術ギルドに所属する新進気鋭の錬金術師。
もはやその腕一本を頼りに生きる、一介の社会の構成員だ。
年齢など関係無い。成人として扱ってもらいたいところなのである。

……と本人は主張しているが、その実は既存の薬品の製法を勉強している見習に過ぎない。
ギルドから貰っている薬品生成の仕事の報酬は、錬金術関連の書物や実験の材料費に消えてしまい、
生活の糧は、市場の日雇い労働、球根やタマネギやキノコを宅配する仕事に頼っている現状だ。

「裸じゃないにゃー。ちゃんと下着、着けてるにゃ」
ミスラは、薄っすらと上気の色が見える湯上りの肌を見せ付けるように、腰と尻尾を振って見せた。

「下着でも歩き回るなっ!」
「えー……嬉しいくせにぃ。タダで泊めてもらっちゃ悪いから、
家賃代わりにしっかり目に焼き付けていいにゃよ〜」
「嬉しくないっ!
お前たちが寝泊りしているせいで、色々と近所からあらぬ誤解を受けているんだ。
そんな格好で歩き回られているのを外から見られた日には……」
「羨ましがられちゃうにゃっ。色々想像されちゃうにゃね」
「思いっきりおかしな目で見られるんだぁぁぁぁぁ!」

何を言っても暖簾に腕押し。
街に住む者が冒険者に近所の目なるものを語るのが間違いなのだが、
そうと割り切るには少年はまだ若く、
世の中には千差万別の常識が存在することをまだ知らないらしい。

「もう、何をしているの?
私たちは、あくまで厚意でお世話になっているんだから、
あまりジョニーを困らせないの」

猫のそれに酷似した耳を掴まれ、ミスラは「にゃー」と首を竦めた。

ミスラの背後には、彼女より優に頭ひとつ分は背の高い美女が、
悪戯をした妹の代わりに謝る姉の表情で姿を現していた。
その耳は、ミスラ程ではないが、特異な形をしている。
細長く尖った耳、北方に国家を築いている種族エルヴァーンだ。

「ごめんなさいね、ジョニー」
エルヴァーンの女性は、視線をミスラの頭から少年へと移して言った。
「この娘はからかっているだけだから、
あまり真に受けてはダメよ」
「にゃ〜」

「いや、別に……僕も本気で怒ったわけじゃないですから」

ジョニーは、ミスラに対するのとは全く違った態度で手を振った。
姉のような存在であるこのエルヴァーンの女性の前では、
あまり騒ぎ立てるのは幼く見られるような気がしてはばかられるのだ。

この2人に加え、合計4名の冒険者グループが、
ジョニーの家の居候(いそうろう)だった。
バストゥーク共和国の公認冒険者である彼女たちは、
この首都に滞在する間だけ、ジョニーの家で寝起きするのが常となっている。
冒険者という存在は次第にヴァナ・ディールに欠かせない職種になってきてはいるが、
一見冒険者とは無関係に見える錬金術師見習の少年の家に、
女性ばかりの冒険者グループが滞在しているのは一般的な状況とは言い難い。
それでも彼女たちを無下に追い出せない理由が、ジョニーにもあるのだった。

ミスラとエルヴァーンの2人組は、2階へと上がって行った。
ジョニーの家は広い。
元々1人で住んでいた家ではないのだ。
自分自身と4人の居候とに個室をあてがっても、まだ部屋数には余裕があった。

読みかけの本を置いてあった机に戻る。
彼が一日の大半を過ごす場所、書物を読み薬品を扱う部屋が、このアトリエだ。
1階と2階とを行き来する上でどうしても通らねばならないこの部屋を、
彼はアトリエにあてている。
居候たちが生活する上で必ず、
勉強や仕事をしている彼の傍らを行き来するようになっているのだ。

続いて、栗色の髪をしたヒュームの女性が、風呂場の方から姿を現した。
どうやら4人揃って入浴していたらしい。

「何か、騒がしかったですね。
ごめんなさい、いつもお仕事の邪魔をしてしまって……」

「いや……もう、慣れたから」

本に目を落としたまま、ジョニーは答える。

と、彼の顔の横にアルタナの女神の聖印が現れた。
銀の細い鎖が微かな音を立て、湯上りの女性の香りが机の周りを包む。
白魔道士である彼女が、彼の傍らに近付いて机の上を覗き込んでいた。

「錬金術かぁ……材料の姿をまるっきり変えて、色々な物を作り出せるんですよね」
「まあ……そんな感じだけど」
「あのね、ジョニーさん。
もし作れるのなら、作ってほしいものがあるんです」

