ベルーシxジール

ジール:ミスラF5a
ベルーシ:F7a

「ふぅ・・・。」

ジュノのモグハウス内のベットに寝転がりながら、
ジールは大きなため息をついた。
普段冒険者の世話をしてくれるモーグリは、故郷の
ウィンダスの植木鉢の様子を見に行かせ、留守だ。

部屋で一人、天井を見つめながら物思いに耽る。
淡い光に包まれた部屋は心を落ち着かせてくれる。
背中に感じるマットの感触が心地よく、時の経過を忘れさせ、
気がついたら一刻経っている事もしばしば。

再度、ジールはため息をつく。

「あれから、どれくらいの月日が経っただろう。」

セルビナで受けた賭け、ダボイでの恥辱。
ジャグナーでの、ベルーシとの性交。

私達は、恋人同士となったはずだ。
それなのに、ベルーシは一度たりとも私の肉体を求めてこない。
初めての交わりが、こちらから求めた形だったため、
次からはベルーシから求めてもらいたかった。

ミスラは雄が圧倒的に少ないため、一度発情してしまうと
期間が長い。
その身に命宿すための、種の本能がうずくのだ。
そのため、雌同士の慰安や、器具を使った自慰は慣れている。
発情を抑える精神力も備わっているはず。

しかしベルーシの味を知った今、いくら慰めても身体の火照りが
治まらないのだ。

妙に生々しく記憶されている、あの時の情事。
指の滑らかさ、舌の粘つき、分身の固さ、精液の熱。

雌同士での行為は、かなりやった記憶はあるが、男との行為は
ベルーシが初めてだったからかも知れない。

ミスラは性に対して奔放で知られるが、私はそれが嫌だった。
雄の少ない事を、他種族の雄につけこまれているような、
姑息な感覚がしてならないのだ。
無論、全ての雄がそうでない事くらい理解しているが。

「・・・ベルーシ・・・。」

ぽつりと呟く、彼の名前。

彼は今ごろ、何を思っているのだろうか。

ジュノの上層。
僕は日替わりの酒場にいる。
『男限定の日』だったため、何となく立ち寄ってみただけだ。
辺りには冒険者達が酒を飲みながら大声で、己の武勇伝や
自慢を語り合っている。
ふぅ、と呆れるようなため息をつき、僕は酒場を出ようとした。

「おっ、ベルーシじゃないかよ。」

聞き慣れない声が、僕の名前を呼ぶ。
声のした方に振り向くと、そこには手を挙げて存在を誇示する
者が見えた。

その男はエルヴァーンだった。
天に向かって立てられた髪の毛に、独自のくせのある髪質。
すっきりとした鼻筋に、にやけた唇。
その身には緑色のベストを纏い、少し肌寒そうな印象の服装。
シーフのアーティファクトだ。

「・・・コルテス。」

苦手な奴に会ったな、と胸の内で思った。
「やっぱそうか、久しぶりじゃないか。」
ほら、こっちこいよっ、と強引に呼ばれる。
嬉しそうな声色のコルテスとは裏腹に、僕は不機嫌になる。
隣の席に座らされ、酒を飲まされるはめになった。

コルテスはよく喋る男だ。
そして典型的な遊び人気質な男でもあり、僕は彼が嫌いだった。
女遊びも激しく、いつも不真面目で乱れた生活。
これでいて生粋のサンドリア人と言うのが、笑わせてくれる。

コルテスは酒の勢いもあってか、いつもより更によく喋る。
一山当てた逸話、野卑に満ちた女遊びの話。
僕に答えを求めてくる事も幾度かあったが、
『ああ』『うん』と生返事で適当に返していた。
早く終わらないかな、と思っていたその時だった。

「そういや、お前とよく一緒にいるミスラ・・・
ジールだっけか? 彼女とはどうなんだよ?」

僕はグラスを握る手に、思わず力が入った。

「? どうした、黙りこんじまって。」
コルテスは僕の顔をじっと見つめている。
グラスに入っていた酒を一気に喉に流し込む。
「関係ないよ、コルテスには。」
聞くな、と言う意味を込めて、そう言いはなった。
だがその思いを汲めないのが、コルテスと言う男だった。
「進展なしなのか? 相変わらずなヤツだなあ」
小馬鹿にするように、ヘヘ、と笑う。

「いいか? 大抵のミスラってのは男に飢えているのさ。」
空になったグラスに、更に力が込められる。
「男が少ない種族だから、一度でも男を覚えると はまるのさ。
俺も場数踏んでるけどミスラほどヤリやすい女は
いなかったぜ?」
力の行き場を求め、手がふるえる。

「そんなの、関係ないよ。」
声が震えるのが自分でも解った。
なおもコルテスは続ける。
「何なら、女をその気にさせる薬をやろうか?
それを盛れば、ミスラはイチコロだぜ?
俺が手本として、ジールに」

バリィンッ!!

