ベルーシxジール
ベルーシxジール2
ベルーシxジール3
ベルーシxジール4
ベルーシxジール5
ベルーシxジール6
イークスxルウ
イークスxフィー
ベルーシxジール7


最近、夜中になるとベルーシが起きる。
そして決まって、
「げぇ・・・っ」
吐瀉音と共に出る、苦しそうな声。
それを聞き、私も目が覚める。
「うぐっ・・・」
大きなしゃっくりをしている。
「・・・はぁ。」
「・・・どうしたの?」
背後からの私の声に、驚くベルーシ。
起こしてしまった、と言う顔をしている。
「何でもないよ、ちょっと気持ち悪くなってね。」
「その割には、随分ひどい顔してるよ」
鏡に映っているのは曇った眼の下に隈のような筋・・・薄暗くてベルーシ本人には解らないだろうが顔色も悪い。
「大丈夫?」
心配そうに身をすり寄せると、
「大丈夫。」
と、私の体を振り払うように解き、洗面所を後にする。
「あっ」と思わず口から言葉が出るが、ベルーシはそのまま寝室へと向かっていってしまった。

最近ベルーシの様子がおかしい。
妙にだるそうで、常に頭痛を我慢しているかのように歯を食いしばっている。
そして何処か私にそっけない。
今朝仕事に行く時も、『いってらっしゃい』と声を掛けた時の返事が『・・・うん』と力無い。
食欲も無い。
それに夜もほとんど寝ていないようだ。
体調が優れないのなら休んだらどうか、と言っても「大丈夫」の一言で片付けられてしまう。

「全然大丈夫じゃないって・・・・。」

私は朝食に使った食器を洗いながら、ぽつりと呟いた。
ベルーシも私も体は丈夫なほうだけど、もしかしたら病気にでもなったのだろうか。
考えれば考える程不安になる。
食器をしまいながら色々な不安と不満をぶつぶつと呟いていた。

不意にコンコン、と玄関からのノック。
響いた音の具合からして、音の主はタルタルではなさそうだ。
「どちら様ですか?」
と扉越しの相手に声を掛ける。
「わたしよぉ、ジールちゃぁ〜ん。遊びにきたのよん」
リリンさんの声を聞き、扉を開ける。
「いらっしゃい、リリンさん。」
白と黒の生地で作られた、所々に装飾の施されたローブに、脚には赤いセパレーツ。
相変わらずと言うか、おちゃらけた様子でほっとする。
「お邪魔するわよん、とぉ」
リリンさんを家の中に招き入れ、居間へと通す。
椅子に座らせると、私は台所へ行き、お茶と菓子の用意を始める。
二人分のティーカップを持ち、居間へと戻ると、リリンさんは私をじーっと見つめていた。
「な、何です?」
「ん〜? いや、ねぇ。すっかりオクサマしちゃって、と思っただけよん」
リリンさんの言葉を聞いて、ふふっと軽く笑う。
「専業して結構経ってますからねえ、主婦っぽくなってます?」
「うんうん、人妻って感じぃ。昼は貞淑、夜は甘えんぼ・・・なんてねぇ、あはは〜」

こういう会話のノリも、相変わらずだと思った。

「で、最近どーぉ?」
にんまりと笑いながら尋ねてくる。
「どうって・・・?」
私の返答に、呆れたように鼻で息するリリンさん。
「・・・夜の生活のコトよぉ」
夫婦間の秘密を堂々と尋ねるところが、この人らしいと言うか何と言うか。
「最近は・・・ベルーシの調子が良くなくて、ごぶさたです、ね。」
リリンさんになら、こういう事も平気で打ち明けてしまう私はあまり良くないのだろうか?
「あららぁ、ダメねぇ。どっちの調子が悪いのぉ?体調のほーぉ?それともおちんちん?」
かぁっと頬が熱くなる。
ストレートに単語を聞くと流石に恥ずかしい。
「・・・体調です。」
私はクッキーを手にとり、一口かじる。
「最近、夜中に突然起きてはゲーゲーもどしちゃって、食欲も無くて、心無しか頬もこけちゃって・・・」
「あらあらぁ、難ありねぇ。」
「少しそっけなくもなって・・・何だか声も掛けにくくて・・・」
ティーカップの紅茶を見つめながら呟いた。
底にある茶カスが、ふよふよと回るように泳いでいる。
「精神的に参っちゃってるのねぇ、困った坊やとお嬢ちゃんなんだからぁ。」
リリンさんはお茶をくいっと飲み干す。
「まっ、多分この前の出来事が原因だとは思うけどぉ・・・」
ポットを取り、お茶を注ぐ。
「ジールちゃんもベルーシくんが怪我して、不安だっただろうけどねぇ・・・アレはベルーシくんのお友達が、呪いでシャドウになっちゃって、襲われたんでしょぉ??」
私は顔を上げ、驚きの眼差しを向ける。
「施設の人や保安部に聞いたのよん。まぁちょっとした人脈使って、一から十までねぇ。」
リリンさんはクッキーに手を伸ばす。
「忘れちゃダメよぉ。ベルーシくんは自分の手でお友達を殺しちゃったんだからねぇ・・・それじゃぁしばらく美味しいゴハンも喉を通らないわよん。」
「でも、ベルーシは大丈夫って・・・」
「優しいあのコだってオトコのコ・・・友達を失うって言うのは男にとっては愛する人を失うくらい、辛いのよん」
「・・・・・・」
リリンさんの言葉に唖然とする。