そう言って、白魔道士の女性はなぜか顔を赤らめて俯いたのだった。

「作ってほしいものって?」
「ええと……」
彼女は何が言いにくいのか、視線をさまよわせている。
「イリティアさん?」

名を呼ぶという形で促すと、彼女の話はようやく先の段階へと進む様子を見せた。

「冒険者は、5、6人程度でパーティを組んで仕事に出ることが多いんですよ」
「うん、そう聞いてるけど……」
「わたしたちは女ばかり4人で組んでいるので、大抵は、
同じ仕事を希望している男性2人くらいと一緒に仕事に行くんです。
同性ばかりだと、冒険者に期待される多様な仕事をこなすのに、色々と不便なんですよ」

彼女たちはいつもこの家を女4人で出て、女4人で帰って来る。
だからそのメンバーだけで冒険をしているものとばかり思っていたジョニーには、
少々意外な事ではあった。

「へぇ……女の人は女同士で行動した方が安全じゃないかって思うけど……
素人考えなのかな?」

言ってから、随分と下世話な発想での質問をしてしまったような気がして、
ジョニーは少し後悔しながらイリティアから目を逸らした。

「それは街の中での話ですね。
ゴブリンやクゥダフと、男の人と、どちらが怖いかって言ったら……ね?」

彼女は、そんな質問にも頷きながら、冒険者にとっての常識を説く。

「……でも、ジョニーさんが考えたような『危険』だって勿論あるんですよ。
何日も一緒に行動しますから。
野宿する時には、並んで寝るわけですし、
体を拭く時にはせいぜい後ろを向いていてもらうくらいしかできません。
どこに何が潜んでいるかわからない危険な所でどうしても用を足したくなったら、
物陰でするわけにはいかないので、
男の人も含めたみんなの居るその場でしなくてはいけませんし……
そういう状況下で、ずっと我慢していろというのも無理な話だっていうのは、
わたしたち女の方も分かっているんです。
男の人は『溜まってしまう』ものだそうすし……」

言いながら、段々とイリティアの顔は赤くなっていった。
ジョニーもまた、彼女が例に挙げた行動をとっているのを想像したのか、
顔を赤くせずにはいられなかった。

確かに、この家に出入りしている4人の美女たちと
そのように四六時中行動を共にすれば、
おかしな気が起きるのも分からないではない。
ましてや野宿続きでは、そうして湧き上がった情欲を
『1人で処理してしまう』ことも無理な話なのだろう。

「我慢が限界に達してパーティを続けられないような事が起きてしまうというのも、
実は結構ある事なんです。
時には命に関わることだって。
それで、どうするかというと……」

まさか、と思いながら、脳裏に浮かんだ想像を否定した
ジョニーの耳に飛び込んで来たのは、しかしそのまさかだった。

「わたしたちの場合……
限界まで我慢させないうちに、その……
させてあげてるんです……」

イリティアは真っ赤になって言葉を切った。

冒険者という荒い世界で生きている彼女が処女だとは思っていなかったジョニーだが、
この話はさすがに衝撃的だった。

「あ……でも、色々と考えてルールは作ってるんですよ。
子供ができてしまったら冒険を続けられませんから、
一応、同じ種族同士ではしない、とか……」

異種族間で子を為した例は皆無ではないが、
ヒュームとエルヴァーンの間で極めて低い確率で生まれる程度であって、
現実的には異種族との交わりは生殖の価値は無い擬似的な性交と考えて差し支えない。

「バストゥークを中心に活動していると、
ヒュームの男の人と一緒になる機会が圧倒的に多いですから、
わたしたちヒュームはあまり、その……
最後までお相手はしていないんです。
ほとんどはシーリアさんやターフィさんが、
最後まで導いてあげてます」

イリティアは、仲間たちの内、エルヴァーンとミスラの名を挙げた。
ジョニーは、彼女はほとんどの場合は最後まではさせていないという言葉に、
安堵している自分を感じていた。

「でも……ここで、作ってもらいたいものの話になるのですけど……
少しの間だけとはいえ、男の人と愛し合っているのを見ると、
正直ちょっと悔しいと言うか……
一緒に仕事を成し遂げていくわけですから、
やっぱり信頼できる人だったりするんです。
嫌な人だったらそもそも組まなかったり、
早々に別行動にして他の人探したりしますから。
そういう男の人たちと抱き合うのはシーリアさんやターフィさんで、
わたしは見てるだけっていうのが……」

イリティアの話は、
半ば愚痴るような感情を羅列する言葉に変わっていったが、
彼女が何を言わんとしているのかはジョニーには伝わっていた。

「錬金術で、
ヒューム同士でしても子供ができないようなものを作れ、ってこと?」
「……できますか……?」

そのようなものは未だ見たことも聞いたこともなく、
ジョニーの腕で作れるのか、
いやそもそも錬金術の技の及ぶところなのかすら分からない。
また彼としては、
仮にそれができあがったとすればそれを用いて
この美しい白魔道士は男と交わるのだということ、
その相手がまず自分では有り得ないことは、
幾らか釈然としない製品の使い道だという思いを消すことができそうになかった。
まさしくこれは難題であった。