うるさかった酒場に突然の静寂が訪れる。
得意気に語っていたコルテスも、口を閉じる。
僕の手の中にあったグラスが砕け散っていた。
ガントレットのおかげで、ガラスで指を切ったりはしていない。
一同の視線が、痛いくらいに集中する。

「ごちそうさま、コルテス。」

僕はそう言い捨て、酒場を後にした。

「ん・・・はっ、あ・・・」
下着越しに、指で秘部を上下にこする。
空いた片方の手は乳房を揉み、時折乳首をつまむ。

「ベルーシ・・・」

眼を閉じ、相手の裸身を思い浮かべながら慰める。
下着を脱ぎ、一糸纏わぬ裸体となる。
己の内部へと、指を挿入する。
「ふぅ・・・んん、あ・・・!」
熱くたぎった内部を指でかき混ぜる。
クチュクチュと言う淫らな音が、部屋に響く。
思わず身体を反らしてしまう。
ベルーシとの性交が脳内で甦ってくる。
「あっ・・・ダメ、指じゃ・・・物足りない・・・。」
思わず口にしてしまった、欲求の言葉。

何か代わりになるものはないかと、考える。

ふと、時折使うメイスに眼をつけた。
手に取り、柄の方を入り口にあてがう。
思った以上に、楽に入っていってしまった。

「あああぁー・・・あう・・・」

ベルーシのモノよりは小さいものの、発情した私の秘部は
歓喜に溢れ、粘液を滴らせていた。
柄をぐりぐり動かしては、幾度も抜き差しする。
「はぁ・・・お、大きい・・・固いぃ・・・」
内部に感じる冷たい感触が、時折私を冷めさせたが
それ以上に快楽が身を包みこみ、甘い感覚を生んだ。

「あっ・・・! ダメ、私イキそう・・・!」
誰がいるわけでもないのに、思わず呟く。
まるでそこに誰かが存在するかのように。

「あ、ああぁっ!!」

身体が浮き上がるような感覚に包まれ、頭の中でぷつんと
糸が切れたかのような音がした。
つまさきに力が入り、ビクッと弾ける。
小刻みに震え、私は絶頂を迎えた。

「はぁ・・・はぁ・・・。」

絶頂の満ちた感覚のなかに、どこか寂しく、胸に穴があいた
かのような、喪失感が広がる。
ヌポッと言ういやらしい音と共に、メイスが抜け落ちる。
柄の部分がテラテラと光っており、自分の粘液が泡立ち、
ほのかに白味を帯びている。

『私は、何て淫乱なんだ・・・・』

強い自己嫌悪の念に襲われる。
この身を満たしてくれるなら、こんな鉄の棒でも良いのか、と
己を叱咤する。

私はタオルで身体の汗を拭き、メイスの柄を拭く。
脱ぎ捨てた下着を着、水を一杯飲む。
冷静さを取り戻した時に、更に強い自己嫌悪に苛まれた。
「・・・はぁ。」
頭を抱え、ベットに座り込む。

コンコン。

突然ドアをノックする音が聞こえた。
思わず片手剣を腰に差し、ドアの方へと向かう。

「誰だ?」
挑むように言を放つ。
「僕だよ、ジール・・・ベルーシだ。」

確かにベルーシの声には違いないが、ドア越しに嗅ぎ取れる
匂いが、いつもと違った。
疑問に思いつつも、私はドアを開けた。

ドアを開けた途端、ベルーシが倒れこんできた。
思わず抱き止め、すぐに異変に気がついた。
「ベルーシ、アンタ酒飲んでるわね!?」
身体から、酒を飲んだ人間独自の香りがした。
その背には大鎌もなく、漆黒の鎧も着ていない。
自分の部屋で、飲んでいたのだろう。
「僕だって、飲みたい時があるんだよ・・・。」
語尾にヒック、としゃっくりをつけ、呟いた。
「酒弱いくせして、まったく・・・!」
肩を貸し、ベットへと運ぶ。

