ジール:ミスラF5a
ベルーシ:F7a
鬱蒼と生い茂る樹木。
独自の湿気と青草さが、不快さを強くする。
風が吹くたびに木々のざわめきが耳に入り、かしましい。
敏感な耳と鼻が、こういう時ばかりは忌まわしい・・・
と、私は苛立ちを募らせながら思った。
彼女の名前は、ジール。
赤い髪が美しいミスラの娘。
後ろで束ねるように纏めた髪型が印象的であり、
その身には白く、眩しい法衣とも見て取れる鎧。
私はナイトを生業としていた。
その少し後から続いてくる、男。
青年にも少年にも見える、幼い顔立ちをしたエルヴァーン。
彼の名は、ベルーシ。
漆黒の鎧に身を包み、背には巨大な大鎌を着けている。
常に無表情なその顔は、生気が抜けているようにも見える。
私等二人はジャグナー森林を駆けていた。
港町セルビナにいる、エルヴァーンとの賭博。
オークの本拠地、ダボイの中に隠したと言うものを
指定した時間内に持ってくれば、こちらの勝ち。
時間内に持ってこれなければ、私の負け。
到って単純なクエストだ。
ふと、ベルーシが足を速め、私の横に並ぶ。
「ジール」
「なに?」
彼からのコンタクトは珍しいな、と思いながらも応える。
向き合ったその顔はどこか浮かないように見える。
不安そうな様子だ。
「何だって、こんな危ない賭けをするんだい?」
「危ないって・・・何がさ。」
「僕も君も、確かに強くなった・・・。
けれど獣人の本拠地に、二人で忍び込むのは
あまりに危険だと思うよ・・・せめて魔道士を一人でも
一緒に来てもらったほうが良かったと思うよ。」
彼の言葉を聞き、私は ふふん と笑う。
「危険だから、アンタも一緒に来てもらったのよ。」
眉をしかめる、ベルーシ。
私はよく彼に『無謀だ』と、言われる。
好奇心の強い私にとって、無謀な冒険や賭けは楽しくて
仕方がない。
しかしそんな私を見て、いつも呆れるベルーシ。
冒険者たるもの、冒険しなくて、何を楽しむ?
私は、期待と好奇心に胸を踊らせながら、
ダボイへと駆けた。
「ここにもないねェ・・・。
ったく、何処に隠したやら」
ダボイの中に忍び込んだ私達二人は、賭話を持ちかけた
男の言う、ジャーの中を調べまわっていた。
一般人が忍び込んだ程度なら、ダボイの奥までは行ってない
だろうと甘く考えていたのは失敗だった・・・。
私の様子を見て、ふぅ とため息をつくベルーシ。
また呆れられているようだ。
「ここより奥に進むと、段違いに敵が強くなるよ。
一匹ならまだ良いけど、束になられると厳しい。」
がりがりと頭を掻く。
してやられた、と憤っていた。
「奥に進もう、私ゃ賭け事だろうが、負けは大っ嫌いなんだ。」
「やれやれ・・・解ったよ。」
ダボイの奥へと進んでいた時だった。
「た、助けてくれええええ!」
遠くから、叫び声が聞こえた。
緊張の糸が張り詰められる。
私とベルーシは駆け出した。
耳の良い私は先頭に立ち、誘導するように走る。
視界の開けた広い集落に出た。
前方を見ると、武装したオークが複数居る。
そいつらの足元には叫び声の主であろう、エルヴァーンの
男が横たわっていた。
八つ裂きにされ、背中には槍が突き刺さっている。
「サンドリアの兵士ね・・・くそ、間に合わなかった!」
「ジール、他人の心配はしてる暇はなさそうだよ。」
大鎌を背中から取り出す、ベルーシ。
それにならって、剣を抜く。
「私達も見つかっちゃったみたいだね。」
私は腰を落とし、戦闘態勢に入った。
金属と金属のぶつかる音が響きわたる。
オークの断末魔、武器の風を切る音。
二人は集落前の狭い通路で戦っていたが、敵の攻撃を
避けつつ戦っていたため、いつの間にか集落の方へと
誘導され、すっかり囲まれていた。
背と背を預けあう、私とベルーシ。
互いの息はもう切れていた。
くそっ、負ける訳にはいかないんだ・・・!