数日後の夜、ジョニーはイリティアを寝室へと迎え入れていた。
完成した品を見せるためにジョニーはアトリエへとイリティアを呼んだのだが、
品物の使い道が使い道だけに彼女が場所を変えることを望んだのだった。

居候たちは時としてこの寝室までも踏み込んで来るが、
改めて1人だけを招き入れ、
避けようもなくセックスの話をするとわかっているとなると、
妙な居心地の悪さを感じずにはいられないジョニーだった。

「色々試したんだけど……」

色々と言ってもどれ程の試行錯誤であったかは、
その目の下にクッキリと刻まれたクマが物語っている。

「クリスタル合成で作ることにしたんだ。
原料はスライムオイル」

瓶から適量のスライムオイルを片手に取り、
いま一方の手には氷のクリスタルを握る。
そうして目を閉じると、
クリスタルは彼の両手の間で氷の結晶を思わせるエネルギー体を形作り、
その中にスライムオイルを取り込んでいった。
クリスタルのエネルギーは、
原料をジョニーが脳裏に描くイメージへと変化させていく。

ジョニーが居候たちに住まいを提供している理由のひとつが、
このクリスタル合成だった。
クリルタルの持つエネルギーを利用すれば、
本来の方法より遥かに手軽に様々な物を加工できるのだが、
しかしクリスタルは、街に住まう人たちにとっては手に入り難い物でもある。
ジョニーは4人の冒険者たちを家に住まわせる代わりに、
クリスタルを提供してもらい錬金術に使用しているのだ。

程なくして、ジョニーの手の平から光が消え、
後には薄い半透明の皮膜でできた袋のような物が残った。

「これで完成ですか?」

イリティアは不思議そうに彼の手の平を見つめていたが、
ジョニーが頷くと、恐る恐る手を伸ばした。

「なんか、ヌルヌルしてます」
「原料のオイルの半分以上は皮膜に変わるんだけど、
幾らかはそのまま表面と内側に残しているんだ」
「どうして……?
……あ、あはは、なるほど……」

袋を指先でつまんで吊り下げて見ると、
その理由がイリティアにも分かったようである。

「つまりこれは、男の人のものにかぶせるんですね……」
「うん、最初は乾いた状態で作り上げたんだけど、
それだけだと上手くかぶせられないというか……」

男性の性的な興奮が高まった時に性器から出る液が女性器内に入ることで子ができることは、
ヴァナ・ディールでは余程幼い子供でもない限り知っている。

ジョニーは大きく分けて2つの方法を考えた。

ひとつは、生命の素である以上、
精液は生きている液体ではないか、毒で殺すことができないかということ。
だがこの仮説が正しいとしても、
セックスをする当事者には害が無く精液だけを殺す毒を調整するには、
かなり危険性の高い実験を繰り返さなければいけない。

自然と、方向はもう1つの方法に絞られた。
男性器に、行為の快感を大きく削がない程度の薄い袋をかぶせて、
液が女性器に入らないようにする。

様々な原料を用いて試行錯誤した結果、
スライムオイルを氷のエネルギーで凝固させたものが最も薄く、
かつ液体を通さない物になった。

「ふむふむ、なるほどぉ……」

思考と実験の課程を語るジョニーに、
イリティアも真剣な表情で頷いていた。

「じゃ、これをかぶせておけば、
気持ち良さはそのまま、
精液は通さないんですね」

「……その、はずなんだけど」
「はず?」

突然言葉を濁すジョニーだが、
実は彼はまだこれを実際に使ってみていなかった。
自分のものにかぶせてみるまではしていたし、
水を入れて漏れないことは確かめていたが、そこまでである。

「それは……一度試してみないといけませんね……」
「うん……だから、街に居るうちに、
信用してくれる人を相手に試してみることを勧めるよ」
「はい、そうします。
でも本当に凄いです、ジョニーさん。
何も無かったところからここまで物を作ってしまえるなんて。
金を生み出す技術、と言われるのも分かる気がします」

ニッコリと笑うイリティア。
しかしジョニーは、
製品の出来をイリティアがどこかの男を相手に試すのだと思うと、
やはり釈然としない感情が残っているのを感じていた。
同時に、少なからぬ興奮も覚えていた。
自分の作った物がイリティアのあの場所に入り敏感な所を擦り上げるのだ。