ふう、と私は呆れる。
酒に溺れるまで飲むとは情けない・・・。
らしくないなと思った。

そんな呆れ顔の私を、ベルーシはじっと見つめていた。

『俺が手本としてジールに』
『俺が手本としてジールに』

・・・何度も甦り、頭の中で響く。
コルテスのその先の言葉は、解っていた。

『俺が手本として、ジールに薬を盛ってやるよ』
と、言うつもりだったのだろう。
その言葉の真意は・・・
『俺が手本として、ジールに薬を盛って、抱いて、男なしでは
生きられないように開発してやるよ。』
と言う事だ。

許せなかった。
ジールが他の男に抱かれる姿なんて、見たくない。
怒りと殺意と嫉妬が、ごちゃまぜになった、負の念が
僕の頭に貼り付き、粘ついて拭えなかった。

だから、酒に溺れて紛らわしていた。

「水飲むか?」
私はベットに大の字になったベルーシに、水の入ったグラスを
見せる。
首を横に振る、ベルーシ。
「どうしたんだい? 酒に溺れるなんて、らしくないよ。」
その言葉に、睨むような視線で返してくる。
しばらくそのまま睨みあうようにして、顔をあわせる。
不意に、ベルーシが鼻で笑う。
「・・・ジール。」
「何さ?」


「一人でする時は、鍵を締めて、やりなよ。」

ギクッ、と思わず身体が跳ねる。
同時に羞恥で顔が熱くなっていく。
「み、みてたのかい!?」
ケタケタと不気味に笑うベルーシ。
さすがのベルーシ相手でも、許せなかった。
「ベルーシ、アンタって人は・・・!!」
怒りにわななく拳。
その様子を見て、冷たい瞳を光らせるベルーシ。
不意に私の腕を掴み、強引に引っ張る。

「いつっ!」

組み敷かれ、ベットに押し付けられた。
身体から怒りの熱が消え、恐怖の冷気が背を登っていく。
「ベ、ベルーシ・・・?」
ベルーシの瞳が冷たい。
「欲求が満たせるのなら、メイスでも良いんだね。」
ぞっとする、恐ろしく冷たい言い方だった

「ちがっ・・・ん、んっ、ふん!!」
否定の言葉を放とうとするが、ベルーシの唇によって
強引に閉ざされる。
荒々しい口付け。
ベルーシの舌が、私の唇と唇の間に割り込んできて、開かせようと強引に攻めてくる。
酒の匂いが鼻につき、嫌悪の念が浮かぶ。
「ひぁっ・・!」
突然の快感の電流。
ベルーシの手が私の乳房を弄び、乳首を刺激している。
口を開いてしまったため、ベルーシの舌が私の口内へと潜りこんできた。
ねっとりと絡みつくようにして、私の舌をねぶってくる。
「やっ・・・や、やめ、ふぇ・・・」
私の願いはベルーシの耳に届かない。
乳首をつままれたり、指で弾かれたりされるたびに、強い快感が
身体中を駆け、雌がうずきだしている。

「あっ・・・あはぁ・・・ふぁ・・・」

私は、いつの間にか『その気』になっていた。

「もうすっかり、その気みたいだね。」
意地悪い笑みを口元に浮かべ、見つめてくる。
普段の無表情なベルーシとは思えないくらいに、底意地悪い顔。
「・・・・。」
何も言い返せない、私。
らしくない今のベルーシに抱かれるのも嫌な気がしたが、それ以上に『彼とする事に変わりない』と言う、堕ちた思考が
私の頭にはあった。
「僕もすっかり、その気だよ。」
ズボンと下着を一緒に脱ぐ、ベルーシ。
男のシンボルが直立し、一つの武器のようにも見えた。

私の胸の辺りに跨り、頭を捕まれ、ぐいっと引かれる。
「してよ。」
目の前に、女を狂わせる武器が今か今かと待ちこがれている。
先端の鈴口から、うっすらとした先走る汁が垂れていた。

私はその命令にも近い、その要求に応えた。

・・・酒の勢いなのだろうか?