私はベルーシに、イークスの事について気遣ったコトがなかった。

イークスの残した傷に嫉妬して。
ベルーシの胸に甘えてばかりで。

彼の苦しみをちっとも考えてなかった。

「よぉく考えてみなさい、友達を斬った苦しみをねぇ」
「・・・・・。」
「少しは慰めたりとかしてあげたかしらぁ?んーん、ジールちゃんは甘えんぼさんだから、そんなコト出来ないわよねぇ・・・むしろ責めたんじゃなぁい?」
リリンさんの言葉が、ナイフのように胸に刺さる。
私よりも、リリンさんの方がよっぽどベルーシの事を心得ている。
「まぁ・・・そこで責められても返せないのが、貴方達二人の形なのかもねぇ」

私は、何も言い返すことなくうつむいたままだった。
胸の内でベルーシに謝る事しか出来なかった。

「あらぁ、ちょっと言いすぎちゃったかしらぁ?」
リリンさんがクッキーをかじる。
「・・・いいえ、そんな事ないです。」
私は顔を上げ、リリンさんと向き合う。
「リリンさんの言う通り、私はベルーシの気持ちを考えた事が全然無かったんです・・・。」

会話が途切れた。

カチコチと時計の時を刻む音が、妙に大きく聞こえる。
リリンさんは相変わらずクッキーをかじっている。
そしてお茶を一口し、「はぁ」と一息。
「今夜辺り、じっくりお話するといいんじゃないかしらん?このままじゃぁ二人の仲が冷めちゃうわよぉ?」
「・・・はい」
私は再び眼を伏せる。
ぬるめだった茶は完全に冷めていて、茶カスが沈んでいる。
「余計なお世話だったらいいけどぉ・・・わたしも立ち会ってあげよっかぁ?」
フォローしてあげるわよん、と付け足して私にウィンクを飛ばす。
「・・・・」
茶を見つめながら、一瞬考える。
夫婦の様な個人的な間柄の問題でも、時には第三者が居たほうが良い場合もあるものだ。
でも・・・今さっき、ベルーシに甘えてばかりだ、と言ったのにリリンさんにも甘えて良いのだろうか?
「わたしからの好意、と言っちゃぁ押し付けがましいけどぉ・・・いらない?」
首を傾げるように尋ねてくる、リリンさん。
私はお茶に一口つけて口の中を潤すと、

「お願いします。」

と、言った。

夕方になり、ベルーシが帰宅した。
『ただいま』『おかえり』と言うやりとりの後に、リリンさんが居る事に気がつき、挨拶。
だが相変わらず元気がなく、リリンさんと特に話する事もないまま夕飯を食べ終えた。

食後のお茶に至るまで三人、一言も会話がない。

私は話を切り出したかったが、場の空気がそれをさせてくれないと感じて、口を閉じていた。

「やれやれねぇ」

無音の空気を崩したのはリリンさん。
ベルーシの顔がリリンさんの方を向く。
「まるで愛の冷えた夫婦、離婚したくても出来ない夫婦みたいな雰囲気じゃないのぉ」
ベルーシは精気の抜けた表情のままだ。
「ジールちゃんも、ずいぶん大人しくなっちゃってぇ。冒険者の頃のジールちゃんからはとても考えられないわぁ」
私とベルーシは無言のままだ。
「つまらなそうに夫婦してるなら、いっそ別れて冒険者に戻っちゃえばぁ? その方がお互いのためよん。」
「何をそんな。」
ベルーシが口を開く。
「だぁってそうじゃなぁい? 一っ言も会話しないで、つまらなそうにしてさぁ。こんなんじゃジールちゃんもかわいそうよぉ」
リリンさんは更にまくしたてる。
「ジールちゃん可愛いしねぇ・・・別れたら喜ぶ男もいるんじゃなぁい? ホラ、昔パーティー組んだ赤魔のヒューム。フリッツだったかしらぁ?あのミスラ好きのオ・ト・コ。彼にお話して、ジールちゃんを慰めてってお願いしちゃおうかしらぁ?」
「リ、リリンさん」
私は流石に言いすぎじゃないかと止めようとした。
だが、リリンさんは私の方を向いて微笑む。
ベルーシは無言で顔を伏せたままだ。