「じゃあ、試してみますね」

「うん……え?」

イリティアが自分の前に座って腰の辺りに手を伸ばして来る。
それが何故なのか、ジョニーは咄嗟に理解できなかった。
その混乱の内に、
イリティアはジョニーが下半身に纏っている物をまとめて引き下ろし、
男性器を露出させていた。

「ななななな何を?」
「何をって……試させてくれないんですか?」

イリティアは、
両手でジョニーのズボンを下ろすために皮膜の袋を唇にくわえていたため、
その声は幾らか不明瞭なものになっていた。

「まさか……僕で試すと?」
「だめですか?
でもジョニーさん、結構元気になっていますよ。
最初から、試させてくれるつもりじゃなかったんですか?」
「いや、そんなことないけど……いやそうじゃなくて……」

彼女がこれを使うと思うと興奮して半ば勃起してしまった、
とは言えず、ジョニーは曖昧に言葉を飲み込んだが、
それが肯定の意と取られてしまったようだった。

「ちゃんと硬くしてからの方がかぶせ易そうですね」

イリティアは竿の部分を、皮で中身を摩擦するようにゆっくりとしごいた。
女性に見られ触れられる快感と興奮と、
またこれから起こる事への期待で、
それはすぐに硬く持ち上がった。

先端が暖かく柔らかい感触に包まれ、強い快感が襲って来る。
イリティアが口に含み、舌を這わせてきたのだ。

「ああ……っ」
「舐められてどれくらい気持ち良いか、
ちゃんと覚えておいてくださいね。
この後、これをかぶせてからまた舐めますから、
気持ち良さにどれくらい違いがあるか確かめて」

唇で先端をしごいたり、
液の出る口や、くびれの部分に舌先を這わせたり、
イリティアの責めに、ジョニーは背後の机に手を付き、
息を荒げて体を震わせた。
すぐにでも放出してしまいそうだったが、
快感を比較しろと言われた手前、
出してしまっては感覚が変わってしまうので耐えなければいけなかった。

「はい、かぶせますねー」

潤滑油の分のスライムオイルは要らないのではないかと思われるくらいに
唾液がまぶされ充分に硬くなったペニスに、
イリティアは皮膜の袋をかぶせていった。

「かぶせるだけで相当気持ち良さそうですね。
もうこの大きな物には何されても気持ちいいんじゃないんですか?」

袋の内壁はは滑らかであるとはいえ、
ある程度の締め付けをしてくる袋へ挿入されていくこと、
またそれがイリティアの細い指によってされている事が、
彼にかなりの快感をもたらした。

膜をかぶせた上から、イリティアは再びあらゆる手と口での責めを行った。

「当然、直に触るよりはツルツルしてますけど……
どうですか? 気持ちいいですか?」
「う、うん……」
「気持ちがいいんですか?」
「い、いいってば……」
「こんな所を女の子の口に入れて、気持ちいいんですね?」

首を動かし唇でしごきながら上目遣いに彼を見つめる彼女の目は悪戯っぽく笑っている。
男の口から『気持ちいい』と言わせたいのだと、分かった。

「凄く気持ちいい……」
「ちゃんと射精できそうなくらい気持ちいいですか?」

必死で頷く。
言葉でも彼女は男を興奮させようとしているのは間違い無かった。

「これだけ気持ち良さそうなら、かぶせても十分に満足してもらえそうですね
じゃ、次は出したものが漏れてしまわないか確かめてみましょうね」

絶頂に導くために舌の動きを早めたイリティアだったが、
唐突に何かを思い付いた様に口を離した。

「たくさん出しても漏れないかどうか、ちゃんと確かめないといけませんよね。
ジョニーさん、ベッドに寝てください」

もはや経験の浅い錬金術師は、この白魔道士の言われるがままだった。
ベッドに体を横たえると、腹に当たるまでに反り返った物を隠しもせずに、
イリティアにしてもらうのを待つ。

イリティアは、下着姿になってベッドへ上がって来た。

「興奮する程、量は増えますよね。
わたしで興奮してください……」

そう言って、イリティアは、ジョニーとお互いに逆の向きで抱き合う、
シックスナインと俗に言われる格好で覆いかぶさって来た。
そして手と口でまたペニスを責め始める。

目の前には下着に覆われたイリティアの股。
恐る恐る指を伸ばす。
女性器の割れ目がある部分に触れると、ヌメリを伴う液体が下着に染み出した。


「下着、ジョニーさんが脱がせて……」

手を掛け、下ろしていく。
髪と同じ栗色の毛が生えていた。
太股まで下ろされた下着を、イリティアは片脚づつ抜いて傍らに放り出した。

「ジョニーさんの、また大きくなりました……
見られているだけだと恥ずかしいです……いじってください……」

隠すものもなく目の前に見せ付けられる女性器。
ジョニーは毛を掻き分けて指を割れ目の中に這わせた。
ヌルヌルとした、皮膚と全く違うその感触は、
傷付けてしまわないかと彼の方が心配になるくらい柔らかく熱かった。