今の僕は、間違いなく『僕』ではない。
頭の中に残る、黒く粘ついた負の思念が拭えていない。
それどころか強くなる一方であり、頭だけでなく、この肉体までも包みこんでいく気がした。
今、ジールが僕のそれを丁寧に丹念に嘗めている。
快感を感じる度に負の思念が、強く、更に強くなっていく。

突然、奇妙な映像が、脳裏に浮かび上がる。

ジールと、コルテスが、情事をしていると言う幻覚。
ドアの鍵が開いているのを良い事に、部屋に忍び込む。
驚くジールの口を、コルテスの唇が塞ぎ、ベットに押し倒す。
一人慰めていたジールは、やがてコルテスの攻めの前に屈服し、
あえぎ出す。

そして『こうやって』強引に自身のそれを嘗めさせるだろう。

私はベルーシの男根を愛撫する。
大きく、太く、立派なため、全てを口に含む事は不可能なので
先端の部分を口に含み、棒の部分を手でしごく。
「くっ、あっ、はぁ・・・い、いいよ。」
久しく聞くベルーシの甘い声に、胸が締め付けられる。
『もっと、その声を聞かせて・・・。』
舌で転がし、首を動かしてベルーシのを攻めたてる。
唾液にまみれた男根が私の情欲をそそった。
口の中で、更に固さを増してゆく。
ベルーシの息が切なそうに切れ出す。
「ああっ・・・だめだ・・・もう、出る・・・。」

その言葉と同時に口内の先端が膨らみ、私の口の中へと精を
放出した。
男独自の、青臭く生臭い香りが鼻腔を強烈に刺激し、舌が痺れるほどの塩味が、私を恍惚とさせてくれる。
ドク、ドク、と大量に放たれる精を、私はためらいもせずに
飲み込み、ベルーシの精を味わった。

腰がむずむずし、激しい攻めに耐えきれず、僕はジールに含ませたまま、強い射精を行った。

また、あの光景が、浮かぶ・・・。

ジールがコルテスのを、懸命に丹念にしゃぶり、攻める。
ひどく淫らな表情のジール。
快感に耐えられず、情けない声を出すコルテス。

そして、そのままジールに射精する。
ジールはコルテスのを口に含んだまま、全てを受け止める。
コルテスの精液を、喉を鳴らせて飲みつくすジール。

「ぷはっ・・・」
ジールの呼吸で、現実に引き戻される。
物欲しそうな顔に、情欲ではなく嫉妬を感じる。

今の僕の行動は、僕じゃない・・・。
コルテスなんだ。

現実と幻覚に狂ってしまいそうだ・・・。

てかてかと光る男根が、何だか異生物のように見える。
あれだけ大量に射精したと言うのに、ベルーシのそれは
存在を誇示するかのように、天に向かって直立している。
先端から垂れる、白い粘液。
「ん・・・」
私は再びベルーシのを口につけ、鈴口に垂れた精液を嘗め取り、
口をすぼめて、尿道に残る精液を吸い取る。
「うっ・・・」
ぶるるっ、と身体を震わせるベルーシ。
空虚な瞳が、濁っているようにも見て取れる。

何故だろう・・・。
こんなに近くにいるのに。
ベルーシの精すら味わったと言うのに。

何故、こんなに遠くにいるように感じるのだろう?

「今度は僕の番だね。」
唇の端がつり上がり、頬を歪める。
その表情に、ぞくりとする。
ベルーシは立ち上がり、私の足と足の間に膝をつく。
両の足首を掴まれ、抵抗できない。
そして私の身体の向きを反転させようとする。
「向き、変えて。」
突き刺さるような、鋭い声。
「は、はい・・・」
思わず、従順な返事を返してしまった。
身をよじり、ベルーシに背中を向ける。
突然、腰骨の辺りを両手で掴まれ、ぐいっと持ち上げられる。
自身の粘液で濡れた下着をはぎ取られる。
尻を浮かせて、ベルーシに性器がまる見えになる形にされてしまった。
「やっ、ちょ、ちょっと・・・こんな姿勢恥ずかしい・・・」

「尻尾が直立してるのに?」
冷やかな、ベルーシの言葉に思わず視点を移す。
私の尻尾はピンと直立し、喜びの情を現していた。
「あっ・・・」
私は堕ちた肉体に落胆しながらも、ベルーシに攻められる事を
期待に溢れて待っている。