しばしの間。

「・・・そんな事、考えたくもない。」
ベルーシが小さな声で呟いた。
「別れるなんて、嫌だ。」
「だったら。なぁんでこんな事になってるのよぅ」
リリンさんは席を立ち、私の肩に手を置く。
「ジールちゃんだって、ベルーシくんと別れたくないのよぉ?」
ベルーシは顔を上げ、背もたれに首を預けて大きく息を吐いた。
「最近、同じ夢をよく見ましてね」
「どんなぁ?」
「イークスを斬った瞬間。生温かい血と鉄の匂いが身を包む夢を。」
「へぇ〜、イヤな夢ねぇ。」
「殺したのも、火葬したのも、全部自分なのに。」
ベルーシの言葉の後に、リリンさんは眉をしかめる。
「ふっきれてないのねぇ、オトモダチの件。」
一呼吸置き、リリンさんが尋ねる。
「アナタのオトモダチの事情は知ってるけどぉ・・・それはアナタとオトモダチが望んだ結果が、今な訳でしょぉ。」
「・・・・。」
「呆れちゃうわねぇ、いつからそんな軟弱になっちゃったのよん。お姉さんは悲しいわぁ」
ベルーシは落ち込むように眼を伏せる。
「己が生きていると実感すればする程、辛くて・・・。」
「だってさ、ジールちゃん」
リリンさんは椅子に座ったままの私の頭を優しく撫でる。
「ごめん、ジール。僕は弱い男だ。」
ベルーシが私を見つめ、語る。
「ううん、私こそいつもベルーシに甘えてばかりの弱い女よ。」
「下らない男の意地を張って、君に悩みを打ち明けようとしなかった」
「私も聞こうとしなかったわ」

「はいはい、おしまいおしまい」

リリンさんが間に入って会話を打ち切る。
「やっぱり似た者同士ねぇ、不器用なトコロまでぇ。」
私とベルーシは互いに苦笑した。
「さてさて、お互い言いたい事は無いかしらん?」

静寂。

「ないみたいねぇ? それじゃぁ私はここらで退散・・・」
ニヒッと笑うリリンさん。

「は、しなくてぇ・・・一緒に楽しませてもらうわよぉ」

えっ??

と、私とベルーシは思わず口を揃えた。
「どーせエッチなことするんでしょぉ?ならぁわたしも混ぜてよん。」
「いや、あの、その・・・」
しどろもどろしている内に、リリンさんは私の唇を塞いでしまった。
「・・・・・。」
口をあんぐりと開き、間抜けな表情のベルーシ。
「ちょ、リリンさ、ベルーシの前・・・」
柔らかい唇が私の唇をはい回り、舌が口内へと侵入してくる。
粘着質な水音が敏感な聴覚に響く。
頭が熱くなり、思考がボーッと鈍くなりだした。
リリンさんのザラついた舌が口の中で絡まり、背筋がこそばゆく感じる。
唇が離された時、唾液の粘糸が私とリリンさんを結んでいた。
「うぅ〜ん、ジールちゃんとの久しぶりのキッス。良いわぁ〜」
リリンさんの口付けで、私はすっかり骨抜きにされてしまった。
ベルーシの前で。
「ミ・・・ミスラ同士で・・・」
ベルーシは驚き、そして身体を震わせている。
「ボーヤにはショッキングだったかしらん?」
にっこりと、妖しい微笑みを浮かべるリリンさん。
「ジールちゃんはねぇ、大の男嫌いでさぁ。エッチしたくてたまらない時は・・・わたしが慰めてあげてたのよん」
かあぁっ、と顔が熱くなる。
「リ、リリンさん・・・ベルーシの前で、そんな事言わないで・・・」
「さあさあ、ベルーシくん・・・二人でジールちゃんを攻めちゃいましょぉ?」
ベルーシはそんな事に頷かない。
嫉妬魔の彼が、他人に攻められる私を見たがる訳がないから。
「解りました、じゃあジールを寝台に運びましょう。」

「えっ!!?」

私はひょいとベルーシに抱きあげられ、あっさりと寝台まで運ばれてしまった。
「ベ、ベルーシ。冗談でしょう?ま、まさか三人でするなんて・・・ね?」
あはは、と笑いながらベルーシに答えを求めたが・・・ベルーシはにっこりとさぞ楽しそうな顔をしていた。
両手首を捕まれ、拘束されたかのように抑え込まれている。
ベルーシが私の唇を塞ぐ。
「ん・・・だめ、やめ・・・」
いくら抵抗しようとも、決して離そうとしてくれない。
獲物を求める舌が口の中で暴れ、脳を熱く刺激される。
唇と唇がこすれ合って、柔らかさの心地に溺れる。
「ベルーシくぅん、さぁジールちゃんを脱ぎ脱ぎさせましょぉかぁ」
リリンさんが服を脱ぎ捨て、健康的な小麦色の肌を露にする。
つんと尖った乳首は興奮を意味している。
下はまだ履いたままだった。
私を押さえつける役が替わり、リリンさんになる。
リリンさんは私の頭の方に回り、おさえつけていた。
「リ、リリンさん、ちょっと・・・」
ベルーシは私のエプロンを外し、シャツのボタンを一つ一つ外している。
「わ、悪ふざけも程々にして下さい。ほら、ベルーシからも言ってよ、ね?」
ボタンを全て外し終え、がばっとシャツの前を開く。
形の良い乳房がふるんと揺れる。
「ジール、今日はブラジャーつけてないんだ。」
「あらあらぁ、なぁんて大胆。エプロンで乳首がわからないからって大胆ねぇ〜」
「きょ、今日はたまたま・・・あ、あぁん!」
ベルーシが乳首を舌で転がしては吸って、押し込んだり強く吸って引っ張ったりしてくる。