「やぁぁぁっ!!」
私は勢いをつけて、正面のオークの群れへと飛びかかる。
「はやまるな!!」
ベルーシの声が聞こえた時には、もう遅かった。
切りかかろうとしていたオークの姿はすでになく、
剣は空を切った。
突然身体に響く、重い衝撃。
オークは飛び上がり、切りかかってきた私の頭に
両の拳を叩きつけた。
世界がまわり、バランスを崩す。
あせり、すぎた・・・!
槍を持ったオークが無防備になった私に襲いかかる。
槍は正確に刀身を突き、剣を弾き飛ばした。
そして剣を握っていた腕を掴まれる。
まずい、握り潰される・・・!
と、思ったが、オークの取った行動は違った。
強い力で引かれ、足をかけられて転倒させられた。
すかさず他のオークが、私の四肢を押さえた。
オークの眼の色が、途端に変わる。
法衣のような鎧が、はぎ取られる。
興奮して息が荒くなるオーク達。
私は血の気が一気に引き、意識も明確になる。
『犯される・・・!!』
続いて、脚を保護していた防具もはぎ取られる。
「ジール!!」
ベルーシの叫び声が、耳に届く。
インナーの上から、乳房を弄ばれる。
ごつごつした指の感触が、苦痛を生む。
オークの股間のモノは大きく膨らみ、私の股間に
グリグリ押し付けている。
恐怖、絶望。
「いやぁぁぁぁぁーーー!!!」
私は叫んだ。
生まれて初めての、腹の底からの叫び声。
イヤだ。
彼の目の前で、こんな事。
絶対にイヤだ・・・。
オークが私の下着もはぎ取ろうとした、その時。
オークの頭越しに見える、漆黒の彼が、突然
真っ赤に染まった。
それからは、あっと言う間だった・・・。
鬼のような顔をした彼が、オークを刻む。
八つ裂きにする。
鮮血が舞う。
怒号と断末魔の声が、辺り一面に響いた。
血の海が広がり、彼が落ち着きを取り戻したのは
もうすでに日が暮れていたころだった。
焚火の中から火の粉が弾ける。
樹木に囲まれたジャグナーは、日が暮れると一寸先も
見えないほどの闇夜となる。
私はただただ、焚火の炎を見つめていた。
ベルーシは何やら物思いに耽っているようで、一言も語らない。
はぎ取られた防具を見つめているようだ。
あの後、私はマントに包まれ、抱きかかえられながら
ダボイを後にした。
「・・・ベルーシ」
私は言葉をかける。
すると、いつもの無表情な彼の顔が、そこにはあった。
しばし向き合う二人。
短いような、長いような間。
私は思い切って、聞いた。
「何で、あんなに怒ってたのさ?」
彼は焚火の方を見、しばし考え込む。
答えあぐねているようだった。
しばらくして、深呼吸をし、私と向き合う。
「僕の母親も冒険者だった。
そして、冒険者としての最期は・・・
オークに犯されながら、殺された。
僕の目の前でね・・・・」
話は聞くに耐えない痛々しい話だった・・・。
息子に外の世界を見せてやろうと、一緒に出掛け、
旅先で、オーク達に囲まれ、陵辱された。
オークのモノをねじこまれた母親は、苦痛の叫びを上げ、
ブチブチと性器が裂けて、ショックで亡くなったと。
そして死体と化した母親をなおも、犯し続けたオーク。
ベルーシは、ただ恐怖に身を震わせる事しか出来なかった、と。
「・・・イヤな事聞いたね、ゴメン。」
冒険者は長い間、街から離れる時もある。
その間、食欲、睡眠欲はもちろん性欲もたまる。
だが、ベルーシには性欲がなかった。
彼とは長い付き合いだが、床を共にしても襲いかかってくる事は
なかった。