ぴちゃっ・・・。

ベルーシの舌が私の秘部を攻め出した。
「あっ、あああっ!!」
先の自慰で高まった性感、ベルーシとの交じりへの期待から、
私の性感度は数倍に高められている。
「あっ、ああっ!! い、イイ!!」
ベルーシの舌が私の割れ目をなぞる。
淫らな自身の粘液と、舌での愛撫の音が、耳に響く。
割れ目を指で広げられ、秘部の入り口を執拗に嘗める。
指も入れられ、浅い所で抜き差しされる。

「あ!!はっ・・・はあぁっ!!」
私は悲鳴にも似た、声を発していた。

「あ!! ああああっ!! んああぁ!!」
快楽に悶えるジール。
小さな豆のような突起に口をつけ、唇をすぼめ、吸ってやる。
「ひああああっ!! あ、にゃあああっ!!」
苦痛の叫びにも似た、叫びが木霊し、頭の中で響く。
そして、再び幻覚が襲う。

コルテスがジールに、尻を掲げさせて、攻めている。
いま、僕がしているのとまったく同じように。
よがり狂うジールを見て、愉しそうなコルテス。
『にゃあだってよ、この女。俺の手にかかりゃどんな女も
チョロイもんだぜ。」
と、胸の内で笑う。
『こいつは俺のものだ。』
ジールを屈服させた、コルテスの声が、脳裏に響き渡る。

腹の底に重い殺意が渦巻くのを感じた。
たかだか、幻覚なのに・・・。

「あっ、そ、そこは!!」
ベルーシの舌が、私の尻の方へと向かう。
「だ、だめ、そこは汚・・・あっ!」
秘部を指で攻められ、菊門を舌でつつかれる。
そこは初めて、触る場所だった。
人(種族)によっては、そこでする方が感じると言う事を聞いた事があったものの、そこで慰められるかは、試す気にはなれなかった。
汚れし部分として、認識していたから。
なのにベルーシはためらうことなく、舌で攻めてくる。
むずむずとした異様な感触があったが、秘部への指の攻めに
混ざって、その感覚が快感として受け止められていた。

「だ、だめぇ・・・! おかしく、なっひゃう・・・」
「だめ、だめぇぇ!!!」
絶叫するジール。
幻覚が、支配する。
『おかしくなっちまえよ。』
攻めはジールが絶頂を迎えても止めることはなく、ただひたすらに続けられた。
何度も何度も、絶頂を迎えるジール。
コルテスの野卑に満ちた声。
僕の胸に燃える嫉妬、腹に渦巻く殺意。

粘液に塗れた指。
シーツに垂れ、すでにビタビタになっている。
ぐったりし、痙攣に近い震えをしているジール。
汗で光る身体。
へにゃりと寝た、耳と尻尾。
ひくひくとうずく、ジールの秘口。
痛いくらいに僕(コルテス)のは張り詰めている。
へたりこんだジールの腰を掴み、尻を掲げさせる。

先端を入り口に定め、そのまま腰を前に進めた。
ずずずっ、と侵入してくる、熱いモノ。
更なる快感が私を蝕む。
「あ・・・・あ・・・。」
神経が破壊されてしまいそうな、危機感を覚える。
発情中のミスラは、快楽に溺れやすいもっとも危険な時。
このままではベルーシの手によって、廃人にさせられてしまう。

「だめ・・・休ませて、ベルー・・・シ・・・」

声にならない、吐息のような声で訴えかける。
その声はベルーシの耳には届かない。
初めて交わった時とは違った、原始的で荒々しい腰使い。
ベットがきしみ、粘膜同士の擦れあう、卑猥な音。
私はあえぎ声を出すのもままならず、呼吸と共にかすれた
声を出すのが精いっぱいだった。
何とか顔を上げ、ベルーシの顔を見る。

快感に身を震わす顔ではなく、鬼気に満ちた、どす黒い瞳の
ベルーシの顔が、眼に映った。

『何があったの? ベルーシ・・・。』
快感に蝕まれる中に悲哀の感覚が、私の胸を包んでいた。

パン、パン、と腰骨が尻肉にぶつかり、乾いた音を立てる。
ジールの腰を掴み、逃がさないようにしている。
『最高だぜ、お前のナカよ。』
にやけながら、そう呟くコルテス。
『ほら、子宮まで届いてるだろ? 俺のチンポがよ、へへ。』
引き裂かれるように胸が痛い。
ジール。
僕の中の『コルテス』を拒んでくれ。
幻覚よ、消えてくれ。
僕の愛する人を、傷つけないでくれ。
『よーし、そろそろ俺もイクぜ。 俺の女の証として、ナカに
たっぷりと出してやるぜ、一番奥でな。』
やめてくれ。
彼女を、汚さないでくれ。
でも、今こうして腰を振っているのは僕。
でも、犯しているのはコルテス?
僕か?
コルテスか?