「ハァ……好きな所触って……わたしも気持ちいいんですからっ……」

指先が、柔らかい襞の中で勃起した突起を探り当てた。

「やだ……そこっ、
わたしがどれだけイヤラシくなっちゃってるかが見える所なんです。
気持ち良過ぎる所だから、そっと……でもいっぱい弄り回して……っ!」

その突起が、彼の指の先でみるみる大きさを増していくのを感じた時、
ジョニーは達した。

「んんっ!」

口の中で膜越しに爆発を感じたイリティアは、
快感を与え続けて射精の量を増やそうと、
吸い付くようにしながら脈打つそれをしごき続ける。
ジョニーは数えきれないくらい幾度も幾度も肉の棒を震わせ、
白濁液を絞り出していった。

「凄い……っ!
こんなにビクビクして、いっぱいいっぱい出てます。
この白いのが出る度に凄く気持ちいいんでしょう?
何度もこんなに……男の人が羨ましくなるくらい、気持ち良さそう……」

射精が完全に治まるまで、イリティアは刺激を続けた。
袋の中は、中の肉棒が見えなくなり形も分からなくなるくらい大量の白濁に満たされていた。

「一滴も漏れていません。
大成功ですね」

やがて放出が完全に止まると、
イリティアが中身をこぼさないように慎重に袋を外していった。
そうしてまだ表面にベッタリと生臭い液を塗り付けられ、
柔らかくなりかけているペニスを直に口に含み、
中に残っている精液を吸い出してくれるのだった。

射精後間もない過敏なペニスを吸われ、
飛び出し損ねた精液が尿道を通って行く。
ジョニーは反射的に腰を引きたくなったが、
組み敷かれていては動くこともできない。

ジョニーはここで初めて、
自分に覆い被さっているイリティアの身体を意識した。
放出するまでは股間の感覚に集中させられていてそれどころではなかったのだ。
下腹部に当たる胸をはじめとして、
彼女の身体は本当に柔らかく滑らかで、
体重を預けられているのが心地良かった。

「見て……ジョニーさんの気持ちいいのが、
たっぷり……」

彼女の手には、先程までジョニーのペニスを覆っていた袋がぶら下げられていた。
中には白い液体が溜まっている。
口を指でつまんで閉じているので、
中のものの独特な臭いはジョニーの所まで漂っては来なかった。

自分の体から出たものとはいえ、
あの液体の臭いを嗅いだり味をみたりするのはジョニーも耐えられない。
それが出せるようになって間もない少年の頃、
好奇心に狩られて僅かに指に付いたものに舌を付けてみたが、
絶対二度としないものと心に決めた。

だが、イリティアはその袋の口を自分の唇で挟み、
白濁が溜まっている先端を持ち上げて、
液を自分の口の中へと流し込んだ。

驚くジョニーの前で彼女は空になった袋をシーツの上に投げ捨て、
唇を閉じて、どうやら精液を口の中で転がしているらしい。

「やだ……味も匂いも凄いです。
ネバネバして、とっても濃い……」

液体を含んだままなので不明瞭ながらそう言い、
彼女は口を開いて見せた。
歯の間に白い糸が引き、
白濁まみれの舌が唇を舐めた。
精液は口の中で泡立っている。

もう一度口を閉じたイリティアは目を閉じ、
喉をゴクリと鳴らして含んでいたものを飲み込んだ。

「そんな事までしてくれなくても……いいのに……」

ジョニーは、自分では絶対にしたくないという表情を見せる。

「自分の体からは絶対出ないものですから、
却って嫌ではないですよ。
男性が女性を愛した結果として出る大切なものと思えば……
美味しいものではありませんけど、
この味や匂いを感じる時は、
ほとんどが自分も気持ちいい思いをした時ですから、
むしろ興奮しちゃいます」

唇にまだ薄っすらと付着している白い液を指先で拭いながら、
イリティアは笑った。

「でも、ちょっとお水を貰って口をすすいでもいいですか?
キス、したいですから。
わたしはこのままでもいいんですけど、
ジョニーさん困るでしょう?」

そういえばベッドの上でかなり凄い事をしたというのに、
まだ唇を合わせてはいなかった。
改めてキスをしようという言葉に、
抑えようもなく胸が高鳴ってしまうのを感じながら、
ジョニーは水差しを自由に使っていいと指し示した。

「じゃあ、口をすすぐ間に、今のをもうひとつ作ってくださいね」
「へ……?」
「まだ、かぶせて舐めてみただけでしょう?
アソコに出し入れしてみないと、実験は終わりませんよね」