その度に、身体中に静電気が起こったかのようにピリピリとする。
「乳首・・・ピンピンだよ。」
「あっ、ひゃんっ・・・だ、めぇ・・・」
片方の乳房を感触を楽しむように揉み、指で先端を摘まれ、優しくこねられる。
「ベルーシくんにシてもらって喜んでるのよねぇ?」
ベルーシは乳房から口を離し、再びキスをしてきた。
唇を甘く噛まれ、ほわんとした熱に覆われるように感じる。
「ジール・・・」
名前を呼ばれ、心臓の鼓動が早くなる。
更に上へ行き、今度は耳をはむはむと甘く噛まれる。
「やん・・・」
ふっ、と優しい吐息をかけられ、ぞくぞくとしたこそばゆさに似た快感が、背筋に走る。
そして首筋へと舌を這わせ、歯を軽く立てては強く吸う。
「ベルーシくん、わたしも参加させてぇ」
リリンさんが手枷を解いたが、私はもう抵抗しなかった。
私の乳房を好き勝手に歪ませる。
「いい感触ぅ。味はどうかしらぁ?」
「あっ・・・はぁ・・・!」
リリンさんが先端を口にし、激しく吸う。
「リリンさん、手をどけてもらえますか?」
ベルーシの声。
「っ・・・!あ、あぁ!そ、そんなの・・・!!」
両方の先端からの刺激に、顔をのけぞらして叫ぶ。
リリンさんとベルーシが、片方ずつ乳首を口にし、吸っている。
激しく吸い、時折歯を立てるリリンさんと、舌で優しく転がし断続的に強く吸うベルーシ。
「あ、あ、あああ・・・」
「かぁわいい声出しちゃってぇ。」
ベルーシが口を離す。
「じゃあ、リリンさんにもっと可愛い声を聞いてもらおうか、ジール?」
少し冷たく加虐的な言い方のベルーシ・・・ゾクゾクする。
ブレーに手をかけ、ゆっくりとおろしていく。
尻尾を掴み、ちゃんと穴から引っ張る。
「はぅっ・・・」
「尻尾も感じるんだよね。」
ブレーを脱がされ、下着越しに指で愛撫される。
「凄く濡れてるよ、ジール・・・・いやらしいよ」
ベルーシの顔を見ると、妖しい炎を瞳に宿していた。
私を焦らして苛める時の、あの魅力的な。
「いやぁん、下着がびちゃびちゃぁ〜。おもらししちゃったみたいに濡れちゃってるわよん」
リリンさんの手が私の下着にかかる。

同時にベルーシはお尻の方に手を回し、尻尾を下着から引き抜く。
「そぉ〜れ〜」
シュルルル、と私の下着は脱がされ、熱く潤った秘所を露にされた。
「あららら、すっごぉい」
「はあんッ!!」
リリンさんの指がいきなり内部へと侵入してきたため、思わず身体を反らす。
「濡れかたがハンパじゃないわよぉ?なぁに?この濃厚な蜜ぅ・・・わたしとシテた時に、こんな風になったコトってないのにさぁ?」
指を早く回転させられ、内部からグチュグチュと絶え間なく音が立つ。
「あっ!はぁ!だ、だめですぅ・・・リリン、さん!か、かきまぜないで・・・!!」
「ジール。」
ベルーシが跨り、隆起したモノを間近で見せつけてきた。

興奮しているのか、直立して動かないくらい張っており、少し太く長い感じがした。
頭に手を置かれ、くいっと引かれる。
言われる事もなく、ベルーシのモノの先端を口付けし、舌でなめはじめた。
「う・・・あっ・・気持ちいいよ、ジール。」

手を使う事なく舌だけで愛撫し、くわえこんで吸う。
ベルーシの手が私の頭に添えられているので、まるで無理矢理口での行為をやらされているかのようだ。
「あららぁ? お口でしてて感じてるぅ?ドロドロした蜜がもっともっと出てきたわよぉ?」
グチュ、グチュ、グチュと卑猥な水音が体内にも響く。
気持ち良くて、ベルーシのモノを吸うのにも熱が入る。
「うっ・・・そんなにされると・・・・」
ベルーシの身体と口の中のモノが、震えだした。
「うっ・・・ジール、出る・・・!」
ビクン!と跳ね、ベルーシの精が勢い良く放出されると、それを待ち望んでいたかのように飲み込む。
ビクンッ! ビクン!ビクン!
凄い量・・・。
「あうっ・・・!」
ベルーシが身体を反らすと、ちゅぽんと私の口から外れ、顔に熱い精がかけられた。
「すごいわベルーシ・・・いっぱい出したね・・・」
口の中に広がるベルーシの味と香りが、私を完全に発情させた。
「ジールが、すごい勢いで吸うから・・・だよ」
綺麗にして、と言わんばかりに怒張のおさまらないモノを突き付けてくると、それに応える。
尿道に残った最後の一滴まで吸い上げ、愛する男の味を吟味する。
「はぁ・・・・あ、ん・・・・」
「もしかして、飲んだだけで軽くイッちゃったかしらぁ?一瞬、きゅ〜っと締められたわよぉ?」
リリンさんの内部をかきまぜる指は止まらず、余韻に浸る間もなく快感は押し寄せる。
「今度は僕がしてあげるよ、ジール。」
ベルーシがリリンさんの手を止めさせ、私の腿を捕らえて広げる。
「よかったわねぇ〜、たっぷり愛してもらいなさぁい」
熱く濡れた秘部に、ベルーシの指がヌルンと楽に入ってきた。
「ああぅ・・・」