「あっ、うぐ、うああぁぁぁっ!!」

苦痛のような声を出して、果てた。

内部に広がる、熱い感覚。
ドクドクと脈打ち、私の子宮へと流しこんでくる。
やっと、終わった。
私はベルーシの行為が終わった事に、安堵する。
ベルーシは射精を終えるとすぐに男根を引き抜き、うつむき、
身を小刻みに震わせていた。
私は高まった性感と心臓の鼓動を抑えるべく、何度も深呼吸をし
肺に酸素を補給する。
少し落ち着きを取り戻した所で、ベルーシに尋ねた。
「どうしたの? ベルーシ・・・。
何だかおかしいよ、今日のアンタさぁ・・・。」
私の言葉に、反応がない。

様子がおかしいことに気がつき、身を寄せると、
ベルーシが小さな声で泣いている事が解った。
いつもの、無表情な顔にもどって。

「ベルーシ・・・?」
のぞきこむようにして、見つめる。
歯を食いしばり、表情を崩さないように泣いている。
涙を拭い眼を潤ませながら、

「ごめん・・・。」

と、小さく呟いた。
申し訳なさそうに呟いたその一言は、私の胸を締め付けた。
ベルーシは両手で顔を隠し、自己嫌悪に陥っていた。
小さく、くぐもった泣き声が、私の耳に届いた。
肩にそっと手を触れ、ベルーシの長い耳の根元で呟く。
「何があったのさ? 私に教えてよ・・・。」

精一杯の優しさを込めた声色だった。
ベルーシは私の言葉に頷き、静かに語り出した。

ジャグナー森林で聞いた、ベルーシの母親の最後を語った時の
ごとく。

ジュノ上層の、日替わり酒場での件。
旧知の男、コルテスとの会話。
己に渦巻く、負の感情。
脳内に映された、ジールとコルテスの情事の幻覚。

僕は全てをジールに打ち明けた。

我ながら、情けない話だった。
本音を言うと、コルテスみたいな女性を落とす事に長けた男に
ジールを取られてしまうのではないか、と言う不安があった。
僕の女性との経験はジールとしかない。
ジール以外の女性に迫られる事も、幾度かあった。
しかし接触を計ろうとすると、つい拒んでしまった。
原因は解っている。
性行為は、オーク達が母親を陵辱した行動の権化。
相手を殺傷し、死に追いやる行為として認識していたから。

恐かった。

種の繁栄のための行為と知った後も、相手を傷つけてしまうのではないのだろうかと。
性への恐怖から、知識と技術と経験が未熟な僕。
恋人を、寝取られてしまうのではないか、と。

「激情が身を包んだ時、僕はジールを抱きたくなった。
拒んでも、強引に抱いて、壊してしまうつもりだった。」
ベルーシは寂しそうに、つぶやく。
解らなくもない。
大切なものを取られないようにするには、それを自分の手で
壊してしまうのが、一番自分を傷つけずに済む。
自分で壊せば諦めがつくが、奪われてしまうと諦めがつかない。
けれど、私を強引に犯すという行為は、コルテスと言う男の
する行為と何ら変わらない。

だから私とその男との情事の幻覚を見てしまったのだろう。
己の行っている行為と、重なってしまったのだ。

「ほんと、ベルーシはバカだね・・・」
「あまり自覚してない。」

私はベルーシの背に回り、首元から腕を差し込み、抱き締める。
「奪われたくないなら、捕まえてなさいよ・・・。
男なんだから、それぐらいしなさい。」
金とも白とも見て取れる髪の毛に、鼻をこすりつける。

私の身体はまだ発情していて、治まっていない。

長い耳を甘く噛む。
そのまま下に降りて首筋に口付けし、なだらかな肩に鼻を
こすりつける。
深く息を吸い、ベルーシの匂いを堪能する。
酒の匂いは、もうしない。
若々しい雄の香りが、つんと鼻腔を突き抜ける。