ジョニーは下半身裸のまま、
ベッドから降りて材料を手に取り、再び避妊具を合成した。
自分がイリティアに使うつもりで作るのは初めてである。
合成のイメージに集中できずに、1度失敗した。

「あ、そうだ……」

2度目の合成をしようとしていると、
口をすすいだイリティアが声を掛けて来た。

「さっき作ってくれた物は、
袋がピッタリとアレを包むようになってましたけど、
あれだと出たものの行き場が無いというか……
ジョニーさんも、少し窮屈じゃありませんでしたか?」

ジョニーは強烈な快感ばかりを感じていたのであまり意識していなかったが、
確かに絶頂時は勿論、それに至るまでにも
ペニスの先端からはかなりの量の液体が出てくる以上、
それらの行き場所が無い造りではまずいように思えた。

ジョニーはしばらく考えた末、
新たに思い描いたイメージに従って合成を行った。

ペニスに被せてみると、新しい避妊具は、
根元から先端に行くに連れて太くなってっており、
膜と性器の表面との間に隙間ができるようになっていた。
根元の締め付けだけで避妊具を固定し、
そこから先は緩くなっている状況である。

「これでどうかな……」
「ふふ、試してみましょう」

イリティアはベッドの端に腰を下ろし、
目を閉じて僅かに顎を反らした。

「実験とは言っても交わるんですから、
今だけはちゃんとわたしを愛してください」

ジョニーは恐る恐る唇を近付け、重ね合わせる。

数秒唇を合わせただけで、一旦ジョニーは顔を離した。
口付けする前よりイリティアの顔が上気しているのがわかった。

もう一度唇を合わせると、
イリティアが舌の先だけを出して彼の唇を舐め始めた。
ジョニーも舌先を唇の間から出す。

二人の舌が触れ合う。
舌先がしばし絡み合い、突付き合い、
ジョニーの舌がイリティアの唇の間に吸い込まれた。

舌をしゃぶられる。
イリティアの柔らかい唇が舌に吸い付き、しごき、
その舌は彼の舌先を表といわず裏といわず舐め回していた。
彼女の唾液が熱い。
ジョニーはフェラチオをしてもらうのに劣らない快感を覚えた。
しばしの後、
ジョニーの方がイリティアの舌を自分の口に引き込んだ。

二人は口唇の愛撫を楽しみながらベッドに身を倒す。
ジョニーは脈打つ度に大きさを増す勃起は勿論、
体中をイリティアの肌に擦り付けんばかりに抱き締め、
また、ローブやダブレットの上から見るより
更に実際は大きかったその胸を揉みしだいていた。

仰向けに押し倒されても形が崩れきらない張りのある乳房に
ひっそりと咲いていたピンク色の頂点は、
ジョニーの指に弄ばれると素直に硬く起ち上がる。
つままれる度にイリティアの塞がれた唇から熱い吐息が漏れ出した。

やがてジョニーは我慢の限界を迎えた。
とにかく一度入れたい。包まれたかった。

イリティアの呼吸も乱れている。
脚の間にジョニーの両足が既に入り込んでいるが、
その彼の脚に内腿を擦り付けている。

離した唇の間には、二人の唾液が混じった糸が引いていた。

イリティアが膝を持ち上げて受け入れる体勢になると、
ジョニーは自分のものに手を添えて彼女の裂け目にあてがった。
先端で口を探し当てて押し込むと、
心地良い抵抗を受けながらもゆっくりとそれは埋まっていった。

「あっ……はぁ……あぁ……」

待ち望んでいたものを受け入れたイリティアは
目を閉じたまま幸せそうな吐息を漏らした。

しかし、
「ん……ちょっと変な感じ……しませんか?」
「うん……」

わざとだぶつかせた避妊具は、
窮屈な膣の中では余った分が変によじれ、
また袋の中でペニスが動いてしまって女の方は内壁への摩擦を受けにくい。

やむを得ずジョニーは入れたばかりのものを引き抜いて失敗作を取り去り、
一旦ベッドから降りて新しい避妊具を合成することにした。

「今度はどういう形にしてみようか」
「そうですねえ……」

イリティアはベッドの上に仰向けのままだが、
手で股間を隠した。
互いに性に没頭している間はともかく、
相手が合成をしようという間も股を開いてその部分を晒しているのは
恥ずかしいようだ。

合成し、装着し、挿入し、すぐに抜いてまた合成に入る。
避妊具の形状について相談しながら2人はそれを繰り返した。

ジョニーの方は先程一旦抜いてもらっているからまだ良いものの、
イリティアにとってこれは相当に残酷な焦らし方になってしまったようだ。
貫かれてはすぐ引き抜かれてしばらく待たされる。
幾度かを数えた後には、恥じらって隠すためにあてがわれていた手が、
合成を待つ間に花弁を慰める役を果たすようになっていた。