細い。
見ると、ベルーシは指を一本しか入れてなかった。

しかも、ゆっくりゆっくりと抜き差しされ、緩やかに回して混ぜる。
「やぁ・・・だめ・・・もっと、早くぅ・・・」
思わず猫なで声になってしまった。
「精液まみれの顔で、おねだりなんてぇ・・・エッチねぇ、ジールちゃんはぁ」
指の腹で内部をじっくりと撫でられ、焦らしてきている。
「お願い・・・焦らさないでぇ、ベルーシィ」
「ジール、欲しい?」
待ち望んだ一言を口にすると、私は「うん」と何度も頷く。
しかしベルーシは、
「まだ駄目だよ・・・」
と、いたずらっぽい微笑みで返す。
少し彼を憎らしく感じた。
指を引き抜かれ、ベルーシからの快感が途絶えると、私の内部からは更に粘液が分泌され、彼を誘おうとする。
「ジールちゃん、今のアナタ・・・とってもイイわぁ。」
リリンさんは空いた私の乳房を揉みしだき、そして乳首を強くこすってくる。
ベルーシは私の秘部へと舌を這わせ、優しく優しく攻め始めてきた。

「あ、ん・・・はぁぁ、いい・・・」

二人から攻められると言うのは初の体験なせいか、違和感を感じる。
身体に馴染んだ手や舌からの快楽に溺れ、二人の熱によって溶かされていくみたいだ。
「ふぅー」
私の溢れる粘液を味わったベルーシが、満足気に息を吐く。
「ジール・・・」
ベルーシからの甘い囁きに、胸が弾む。
ピンと垂直に立ったソレを入り口にあてがってくる。
「ほぉ〜らジールちゃん、今からおちんちん入れられちゃうわよぉ」
リリンさんは私の乳房への愛撫を続けたまま、呟く。
「ベルーシくん、わたしにその瞬間をよぉ〜く見せてねぇ。」
リリンさんの言葉に頷くと、ベルーシは私の腰を持って、少し浮かせる。
「あっ、あっ・・・・あぁぁーー・・・」
興奮が高まっているのか、私の中に入ってきたベルーシのモノは、いつもよりも太くて固く長いため、少し引っかかりながら奥へと進んできて、すぐに子宮まで届いてきた。
「うぅ、はぁ・・・ジールのナカ、気持ちいいよ・・・」
頬を染めながら、ゆっくりと動くベルーシ。
「ああっ、凄く狭い・・・絞られるみたいだよ、ジール!」
「ちが、う・・・あっ!ベルーシのが・・・太いのよ、くぅ・・・!」
隙間無く埋め込まれたベルーシのモノが、鋼鉄のような固さで暴れまわる。
パン、パン、と骨盤がぶつかる音がする程、激しく突かれるなんて久しぶりだった。

「あああ・・・こ、壊れちゃうぅ・・・!!」

「うふふ、まるでベルーシくんにレイプされてるみたいねぇ?ジールちゃん」
リリンさんの煽る言葉に胸の鼓動が早くなる。
こうやって腰を持たれて逃げられない格好で、ベルーシに好き勝手にされている様は、確かにそう見える。
被虐の炎が身体中に広がり、愛する男に犯されているかのような気分になる。
「ああ、うぅ・・・ダメよ・・・ベルーシ・・・!」
行為で感じる事に背徳感を錯覚してしまう。
「あぁ・・・ダメ、ダメ・・・! いやぁ・・・」
ベルーシは私の体に夢中で、声が聞こえおらず、それがまた余計に被虐心を強くした。
「ダメダメ言ってるわりには、アソコからはいやらしぃ汁が溢れてるわよぉ?」
最奥まで突かれてから一気に浅い所まで引かれるため、ベルーシのモノのエラが粘液をかきだして、お尻までヌルヌルになっている。
粘液の絡み合う音とベルーシの荒々しい呼吸が、聴覚を刺激して更に熱は高まる。

「うぅ、ジール・・・僕、もう・・・!」
ベルーシのモノが更に固くなり、腰使いも激しくなる。
「な、中はダメ・・・外に出して・・・・!」
今、中に出されると気持ち良すぎておかしくなってしまいそう。
「ウソ言っちゃってぇ、本当は中に欲しくて仕方がないクセにぃ。ベルーシくん、思いっきり中に射精してあげなさぁい。」
電流に似た快感が・・・ゾクゾクと身体中に走る。
突かれるたびに熱い波紋のように気持ち良さが広がってゆく。
両脇の腰をしっかりと掴み、ベルーシは私を逃さない。
「あああ、あっ・・・ああぁぁぁ!」
呼吸が更に荒くなり私の身体に溺れ、発情した雄のようだ。
獣のようなベルーシに犯され、喜ぶ私。
「ジールちゃん・・・良い声よぉ」
絶頂の糸が張り詰め、今か今かと切れるのを待っている。
ベルーシのが、一気に熱く太く固くなったその時、
「出るっ・・!!」
子宮口に熱い粘液が浴びせられ、
「あっ、あああうぅっ!!」
快感が一気に突き抜け、絶頂に達した。