ベルーシが身体の向きを反転させ、私と向かい合う。
しばし見つめあう。
ベルーシの瞳は熱く、潤んでいた。
身を乗り出し、そっと私の唇に唇を重ねる。
「普通のキスは、初めてかもね。」
ふふ、と微笑むベルーシ。
そのまま私の肩に手を置き、ゆっくり後ろへと倒す。
ベットが柔らかくきしむ。
「ジール・・・。」
熱のこもった、甘くささやくような声。
熱く見つめる瞳に、胸の鼓動が高鳴るのを感じる。
興奮から洩れる吐息に、体温が上昇し汗が滲み出す。

「君が欲しい。」

待ち詫びたその言葉に、私はゆっくりと頷いた。

ベルーシからの求めに、私は終始 身を任せる事にした。

唇と唇が重なり、柔らかい感触が心地いい。
ベルーシの舌が私の唇をつつく。
それに応え、唇を開き、ベルーシの舌を受け入れる。
先程のとは違い、酒の匂いも、味もしない。
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・と、淫らな音と、互いの興奮の吐息が
静かな部屋に響き、彩る。
「はあ・・・」
思わず満足気に、息を洩らす。
私がさっきしたように、ベルーシは私の耳を甘く噛む。
ピクンと耳が震えた。
そのまま降りて、首筋に口付けをする。
反対の首筋にも口付けをし、鎖骨にも口付けをする。

キスの洗礼、と思った。

照れのせいか、頬が熱くなってきた。

さっきは壊れる程に荒く扱ってしまった。
もう二度と、あんな真似はしない。

ツンと立った乳首を口に含み、軽く吸う。
「はぁぁ・・・」
息を吐くのと同時に、声を発するジール。
嬉しそうな声に聞こえたのは、錯覚ではないと思った。
張りのある乳房を片方の手で揉み、感触を確かめる。
柔らかく、そしてどこか弾力のある、良い感触だ。
空いたもう片方の手で、身体中をまさぐる。
この手に、ジールの全ての感触を覚えさせるために。

すべすべとした表面に、時折感じる固さは筋肉だろうか。
引き締まっていて、野生的な美しさを持ち備えた肉体。
他の男が抱きたがるのも、無理はない。

光る汗は粒となり、真珠のように光っていた。

眼を閉じ、全身をまさぐるベルーシの手に神経を集中させる。
背中をさすり、背骨からつつー・・と指を下へと滑らせたり、
腹部を撫でたり、尻を優しく揉んだりしている。
熱い吐息が思わず洩れる。
乳首が吸われる度に、きゅんとしてしまう。
私はベルーシのモノだ、と言う声が頭の中で聞こえた気がした。

屈服した恥辱や、征服された屈辱は、ない。
そういったものを越えた感情が、私とベルーシの間にあるから。

ベルーシの手が休まり、膝の裏に腕が差し込まれる。
眼を開けてみると、私の股間にベルーシの男根があてがわれていた。

「ジール、いれるよ。」

私は言葉で返さず、首を縦に振って応えた。

僕は自分のそれを、ジールの秘口にあてがい、ゆっくり腰を進めた。
「あぁーー・・・・はぁぁ・・・・」
ジールの切なそうな声が、とても可愛らしく聞こえた。

眼を閉じ、徐々に奥へと進んでゆく。
先端がビリビリと痺れるかの様に、気持ちいい。
奥へと進む度に、少しずつ狭くなってゆき、締め付けられる。
「くっ・・・ふっ・・・」
僕はつい、声を出す。
内部の壁に所々、波打つような感触を感じた。
ジールの内部が僕の先端を激しく愛撫してくれる。
時折ツルツルと滑るのは、さっき己が発射した精液だろう。
ジールの粘液と混じっているのかな、と思うと、とてつもなく淫らな気持ちになった。
「あぁ・・・あぁ・・・」
ジールの表情を見つめる。
耳がへにょっと寝ているのが、ちょっと可笑しくもあり、愛らしくもあった。

僕のモノが全て収まったと同時に、行き止まった。
包み込む壁に比べ、ちょっと固い感覚がする。
『子宮、かな・・・。』
ジールの最奥まで進入した事が、少し嬉しかった。