「オナニーなんて普段はしないんですからね……
癖が付くと冒険の間の我慢が大変になりますし。
ああ……でも今は本当に我慢できないんです……」

ジョニーも女の自慰など見るのは初めてのことで、
その姿には集中力を乱されるのだが、
静かに我慢していろと言うわけにもいかず、
また正直なところ彼女の淫らな姿を見ていたかったので、
それを横目に合成を頑張るのだった。

失敗作の数は二桁に上る。
イリティアは、それと同じ回数だけ、
今度こそ思い切り快楽に溺れられるかと期待しながら
引き抜かれて待たされる仕打ちを受けた。
その苦しみを、そこまで一切言葉に出さなかったのは、
さすがに白魔道士といえるだろうか。

しかし言葉を喋らぬ口は静かに待ってはいなかった。
意思で止められぬ涎が白く濁り、
激しい指の動きで飛び散って、
周りの毛やシーツを濡らしていた。

「もう、抜かないで……」

それでも限界に達したのか、遂にイリティアは、
十幾つ目かの試作品を着けて入って来たジョニーに抱き付いて離さなくなった。

「失敗作でも何でもいいですから。
もう着けてくれなくたっていいです。
できたっていいから……
そのまま、出し入れして……」

ジョニーは戸惑ったが、
幸い今回の物はしっかりとペニスに張り付き、
出し入れし続けられそうだった。
避妊具の先端に突起を付けて液の逃げ場所を作り、
その部分には空気が入らぬように装着することでズレずに包み込めた。

「今度は大丈夫そうだから
……いくよ」

彼の方も我慢し続けている。
ペニスの疼きが、そうすれば治まるるかのように、
激しく突き始めた。

「あぁぁ!
いい、凄く熱いです!」

膜を1枚隔てているとは思えないその快楽に溺れ、
2人は腰を合わせて激しく動いた。

「ヒュームの男の人とするの
凄く久し振り……
あ、止めないで……」

しばらく突いてもらえ、
快楽が続くと分かって余裕が出てきたのか、
イリティアはジョニーを恥ずかしそうな表情でじっと見つめて言った。

「やっぱり……同じ種族同士ですると、凄く興奮しちゃいます。
自分に子を産ませようとしている物が入って来てるって感じが……
あぁ……気持ちいい……
エルヴァーンの男の人のものが入って来ても、
敢えて言うと太い指を入れてもらってる気分だから……」

「そっか……女は異種族といったらエルヴァーンとなんだっけ」

ガルカは言うまでも無く生殖行為をせず、
ミスラは女性のみが冒険者として世に出ている。
またタルタルという種族は滅多に性欲というものが湧かないらしく、
無理矢理ならともかく好んで異種族と交わることは無いのだという。
従ってヒュームが異種族と交わるというと、
男性はエルヴァーンかミスラと、
女性はエルヴァーンのみと交わることを意味することになるのだ。

「エルヴァーンって……その……ヒュームより大きいんじゃないの?」

一様にヒュームより大柄なエルヴァーンは、
生殖器も揃って逞しいと思っているヒュームは少なくない。
いつもそれを受け入れているはずのイリティアが、
ヒュームとして特別に大きいという自信は無い自分のもので満足できているのか、
不安を抱かずにはいられないジョニーだ。

そんな彼をイリティアはクスクスと笑った。

「大きさなんて人それぞれですよ。
それに、その時愛し合ってる相手のものが、
今までで一番気持ち良く感じます」

「それならいいけど……」
「ジョニーさんは? 気持ちいい?」
「凄く気持ちいいよ。
イリティアのここ、
男に気持ちいい思いさせるためだけにできてるみたいだ」
「あはは、その通りですもの」

2人はキスを始め、
それを契機に言葉ではなく快楽を遣り取りすることに専念した。
淫靡な粘膜の音と吐息が部屋の中を満たし、
それらは次第に激しさを増して行く。

「いいっ、アソコいいっ! 気持ちいい!
一番気持ちいいところまで行っちゃいそうです……!
もっと強くしてください!」
「僕も……出そうだからっ……」
「あぁ素敵です、いっぱい出して、
わたしで出して、わたしのアソコに出して、
わたしのアソコを使って気持ち良く出して、
好きなだけ出して! 出して出してぇ!
あぁっ……もう……もうっっっ……!!」