外の敵は獣人、夜の敵は男、だと女は安心して冒険出来ない。
普通の人間なら当然の様に沸く性欲は、彼にとって
母親を殺した後に、なおもなぶり続けた行動の権化。
性欲を抑えているのではなく、沸かないのだろう。
忌むべきものと認知し、トラウマみたいになっているのかも知れない。
「ベルーシ・・・」
私の声に反応し、疑問の瞳を映す。
そっと、手を握る。
「私と交わってくれ。」
息が止まるような、濃厚な口付け。
互いの舌と舌が絡み合い、交じりあって、脳を刺激する。
吐息と共に、声が洩れてしまう。
「ん・・・はぁっ・・・」
口付けを終え、二人の口と口を銀の粘糸が繋ぐ。
「服・・・脱ご・・・?」
ベルーシと私は、一糸纏わぬ裸体となった。
二人のマントを重ね、下に敷く。
再び、私は彼に口付けをし、そのままゆっくりと彼の身体を
倒した。
肌と肌が密着する。
敏感な鼻が男の匂いに刺激される。
腹の底から、身体に熱が伝わってゆくのを感じた。
「発情・・・しちゃった。」
くすっ、と少女のように笑う私を、ただ見つめる。
それから、安らかな微笑みを浮かべてくれた。
ベルーシの肉体をじっと見つめる。
私の瞳からはとても眩しく、美しく映った。
私は彼の身体に跨り、己の身体の向きを反転させた。
視界に彼の性器が入る。
怒張していない・・・。
手を伸ばし、それを優しく握る。
うっ、と彼がうめいたと同時に、少し膨らむ。
「立たないわけじゃぁないのね?」
「・・・僕はホモやゲイなわけじゃないよ。」
バカ、と小さな声でつぶやき、ベルーシのモノに両手を添える。
真上になるように立たせ、口に含んだ。
「あぐっ・・・」
先端だけをくわえ、口内で舌で攻めては、吸う。
添えた手は、棒の部分を上下にしごく。
あっと言う間に鋼鉄のように固くなり、天へとそびえ立ち、
巨大な、男根へと変化した。
「すごいわ・・・ベルーシの。」
一心不乱に、彼のを貪る。
まるで獲物にありついた肉食獣のように、貪り、味わった。
「あっ」
不意に、跨っていた太股を引っ張られる。
互いの性器と性器を見せあう体位となった。
「これが、ジールの・・・。」
彼は私の性器をまじまじと見つめ、割れ目を指でなぞる。
「ひぁっ・・・!」
電気が走ったかのような快感に襲われた。
その様子が見ていて楽しいのか、彼は、まるで研究者のように
私の性器を調べだした。
ヒダをかき分けて、入り口に指をなぞらせたり、広げて
なめたり、吸ったりと。
彼の一つ一つの行動に、私は快感で身体が跳ねる。
「あっ・・・はぁ・・・!」
快楽の虜になってしまいそうになる。
テクニックとか、そういったことではない。
『彼としている』と言う事が快感を強くしているのだ。
二人は共食いをする獣となり、互いの肉体を貪りあっていた。
どれくらいの、時が経ったか。
愛撫の貪りあいを止め、彼が、私を組み敷いている。
彼の頬はすっかり赤らんでいる。
私は痛いくらいに乳首が立っていた。
大きなモノが、私の内部の入り口をヌルヌルと擦る。
すでに彼を受け入れる準備は出来ていた。
「入れるよ・・・」
「・・・来て。」
彼は手を添えて、ゆっくりと挿入してきた。
「あ・・・ああぁーー・・・・」
ギチギチと、狭い内部を大きなモノが侵入してくる。
不思議と痛みは感じなかった・・・。
「ああっ、すごいよ・・・これが、ジールの、ナカか・・!」
快感に身を震わせ、目を強く閉じながら、つぶやいている。
奥へ奥へと、入ってくる。