私の最奥まで進んできたベルーシが、そのまま動かない。
脈打つ男根が安心感を生み、私を落ち着かせる。
ベルーシの男根の全てを飲み込むなんて、貪欲だ。
しばらくするとベルーシは遠慮がちにゆっくりと、引き抜くかのように動いてきた。
「あ、あああああっ!」
ぞぞぞ、と快感の波が押し寄せる。
じっくりと慣らすかのように、ベルーシは腰を動かす。
突かれるたびに、
「あふっ・・・!」
と、腹を押し上げられた声を上げ、引き抜かれるたびに、
「んあぁぁっ!」
抜いて欲しくないと言う欲から、苦しそうな声を発する。

「ジール・・・。」

ベルーシの甘く囁く声が聞こえた。

「・・・ベルーシィ・・・」

甘えるような、媚びた声色で、呼びかけに応える。
ベルーシからの快感の律動が、私の意識を回転させ、酔わせていた。

「はっ・・・ん・・・、い、いい。気持ちいいよ、ジール。」
伝えるまでもない感覚を言にして出す。
「わ、わたし、も・・・」
もっと僕を感じてくれ。
もっと君を感じさせてくれ。
ジールの肉体に溺れそうな快感を、必死に振り払う。
突けば突くほど、良くなってゆく。
初めての行為の時は、こんなに感覚が高まらなかったのに。
ジールも、そうなのだろう。
短い悲鳴のような声を発しているほど、感じている。
「も、もう・・・ダメェ・・・イ、ク・・・」
ベットのシーツを力強く握り、かぼそく言った。
僕も懸命に声を絞り出す。

「もうちょっと、耐えて・・・僕も、イキそうだから・・・」

その言葉を聞き、目尻に涙を浮かべ、唇をきつく結ぶ。
僕も限界が近い。

早く、イッて。
私はただひたすらにそう願った。
最高の快感を耐える苦しみから、解放されたい。
「あ・・・で、出そう・・・。」
出して。
言葉にならぬ懇願を続ける。
もう、狂って、しまう。
「あっ、で、出る・・・! 出すよ、出すよ!!」
懇願した、ベルーシの射精の合図。
私は張り詰めさせていた糸を解き、身を任せた。
腹の底から、力強いエネルギーが溢れ、身体中に巡り、
私の快感の限界を、大きく越えた。

「あ、あ、あああっ!!」
「あーーーーーっ!!!」

ベルーシの叫びと、私の叫びが重なる。
バーン! と、何かが爆発したかのような衝撃が襲う。
とてつもない硬度を保った男根が、胎内を弾け、暴れまわる。
強く水を放出したホースを踏みつけたかのように。
射精の勢いに、踊り狂い、ビチビチと跳ねまわった。
ベルーシから放たれた精液の分泌量と勢いはすさまじく、子宮内の奥の壁に叩きつけてきた。
同時に結合部から、さっき放った精液と新たに放った精液がゴボッと音をたて、溢れ出た。

指先がチリチリとして痛く、身体がぶるぶる震える。
大きすぎた絶頂の波は一瞬意識を鮮明にさせ、放心状態に陥らせた。
それから数秒して、睡魔にも似た快楽が内部から沸き出てきて、
快感に耐えられずに突然意識を失った・・・。

「はぁー・・・・はぁー・・・!」
僕は獣のように荒い呼吸をしていた。
快感の波が引いたにも関わらず、未だに射精している。
ジールに、精気を吸いつくされるのではないかと思った。
結合部から、僕の精液が溢れていた。
手足が震えて、平衡感覚を保てない。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
思わず手をつき、ジールと一つになったまま深呼吸する。
ジールの顔を見つめると、痙攣を起こしたかのように震え、
失神していた。
時折ピクピクと動く耳が、可愛らしい。
桃色に頬を染め、幸せそうな顔をしている。
汗がぽたぽたと垂れ、ジールの身体に落ちる。

僕は失神したままのジールの唇に己の唇を重ねる。


「ジール・・・愛してる。」


その一言を口にした時、僕の眼から一筋の涙がこぼれた・・・。


ベルーシxジール3
ベルーシxジール4
ベルーシxジール5
ベルーシxジール6
イークスxルウ
イークスxフィー
ベルーシxジール7
ベルーシxジール8