腕の中で激しく震えながらイリティアが達し、
膣を絞るように締め付けて来る。
その中でジョニーも放った。

射精しながら搾り取られる快感。
絶頂の中でなおペニスに膣内で暴れられる快感。
繋がったままの絶頂を二人は固く抱き合いながら味わった。

「出てるの分かります……
気持ちいいですか?」

先に絶頂を抜けたイリティアが、
息を乱しながらも結合部を見つめて問う。
未だ最高の快感の中にあるジョニーは、
ただ頷くことしかできなかった。

「ちゃんと最後までお腹の中で出していいですから
遠慮しないで……」

達した直後のイリティアの膣は、
本人の意志に寄らず不規則に痙攣している。
その中で最後の一滴までジョニーは出し切った。

射精を終えて引き抜くと、
避妊具の中は真っ白になっていた。

「これに覆われていなかったら、
この量が全部わたしのアソコの中に出ていたんですね。
アソコには入れてあげられないけど、
体の中にはちゃんと受けてあげますね」

イリティアは自ら手を伸ばしてそれを取り外し、
再び口の中へ中身を落とし飲み込んだ。

「ジョニーさんの男の子、
白いオシッコでドロドロ……
何か拭くものはありませんか?」

ジョニーは慌てて、何かなかったかと部屋を見回すが、
下の始末に使えるような布を彼は寝室には置いていなかった。

「困りましたね……
あ、これが……」

何を手に取ったのかジョニーが理解できない内に、
イリティアは彼のペニスを布で拭き始める。
皮をしっかりと剥いて表面を拭き、
先端からなおも時折滲み出て来る残り汁も、
その布地に染み込ませて始末した。

「はい、きれいになりましたよ。
やだ……わたしの方も凄いことになってる」

彼女は体を離し、その布を広げてまだ汚れていない面を探し始めた。

そこで初めてジョニーは気付いた。
イリティア手に握られている、精液の染みが付いた布は、
先程シーツの上に脱ぎ捨てていた彼女の下着だった。

「それで拭いてくれたの……?」

思わず目を丸くしたジョニーに、
彼女は自分の股を拭いながら恥ずかしそうに頷いた。

「下着とは、こういうもので汚れるものですもの。
旅先では、口よりも下着でしてくれ、って人もいますし、
それで汚されるのに比べれば、全然……」
「下着で……って?」
「わたしが脱いだばかりの下着で、オチン……チンを包んで、
擦って、そのまま下着に出すんです。
そういうのが好きな人は凄く興奮するらしくて……
あ……」

イリティアの視線は、
またも元気を取り戻してしまったジョニーの股間へと向けられた。

「してほしいんですか?
下着で……」

唾を飲み込みながら、彼は頷いた。

できるだけ彼のものではなく彼女のもので汚れている部分を見付け、
イリティアはそこをジョニーのものにかぶせた。
片手でしごき、もう片方の手で先端を布越しに撫で回す。

「うあぁ……布地が、ヌルヌルして……
凄く気持ちいいよ」
「していいですよ……
わたしの下着の中で、おもらし……」
「それ……この後、どうするんだい……?」
「それは……洗って、履きますけど……」

男の精液で汚れた下着を洗って身に着けるイリティアを思うと、
ジョニーは射精感が急激に込み上げて来た。

「出るよ、もうすぐっ」
「いいですよ、汚して……
どの部分を汚したいですか?
お尻? それともアソコ?」
「前に出したいっ……
イリティアのマンコの部分に……!」

素早く股間の部分があてがわれ、
仕上げの刺激が与えられた。
ジョニーはそこへ、吐き出した。

……

「ジョニーさん……またあれを注文したいんですけど」

数ヶ月の間に、避妊具は冒険者達に口コミで広がり、需要が高まりつつある。

「冒険に出る前にだいぶ渡したじゃないか。
全部使っちゃったのかい?」

当初は自分で合成した分を、居候達に競売に出してもらっていたジョニーだったが、
やがて注文に追いつかなくなり、合成技術を公開してしまった。

「ええと……その……
今度はもう少し多目に頂きたいな……って……
ダメですか……?」

技術を秘匿し、人員を雇って商会を興せば、独占した市場から富を吸い上げることも可能だったろう。

「そんなに、してきたんだ?
セックスを。色々な男と」

だが彼は避妊具の製造で生きていくために錬金術士になったわけではない、と言って、
初期の販売で得た僅かな財産を元手に次の研究を始めている。

「もう、意地悪なこと言わないでください。
……ジョニーさんこそ、わたし達がいない間、
ちゃんと女の人に、させてもらえてたんですか?
とりあえず、1個すぐに合成してください。
今すぐに使いますからっ!」

やがてすぐに元の貧乏な研究者見習に戻ってしまうだろう。
だが今は、居候達を迎える家さえあれば、
彼は他には何も要らないのだった。

実験2 ミスランバターを舐めよう!
実験3 解呪薬は作れる?
番外編