ドクン、ドクンと脈うち、ベルーシは子種を私の子宮へと流し込む。
「はぁ、はぁっ・・・ジール・・・」
腰をぐいぐい押し付けてきて、中をかきまぜてくる。
「あん・・・あぁん・・・あ・・・・んん・・・・」
精液が私の粘膜に染み込み、ヌチュヌチュとした独特の感触を生む。
ベルーシはその感触を楽しむかのように、まだ私の中をかきまぜ続けていた。
「あ、ん・・・ベ、ベルーシィ・・・・」
私が名を呼ぶと、解っていると言わんばかりに微笑み、唇を重ねる。
「うふふ、ジールちゃ〜ん。すっかり甘えちゃってぇ、もぉ。」
リリンさんが私の頬をつつく。
顔を見ると紅潮し、リリンさんも興奮している事が解った。
「今度はわたしも、混ざっていいかしらぁ?」
ごくっ、と喉を鳴らして聞いてくる。
「・・・・・・」
私は返答に苦しむ。
まだまだ発情は治まりそうにないし、ベルーシもまだまだいけるとは思うものの・・・・
やはり、ベルーシが他の女性と交わうのは見たくないのが本音だった。
「はい」
私の葛藤をよそに、ベルーシがさらりと返した。
「うふふ、待ってましたぁ」
そういうとリリンさんは寝台から立ち、自分の脱いだ服のもとへと向かい、何かをまさぐる。
しばらくして、
「じゃん。」
妖しい笑みの、その手にはミスラ式のトラウザ・・・なのだが、どうにもおかしい。
逆三角形のハイレグの部分に、男性のそれと同じものが付属されていた。
「うふふふ〜これはねぇ、オンナのコ同士でも気持ちよくなれるナイスアイテムなのよん」
そう言うと、リリンさんは己の履いていた下着を脱ぎ捨てて、トラウザを履く。
「あっ、くうぅ・・・んんっ」
ハイレグの内側にも同じモノが付いており、それを内部へと差し込む。
すると、突然外側のモノがウネウネと動き出した。
「これはねぇ、中に小さく切られたモルボルのツルが入ってるのよぉ。でね、外側と内側が連動しててぇ締め付けるとそれに反応して・・・ツルがウネウネ動き出すのよぉ」
「わ、わたしも混ざっていいかしら・・・って、ベルーシとするんじゃなくて・・・?」
「ううん、ジールちゃんを犯すほうよぉ?」
むふふ、と楽しそうに笑うリリンさん。
「さぁ、楽しみましょぉ?」
私はベルーシに後ろから膝を持たれ、あっさりと自由を奪われてしまった。
「ちょっ、ベ、ベルーシ・・・」
「僕も手伝ってあげるよ」
そう言い終えると、ベルーシは腰を引き、私の中から自身を引き抜く。
「あぁっ・・・」
喪失感に身震いし、内部からジワッと精液が垂れてくるのを感じた。
私はまるで、子供が用を足す時のような姿勢で持ち上げられ、リリンさんが寝台に横たわり下から見ている。
粘液にまみれたソコが精液を垂らす姿を見つめられ、恥ずかしくて顔が熱くなる。
「すっごく濃いのをいっぱい出されたわねぇ、ドロドロの精子が溢れてるじゃなぁい」
思った通り、羞恥の言葉を浴びせてくる。
「それじゃベルーシくん、よろしくぅ」
「はい」
ウネウネと動くソレが、私の内部の入り口にあてがわれる。
ベルーシがゆっくり私の身体を降ろすと、
「あ、ああぁ・・・・いやぁ・・・・」
音もなく、飲み込まれていった。
リリンさんが下から腰を使って突いてきて、ベルーシに抱えられて身体を上下させられる。
「あっ! あん! あああ、はん!!」
ウネウネと内部で蠢くソレは、嫌悪感と共に強い快感を生む。
「ああっ、すごいわぁジールちゃんのナカ。オモチャ越しにぎゅうぎゅう締め付けて、しごくみたいに動いてくるわぁ」
「あっ、あん! ああっ、はあぁっ・・・!」
リリンさんの強い打ち込みに、私は呻くしかない。
しばらくして、ベルーシが手を離した。
私は騎乗の型となり、リリンさんにひたすら突かれ、結合部から先程射精されたベルーシの精液が卑猥な音を立てていた。
「強く入れないと、押し返されちゃう。こんなすごいんじゃぁ、他の男だったら入れた瞬間に中でドクドク出しちゃうんじゃないかしらぁ」
「いやぁ・・・そ、そんな事、言わないで・・ください・・・んん!」
他の男に、と言う言葉に敏感に反応する、私とベルーシ。
ベルーシの瞳が、情欲の炎で揺らめいている。
「ん、んん・・・!」
背後からベルーシの手と顔が迫り、唇を奪う。
「んーー!!」
弾け飛びそうなくらい強い電流が走る。
乳房の愛撫と陰核の愛撫がされ、脳が痺れるくらい気持ち良い。