彼のモノがすっぽりと収まりきった時、既に私の子宮口まで
到達していた。
しばらく抱き合う二人。
互いの熱を確認しあう。
一体感が、気持ちよくて、心地よかった。
「・・・動くよ。」
「あ、ああっ! いい・・・ベルーシ・・・あ、あん!」
一突きされるごとに、奥の奥まで進入され、引くたびに
先端の出っ張ったエラが、内部の肉をえぐり、引っ掻き回す。
自分の指でしている時とは違って、奥深くまでの進入の快感。
熱した鉄の棒は、まるで子宮が突き破られそうな感覚を生み、
奥の奥で快感を得させ、私を『女』として開発してゆく。
「あったかくて・・・やわらかいよ・・・ジール。」
名前を呼ばれると、おかしくなってしまいそう。
ベルーシの切なさそうな顔が、一層快感を強くする。
私は目を閉じ、顔を逸らす。
「ジールの耳、寝てるよ・・・気持ちいいのかい?」
恥ずかしくて、顔面から火を吹きそうだ。
「そんなこと・・・聞かないで・・・。」
交わった部分の音が、卑猥な粘液の音に変わる。
彼の動きも、ぎこちない動きからスムーズなものへと変わった。
・・・私の粘液の分泌量が増してきたんだ。
いつの間にか、彼の身体に足を絡ませ、腰を振っていた。
私は彼が動くたびに甘い声を出していた。
ジール、ジール、とベルーシは私の名を呼び続ける。
私も、彼の名を上言のようにつぶやく。
「ダメ・・・もうイキそうなの・・ねぇ・・・イキそう・・!」
身体中に、力が入る。
彼の背中に手を回し、強く抱き締めようとした。
「僕も、もう耐えられない・・・射精しそうだよ・・・」
息を切らす二人。
「ジール、足、解いて・・・くれる?」
私はその言葉に首を横に振る。
「ダメェ・・・ベルーシ・・・このまま中に出して・・・」
離れたくない。
彼の暖かな、温もりが欲しい。
一層、強い力を込める。
「そ、そんなに締めたら・・・う、うあぁぁっ!!!」
「あああっ!!」
叫びと共にビクッ、と二人の身体が弾けるように跳ねた。
体内のベルーシの男根が弾けまわって暴れ、精が放出された。
同時にジールの子宮内にビシャッと熱いものが浴びせられる。
意識が身体から浮き、目の前が真っ白くフラッシュする。
パン、と私の中の何かが弾け、肺の中の酸素が、全て
放出されてゆく。
ベルーシの精の熱さを味わい、私の意識はゆっくりと
沈んでいった・・・・。
安らかな感覚がする。
時折吹く風が肌寒さを感じさせるが、心地よいぬくもりが
側にある。
ゆっくり瞼を開けてゆくと、すぐ目の前にベルーシがいた。
マントを一枚を二人でかぶり、身体を密着しあわせていた。
私の頭を優しく撫でているベルーシ。
「起きたかい?」
私は彼との交わりの絶頂の際に、気を失ってしまったのだ。
互いの裸体をよく見たはずなのに、この状況が妙に気恥ずかしく感じる。
そうだ、一つ言っておかねばならない事があった。
「・・・誤解しないでね。」
「?」
「発情したからって、誰とも寝るわけじゃないからね。
アンタだけだよ、ベルーシ。」
「それは、僕も同じだよ・・・君とだから、できたんだよ。」
その言葉を聞き、ベルーシの背中に腕を回す。
彼も、私を抱き締める。
ジールは思った。
賭けには負けたけど、別のクエストがクリア出来た、と。
→ベルーシxジール2
→ベルーシxジール3
→ベルーシxジール4
→ベルーシxジール5
→ベルーシxジール6
→イークスxルウ
→イークスxフィー
→ベルーシxジール7
→ベルーシxジール8