「すごっ・・・本当に締まるわぁ、こんなの初めてよぉ・・・わたしが男だったら、間違いなく三回は中出ししてるわねぇ」
「やめ、て・・・リリン、さん・・・その、あん! ・・・言い回、し・・・」
リリンさんはきっと、ベルーシを煽ってる。
嫉妬魔の彼を。
「だって本当のコトでしょぉ・・・あん、こうやってっ、子宮内に精子が入ってくように、押し込むように・・・一番奥でぇ」
「ああぁ、ううっ!」
ベルーシがしたように、グリグリと子宮を押す。
「ねぇ、ベルーシくん・・・」
リリンさんが私の子宮を押しながら、語りかける。
「はちきれそうなくらいにビンビンになってるでしょぉ?」
「ええ、もうジールを壊したいくらいに。」
にっこりと、微笑むリリンさん。
「じゃあね・・・」
手を引き、倒れてくる私を受け止めるリリンさん。
「ココの処女も・・・・ベルーシくんが貰っちゃいなさいな。」
「そこ、は・・・。」
「・・・ええっ!?」
リリンさんは私のお尻を広げ、ベルーシの方へと向ける。
「ちょっと、リリンさん! ベルーシが真に受けたらどうするんですか!」
「あらあらぁ? でもベルーシくんはヤル気まんまんみたいよぉ?」
えっ、と驚きながら背後へ振り向くとベルーシの眼は本気だった。
「ベ、ベルーシ・・・?」
お尻に手を添え、
「ジール、君の全部を頂くよ。」
と、真顔で言った。
「だ、だめ! そこは汚、ぁ、ぁぁ、あああっ・・・!!」
ベルーシの舌が菊門の周囲を這う。
背筋に電流が走り、快感と不快感が混じった。
お尻にも手が這いずり、時に揉みほぐされ、尻尾の根元の部分も指で優しくこねられる。
「ほらほらぁ、お尻も悪くないでしょぉ? ジールちゃんは元々マゾッ気あるしぃ」
内部をかきまぜるように腰を回す、リリンさん。
愛撫の邪魔にならないようにしてるようだ。
ベルーシは舌を這わせ、なめ、突いて、じっくりと柔らかく、ほぐしてくる。
そのたびに、背筋にピリピリと電流が走り、こそばゆいような感覚が背に生じる。
「・・・ぁあっ・・・あっ・・・・」
ベルーシの指が、浅く入ってきた。
菊門から惚けるような熱を感じる。
「ジール・・・痛くない?」
「・・・だいじょぶ・・・・」
「そうそう、優しく優しく扱うのよん。ジールちゃんのもう一つの処女なんだからねぇ」
「あっ・・・・ああっ、あ・・・・」
指はゆっくりと、深く入ってゆき、抜き差しされる。
「んっ・・・お尻に指が入るたびに、キュッと締まってくるわぁ」

指の動きが、かきまぜるように円を描く。

「ひっ、あっ・・・」
指が、二本に増える。
前なら物足りないのに、後ろだともの凄く太く感じる。
「あ・・・き、きつっ・・・あ、ううぅっ」
中で指を広げたり、曲げたりされ、少しずつ拡張されていく。
「ジール・・・そろそろ・・・」
「う、うん・・・」
菊門に、ベルーシのモノがあてがわれる。
初めての時のように、緊張と期待で胸が高まる。
「落ち着いて、落ち着いて。ゆっくりねぇ」
みちっ
「あっ・・!」
「力抜いて・・・ジール」
リリンさんに頭を撫でられ、耐える。
ベルーシのモノのエラがグイグイ引っかかりながら、痛みと共に後の門を開拓してゆく。
「い、痛・・・!」
「もう少しだ・・・我慢して。」
ベルーシの骨盤が、お尻に当たった。

全部、入った。

「すごい・・・狭い・・・」
「おめでとぉ〜、これでジールちゃんの処女は全部ベルーシくんのものよぉ、まさしく『俺の物』にしちゃったわねぇ。」
圧迫感が、すごすぎる。
「ジール、動いてもいいかな?」
「うん・・・でも、最初は優しくして、ね?」
「うふふ、初々しくて良いわねぇ。こういう会話ってぇ」
ベルーシが遠慮がちに、動き始める。
「あっ・・・ふぅ、んんん・・・!!」
熱く灼けるような痛みと、ゾクゾクとした寒気に似た快感。
初の性交の時に感じなかった痛みを、今になって味わっている気がした。
「ジール、大丈夫?」
「・・・うん、平気。もっと動いていいよ・・・」
「それじゃぁ、ジールちゃんのナカを徹底的にかき混ぜちゃいましょぉ」
リリンさんが腰を使い、下から突き上げてくる。
「あうっ!」
ベルーシがお尻をおさえて、一気に深く進んでくる。
「んはぁっ!!」
内部の薄い壁一枚を隔てて、こすれあう感触。
鋼鉄のようなベルーシのモノと、ウネウネと動くリリンさんからのモノが、中で暴れまわってかき混ぜる。

私はただ、悶える事しか出来なかった。

「ジール・・・!ジール! あ、ぅああ・・・」
ベルーシの艶やかな呼び声。
「あぁんジールちゃんのナカ、いいわぁ〜すっごく締まってくるぅ」
リリンさんも熱に浮かれている。
「あああ、んっふぅう!んあああぁぁぁぅぅぅっ!!」
二人から与えられる激しい快感に悶え続ける。
「あぁっ!あっ、んにゃあぁ!も、もっとぉ、もっとしてぇ!!」
溶けるような快楽が思考を痺れさせ、思わずねだってしまう。
「ふやああぁん、もうダメェ・・・・!!」
「あぐっ、僕も、もう・・・!」
「みんなで仲良くイキましょぉ? わたしも限界、キテるわぁ・・・」
二人の腰が早く荒くなり、奥へと押し込んでくる。
ベルーシは私の腰をがっちりと掴み、荒い呼吸で獣のように攻めてくる。
絶頂の糸は一瞬で張り詰め、
「あっ、ああああ!ああうううぅぅっ!!!」
「うっ!!」
「んあぁん!」

三人同時に、果てた。


体が重いような感覚で、気がつく。

意識ははっきりとしているのに、何処か違和感を感じる。
菊門が熱く、ヒリヒリとして痛む。
「いたた・・・」
寝台から起きると、リリンさんとベルーシの姿は無かった。
リビングの方から物音がし、しばらくするとベルーシが姿を見せた。
「起きたんだね」
腰にバスタオルを巻き、濡れた頭をタオルで拭いており、シャワーを浴びた後らしかった。
「まだ深夜だから、眠っていてもよかったのに。」
時計を見ると、午前一時だった。
「リリンさんは?」
「君が気を失った後、満足して帰っていったよ・・・それを置いて。」
それ、と指さした方を見ると、そこには男根を型どった玩具が置かれていた。
「ジールを、一人ででも二つの穴を埋められるように、てね。」
私は要らぬ心遣いに赤面する。
「リ、リリンさんったら・・・」
「僕は・・・早速試したいと思ってるんだけど。」
「・・・・・・」


今日の夜は、とても長く感じそうな気がした。






   六年の時が経った。


時は全てを変えてゆく、絶対的なものであるが、ここウィンダスの平穏な時は変わらない。
私は今日も変わらず、夕飯の支度をしている。
違うのは二つ。
一つは今日が結婚記念日と言う事。
少し豪勢な食卓にしようと、はりきって台所に立っている。

そして、もう一つ違うのは・・・

「今日のママ、なんだかうれしそー」
私の膝くらいしかない背丈の、女の子。
赤い髪の毛をおかっぱに切りそろえ、頭の頂点にはピンとはねた、間抜けなクセッ毛が父親譲りだ。
青い瞳は大きく、とてもかわいらしい。
「ふふ、今日はねぇパパとママの結婚記念日なのよ、フィー」
「パママのけっこんきねんび?」
「パママじゃなくて、パパとママよ」
「にぅ〜」
首を傾げて、『意味が解らない』と言う顔をする。
「とっても素敵な日の事よ、フィー。」
愛する我が子の頭を優しく撫でる。
「さぁ、もうすぐ夜ご飯だから手を洗って、テーブルで待っててね」
「はーい」

ぱたぱたと小走りで私の元から走ってゆく。
あどけないその姿は、天使のようだ。
そう、私とベルーシの掛け替えのない宝物。
大切な大切な、愛する子。
イークスの愛した女性から借り、ベルーシが名付けた。

出来上がった料理をテーブルに並べていると、丁度ベルーシが帰ってきた。
「ただいま。」
「おかえり」
「おかえりなさーい」
フィーがベルーシに抱きつくと、ベルーシはそのまま持ち上げる。
「ははっ、良い子にしてたかな?」
ベルーシの肩に顔をうずめて甘える、フィー。
「はい、ジール。」
フィーを預けてくるのかなと思いきや、小包を渡してきた。
「僕のお手製で悪いけどさ・・・プレゼント。」
「開けていい?」
ベルーシが頷くと、料理を運ぶ手を休めて、小包を開く。
中から桃色のエプロンが小さく折り畳まれて、入っていた。
「ありがとう、ベルーシ」
「結婚記念日にしては、少し味気ないかもしれないね。」
「ううん、嬉しい」

「パママのけっこんきねんび〜」

フィーの言葉に、私とベルーシは見つめあい、笑った。


「ねぇ、ベルーシ」
「ん?」
フィーをおろして、ベルーシは私を見つめる。

「多分、これを言うのは初めてだと思うの。だけど、絶対に笑わないでね?」
「何だい?」


その身をベルーシに預け、胸元で小さく呟く。




「ベルーシ・・・・・愛してるわ」


「僕もだよ、ジール。」


ベルーシは私の肩に手を置き、そのまま唇を重ねた。